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まぶぜたろうさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 178
性別 男性
ホームページ http://ameblo.jp/mabuse-tarou/
自己紹介 人にはそれぞれ言い分があるのです 。

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21.  ウォッチメン
ヒーローたちがぐだぐだぐだぐだぐだぐだ悩む。それを金のかかったワイドショーの再現ドラマのような、わかりやすいナレーションと会話とこの手の映画にありがちな映像で、つまりサルでもわかるように描いていく。途方もなく退屈。映画はヒーローの相談コーナーではない。将来、カルトな怪作になるかもしれないが。
[映画館(字幕)] 0点(2009-03-30 02:17:35)(良:1票)
22.  ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
あまりにも退屈で退屈で退屈で。勝手にやっててください。
[映画館(字幕)] 0点(2007-12-26 23:55:26)
23.  トランスフォーマー
糞映画。アクションシーンには何のアイデアもなく、ただ迫力のありそうな絵が何が起こっているのかわからないくらいの早さでつながれているだけ。紋切り型の人々がいっぱいでてきて、面白くもないギャグをえんえんえんえん展開し、見通すには相当な覚悟と暇がいる。ようするにただの子供向きの映画なのだが、子供向きだから悪いわけではない。子供向きなんだし、てきとーにロボット動かしてがちゃがちゃやってりゃいーんじゃんという舐めた態度が許せないのだ。マイケル・ベイ、どの映画でもそうか。
[映画館(字幕)] 0点(2007-08-06 22:36:50)
24.  ハッピー フィート 《ネタバレ》 
まずミュージカルシーンが素晴らしい。歌い出す瞬間の高揚感にあふれているし、見事なタップを1カット切れ目なくみせてくれる堂々。ここ数年で観たミュージカルみたいなもの(むーらんなんとかとかおぺらざのなんとかとかどりーむなんとかとかしかごなんとかとか)の5000倍優れている。 ■そして素晴らしいのは動物に知性があるというアニメーションのお約束事をリアルとして描いていること。それは「ベイブ」以来のネタではあるが、「ベイブ」にみられた被支配者としての屈折を昇華させていること。 ■さらに凄いのは、それがペンギンの歴史、人類の歴史まで変容させる自体にまで発展することで、つまり観客は「神話」が生まれる場に立ち会っているのだ。「食物連鎖が崩れた」という台詞には感動した。エコロジーといった社会ネタを動物の擬人化によって描いているから感動的(あるいは鼻白む?)なのではなく、そのような視点そのものの歴史性が感動的なのだ。
[DVD(字幕)] 10点(2007-08-06 22:28:18)
25.  雁の寺
川島雄三の映画は巨大すぎて、時に、わけがわからぬ。「2001年」だの「マルホランドドライブ」だのなら、ま、どうでもいい格下でしかないのだが、もちろん川島の映画はどうでもいいではすまされない。この映画も何度見てもわけがわらない。 ■物語は破綻している。慈念は何を考えているのかまるでわからない。「どこに行けばいいのかわからない」若尾文子の悲しみは、決して誰とも結びついていかず、彼女がすがるはずの慈念は唐突に旅支度をはじめてしまう。 ■川島雄三としては初めての大映京都、大映京都の錚々たるスタッフにびびりながら、威圧しながら、文芸映画の巨匠としての職人的手捌きを存分に見せつけていったのだろう。そこに入り交じる映画を壊すかのような作家性。それが拮抗し、破綻し、このようなわけのわからぬ、迷宮のような映画を造り上げたのか。 ■但し、例えば山茶花究や小沢昭一登場シーンにみられる喜劇性を殊更にとりあげ、川島という映画作家の刻印を見いだそうとするのは止めた方がいいと思う。多分、川島雄三はそんな言説以上に巨大な作家なのだ。
[DVD(邦画)] 10点(2007-06-03 23:52:38)(良:4票)
26.  バベル
私が観たいのは、現実では起こりそうにない不幸であって、現実に起こりうる不幸を現実そのままに描いたものではない。現実の不幸をそのままに描くことの困難と安易を、この監督ははき違え、それで良しとするのみならず、悦に浸る監督のにやにや笑いに反吐が出る。ニュース番組で事足りる何かを映画館で観させられる観客こそ不幸である。
[映画館(字幕)] 0点(2007-05-04 23:59:46)(良:2票)
27.  ブラックブック
映画の王道。これぞ映画。
[映画館(字幕)] 10点(2007-05-04 23:36:23)
28.  父親たちの星条旗
時間軸をバラバラにし、「プライベートライアン」の焼き直しを撮り、誰が誰なのかわからない物語を綴り、嘘みたいな生首が転がり、ジョン・フォードのようなラストシーンを設ける。■そのような形容詞はもう、どうでもいい。■わからない物語はわからない自分が悪いのかもしれない。あるいは、物語のすべてを分かる必要はないのかもしれない。■また、生首や生手首を私は見たことがないので、それがリアルなのか、嘘っぽいのか判断がつきかねるし、本当の戦争を描けば「焼き直し」みたいになってしまうのかもしれない、それはわからない。■ジョン・フォード?多分、脚本家たちは、この物語の収めどころを、ある種のハリウッドの文脈に求めたのだ、と思う。イーストウッドにもそのフシはある。だからと言って、ああアメリカ映画っす、と泣けるのは80年代までだ。21世紀に生きるナウな私に、そんなことは関係ない。■だいいち、死んだ人間、生き残った人間、全員勢揃いの水泳シーンに漲る、感動とか「泣ける」とか、伏線とか回想とか、「長い灰色の線」じゃんとか、そういう文脈を超えた崇高さや歪さ、イーストウッドでさえ信じていないであろう感情を、どう説明すればいいのか。それがわからないから、途方もなく溢れ出る涙の理由を考えて、このような駄文を書き連ねているんじゃん。
[映画館(字幕)] 10点(2006-11-02 00:23:47)
29.  サイコ・ビーチ・パーティー
60年代AIPのビーチものをミステリー仕立てにしたパロディ映画。■物語はどうでもいいんだけど、原色なまなまなカメラと、上手いのか下手なのかわからないが、何とも古典的なカッティングが、妙な郷愁を醸し出し、なかなか楽しめました。それ以上のことをスタッフの誰も望んでいないという志の低さがこれまた軽く、夏にお手軽に観るには格好の一編です。いやほんとに。
[映画館(字幕)] 5点(2006-08-10 00:02:12)
30.  日本沈没(2006)
「途方もなく酷い映画だった」と家族、親戚、友人、上司、部下に触れ回ってほしい。■そしてこの映画を大コケさせてほしい。■その上で「製作委員会」に名を連ね、多数決で映画を作ろうとした人々の左遷、降格、減給を望んでほしい。■次に、監督として、脚本家として才能や力がないばかりか、「製作委員会」の決定に唯々諾々と従い、作品よりも自己保身、売名に汲々とする樋口真嗣、加藤正人、尾上克郎には仕事を今後与えないという、業界内の暗黙の了解をとりつけさせてほしい。■こんな映画つくってちゃ、ほんとーに駄目になるよ。■さらにもう一つ問題なのは、この映画の酷さ、「デビルマン」クラスの酷さが、大マスコミからはまるで漏れ聞こえてこないこと。
[映画館(字幕)] 0点(2006-07-23 19:12:57)(良:4票)
31.  ALWAYS 三丁目の夕日
DVDで観ただけで悪口を書くのはあれなんで、ま、無視してもらってもいいんだが、あまりの酷さにびっくりした。■コントみたいな演技(とりわけ吉岡君には参った)とコントみたいなセット、凡庸で官僚的な演出、「こーゆーことあったあった」ネタ(知らないが)のオンパレード、うるさい音楽。何より許しがたいのは、30年代初頭の人々がすべて力道山に盛り上がったかのような、表面的な人間観、世界観。■天の邪鬼で言っているのではなく。いや、ほんとに、単純に、酷い映画だと思う。
[DVD(字幕)] 0点(2006-06-13 23:02:25)(良:4票)
32.  ポセイドン(2006)
「船はひっくり返ると沈没する」その一言で人々が行動する。ジョシュ・ルーカスの人となりを殆ど説明しない。パーティー会場に残った人々の死を、黒人船長と女性シンガーの抱擁いっぱつでさくっと見せる。リチャード・ドレイファスの自責の念をジョシュ・ルーカスが彼の肩に手をおく、その1カットで表現する。■下手をうてば、なんじゃこりゃの世界なのだが、ペーターゼンは簡潔に、しかし的確に人々の感情やらなんやらを捉える。「人間ドラマが希薄」のように見えるが、この物語を説得力を持って観せ続ける上で必要最低限の「人間ドラマ」で勝負し、それに成功したと思うのだがどうか。いらんツボは押さえん、利くツボだけを押すのだ、と。■そして「水」のもつ閉塞感がいい。ひっくり返るまでのゴージャス感がいい。船内のぐちゃぐちゃな美術はさすがハリウッドの底力、いい仕事してる。妙に70年代っぽい匂いのする撮影もいい。前作の持っている重みや映画としての格上感はさすがに全然ないのだが、実に面白いウエルメイドな一作でした。正直、監督の腕前だけでいうならロナルド・ニームよりペーターゼンの方が全然いいんじゃないの?
[映画館(字幕)] 10点(2006-06-06 19:27:10)(良:2票)
33.  花よりもなほ 《ネタバレ》 
貞淑で上品であるはずの未亡人が、事の成り行きに興奮し、ついもらしてしまった「糞から餅をつくったのよ」の一言に、観客は笑い、痛快になり、わくわくし、感動する、はずであったと思う。ところが不思議なことに、お話の意図はつかめても、決して痛快でも、おかしくも、わくわくも、感動もしないのだ。それはすべてのエピソードにわたる。頭ではわかるが、面白くない。物語がうねらない、盛り上がらない。何故なのだろう。■例えば、カット尻が短く余韻が無いからかもしれない。エピソードが詰め込み過ぎなのかもしれない。台詞の間が性急に過ぎるから、ロングショットが少ないから、役者たちがテレビサイズだから、かもしれない。■あるいは例えば、「仇討ち」をなぜ岡田君はあきらめたのかということ。作者は子供同士の喧嘩から忠臣蔵まで持ち出して、あくまでも「お話」の中でそれを納得させようとする。しかし「映画」には、一瞬で、1カットで物語のあれこれを説得しうる「力」がある。そして私はその「力」をこそ観たいと思う。作者は、出来のいいエピソードを程よく配置し、うまく映像化することに汲々とし、そのような「力」を呼び込む余地を映画に与えていない。あるいは、様々なエピソードは良質であるが故に、イメージの膨らみに欠け、この「力」が生み出される契機になっていない。■程よく収まりのいい、しかし決して面白くも痛快でもないこの映画で、唯一、岡田君が素晴らしい。ラストの笑顔は感動的であった。この笑顔が感動的なのは、物語の落ちであるから、登場人物のハッピーな未来を予感させるから感動的なのではない。「お話」を超えるこんな一瞬を、このような表情をこそ観たかったと思う。
[映画館(字幕)] 0点(2006-06-04 22:20:24)(良:1票)
34.  デイジー
陳腐で凡庸、冗談みたいな恥ずかしい絵作りの中で、美男美女はあくまでもグラビア的に美男美女なままで、決して映画の中で輝くことは無く、穴だらけの甘い甘い物語に説得力を与える訳でもない。これは「見る」映画なのだから、三人の視線の交錯をもっとちゃんと演出してほしいなどといったレベルではないのは言うまでもない。■しかし、何だこれ?と思いつつ妙に心引かれるのは、あまりの通俗を作者たちが信じきっているからなのかもしれない。あるいは水戸黄門をのんびりと楽しむかのような、通俗に浸ることの怠惰な喜び。いーんじゃないでしょうか。楽しめました。
[映画館(字幕)] 5点(2006-05-29 00:21:43)
35.  ラストデイズ(2005)
リビングの中央にテレビモニターがおかれ、PVが流れている。私たちはそのPVを凝視することになる。とりあえず動いているものはモニター中の映像だけなのだし、何か隠されたメッセージやテーマがあるようにも思えるからだ。しかしどうして、テレビが置かれている家具の佇まいや背後の壁に注がれている光を見ないのだろう。■事物の有り様を、あらかじめ定められたように、定められたまま見てしまうこと。そこから解放される契機をこの映画は様々に用意する。もちろん私たちが主役の姿を追い続けることはいたしかたないことだ。しかし、例えば森を彷徨う男を覆い隠すように現れる木の幹。川に続く斜面の素晴らしさ、滝の音。時間と空間の交錯。■画面を中心化する制度的思考から解き放たれ、私たちの見たことのない何かがそこに立ち上ってくる。その圧倒的な何かの中に、誰ともコミュニケーションのとれない孤独な一人の男がいる。電話帳に彼のアドレスはなく、やがて暗闇が彼の姿を隠していく。■探す男たちの声をあとにして、彼は家を出、湖畔に向かう。二度繰り返されるそのショットで、カメラは同じように彼の姿をフォローする。彼がフレームアウトすると、スクリーンには何の変哲もない雑草だけがある。風がふく、草花が揺れ、やがて夜になろうとする光がざわめく、その音が心地よく響く。未知の風景が現出する、これは素晴らしい。
[映画館(字幕)] 10点(2006-05-29 00:03:13)
36.  蝋人形の館 《ネタバレ》 
これまでのところダーク・キャッスル作品唯一の傑作。以下、良かったとこを列挙。■アキレス腱切り、足裏ナイフ狙い、指先ペンチ切りなどの細かなアイデアが散りばめられているのがまず素晴らしい。■つまらなくなりそうなシーンを俯瞰の1ショットで簡潔に流す、殺人シーンの省略などのリズムの良さ。■最初の殺人まで50分もかかる、という反ハリウッド的頑張り。成功してるかどうかはともかく、それは「頑張り」とか「志」とかいう言葉で賞賛してもいいかなと。■日没少し前から完全に夜となるまでを、丹念なカットの積み重ねによる1シーンで描くなどの光に対する戦略。■犯人(?)たちの過去をさりげなく小出しにしていく手際の良さ。■そして何より、クライマックスのスペクタクルが単に派手なハリウッド流ではなく、しっかりと物語の中に生きていること。■というわけで、ああ、ホラーを見るというのは「怖い」のではなく「楽しい」体験なのだ、心の底から怖かった数少ない傑作たちの陰にあって、幾分身を潜めていたかのような「楽しい」ホラーたちもまた「傑作」なのだと、改めて光を当ててしかるべきではないかと。■この「楽しさ」を存分に味合わせてくれるウエルメイドな一作。映画館で観なかったことを心底後悔した。
[DVD(字幕)] 10点(2006-05-15 21:27:57)(良:2票)
37.  ギャザリング
元ネタは「グランド・ツアー」。このネタ一発から全編を構成したのが、よ~くわかるってのは作劇としてどうなのか。それにこのネタ、正直、面白いか?少なくとも映画にして面白いネタとは思えないがどうか。どうでもいい映画、ってジャンルが映画にはあると改めて思わせてくれました。ああ、どうでもいい映画。でも、イギリスの田舎町の雰囲気と、曇天での撮影、そしてクリスティーナ・リッチは楽しめる。それで充分でした。
[DVD(字幕)] 5点(2006-05-15 21:21:46)
38.  ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 
離婚の顛末の省略、娘の成長を導入した構成、時にさり気なく視点を変化させる演出など、人生の断片を的確に捉え、その人生の多くを語る、その語り口が素晴らしく、年代記もの面白さを大いに堪能した。■しかし、あまりに甘すぎはしないか。室内シーンの素晴らしさに比べて、絵ハガキのように通俗的、凡庸な風景へのアプローチ。やりまくってる様を見せろ、とは言わないが(しかしそれもまた選択可能なアプローチであったと思う。なぜなら少なくとも一方の男はセクシャルな意味において「愛」していたのだから。男の味が忘れられなくなったのだから)、川辺に立つ二人はアウトドアライフを楽しんでいるとしかみえない。■また「ブロークバックマウンテン」(壊れるまでケツを掘れ山)は「ウィスキーの川が流れている」理想郷であると同時に、二人の男の人生を狂わせた場所ではなかったか。「負け犬」であると自覚せざるを得ない哀れな男が、唯一の拠り所としている「ブロークバックマウンテン」(割愛)、それはノスタルジーの対象としか描かれてはいない。美しい理想郷であると同時に、過酷で絶望的な風景と捉える客観的な視点がこの映画にはほしかった。■ラスト、実の娘におざなりな言葉しかかけ得ない「負け犬」は、娘の帰りを見届け、ふと窓を開く。しかし「負け犬」は外界へと出ることを拒絶し窓を閉じ、貧しいトレーラーの汚いクローゼットを開く。そこには「ブロークバックマウンテン」(割愛)の写真がある。哀れな男を暖かいまなざしで見つめ、その人生を美しく飾ること。しかし、そんなノスタルジーを拒絶するクールな視点、絶望感をこそ私は観たいのだ。■かんけーないが、「草原の輝き」を思い出しました。あるいは「さすらいのカウボーイ」のゲイバージョン?
[映画館(字幕)] 5点(2006-04-13 23:19:49)(良:1票)
39.  ミュンヘン
スピルバーグの楽しく愉快なアクション演出、サスペンス演出を楽しもう。まるでこれは70年代アクションではないか。■異国のホテルのベランダ。風が気持ちよく吹き、繁華街のざわめきが階下から微かに聞こえてくる。隣室の新婚夫婦と、やがて暗殺されるであろう男との語らい。そして暗殺の合図を示すベッドサイドのスタンドをなめ逡巡する暗殺者の表情を捉えた、悪い意味でも良い意味でも稚気あふれる構図。そして爆発。■あるいは、子供が忘れ物をとりに暗殺現場へと帰ってくるあたりのサスペンス、そしてオランダ女!!!その登場時の時代錯誤なノワールぶり、そして暗殺シーンのああなんてかっこいい銃なんだ、とガウンをはだけた女の風情。あるいは市街地での銃撃戦。画面に対し垂直に配された階段を駆け下りるモサド暗殺チームと、下で待ち受けるパレスチナ軍団を共におさめたロングショット。見せ場のことごとくが、かああっつこいいいいい。■正直、私はそれで充分なのだが、ま、いろいろある。そのいろいろがスピルバーグの場合、許せちゃうのが何故だかわからん。ゲージつぶるなよ深刻ぶるなよ、とは思うが、許せちゃうのは何故だろう。
[映画館(字幕)] 10点(2006-03-29 00:27:43)
40.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
映画は常に現実社会や人生やらとの距離を計測し続けてきた。現実をいかにもっともらしく映画の中に表現し、現実との折り合いをつけていくか。現実では解決できない問題も、2時間足らずの中で解決したり、曖昧に濁してみたりせねばならない。ところが、こうも現実が複雑になる、「そんなの今どきあり得ないじゃん」などという観客ばかりになってくると、映画の中のお約束や紋切り型な表現はもはや許されなくなる。ジョン・ウェインは家族のために敵に立ち向かい、敵を殲滅し、白いエプロンの翻る我が家へと帰ってくる。しかし現代のジョン・ウェインは「人殺し」とののしられるばかりだ。■クローネンバーグがやろうとしたのは、このような「紋切り型」をあえて行うことなのではないか。映画史が紡ぎ出した現実との折り合い方に、今、パロディではなく、真剣に、気合いと根性と己の演出技術のすべてを賭けて取り組むこと。例えば「クラッシュ」のような良心的なハリウッド映画がひた隠しながらもつい求めてしまう、安易な叙情や「曖昧」という名の決着を排すること。例えばリンチやコーエン兄弟のように、スタイリッシュな映像や「変態」的な「感性」で「紋切り型」を糊塗するような姑息なことはすまい、という意志。■さりげなく、なんということもない、ただ撮っているかのような一見凡庸なカットの連なり、しかしそれらは物語が持つ力によって、やがて力の漲ったものとなる。オープニングの緊張感、階段でのセックスシーンの素晴らしさ、保安官に詰問される夫と妻の2ショットの力、あっけなくまるで信じられないアクションシーン。■そしてラスト、暴力の限りを尽くした父を許すかのように、娘が食卓へと父を招く。感動的な、しかし安易な結末、でもなく、問題の曖昧な、だからこそ現代的だと言いたげな結末でもない、これは現在の映画が抱く「紋切り型」だ。その大いなる力に私は泣いた。ラストカットが素晴らしい。
[映画館(字幕)] 10点(2006-03-29 00:25:46)(良:1票)
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