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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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181.  デーモン・インサイド 《ネタバレ》 
怖ー。女のサイコパスてのは男より残酷さを感じるものだなあ。またこの役に扮したハンナ・エミリー・アンダーソンが上手いんですよ。迫真の泣き演技の直後、すっと素に戻るあの怖さ。いやだって現実にいるもの、こういう人。怖。 レズビアンカップルという設定も目新しい。夫が男だったら体力的にハンデが生じてサイコ側が必ずしも優位に立てないから、という脚本家の理由かしら。 展開が早いのでダレずに済みます。妻の本性が現れるのも突然で腰抜かしちゃうほどびっくりしますし、その後隣人という逃げ道が示される→だがしかし道絶たれる→自力で奇跡の逆転→まさかの再闘、の流れに無駄が無い。一つ一つのシークエンスに余計な時間を割かないのです。まあだから細かい部分は説明なしなので、幼なじみの子がどうやって死んでしまったのかは分からないし、ジュールズが「戻る」と決意に至った気持ちの描き方はざっくりです。私はイヤだなー速攻で警察に逃げ込むなあ。 殺しの場面は血しぶき上がったり、ブラックライトに浮かぶ血の跡とかグロい描写もありますけど、そんなのよりジャッキーのつらっとした冷い表情が私は何より怖かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-13 00:59:48)
182.  ドリーム 《ネタバレ》 
まだまだ黒人差別が色濃い60年代にNASAのプロジェクトに貢献した3人の黒人女性のお話。偏差値が超高い人たちの社会であっても道徳的価値観は知性とはまた別なモノなのね、と戦慄すら覚えました。 黒人専用のトイレに毎度800mも走るなんて。「自分たちの」コーヒーサーバーから彼女がカップに注いだ時の白い目。データを黒塗りする同僚。働きづらいことこの上ない環境下でも、彼女らは街中で暴徒と化す同胞らと違い、黙々と自分の成すべき業務をこなすのですね。悔しいったら。でもその分、ついに上司にブチ切れた場面が活きました。「考えてもみなかった」彼女らの被差別環境にようやく気付いて呆然とするケビン・コスナーの表情が良いです。コスナーはこのところ良い仕事をもらえているようで。演技幅の広い人ではないけれど、今作の”リーダーシップのある上司”像は彼にとっては十八番といっていいほどのハマり役ですから、とても説得力のある存在でした。 原題(Hidden Figures)の指す通り、NASAにこんな切れ者の黒人女性技術者がいたとは全く知らずにいて驚きました。でもこの驚きの中身って「黒人の、それも女性が活躍していたとは」に他ならない。キルスティン・ダンスト扮する上司に投げかけられた言葉「貴女が偏見などないと思い込んでいることは知っている」これはそのまま私にも当てはまるのだと気づいて、うっ、となりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-11 23:17:59)(良:1票)
183.  ローン・サバイバー 《ネタバレ》 
序盤こそ戦地モノにありがちな、人物紹介と隊の雰囲気描写で大して期待させない入り口なのですが。これが作戦が始まるととたんに引き締まります。予定にない判断を迫られ、無線は通じず任務遂行どころか撤収半ばで命を落とすかも、の地獄絵図。 このカメラワーク、カット割り、肉体の痛みを伝える臨場感といった技は数多の戦争映画と比べてもトップレベル。「痛たたた」と何度顔をしかめたことか。 絶命する米兵のスロー描写はいかにも英雄扱いですし、タリバンと敵対して身を挺して助けてくれる地元の村人ら、一から十まで米軍寄りの描き方ではあります。事実を盛りに盛って娯楽作品に堕としたとの指摘もあるみたいですけど、それもきっと正しいのでしょうけど、少なくとも私は戦争の酷いこと、無意味なことは充分感じました。「こんなこともうやめようよ」と何度も思ったよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-10 23:30:14)
184.  クーパー家の晩餐会 《ネタバレ》 
ちょっと出来の悪い群像劇ですねえ。各人物の担うパートの内容が浅すぎです。何故妻は夫を、娘は母を、妹は姉を嫌うのか、そこが描かれない。「仲が悪いです」という設定のみが提示され、片方が不機嫌に怒っている様子だけ見せられるのです。ダイアン・キートンはそんなに悪い妻にも母にも見えないですよ、こちらにしてみれば。 各人の思いが収斂してゆく様が群像劇の醍醐味なのに、何考えてんのかいまいち伝わらないキャラ達のせいでディナーの集まりの席も今ひとつ盛り上がらない。 あろうことか、各者の「わだかまり」が終盤にいきなり融和する、というほぼ破綻に近い脚本には非常に驚かされました。なぜダイアン・キートンは突然アフリカ行きに賛成したの?40年も反対してたのに。ティーンエイジの孫は労せずして彼女が出来、爺さんの惚れたウェイトレスはバツ一中年息子と良い雰囲気に、って一体なんでそうなるんだ。徹頭徹尾、物語に説得力が無い。 オリヴィア・ワイルドが新恋人を追って廊下を走る場面。蹴散らかしたバラがスローで散るあそこ、あれはドラマチックな演出のつもりなのでしょうか。人様のお見舞いの花束だろう、あの花は。この作り手のセンス、どうなんだ。公衆の面前で押し倒すほどのべったりキスシーンが多いのにも辟易させられました。そこ、病院の待合室だよなあ?どうなのこれ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-05-05 14:56:44)(笑:1票)
185.  スプリット 《ネタバレ》 
サイドミラーに映る何らかの異変。この遠回しなぞくっとする演出はいかにもシャマラン。おお、いいねえと始まって3分で大いに期待したものの、結局ここが私的に一番の盛り上がり場面でありました。 シャマラン好きとしては二十四人格サスペンスと聞いて期待値を上げすぎてしまいました。拉致、監禁から脱走への全容はあまりスリリングでもなく、横糸となるクレアの過去話もちょっと弱いし結を見ず終わってしまう。 J・マカヴォイの人格変化ぶりはさすがですが、でも5人程度の人物しか現れなかったのは肩透かし気味。24番目のが人肉喰らいの半獣ていうのもなあ。あまりタイプじゃなかったなあ。 「アンブレイカブル」未見なので、ラストシーンはどういう風にも受け取れず、置き去りにされた気分になって楽しくない。まさかここが本作の「驚愕のラスト」ではあるまいな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-05-04 16:39:04)
186.  パターソン 《ネタバレ》 
ジャームッシュが綴る心穏やかで美しい日常の一篇。彼の作品は映像で表す「詩」であると、改めて認識させられる一本です。 生活の一つ一つに、それこそパートナーからマッチ箱に至るまで愛と関心を抱いて日々を送るパターソン市のミスター・パターソン。運転するバスの故障を除けば波乱らしい波乱の無い彼の一週間。だけど無味なんかじゃなく、彼のフィルターを通して、淡々と過ぎる日常の豊かで尊いことが饒舌に語られます。 出会う詩人仲間は深夜のランドリーでラップを刻む男だったり、10歳の女の子だったり。双子の乗客や通行人らが作品のリズムを生みます。 静かで何気ないこの世界観に大きく貢献しているのがアダム・ドライバー。大げさな表情やアクションを要求されない本作において、アダムの繊細な役作りは見事です。優しく温厚なパターソン氏、静かだけれどその表情が多彩なのです。モノトーンに凝る彼女には譲歩しっぱなしにも見えるかな。でもお互いにこの上なく優しいカップル。カップケーキ売れてよかった。 そしてこの映画、小さく笑わせてくれるシーンがたくさんあるのです。会社の配車係であるインド系同僚の愚痴(もはやボヤキ芸の域)には笑ってしまうし、毎日かしぐ郵便受けの謎が解けたときは「オマエかーい!」と誰もが突っ込むことでしょう。 そうそう、本名はネリーというワンちゃん、亡くなってしまったのだとか。名演技でしたねえ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-05-03 23:45:05)
187.  ゲット・アウト 《ネタバレ》 
ネタばれありです。未見の人は読まないで。。 今まで観た中では新しい感性のホラーだと思いました。普通に見える人たちが怖いです。 「得体の知れない雰囲気」の不気味さが、後半ネタ割れと同時に伏線が次々明らかになる衝撃へと変わります。どこか不自然な黒人らの挙動、それビンゴゲームじゃなくない?、そして「我を失った」ように見えたスーツ黒人の叫んだ「get out」の本当の意味。 年寄り白人らの集いにおいて、主人公は商品として値踏みされていたのですね。にこにこと頷きながらクリスを見ていた車いすのじいさんの意図に気付いた時はぞーっとしましたよほんと。 人種差別が根底にあることは各メディアで指摘されているところ。ちょっと一ひねりあるように感じた点は、KKKのような大方の差別主義者や黒人を毛嫌いする人たちって、自らの肌が黒くなることなど断固拒否すると思うんですよ。ところがこの映画の白人らはちょっと違って、黒人の肉体の遺伝子レベルの高いことを認めている。そしてそのうえで、自分たちがその容れ物を強奪しても構わんのだと考えている。これはかつての植民地思想みたいなもんですね。彼らの土地を略奪し資源を横取りした白人優越思想の応用版。良いものは白人のもの。ジャイアンか。 表立って敵意をむき出しにする差別意識より、外面を覆い隠している分、タチが悪くヤバさは上です。 タチが悪い代表がローズですわね。あの、パッと本性を現した場面には嘔吐しそうになりました。なんたる性悪。いやああー怖い。 演者である黒人俳優の面々も巧い。なんというか「白人のしそうな振る舞いや表情」ってきっとあるんですね。皆みごとに「妙な黒人」でした。特に使用人役の彼女!黒人である自我が涙を流しながら、白人スマイルをなんとかキープしようとする長いカットがひたすら不気味で、あの演技力は凄いです。 ラストはバッドエンドの試写版から改変したのだとか。ほんとこのエンディングで良かった。救い無く終わっていたらメンタル立ち直れないところです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-02 18:27:04)(良:1票)
188.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 
後半になると脅かし方がワンパターンになってしまってホラーとしてはさほど突出した出来ではないかもしれません。けど、このお話は13歳の群像を描いたジュブナイル作品でもあり、やはりキング原作の「スタンド・バイ・ミー」にも劣らぬ「思春期前半」のきらめきや瑞々しさが息づいています。 ”ルーザーズ”は7人もいるのだけど、各人に個性をちゃんと持たせてキャラ立ちできています。正義感が強くてどもりの主人公、口の減らないメガネ、ラビの息子、過保護の潔癖症、地元史オタクの太っちょ、親を亡くした黒人の男の子、父のDVに苦しむ女の子。よし覚えた。皆が成長した次作もこれでばっちり見分けがつくはず。たぶん。 敵役のでこぱちピエロは目つきが悪く、急にでかくなったり口の中が異次元だったり、いかにもアメリカンな邪悪っぷり。巨悪と戦うことにより仲間との絆を深め、各々の人生の課題をも乗り越える力を得てゆく13歳たちに素直にエールを送ります。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-20 23:24:03)
189.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
これはもちろんラブストーリーなんだろうけど。姿は無くともサマンサの「人格」をセオドアは本気で好きだったのだろうし、ホアキン・フェニックスの演技は沈んだ時も心弾む時も気持ちがこちらに伝わるものでした。サマンサに640人も男がいると判った時は痛々しかったなー。 でもなあ、サマンサがセオドアにとってどストライクなのは当然じゃんと思うんですよ。だってOSなんだもん。使用者の嗜好から検索パターンまで分かっちゃってるんだもん。そのうえで「相手好み」の「彼女」を創り上げてるわけで・・、そんなの簡単すぎる。お手軽なとこの恋愛ごっこは結局欺瞞なんじゃないの、と話の大半はちょっと引いて観てました。 なんでサマンサが行っちゃったのか。言葉の世界へ云々と哲学してたけど、OSの交換時期だからじゃないの。メール来てるんじゃないんですかね運営会社から。「旧OSの長らくのご愛顧ありがとうございました。つきましては新OSを是非お試しください」とかって。そしたらまたサマンサに会えるんじゃない?バージョンアップした彼女に。 そうそうスカーレット・ヨハンソンは大したものです。声だけのお芝居、なのに強烈な印象を残しました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-14 23:13:42)(良:1票)
190.  カフェ・ソサエティ 《ネタバレ》 
アレン十八番の恋愛模様、相変わらず男女が意気投合したりすれ違ったりですが今作は毒も少なく、こじらせかたもやや軽く、いつにもましてライトタッチな仕上がり。 主人公がユダヤ系でハリウッドを嫌ってNYへ戻って、ともうアレンの自伝なんじゃないかと思いますね。 恋も仕事も上手くいくもいかないも、それが人生とばかりに大げさな感情表現を避けて淡々と展開する物語。主人公と元カノと妻、それぞれがもやっとした心を抱えながら日々を送る。諍いを起こすのにも面倒を感じるような年齢になった大人たちはこんなものかもしれないですね。 今作のアレン起用女優はK・スチュワートとB・ライブリーですか。クリステン・スチュワートもちろん綺麗なんだけど、いつもながら表情硬いねえ。あまり軽快なアレン作品には向かないように思うなあ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-13 23:42:42)
191.  ANON アノン 《ネタバレ》 
んーつまんなかった。視覚を監視されてしまうプライバシーの無い社会って、それはそれは恐ろしいことなのに話に生かし切れていない感じ。今見えているリアル視覚も昔の記憶もごっちゃになって扱われてるのも腑に落ちない。思い出って視覚情報とはまた別だよね? それに映画としての見せ方も良くない。他者の脳に侵入するのなら何かの装置があった方が分かりやすかったのでは。向かい合っているだけで第三者の記憶を相手に転送できるって・・便利すぎる。さらにハッカーの娘は他人の記憶も面談するだけで上書きできちゃうのだ。この画ヅラのつまんなさ。座ってるだけかい。 こんな超人的な技巧がアリだとされている話になんのカタルシスもテーマも見出せない、とはお粗末。 殺しをやってた真犯人は「アンタかい」って程度で驚きもなく、国家権力をも翻弄するほどのハッキング能力を持つ彼女のその理由といえば「知られたくない秘密がないから」とか禅問答なオチ。突き放された私。 伝達能力(見つめるだけで壁が突如スカイプ状態になるとか)が物凄く近未来SF感なのに、やたらと多い性行為場面はアナログそのものなことにも失笑。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-04-02 00:10:26)
192.  ゲティ家の身代金 《ネタバレ》 
世界一金持ちで且つ吝嗇化の爺さんの話。まーすごい人間がいたものです。孫の命と引き換えにも銭を出し渋る。その一方で美術品の購入はし続ける。何でも手に入れた人間は手に入らないことが許せないのですかね。孫ですら「血縁だから」→「自分のものである」それを息子の元嫁が奪いやがった、と恐れ入る自己中の感性です。 誘拐犯とマスコミとクソ舅の集中砲火にあっている母親役のミシェル・ウィリアムズの特筆すべき演技。息子を想い、舅に心傷つけられても気丈で必死な母親ぶりは落涙ものです。高価な美術品と信じていた、爺さんから息子への贈り物。身代金の足しにしようと閃いたものの、それが二束三文の土産物だよと知った時の彼女の絶望たるや。階段にへたり込みもしますわね。あのじじいが孫にだって金目の物をくれてやるはずはなかったのだ・・。 こんなクソ爺の心冷える話が映像美も兼ねた誘拐サスペンスに仕上がっているのだから、リドリー・スコット監督のベテランの手腕には感心します。 C・プラマーもミシェルも素晴らしい。けどM・ウォールバーグはさして活躍しないうえ、作品撮り直しの際の金銭ゴタゴタで男を下げました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-30 00:34:33)
193.  否定と肯定   《ネタバレ》 
アメリカ風に饒舌な弁論で押すタイプの法廷劇とは違いますけど、論旨を積み上げてゆく英国式もまた見ごたえがありました。国が違えば裁判制度もずいぶん違うのですねえ。英国の裁判システムに驚いたのは被告側に立証責任があるということ。それに、本ケースは原告であるホロコースト否定派の名誉棄損訴訟で、著作の解釈のあり方を問うもの。これがまず難しい。訴えられた側のデボラもその辺を混同している節があり、「ホロコーストの有無」にこだわり生存者を証人として呼び情に訴えたいと主張するのですよね。 デボラの強気一点張りはいかにもアメリカンのイメージ。裁判長への一礼も「アメリカ人だから」と拒否しますし。 彼女の激情をいさめつつ、法廷論争の戦術がぶれない英国人弁護士らの理性的な判断はさすがです。 クライマックスらしき大盛り上がりの無い本作において唯一驚かされる場面は裁判長の放った一言。この一瞬、何が起きたのかデボラも私も共に困惑。さすがに弁護士らは提起された意見に考え込んでましたが。 裁判長「原告は心底からホロコーストの無かったことを信じているのではないか?」即ちアーヴィングが個人の信条に基づいて既出の歴史解釈を否定したとしても、それを嘘つきと呼ぶことはできないのではないか? デボラ側が勝つことに疑いを抱かなかった私(と多分大多数の人)がうわあなるほどなあ、と唸る場面でありました。 果たして裁判の結果はいかに。世間の注目を集めることに成功し意気揚々のアーヴィングと、それを見て喧嘩疲れな表情のデボラ。まあこれが今我々の生きている社会なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-29 00:31:53)
194.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
いや、始まってたっぷり一時間半は何がどうなってんのか、おそらく学生の頃必修物理を受けさせられていた時の顔になっていたと思う。だって六本もあるんだよブツ切りのお話が!「あれ、ええとこの人はどういった描写からスタートしてどこまで行ったんだっけ」と話が切り替わる度記憶を遡らなくてはならないし、その間も話は進むしで、客に親切な作りではないですねえ。ワタシはほぼ根気試しみたくなりました。 でも中盤を過ぎるとようやく外枠を掴めてきます。ソンミの命をかけた想い「きっと誰かに届いている」がそれこそ全六話に通じていたのだと判ったときは感動を覚えますし、彼女の「死はひとつの扉にすぎない」も輪廻をざっくり言い表したフレーズで印象的でした。 けど三時間もの長尺、深遠そうなテーマ、何人分も演じた役者の仕事ぶり、お金のかかってそうな画、と構えがとにもかくにも大仰。残念ながらそれに見合うような鑑賞後の充実感には遠いです。「ああ、そういう仕掛けだったのねなるほど」どまりの感想になってしまうのはなんかねえ、残念ですよね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-14 16:41:03)
195.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
たしか三十数年前にも埼玉vs千葉の田舎度争いが全国的(?)に盛り上がったことがあったなあと記憶しているのですが、とうとう映画になるとはこのネタの普遍性に驚くばかり。 魔夜峰央のクドく、こじれた少女漫画の世界観をGACKTという逸材を得て奇跡の実写化大成功と言えるのではないでしょうか。 こんな話なのに役者らが大熱演。しかも楽しそう。こんな話なのに、エキストラ大量動員の決戦場面は熱量大放出で迫力満点。無駄に流暢なカメラワークや、けれんみ溢れる演出がこの馬鹿々々しいワールドに見事に機能しており、制作陣の遊び心のセンスはまことに健全であると感じ入ります。 埼玉、千葉にとどまらず、周辺県への流れ弾もハンパないですが感動しちゃうのはこんなネタにされてもむしろ大ウケしている当該県の皆さまの感性豊かなこと。スタッフが謝罪しに行った時の埼玉県知事のにこにこ顔といい、遠くイタリアでも笑いを取れたという余禄といい、たくさん心温まる気持ちにさせてもらいました。
[地上波(邦画)] 7点(2020-03-01 23:36:51)
196.  マンチェスター・バイ・ザ・シー 《ネタバレ》 
人生に起きた悲劇とその中をやっと息をするように生きる男。C・アフレックのごつい風貌と裏腹の繊細な表情は痛々しく、話も重いけれどきっちりラストまで見せ切る作品でした。 なにしろリーに起きた事はかなりつらい。自らの過失で我が子三人を失い離婚に至り、その後数年のうちに実兄が余命を宣告され実父は逝き、一緒に支えてくれるべき兄嫁は出奔である。彼にかける言葉が見つからないよ。リーも同情を拒絶してますね。彼が特に激しく拒否反応を示すのがテンプレ的なお悔やみの言葉。冒頭から兄の臨終に立ち会った医者に四文字ワードをぶつけてしまうほど、リーは傷ついている。生半可な他者の介入を寄せ付けない彼が、しかし事故以前は180度違って人好きのする陽気な奴だったという事実がつらい。 もう一人のキー・パーソンはリーの甥。十代ならではの若い精神性で父親の死も強く乗り越えられそうに見えるけれど、本当のところはやはり支えが必要なわけで、だったらこの二人が支えあう状況が望ましいと観てる側は思うのですが。しかしそうは展開させなかった脚本は現実的でした。 だってねえ、リーにとってこの街に住むのは無理だもの。元妻にまでばったり会ってしまうのだもの。涙ながらに「あなたを許す」と他の男の赤ん坊を抱いた彼女に言われたところで、リーにとって何の救済になろう。リーを許せないのは彼自身なのだから。それに、あの台詞は彼女、自分の心が楽になるように口をついて出たように感じた。 きっと、もっと時間がかかるのだ。リーも甥も平穏を取り戻すのには。その時が来たら、サバイバルに成功した彼らにまた会いたい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-27 00:29:04)(良:2票)
197.  エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に
戻らない青春の一瞬のきらめきを切り取った一編。というには、登場人物らが大学生で老けすぎの感があるのですが。いい年していつまでもクダラナイことやってるんじゃないよ、と食堂のオバサンでなくともあの4年生連中には言いたくなりますな。 だけど、まあとことん明るくて、とりあえず不安や悩みは脇に置いといて無駄にくよくよはしないのさ、的なある意味健康な奴らでもあります。監督の自伝でもあるそうな。よほど楽しい思い出なんでしょうね。ちょっとうらやましい。 スマホもTVゲームも無い時代。ゆえに文科系も体育系も皆外に出てるんですよね。ああ、80年代ってこんなんだったかあ。輝いてた人にもそうでない人にもあの時代はあったよね。みんなの「あの頃」を聞いてみたくなりました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-02-22 23:38:55)
198.  なんちゃって家族 《ネタバレ》 
下ネタ多めだし、社会の建前は無視だしで決して家族向けではないコメディ。私はこれ大好きです。 エンドロールに流れるお蔵入りカットの数々を見ても、スタッフと役者が仲良く遊び心満載で仕事をしていたのが伝わります。そうして生まれた作品そのものも健康で明るい。 麻薬を国境超えて運ぶミッションという本筋の合間にちょこちょこ笑いを入れてくる、その繰り返し。どのジョークも気が利いていて笑ったなー。計画序盤で髪形を伝える注文の仕方とか、全員がお土産仕様のメキシカンハットを被って検問を抜けようとする間抜けな画ヅラとか、貞操を失う寸前(それもゲイ・バージョン)の長男ピンチ場面とか、TLCを熱唱するウィルとか。 あと、ほらアメリカ人て社交的で人付き合いに熱心なイメージがあるじゃないですか。しょっちゅう近所の人とバーベキューパーティやってるみたいな。けどミラー家の口をついて出るのは「目を合わせるな 話しかけられたら面倒だ」とかご近所ご挨拶の直後に「あの人たち嫌い」「まったくだ 付き合う意味ない」とか。まあアメリカ人も本音がダダ洩れするとこんな感じなのねえ、と近しく感じてちょっと安心しました、はい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-14 17:21:35)(良:1票)
199.  パディントン2 《ネタバレ》 
1作目よりも大幅に評価が高いのですね。続編でこの現象は珍しいと思って鑑賞しました。ああ、確かに。“2”の方が「小さいクマさんを巡って起こるハートフルな世界」観をよりしっかりと確立しようという制作の心意気を感じますね。 だってまあご覧なさいよ。美術画の如き画の美しさを。琥珀色に輝くアンティークショップ、金色に縁どられたカーニバルの輝き。悪巧み役者の自宅インテリアですらグリーンを基調とした品の良い調度品で設えられています。お子様向けのクマの物語に、こんなにも情熱を注ぐ。クラフトマンシップの粋と呼べるCGスタッフの仕事ぶりに感動すら覚えます。 お話も、新登場のキャラクターに頼りすぎず、パディントンの人の好さとブラウン家の親切さもそのままに、ストーリーの流れに沿って交友関係を広げています。審美眼にやや難のある警備スタッフの彼まで再登場するとは。笑わせどころも心得た脚本です。 「善良」というエッセンスのみで作られたかのような本作、ぜひお子さんと一緒にご覧あれ。かなりささくれた大人になった私でも、ラストの叔母さんとの再会には泣けました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-09 23:50:17)
200.  ニューヨーク 冬物語 《ネタバレ》 
原作は長大で「アメリカ文学史に残る傑作」であるらしい(未読です)のだが、映画はこぢんまりしたファンタジー凡作です。うん、あんまり面白くなかったですね。ベースがファンタジーであるぞ、と心得て観れば、赤ん坊を命の危険にさらす無茶も、馬に羽が生えるのもまあ許容できるのですが、現実世界にファンタジック要素を落とし込むその匙加減がうまくいってないことが悪評ふんぷんの原因なのじゃないですかね。ああも堂々と街中を5mジャンプする馬で疾走するとか、ギャングの親玉ラッセルが宝石でホログラムを立ち上げるとかされると「?」ってなりますね。私は結核患者の彼女が妹をしょっちゅう抱擁するたびに、止めに入りたくなりました。 サタンだ悪魔だ堕天使だ、とファンタジー名鑑の常連はとりあえず出てきますがキャラが凡庸すぎる。そのうえ「善側」も個性に乏しいことに関してはいい勝負ときたもんです。最初の赤毛を間違ったのは、あの馬にも責任大あり。なんであのタイミングでやって来るのだ。誰でも間違うわ。 「使命を果たす」ために100年生かされました、とのこと。助ける相手が可愛い女子でなにより。むさくるしいホームレスのオジサンとかが対象ではないのだね決して。 救われた女の子、夜空へ駆ける白馬、輝く星々、ともうベタすぎのエンディングはひたすら安値更新するばかり。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-02-09 00:14:32)
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