221. ミザリー
面白い。最後は肉弾戦というリアルさ。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-24 23:34:18) |
222. コクリコ坂から
肩の力を抜き、心地よく観られた。いつもより音楽が雄弁で、説明は寡黙だった。そういう意味でこの映画は子供向きでは決して無いし、全てに納得のいく説明を求める人向きでもない。カルチェラタンといいメルといい、フランス語の影響が垣間見えるが、これは何故か少しだけ気になる。カルチェラタンのわくわく度といったら最高で、ジブリおなじみのモチーフである掃除も単に古いものを残す懐古趣味ではなく、きちんとした検討や改良を施すことを前提にした懐古趣味であることを示唆しているようで興味深いし、何より楽しい。この映画はラブストーリーであるところが良い。お互いが惹かれあう過程などあの程度で十分だ。人を好きになる理由をくどくどと説明するのは野暮であるし、そもそもあの恋は海原や父親たち、そして何よりメルが毎朝上げる旗が引き寄せた運命なのである。これを解さずして説明不足との批判は妥当しまい。何より説明せずして説明する手腕、説明しないことをしすぎないそのバランス感覚は非常に良かったと思うし、メルの人柄がよく伝わってきて心地よい良作であった。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-20 01:28:56)(良:1票) |
223. ツリー・オブ・ライフ
《ネタバレ》 あまりのつまらなさに驚愕した。元々テレンスマリックは説教くさい映画ばかり撮っていて評論家ウケはするけど自分とは相性が悪いとは認識していたが、ここまで好き勝手にやるとは思わなかった。これは単なるキリスト教のプロパガンダ映画。スピリチュアルな方向は全て神に向かい、自らの内面や人間関係の実相は結局何かよくわからない光の中に集約されてしまう。それなら何を描いても同じではないか。一体何を描きたかったのか、何をあの家族から引き出そうとしたのか。私はそれが「生きること」とか「生命の枝葉としての方向性」なんて漠然としたものでは納得できない。最初の30分は何だったのか。宇宙の誕生、地球の形成、生命の誕生。その悠久のときを幻想的に描くという意図であるなら(自分はそう解釈したが)あれだけの時間をかけてそれだけしか表現できないのは無能であるとしか言いようが無い。高評価には正直驚くが、無内容であるからこそ高く評価できる余地も生まれるのだと思う。勿論この無内容は比喩的な意味で、テレンスマリックのキリスト教的祈り、思想の吐露であるに過ぎないという意味である。観る側に自由を与える、とか解釈の余地を与える、とよく言われるが、これは自由に解釈させているわけではなく、無内容なだけである。これを観てどうしろというのか。極度に宗教的な世界観、歴史観を延々と見せ付けられるのは苦痛でしかない。やはりテレンスマリックの自己満足的な思想表明に共感できるかどうか、受け入れるかどうかがこの映画の評価の分かれ目になると思う。それにしてもタイトルのわりに「水」のモチーフが圧倒的に多いこととか、予告編はもう詐欺のレベルであることとか、いろいろ不満はあるけれど、きつかった。 [映画館(字幕)] 1点(2011-08-18 01:51:31)(良:1票) |
224. 下妻物語
テンポの良さ、独創性、キャスティング、音楽、どれをとっても相当の完成度。「テレビドラマのような安っぽさ」のようなレビューを時折見かけるが、この映画のようなテレビドラマが過去ひとつでもあるのなら教えて頂きたいし、アニメーションやCGを使うことは安っぽさと同義ではない。後半の深田恭子の演技はすこし辛いものがあるが、それを補って余りあるロリータファッションのハマり具合。脚本のシンプルさはむしろ友情という純情の裏返しであろう。 [DVD(邦画)] 7点(2011-08-10 23:17:27)(良:1票) |
225. リバティーン
このカメラワークと構図はかなり含蓄があって好き。デパルマみたいなショットもあったけれど、確実にカメラは何かの体現であるだろう。そして常に現れるぬかるみ。非常に暗示的。なんだかんだ彼は愛されていたではないか。妻からも、愛人からも。そして彼は愛されたかっただけなのだろう。 [DVD(字幕)] 6点(2011-08-10 21:28:13) |
226. ワイルド・パーティー(1970)
ものすごい映画だった。意外なほど巧みな構成と意外なほどしょうもない最後のまとめは何なのだろう。ヒッピー全盛の時代とドラッグ、セックスといったロックンロールの栄光を背景にした映画は計り知れないエネルギーを持っている。個人的にこの時代が大好きなので、9点献上だが、人には決して勧めない。 昨日を過去だと思わなかったため、明日のことが見えなかった。とは何と素晴らしい箴言だろう。 [DVD(字幕)] 9点(2011-07-31 17:25:11) |
227. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生
ダイナミックな、悪くいうと雑なカメラワークはなんだかざらざらした粗い砂が口に混じるような居心地の悪さと野性味を感じさせる。サヴィニーのリメイクはあれはあれで素晴らしい出来であったが、本家はモノクロというところが逆に迫力を増す。あれほど爽やかなバッドエンドはあるだろうか。あっさりと悲劇を見せつけ、静止画でのエンディング。素晴らしすぎる。これほど緩急のついたクールなエンディングは無い。それを思うと、オープニングもまた素晴らしいとしかいいようがないことを思い出す。ふらふら歩いてきたおっさんにいきなり襲われるという恐怖は新鮮だったのだろう。ゾンビという素材を初めて扱いながらも、ゾンビ自体の露出には謙抑である。要はゾンビは「見せない」恐怖が肝なのである。ゾンビそのものよりも、それがだんだん迫ってくる雰囲気や、その数、なんか食ってる様子、ドンドン扉がたたかれている様子、窓の合間からちらりと見える様子、それらが恐怖を煽ることになる。そして人間の本質を炙り出すことになる。傑作。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-30 23:35:36) |
228. 荒野のストレンジャー
イーストウッドの映画を語る上で、恐ろしいほどの射程を秘めている映画だと思う。ペイルライダー、アウトローの原型が見える上に、彼独特のシニカルさというか冷徹な視点が見える。強すぎる主人公は、生身の人間ではない証左である。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-24 19:33:43) |
229. シェーン
撃ちあいよりも殴り合いのほうが多い。しかし過剰でない銃撃戦のなんとスタイリッシュなことか。あの一瞬を観るために何度と無く劇場に足を運んだ人も多かったに違いないと思わせる素晴らしさ。ペイルライダーの原型を知れて満足。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-23 23:38:45) |
230. 死霊の盆踊り
笑えるレビューをこれだけ書かせる映画は他にはない。この映画はこれ本体ではなく、これを観た人同士の交流をより深めるコミュニケーションツールとして理解されるべきだ。このつまらないものを観たおかげでコメントがさらに笑えるものになるという不思議。何がつまらないかを知ることこそ、何が面白いかを知ることになるという逆説。素晴らしい哲学的映画でした。0点だけど。 [DVD(字幕)] 0点(2011-07-17 17:32:37) |
231. キル・ビル Vol.1(日本版)
日本語は笑っていいのかいけないのか迷うところだが、素直に笑っておくのがいいかもしれない。個人的にあまり好みではない。やはりバランスが大事だろう。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-17 17:25:23) |
232. エクソシスト
実はかなり格式の高い映画で、相当の集中した鑑賞を要求するようなものだが、いかんせんきつい。二回見るのも面倒だし、なんとか一回でそのよさをわかろうとしたほうが無難でしょう。ホラーとして観ないほうが良いと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-17 17:22:42)(良:1票) |
233. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
キャラクターの造型、そして何よりも音楽。素晴らしい。バルボッサもかっこいいですね。1だけで観れば一級のエンターテイメント。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-17 17:20:17) |
234. ミスティック・リバー
傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2011-07-17 17:18:12) |
235. ゴジラ(1984)
総理大臣に3点。 [DVD(字幕)] 3点(2011-07-17 17:16:19)(良:1票) |
236. 音のない世界で
この映画は、聾唖者を扱っているにも関わらず、彼らを「聴く」点に本質がある。大きな動きを伴うことなく、じっと彼らに寄り添うことで、聴く。もちろん声はほとんどないし、手話が主であるが、確かに彼らの表情や手話を「聴く」ことができるような気がしてくる。それは手話だけがあって、字幕がないときも同様だ。冒頭の合唱などはその最たる例で、彼らは彼らの声を聴かせているわけだ。最終的にはホームビデオに近い様相を呈するが、それも計算通りというところだろう。声が聞こえないという点以外は。しかし耳をすませばその声を聴くことができるという点で、ホームビデオと同じなのである。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-17 03:45:03) |
237. トゥルー・クライム(1999)
この映画ほど会話の妙を楽しめるのはなかなかない。ユーモアの効いた(少々効き過ぎのものも多いが)会話はそれだけで観るのが楽しくなる。家族としての幸せ、というのが隠れテーマなのかな。イーストウッドは一人。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-13 01:15:35) |
238. アウトロー(1976)
冒頭の機関銃は「ワイルドバンチ」、へんてこな仲間を増やして歌を歌うのはハワードホークス、と西部劇の伝統をしっかりと踏まえている。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-11 10:40:38) |
239. 恐怖のメロディ
オープニングの大俯瞰はこれからのイーストウッドを形作る重要な要素となるが、前半の非常に丁寧な作りこみは良かった。後半は劣化版ヒッチコックのようになってしまい、いまひとつ。この落差はいったいなんだろう。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-09 01:03:37) |
240. ビューティフル・マインド
要はラストのナッシュのスピーチをどれだけ感動的にさせるか、という点にかかってくる映画。高慢で数学を信奉していた彼が、最後に人生で最も重要なものは謎に満ちた愛の方程式だ、と述べることの意味。病気といい、愛といい、結局彼は解きえないものに取り付かれた人生を送ったのだ。病気、それも考える頭が病むという原理的に解きえない問題を抱えることによって、愛という解きえないからこそ必要なものに気付くという、二項定理の展開。そして最終的に築かれたパスカルの三角形は美しいものであった。このバランス感覚と、一見堅実なようでありながらデパルマを思わせるような回転など、縦横無尽のカメラワーク、演出をみせたロン・ハワードは非凡である。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-03 12:52:07) |