221. バトル・ロワイアル 特別編
題材からして社会の闇とか、仲の良いもの同士の疑心暗鬼による殺し合いとか、そういう人間のダークサイドに目を向けた問題作なのかと思いきや、見てみたらドンパチとC級メロドラマを(少々老けた)中学生にさせただけというなんともお粗末な内容でした(既に指摘している方もいますが、灯台のシーンだけは良かったです)。一般の中学生が殺人狂に変化するから怖いのに最初からサイコな人間を登場させるなど、素材はいいのに全く上手く調理できていません。(監督は『漂流教室』を読んだことは無いのか)。そもそも、中学生という身近な存在を扱いながら、死を安っぽく描きすぎている点でも長崎小6殺害事件で批判されてしょうがないと思いますが。役者でも柴崎コウと栗山千秋以外はみんなイマイチ。特に北野武はいつも通りの大根ぶりで雰囲気台無しでした。 [DVD(邦画)] 4点(2006-10-09 21:17:45) |
222. ダ・ヴィンチ・コード
全国のカトリック教会から猛抗議を受け、ソニー製品の不買運動まで起こさせたという話だが、実際に見てみれば抗議するほどのものではない出来だった。そもそも、原作も題材勝ちなだけでサスペンスとしては決して評価が高くなかったのだが、監督とキャストに惹かれて見てしまった。実際、俳優の演技は悪くない。トム・ハンクス、イアン・マッケランのオーラは毎度ながら流石だし、ポール・べタニーも圧倒的な存在感。しかし、ロン・ハワード監督としては失敗作だろう。キャラ描写が浅いとか、突っ込みどころ満載とか、オチがありきたりとか、そういうのは原作が原作だから仕方ないのだが・・・とにかく、全体的に駆け足的すぎるというのが素直な感想。与えられた膨大な情報を主人公たちが苦も無く解決する様子が映し出され、観客は考える暇も与えられないまま次の場面へ移ってしまう。ここに謎解きの爽快感が決定的に欠けているのだ。ラストの驚愕の事実も衝撃を衝撃として扱えていないのが勿体無い。さすがにこの映画に3時間以上はかけられなかったのはわかるが、そこを上手く削るのが脚本家と監督の仕事だろう。これは監督には向かない題材だったのだろうか。それとも、本作に対するカトリックのヒステリックな反応に笑いながら見るべき映画なのかもしれない。 [試写会(字幕)] 4点(2006-05-20 14:46:25) |
223. パーフェクト ストーム
嵐の海を舞台にした映画ってのは絵的につまらないなぁ。ずっと灰色の画面ばっかりなんだもの。おまけに実話を元にしてるっていうけど、後半は完全な脚色じゃん。脚色だとしても自業自得過ぎてどこを感動すればいいのやら。メアリー・E・マストラントニオもダイアン・レインにももうちょっと見せ場があってもよかったと思うんだが・・・つくづく、ペーターゼンの落ちぶれ振りを実感させる1作 [地上波(吹替)] 4点(2005-12-20 00:15:49) |
224. マーキュリー・ライジング
ずっと前に金曜ロードショーで見たのだが、吹き替え版だと障害者の演技はどれもマトモに評価できない。この映画でも「あなたは~しらないひと~」などとつぶやくマイコ・ヒューズの演技のよさがまるでわからなかった。おまけにブルース・ウィリスはまったくいつもと変わらない単調演技。吹き替えのべらんめえ口調も手伝って見ていてクドくなってくる。ストーリーの凡庸さに至ってはどうしようもない。そもそも、国家機密をクイズ雑誌に載せるという点から話がむちゃくちゃ。(仮に)マイコ・ヒューズの演技が天才的でもこうもストーリーがつまらなくては勿体無く感じられてしかたがない。結局のところ、このようにして多くの俳優が努力の甲斐なく、あっさりと忘れ去られていくのだろうか。 [地上波(吹替)] 4点(2005-11-07 17:25:28) |
225. バットマン・フォーエヴァー
それまでのダークなイメージを払拭し、ロビンを登場させることで映画自体は子供向けになってしまっている。これはアメコミ原作と言う点から考えても「退化」に他ならない。そもそも、ティム・バートン監督によるバットマンシリーズは「バットマン:ダークナイト・リターンズ」をモデルにしていたのに対し、本作以降のバットマンは50年代以前のノリに近くなってしまっており、ダーク・ヒーローとしての魅力はない。これではただのB級映画である。とは言っても、キャスティングには4作目ほど怒りを感じないのでおまけして4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-10-03 17:02:06) |
226. プラクティカル・マジック
見た理由ははりマンさんと同じです(笑)。彼女に限って言えば、今回はニコールとの2ショットも果たせてなかなか美味しい役どころだったと思います。しかし、作品の出来はと言うと豪華キャストを無駄遣いした出来損ないのデート映画、と言った感じでした。とにかく、後半のストーリーがメチャクチャ。エクソシスト、コメディ、サスペンス、家族愛、ハッピーエンド、全てをゴチャ混ぜにしたような感じで見ている側は全く共感する余地のないまま終わってしまいます。そもそも、魔女、というよりただのまじない一家だし・・・まぁ、サンドラ・ブロック、ダイアン・ウィーストははまり役でしたけど、ニコール・キッドマンはエクソシスト演技を含めて最後まで違和感が拭えなかった。キュートなウッドと役者陣にちょっとだけおまけして4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-09-30 17:53:26) |
227. ネバーエンディング・ストーリー第2章
少なくとも1作目よりはずっとマシ。たしかに原作者に敬意を払った脚色ではあるのでその点だけでも1作目より評価できる。本作では1作目で省略していた原作の後編を映画化しており、まがりなりにも夢を持つことの大切さ、虚無主義への警告を伝えてはいる(だが、原作ほどのブラックさはないな)。しかし、残念なことに特撮と子役のレベルは前作より凡庸になっている。最初見始めたときはアメリカンテイストと子役の下手さ加減に「ああ、やっぱりダメか」と思わされたが、後半で気にならなくなった、という感じ。それでもやっぱり言いたい、「こんなものを見るよりは原作を読め」。 [DVD(字幕)] 4点(2005-08-24 22:13:28) |
228. ロボコップ3
ガキの頃に見たときはなぜかまんざらでもなかったんだよなぁ。こんな風に1世代にだけ受ける映画って、ある意味すごいと思う。何がいけないかというと、中途半端に硬派に作っている割にはとにかくデザインがダサい。飛ぶロボコップしかり、オートモしかり、ただのモヒカン軍団のリハップ隊しかり。おまけに、今回はドラマの作りもいい加減。はっきり言って、本作は「ロボコップ」3ではないと言いたい。「シン・シティ」で本領発揮したとはいえ、この頃はまだ映画界で散々な扱いを受けていたんですなぁ。そんなF・ミラーが不憫なので1点おまけして4点。 [地上波(吹替)] 4点(2005-07-31 17:46:53) |
229. エネミー・ライン
派手なアクションを繰り返しながら結局やりたいのは空軍礼賛。おまけに単純なアクション映画として見てもご都合主義のオンパレードで面白みがない。ラストで主人公がカメラをとりに行くときにいかにもな音楽が流れ出したときは思わず吹き出してしまった。 [地上波(吹替)] 4点(2005-05-30 17:13:10) |
230. A.I.
個人的にはキューブリックには苦手意識があるので「キューブリックが撮っていたなら・・・」などということは考えなかった。むしろ、この映画の問題点は中盤から挿入されるロボット狩りとジゴロロボットの不要なエピソードにもあると思うのだが、それはスピルバーグがファミリー映画を作ろうとした過程でシニカルなキューブリックの爪痕が残ってしまった結果なのだと思う(「時計じかけのオレンジ」などからわかる)。細かな突っ込みどころを良しとすると、前者のエピソードとラストをカットするだけでもこの映画はもっといい作品になったはずだ。理想とする子どもを手に入れるために機械に感情を持たせてしまう身勝手な人間というテーマは手塚治虫の時代から用いられてきた。スピルバーグは因縁からか宇宙人に助けを求めてしまったようだが、そういった意味でラストはデイビッドが海底でひたすら祈るシーンで終わるバッドエンドにしておくべきだったと思う。 [ビデオ(吹替)] 4点(2005-04-04 00:56:01) |
231. ペイ・フォワード/可能の王国
ドラマとしては微妙な映画でした。もともと私は原作もあまり好きな方ではないのですが、この映画は「世界中に広める」という、重要な点が弱くなっているような気がします。レポーターが自分にされた行為の根源を探る、という展開が全てになった事によって世界中に広まった実感がかなり薄れた印象でした。ラストでやってくる車の数々も原作同様、メディアに先導された「いい子ぶってる」人たちにしか見えないし・・・。原作との相違点で一番まずいのは犯人を少年にしたことでしょう。犯罪の象徴として捉えるにはリアリティがなさ過ぎて。ラストまでやるせない気分で見てしまいました。 [ビデオ(吹替)] 4点(2004-11-21 09:47:51) |
232. 美女ありき
冒頭のいかにも人生の転落を歩んだ感じのスリから始まり、彼女がどのように絶頂期から落ちていったか、という展開になるのではなく、彼女のむなしく終わった不倫の恋が物語の全てでした。二人のラブシーンはたしかに洗練されていますが・・・、不倫の恋に自己嫌悪の気持ちを微塵も抱かず、むしろ堂々としているビビアン・リー特有の身勝手なキャラがどうしても気に入らず、前半部から早くも食傷気味でした(二人の美を理由に高評価をつける人も多いので私も主観的に評価をつけさせていただきます)。彼女のせいで夫に「愛のない」なんて突っぱねたところで逆に夫に同情してしまいます。「あなたのいるときはすばらしかった」なんてロマンチックなセリフもむしろうっとうしいわけで、やや控えめなオリビエのお影で何とか見ていられました(死の直前に有名な「私は使命を果たした」と名言を言うシーンも印象的です)。結局、ラストで彼女が没落して言ったのはネルソンを失ったから、と知ったときには冒頭での興味関心はすっかりなくなってしまっていました。もともと、世界史でネルソン将軍が死の直前まで気にしていたハミルトン婦人って一体どんな人だったのだろう、と思っていたのですが、そういった面でもとんでもない肩透かしを食らってしまった映画となりました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2004-11-13 22:13:51) |
233. エンド・オブ・デイズ
監督の演出が見事に空回りしているような印象を受けました。設定はなかなか良さそうなので、前半で期待はしたのですが、後半部で脚本の弱さが露呈してきて興ざめしました。サタンの存在が思ったほど恐怖の存在にならなかったのが最大の失敗でしょう。「オーメン」、「エクソシスト」に比べるとやはり設定を誤った感じがあります。ただ、P・ハイアムズの演出は独特の雰囲気を作り出す事に奮闘しているようでちょっと哀しいものがあります。監督も作品選びにもっとこだわるべきでした。G・バーンの起用も本当にもったいないです。 [地上波(吹替)] 4点(2004-11-07 19:01:42) |
234. シャイニング(1980)
後半部で完全に話が薄っぺらくなったような気がします。前半部ではどことなく不気味なホテルと怪現象の数々が恐怖を盛り上げていたのですが、ラストのジャック・ニコルソンの独壇場はちっとも恐くありませんでした。キューブリック監督の役者の演技を尊重するコンセプトが今回は裏目に出たのではないでしょうか。ニコルソンの怪演はすごかったけれど、やはり私にとってはただの父親の悪ふざけのようにも見えました。原作のダニーのエピソードをカットしたのも失敗だったと思います(キューブリック監督にはそんな感動的なドラマは撮ることができなかったのかも)。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2004-10-16 18:57:10) |
235. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 いまいち、この映画の言いたいことがわからなかったなぁ。いくら実話とはいえ、本当に映画化する必要があったのでしょうか。ピアノは主人公の急場をしのぐちょっとした伏線のようなものになったぐらいであまり主人公にとって重要ではなかったみたいだし、彼を助けた兵士の死には胸を打たれるものがありましたが。彼自身の無力ぶりを演じたブロディは好演でした。 しかし、全体的に観れば実話なりの話のテーマのあやふやさが目立っていました。ただ、兵士の銃が弾切れになったときに兵士は平然と弾を詰め込んだりと、細かいところは良くできていました。 [映画館(字幕)] 4点(2004-09-27 17:12:39) |
236. 現金に体を張れ
《ネタバレ》 この手の時間軸交錯物は好きなのですが、これは正直つまらなかったです。もちろん映画の古さもあるし、この映画がそういった手法を生み出した功績はわかるのですが、時間交錯物に見られる伏線がこの映画ではほとんど見られなかったので、伏線目当てで見る私としては面白みを感じられませんでした。ラストシーンも完璧な計画がもろく崩れ去る皮肉が込められてはいるのですが、呆気なさばかりが目だってしょうがありませんでした。もうちょっと絵的に作れていれば評価できたのですが。「レザボア・ドッグス」の方が面白かったな・・・ [地上波(字幕)] 4点(2004-09-03 19:04:52) |
237. 遊星からの物体X
好評だったので雰囲気をだそうと暗くて静かな部屋で見たのですが、期待以下でした、全然怖くなかったです。クリーチャーの登場シーンが長くて騒々しすぎるので全く恐怖を感じなくなるし、疑心暗鬼になるのをメインにしているはずなのに、物体Xの言動が後で考えると他の人と何も変わらない事に違和感を覚えます。これで犯人探し、って言っても不可能に近いでしょう。登場人物のキャラの書き分けも過半数はおろそかだし、ラストも盛り上がりに欠け、いまいちでした(ベニングスは物体Xではありませんよ)。結局、この映画は恐怖と緊迫感の境界が不明瞭すぎるんです。まあ音楽は良かったけど、やっぱり「エイリアン」にはかなわないでしょう。 [ビデオ(字幕)] 4点(2004-05-01 21:32:33) |
238. YAMAKASI ヤマカシ
ベッソン監督は一体何を考えてるんだろうか。「TAXI2」でお世話になったYAMAKASIを犯罪者集団に貶めただけじゃないか。恩知らずも甚だしい。おまけにいいかげんな社会制度批判マガイまでやりやがって。強盗と恐喝犯を勝手にヒーローに祭り上げるな! [地上波(吹替)] 3点(2006-04-26 17:29:19) |
239. フライトプラン
期待しないで見に行ったのがせめてもの救いだけど、本当につまんかった。もし、席移動しなかったらどうなったの、とか突っ込みどころ満載だし、覗きの人たちなどの残された謎が多すぎるし、犯人はバカだし・・・これがデビュー作らしいけど、監督の演出もかなりテンポが悪い。さすがに前半であれだけタメを張っておいてあんなにラストがあっけないんじゃねぇ。ほとんど壊れないで済むところを見てもどう考えても航空機の宣伝映画でしかありませんね。ジョディ・フォスターも気合入り過ぎ。オスカー2度取ってるし、もう作品選びに拘りがなくなったとしか思えないな。 [映画館(字幕)] 3点(2006-02-02 16:57:04) |
240. JM
「スピード」、「マトリックス」に出てるかと思えば、これと「チェーン・リアクション」、「ザ・ウォッチャー」にも出てたりする。やっぱりキアヌは相当作品選びの下手な奴なんだなぁ。見飽きたデザインの未来世界にキレの無いストーリー展開、北野武の最悪な演技。ドルフ・ラングレンも今回は全然パッとしない。典型的なC級映画ですな。 [地上波(吹替)] 3点(2005-12-20 14:20:36) |