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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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521.  007/スペクター 《ネタバレ》 
-Spectre- specterのイギリス読みで“幽霊”。タイトルを象徴するようなお祭り『死者の日』から始まるのがまた格好いい。 今回でクレイグ・ボンド・シリーズ最後のレビューです。シリーズ共通だけど、5作品とも前半に印象的で派手なアクションシーンが入り、今回の007スッゲー!!ってなり、後半のアクションは平凡なのか、あまり記憶に残ってなくて、再見して『あぁ、こんなだったな』ってなるパターンだったと思う。  007シリーズの魅力は、派手なアクションはもちろんだけど、世界各地の美しい映像を流して、まるで世界旅行をしている感覚を味わえる事。今回はメキシコの死者の日。有名なお祭りだから、なにかで観たことはあるけど、流石にあの巨大な骸骨の山車を中空正面から捉えるカットは旅番組レベルでは観た記憶がない。そこから5分強のワンカット撮影で、異国のお祭りの賑やかさ、路上の雑多感、イベントを楽しむ観光客なんか観ながらの旅行気分を。美女を放っておいて屋上を軽やかに移動するボンドの格好良さと、任務の緊張感をいっぺんに味わえる。屋上にて、さっき路上で観たお祭りの続きが観えるのも、その世界に入り込んだ感覚を味わえて、シリーズイチ素晴らしいオープニングだったと思う。 ・・・と、ここまで書いてあの死者の日のパレードが、2016年から始まった新しいイベントだったと知った。つまりメキシコ人がスペクターを観て、「映画のアレ、カッコよかったから、死者の日に実際にやってみるべ!」ってなって開催されたと知った。あのパレードももっと昔からあるモンだと思ってた。外国の映画をそのまま自分たちの文化に取り入れるって、メキシコ人凄い。 OPのメキシコはもちろんだけど、ローマの街をスーパーカー2台が駆け抜けるカーチェイスは豪華だし、アフリカの列車の旅は絵葉書のように美しい。雪山の上のガラス張りの病院(レストランだそうな)は、雪国育ちには光熱費が心配になる建造物。世界って広いな。  悪の組織の会議、怪力男、ボンドカーや腕時計などの秘密兵器、ネコ、タコ…本作は前作以上に歴代007のオマージュ、ある意味スパイ・アクションの王道的な描写が多い。カジノ・ロワイヤルがリアル路線で成功したことを考えたら、前作スカイフォールくらいのほうが、バランスは良かったかもしれない。 オーベルハウザーは優しそうな容姿のせいか、ボンドを苦しめる強敵の印象が弱い。あの痛そうな拷問の効果(結局ノーダメージだったの?)もイマイチわからない。最後のヘリの撃墜から逮捕の流れも、そこに行くまでもうひと絡みくらい欲しかったし、スペクターという組織の根の深さを伝えるために、もう一作くらい作ってほしかった。 引退したボンドがボンドガールを隣に乗せて、DB5で去っていくエンディングは、シリーズの締めくくりとして、とても良かったと思う。このあともう一作出来たけど、この終わり方が私の考える理想的な最後だった。
[映画館(字幕)] 7点(2022-01-14 00:09:05)
522.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 
たまたま最近、産まれたばかりの子供を誘拐して育てる映画が続いたけど、こちらのお母さんは娘に復讐を植え付けるという、最悪の幼少期を過ごさしている。 -この子の七つのお祝いに- は、童謡の“とおりゃんせ”の歌詞の一部からだろう。子供の死亡率が高かった昔のこと、七歳までの子供は神と人の中間みたいな存在と考えていたらしく、無事に七歳を過ぎれば、その子は大人になるまで成長できる。との言い伝えがあって、七五三のお祝いなんかがその名残らしい。  作中の本当の麻矢も四ヶ月で亡くなっている。“鼠に噛まれて”という今の時代では考えにくい悲劇が、戦後の貧しい時代をまざまざと感じさせる。真弓は精神を病んでいたにもかかわらず、誘拐したきえを七歳まで(=人としてきちんと生きていける年齢まで)育て上げること、復讐を植え付けることをを生きる糧としていたんだろう。たぶん真弓は、自分の幸せを奪った高橋の元妻のみやこが死んだことも知らずに死んだんだろう。  手相占いの才があるゆき子が、手形をモトに父を探す設定も、親子の手相(遺伝)で謎解きするのも面白い。けど手相や手形が重要なキーワードなら尚の事、幼少期の自分の手相が他人(本当の麻矢)のものだって、気が付かないものだろうか?手相って子供と大人で特徴が消えるくらい変わるんだろうか?って思う反面、自分が真弓の子じゃないなんて、母を疑う気持ちもなかったんだと思うと、“操り人形”ゆき子の生涯がとても悲しく思える。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-01-13 23:00:22)(良:1票)
523.  プラネット・テラー in グラインドハウス 《ネタバレ》 
Grindhouse=アメリカでB級映画を2~3本同時上映する映画館の事らしく、その中で上映されている-Planet Terror-という映画。という設定。“恐怖の惑星”とか、そんな意味だろうか?本作の原因の化学兵器はDC-2“プロジェクト・テラー”だから、もしかしたら、配給会社がシナリオをいい加減に流し読みして、プラネットとプロジェクトを勘違いしたままタイトル決定したって、設定ネタなのかも? 初っ端のマチェーテ。デスペラードで観たシーン入れてくるとか笑うわ。架空の映画なのにストーリーがしっかり伝わる所がフザケながらもちゃんとしてる。  画面や音をザラザラさせてB級テイストを出してるけど、カメラワークは決まってるし、CGも最新技術で、病院の舌のシーンとかきちんとグロい。裏切り者のキ○タマ集めて瓶詰めにするとか、美女の足にマシンガン付けて暴れさせるとか、アイデアと下品さとセクシーさはB級臭プンプン。 副保安官トロ役のトム・サビーニは相変わらずで、中指失って結婚指輪を中指につけるとことか、わざとだろー。 あと久しぶりにマイケル・ビーンを観られたのが嬉しい。全盛期の面影がきちんと残ってて安心したのと、どこかで兄を裏切るんじゃないかと思ったけど、最後まで良い人だったのが良かった。  軍人と科学者。ダンサーと元カレ。医者夫婦。保安官と兄…いろんな登場人物が、なんやかんや皆んな集まって(肝心なところのフィルム紛失とか手が込んでる)大惨事からの血みどろの戦い。トロに撃たれる保安官。よく分からないけど凄いエル・レイ。ゾンビに囲まれての脱出劇。炎と血と肉が飛び散る出血大サービス。そんなに怖くないし、頭空っぽにして、ボ~~~~~っと観るのにちょうど良い。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-09 18:48:44)
524.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
-Sicario-スペイン語、メキシコで“暗殺者”を意味するそうな。 オープニングのFBIとSWATの突入シーンから緊張感が高まる。35人以上の死体が練り込まれた家ってどんなだろう?って思ったら、ニュースで上空映像入れてくれる親切さ。 フェニックス州の乾いた土地の普通の家に、あんな沢山の死体と爆弾のトラップがあるなんて。 エンドレスで掛けたら滅入ってしまいそうな音楽も、緊張感を高めてくれて素晴らしい。 あれよあれよと“修羅の国”フアレス市に突入していく展開が見事。メキシコと言えばソンブレーロ被った陽気なメキシカンがタコス食べてコロナビール飲んでる印象だったけど、ネットの怖いサイトに、マフィアの処刑動画とかがいっぱい出てて、近年ガラッと印象が変わってしまった国でもあり、そんな“怖いメキシコ”を題材にしたこの映画は、ネットで見た現実とリンクした恐怖と緊張感を感じさせる。  国境を超えたギレルモ引き渡し作戦は、まるでブラックホーク・ダウンのような緊張感。デコボコの道。高架に吊された死体。市民はスカッシュして遊んでる。「爆竹じゃないぞ」銃の音。「危険なのは国境だ」。並走してたパトカー消える怖さ。国境越えて渋滞で進まない車列。先手必勝は違法行為。凄い。 テッドの豹変も怖かった。国境を超えたこちら側にも犯罪は根を張っている現実。麻薬カルテルをコントロールするためにFBIを利用するCIA。夕闇に消えるデルタ部隊の映像の美しさ。ケイトたちに見せる予定の派手な銃撃戦。見せるつもりのなかったその先。汚いものの先に更に汚い現実。銃を突きつけての誓約書のサイン。 トランプ元大統領が国境に壁を作るって言ってたけど、この映画見たら反対する理由が思いつかない。 本当によく出来た怖い映画だ。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-01-09 17:37:56)
525.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
-The Birds-“鳥”シンプルで想像力を掻き立てられる良いタイトル。よく“ヒッチコックの鳥”って呼んでたっけ。 ホラー映画耐性の弱い子供の頃に観て、目をくり抜かれたダンの死体が脳裏に焼き付きました。他のどの映画の登場人物名は忘れても、『鳥のダン』だけは忘れなかったな。 数年前整骨院に通ってた頃、まだ20代後半の先生が「こないだ電線にカラスがグジャグジャって何十羽と固まって居て、もうホント“うわっ…鳥だっ”てなって…」と、平成生まれの子が例えに使うくらい、今でも有名な映画なのかな。 動物パニックホラーの先駆け。白バックにカラスが飛び交う羽音だけのオープニングの不気味さ。鳥は人間の友だち≒ペットショップの鳥コーナーから映画が始まるところ。“鳥”のあと、沢山の類似ホラーが作られたけど、1963年のこの映画の時点でスタイルが完成されていたのが凄い。  鳥のホラー映画だけど、最初にカモメに襲われるまで約26分と結構引っ張る。パーティ会場を襲うカモメの大群から本領発揮。身近な生き物だけに怖さが増す。暖炉のエントツから部屋の中に入ってくるスズメとか、木の板を貫くクチバシ攻撃とか、ワンパターンにならない工夫と映像のインパクトが素晴らしい。 小学校のジャングルジムに無言で集まるカラスたちの映像の怖さと言ったら…そもそも、あの映像どうやって撮ったんだろう? 鳥が人間を襲う理由がわからない。そんな鑑賞者の疑問を鳥の専門家が答える。「鳥に集団で人を襲う知能はない」ますます意味がわからない。「鳥は世界に1000億羽いるのよ」…当時の世界人口は30億人くらいかな。1人40羽くらい倒せば…なんて考えてると、部屋で20羽くらいのカラスやカモメに襲われるメラニー。あぁ無理だ。こんなの10羽でも倒せないや。身近な生き物が死物狂いで襲ってきた時の絶望感。 家の周りを取り囲んだ鳥たち。あの時襲いかからない理由も解らなくて、逆に怖さを演出していた。その鳥たちを刺激しないように、ペットのラブバードは連れて、そぉ~っと車で逃げ出すエンディング、謎が謎のまま終わるエンディングがまた秀逸。  目をくり抜かれて死んだダンもそうだけど、ガソリン・スタンドで焼け死ぬ男とか、直接的な痛々しい死(死体)を見せるあたり、ヒッチコック映画らしくないかもしれないけど、サイコ、裏窓に続くレビュー数(≒知名度)から、存在感とインパクトは抜群なんだろうな。
[地上波(邦画)] 7点(2022-01-09 16:24:36)
526.  エクスペンダブルズ 《ネタバレ》 
-THE EXPENDABLES-“消耗品”。 かつて映画ファンを熱くさせたあのヒーロー達が、当時の世界観のままに年齢を重ねて登場。まるで同窓会の会場で扉が開く瞬間のような、そんな映画。 もうね、ドルフ・ラングレン≒イワン・ドラゴって刷り込まれてる世代には、スタローンとラングレンが再び共演するってだけでワクワク。そんなに出番は無いっちゃ解っていても、シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスも登場するってなったら、もうフェスティバルのカーニバル。更にリー・リンチェイにミッキー・ロークと容赦ない豪華ラインナップ。もう2000年代のアクションスター、ジェイソン・ステイサムでさえ小僧に見える。 夏休みのまんが祭りの『マジンガーZ対デビルマン』や『ウルトラマンVS仮面ライダー』、畑は違うけど『U.S.A.for AFRICA』や『猪木VS馬場』みたいなモンで、内容がどんなに塩っぱくても、薄っぺらくても良いんです。もうこの、本編を見る前の期待感から、映画は始まってるんです。  最近のバリッとした2010年のアクション映画だけど、薄~いメッキを剥がしたら、あらら80年代のアクション映画そのまんま。 自虐的なタイトルから連想されるように、全盛期からおよそ20年以上も経って、当時と同じことをしてる馬鹿馬鹿しさ。 話次第では将軍と協力して共に戦う事も出来ただろうに、アタマは使わず己の肉体だけを使い、ただただ敵を倒す単純さ。 この映画を観ると、自分たち(アメリカ)の正義を一方的に押し付ける80年代のアクション映画が、どうして廃れたのかが見えてくる。 そこまで含めての自虐映画だと思う。 スタローンがこの映画を作ってくれたことに満点を付けたいけど、5~7点を目指して作られた映画に10点は失礼なんで(そうか?)、7点にさせて頂きます。
[地上波(吹替)] 7点(2022-01-09 15:15:26)(良:1票)
527.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明 《ネタバレ》 
-Once Upon Time In China-“むかしむかし、中国では…。” 黄飛鴻、実在の人物で、ジャッキー・チェンの酔拳(吹替版)で言うところの“ヒコウ”です。あちらがコミカルなカンフー・アクションだったから、こちらはタイトルのイメージとツイ・ハーク監督ってところから、ファンタジー要素が入った歴史ものかと思ってた。けど、どちらかと言うとこちらもカンフー・アクション映画だった。  西洋文化が入ってきた矢先の清の街、各国が入り乱れるごちゃごちゃした感じを再現したセットが良い。西洋らしいレストランの天井の手動シーリングファン。清らしい商店街の木製看板。宣教師のハレルヤVS清の弦楽器対決。独特の“火の用心”おじさん。 歴史ものっぽく始まるオープニングの龍の舞から素晴らしかった。爆竹を銃撃と勘違いしてフランス軍(?)が発砲なんて、まさに当時のあるあるネタっぽい。この時フランス兵笑ってるし、当時の諸外国からの清の扱われ方が出てるかなって。ウォンたちも撃たれた人より舞のほうが大事みたいで(脅されただけで死んでないのかな?)、その辺の価値観が興味深かったけど、特に掘り下げない。 イム師匠、自分の信念を貫いてるっぽく、道場破りまでは格好良かったけど、ウェンの手下になってからどんどん小物化して株を下げてしまうのが残念。最後の見せ場、梯子を使った戦いが素晴らしいだけに、格好良さを貫いてほしかったな。  提督「アメリカには本当に黄金があるんだろうか?」ウォン「アメリカに黄金があるなら、なぜ中国に来るのでしょう」ごもっともです。この時代(~清朝)の映画は、今のよく分からない中国でなく、私達が脳内でイメージする、いわゆる中国4000年の歴史が感じられる。この映画を見る限り、アメリカだ、イギリスだ、西欧各国が我が物顔で中国で好き勝手したから、色々嫌になって、今の中国になる道を選んでしまったのかと、そうも思えてしまう。 難しいことは抜きに、カンフー・アクション映画として楽しむのが良さそう。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-09 12:16:51)
528.  わたしは生きていける 《ネタバレ》 
-How I Live Now-“今の私の生き方”。 他人とのコミュニケーションを拒絶する少女が、自然と隣り合わせの環境で暮らす従兄弟たちとの交流で心を開く。そこに第三次世界大戦が勃発し…って感じだけど、背景の戦争の状況がよくわからない。 最初の空港シーンからライフル持った兵隊がガヤガヤ居たり、家までの道のりに軍用車がたくさん出てきたりと、開戦直前の不穏な空気はよく出来ていたと思う。核の表現(強い風とズンッという重い音、死の灰、その後の雨。)は、アレはアレで怖かった。けど、その後は人体にも街や森にも核の影響がなく、世界規模の核戦争なのか、ロンドンだけたまたまテロに遭ったのかも解らない。水が飲めないのは放射能ではなくテロリストが汚染したって。検問でのユルい銃撃戦、旅客機の墜落現場、訓練基地?で袋詰めの死体。一貫性のないチグハグな戦争描写から、どこのどんな組織を相手に戦争しているのかが全く見えてこない。戦争から連想されるインパクトのある映像(ただし低予算)を詰め込んだだけに思える。いくら子どもたちだけが主役のドラマだからって、ニュース映像を増やすとか、新聞記事を差し込むとか、大人同士の会話から連想させるとかして、世界観の骨格・背景はしっかり作ってほしかった。 だけど幼いパイパーが可哀想で。エディーに会いたい気持ちから、パッパカパッパカ先に行くデイジーに頑張ってついていく。休みたいといえば怒られ、汚染のせいで水も飲めず。靴擦れで血まみれの足を黙って拭いて、泣き言を言わずに歩きだす姿がなんとも健気。  シアーシャ・ローナンの表情の変化が素晴らしい。冒頭のロック好きな少女の時は、全ての事が退屈そうで不機嫌さを隠さない表情を。従兄弟たちと打ち解け、エディーを好きになってからは、年齢相応な喜怒哀楽がはっきり伝わる表情を。収容施設のような強制労働(…と言うには自由度は高い)の最中は感情を抑えて、まるで空気みたいな表情を。サバイバル生活では“家に帰る”という強い意志を感じさせる表情を。家に帰ってからはエディとパイパーを守って生活を再建させる、母親のような表情を見せてくれる。それぞれでメイクが違うのもあるけど、状況に合わせた彼女の演技力を堪能する、イメージムービーのような気がしないでもない。  恋愛描写は古典的というか、ラノベ的と言うかアニメっぽいと言うか。お互いに怪我をした指を舐めることで、相手への感情が戻る表現は世代を問わずわかり易いと思う一方、頭の声とか土に埋められたエディーの夢とか、この超能力みたいな表現は最後まで説明がなく、どういう意味だったのか判らなかった。 この作品はティーン・エイジャー向けな映画なので、肝心の若い人がこの映画を見て、戦争は怖いなとか、人を好きになるって良いなとか、そう思ってもらえたら成功だろうから、いい年した大人がモチャモチャ言うモンじゃないって気もする。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-01-08 19:21:18)
529.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
-八日目の蝉-というタイトルの意味に色々な説があるようだから、決まった答えはないんだろう。私は“本来は与えられない時間”と解釈した。蝉は八日目を迎えられない。でももし八日目があったら?という意味なのかと。それは希和子にとって、自分が産むことの出来なかった子との時間。薫と名付けるつもりだった、中絶したために産まれて来なかった娘と暮らす時間なんだろう。  誘拐。最初は秋山家への突発的な復讐心からの行動だったろうけど、不倫相手への執着よりも、子供に対する母性が勝ってしまったんだろう。秋山に身代金や何かを要求するでなく、希和子にとって恵理菜は薫となり、掛け替えのない四年間を過ごすことが出来た。 裁判での、まるで秋山夫婦を見下すような感謝の言葉は、娘との“本来は与えられない時間(八日目)”を過ごすことが出来た、希和子の本心と思えてならない。もうそれだけで、あの四年間の思い出だけでもう充分だから、出所後に当時の写真を取りに来た。もとから成長した恵理菜と会うとか、そういう考えは無かったんだと思う。  恵理菜の母親は逆に、奪われた時間が戻ってきた。誘拐されて生死不明の娘が四年後に戻ってきた。これもまた“本来は与えられない時間(八日目)”なのに、こんなに嬉しいことはないハズなのに、失った時間を埋められないまま、空回りした母性。 他の蝉が見られなかった“八日目”が、必ずしも幸せな時間ばかりとは限らない。 そんな二人の母親に育てられた恵理菜。不倫関係から出来てしまった“望まれない子”を自分の境遇と重ねて、堕ろす決意で産婦人科に向かった恵理菜。だけどお腹の子に“八日目”を与える決意をする。生まれ出る前に目覚める母性。記憶の奥底に封じ込められた希和子から与えられた愛情。  永作博美の演技が素晴らしかった。写真館で、顔を上げるあの数秒はホント神がかっていた。薫と過ごせる時間がもう僅かしか無いことを肌で感じている表情。あんな素晴らしい感情表現が出来る女優なんだ。 小池栄子も素晴らしかった。猫背気味で自信なさげに恵理菜の跡を付いて回る姿は、私の知ってるタレント・小池栄子ではなく、安藤千草という男性恐怖症の一人の女性をしっかりと演じ切っていた。 薫ちゃん役の子が「暗いねえ~。怖いねえ~。」って言う言い方が、私の友だちそっくりで・・・彼女私より2つ歳上なんだけどね。 “見上げてごらん 夜の星を”のシーンで泣いた。この歌だったんだ。恋愛や不倫は男と女がするものだけど、その先に女は母性が目覚め母親となる。子を産めなくなった母親に芽生えてしまった他人の子への母性。「その子はまだご飯を食べていません!」あまりに悲しい別れの言葉。とても良い映画でした。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-01-06 00:44:23)(良:2票)
530.  バットマン(1989) 《ネタバレ》 
クリスマス感を味わいたくて、昔を思い出しながら観ました。 '89年の年末は、ゴーストバスターズ2、ビオゴジ、バットマン、BTTF2が次々公開。2G2B対決と銘打たれ、映画好きには期待感ハンパないシーズンでした。 このなかで唯一続きものじゃないバットマンは、ダークホース的な存在だったけど、プリンスのサントラ・アルバムが先行販売されるカタチになり、あの印象的な黄色と黒のバットマン・マークの認知度も高くなってたのもあって、公開前からとても斬新でとてもオシャレな映画の印象があったっけ。  タイツを履いた子供向けなヒーロー映画のダサい印象を、黒いラバースーツのバットマンが変えたと思う。 今でこそコメディ要素が感じられるけど、当時は影を背負った大人も楽しめるリアルなダークヒーローとして復活させたのもインパクトが有ったし、漫画チックな悪役ジョーカーをアカデミー俳優のジャック・ニコルソンが怪演したことも話題になって、なんか大人が本気で創ったヒーロー映画って感じが良かった。 ヴィッキー・ベール役のキム・ベイシンガーの魅力&脚線美が炸裂。劇中ハイヒール3回も脱いでます。戦場写真を撮っていた設定に対し、すぐ悲鳴を上げるとことか、水を掛けられたジョーカーの背中をポンポンするとことか可愛い。  ティム・バートン作品らしく、メカ、美術のこだわりも強く出ている。退廃的なゴッサムシティのヤバさ、空気感。森の中を走るバットモービルの格好良さ、飛行機(名前わかんない)が月と重なる美しさ。 ジョーカーがヴィッキーにプレゼントするガスマスクのリボンが緑と紫なのとか、凄いこだわりだと思う。  これまた全然クリスマスな内容じゃなかったけど、エンディングに流れるプリンスのスキャンダラスが、セクシーで素晴らしい。 ストーリーがしっかりしていて、それでいてオシャレで、とても満足度の高い大好きな映画の一つです。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-01 18:06:41)
531.  ゴーストバスターズ(1984) 《ネタバレ》 
-Ghost Busters- “幽霊撃退業者” 今年のクリスマス映画に選んだのがコレだったんだけど、あんまクリスマス感無かったや。 公開された'84年のクリスマス・シーズンには、本作とグレムリン、'84ゴジラで『3G対決』って言われて賑わってたっけ。 ユニークなマシュマロマンのキャラ人気から、学校ではこのゴーストバスターズが一番人気だったけど、観た人の反応はどこかイマイチな印象だったような。  3人組が大学をクビになって、ゴーストバスターズを始めるのは良いし、街にゴーストが溢れてる展開も面白い。あんなゴーストが身近にワラワラと居たら、そりゃワクワクするよ。 だけど話が進んでいくと、なんだか違和感が。主人公達の捕まえたゴーストたちが、いわゆる電源オフで逃げ出せるような捕獲方法なのはどうなんだ?もし停電でも起きたら、ペックが電源を落とすまでもなくゴーストが逃げ出していたと思うと、ゴーストバスターズの処理方法、管理方法って杜撰じゃないかな。 一度捕まえたゴーストが散らばっても、まぁ一度捕まえた連中だしって思うけど、話がゴーザの復活になってくると、もう街は放ったらかしで、戦いの場はディナのマンションだけと、だんだんスケールダウンしていく感じ。  レイのズボンを下ろすゴーストとか印象深かったけど、アレ結局なんだったのかな。最後ゴーザを倒して、街は平和になったぜ!って感じのエピローグのあと、緑のゴースト(スライマーというのか)が飛んでいくの、映画のエンディングでは有りがちだけど、あれって街に放たれたゴーストたちとゴーザは無関係ってこと?じゃあ街にはまだまだゴーストがわんさと居るの?あんな大団円っぽい終わりなのに? 4人目のウィンストンを入れた意味も謎。10人グループの中の3人が主役とかなら解るけど、4人グループの3人が主役って、どういうメンバー設定だろ?  人気があったから2が作られたのはともかく、のちのちリブート作や同窓会的な続編まで作られる事に驚く。…そこまでオイシイ作品かなぁ? シリーズはともかく、本作品は飄々としたビル・マーレイの魅力と、まだまだ仕事を選ばないシガニー・ウィーバーの体当たり演技は今見ても色褪せない。 そして印象的なテーマ・ソングはもちろん、フル装備で人混みを駆けていくゴースト・バスターズ。夜のマンハッタン橋を走るECTO-1(専用車)などなど、数年に一度観たくなるシーンも多く、魅力的な作品ではある。
[地上波(吹替)] 5点(2022-01-01 17:16:18)
532.  白い恐怖(1945) 《ネタバレ》 
-Spellbound-“呪文で縛られて”“魅せられて”。  OPで精神分析を当時の現代医学として紹介しているから、きっと、心の病気を現代の魔術になぞらえて、前者のような解釈になったのかも。併せてカタブツのコンスタンスが謎多きエドワーズ先生にアッサリ恋に落ちるところから、後者の意味も捨てがたい。  全盛期のイングリッド・バーグマンの美しさと、まだ新人のグレゴリー・ペックの若さを堪能できる。 定番だけど異なる筆跡、精神が不安定なJBにカミソリを持たせ、犯罪者とミスリードしてのブルロフ博士とのやり取りなど、なかなかスリリング。今の目で観ると、分析結果にちょっと決め付け感を感じるけど、事件解決に精神分析を取り込んだのは当時としてはかなり斬新だったんだろう。 そっちよりストッキングの破れだの、指のマスタードだの、初デートの顛末をあれこれ詮索されるのキツい。  ダリの絵画のような夢の中を、セットや合成を多用して映像化したものは、リアルな夢の世界って感じでなかなか見応えがある。…って思ったら、ダリ本人が制作に関わってたんだな。びっくり。 それと幼少期のトラウマな回想シーン、止まれない、避けさせられない。は、こちらまでゾワッとする見事な見せ方だった。 一方で現実世界の合成(スキーの場面)にリアリティが無いのは、当時の技術的な問題としても緊張感が無い映像。 それと最後の拳銃。変なアングルだなぁ?と思ったらクルリンと向きを替える違和感。何か実験的な映像に思えた。 夢のシーンと回想シーンがリアルで、現実シーンがウソっぽさ丸出しって、どこかチグハグな感じが、今としては面白いかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-01 16:36:58)
533.  皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 《ネタバレ》 
-皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ-いきなり日本語タイトルがババ~ン!! だけど実際、皆は鋼鉄ジーグでなく“スーパークリミナル”って呼ぶんだよね。アレッシアも“ヒロシ”って呼んでるね。 原題-Lo chiamavano Jeeg Robot-“ジーグ・ロボット(鋼鉄ジーグの伊題)と呼んでいた”…変わらんね。  世代が違い鋼鉄ジーグ観てないから、アレッシアが挙げる登場人物の名前に全く反応出来ず。知ってたらクスリと出来ただろうか? 予備知識無しで見た結果、まさかの変身ヒーロー物の映画だったけど、主人公と鋼鉄ジーグに共通点は無く、たまたまアレッシアがハマってるアニメを怪力エンツォに重ねただけっていうのは、斬新な気がしないでもない。  エンツォが怪力を手に入れて、最初にするのがATM強盗ってのがまた、今までのヒーロー物にない、鑑賞者突き放し感がある。 ただケチなチンピラが急に生き方を変えるでなく、アレッシアとの生活で徐々に徐々に変わっていく様子は共感できて、段々とエンツォに魅力を感じるようになってくる。観覧車のシーンは良かったなぁ、あそこは凄く良い。 アレッシアが一生懸命編んでたものが、手袋か何かかと思いきや鋼鉄ジーグのマスクだったのは、なかなか斜め上を行っていた。…マスク編むか?普通。  アレッシアの死からアッサリ終わるかと思いきや、ジンガロも同等の力を手に入れる、ヒーロー物らしい展開は予想外。 ただこれ、タイトルに鋼鉄ジーグ入ってなかったら観る機会激減だったかも。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-01 15:51:48)
534.  ショート・サーキット 《ネタバレ》 
-Short Circuit-“漏電する” 懐かしい!眉毛のあるロボットがとても生き生きしていて、小さい頃すごく気に入っていた映画。警備隊に蜂の巣にされて泣きそうになったっけ…  あのロボット(S.A.I.N.T.というのか)、ラジコンとかパペットとかだと思うけど、ホントどうやって動かしてたんだろう?表情がとても豊か。あんなシンプルな顔なのに、やはり眉があるからか、自然に喜怒哀楽を表現出来るデザイン。 アイボとかロボホンとか、最近のプログラム・ロボット並みによく動く。しかも5台も。5台揃って挨拶するシーンなんて、なんかSF映画の表現の進化を感じさせられた。創ったシド・ミード凄い。  シンプルで分かり易いストーリーがとても良い。バッタを踏み潰して生命を理解するところなんて、子供でもわかるからこその文句なしな展開だと思う。そして登場人物に根っからの悪人が居ないのも好感が持てる。ナンバー5に置いて行かれたベンと警備員が暇潰ししてる所とか、ほのぼのしててとてもいい。 ハリウッド映画らしく銃は出てくるけど、ナンバー5が3台のロボットと戦って、破壊するのでなくプログラムを書き換えるのも可愛らしい戦い。  その戦いの結果、他のロボットも感情を持つわけでないのは、ジョン・バダムのロボットに対する考えの現れだと感じた。S.A.I.N.T.がいかに優秀なロボットであっても、プログラミングで感情や人格を作り出せるわけでなく、ナンバー5だけが落雷という偶然で誕生した、奇跡的な生命体という表現なんだろう。 だから他のS.A.I.N.T.は同じカタチしていても、三ばか大将を演じても、あくまでロボット。そんな流れから最後身代わりになったのが未登場のナンバー4かと思ったけど、あくまでスペアパーツなことから、他のロボットも全員無事なのは好感が持てる脚本。 大人になってから見ても充分面白かったよ。
[地上波(吹替)] 6点(2022-01-01 15:39:58)
535.  ワイルド・スピード 《ネタバレ》 
-The Fast and the Furious-“速く、そして凄まじいもの”…なんかワイルド・スピードってシンプルな邦題が市民権を得てしまってるので、それはそれで良いのかなー?って。 アメリカ映画に出てくる日本車って、お金が無い学生が乗ってるか、車にこだわりの無い若いオネーちゃんがボロボロのホンダやトヨタに乗ってる印象しかなかったから、この映画でコワモテのオニーさんに、あれだけ日本車がウケてるなんて、当時はちょっと実感湧かなかったっけ。 しかも日本車らしくないケバケバしいカラーリングとピカピカのエンジン。底にネオン仕込んだ車なんて、まだ周りで走って無かったからインパクトが大きく、見慣れた国産車なのに、ちょっと不思議な文化を見てる気持ちになったわ。  このシリーズは2本ほど観ていると思うけど、1作目はたぶん今回初見。ゼロヨンというと『よろしくメカドック』を思い出してしまうけど、レースシーンは熱いしカメラワークも当時にしてはコダワリが感じられた…けど、単純な直線スピード勝負で、ニトロのタイミングで決着が着くゼロヨンでは、“走る・曲がる・止まる”が高次元なバランスの日本車の本来のポテンシャルは出しきれない気がするなぁ。でもそうでないと、最後“早いけど・曲がらない・止まらない”なダッジ・チャージャーの出番がないから仕方ないのかも。  信頼関係が芽生えたブライアンが潜入捜査官で、ドミニクが『裏切られた~』って感じたことより、ドミニクがそのまんまDVD泥棒だった事のほうが、そして“単なる泥棒と見せかけて、実は…”みたいなその先の話が無いこととか、なんか『裏切られた~』って感じ。 でもこの映画、ストーリー云々でなく、ピカピカの日本車が元気に走ってるシーンを、ただボーッと観てるだけで楽しい気持ちになれる。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-13 22:10:02)
536.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 
公開当時は観客入れ替え制ではなかったので、同時上映のホームズと併せて、2回連続で観た初めての映画。 当時の私の年齢を考えると、内容を充分に理解していたとは思えないが、難しいながらも原作漫画も読んでいたし、映画についても子供向けのアニメじゃない、何かとっても凄いものを観ている気持ちになっていた。私にとって、アニメが子供が観るだけの娯楽じゃないと思えた、何かターニング・ポイント的な作品だったのが、このナウシカだ。  10代の頃は金曜ロードショーで放送される度に観ていたけど、そのうちビデオかLDを買おうと考えて録画はせず、20代以降になると一度鑑賞したくらいで、今回…久しぶりの鑑賞となった。高画質の必要性も感じなくなっているので、BDでなくDVDを買うことにしたんだけど、定価が結構高いので、ついケチって中古で買ってしまった。残念なことに中に入ってる説明書(?)がクシャクシャで…ジブリやピクサー作品を中古で買う時は、前の持ち主が小さな子供の場合があるから、注意が必要だわ。  久石譲さんの重厚な音楽、刺繍のような歴史絵巻。オープニングからなんかもう、感無量。 巨大な“蟲”と呼ばれる生命体。腐海と呼ばれる森。まだ謎だらけの巨神兵。騎士と銃と戦車があり、飛行機を船と呼ぶ世界。「父はもう飛べません」「ゴルが風が臭うと言うとります」セリフから創られる広い世界観。一気に公開当時の頃に引き戻される感覚。  ナウシカという不思議な少女。16歳と幼いけど、設定だとユパ様があの容姿で45歳なので、現代ならナウシカも成人以上の立場だと思う。村人に慕われる優しさを持ちながら、コマンド兵を殺す荒さを併せ持つ。今回観ていて気がついたのは、父が殺されて腐海の植物の研究を止めたこと。村人のため研究していたと言いつつ、内面では父親に対してかなりコンプレックスを持っていたようだ。幼少期に父に王蟲の幼生を殺されたことを、彼女の中でどう処理していたのか。原作や当時のガイドブックをもう一回見てみるかな。 一番好きなシーンは、腐海に落ちるバージを救うため、マスクを外して気持ち良さそうに風を受けるナウシカ。混乱する城おじを一発で従わせる行動力。あんな笑顔を見せられたら、誰だって従ってしまうよ。さすが村の長、ナウシカ凄い。  一方で酷い長がペジテの市長。映画観ていて『本当にコイツがラステルやアスベルのお父さんなのか?2人の父は他にいて(ペジテ王とか)、この人はただの行政の長なんじゃないか?』って思ったくらい。娘を人質(手枷が後のラステルの扱いを想像させて痛々しい)にされ、ペジテを放棄して少人数乗りの飛行艇で逃げて、恐らくまだ市民も残るペジテ市を蟲に襲わせるなんて。しかも最後、生存者を巻き添えに船ごと自爆まで考える始末。エンディングで風の谷がトルメキアとの戦争を回避(クシャナが本国に掛け合ったんだろう。)したのに比べ、なんと独善的で利己主義な人物だろうか。 ナウシカが最後に着たラステルの服(だと思う)。胸のマークは海亀だろうか?ペジテと海亀?…飛行ガメ…関係ないな。最後、生き残ったペジテ市民が風の谷で暮らしてるのに、今回初めて気がついた。そういえば、人間以外で今の世界と共通の生物が出てこないなって思ったら、川にカエルが泳いでた。  王蟲の暴走で明らかに跳ね飛ばされたナウシカが、どうして生きていたのかとか疑問は残るけど、映画は映画で特に不満なく観られるし、血みどろの漫画原作とはまた違った、スッキリした魅力があると思う。 安田成美のイメージソングも全然平気で、当時の予告編を観ていると、むしろこの歌と歌声が好きな私がいるのも、驚きの発見だった。
[映画館(邦画)] 9点(2021-12-12 19:25:41)(良:1票)
537.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
-Good Will Hunting-主人公の名前である“善人、ウィル・ハンティング”って意味と、“人の好意を求めて”って2つの意味があるみたい。マット・デイモンがまだカッコいい美青年だった頃の映画で、日常の荒々しさと天才的知能を発揮する場面のギャップが格好良く、バーで大学生を知識で言い負かすのはスカッとする。共演するベン・アフレックも、前に出過ぎない程よい存在感を出せていて、とても好感を持てる。  映画で語られるように、ウィルが本などで得た知識と、実際に実物を目にしての感想は別物。例えば写真で見る清水寺と、実物の清水寺の違い。現地に行かないと感じられない空気感とか佇まいとか。だけどそれは、修学旅行で興味のないガキの時に実物を見ても、あまり入ってこない。でも歴史に興味を持ってからに観る清水寺の、何と素晴らしいことか。そんなコトをぼんやり考えながら観ていた。  マグワイヤもランボーも、スカイラーもチャッキーも、異口同音に今のウィルの境遇を認めたうえで、次のステップを勧める。ある程度まで人間関係が進むと、自ら心を閉ざすウィル。気を許せる幼馴染みのチャッキーの思い『ノックをする前の10秒間』の話はとても心を打った。学がなく単純労働しか出来ないチャッキーが、人間関係に臆病なウィルに勘付かれもせずに、あんな思いを抱いていたなんて。 マグワイヤとランボーが、それぞれの思いでウィルのことを熱く語るところも素晴らしい。出てくる人みんな良い人ばかりだ。 今回久しぶりに鑑賞して、ウィルの最後の決断を勘違い(どこか優良企業に就職したと思ってた)して記憶していた。ウィルと接する登場人物で、思いの変化が一番あったのはスカイラーだと思う。かけがえのない人間関係だけど、あそこで動かなければ生涯失ってしまう関係がスカイラーとの関係なので、まず何より、カリフォルニアに旅立ったのがとても良い終わり方だと思った。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-12-12 17:17:30)
538.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
-Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo-“善玉、卑劣漢(私の観たのでは無頼漢だった)、悪玉”語呂の良さから悪玉が先にくる訳が多い。 もう全然違う邦題で、続編でもなければ、夕日も出ない。賞金稼ぎ詐欺師のイーストウッドのどこが善玉か!って思ってしまうけど、イメージ的に“オイシイ奴、ブザマな奴、ヘタこいた奴”って感じの意味かもしれない。  前作(って書き方で良いのかな?)同様、イーストウッド(ブロンディ)とリー・ヴァン・クリーフ(エンジェル・アイ)が2大主役かと思いきや、物語はイーライ・ウォラック(トゥコ)中心に深堀りされている。音楽や文字の入り方なんか、いかにも懐かしい古典的な西部劇って感じで、この埃っぽい世界観に3時間は、最近の映画に慣れた、西部劇に不慣れな人にはハードル高そうだけど、案外退屈しない作品に仕上がっている。 マカロニ・ウエスタン=低予算のイメージがあるけど、“今度は戦争だ!”と言わんばかりに後半、南北戦争の戦場が舞台になったり、大規模な橋の爆破があったりと賑やか。私の中で西部劇はカウボーイとインディアンの映画で、南北戦争は戦争と家族の映画なイメージがあって、1作品に両方が入っているのは、今回初めて観るかもしれない。  唯一、名前で呼ばれてるトゥコ(他の字幕だとテュコ)だけど、処刑シーンでブロンディが“通称ネズミ”と呼んでいて、やはりこのシリーズは表向き名無しのガンマンの映画になっていた。 このトゥコ、兄との会話から過去が想像できたり、ガンショップでのマニアックな分解→再組み立てのシーンも格好良く、意外や銃の腕もある。状況によってコロコロ態度を変えるのも親しみを感じるキャラクター設定で、最後の戦いから首吊りのシーンは、思わず“助かって欲しい”と思ってしまった。なので最後、ブロンディのワンショットはスカッとさせてもらった。良かったね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-12 16:35:39)
539.  スターリンの葬送狂騒曲 《ネタバレ》 
-The Death of Stalin-“スターリンの死”。邦題と日本版予告編の作りから、もっとゲラゲラ笑える作品だと思ったけど、案外、終始『ふふっ』ってなるくらいに抑えられていて、実際にあったことを割とそのまま描いている(そのままでも笑えてしまうほど雑な当時のソ連の内情)…のかもしれない。ピアニストのメモとか、急造の医師団とか、どこまでが創作なんだろう?  独裁者スターリン。もっとガチガチに自分にも厳しくしてたのかと思いきや、『さっきのコンサートのレコード持って来い!』とか、閣僚たちと遅くまで酒宴開いてて、こんなワガママと贅沢のし放題だったのかと驚かされる。 過去に何十万人も粛清され、現在進行系でバンバン殺されていく国民。そんな国でコンサートが行われてるとか、スターリンの国葬に多くの国民が参列しようとモスクワに集まってくるとか、抑圧されてるんだか自由なんだか、外からはよく分からないソ連の内情が出ていたと思う。でも、国民は簡単に殺されるんだよな。怖いなやっぱり。  勉強不足で、登場人物ではフルシチョフ(の名前)くらいしか分からず、人間関係の整理が追いつかなかったかな。 中心人物のベリヤが、粛清の中止など、国民側からすると人道的に動いていたようにも見えたけど、最後の裁判の罪状で数々の強姦罪が突然出てきて、それが本当なのか、フルシチョフらに罪を擦り付けられたのか、この映画だけではいまいち判断付なかった。“スターリンが死んでゴタゴタしたのは解った。けど、ゴタゴタに終止して結局どんな方向への舵取りに収まったのか?”が、もっとハッキリ解ればなぁって思った。  エンディングの、写真に映る人物に黒塗り加工していく様子が、なんかソ連っぽい。 子供の頃は鉄のカーテンとか言われて謎だらけのソ連だったけど、あの写真の加工のように雑な隠し方から、じわじわと隠された真実が表に出てきて、その途中経過的な作品と思えば、コメディ要素を取り入れた歴史検証映画って言えるかも。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-12 15:34:51)
540.  悪い種子 《ネタバレ》 
-The Bad Seed-邦題まま。“ワルいシュシ”って読んでたけど“ワルいタネ”が正しいそうな。Seedは“子孫”って意味もあるみたい。 どこかで聞いたことがある『月の光に』ってフランス民謡が、とってもとっても印象的に使われている。楽しげに、悲しげに、不気味に。1956年の映画なのに、8歳にしては大人びた少女ローダ(といっても演じたパティ・マコーミックは11歳)。この時代だとまだまだ嘘くさくても、わーい!わーい!と“子供は子供らしく”描かれてる時代だとばかり思ってた。 けどローダは生意気でその辺に居そうで、とてもリアル。特にリロイに対する受け答えとか、8歳にして人を見下した態度なんか、ホントよく表現できてると思うし、犯行を追求されて一気に感情を爆発させるところなんて、とても11歳の子役の演技とは思えない。  殺されたクロードの母ホーテンスの演技がまた迫力があって圧巻。理不尽な怒りをぶつけるのではなく、子供を失った悲しみと怒りがズシンとのしかかるような、観てるだけで重たくなる演技。静かな夫の演技がまたホーテンスを光らせる。 リロイの死をペンマーク婦人の目線で伝える演出も素晴らしい。モトはミュージカルだそうだけど、この“目線だけ”っていうのがとても映画らしい表現。それでいて安直な人が焼ける状況を見せるのを避けたのも上手い。こんな状況だからこそ、テンポよく弾かれるピアノが狂気を感じさせる。  娘に睡眠薬を飲ませるため瓶を移し替える母も怖いし、母を疑って瓶を確認するローダも怖い。 観客に口外を禁じた最後のオチって、ミュージカルとの違い全部のことだろうか?カミナリと復活は意外性というより唐突で、何の解決にもなってないような気がしたけど、ほのぼのとしたカーテンコールとお尻ペンペンはとても大好き。ズウゥゥ~~ンとした重たい空気をいっぺんに軽くしてくれた。冗談みたいなカミナリのシーンまでが、とても緊迫してて丁寧に熱演されていたから活きてくるエンディング。こんな終わり方なら、友達と観終わって「怖かったねー!!」って笑って帰路に着けるわ。  『何だかんだ言っても、あなたはまだ子供なのよ』ってお尻ペンペン。アカデミー助演女優賞にノミネートされながらも、受賞はさせなかったの、まだまだハリウッドも子役の将来を考えられる、大人の余裕な対応をしたのかもしれない。こんな小さな子に、悪女役で賞を与えてしまうと、パティのその後の人生が狂ってしまうだろう。って。 子役スターとして持ち上げられすぎて、その後の人生を駄目にした子って、たくさんいたからね。 …それでも、あの圧巻の演技には、子役賞とかあれば良かったのにって思ってしまうかな。すごかったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-06 13:25:51)(良:1票)
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