21. アメリカン・パイ
まったく期待せずに、ただのおバカ映画だと思って見たので、ハッピーだけどちょいホロ苦い結末に、不覚にも感動してしまった。毎年おきまりのように大量生産されるティーン・ムービーも、たまにこーゆー佳作が混じってたりするから侮れない。ま、確かに下ネタのオンパレードなんですが、根っこにあるメッセージというか、そーゆーのがちゃんと伝わってくるのがいいですねえ。監督がこの後『アバウト・ア・ボーイ』を撮ったというのも、なんだか納得です。それにしても、みんな当然のようにビール飲んでますねえ・・・。そういうのも含めて好きなんですけどね。 8点(2005-01-23 19:10:11) |
22. 12人の優しい日本人
元ネタの単なる日本版というのではなく、ある種の「理想主義」を皮肉るような、ユーモアとペーソスの効いた展開は好き。稚拙ながらも実はちゃんと自己主張している登場人物たちの議論を、イライラ一歩手前で苦笑しながら楽しむことができたのには感心。元ネタがいいのはもちろん、三谷幸喜の脚色も見事だ。とはいえ、やっぱりこれは舞台劇だ・・・。セリフまわしもオーバーアクションもいかにもだった。やはり映画化というからには、もう少し「映画ならでは」の部分がないとちょっと寂しい。 6点(2005-01-13 11:17:44) |
23. デッドマン・ウォーキング
難しいテーマなだけに下手に感情を煽ろうとせず、ドキュメンタリー・タッチに徹したふうの作風は好感がもてた。ティム・ロビンスやショーン・ペンの政治的な立場はあるんだろうけど、そこまで押しつけがましくはなかったように思う。強い信念(というか信仰か)を持ちつつも、被害者と加害者のあいだを行ったりきたりして揺れ動くスーザン・サランドンの姿は印象的でした。八方美人という見方もあるんだろうけど、それぞれの立場の人々の「痛み」を知ろうとする誠実さが伝わる、いい映画でした。 8点(2004-12-12 14:27:04)(良:2票) |
24. フォーリング・ダウン
マイケル・ダグラス扮する<D-Fence>は、国防産業を失業中の<白シャツにタイ>の白人。なまりのある英語でソーダ1本の値段にも細かい韓国人店主、<ギャングランド>のメキシコ人の若者、同性愛嫌いでマスキュリンなネオナチ男、フレンドリーなくせに規則にがんじがらめなファーストフード店主。もう何から何まで、当時(暴動前夜)のLAのアメリカ白人が抱えていたいらだちやストレスを(ステレオタイプ的な誇張も含めて)象徴してるんですね。いまとなってみれば、この反動が10年後のアメリカを覆い尽くしているともいえるようにも思います。そう考えてみると、主人公の自己中心的で独善的な性格(最後の「私が悪いのか」というセリフは秀逸でした)は、いまのアメリカの姿を映し出しているようにも見えてくる。後半は一転して家族モノっぽくなってましたが、デュバルが軸となって渋くまとめてくれました。それにしても、ある意味、こんなに「政治的な」映画を、ふつうに娯楽作品として制作・公開してしまうハリウッドもよくわかんないところですなあ。 7点(2004-11-30 15:29:20)(良:1票) |
25. エネミー・オブ・アメリカ
5年以上前に「情報監視社会」というテーマを娯楽映画に仕立てたブラッカイマーの先見の明に感心。携帯電話、SuicaやICOCA、監視カメラなど、利便性や安心感と引き替えに成立しつつある監視社会の恐怖をかいま見ることができます。ただ、それを使ってる人間たちが、意外なほどマヌケなのもブラッカイマー流なのかも。序盤のウィル・スミスがどんどん包囲されていくまでは、面白かったのだけれど、そこから急に話が荒唐無稽になっちゃった上に、ラストは某映画を思わせる銃撃戦・・・。題材が面白かっただけに、ちゃんと脚本も練ってくれたら上質なサスペンス・スリラーになったと思うんだけど、それをこの映画に期待するのが間違いか・・・。 5点(2004-10-23 21:41:11) |
26. シザーハンズ
「手がハサミ=好きな人を抱きしめられない」というセンチメンタリズムをベースに、ティム・バートンが作り出した「箱庭」のような郊外ミドルクラスのアメリカン・ライフの現実。ファンタジーなのに現実的。ウィノナの金髪があんまり似合ってなかったけど、あれも含めて「一つの世界」にどっぷり浸れる幸福をかみしめた1本。 10点(2004-05-26 10:32:30) |
27. 恋におちたシェイクスピア
出演者がみんな生き生きしていて、大好きな映画。グウィネスやジョセフ・ファインズはもちろん、仇役コリン・ファースや妖怪のようなジュディ・デンチも楽しそうだし、ベン・アフレックも存在感があった。音楽もいい。日本で映画見るときの残念なことは、日本公開前にオスカー受賞とかしちゃうと、ある程度、作品のイメージができちゃうことかもしれない。それが「ハク」になる場合もあるんだろうけど、この映画みたいに軽快なラブコメディの場合は、いわゆるアカデミー作品賞のイメージが重荷になっちゃったような気がする。肩の力を抜いて、楽しみたい作品です。 9点(2004-05-04 11:32:57)(良:2票) |
28. ライジング・サン(1993)
貿易摩擦時代アメリカの「日本恐怖症」がよーくわかる映画ですね。映画のなかの決めぜりふを英語圏の俳優に日本語で言わせてしまったので(「おこったぞー」「ふざけるな」など)、日本語を母語とする観客としてはトホホ感が倍増でした。しかし、せめて日本企業側の人間全員(とくに石原さん)とアサクマさんは、なまりのない日本語を話せる俳優さんを起用してほしかったなあ。映画としては普通につまらないです。展開もすぐ読めちゃうし。音楽、武満徹なんだよなあ・・・。なんで引き受けたんだろ。 4点(2004-05-01 02:49:32) |
29. セブン
《ネタバレ》 鑑賞3回目にして初めて犯人役がケビン・スペイシーだったことに気づいた・・。あらためて見ると、序盤とか、伏線はりまくりの展開も楽しい(カメラマンにわざわざ名前を知らせちゃったり・・・)し、ラストの悲壮感も見事。3回目でも評価は変わりませんでした。最初に映画館でみたときは、犯罪の「完成」っぷりに妙なカタルシスを感じたものでしたが、今回はミルズの葛藤と絶望がじわじわと押し寄せてきて、いい意味でのバッドエンドを味わうことができました。そういえば、犯人は途中で予定を変えたっていってたけど、もともとはどんな予定だったんだろう。グウィネスは死なずにすんだのかな? 9点(2004-04-19 01:51:52) |
30. アンドリューNDR114
話の展開がはやすぎてダメでした。ロビン・ウィリアムスのロボットぶりは悪くなかったのに、もっとじっくり見せてほしかったなあ。特に後半は、ほとんど味わう余裕のないスカスカの話に感じてしまった。 4点(2004-04-13 09:35:21)(良:1票) |
31. 月光の囁き
なんというか、「良識」とか「モラル」めいたものを吹き飛ばすパワーを感じました。ほとんど予備知識なしに見たんですが、最後、スピッツの「運命の人」で、完全にやられてしまい、泣きそうになりました。ま、他人に薦められるかどうかは別問題ですが。 7点(2004-04-11 16:16:24) |
32. ワンダフルライフ
物語設定のアイデアの勝利ですね。また、古い学校のような建物や、美しい映像も魅力的だし、ARATA君のたどたどしい演技も、ゆったりとしたテンポも、この映画の世界観にはマッチしていました。 8点(2004-04-11 16:12:04) |
33. レオン(1994)
完全版は見てないんですが、この頃のリュック・ベッソンってオーラありましたよねえ。キャラ設定やストーリーがなんかベタ過ぎたかな(でも今おもえば、このベタさこそベッソンの映画なんだけど)。ちょっと物語に入り込めないな~って最後まで見たあとのスティングの歌で急にググ~っときて、これは映画にやられたのか、歌にやられたのかどっちだ~なんて考えた記憶が。でも、あとで見直したら、やっぱり、映画的にはイマイチだったかな。でも、ハリウッド式とはちょっと違ったフランス流のアクションというのはキライではないです。 6点(2004-04-03 14:44:30) |
34. 不滅の恋/ベートーヴェン
どうも序盤は物語も大きく展開しなくて、ゲイリー・オールドマンがドラキュラ伯爵に見えてしまってしょうがなかったんですが(見た時期がかぶってたんで・・)、耳をピアノにあてて演奏するシーンや最後の第九など、印象的なシーンも多かった。第九の演奏シーンでは、しっかりベートーベンになってました。ドラマ部分の描き込みには不満が残るけど、ちゃんと120分で押さえたのは感心。「文芸大作」気取って150分、180分とかの映画になってたら、ダレダレの駄作になってたと思います。 6点(2004-04-03 14:33:10) |
35. ダブル・ジョパディー
フツーのサスペンス映画でしたね。時間つぶすにはいいかもしれないけど、貴重な時間を削って見ると腹がたつかも。アシュレイ・ジャッドの地味さ加減は、こういう作品向きだなあ。 5点(2004-03-29 22:41:31) |
36. ヒマラヤ杉に降る雪
原作がアメリカではベストセラーだったからとはいえ、ほとんど歴史的背景の説明がないのは辛い。イーサン・ホーク、存在感なかったなあ。主役だよねえ。工藤夕貴も、いまいち魅力が伝わらなかったような・・鈴木杏の子ども時代のエピソードはよかったんだけどね。単調で、ラブストーリーなのか法廷劇かどっちつかずでした。これでは、アメリカで単身がんばってきた工藤夕貴の苦労も報われない・・・。結局、制作サイドは、「英語が流ちょうな日本人俳優」だったら誰でもよかったのか? 4点(2004-03-29 22:31:44) |
37. 羊たちの沈黙
公開当時に見ました。クラリス対レクター博士の対決が、真犯人そっちのけで展開するのが新鮮。この作品がもってる気品のようなものは、結局のところ凡百のフォロワーとは明らかに違ってた。僕も、一番好きなシーンは、クラリスとレクターの指が一瞬だけ触れあうところ。ものすごくドキドキした。この手の映画なのに、アカデミー主要部門独占したことにも驚いた。いろんな意味でエポックメーキングな作品。ちなみに、サイコスリラーだけど、どんでん返しはありません。同時期のサイコスリラーものは、みんな犯人は最初からわかってるものが多いです。そういう期待の仕方をしないで見る事をおすすめします。 10点(2004-03-19 12:07:57) |
38. マトリックス
元ネタはいろいろあるんでしょうが、それが一つの世界となってるところは魅力。でも、最初、映画館で見たときには寝てしまい、あまり印象に残らなかった。あのころ、「いま現実だと思ってる世界が実は・・」的なネタはちょっと食傷気味だったんで、アクション描写以外には魅力を感じませんでした。ただ、2回目見てみたら(それもアメリカ滞在中、英語で)作り込まれた世界に引き込まれたから不思議。ただし、キアヌのカンフーはいただけない・・・。 7点(2004-03-12 18:36:48) |
39. ショーシャンクの空に
公開当時に映画館で見ましたが、普通にいい映画でした。正直いって、あんまり印象には残らなかった。どっちかっていうと、ケチつけにくいソツのなさが先行して、心を動かされるっていう感じではなかった。本サイトも含めて、10代・20代の方々が多く参加してそうな映画ランキングなんかでこの映画が、かなりの上位にあるのを見ると、なんか妙に自分の「歳」を感じてしまうという意味で悲しい映画です。 7点(2004-03-12 13:31:48) |
40. エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事
いい映画でした。あいかわらず完璧なダニエル・D・ルイスはともかく、ウィノナ・ライダーはすばらしかった。脇に回った彼女はホントに輝いてました。対照的に、ミシェル・ファイファーはやっぱりミスキャストでしょうか・・。コスチューム・プレイの役柄には似合ってなかった。「ギャング・オブ・ニューヨーク」のディカプリオもそう思ったけど、スコセッシ監督って、こういうミスキャストやらかしますよねえ。もったいない。 7点(2004-03-12 13:02:14)(笑:1票) |