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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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21.  ビフォア・ミッドナイト 《ネタバレ》 
大人から親へ。  「サンセット」の続編だが前二作とはかなり違う部分が多い。海に出るように開放的だ。  前は街に既にいた、今度は旅の始まりからすべてが始まる。 歩く二人、前作と違って今度はちゃんと出て映されるものと映されないもの、、やはり喋って喋って喋りまくり、空港、抱擁、彼女に語ったことが大体合ってたことが解る。  別れ、車で待つもの、海沿いの道、後ろに乗るものが誰なのか、彼女と彼の関係はどうなったのか気になる。 動き続ける車で回り続ける舌、娘、車内でじゃれ合う、写真、食う、盗品を渡した上に黙認、やはり会話だけで過去が語られる。  くっちゃべる二人の挙動を楽しむ姿勢は貫かれる、そこに車に揺られるものの挙動が背景として加わる、喋り方の真似、やつれた男と少しふっくらした気がする女、久々に二人に話しかける存在、尻にタッチするのは将軍に「了解」の合図、店、子供たちとサッカー、海辺。  二人は別れて様々な人々とも語り合う。会話が途切れるシーンも多い。 腰かけて動きが少ないはずなのにキャメラは動きまわり、会話に参加する人も増える、水着、「波止場」の話は面白かった、時間、かじられるリンゴ、家族どうしのしゃべくり、男が食事中に下品な話をするのは若い二人を刺激するため、、悪態や三文芝居をするのも親しさから。  本作の性に対する踏み込み振りときたらどうだ。さり気なく腰に手をやり胸を揉みしだく。全二作ですら自分の脚にのっけたりくらいだったのに。 それをやっても許される仲ということか。スカート姿や胸が強調されるの母親ではなく異性としてか。  本当にヤギも登場、食卓を去った後は前作を思い出すようにまた二人だけでしゃべり続けながら歩き続ける、映画、ポンペイ、遺体、白黒、50年代、遺跡、蝋燭。 聖人一同「十字斬ったぐらいで許されると思うなよ」  指を舐める、海辺の椅子、沈む夕日は会話と運動を止める、秘密はまだ共有する仲、作家として本にサイン、宿。  前二作でけして映されることのなかった情事が映される。 意外と胸があったのか(ry どんどんとんでもないことを言い始める二人、拒んだら求め、下着、求めたら拒んだり、ズボン、それが思わぬ口喧嘩にまで発展してしまう。 “弦”、どんどん現実的に生々しく、それとも今までが御伽噺のように綺麗すぎたのか。あんなに離れたがらなかった二人が…。  ドアは終わりを告げるのではなく、休ませずに延長戦をさせるため。 それでもあの場所で待ち続け、あの場所へ行く。向かい合わせが不意に距離を詰め、言葉が途絶えた瞬間、キャメラは静かに去っていく…。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:22:36)(良:1票)
22.  ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 
バッド・ベティカーの闘牛映画の如く、一瞬の生き様が刻まれた二時間。  闘牛、暗闇から見つめるもの、牛上での数秒と闘病での数年、彼等にとってはどちらもほんの数秒の瞬きなのかも知れない。  牛や馬のように性を楽しむ男女、地に伏すもの、金、エイズ、ロック・ハドソンはそれを我慢できなかった。 賭け、「北北西に進路を取れ」か。ありゃスパイ映画の大傑作だったな。  ロデオ、死と隣り合わせ、ピエロ、柵を乗り越え逃亡、保身のために警官殴って逮捕、馴染みかよw 友人思いだからこそ本気で殴る。だが男を支配するのは危ないことに突っ込みたい欲求。生き急ぎ病に蝕まれ破滅へと突き進んでしまう。  繰り返される咳 、みんないつ死ぬかわからない仕事に命を賭ける、電撃がくれたチャンス、病院でも死への近道、トランプ博打、甘いもの、宣告された余命で自分がくたばるかどうかすら賭ける気概。  続けられる破滅生活、セックス、ヤク、煙草、医者よりも信じられるもの、死への恐怖、図書館、医者たちの怪しい会議、思い当たる記憶、生への叫び、今までのツケ、豹変する知人たち。病への恐怖からでもあるけど、みんな自分が可愛い。  神にまで頼り始める窮地、、酒場で出会った者に求めるもと交流、今更続けてきたことを止めることもできない。 治す気あんのかないのか、酒をあおるように投薬を貪る、華麗にスルーだけして医者まで紹介してくれる良い奴、治療という名の尋問、ゲイへの抵抗は死への恐怖でもある。 男ではなく女としてふるまう、女性ものの服とストッキング、医者も無理には止めない、帽子とショットガンを持って帰還、落書き、カウボーイ気取り馬に乗るように車を走らせる!銃を掴み泣く孤独、死ぬこともできない。  徐々に衰弱していく、自分にとっての「快適」な病院探し、無免許医に、多様な人種、襲ってくれといわんばかりに脚を出すナース、点滴くわえながら小便、偽神父を押し通す場面は数少ない癒し、この大嘘つきめww、命を救うはずの薬ですら取引するのだからタフというか救いようがねえというか。生死すた楽しんでいるようだ。 嫌いな相手はカモにする、追跡と取引、免許医への挑戦、点滴片手に会社運用、食い物のキャッチボール、手のひら返ししやがったクソッタレへの返答は抵抗が薄くなった証でもある。胸熱シーンとして見ていいのかどうか。  懐かしい知人への挨拶、ビジネスとしての健康、日本にも乗り込むカウボーイ、大都会岡山(交差点は東京です)、、スーツを着込むビジネスマンという仮面、音によって迫りくるものを伝える、ビジネスのためならイスラエルや中国にも偽神父や偽飛行士に扮して行ってやらあ、写真を投げ捨てるのは嫉妬か心配か嫌悪か、患者の奪い合い、やめられないもの、贈り物、忌み嫌っていた者との対話。  酒場には保安官が出入りするように警官が監視を続ける、電気のスイッチをイジッて点滅させるのは勧誘するため、スーツを着るのは「息子」として家族に会い告白するため、彼の「彼女」で居続けるためのヤク、握手するのは愛情かビジネスか、実験室に閉じ込められた蝶の群、点滅、帽子を被せるのは視界を防ぐため 怒り、失ったものと逆戻り、涙、道化師。  この映画の医者は、法によって守られ犯されない襲われない傍観者でしかない。  金槌で殴りつけるのは贈り物を飾るため、耳鳴り、頭痛 、闘牛場に始まり闘牛場に終わる。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:07:49)(良:1票)
23.  セッション 《ネタバレ》 
「セッション(ウィップラッシュ)」。 ドラムの猛烈な連打に始まり、廊下の向こうでひたすら打って打って打ちまくる青年の演奏からすべてが始まる。 扉は誰かが聞きに来るのを待っているかのように開け放たれており、音に誘われ接近する存在、師と弟子…いや音楽のために争い憎み合う宿敵同士が出会うのである。 男が上着を脱ぐのは暑いのではなく魂に火がついたことを告げるため。  夢が詰まった写真に想いを馳せ、恋人たちを羨み実力が中々認められない方が幸せだったかも知れない日々。 選ばれ勇気を出した途端に笑みがこぼれる手応え。ニーマンはただ音楽が好きなだけだったのに。だがその「音楽」が彼を狂気のドラムマシーンへと変えていってしまう。  クソ野郎は嘘つき、向うからやって来たチャンスは地獄への誘い、薄暗さが息苦しさを伝える練習場所、秒針が揃った瞬間に黙り視線を避け静止する演奏者たち、張り詰める緊張。 機関銃の如くツバと暴言を浴びせまくる鬼教師フレッチャー。打ち震わせながら両手を振り上げ、椅子を投げ付け、平手打ちを浴びせまくり、ドラムを投げ飛ばし蹴り飛ばし、大恥をわざとかかせて精神的に追い詰める。「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹もここまでしねえ。 かと思うと涙を浮かべて悲しみ寂しげな姿を見せたりもする。その二面性が怒りを爆発させ襲い掛かる恐怖をより引き立てるのである。  ニーマンも青春、友情、恋愛、学生生活…すべてを破壊するようにドラムを叩き続ける。無数の弾痕の様に刻まれたドラムスティックの痕。彼がBフラットで締め、打ち込めば打ち込むほど周囲の人間への関心は希薄になり、恐怖に怯える群衆の一部と成り果てる。 フレッチャーの生徒たちが他人を責めるのも「自分が殺されるではないか」という恐怖からだ。犯人がわからないというのが一番怖い。みんな巻き込まれるのが嫌だから敬遠し、奏者たちの孤独が加速していく。  手や指をマメだらけにし、それを絆創膏で潰すかのように貼り付け、痛みに耐えながら音の一つ一つを肉体に刻み叩き込んでいく。怒り狂いドラムを叩き壊し、血まみれになろうが氷水の中に手を突っ込んで冷やしてまで打って打って打ち続ける。リチャード・ブルックス「最後の銃撃」を思い出すような狂い振り。  家族の団欒も罵り合いで台無し、映画を親子で見ても気分はそれどころじゃねえ(ジュールス・ダッシン「男の争い」の音楽がちょろっと聞こえてくるだけ)、トラックとぶつかり血まみれになろうがこの音楽キチガイを止める事はできない。  不意に現れるライバルと過酷なドラムス争い、喪服のように彼等を包み込む正装、動かない手を無理やり動かし続けようとする痛ましさ、涙、滝のような汗、シンバルに飛び散る鮮血を流し自らを燃やし尽くす壮絶な演奏。音楽を楽しんでいる余裕などない。 野郎を黙らせてやる!俺の音楽で叩きのめしてやる!!ブチ殺してやる!!!…そんな憎悪すら感じさせる。  すべてを失い氷の様に冷め切った姿、思わぬ再会、謎の密告者、悪魔の誘い、席に座った瞬間に戻り出す感覚と手応え、騙し討ち、追いかける者、見守ってくれていた者、クソッたれへの反撃の合図!それに演奏で、シンバルをぶつけて、目玉をくり抜くどころか手助けし、真剣な眼差しを送り、上着を脱いで応える!! 理由なんてもうだうだっていい、誰のためでもない、ただただ音楽が大好きだからこそ笑い、演奏を、指揮を続け、肉体の、魂の、すべてのエネルギーを注ぎ込む。 キャメラはそんな男のドラムスティックを追いかけ回し、楽器が生き物のように力強く動く様を、雨の様に注がれる汗をフィルムに刻む。   ●セッション(短編) 長編「セッション(ウィップラッシュ)」の原型となった短編。 ドラムと無数のスティック痕、扉から近づく者の姿、おもむろにシンバルを撫で椅子に座る。そこには期待と夢を見る青年の笑みが浮かぶ。 雪崩れ込む演奏者たち、挨拶、Bフラット、秒針が合わさるとともに姿勢と視線を正す。 上着を脱ぎ、視線を交え指導が始まる。 唖然としてページめくりに遅れ、水を吹き出す楽器、汗を流す奏者たち。 部屋の白さがまだ息苦しさをあまり感じさせないが、視線を合わせないのは恐怖の現れ、追い付こうと必死に楽譜と睨めっこ、アドバイス、自信を持たせるようなことを言って徐々に苛烈になっていく指導、椅子を投げつけ暴言とツバと平手打ちを浴びせまくり徐々に息苦しく胃のキリキリするような空間に。 厳しい現実の前に涙を流し途方に暮れる青年…しかし本当の地獄はここからだった。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-24 16:15:59)(良:1票)
24.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
初代「ゴジラ」の素晴らしい音楽と咆哮が“そのまま”響き渡るシンプル・イズ・ベストな黒一色のオープニング。 世界よ、これがゴジラだ…と自信を持って言えるのは、上映からしばらく経って“ヤツ”が真の姿を見せた時である。 それまでは能天気な人々の言葉が大量に吐き出され続け、下から映されるペンの山、画面を覆いつくす夥しい文字、押し寄せ川を上る船、道路を埋め尽くす車、飛び散る瓦礫、一枚一枚揺れ落ちる屋根瓦、振り回される人、人、人の群がその瞬間まで徐々に緊張を積み重ねていく。 石原さとみの人をイラつかせる喋り方と微妙な発音も(ry 画面の黒さも怖さを引き立てる中々のもの。  初代「ゴジラ」が怪獣という「個」とそれに立ち向かう人間の「個」の激突だったのに対し、本作は岡本喜八「日本のいちばん長い日」の如く一つの出来事をめぐり「組織」が混乱し立ち向かう。 会議で高みの見物をし、行動を起こす者の意見は軽くあしらわれ、対策が後手後手に回り続ける苛立ちが、画面の向こうで人々が災厄に見舞われる中で募っていく。喋る人間の言葉やそれを紹介する字幕・説明文も高速で過ぎ去っていく。 この辺の件を見るだけで、庵野たちが喜八の傑作のリメイクを撮るべきだったと思わざる負えない。極端なクローズ・アップが多様されるのはかなりうっとおしかったけど。  一隻の小型艇が海面を漂い、そこに乗り込んだ人々の視点ごと吹き飛ばすように巨大な水飛沫が出現する。 紅く染まる水面、“ヤツ”は気づくと背びれを突き出しながら川を上り、また気づくと地中を這い市街地を粉砕しながら前進を続ける。「キングコング」のように激しくのたうち、眼をギョギョロ動かし、苦しそうに叫び、血を流しながら。 観客は突然現れた得体の知れない存在に「誰だお前っ!?」と会議室の面々と共に困惑し、侮り、警戒を続ける。 ソイツが突然“進化”するように起き上がり、眼を小さく鋭くして立ちはだかるのである。動き続けた物体が急に止まる…次に何をしでかすか解らない恐怖と緊張が画面に奔る。  接近する武装ヘリの一団との睨み合い、、引き金を引く指の動き、警笛は列車の接近を告げるのではなく攻撃を躊躇う“理由”が路上を通過することを予告するため。 そして気づくとまた“ヤツ”は消え、海から黒い姿になって再度現れる!初代「ゴジラ」のように徐々に、ゆっくり確実に進んで来る巨大な体躯、自由自在にうねり市街地を横切り蠢く尻尾が語り掛ける得体の知れない恐怖。  口を引き裂かんばかりに顎を開き、コンクリート・ジャングルの底を走るように吐き出される泥のような爆炎、それが光の束、線となって放たれ戦闘機を切り裂きビル群を薙ぎ払い焼き払う瞬間の戦慄! 今まで喋り続けた人々を、暗闇から静かに迫り来る不気味な戦闘機を沈黙させるような圧倒的絶望。コレだ!コイツだ!一切合切何もかも破壊する恐ろしき災厄の化身!ヤツこそが「ゴジラ」だ!!!!!炎に包まれる東京を背に君臨する後ろ姿がもう最高にたまらない。怖いんだけど物凄くカッコイイ。   ゴジラはどんどん熱を上げていくのに対し、人間側は感情的になるのを押し殺すように冷静に仕事を続ける様子が描写される。一滴の汗を流すことさえ許されないほどだ。 拳をあげて怒りを発する者をなだめるように、激高しそうな者に冷たいペットボトルを突き付けるだけでその姿勢が伝わって来る。万の言葉に勝る瓦礫の中に消えた人々への鎮魂、生きている者に向けた首(こうべ)をたれる礼、祈り。 どんな状況でも闘う者たちは飯を喰らい、水を飲み、食事で出たゴミをまとめ、洗ってないシャツを取り換え、資料を整理してひたすら勝機を探ることをやめない。 政治家は政治をし、記者はネタの取引をし、自衛隊は前線で抵抗し続ける。自衛隊は伝統行事のさだめから逃げられないのである。 アメリカも手段を選ばず、ドイツは一言で快諾して協力してくれる。流石元同盟国!  観客を励ますように高らかに響き渡る鷺巣詩郎「ヱヴァンゲリヲン」の音楽、折り紙が導くヒント、過去の悲劇を繰り返さないために、たとえ放射能で埋め尽くされようがマスクをつけ踏みとどまり立ち向かう! 動くはずの無いビルが、本来人を運ぶための列車が生き物のように敵に襲い掛かる頼もしさは何なのだろう。“切り札”をブチ込む様子もあえて見せず効いているのか?いないのか?と思わせ安心させない演出がバツグンだ。  次のゴジラvs人間を期待させるかのような締めくくり、伊福部の旋律に始まり伊福部の旋律に終わる物語。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-11 23:00:40)(良:2票)
25.  キングスマン 《ネタバレ》 
ヘリの攻撃に始まり扉の開閉で締めくくられる死屍累々スパイ映画の快作。歴代のスパイものを彷彿とさせる遊び心と活劇性、そのエンターテインメントへの挑発もふんだんにブチ込む反骨精神。 「キック・アス」から本作でも描かれる親子・師弟関係・何処にも属さず己の道を突き進む強靭さ・復讐・乗り越えるものと受け継がれる意思。 ある者は自分を命懸けで救ってくれた者のために、ある者は自分に進むべき道を示してくれた恩師のために。  スパイという情報を集め、時に非情な選択を迫られる生きるか死ぬかの大仕事。どんな手段を使っても孤軍奮闘で目的を遂げようとするプロフェッショナリズムと魅力的な隠し武器たち。 洋服屋を重火器の詰まった秘密基地に、空を飛び交う飛行機が地上に留まり最前線基地に、酒を毒酒に、眼鏡を盗撮カメラに、傘を鈍器と射撃武器に、時計を麻酔に、指輪を電撃に、ライターを爆弾に、靴をナイフに、義足を刃に変えて全力で駆け抜けブッ殺し合う!  ダイナミックお邪魔します&いらっしゃいませ一刀両断、盗んだ車で逆走チェイス、屋根から屋根へ飛び乗る逃走劇、傘で不良軍団フルボッコ、命懸けのスパイ養成学校、突然襲い掛かる水水水、犬に厳しいスパイ業界、犬に優しく裏切者にゃ容赦なし、壇上に飾られた“相棒”が覚悟を物語る、車を操るのは無駄な争いをさせたくないから。 教会から全世界、全人類、全性別が人種や言葉の壁を越えて殴り合う大スペクタクル!腕があったら取っ組み合い、木材があれば打ち下ろし、刃物があればドアを破壊し投げつけ、頭の中に爆弾あったら大爆殺!!!一体何回爆発すりゃ気が済むんだこの映画はっ!?(褒め言葉) ダイナミック不謹慎花火大会で俺の腹筋も木っ端微塵になってしまった。 鏡も人工衛星もブッ飛ばし、美女の穴の中にも潜りこ(ry  「ジェームズ・ボンド?ジェイソン・ボーン?」 「ジャック・バウアーさ」  夢も希望もなく生きていた不良少年が、生きる道を見つけたスーツに身を包むエージェントになっていく成長振り。エグジーが覚悟を決めた瞬間だ。でも根っこが変わらないところがいい。 スーツに返り血を浴びた後にその場で酒瓶を掴み女をくどきに行っちまうんだからwwwロキシーとのフラグなんてなかった。 あと訓練から裏方、ライフル抱えて援護射撃までこなすマーリンの頼もしさ&気遣い振りに惚れる映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2016-05-07 01:44:54)(良:1票)
26.  ブリッジ・オブ・スパイ 《ネタバレ》 
スピルバーグとコーエン兄弟が組んだのは西部劇「トゥルー・グリット」以来だろうか。 今回は久々にB級的感覚でスパッと撮ってきたような、懐かしい感覚に満ちた娯楽映画を引っ提げて帰ってきたようだ。弁護士が国境を越え交渉人として立ち回る冒険の面白さ。  この映画は脚本の映画だと思うけど、それでも冒頭における追跡のワクワク感よ!これぞ映画だ、セリフではなくアクション(動作)によって語られる追う者と追われる者が繰り広げるスリル。 おもむろに自画像を描く男とその理由、部屋から地下鉄、公園と椅子、再び部屋へと戻っていく追跡の後に待ち受ける展開、コインに隠されたメッセージ、それを守ろうと仕事人として己を貫く姿勢は独房の中でも続けられる。ポケットに手を入れるだけでも射殺されそうな緊張は持続され、観客に寝る暇を与えない。劇中で揺さぶられ続ける人々のように。 法廷から学校の「起立」へ、書類から新聞へ。  冷戦下における疑心暗鬼の時代、信頼を重んじる弁護士に転がり込むトラブル。 かつて「シンドラーのリスト」という映画で労働力としてユダヤ人を雇い、やがて仕事に打ち込む同じ人間として彼らの信頼に応えたくなった男がいた。 この映画の弁護士は最初からスパイではなく、命がけで職務を全うしようとした“仕事人”を助けようと孤独な闘いに身を投じていく。「信頼」を守ろうとする行動に対する弁護士なりの礼として。 信じるが故に涙を流したり勉強に励む子供、信頼に応えるが故に叫び声を押し殺し耐える者、最愛の人を見送る者、依頼を引き受ける者、偽物の不気味な笑みと行進をする者、偽りだったとしても本物の何かを込めた者。  冷戦下における情報戦、これが戦争であるならば先に手を出した奴が殺される。 弁護士にも訪れる追跡者の恐怖、雨粒を防ぐはずの傘は居所を知らせてしまい、寒さから身を守るはずのコートは飢えた若者たちの標的となり、窓にまでかかる水は扉の外にいる監視者の視線を示し、車を猛スピードで飛ばすのは獲物を逃がさずに捕まえさせるため。 壁が敷かれるのは人々を引き裂き、逃亡者を阻み処刑させるためだけでなく、新たな交渉相手の登場を予告するため。戦争の傷跡が生み出す信頼しきれない原因(ソ連がやりやがったベルリン、連合軍がしくさりおったドレスデン虐殺)、黙って見ていることしかできない無力さ。 日常の平穏を破った警告の銃撃が、仕事先でも命を奪いとる。次の銃撃は依頼人にも向けられるかも知れない・・・信頼に応えるため、己の意思を貫くために弁護士も諦めない。 マスコミのフラッシュの嵐は地面に転がる電球を踏み砕くように流し、壮大な釣り、ダイナミック朝飯おごり、風邪をこじらせようがハンカチで何度もぬぐい耐えるように待って待って待ち続ける!  軍人と軍人の、学生と国の存在を賭けた駆け引き、アメリカ軍のフラグ建設作戦と迅速なフラグ回収、恐ロシア。  橋における束の間の再会、別れ、抱擁の有無。   いやーマジで続編出ねえかなー。次はキューバ危機辺りで・・・!
[映画館(字幕)] 9点(2016-01-30 00:37:53)
27.  白鯨との闘い 《ネタバレ》 
捕鯨問題で揺れるこのご時世、長い時間をかけて本作に挑んだロン・ハワードに敬意を表したい。 個人的には中々の力作。あの精悍な漢たちをげっそりするほど追い込み練り上げたのだから!  映画は冒頭の海中を突き進む主、男がある宿に訪ねてくるシーンから始まり回想形式で過去の“闘い”について語っていく。 窓の外で手紙を見せ、小説の創作ヒントを求めて瞳を輝かせる若き作家、過去を封印する老人、扉の外でそれを見守る長年連れ添ったであろう妻。  男たちを海に誘う未知への恐怖と冒険への好奇心、生活を支える脂や肉、名声。野望を抱く男たちの船出は、死にゆく者を送り出すような人々の喪服と鎮魂歌で包まれる。  序盤の冒険へのワクワク感。ヒヨッ子船長に船乗りの身のこなしをアピールする対抗意識、船酔いの荒療治、張り合おうと嵐に突っ込む無謀さ、ベテランと新米の対立、船上で人種や身分を超えて海を生きる者たちの競争・意気投合、銛を打ち込んで海を駆けるような狩り。 経験者は語り、未体験への好奇心が海の男たちを狂わせ、復讐者と冒険者たちを引き合わせる。  勇ましいハンティングの後に描かれる血肉の生々しさが、息をしている者の横に転がる変わり果てた無言の船員が、仲間同士で喰らい合った地獄を容易に想像させる。鯨の臓物を引きずり出して脂を得意気に掻き集めていた男たちですらだ。 富となるはずの脂がもたらす“灯り”、近代兵器が何の役にも立たない大自然で人間も鯨も関係なく平等に殺し合い、くたばり果てる。キャメラも激しく動く船乗りたちを追いきれずに振り切られたり波に飲まれたりと忙しすぎてこっちまで酔いそうになった場面も。  そんな極限状態でも腐りきらないプロフェッショナリズム。 野獣の如きむしゃぶりつき、尊厳も何もかも投げ捨てられ失ったはずの男たちが得たもの、求めるもののため、獲物を発見した瞬間に水を得た魚のように息を吹き返す瞬間!そこにはどんな状況でも最善を尽くそうとする意地が彼らを奮い立たせる。  彼らを支えるエネルギーはなんなのだろう。愛する妻が渡したお守り?生き残るチャンスをかなぐり捨ててまで貫きたかったもの?様々な支えが彼らを散々危険を味わったはずの海原に旅立たせてきたのだろう。過去を背負う老人にしても机の上に刻み込まれた地図! 鯨にとっても大勢の仲間を串刺しにして殺しやがった憎っくき仇。何度も繰り返したであろう怒りの頭突きの痕、執念深い追跡。  “あの眼”を見た男は、一体何を思ってすべてを終えたのだろうか。
[映画館(字幕)] 8点(2016-01-30 00:34:40)(良:1票)
28.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
フランス人は、フランス革命の頃から同じ国の人間同士で差別し、告発し、殺し合ってきた歴史を持つ。 ある者は恐怖に屈してしまい、ある者は恐怖に抗うために戦うことを選んだ。  かつて赤狩りでアメリカを追われたジョゼフ・ロージーという男がいた。 彼はフランスでヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)について「パリの灯は遠く」で描いた。そこには理不尽な暴力に対する抵抗と国を追われた者の共鳴があったのだろう。  そしてこの「一斉検挙(黄色い星の子供たち)」は、フランス人の女性ローズたちによる一つの告白なのだ。  「星」によって差別される日常から映画は始まる。 追い詰める側はあくまで仕事として、作業を繰り返すように政策を進める。まるで感情のない機械のように。ユダヤ人にしてみれば、彼らは自分たちを引き裂き暴力で屈服させようとした恐ろしいマシーンも同然。服をはぎとり、容赦なく殴り蹴ってくる。 彼らも人質を取られていたのだろう。だがそんなものは言い訳だ。だからこの映画にも追い詰めた側の葛藤はあまり描かれない。 「家族を人質にとられててね(棒読み)」 そうかそうか、テメえの面に一発ブチこまれて欲しかったぜ俺はよ。 ヒトラーも家族と団欒しながら何万の人間の四肢をもぎ首を引きちぎる政策を進めていく。  対して、追い詰められる側は感情豊かだ。 歌い、踊り、走り、語り合い、愛し合って。あの小さな子が走る度に軍人や警官に銃殺されるのではないかと何故かハラハラしてしまった。あの子は妖精のように場を和ませ、「この子だけは死んでほしくない」という活力を人々に与えていた。  ユダヤ人狩りは加速していく。公園や職場からの追放、警官隊の不気味さ、銃殺覚悟で生き延びろと叫び続けた御婦人、競輪場に家畜のように押し込められる理不尽さ、医者の無力さ、糞溜めの中に託される希望、消防士たちの勇気、貴重な配給食糧をブチまけてまで脱出者たちを送り出す子供たちの覚悟、走りゆく列車から力なく垂れる手、手、手・・・。  ローズさん、貴方は優しいね。生き残った人々の顛末は多少描いたが、死の描写は少なかった。 彼らを追い詰めた(自殺?何言ってやがる、追い詰めたんだろうが)人々のその後までは描かれなかった。 それ以上追及しなかったのは、あくまで生き延びた人々の体験に沿った映画だからなのだろう。 二度と会えないと思っていた人との再会・失神するほどの歓喜が肉体を突き抜けるほど、死んでしまった人々の分まで何がなんでも生きてやるという瞬間に勝るものは無かったのだと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-23 22:11:37)
29.  クリード チャンプを継ぐ男 《ネタバレ》 
この題名はどうなんだ? ただでさえ前作の原題が「ロッキー・バルボア(Rocky Balboa)」とかナメてんのか今までのナンバリングはどうしたこの種馬野郎(この辺は日本の配給会社GJ)と思ったが、今回は「クリード」である。中身を見るまでは「ロッキー」の続きかどうかさえ解らない。 「ロッキー」は名前だが初見には「クリード」って誰?「ロッキー」を知る者にはそれが最高のライバルの姓だということ、その伝説を受け継ぐ者の物語だということを悟る。   刑務所らしき場所から物語は始まる。扉が開かれ、警官らしき男とそれに連れられた子供たちが入ってくる。 廊下の壁に子供たちは並べられ、その途端に警報が鳴り響き警官は別の部屋に吸い込まれるように駆け出す! 子供たちが騒然となって取り囲む先には拳を交える二人の男の子。馬乗りになった子の激しいラッシュ、警報はゴングとなってレフェリーを呼び寄せ、幼いファイターを退場させる。  キャメラは様々な角度から戦いを映していく。観客がリングの外で下から見上げ、レフェリーが追いかけ続け眼前で見守り、上から実況し、一緒にブッ倒れて気を失うように。  裏の世界でボクシングを続け、表では自分を引き取ってくれた義母のために真面目に働いていたらしい。 まるで光が降り注ぐように白ーいオフィスを見ろよ。野獣どもが取り囲む薄暗いリングを自由に駆け拳をブチこんでいた男が、狭そうなデスクでおとなしく仕事をしている姿を。  仕事を辞めるのは本当に打ち込みたいものに挑みたいから、家族から自立するために。 彼を支えるのは本物の母親と父親がくれなかった女性の愛情だ。彼女は息子の決意を見守る事を選ぶ。  愛憎入り混じる父親たちへの思い。 スクリーンで一緒になって父親を殴りまくるかと思えば、親を侮辱されて思わず殴ってしまったり(リング上で怒りを晴らせる対象じゃないので)、好敵手と戦い抜いた勝負服をもらって誇らしげな表情を見せたり。 とにかく認められたい、プレッシャーに打ち勝ちたい、憧れでもある伝説を超えたい、息子としてじゃなくアドニス・ジョンソンとして自分の拳で夢を掴みたい、何より自分を育ててくれた師や家族のために。 公式の記録上では無敗、だがスパーリングと挑発に乗って手を出してしまう“敗北”は幾度も味わう。 リング上のルールがあればリング外のルールもある。ボクサーはそれを守るのも仕事であり、戦いだ。敗北として受け入れ、己を戒めることで初めて成長できる。  酒場でめぐり合った伝説の男も、誰かのために戦い続けてきた。 付き合いの長い男の頼みを断るのも、先客に対する礼儀のため。妻も戦った“強敵”と戦う覚悟を決めるのは誰かのために生きたいから。  積み重ねられる修行、バイクのウィリー軍団は競争するためじゃない。共に駆け抜けて窓の向うで待つ者に激励を送るため! 女が補聴器を取るのは声を聞きたくないからじゃない。男が話しかけて来るのをひたすら待つことをやめ、今度は自分から愛してしまった男を眼に焼き付けに行く。 彼女もキッカケを生んだ“音”から自立したかったのではないだろうか。もしくはこれ以上ドアを叩かれて破壊されたくなかry  師弟それぞれの戦い、言葉で煽るのは闘争本能に火を付けるため、リングで戦う父親の姿がアドニスに力を与える! ラストラウンドを盛り上げる「ロッキーのテーマ」!   映画は面白かった。だが個人的には不満点も多い。 「女は脚に来るんだ」と初代の名言をもう一度言うくらいなら、もっと脚を駆使して動き回る姿を映して欲しかった。アップの場面が多すぎるんじゃないか?俺は顎をブチ抜かれて脚が震えるシーンとかも見たかったな。 全身が映るシーンにしてもまるで影から見守るというより隠し撮りだ。 補聴器も身振りで強調される場面が少ないので気付かない人も多そう。  特に気になったのが選手が登場する度に「デンッ!」と出てくる選手の情報!んなもん ど う で も い い わっ!! 一瞬の情報にどんだけ書いてんだよ!?読んでる暇が無えよっ!DVDでも再生する度に一時停止しろってか? “プリティ”?ファッキン・リッキー・コンランの登場シーンなんか何なんだよ? 真っ暗闇の中から火を吹く男とコンラン軍団の大行進、青一色の光を浴びて「デーンッ!」笑い殺す気か演出の牛クソ野郎がああぁっ!!!映画館が爆笑の渦に包まれたのは言うまでも無い。  そんな混乱も階段を登りフィラデルフィア美術館が優しく迎え入れてくれるあの瞬間の感動が忘れさせてくれる。 ロッキーは不滅だがな!
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-23 21:45:18)
30.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
皆さんが「スターウォーズ」に持つイメージは何だろうか。 映画史に残る偉大なる古典?SF映画の金字塔?新ソフトが出る度にCGで修正しまくりやがるいい加減にせいや(新規ファンはどれを見ればいいんだよ)?  俺にとって「スターウォーズ」は誰もが“追いかけ”続ける超A級の志で撮られた最高のB級娯楽映画だ! 西部劇、時代劇、サイエンスフィクション・・・様々なジャンルの娯楽がスペースオペラとして一つに結びつく。  J・J・エイブラムスはジョージ・ルーカスたちの意志を継いで(もう二度とCGで過剰修正しないであろう)新しくも懐かしさに溢れた冒険活劇を再び蘇らせてくれた。 個人的には見たかったものがかなり見れて満足している。多少詰め込みすぎた感もあるが、その分密度があって良かった。それでも語りきられなかったものもあるのでそれは続編で楽しむとしよう。 エイブラムスの活劇も今までの「スターウォーズ」と再会するような、“追いかけ”を生む戦いからすべてが始まる。  星々が輝く宇宙、蒼き惑星に不気味な赤い閃光が降り注ぐ。荒涼とした大地に人々がひしめく集落、何かを語り合う老人と青年、ボールのように転がり大地を駆けるロボット。 火の海で捕らわれる者と脱出する者、命を、家族を奪われていく人々。暗黒面の刃は古の大剣か十字架のように赤く輝く。 仲間の死と流血は戦いへの恐怖を植え付け、恐怖を乗り越えるのは裏切るのではなく“見限る”決意によって。連結ケーブルは逃走を阻むためじゃない。格納庫で大暴れさせ一矢報いるために!  砂漠、宇宙船、密林、焼け跡、敵の要塞、吹雪く森で繰り返される戦闘。何処に行っても敵と密告者だらけ。 事件の連続は出会ったばかりの人々を連携させ、引き離し、再びめぐり合わせて強い絆を結ばせるため。 フォースの存在は“音”が鳴り響き、見えない力で締め付けられ苦悶の表情を見せる肉体、警備兵に語りかけ魂を揺り動かし、鉄の塊が空を走ることによって語られる。  希望を探す逃亡者と戦士のようにたくましく生きる女性の出会い。 ジャンク屋は鉄屑を生活資金に、命を繋ぐ飯に、ゴロツキをブチのめす長い得物に変えて砂漠で生き延びてきた。 伝説を蘇らせるのも彼女次第。埃の被ったポンコツを最高の船に復活させ(ミレニアム・ファルコン!)、隔壁を化物から仲間を救う手段として使い、主を失った鉄塊に光を灯す! 蘇る記憶によって、眠っていた能力を使い戦う姿によって観客は彼女が何者なのかを感じ取る。 帰還者も家族を止められなかった責任と愛情の間で揺れる。 あの「新たなる希望」の頃から酒場で素晴らしい一撃を放ってきたソロもだ。出会い頭に躊躇なくブラスターをブチ込むは恨み買い捲りで相変わらず(褒め言葉)だったソロがだ。 彼はルークたちと出会いあまりに優しくなりすぎたのかもしれない。 長年死闘を潜り抜けた相棒も、そんな最高の戦友の選択を静かに見守る。  対話は戦いを避けたいという祈りであり、望む者にとっては儀式となる。 一騎打ちは仇討ちであり、自分の存在を証明するための行為でもある。伝家の宝刀チノ=リとゴリ=オシ! 地割れは命を飲み込むのではなく戦いの終わりを示し、残してきた者の元へ向う疾走によって愛情が憎悪を上回ったことを物語る。 戦士が眠るのは次の戦いによって「覚醒」する瞬間を待つために。続編も楽しみだ。  見たかったものと新たに抱く謎の数々も期待を膨らませる。 癇癪持ちのベイダーモドキとジャンク屋に隠された、戦争が、悲劇が再び繰り返されてしまった、スクリーンの向うでふんぞり返る巨大ゴラムの謎。 ハン・ソロやチューイたちのマイホームへの帰還・継承・別れ・再会。ヨーダの親戚みたいな婆ちゃん、レイア、C-3P-O、R2-D2、アクバー提督、ジェダイの希望まで! んー、流石にあの人は出なかったか。まあ「帝国の逆襲」も新しい仲間って感じの登場だったしね。きっと続編に出てくれるはず。AT-ATの逆襲もきっとあるだろうと信じて。 あとはベイダーの副官の素顔も見たかったな。さぞかし美人なのだろう。 え?ジャー・ジャー・ビンクス?何ソレ?変な骨なら砂漠に転がってた気がするけど。  ●ハン・ソロよフォースと共にあらんことを ハン・ソロについては皆さんも特に心に残ったことがあると思う。 ただ・・・俺は「あの不死身のハン・ソロが?」とどうしても思ってしまう。 「特別篇」でアクロバティックな首の動きを見せてくれたハン・ソロがだぜ?「ブレードランナー」や「インディ・ジョーンズ」でもタフなアイツがだぜ? 「ロード・オブ・ザ・リング」の某賢者と共演したゴラムまでいるんだ。何故か「希望」を感じています。
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-21 22:11:14)(良:1票)
31.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
やっぱマグロ食ってるようなのとは違うな。  ハリウッドにおける“最初”のゴジラ!こういう奴を待っていたんだぜハリウッドよおっ!  何?ローランド・エメリッヒのイグアナもどき?あんなもんは「ジラ」だ「ジラ」!  オープニングの緊張、それにあのゴジラのディティールは最高だった。  ただ、オープニングが終わってから中々ゴジラが出てこねえ。初代みたいに焦らすのは良い。 ただ焦らしすぎ&「やっときたー!」って時に切り替えすぎなんだよボケゴラ。  ええい人間はいい!ゴジラを出せゴジラを!!  それにゴジラよりもオルガズム武藤の方が出番多かったね。 人間ドラマもやりすぎてちょっとくどかった。でも栗林中将(「硫黄島からの手紙」で名演を残した渡辺謙!)の「ゴジラ」を聞けただけでも良しとするか。  もっとゴジラが「ファイナルウォーズ」みたいに大暴れする(特に例のイグアナもどきを吹き飛ばす奴)のを期待した俺にはちょっと物足りなかった。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-27 00:23:34)
32.  メリエスの素晴らしき映画魔術 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスに関するドキュメンタリー映画。  冒頭の「月世界旅行」における月に近づいていくシーンに始まり、1890年代の世紀末のパリの様子、メリエスの生涯や映画環境の変化、リュミエール兄弟、チャップリンに影響を与えたマックス・ランデー、チャップリン、メリエスの様々な作品のワンシーン、アイデアを書いたメモやイラスト、生前の写真や撮影風景をメリエスの肉声を交えながら映していく。   それを手回しのキャメラで見せ、聞かせてくれるような演出が面白い。   メリエスのアイデアが残されたイラストで幾つか気になったのが、首を切った筈の人間が追いかけてきたり、布をかけて女性を消す手品(「ロベール=ウーダン劇場における婦人の雲隠れ」)のタネなど。                実際のマジシャンだったメリエスの豊富なアイデアには驚かされる。  監督したコスタ=ガブラスも語り、ジャン=ピエール・ジュネ、ミシェル・ゴンドリー、ミシェル・アザナヴィシウス、俳優のトム・ハンクスまで様々な人間がメリエスについて語る。  サイレントのフィルムに爆発音とかを入れたフィルムもあったな(このドキュメンタリーのために付け加えたのだろう)。  撮影当時を再現しようとする試みも面白い。  14分を過ぎたあたりでいよいよ「月世界旅行」の話題に。メリエスを代表する映画と言ったらコレだし、自分でカラー化までしちまうんだからメリエス本人もかなりの思い入れがあっただろうな。 スペインのメリエスことセグンド・ド・ショーモン(Segundo de Chomón)によるリメイク「Excursion dans la lune」まで取り上げるんだからガブラスたちも凄いぜ。   ジュール・ヴェルヌの原作の挿絵、もう一つ映画の元になったハーバート・ジョージ・ウェルズ(H・G・ウエルズ)の作品群、エイリアン。 再び挿入される月に近づいていくシーン、トム・ハンクスによる月面に着陸した探査機を背景にした語り。 当時の映画館に詰めかける人々の表情、エジソン、ニューヨークの摩天楼。当時の人々が映画で夢を描いたように、現代を生きる我々は過去の作品に懐かしさを覚え、今を見つめ直す。    「月世界旅行」のカラーフィルムの修復風景。 色鮮やかなカラー、1カット1カット丁寧に着色していく。   空を飛ぼうと挑み続ける人々の姿、宇宙の前の大空、アニメーション、進化していく映画、移りゆく時代のうねり。まるでチャップリンがあの光景を劇場で見ているような編集が面白い。 火災、風刺画、トーキーの時代、見る影もない晩年のメリエスの姿が見ていて辛い。葬儀の一部を収めたカラーフィルムから現代のロケットの打ち上げへ。   劣化してしまったフィルムの様子は寒気がする光景だ。溶けて変色してしまったフィルム。  それを防ぐための作業風景。 フィルムを透明な鍋に入れて、スープのように保存し、フィルムを傷つけないようにフィルムを差し込んで少しずつ剥がし、それを一枚一枚カメラで撮影していく。 デジタル技術の進歩はよりフィルムを蘇らせられる良い時代になったと思う。切り貼り、気の遠くなるような作業、専用の洗浄液・・・どれも映画が好きだからやり遂げられるのだろうな。   最後はカラーフィルムで「月世界旅行」の“あの場面”をもう一度映して終わる。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:58:55)
33.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
「だだっ広い砂漠をハイテンションで走ってブッ殺し合う」という光景が99%続くというだけでも最高に頭がおかしい(褒め言葉)のに、残り1%に凝縮されたドラマの輝きも眩しいったらありゃしない。  砂漠に一台の車、その横で黄昏る毛むくじゃらの男。男は何かに気付いたのか荷物を放り込んで乗り込み、砂漠を走り出す。口にサソリをほおばりながら!  それを追う雲霞の如きヒャッハーども、ひっくり返った車から這い出る男の脳裏に浮かぶ光景、女が車に追われる記憶がフラッシュバックし、男は狩りの得物として連行されていく。 髪を刈られ、ゴテゴテしたマスクを付けられ、肉体に文字を刻まれ、焼き鏝で“奴隷”にされかけ、ふざけんなと言わんばかりに野郎どもをブッ飛ばし、観客もこのワケの解らない状況からマックスが脱出してくれる事を祈りながら見届けるしかないのである。断崖に刻まれた巨大な髑髏の印を・・・。  ヒャッハーどもが巣食う砦を支配する狂気120%の王国。 頭をスキンヘッドにして濃いアイシャドウ(メイクは頭の上まで染まる者も)をほどこし、異様に白い肌をした兵士たち。それを指揮する者は髪もフサフサで格好も自由自在。彼らは強烈な個性によって同一化した集団を統率する。 その上に立つイモータン・ジョーはもっと異様だ。全身真っ白で長髪、腐敗していく肉体を隠すようにガラスの鎧と勲章、マスクで着飾る。彼等は肉体的障害を克服するために自らを狂気で駆り立てる。 砦の中ももの凄い。人間の母乳を集める搾乳機械、地下農園、戦車やバギーといった重武装のイカつい車両が走り回り、人々を狂気に駆り立てる太鼓やロックといった激しい音楽が響き、叫び続ける。  最下層で生きる人々は泥だらけになり、髑髏のマークを象った司令塔から一時的に放出される滝のような水でどうにか生きているようだ。一度の放出量は多いが、人々にとっては奪い合わなければならない一滴一滴。 マックスから抜かれる血も、マックスにとっては生きるか死ぬかの量だが、それを求める人々にはあまりに少ない量なのだろう。 首の後ろやトラックにまでびっしり刻まれた髑髏のマーク。たとえくたばって骨だけになっても彼等はこのマークから逃れられない。冗談じゃねえっ、何がなんでも生きてやらあ、逃げらんねえならソイツをブッ殺して自由をブン奪ってやらあっ!  大砂漠で幾度も繰り返される凄まじいカーチェイス、クラッシュ、大爆発! ジョン・フォードの「駅馬車」を思い出す爆走とアクロバティックさ、バスター・キートンの「セブン・チャンス」や「探偵学入門」を思い出すような素晴らしきクレイジー振り。 自然の渓谷は巨大な要塞や迷路となり、人々は音楽を大音量で奏で、顔にメイクを施して己を奮い立たせる。恐怖をブッ殺すために! ブービートラップ、一瞬の判断、夥しい車両が連なるスペクタクル、ハリネズミのような車や馬のように飛び跳ねるバイク、車両はぐしゃぐしゃに砕け散り、人間は投げ出され叩きつけられ落ちまくり、チェーンソーを振り回し、槍をブッ刺し、火炎放射器や火炎瓶や銃弾をブッ放しまくり、殴り蹴り合い、棒高跳びみたいな「何か」で飛び乗って大暴れ、散々殺りたい放題殺って、超巨大な砂嵐に大激突してくたばりまくる。 馬鹿デカい「エンブレム」と化したマックスは観客と一緒にひたすら地獄を見守りチャンスを待ち続ける。いや、ニュークスに選ばれた時点でマックスの運命は決まっていたのだろう。  砂嵐がマックスたちに与えるチャンスと出会いと殴り合い。謎の花嫁軍団、スポーツ刈りのイカしたトラックの姉ちゃん、ニュークスのように何処か憎めないヒャッハー軍団との楽しい楽しい鬼ごっこ、マックスたちを助けるバイクの似合う黒髪姉ちゃんと婆ちゃんズ。  遠くに見える都市の光景が、マックスたちに追っ手が迫る緊張を持続させる。 彼女たちを縛っていた奴隷の紋章を足蹴にし、鎖を何度も切断し、マスクを投げ捨て、車の中に隠してあった武器を片っ端から集めて撃って刺してブッ放す。奴隷から“人間”になるために。 一人の女性を、一人の赤ん坊の命を巡って繰り広げられる利害の一致と団結、殺し合い。体を張って自ら盾となる命懸けの戦い。 女たちは仲間や子供のために男どもをぶん殴り、子供をあやす母親のように励ます。男たちもそれに応えて命を賭ける。  星空が闇夜を青く染める不気味さ、雨でぬかるんだ大地が何度もトラックを止めるスリル、「007 ロシアより愛をこめて」を思い出す肩越しの狙撃、霧の向こうの爆発が物語る決着。砂漠の海原に消えていく叫び、星空と流れ星が戦士たちの心を潤す。  最後の最後までこの映画は全力で駆け続け、再び戻ってくる。そして男はまたあてのない荒野へと去っていく・・・。
[映画館(字幕)] 9点(2015-07-06 21:01:36)(良:1票)
34.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
銀河から集まったアウトロー集団の大暴れを描く快作。 ダークで主人公がウジウジするようなアメコミは嫌だ、頭からっぽで楽しめるのが見たい!という面々が撮った痛快なカウンターパンチ。  それはかつての西部劇といった娯楽映画にも通じる流れ。 「真昼の決闘」という退屈なクソリアリズム西部劇は御免だよ、という人々に向けて撮られた痛快な傑作「ヴェラクルス」や「リオ・ブラボー」といった流れを思い出す。  ただ、最近のアメコミはダークさとツッコミどころにも溢れた従前たるアクション映画の傑作・良作の方が多い。数十年前より遥かに進歩している事は確かだ。  要は雰囲気の問題。 とにかく単純明快で楽しいのが見たいという人に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を全力でオススメします。   冒頭の病室における別れとレクイエム、膨大な過去が眠るであろう遺跡でダンス、そして踊るようなバトルとそれを盛り上げる“音楽”。 「キック・アス」にも参加したベン・デイヴィスの軽快なキャメラワークも良い。冒頭のお葬式ムードが嘘みたいに馬鹿馬鹿しくなっちまった(褒め言葉)。  時代を超える魂のリズム!クラシックが何百年の時を超えるように、音楽は時代を選ばないし、好きなものに過去も未来も存在しない。その人にとっての現在進行形。それは映画でもアメコミでもアニメでも、すべての娯楽に共通する醍醐味だ。  「スクービー・ドゥー」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」の脚本・「スーパー!」を監督したジェームズ・ガンの演出は楽しい。 今まで参加してきた作品にあった暴力性(ヴァイオレンス)の快感。それを子供も楽しめる生粋のエンターテインメントに仕上げている。 クラシックとアクションが弾ける瞬間!  音楽とダンスは戦闘前にアドレナリンを高めるおまじない。俺には天国のママンがついているぜっ!アジトに殴りこんで獲物を奪い逃げていく見事さ、グリーン姉さん(検索する際は細心の注意を)の大立ち回り、刑務所での大騒ぎと大脱走、次々に増えていく面子。  最愛の人の手を握ってやれなかった幼き頃の悔しさ、今度はもう離さない!たとて氷点下の宇宙だろうと!  え? 横でその他大勢の正義のために立ち上がった面々がアボーンしまくっているって? 主人公のスルースキルがありえないんだぜって? ここまでCG使うならいっそフルCGにしてくれた方が違和感なかったって? 細かい事は気にするな!ツッコミどころの多さもまた楽しんだもん勝ちの娯楽よぉ!  ラストで“生まれ変わった”者が踊りあげる生命のダンスも可愛い&グッとくるじゃないか。  特に好きになったキャラは宇宙海賊ヨンドゥのオッサン。 地味に無双するわクイルたちの事も何だかんだ言って気にかけてくれる。 流石に原作漫画のモヒカン族(インディアン)スタイルはNGだったか。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 21:08:19)(良:1票)
35.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
クソ女vsクソ男によるハイレベルなギャグ映画 デヴィッド・フィンチャーによるまったくもって頭にくる実に不愉快な傑作です。キャラに殺意を抱いた映画は久しぶりだ。こういうフィンチャーを俺たちは待っていた!復活じゃー!  冒頭で女の頭をなでる男の視点。「頭蓋骨」というワードが出てくる時点で既に異常さが漂い、観客を揺さぶりはじめる。 バーの棚にたまったパズル、文字通りのグミ打ち、グラスがカウンターの上を流れると同時に過去へ。 男の回想の次は女の回想。このクソぬるい馴れ初め話で観客のイライラを高めていく。「セブン」の簡素さとは正反対だ。殴りたいほど素敵なクソ夫婦ですね。  人生ゲーム 窓ガラスが物語る事件の匂い ところどころに付着する血痕。 長年一緒に暮らしていた筈なのに妻の事をよく知らない男 妻が消えたというのにこの冷静さ。男も男だった。残された手紙の謎。  図書館「表に出ろクソカップル」  メディアリテラシーに踊らされる民衆、ニュース、Twitterであっと言う間に波及していく。  「笑って」で笑えるワケがな・・・って笑っているし( ゚д゚)。 「俺が嫌いでしょ?」 俺ら「当然だよ」  妹さん、もっと言ってやって下さい。 「女に批判されるのは不愉快だ」 黙れヤリチン野郎!何回S●Xしとんじゃわりゃああああっ!!この男がグラスを割ったところで俺の腹筋も崩壊した。  スイーツ(笑)「素敵ね」 まとも「キモ サイテー」  うおああああ!これが後44分も続くと思った時の恐怖は無いぜ!  ところが、後半はこのダメ夫たちとクソ女によるどちらが先に制すかという駆け引きで面白くなる。  アイドル(偶像)を追いかけまわす群衆の恐怖。 クソ完璧な女を演じるアメイジング・ファ●キン・サノバビ●チ・エイミー。アソコも「ザ・ワールド」! ノエル涙目。  「クソ結婚する」 「君のアソコは世界」 なんて素晴らしい訳なんだ。松浦美奈さんには心から敬意を払いたい。  そしてありがとうDQNカップル。どうか末永く爆発してくれ。良いケツしてやがったぜ。スカートをまくるイタズラに笑顔で応えるのは、二人の関係を暗示していた。 金を奪いやがって酷いだ?いいや慈悲深いぜ・・・指や腕をへし折ったり顔面を粉砕したり殺さなかっただけな。殺されなかっただけありがたいと思うんだな。  監視カメラすら利用する計画殺人はデジーの狂気すら凌駕する。デジー逃げて超逃げて。  弁護士のオッチャン、もっと笑ってくれ。   手のひら返しする人々、血まみれで登場する“アイドル”、音楽自重wwww嘘をつくな嘘をwwww  エレンのクソBBAも死ね。氏ねじゃなくて死ね。  マーゴが可哀想だ。デジーはコイツら殴っていいぞマジで。  ロングショットで薄気味悪い笑みを浮かべる女の顔を。殴りてえー。頭蓋骨カチ割りてー。  だから音www楽www自www重www やめろ!二度と観客の前で脱ぐな!てめえの裸体なんざ見飽きたわ!マーゴの美乳おっぱいの方が見たいわ(意味不明)!!!  冒頭で頭を撫でていた男の視点で、この映画は終わる。男は、妹を守るためにこの女を“受け入れる”しかなかった。  クソ完璧なアメイジング・ファッ●ン・サ●バビッチ・アス・エイミーは、「ゾディアック」と同様に野放しにされる殺人鬼なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-08 21:24:31)
36.  別離(2011) 《ネタバレ》 
我々は一体、イラン出身の傑作を何本見逃し、何本過小評価してきたのだろうか。このアスガル・ファルハーディー(アスガー・ファルハディー)の「別離」は、そんな日本人の意識を変える抜群に面白い傑作の一つになるだろう。  スタートダッシュから言葉で殴り合うような素晴らしい冒頭5分間。 男女の身分証、様々な免許、パスポートをコピー機?が読み取っていく。 頭を覆う布を投げ捨てんが勢いで質問に答える男女。激しい口調で夫婦喧嘩。幾度も交わされる“おはよう”、みぶりてぶりを交え、男は前に出されサイン、女もサインをする。  シリアスな題材ながら何処かユーモラスさえ感じる男女のキリキリしたやり取り。特に女性の撮り方! アッバス・キアロスタミの傑作群にも参加したマームード・カラリのキャメラワークも功を奏している。 口舌の刃で彼女たちは斬り合い・・・いや鉄の塊で叩き殺して黙らせてやりたい気分だ。口論とは時にそういう感情も無意識に抱かせる瞬間がある。そんな表情をクローズアップで見逃さずに撮っている。その感情は徐々にエスカレートしていく。  荷物を鞄に詰めるが、イライラして中々閉まらない。  老人の介護疲れ、夫は仕事で介護から“逃げている”。あろうことか、それを家族ならまだしも他人の女に“押し付ける”始末。 俺だったら遺書を先に書いて「呆けたらさっさと殺して、保険金にでもしてくれ」とでも言っておくかな。こんな状態見ちゃうと。だってじいさんはされるがまま、口をもごもごさせるのみなんだもの。傍観者さ。その傍観者をめぐって家族に亀裂が入っているのにね。 流通するケータイは他の国の“使い古し”、子供たちは布を自由に取るが、大人の女性たちは頭の布にでも拘束されているかのよう。  ランプの上に隠された鍵が事件を起こす引き金にもなる。  ブラックなやり取りも多い。 女はドアを開けて出ていく、男がドアを閉めるとすぐにインターホンを押して帰ってくる。あるある。締め出しても合鍵で“侵入”。あるある(多分)。 娘と父親の階段での競走、酸素呼吸器で遊ぶ娘。じいさんを殺す気かwww無邪気って怖えー。 腕と脚に鎖をした男、不気味に嘲う、娘は怯える。 駆け出す女、老人の徘徊、車に轢かれないかどうかで冷や汗、 家族は楽しくゲーム、女は介護疲れで汗をぬぐう、バスの中でフラつく、一人黙々とゴミ捨て。  そんな女の苛立ちが積もりに積もり、事件は起きる。 バックミラーで娘を確認しての帰宅、いつもの“鍵”がない衝撃、ドアが開かないのは事件の匂い・・・サスペンスフルに描かれる。  「何故こんな事をしたっ!」 夫たちは娘たちを部屋の奥にやる、夫にとっては大事な父親、でも女には赤の“他人”。確かに介護を引き受けたのは彼女だが、男の無責任さにもハラを立てたくなる。 あれだけ近くにいて、男は本当に何も知らなかったのだろうか。  父を洗いながら一人静かに泣く。 家族が崩壊していく事、父がこうなってしまった事に対して何もしてやれなかった・・・様々な苦しみが男を襲う。  病院では口論の末に拳が飛び交う喧嘩になりかける、窓を叩き挑発、目の痣が生々しく残る女性。冒頭の罵り合いもこうなっておかしくない空気だった。 第三者が“監視する”前では口舌の刃で斬り合う。叩き斬ってやる、叩き殺してやるぞ、と。ドアに頭突きをかますほどの苛立ち。 感情を抑えきれずブチ切れ、女に手を出した事を思い出したかのように、空を切るように拳を振りまくる、女もガードするように拳をバチバチ弾く。   娘の車の助手席から見守るような視点。娘たちは傍観者に過ぎない。その傍観するしかなかった娘たちが、クライマックスの突破口を開く。見てしまった真実を、あるいわ嘘を話さずにはいられなかった。  階段でのやり取り、じいさんの窮屈そうなネクタイを取ってやる夫の優しさ。その優しさを妻や娘たちにもっと向けられていたら。  車で女を追う一瞬、クラクションで呼びかけ、女はサングラスをかけて“取り合わない”、他の車に衝突しまいかとハラハラする。  父の元を去っていく娘たち、母親、兄妹、“女”たち。独り寂しくうなだれる父親。 女と男を隔てる壁はない。そこには見えない“心の壁”が二人の間に横たわっているのだろう。エンドロールの“壁”が上がりきるまで、二人はどうなるのかという事が最後まで気になってしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-07 15:33:38)(良:1票)
37.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
この作品にはあらゆる“一瞬”が積み重ねられていく。 TVに映る同時多発テロの様子、戦争で腕を失った少女、義足の青年、棺に刻まれた気休めの勲章。 その一瞬だけ映る筈だったものが、戦友たちにとって一生消えない傷として刻まれていく。隣で体を失った仲間が楽しげに喋っている痛々しさ。五体満足でいる自分が申し訳なく思ってしまう辛さ。 それに幾度も響くドリルの音。日常では工具のドリルが、戦場では風穴を開けて人を殺す武器に使われる。ドリルの音を聞く度にそれを思い出さなきゃならない。 そういった拭いきれない傷跡が幾重にも心に刻まれ、戦場から帰った後もクリスの心を蝕む。 狩りや射的、訓練とは違う。疑わしきは女子供だろうが殺らなきゃ殺られるのだから。 でもそれ以上にゾッとしたものがある。 いつ死ぬか解らないのに、肝心のアメリカは兵士を何度も日常と戦場を行き来させる遠征という名のピクニック気分。兵士にしてもいつ敵に出くわすか解らない戦場で家族に電話をかけるような腑抜けっぷり。アメリカの怠慢がここに描かれ...ってそれをクリスあんたがやんのかよっ! 気持ちは解るよ。でもまさか二度も嫁に電話かけるとは思わねえよ。しかも二度目は戦闘中にだぜ?爆音や悲鳴を生で聞かされる嫁の気持ちにもなってみろよこの野郎。 軍服の前と後ろにドクロのマーク付けた男がそんな事してんだもん。こりゃ敵もクリスの事を悪魔呼ばわりしたくもなるわ。 夕飯振舞ってくれた人たちが床下にとんでもないものを隠していたり、 黒頭巾の狙撃手との撃ち合い(携帯を使って無言で黒頭巾の男に情報を入れる黒服の女性もイカす)、 死んだ男から子供が武器を拝借して撃とうとするのを見て「頼むからやめてくれっ!」と言ってクリスが吐きそうになるシーンよりも戦慄したよ。 それでも狙撃者同士の戦いはやっぱ燃えますよ。見えざる敵をどちらが先に見つけるか、ソイツを“見つけた”瞬間の緊張と高揚!大将首ぶん奪っても終わらない壮絶な銃撃戦、砂埃で視界が利かない中での死闘。 クリスは戦場から帰っても、消えない心の傷が元でいつ犯罪を起こしてしまうか、その矛先を家族に向けてしまうのではないのかという恐怖にも苛まれる。 そんなクリスが子供たちと西部劇ごっこという命を奪う真似事で遊んでいる姿は微笑ましくもあるし、とても悲しい姿に見えた。クリスは死ぬまで銃を片手に過ごしていたのだろうか。
[映画館(字幕)] 9点(2015-02-26 14:17:15)(良:1票)
38.  るろうに剣心 《ネタバレ》 
久々に純粋に面白いエンターテイメントな時代劇に会った気がする。 まるで握手して再会を分ち合うかのような感じだったよ。  大昔の「用心棒」とか「座頭市」とか・・・とにかく「戦う男」を久々に見たね。 「十三人の刺客」のリメイクですらまだ物足りなさを感じていた俺にとって、ここまでやりたい放題やってくれた映画はありがてえ。  明治と武士の時代の変わり目に交錯する様々な人間ドラマ。 それを逆刃の刀が振り下ろす爽快な抜刀劇が盛り上げる。  よく実写でアニメや漫画の迫力を引き出せたなと拍手してやりたい。  キャスティングは「?」とか「!?」とか「ヽ('Д`;)ノ!?」とか思いまくったけど、段々馴染んでいくのが良かったね。 オリジナルの「るろうに」を作っていくという空気がさ。 チンピラに徹した左之助も悪くない。 アニメの時もそうだったけど、それぞれの「こだわり」が爆発していくのが面白い。 原作も飛び上がりまくってるし、ワイヤー演出が自然に感じられた。 しかも所々原作で親しんだ場面が出てくる出てくる。 原作から入った奴も、この映画から入った奴も両方楽しめる仕掛けがたっぷりある。 特に香川のあの狂演! 久々に日本映画でああいう悪党を見れた! ドス黒いスマイル100%でガトリングガンを連射する! もうそれだけ! そんなブッ飛び具合がよく再現+進化してた気がするわ。  ただ、曲が残念。余計な盛り上がりはこの映画にいらない。 黙って斬り倒される男たちの背中が語りかける「無言の声」。それだけで充分すぎるのである。  思い出(原作)は、いつもキレイだけど それだけじゃお腹が空くわ~
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-31 21:53:16)
39.  鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星 《ネタバレ》 
「シャンバラを征く者」の頃とは目的も方向性も全然違う作品。「シャンバラ」はアニメの続き、この作品は独立したオリジナル。  絵の質感は第2期とも原作とも違うタッチ。戦闘シーンの激しさは動きはもとより線の太さも激しく脈打つバトル。 人物はエドとアルを中心にテーブルシティの激闘に巻き込まれる。大佐の出番はほとんどありません。シリアスな笑いです。  話の進め方はちょっと荒っぽいし、錬成法則ガン無視のバトルは別のアニメです。 ヒロインがエドと似たような境遇になる展開も疑問。こんな事をしてしまうと「この娘は何故本編の最終決戦で呼ばれなかったのか」と疑問に思う人も出てくるんじゃないだろうか。 「色々あったけど命は拾った。次に向かって歩いていこうぜ!」的な事を言っている場合じゃない。お父様がほっとかないぞコレ・・・。まさか、その前に彼女の身に何かあったのだろうか。そんな事も思ってしまう。少なくとも原作の漫画版を知らないアニメオンリーの人は。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-30 23:18:41)
40.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
SFアクション好きはとにかく見ろ! そんでもってトム・クルーズ好きは見たほうが良い。 ダグ・リーマンは「ボーン・アイデンティティー」で好きな監督だけど、今回も面白かった。 日本の原作がハリウッドで映画化と聞いて「ま た ハ リ ウ ッ ド か」とネタ半分に見ようと思った一ヶ月くらい前。(小畑健の漫画で桜坂洋&安倍吉俊の「All You Need Is Kill」知りました) ・・・そう思っていたら何と「ボーン・アイデンティティー」のリーマン監督じゃありませんか! そしてトム・クルーズ。こりゃあ見るしかないじゃない!向こうで“ケイジ”だとニコラス・ケイジくらいか?  この人本当に50のオッサン?アクション凄すぎバロス。この人の存在自体が一種のギャグ。 いや、キャスティングは良いと思うぜ。というより、髪型が良い! ヒロインも髪結んでて、激しい戦闘で「バサアッ」て感じだろ? very good. 俺は原作の「軍人のクセに髪多いんだよ 前髪邪魔だろうが」って部分だけ気に入らなかったから。(スイマセンね根性捻じ曲がってて)  タイムリープものは小説だと「愚者の渡しの防御」とか「時をかける少女」、 映画だと「素晴らしき哉、人生!(リプレイ)」とか「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「恋はデジャ・ブ」と色々あったね。  「清水港代参夢道中(續清水港)」とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はタイムスリップで少し違うかな。   それと原題「Edge of Tomorrow」なのね。   ま ぎ ら わ し い 。   ストーリーはオリジナルの部分も多いけど、わりかし原作に沿ってる。 その分原作を読んだ人はサクサク楽しめるし、未読でも原作を読みたくなるくらい面白かった。 つうかヒロイン殺りすぎ(色んな意味で)。  シリアスとギャグのバランスも良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:36:16)
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