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21.  アジョシ 《ネタバレ》 
韓国映画の強烈さはありつつ、ツボをきちんと押さえている作品。わりとグロいので注意。  ■ウォンビンはとにかく強すぎる。途中セガールじゃないかと思うぐらい。ストーリーも「女の子の救出」っていかにもセガール映画にありそう(笑)  ■悪役一人一人はきちんと特徴付けがされている(ボスが鮮烈な変態さなのに、ラストですごくしょぼいのも印象的)。アメリカ人(?)の最強の敵もいい味出している。素直に銃で撃ってれば勝てたのにナイフ勝負しに行ったのは男気なのであろう。  ■ナイフや銃捌きを豪勢に見せてくれる。血はかなり出るので要注意。でもハートフルなポイントはしっかり押さえてあるところが憎い。
[DVD(字幕)] 9点(2012-02-17 19:45:42)(良:1票)
22.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
予告編と「映画通ほど騙される」という安っぽい宣伝文句を見て、普通のSFサスペンス・ミステリかと思って鑑賞。しかし、さすがダンカン・ジョーンズ、そう見せかけて実は全然違うところに本質のある映画だった。  ■この映画の本質は「犯人探し」にはないし、オチがどうなるかでもない。この映画を「つまらない」と思った人は、この映画をミステリとして評価しているのだと思う。確かにミステリとしては簡単に読める。しかしこの映画のポイントはそこではなく、自分の運命とか、愛する人のためにどうするかとか、そういうところなのだと思う。その意味で、映画通ほど最初の方で「これはありがちなミステリだ」と「騙される」のであろう。  ■「量子力学だ」というのは、恐らく「多世界解釈」を指してのことだと思う。これにおいては、複数のありえる世界が同時並行的に存在していてよい(正確に言うと、すべてのありえる世界の重ね合わせとして存在している)。しかし(ここからは物理学の理解としてはおかしいが)「観測」によってある世界に強引に引きずり戻すことができる、というのがこの映画の設定なのではないだろうか。  ■ラストで「みんなが笑顔で静止したまま終わり」の方が、実際の展開よりもいいと思うのだが、これは装置の設定が異なるのであろう。  ■前者の「静止して終わり」だと、「可能な別の世界にアクセスする主体」はあくまでも「現実」として指定されているこの世界にのみ存在していることになる。だから現実の大佐が死ねばアクセスも停止する。  ■後者だと、別の世界に主体は生きており、ただ「測定によって意識を引き戻せるor引き戻した際に、記憶を伝えてもらえる」のが8分程度までだということであろう。つまりそれ以上経つと「現実の世界」と「行き先の世界」が離れすぎてしまい、呼び戻しができない。だから「現実世界」の主体を殺すことで「呼び戻しの測定」を不可能にし、別の世界にそのまま乗り込んでしまう、ということであろう。  ■しかし、一方的に乗り移られたショーンはこれでいい(ハッピーエンド)のかよく分からないが
[映画館(字幕)] 9点(2012-01-16 00:52:37)(良:1票)
23.  小さな命が呼ぶとき 《ネタバレ》 
展開はありがちな難病ものだが、実話ということもあって決して一筋縄ではいかない。  ■子供たちの命をなんとしても救いたい父親、我を押しとおす研究者、ビジネスの視点で見ている企業、という三者三様の意図が絡み合うため、新薬を作るといってもなかなか思い通りにはいかない。チーム行動をとらないハリソン・フォードをあえて外したり、会社を売り払ったり、果てはブレンダンはクビにされたり。  ■本当は向いている方向は皆同じはず(別に製薬会社は金のことしか考えていない、という風には描かれていない)。しかしそれぞれの事情が絡み合うので、互いに分かるけれどもどうしようもない状況になっていく。確かに最後の行動は普通に見たら公私混同極まりない。まあブレンダンとしても子供が助かったらあの会社にいてもしょうがないわけで、みんな落ち着くところに落ち着いた印象も受けるが
[DVD(字幕)] 9点(2012-01-09 00:33:59)
24.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
話題だったので今更ながら見たが、なるほど面白い。かなりずしりと重い内容だが、見応えはある。  ■一度ずれてしまった歯車は二度と戻らない。誰かが決定的な悪魔というわけでもなく、軋んだ運命は巻き込まれた人々を不幸にしていく。「悪」と「糾弾」の構図を拒絶するのが冒頭の「感謝はしても謝罪も反省もしない」という裁判シーンであろう。  ■巻き込まれたものは元には戻せない。それは八日目まで生き残ってしまった蝉のように不幸に引きずり込まれる。しかし、八日目まで生き残ったのは事実だが、それが本当に「不幸」なのか、それは分からない。違う世界が見れたことで広がるものもあるかもしれない、ともするとそれはそれで幸せなのかもしれない。確かに普通に見れば不幸な人生かもしれないけど、でもそうした人生を歩んできたからこそ掴めたものもある。それを取りこぼさずに生きることが重要なのかもしれない。
[DVD(邦画)] 9点(2012-01-06 01:01:23)
25.  スリーデイズ 《ネタバレ》 
うまい。王道のサスペンスであり、ひねりがあるというわけでもないのだが、ぐいぐいと2時間超を見せてくれる。  ■妻の有罪無罪は問題にしない。ラッセル・クロウ演じる夫は妻の無実を一身に信じる。そして私財をなげうって手探りで脱獄の計画をする。前半の綿密(とも言えないが)な準備に半分以上の時間を割いているが、それがこの話の厚みを与えていると思う。  ■後半は一転スピード勝負だが、子供を巡る部分や車から半身乗りだすシーンなどが印象的で、純粋な時間勝負の部分と心の微妙な葛藤がうまく重なり合っていると思う。ただ検問があんなんで通れるのかとは拍子抜けだったが。  ■ラストは別にいらないんじゃないかな。素直に飛行機と車で移動しているシーンだけで終わらせて、再捜査を暗示させるシーンもカットでいい気がする。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-22 01:18:23)
26.  4デイズ 《ネタバレ》 
拷問をテーマにした重い作品。肉体的に痛いシーンは多いけれども、むしろ精神的な痛さを感じさせられる。  ■拷問は、一見すると拷問している側が圧倒的に有利なように思う。だが、いかなる苦痛にも耐えしのぶ覚悟と、適宜相手を錯乱するだけの戦略を持っていると、一転して拷問される側が有利になる。本作は、核爆弾をこっそりと配備した男と、拷問のスペシャリストとを登場させている。そしてその微妙な力関係をあぶりだすことで、互いの精神的な追い詰められ方を描いている。  ■誰も決定的に間違った行動をとっているわけではない。拷問をしてでも市民を救わざるを得ない状況もある程度理解できる。Hが拷問のたびに薬(恐らく精神安定剤)を飲んでいるのも、拷問が決して楽しいものではなく、自らの精神を削るものであることを示している。まさに情報を引き出すために必死なのだ。  ■しかしヤンガーは狡猾である。爆弾が同じ場所にあったということは、つまり「4つ目の爆弾」の存在は誰も確認できないのである。処理班が失敗したのか、彼がウソをついていたのか、それはヤンガーと処理班以外は知り得ない。だが両者ともに死んでしまっている以上「拷問をした」という汚点と、実際の核爆発の被害だけが残る。妻が死んでも口を割らなかった男が、たかだか子供であっさり口を割るのは怪しいと思ったが、狙いはそういうことであろう。「子供で口を簡単に割ったのは不自然」という意見が散見されるが、あれは「子供を使った脅迫に屈した」のではなく「屈したように見せかけた(4番目の爆弾があるから問題ない)」と解釈するのが正しいのだと思われる。  【追記】アメリカ版ではラストの「4つ目の爆弾」がカットされているらしい。日本公開版のラストの方でないと、そもそもストーリーとして成り立っていないように思う。9・11後のアメリカには精神的によくないとはいえ・・・
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-20 01:23:22)
27.  ブルーバレンタイン 《ネタバレ》 
珍しい「恋愛の崩壊」を描いたラブストーリー。幸せな過去と破局寸前の現在の対比が心に響く。  ■どちらかが決定的に悪いという感じではなく、「不幸な誤解」でもなく、互いの考え方、価値観が微妙にずれていて、それが徐々にひび割れを大きくしていく感じで愛情が冷めていく。何か事件があったりしたわけでもないこと、それがリアリティと恐怖の源泉でもあろう。  ■カットバックの入れ方が一部意図的に時間軸を混乱させるかのような入れ方があったが、あれは不要だと思った。そういうところで勝負してる作品ではないし。
[DVD(字幕)] 9点(2011-12-14 01:04:08)
28.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
批判的なコメントも多いが、個人的には非常に面白く見れた。人間の際どい心理のバランスと、それが浸食されていく過程がよく描けていると思う。  ■最初の方で「もしや・・・」と思って、ラストで同じ展開を見せたので恐らくこの理解でいいと思うのだが、この映画の構図は「ファイト・クラブ」と基本的に同じだと思う。ただしこの映画の場合、リリー(という人間)そのものは実在するが、そこに対する嫉妬と「自分の持っていないもの(黒鳥の要素)への憧れ」も相まって「反転した自分」の投影されたリリーもまた立ち現われていると考えていいだろう。  ■これはバーで「薬」を飲む前からそうだと考えられるのは、ニナはもとから自傷癖がある(幻影を最初から見うる)という設定が示唆している。この作品は徹底してニナの視点からしか描かれないが、映画内の描写は事実を表すというより「彼女の心においてみる世界」であることを意識してみると、この作品の見え方はだいぶ変わると思う。  ■ニナは結局、自らの肉体の破壊と引き換えに自身の精神の合一を果たし、完璧な芸術の境地へと至る。これは芥川龍之介の『地獄門』などとも比較しうる、完璧な芸術の保有する「ある種の狂気性」の体現ともいえるであろう。  ■それを考えると、ニナは監督の厳しさや母親の過剰な期待、プレッシャーに負けたというより、自らの精神を芸術の世界における完璧さに高めるために狂気の世界へ立ち入った、と見る方がいいのかもしれない。少なくともその側面も確実に混じっていると思う。
[DVD(字幕)] 9点(2011-11-27 01:30:09)
29.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
なるほど。評判の高さも納得の出来。これは3Dで見てもよかったと思わされた。近年のアニメーションの中でも相当に質は高い部類に属するだろう。  ■ストーリーの大枠はベタな作りと言えばそれまでだが、きちんと作りこまれていていい感じ。しかし単なる子供向けアニメと一線を画するのはやはりラストだろう。主人公が片足を失うという、恐らく「主人公の死」よりもタブーであろう領域にあえて突っ込んでいく展開にしたのは高く評価したい。片尾を失ったドラゴンとの助け合いを見せるラストの構図は見事。  ■ただ、逆にだからこそ、ボスドラゴンをただ倒す展開はいただけなかった。あの構図は「ボスドラゴンは極悪、諸悪の根源であり、他のドラゴンはそれに支配されていただけの善良な者」というものになるが、これは第二次大戦後のドイツの用いた構図「極悪なのはヒトラーであり、ドイツ国民もまた被害者」と酷似している。この構図を用いる限り、殲滅戦は回避できるものの、「敵」の中に「究極の悪玉」を探す作業を肯定してしまうことになり、あまり嬉しい解決ではない。  ■ストイックがヒックに認めた誤りも、彼が「ボスドラゴンの猛威」を見て気づいたものであるように、純粋に戦術的なそれであることにも注意しなければならない。  ■とはいえアニメの中ではかなりきちんと問いを投げかけている作品であり、評価には値すると思っている
[DVD(字幕)] 9点(2011-03-13 01:20:08)
30.  告白(2010) 《ネタバレ》 
久しぶりに2時間釘付けになった作品。ここで判断するのは早いが、おそらく今年の映画ベストではなかろうか。  ■本作は徹底して「人間の負の側面」を描き出す。それも、悔いや良心の呵責を感じながらでもなく、またクラスの生徒たちのようにエンターテイメントと変換してしまうわけでもなく、まさに「何事でもない」かのように悪がなされていく。これは、殺人を自己顕示のための道具として利用した少年Aにしても、少年Aに勝つために少女をプールに落とした少年Bにしても、そして報復する松たか子にしても。「善悪」という基準が解体された先には、「強弱」、要するに頭のよいもの、相手を出し抜いたものを肯定するしかなくなる。  ■もう一つ、本作は告白の真偽が最後まで伏せられる。最後に少年Aの告白(回想シーン)が偽であることが明かされたように、本作中の一人称の語りは確実なものとは言えない。例えばラスト、爆弾について「回線を切った」との松たか子の発言と、大学での爆発は矛盾している。ひょっとすると、本当に母親が海外旅行から帰ってきて、息子を覚えていたかどうかさえ真偽は不明である。  ■ここでカギになるのは、告白者とは別のナレーター、美月の存在である。告白シーンにときどき告白者と関係ない内容が滑り込んでいた(例えば少年Bの母親の告白部分で、学校の様子が映し出されていた)のは、ナレーターの視点が並行して含まれているからである。ここを軸にして話を再構成してみる必要もあるかも。  ■途中のナレーターの恋愛、そして死亡。殺されたのは、美月=ルナシー(追従者ではなく本人と解釈した方が恐らく興味深い)として、少年Aの栄光を奪った者への復讐なのか?ある意味で美月はAの母を補完する役割を果たしていたのだから、代替的な母殺しになるのだろうか?  ■ちなみに、冒頭の「ミルクと血」というのは赤ん坊の時に母親から与えられる二つの重要なもの。そこに「毒」が入っていたというのは本作(母親の問題が少年の暴走の遠因である)という点をシンボライズしているのだろう。二人とも「母親殺し」をさせる点でこれも符合する。ただその場合、美月の死だけが浮いてしまう。   ■解釈をいろいろ書いたので最後に。メッセージ性というより「見て自分で考える映画」だと思う。ある意味でこの作品は、自分自身の心を映し出す鏡でもある。何を信じ、何を信じられないかという。
[映画館(字幕)] 9点(2010-07-29 00:51:30)
31.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
前評判で「火星版DASH村」という声を多数聞いていたが、実際見てみてなるほどそういう気はすると思った。状況設定は「アポロ13」を上回るような危機的な状況で、地球上の人々が全力支援して地球に帰還するという話の構造も「アポロ13」と同じなのだが、とりあえず主人公のノリが軽い、軽すぎる。いかにも楽しんでる風にビデオに語り掛け、「船長の音楽の趣味は最悪ですね」のようなしょうもないことを話すシーン多数。シリアスな危機として描く方法はいくらでもあっただろうに、そういう雰囲気はみじんも感じられず、ゆえに「どうせ助かるんでしょ」感も満載になっている。  ■ではつまらないのかというとそういうわけではなくて、暇つぶし的には非常に楽しめる。特に退屈することなく2時間半見れる映画ではある。深みがあるかと言われると微妙ではあるが。  ■ちなみに、言われているよりは科学考証はしっかりしていると思う。火星で突風が吹く可能性は近年の研究で指摘されてきている(まだ未解決)ことだし、ランニングマシンのあるエリアだけはちゃんと回転機構になっているので遠心力で疑似重力が作り出されるようになっている。通信の時間差も(もちろんラグ自体は映画中ではわざわざ描いていないが)、映像通信が地球付近のみになっているあたりちゃんと考慮されている。もっとも最後の噴射はあんな感じになるとは考えにくい気がするし、元ビニールハウスの建物の入り口をビニールで覆うだけで空気漏れが大丈夫なのかはかなり疑問ではあるが。
[DVD(字幕)] 8点(2016-02-14 05:23:25)
32.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
タイムパラドクスもののSFをいくつか見たことがある人なら「整形手術」や「孤児として捨てられて」のあたりでおおよそのストーリーの予測がつく人が多いのではないかと思う。むしろあらすじを聞いた段階で刑事と犯人が同一人物というのは、浮かぶ人には浮かぶアイデアだと思う。  ■ラストの爆弾魔になるところがほぼ全部カットされているので、深掘りしてほしいところがなくなっていきなりエンディングという印象であった。「これからどうするのか」は想像に委ねるにしても、あそこにいるもう一人の自分の変化過程はもう少し描いてほしかったところ。  ■「父であり母であり子」というのは徹底した設定で、まさに「尻尾を食らう蛇」のごとき初めも終わりもない円環である。これを支えているのがサラ・スヌークの脅威の演技力で、最初のバーのシーンでジョンが女性だとは全く見抜けなかった。ケヴィン・スペイシーもそうだったけど、こういう演技力が圧倒的に必要な映画での役柄をこなすことでこの女優さんも将来有名になるのではなかろうか。
[DVD(字幕)] 8点(2015-10-13 11:59:31)
33.  インターステラー 《ネタバレ》 
SFの形態をとってはいるが、SFを用いた人間ドラマが主軸。その意味では、画的にきれいなシーンもいくつかあるが、全体としてみて2001と対比するのはいささかずれている気がする。  ■地球を救うために最後の開拓に飛び立つ、という展開は非常にオーソドックスだが盛り上がる展開で、またその中で残してきたものとの関係、家族と再会したい者と人類に賭ける者との対立など、いろいろよく描けている。小説だと『ゴールデン・フリース』が似ている気がした。あれだけの大志をもって飛び立ちながら、孤独に寄って心をむしばまれていく、という豹変も、あの残酷な世界に一人ぼっちの苦しさを考えると理解できる。  ■「解がない」ことを隠した展開は、バッドエンドならば某記憶喪失映画に近いが、この映画では最終的にはハッピーエンドにこぎつける。しかし、ブラックホールの中が時空を超えるヒントになるという設定まではいいが、あの部屋とだけダイレクトにつながるという設定はいかにもご都合主義というかもはやしらけるレベルだし、ブラックホール内の造形もいかにもただの人口施設という感じで、それまでの星の作り込みと比べると貧弱さを感じる。  ■「インセプション」と同様時間のずれをうまく使っており、その辺りは面白い。ただ「1時間が7年になる水の惑星」からの帰還で、ひげが生える程度であまり時間経過感を出せていなかったのは残念。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-09 10:45:07)(良:1票)
34.  キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 
シージャックものだけれど、アクションシーンがあるような作品でもなく、淡々と事実を描き出している良作。決して海賊を単なる悪者と描きわけでもないのは好感。  ■最初の方、一回ボートに襲われかけて何とか逃げ切ったのち、翌日になると再び襲われるという下りで、船員だったらすさまじい悪夢を見ているような感じになるだろうなぁと思った。見つかってはいけない船内避難も、終始ひやひやしていた。  ■しかし、あの土壇場で紙とペンとって遺書書くか?とは思った。変な動きするなと散々言われていながらあれは殺されに行くようなものでしょ、と。隙をついて海に飛び込んで逃げようとした人と同じとはどうも思えなかった。  ■ただしシージャックものだと、タイトルズバリの「シージャック(2010)」の方が緊迫感とリアリティは(こっちはフィクションなのに)上に感じてしまった。ので9点でもよかったのだがそれとの差別化のため8点にしておく。  ■ちなみに、ソマリア海域は外国企業の工場による汚染などで漁場がやられてしまい、漁師は海賊になるぐらいしか食っていく道がなくなってしまった、という背景事情はあるらしい。海賊の側も海賊なんてしないで済むならしたくない、という感じは常に出ていた
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-10 00:52:20)
35.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
宮崎監督の「飛ぶことへの愛」が惜しみなく発揮されている。もともとラピュタが飛び、ナウシカではメーヴェに乗り、トトロも飛び、カリオストロでさえルパンは飛行機で侵入し、豚さえも飛び、千と千尋もメインはハクが飛ぶところ。それだけ飛ぶのが大好きな監督が徹底して「夢」を追いかけて飛ぶシーンを作り上げた作品、といっていいだろう。  ■冒頭からエンディングまで繰り返し描かれる「夢」のシーン。そしてロマンスも、菜穂子は自らの命を削ってサナトリウムから降りてきて、二郎は結局日中のほとんどを飛行機に費やし夜のわずかの時間しか会えず、それでも最期の美しくない姿は見せまいと再びサナトリウムに戻る、通常ではありえないまでの献身性。出会いから死別まで、まさに「夢」のパッチワーク。展開がトトロ的で山場がないのも、全編のそうした雰囲気を楽しむタイプの作品なのだろう。  ■裏テーマは「生きねばならない」「悲惨の運命を受け入れること」等であろう。カストルプも登場し、トーマス・マンの『魔の山』の設定はいろいろとバックにある。しかしこの作品中では葛藤(飛行機への愛と戦争利用の間の葛藤、妻と飛行機の間の葛藤など)はほとんど描かれず、主人公は飄々としている。こうした難問に対して「純朴さでもって超越せよ」ということであろうか。  ■二郎に感情移入するか、菜穂子に感情移入するかで、見え方もだいぶ変わるように思う。二郎は飛行機への愛(オタクともいえよう)は素晴らしいが、全体にピュアというか単純な描かれ方であり、対する菜穂子は自己犠牲と献身性、死に向かう姿勢を提示している。映画館で女性客の一定数がラストで泣いていたのはどこに感情移入したかもあるだろう。
[映画館(邦画)] 8点(2013-08-09 01:42:35)
36.  ヘッドハンター(2011) 《ネタバレ》 
あまり期待せずに見たがなかなかよくできている映画だった。すさまじいひねりがあるわけでもないが、特に後半はハリウッド並に非常にテンポよく進み、見ていても引き込まれる。  ■裏の窃盗業の関係から一転して追われる身になる主人公。発信器を体に埋め込むというのは見たことがある(例えば「悪魔を見た」など)が、それを振り切るための主人公のなりふり構わない描写はハリウッドではあまり見ないタイプ。肥溜の中に隠れるなどのシュールなシーンも挟まっていて面白い。  ■こういうマイナーな良品を知れるのはこのサイトのいいところだなあと思う
[DVD(字幕)] 8点(2013-07-01 23:44:14)
37.  ミケランジェロの暗号 《ネタバレ》 
ミステリー仕立てだが、ミステリーとして見ると拍子抜けする。でも人間ドラマとして見ると、従来的な「ナチス・ユダヤ人もの」とは違っていてなかなか面白い。  ■チャップリンの「独裁者」のように、ナチスとユダヤ人の立場が入れ替わってしまう話。ではあるのだが、入れ替わる二人が小さいころからの友人でありながら、雇い主と使用人というこれまた微妙な関係であるところがなかなかに難しい立場にしている。「金持ちのユダヤ人」は「使用人のドイツ人」を雇って、ユダヤ人の側はとても友好的にやっていて、また面倒を見ているつもりでいる。しかし一方で使用人の側からすればどことなく常に屈辱を感じ続けてきたのではないか。それがナチスによって立場がひっくり返ってしまう。ここに一つの立場転換がある。  ■もう一つの立場転換はもちろん入れ替わりなのだが、この二重の入れ替わりを経ることで、お互いがお互いを見る目というのがかなり複雑になっており、その辺の人間関係はなかなか面白い。ラストの展開はすっきりしすぎていて逆にあれだったが
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-27 00:47:56)
38.  スーパー・チューズデー ~正義を売った日~ 《ネタバレ》 
選挙参謀を主人公に描き出された「政治の裏側」を描くサスペンス。マイナーだけどとてもいい出来の作品。  ■理想主義に燃える主人公と、それでは動かない政治の世界の現実。周りから散々「お前は優秀だが政治の世界には向かない」と言われてきた主人公は、最後まさに政治の世界の手腕を獲得する。「一流になった」と元上司に言われ、勝利にこぎつける主人公の心境はいかなるものであろうか  ■上司が「政治の世界で信じられるのは忠誠心」と述べていたのは印象的。そして、結果的に忠誠の獲得に失敗して、最後には力で追い出されてしまうのがもっと印象的
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-20 00:18:22)
39.  ペイド・バック 《ネタバレ》 
渋いけれども非常によくできた映画。モサドによるナチハンターものなのだが、構成がうまくて派手なシーンはないものの最後まで引き付けられる。  ■3人の英雄たちの本を娘が書き、元隊員の一人が自殺するところから物語は始まる。過去を回想する前半シーン、フォーゲルを捕まえる前後の流れはなかなか凄まじい。そして脱出が失敗に終わった後の心理戦はかなりのもの。  ■そして現在に戻る。タイミングが相当強引な気もするが、流れがスムーズでそこまで気にはならない。最後に殺そうとする必要はあまりない気がするが。。。  ■裏メッセージとして「嘘の過去とどう向き合うか」という問題が投げかけられている。30年間英雄として扱われてきて、それが嘘だったと真実を明らかにできるか。「真実は豪華なものだ」という言はなかなか的を射ている。真実が必ずしも人を幸せにするものではないという難しい問題。しかし真実を明らかにするならせめて娘さんの本の出版前にしてあげればよかったのに・・・
[DVD(字幕)] 8点(2012-09-08 23:36:57)
40.  サラの鍵 《ネタバレ》 
1942年の、ナチスドイツに協力していたフランス政府によるユダヤ人強制収容と、2009年のジャーナリストとを行き来させながら悲劇性を浮き彫りにしていく作品。重い。  ■弟を納戸に閉じ込めて収容所に送り込まれたサラ。そこの謎もいろいろと残されたままの樹はするが(引っ越すまで、中に死体があって異臭を放っていても一度も開けずに放っておくか?何か知っていたのではないか等)そこへ深入りはしない。主眼はむしろ、サラの苦悩と悲劇、そしてそれがどう受け継がれていくか、であろう。  ■一度は過去を完全に消し、息子は50年後に初めてそれを知る。しかし悲劇はそれを消してしまえばいいというものではない。むしろ引き継いでいくことこそが悲劇の生き残りの意義を組みだしていく上で必要だともいえる。ラストで娘にサラと名付けたのは、そういう意志の表れではないだろうか
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-24 00:28:57)
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