1. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 悪役に拷問をされる時に、椅子の底をチョキチョキしたところを見た時、既視感。 チャップリンの「キッド」で、拾ってきた赤ちゃんのおまるを手作りするために、家にあるボロボロの椅子の底をチョキチョキしたあのシーンを思い出した。 それはさておきとして、スケ〇椅子にダニエルボンドを座らせて、まさかSMシーンが繰り広げられるとは… 007シリーズの中では、かなり斬新な作品である。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-10-10 13:58:58) |
2. エスター
《ネタバレ》 「ゆりかごを揺らす手」が大のお気に入りの私にとって、この相手の家庭ぶっ壊して、家と夫の乗っ取りを企てるメスビッチのお話はつまらかったです。 (ガラスばりの温室の天井が落ちるとか…もね笑) このメスビッチエスターは、ゆりかごの方に出ていたメスビッチと違って、自分の悪さを奥さんに暴露しているんですよ。本性を表している。 それを知った奥さんが、周囲にそれを訴えても理解してもらえないっていう苦しさを表現したかったのかもですが 本性を出してもらっているんだったら、スマホでこっそり録音するなり、あれだけ裕福な家なんだから、隠しカメラでも仕込んでおいた方が 周囲に速攻で理解してもらえるのにねって、もういちいちそこでシラケちゃって。 あと、エスターを温室でぶっつぶしたあと、妻がマックスを連れてエスター放置で立ち去るじゃないですか。 なんでトドメささない?死んだか確認しない?せめて紐で縛っておこうよ。 これはもう後でウォリャーって再登場まちがいなしと思ったらそうなるし、なんかもう、シラケっぱなしです。 兄だって、エスターがシスターを殺した証拠をツリーハウスに探しにいくより、警察に相談して、堂々と警察にツリーハウスを捜索してもらったほうが早いのに、リスクマネジメント皆無。リアリティがない。 ストーリー展開のために、登場人物全員が、普通の人ならとる行動をいっさい取らない。 エスターが自作自演で腕の骨を折ったのも、まともな医者が調べたら、あの圧縮機械みたいなやつの四角い固定したあとの痣が残るはずで、人力で折れるものじゃないってすぐわかるはず。 誰もが、やることなすこと、リアルじゃなくって もうほんとつまらないです。 途中でもう見るのを止めようかと何度も思ったのを思いとどまらせたのは 「これだけ酷いことをしてきたエスターが最後はどんな酷い死にざまを見せてくれるのか?」 それを確認するため。 でも最後は、奥さんにキックされて水没。 え… それだけ…? 金づちでゴンゴンやって、石で顔つぶして、ナイフでめった刺しして、まだ生きているうちにガソリンかけて火をつけないと、今まで「つまらん…つまらん…」とイライラしながら見ていた私の気持ちが晴れませんやん…笑 ちなみに、見る前は、なんで夫役がピーターサースガードなのかなって思ったんですよ。 彼は悪役のイメージですから。 被害者キャラじゃない。 でも、奥さんのことを理解せずエスターをかばうバカだんなぶりが、悪役まではいかずとも、しょーもねぇ男感があって、そこがキャスティングされた理由かなと思いました。 (最後はメッタ刺しで殺されるけれど、それ相当笑) それにしても、太って年齢を重ねたピーターはジャック・レモンに似てきましたね。(立っていて誰かに話しをするときに背中がちょっと曲がってる感じも) 悪役とか、しょうもない役より、コメディ路線に舵をきったほうがいいかも。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-10-01 20:28:55) |
3. ミスト
《ネタバレ》 中盤で、カルト的ではあるにせよ”神の御心のままに”生きて、銃殺されたおばさん。 それに対して、殺人や自殺(自殺ほう助も含む?)を禁じたキリスト教の神の教えにそむき、大事な息子を早まって殺してしまい、打ちひしがれた主人公のおじさん。 映画のラストは、原作にはない内容だということで、このオチについては、監督らの考えが入っているとはいえ、原作者キングは絶賛したという。 ということは、キングは宗教というものを、心から信じているというよりは、客観的な見方で「信じすぎても、信じなさすぎても。どちらにしても、いい結果を生み出さないかもね」というドライな価値観を持っているのではないだろうか。 原作のラストは、ラジオから流れる放送を聴いてそこで語られていた避難所(安全かどうかは読者の想像次第)に向かうという場面で終わるそうで、その場所の名前は”HOPE(ホープ。希望)”。 でも当初は名前をはっきりつけておらず、ファンから抗議があって書き換えたそうで、どちらかというと、ファンが”希望”を抱かせるオチを望んでいたのでしかたなく合わせたということだったのかもしれない。 (「ショーシャンクの空に」もキーワードがhopeでしたからね) そういえば「ミスト」の原作発表後に作られている 『危険な状況下でラジオ放送で語られる<安全地帯>は安全じゃない』 という法則をはじめて作ったのはひょっとしたら「ミスト」の原作かもしれませんね。 いずれにせよ私がこの後味の悪い映画を何度もついつい見てしまうのは、スーパーという閉ざされた場所で繰り広げられるシチュエーションスリラーとしての面白さにつきる。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-07-20 11:41:42)(良:3票) |
4. A.I.
《ネタバレ》 マイ号泣映画10選に入る最高傑作。 相当昔見たが、当時「イマイチ」と思った記憶があり、デイヴィッドが海底で観覧車で封印された所で「なんて暗くて重くて寂しい展開なんだ・・・」と、絶望感を抱きつつ見るのをやめていた。 (そしてあの暗くて救いようのない場面から想像して、バッドエンドだと思い込んでいた)唯一、ジュードのロボぶりがイケてた事だけは好印象だったのだけど。 あれから十数年。何も期待もせず「まぁジュードロボをまた楽しむつもりで」と見始めたところ…あれ?なんで?面白すぎる! 多分私、昔見た時には母性が不足ぎみだったのだ。でも母となり可愛い息子がいる今の自分が見ると、母の気持ちもデイヴィッドの気持ちも全て分り感情移入できるではないか。 デイヴィッドを愛している母の葛藤(デイヴィッドをイジメる実息子だが実息子だから大事にしないといけない。返品すべきだと言って譲らない夫も拒めない)も痛いほどわかる。 故障したデイヴィッドを修理中、立ち会った母が彼の手を心配そうな顏で握っていたが、一瞬手を離してその場を離れ、セリフなしで何ともいえない表情をする。 以前見たとき私は「機械部分丸見えな息子のボディを目の当たりにして、やっぱりなんだかんだ言ってもメカの息子だとリアルに感じて気分が悪くなったか」と思っていた。 でもあれは「メカなのに、ナゼこんなにも心配で傍にいてあげたいと私は思うの?私はメカ息子を心から愛してしまっているの!?」と、自分の中にあるメカ息子への愛に自分自身でも戸惑っている、そんな場面なのだと今ならわかる。 (再び戻りメカ息子の手をギュっと握る様子が縦モザイクのガラスを通して写っている印象的な場面を見逃すな!そして、その手を嫉妬の目で見つめるマーティンの表情も。) 肝心のストーリーだが、ハーレイ君のあどけないブルーアイズのせいで感情移入しまくり、海底に沈む遊園地でブルーフェアリーとご対面したあたりから涙が止まらない。 宇宙人が”複製するには体の一部が必要”という所で、デイヴィッドの傍にいたテディがあの髪の毛を出す場面でも号泣。 一日限りの母親復活でナレーターが「母は、夫もマーティンもいない中でとてもリラックスしてデイヴィッドといた」と話したときも号泣(やっぱり、夫やマーティンの手前、メカ息子と親密にはできなかったのだねと)。 そして母がデイヴィッドを抱きながら「ずっと愛していたのよ」と、2000年前には言えなかったことを、当時も愛していた(でも夫やマーティンの手前、素直に言えなかった)ことを伝えた所でまた号泣。 なんと、ハッピーエンドだったとは! (ちなみに、母によるメカ息子への愛の告白は「I do love you.I have always loved you.」となっていますが、ここ、I love you (大好きよ)じゃなくI do love you (めちゃめちゃ大好きよ)と、高校時代の英文法の時間に習った”強調のdo”が挿入されてるのがミソです。 で、続くI have always loved youは、昔まだ同居してたときに夫や息子の手前言えなかったけど心の中ではあの時からずっと愛していて今もそうなのだよ、という現在完了形を使った愛情深いセリフであることもミソです。 (しかもデイヴィッドを抱き寄せて頬をくっつけ、耳元で囁く…ずっと心に秘めてきたことを打ち明けるように) ついでにですが、DVDではメカ息子の一夜限りの復活を果たした母への最初の一声が「I found you」で、そのとき字幕では「やっと見つけた」ってなってましたけど、あれは訳ミス。 まだ同居してたとき母親が彼をクローゼットに閉じ込めたあとに罪悪感にかられて開けたときに息子に言った、かくれんぼに見せかけたセリフ「I found you(みーつけた)」の伏線の回収場面なんですね。そこ大事ですね。 ストーリーのテーマは、いたってシンプルな「愛」。それを近未来の、さらにはその後の2000年後で人類は滅亡し宇宙人が来ちゃう時代なんて相当ブっとんだ時空のシチュエーションでも、観るものにとって違和感なく入れる世界観として描ききっている。 2000年先まで描くのは冗長とか、そういう意見も多いが、いやいや、先ほどの母親復活で親子の愛情を確かめ合う号泣場面でもあるし、2000年後こそメリルストリープ様が声を演じるブルーフェアリーや、ベンキングスレー殿下が声を演じる宇宙人スペシャリストの声を聴く価値もある部分ですよ。 ちなみにジュードロウの”首を横に一回カックンしたらミュージックスタート!”は多分、マイケルジャクソンへのオマージュ。 [DVD(字幕)] 10点(2021-07-01 10:55:23)(良:4票) |
5. ノウイング
《ネタバレ》 宇宙人さん、あんたは何がしたいんじゃい。 おたくらの星に連れていって、接待するならともかく、彼らとウサギ2匹を、枯草ぼうぼうの星に置き去りにして、彼らがそれで生きてけるとでもいうんだろうか…苦笑 『青い珊瑚礁』的な展開も、この謎の星では期待できない、地球じゃないもん。 ウサギ2匹も連れて行ってよいってのも謎。 ウサギが繁殖したところで、生き物は多様性がなくては絶滅するのは常識の話なわけで、ノアの箱舟みたいにできるだけ多種多様な生物を連れていかなくちゃ、いずれ異常遺伝子の赤ちゃんウサギが生まれて早死にして、ウサギ絶滅だと思いますよね。 そもそも宇宙人、選ばれしものを太陽フレアの直前にかっさらうつもりなら、 スカウト活動に50年かけなくても、数カ月前から始めればいいはずだし。 あと、あのアビーのお母さん、ニコラスケイジがドアの下の文字を解読しようとしてるそばで 「早くしないと!」ってヒステリー起こしてましたけど、そんなあのペンキはがすのに何時間もかかるわけじゃないんだし お母さんの予言を信じたからニコラスに心開いたはずなのに、そこでお母さんが残した文字を解読するのなんてどうでもいいなんて、 ちょっと脚本的に納得できない。 あと2分くらい待ってればいいだけなのに、それもできないで子供(しかも男の子のほうまで何の権利があって連れてくの笑) を自分の車に乗せてニコラスに何も言わずにずらかっちゃうし。 子供たちがさらわれて気が動転しちゃってるのはわかるけど 何も言わずに他人の車に乗って強奪するとか、とにかくこのお母さん、頭おかしすぎて、たとえ死んでも同情の余地なしなんですよね。 あれだけ警戒しまくってた宇宙人に、わりとあっさり子供を託しちゃうニコラスもおかしいし。 (だって、安全確保しますとか言っておいて、人体実験に使われちゃうかもとか、疑うこともしないなんてね) 子供も永久の別れなのに、わりとあっさりバイバイしちゃうし、もう、なにもかもが「?????」な展開で ついていけません。 地球規模の話にせず、大事故が起きるのを数字で予見して、子供たちを守るためにあのアビーの母と協力して事故を防いで ニコラスとアビーの母も結ばれて(あるいはそんな予感を残して)お話をまとめたほうがよかったですよ。 それにしてもニコラスケイジってほんと、出る映画選んだほうがいい。 昔は<彼の出る映画=面白い>だったのに、最近は<彼の出る映画=つまらない>っていう方程式が確立されつつある。 [インターネット(字幕)] 1点(2021-06-14 16:12:38) |
6. ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
はっきり言います。私、下ネタ、ぜんぜん平気な女です。 そしてまたはっきり言います。下ネタが苦手な人はこの映画を見ないでください。 下ネタが大好きな人だけ、この映画を見て「この下ネタはいまいち」とか「この下ネタは最高」と、下ネタ基準で評価してください。 ベジタリアンな人が焼肉食べ放題のお店に行って、「この店は肉ばっかりで全然ダメ!」っていうようなミスは犯すのは、とても残念なことです。 ということで、この映画は10点満点!! サシャ・バロン・コーエン原案・脚本…なるほど、彼はこういう下ネタが大好きな俳優さんだったのですね。 大好きになりました。天才ですね。 ユダヤ人、障碍者、黒人、ゲイ…いじるのはタブーな人間たちに臆することなく、真向からブラックジョークを言い放つ。 全裸でドタバタ劇を繰り広げ、彼が走り回ってナニが見えそうになるたびに、黒い修正が映像に乗っかる。 (それにしてもこの黒い修正、すごく縦長なので、そうか、サシャはすごく縦長なんだなと理解。) ほんと、彼って下ネタが好きなんですね。 この作品の続編「続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画」も出せちゃうくらいですから、相当彼の頭には下ネタがあふれて止まらないんでしょうね(誉め言葉) [インターネット(字幕)] 10点(2021-05-09 16:48:51) |
7. ブーリン家の姉妹
《ネタバレ》 次々嫁チェンジしてたヘンリー8世のことや、2番目の妻にしてしたたかなアン・ブーリンのことは多少知っていたけど、妹まで巻き込んでいたとは知らず、とても面白かった。 また、ブーリン姉妹以外の、親や叔父の、娘(めい)を利用してでも権力と地位を欲しがる様も見ごたえがあった。 そういえばチャールズ皇太子も、最初はダイアナの姉と付き合って、そのあと妹のダイアナと付き合ったわけだけど、スペンサー伯爵家の父親が、この映画のブーリン姉妹の父親や叔父みたいに、必死で娘たちを売り込んでたのかな…なんてイメージもしたりして。 英国王室は、こういう世継ぎのための結婚と、妾制度っていう歴史が当たり前のように継承されてきたから チャールズに対しても、愛情をもてないダイアナと結婚をしても失敗して離婚したのもさもありなんという印象。 それにしても、スカヨハは演技の幅が広い。 SFやアクション映画で勇ましい戦うキャラを演じてみせたかと思えば、こういう歴史上の控えめな淑女も完全になりきっちゃうし。 ナタリーポートマンは、眉毛をヘニョヘニョな形にゆがませた泣き顔が本当にお得意で、この映画でもその表情で何度も何度も悲しい顔を見せてくれます。 レッドメインとかカンバーバッジとか、ほんの脇役も味のある英国人俳優使っていているのも贅沢で良かった。 アンブーリンの肖像画を見たことあるけれど、Bのマークのペンダントも再現されていてよかった。 ヘンリ―8世は、兄が早くに死んで王になったので、次女であるメアリーに、次男次女の苦労という意味でシンパシーを感じていたのかなって思ったり。 (それを感じさせるセリフも劇中に入っているし) [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-29 16:32:39) |
8. ミュンヘン
《ネタバレ》 ユダヤ人のスピルバーグが、ユダヤ人によるパレスチナ人たちへの復讐劇をどう描くのか? というのは普通に興味深い。 同じく彼が監督した「シンドラーのリスト」は、ユダヤ人を救った英雄物語なので、分かりやすかったが、「ミュンヘン」は、シンドラーの話とは違い、”人殺しサイド”にユダヤ人が置かれるので、それをどう描くのかなと。 当初は、ユダヤ人による11人分のパレスチナ人殺しを見ることになるのかと思いきや、もともとはユダヤ人を殺したテロの首謀者としてリストアップされた11人を殺す予定が、おとなしくしてらんねぇってことでテロの実行犯をわざわざ殺しに行ったり、テロ首謀者を殺すために結成されたチーム仲間のひとりをハニートラップで誘ってベッドで殺したオランダ人の女を報復で殺したり、必要以上の殺しにまでパワーを注いじゃってるので、そりゃ主人公の彼も精神的に病んじゃうなと思う。 でもね、主人公にワイフだの生まれたての赤子がいなけりゃ、 そこまで病まなかったんだろうな。 気持ちは「イスラエルを守るぜ!」で一点集中できてただろうな。 その赤子も、男の子だったらそこまで病まなかったはずだ。 女の赤子って、ずるいですよね、父親のハートをもってく。 なんか、だから、映画で女の赤子をもってきて、父親の葛藤を描くのって、安易で嫌いです。 イスラエルという国家にとって、この腕利きの主人公に女の赤子がいることは、非常に迷惑なことだったろうなとも思う。 ユダヤ人は、3000年も前に最初に暮らしていたはずの土地を他国に奪われ、 世界中どの国よりも、国への執着があるわけだし、このイスラエルのエルサレムを聖地とするキリスト教とイスラム教よりももっと前からこのエルサレムを聖地とするユダヤ教を発祥させていたわけだから、イスラエルは我々の土地だというプライドはとても理解できる。 だから、私としては、主人公にワイフと女の赤子持ちというツマラナイ設定を外して、 最後はイスラエル万歳と叫んで殉死してくれるオチが、ユダヤ人を描く映画としては正しいって思うのだが。 でもまぁ、主人公がそんなこんなで、平和な暮らしを求めて 「報復の連鎖は無意味だ」 って言うわけですが、そんなの、平和な家庭を維持したい人間の言い訳だろって感じです。 カメラワークは秀逸でしたから、ワイフと女の赤子がいるっていう設定がなくて、「報復の連鎖は無意味だ」と主人公が言い切っていたなら(そう言い切る説得力のある場面を描けるなら)もっと高い点を出せましたが。 ワイフに、女の赤子ねぇ…フンッ。安直。 [インターネット(字幕)] 2点(2021-03-14 12:47:53)(良:1票) |
9. スコア
《ネタバレ》 Eノートンの、障碍者の表情⇔ワルな表情が、ちょこちょこ変わる演技が楽しい。 Mブランドの、でっぷりした大きな体のわりに、「死にたくないよぉ…家の借りを返して安心して生活したいよぉ…ヨヨヨ…」って感じの小物っぷりの演技も楽しい。 デニーロは…デニーロ。笑 ノートン演じるブライアンは、デニーロ演じるニックに初対面の時からおちょくってる感じだったし、肝心の勺を盗むときも、遅刻したり(それは意図的ではないが)、監視カメラをなかなか切ってくれなくて、ぶら下がったまま老体をキープさせられて 「くっそ…ぜったいアイツ俺をどこかで裏切るな」 って、黙ってじっと天井からぶら下がってる間イライラしながらずっと悶々と考えてたんだろうなって思える。 でもブライアンはあれだけ悪いヤツなのに、自分の犯行現場をダニー爺ちゃんに見られても、殺さず生かしておくとか、とんでもない手落ちだと思う。 国外逃亡できるつてもないのに、かなりのお馬鹿さん。 ニックが「才能はあっても、大事なのは”選択肢”」って言ってたけれど、まさにブライアンは”選択肢”を誤った(普通に協力していれば分け前がもらえたのに、オールを求めてナッシングになっちゃった)わけですね。 王道なストーリーだけれど、古き良き時代の泥棒映画だと思えばとても良い出来栄え。 「トプカピ」くらいの時代の作品だと思えばいい。 それにしても、泥棒映画のストーリーでは、あまり信頼関係のないもの同士が泥棒計画で組むことになると 盗む係と、外野でサポートする係がいて、だいたいサポートするほうが裏切るっていうのはありがちですが 一番そういう脚本を最初に書いたg元祖の映画ってなんだろう? それはもう、みんな「うわぁ!」ってなったでしょうね。 そして、Mブランドはこの映画が遺作なんですね。 彼の存在感は、そのでっぷりた体重くらいはあったと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-02-25 16:25:38) |
10. バイオハザードII アポカリプス
TVのレポーターが平野ノラに見えて仕方ない。カチっとしたスーツ、太い眉、やせぎみの頬骨のはった顔つき。 学校の教室で子供ゾンビに集団で襲われるときに「おったまげー!」とか言い出しそうだ。 レポーターだけでなく、ノリの軽い黒人運転手、カウボーイな狙撃手、停職中の女性警官(ジル)とその相棒、元アンブレラの隊員・・・と、一挙にいろいろなキャラクターがワラワラと登場し、さらに敵陣もゾンビに加えて、リッカーやら、元マットのネメシスやらが登場し、ゾンビVSアンブレラ隊員というシンプルな構成だった「1」の続編は、イッキに”バイオハザード祭り”の様相を呈してきた。 良くも悪くも、にぎやか。 それゆえ、面白くもあり、まとまりがなくなりつつもある。 バイオハザードのゲームをしたことのない私としては、こうしたさまざまなキャラの登場と、学校や墓場や実験室といったいかにもゲームゲームした場面がやつぎばやに訪れてはそこでドンパチが繰り広げられる作品は、純粋に”ゾンビ映画”を楽しむにはちょっと適してはいない気がした。 つまり、ゲームを見ているような感覚にさせられるのは、映画作品としてはどうなのかと。 面白い場面のツギハギであるがゆえに、見終わったあとで、おなかがいっぱいにはなるが、ストーリーとしてどうだったかと言われるとそこまで絶賛というほどでもない。 そうなってくると、気になりだしてしまうのが、つっこみどころだ。 教会のステンドグラスをバイクで突き破って登場するアリスは超カッコイイが、そこにリッカーや助けを求めて緊急事態な人達がいるとどうして分かっていたのかなとか。 死体がうまっている墓場にわざわざ入ってくんなよとか。 Tウィルス開発者の博士をみせしめで撃つとか、あんた小ボスのくせに上の承諾とらんでいいんかいとか。 とはいえ、「これはゲームの映画化だ」と割り切って自己暗示をかけて見れば、純粋に楽しめることは楽しめるわけで、今作はそのように”割り切り”が大切なものだと思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-18 13:17:40)(笑:1票) |
11. インベージョン
《ネタバレ》 若いニコールも良かったが、私は女なので若いダニエル・クレイグも良かったと言っておきたい笑 宇宙人に感染して、世界中が大騒ぎになると、戦争のない平和な世界になるっていうのは、面白い考え方だと思う。 実際今、コロナで大騒ぎになってからというもの、中東系のテロが起きてないし。 北朝鮮もミサイルばんばん日本海に落とすこともないし。 あながち間違った方法論ではないと思う。 でも、その代わり感情を失うので、感動を呼んで笑わせたり泣かせたりしてくれる映画の需要がなくなってこの世から消えたら困る笑 [インターネット(字幕)] 5点(2020-10-30 07:58:23) |
12. 28週後...
《ネタバレ》 前作を見ての今作の鑑賞だが、個人的には今作のほうが好み。 前回は、軍隊は全員ゲスでヤなやつら(=敵)だったが、今回は軍の医療関係の女性やスナイパーの男性が、民間人サイドについているところが、作品に深みを与えている。 それに前回描かれていたのは見知らぬ若者同士の絆だけだったが 今回は、夫婦、親子、姉弟…という、だれもがグッとくる絆をまんべんなく描いているのも良い。 そしてスナイパーの軍人が自らの死とひきかえに、民間人たちを助ける・・・というシーンは、 思わず「あぁぁああああ・・・イイひとだったのにぃ・・・」と本気で思ってしまった。 ロバート・カーライルが、人を犠牲にしてでも(妻を置き去り逃走、友達が出そうとした船を乗っ取り、襲われた友達を見捨てて逃走)生き延びようとした姿と、なんと対照的なことか。 このコントラストも、素晴らしい。 あと、画面がブレブレしてたり、画像がザラザラしてたりするのは、ゾンビ系の物語というフィクションの映像を、よりリアルに見せるうえで、すごくいい使い方だ。 下手なひとがそれをやるとただの”見にくい映像”になるが、ダニーがプロデューサーとして口出ししてたのか、とてもうまく仕上がっている。 特にタミーが父親を撃ち殺した後の目元アップ。 血まみれ泥まみれ汗まみれで、メイク崩れまみれのぐちゃぐちゃの目元で涙をながしながら 眉間にしわを寄せて苦悩の表情をしていた、あのザラザラした質感の映像が眼の裏に焼きついている。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2020-10-18 09:06:24)(良:1票) |
13. 愛しのローズマリー
《ネタバレ》 ジャック・ブラック目当てで鑑賞。 ネットであらすじを軽く把握して「見た目より内面が大事」っていうテーマだと思って見ていた。 ところがビックリ! その見た目っていうのは、一般的なスタイルの良さとか顔のデキを越えて、 「顔面ヤケドや、肢体不自由等、身体障害者も受け入れて下さい」的な、すんごいハードルの高い価値観を押し付けてきた。 え?そうくる? だったらそれはもう、性格イケメンのエレファントマンを彼氏にしないような人は人間じゃないというようなもの。 私も見た目では男は選びませんが、四つん這いで歩いてるあの男性は、結婚を見据えた真剣な交際ができるかと言われたら、仲良しの男友達にだったらなれても、それはさすがに…ですよ。 ていうか、身体的な問題を問題とせず愛せよというならば、じゃぁ知的障害者はどうなんですか?と。 うちの長女が知的障害で、成人していますが、正直、知的障碍者の恋愛や結婚は本当に不可能に近いものがあります。 (障害レベルにもよりますが) 娘が障害があっても仲良くしてくれていた女友達でさえ、人前で普通なら恥ずかしい行動に分類される”奇行”に耐えられず、LINEをブロックされてしまったくらいですから。 同じ障害でも、就職率は身体障碍者のほうが圧倒的に高く、知的障害が雇ってもらえるのはほんのわずか。 障碍者でも愛せよと説いて、良い作品に仕上げたつもりだろうけれど、知的な障害者は一切登場させず、その置き去り感すごい。 障碍者まで話を広げず、単に見た目のスタイルや顔の良しあしで判断しちゃだめだよっていうラブコメで留めておけばよかったものを。 ヘタに正義ぶったメッセージ性を持たせようとして、かえって失敗している作品。 (ジャックブラックは、相手の容姿は気にしないって成長したことになってますけど、 彼の男友達は、自分の障害を受け入れてくれる女性を求めながらも、結局”ただし見た目のいい女性に限る”っていうオチになっちゃってるのも失敗。) 見終わって気分が悪くなった。 [インターネット(字幕)] 2点(2020-10-17 09:44:26)(良:1票) |
14. スケルトン・キー
《ネタバレ》 弁護士ルークは見るからに怪しくて、絶対あとで悪者キャラを全開させると分かってはいた。 だが、まさかジャスティファイが何人もの人間にとりついてきたその最新バージョンの姿だとは想像もできなかった。 あの屋敷があやしさ100%なのに、なんであのオバアチャンは無理にそこに住んでいるのかなぁ・・・と、不思議に思ったけれど、つまりはあの屋敷でコキ使われていた黒人の召使いが「お屋敷ごと乗っ取ってやったぞ、クワッハッハッハッ!」ってことなのですね。 屋敷の子供たちの体をのっとって身代わりとして殺させたり、屋敷の主の夫妻を死においやった時点で彼らの恨みは晴れたのだから、その後もああやって延々と若い体に乗り移り続ける理由はよく分からなかったのですが、ディズニーの「プリンセスと魔法のキス」もニューオリンズが舞台で、ママ・オーディという200歳設定のブードゥー教の呪術師が登場していたことから想像するに、ひょっとするとニューオリンズの呪術師は”長生き願望”が強いのかもしれませんね? でもそうなるとギネスの長寿世界一は、常にニューオリンズの呪術師さんってことになって面倒ですね?笑 その「プリンセスと魔法のキス」でも、ブルースが頻繁に出てきたり、黒人、沼地、ワニ、そして呪術が出てきたりしていたのだけど、実際に「スケルトン・キー」で同じものがリアル映像として出てきて、実際のニューオリンズのジメっとした質感が分かって、なかなか興味深かった。 それにしても、あの呪術が載っている本。英語で「パパ・ジャスティファイのレシピ本」と書かれていて、なんだか、のどかな料理本みたい笑 「フードゥー」じゃなくて「マーボードーフ」のレシピとか載ってそう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-15 08:40:38)(良:1票) |
15. パッセンジャーズ
《ネタバレ》 飛行機事故は人的ミス?爆発?どっちなのか真相解明…という映画のようにミスリードを誘いつつ、アンハサウェイ死んでましたっていうのは無茶。 死人の主人公が見ていた世界を長々と描く作品はけっこうあって、最後に「はい、死んでましたー!」っていうオチに至る作風はけっこう好きなんですよ。 あのオーストラリア女優が出てるアレとか、ハゲてもかっこいいあの俳優が出てるアレとか…(ネタバレ禁止なのであやふやにしておきます) 主人公に充分感情移入したところで「死んでましたー!」って言われると「ええっ・・・そんなぁ!」って感情がかきまわされるのがたまりません。 でもね、この映画はダメ。下手にサスペンスタッチで飛行機事故の原因追及の方へ意識をミスリードされて、主人公に感情移入をする場面がひとつもないまま、彼女はとっくに死んでましたって言われても…「あ、彼女死んでたんですね」っていう程度。 最後の最後で、姉が出てきて妹のメモを見てる場面も、 ケンカ別れして以来会ってないないってことしか聞かされてないコッチとしては、何を表現したいのかさっぱりです。 [インターネット(字幕)] 3点(2020-09-27 18:39:56) |
16. プラダを着た悪魔
2020年に初めて見て、劇中でマドンナの大昔のヒット曲「VOGUE」がかかっていて 「え…これってそんなに古い映画!?」って驚きました。 まぁアンハサウェイやエミリーブラントがめちゃくちゃ若いのでそれくらい古いものだとは思っていましたが。 ミランダが着ているコートの毛皮率が高かったのも、古い印象。 今では動物愛護の観点で、毛皮を扱わない宣言をしているハイブランドがほとんどですから。 女のキャリア追求っていうテーマも古さはあります。 時代を反映してる映画の宿命ですね。 それでも次々出てくるステキなファッションは見ていて目の保養になるし、自分も特に太っているわけではないけれど、もっと体をひきしめたいなっていうモチベーションにも繋がりますね。 スタンリーおじさんは、字幕では通常の男言葉だけれど、ちょっとオネェ入ってるイメージ。 「あんた、ダサい恰好してるとナメられちゃうわよ?ほら、この靴をあげるから履いてみなさいな!」 みたいな。 映画の内容というより、それこそVOGUE誌のページをめくるような、見ているだけでいいやぁ~っていう気分にさせてくれるオシャレな映画。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-09-27 18:27:23) |
17. プレステージ(2006)
《ネタバレ》 そっかぁ、SFかぁ。 考え見れば、ノーランって「インセプション」「インターステラー」「メメント」「バッドマン・リターンズ」そして「テネット」…って、基本的にSF要素がないと撮る気が乗らない監督なのかも。 でもそれより、え?そもそも、この二人の憎しみ合いの発端って、ボーデンがプロ意識強すぎて、カッターの反対を押し切って、助手でアンジャーのワイフの両手を二重結びにしたせいでしょ? 助手はマジシャンじゃない。 万が一のことだってあるのに、100%安全じゃない状態で助手の両手を二重結びしてる時点で、これって事故も承知の上での殺人ですよね。 悪いのはボーデンなのに、なんで最後の最後で勝つのはボーデンなの? 後味悪すぎ。 アンジャーは仕返しに、ボーデンの左手に銃を発砲したことと、アンジャーの瞬間移動をパクっただけ。 一方ボーデンは、アンジャーのワイフを死なせてそもそもの発端を作った張本人のくせに、さらにアンジャーの舞台で小鳥のマジックを失敗させて観客に返り血を浴びせるわ、瞬間移動のマジックを舞台上で邪魔して大恥かかせるわ、舞台下にあったクッションを隠して左足に大けがを負わせるわ…ほんと極悪非道なクズ男。 (小鳥マジックの妨害なんて、なんの関わりもない観客の女性を私情に巻き込んで洋服や顔を血だらけにさせてトラウマにさせたあたりが本当に本当に頭にきた。 舞台上で営業妨害っていうのだって、アンジャーは1回だけなのに、ボーデンは2回もやってる。なんで?悪いのはそもそもボーデンだったでしょ。 私でさえ、ボーデンに激しい殺意を覚えた。) アンジャーはワイフを殺された恨みを晴らそうとがんばったのに、結局相手に仇討できず、相手に殺されるって何この救いようのない物語。 ボーデンが、自己犠牲払ってでもマジックが大事とかいうきれいごと言ってましたが、いやいや、あんたひとりが偽の人生歩いてるならいいですけど、それなら結婚もしちゃだめだし、子供も作っちゃだめでしょ。 誰にも迷惑かけないように一生ひとりぼっちで生きるべき。 中途半端に人生を楽しんで、あげくに自分が原因でアンジャーのワイフを死なせてるくせいに逆恨みして最終的にアンジャーを銃殺ってどういうこと? それで気付いた。 これって、悪魔VSエクソシストの映画ですね。 悪魔がボーデン。アンジャーがエクソシスト。 悪魔のしでかしたことを、エクソシストが必死で悪魔を祓おう(滅亡させよう)とするが、悪魔のほうが強すぎて、エクソシストのほうが殺られる(あるいは負けて終わる)っていうバッドエンドは、悪魔映画の王道ですからね。 (スカヨハがどの場面でもどの角度から見てもお顔とオッパイが美しいところだけ悪魔映画ぽくなかった。) [インターネット(字幕)] 2点(2020-09-23 10:19:01) |
18. サロゲート
《ネタバレ》 設定が甘すぎる。 常識的に考えて、世界の中でサロゲートのようなハイテクを享受できるのは、一部の富裕層に限られるものだ。それが人口の98%が常用とか、ちょっとおかしい。 未来世界では貧富の格差は拡大しているのが常識で、ハイテクを享受できる一部の人間と、それ以外の大勢・・・という設定でないのは不自然きわまりない。 たとえば近未来SF映画の「タイム」にしても「エリジウム」にしても、何かすごく便利なアイテムを使える人たちは富裕層で、居住区は、富裕層と貧困層が住むエリアにきっちり分けられている。 「サロゲート」においては、”サロゲート使う人たち”と”人間として生きる人たち”で居住区が分かれているが、それはすなわち富裕層VS貧困層で分かれているのではないということに説得力がない。 (もし貧困でサロゲートが買えない人たちが住む居住区があるなら、それはサロゲートが買える富裕層の何十倍ものエリアと人口があってしかるべきだ。) また、SVI社のたった1社だけが98%ものサロゲートを供給してぼろもうけと言うのも、経済社会としてありえない。 携帯電話のように、大勢の人たちが利用するようになっていくにつれ、サロゲートを売る会社も、A社、B社、C社・・・と増えて、それこそセキュリティの強固さや値段などで競合していくのが普通だろう。 複数の会社がサロゲートを提供していれば、SVI社が襲撃されてすべてのサロゲートが一斉停止なんてこともなくなるわけで、常識的に考えれば、そういう仕組みを未来の人間が作っていないのがおかしい。 外に出なければ安心みたいに言うが、日光に当たらなければ体内時計がリセットされなくって不眠症になったり、交感神経と副交換神経のスイッチの切り替わりが鈍くなって鬱状態みたいになったり、ずっと引きこもってるから筋肉も退化して代謝が悪くなって太るし、メタボになればいろんな病気になったり、ひどければガンのリスクも高まるわけで、まったくもって、安心できる世界じゃない。 それにサロゲートだけで、恋愛、結婚、そして出産はできるのか? それを思えば、いずれは高齢化社会を向かえ、「子供の出生率0%!」なんて、今の日本どころじゃない大問題になるんじゃないのか? また、部屋で殺害されたらその殺害者がキーボードをちょいちょいっとたたくだけで「オペレーター変更」って、あっけなくオペレーターの立場をのっとられサロゲートを動かせるセキュリティの甘さとかどう。 ウィルスごときで、サロゲートが一瞬で停止してもう動かせませんっていうバックアップのなさとかどう。 博士が別のサロゲートを使っていることを知った女刑事が「重罪ですよ!」って言ったけど、そうやって犯罪の形として成立しているなら、複数アカウントもっていろいろなキャラになりすましてネット上に生きている人みたいに、複アカならぬ複サロを平然とやってる人もけっこういる世界ってことになる。 ということは、冒頭で、犯罪もなく平和な社会になりました、なんて前説はまったくのデタラメということになってしまう。 そして一番突っ込みたいのは、サロゲートをいくら若くしたところで、本人が年をとっていれば、そこまで、若いひとが楽しむものを楽しみたいと思うだろうか?ということだ。 なんだかんだいったって、年をとれば、年相当のものが好きになるはず。 10代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおばあちゃんなら、お笑いライブに行くならNON STYLEじゃなくて、きみまろ を選ぶだろう。 20代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおじいちゃんなら、クラブで踊るより、庭で盆栽してるほうが楽しいじゃろう。 ゆえに、博士のサロゲートがクラブに向かったり、ブルースの妻のサロゲートがミニスカはいて家で薬物パーティー、もとい、電気ショック・パーティーを開催しているところも「なんか違う」感がいなめない。 どのキャラも、サロゲートを先に見せておいて、あとでその本人(みんな、ふけていて、疲れた顔)を見せるという苦笑な演出と、終盤のサロゲートが一斉にバタバタっとなるシュールな景色くらいしか、面白みのない映画。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-09-07 14:35:01)(良:1票) |
19. ブレードランナー/ファイナル・カット
レプリだって恋をするんだ! レプリだって長生きしたいんだ! そんなレプリの悲哀感を、”夜”、”雨”、”ネオンの光”…の中でシンプルに描いた作品。 逆光を多用し、たばこや立ち込めるスモークや、水に濡れた床や地面に反射するネオンの光など、光を巧みに操り、ひたすら美しい場面作りに終始している。 一番気に入っているのはJFセバスチャンの怪し過ぎるお部屋。 不気味な人形、小人症の方の演じるナゾのロボット…どれもアートの香りがしてたまらない。 CG技術のない時代のSFの方が、昨今のCGばりばりのSF映画より面白いものが沢山ある。 「エイリアン」、「スターウォーズ・エピソード4」そして「ブレードランナー」等。 実に、レトロかっこいい。 あちこちに出てくる、へんちくりんな日本文化…つまり、外国映画でよくやらかされちまう”中国と日本の文化を一緒にすんな”的なものが随所に出てきて、それはそれで、混沌とした感じが面白いではないか。 強力わかもと!! [DVD(字幕)] 7点(2020-08-28 17:41:02) |
20. ハイ・クライムズ
《ネタバレ》 ラストのモーガンフリーマンとの未来をにおわせる終わり方はちょっと…どうなのか? あれだけ子供を欲しがってた彼女が、事故で流産して、あげくに夫の正体を知って、夫を失って…そして旧姓に戻って第二の人生を歩むにあたって、助けてくれた弁護士と共同で仕事をするっていうのは設定としてはいいと思う。 でもそれなら、彼女がその弁護士と将来的には仲良くなって子供も授かって、幸せをつかむかもっていうイメージのハッピーエンドのほうがいいのではないか。 そうしないと、あれだけ子供欲しがってたり、子供流産して嘆いてきた名演技が、意味がなくなる。 となると、弁護士役は、彼女に近い年齢でイケメンでなくてはならない。 じゃぁこの映画で、この弁護士役をモーガン以外にやらせてもこの映画はおもしろくなるか? といわれると、いや、それは無理でしょう。 そんなジレンマ映画。 [DVD(字幕)] 5点(2020-06-08 11:16:25) |