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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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541.  アタック・ナンバーハーフ
タイといえばオカマちゃんの多い国というイメージを持っている。以前テレビで、タイではオカマは男よりも女よりも崇高な存在と崇められているようなことを言ってたんだけど、この映画によると他国と同じように偏見の目で見られてるんですね。あれはタイの一部の地域の話だったんだろうか。とりあえずこの作品は人々の偏見を気持ち良くひっくり返してくれた実話が元になって作られています。だからベタでも古臭い映像でも見終えた後に心地よさが残る。それからどう見ても女にしか見えないオカマが一人いましたが(本物のオカマ!)、私の目はその人ばかり追っていました。タイに旅行して、魅せられ、帰国しない人がいるそうですが、わかるような気がします。
[DVD(字幕)] 5点(2006-02-27 16:22:17)
542.  エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 
実話の映画化、しかも本人が存命中、さらに社会派でありながら史上最高額の賠償金というゴシップ性、となるとどうしたってあれもこれもと詰め込みすぎになりがちなところを、娯楽映画として一人の女性のサクセスストーリーという軸から逸れることなく、極力単純に見せきったところがいい。エリンのキャラが濃いだけに映画にもしやすかったかもしれない。人は誰だって欠点を持っている。その欠点を隠すことよりも欠点も含めた自分自身を自信を持ってさらけ出すという生き方。きっとリスキーな生き方で損をすることの方が多いと思う。それでもその生き方を貫くのってかっこいい。この作品の爽快感は莫大な賠償金やボーナスから得られるのではなく、主人公のストレートすぎる生き様からくるのだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2006-02-15 13:48:03)
543.  スタンドアップ 《ネタバレ》 
非常に重いテーマを重い空気で見せてゆくのですが、かなりご都合主義な展開が垣間見られる。父親のスピーチは感動したがあまりにも豹変しすぎだ。裁判でのレイプに関する証言の覆し方もあまり現実的とは言えない。しかし言い換えればこれだけのご都合主義的展開を並べてもちゃんとテーマに沿った重い空気を作ることができたとも言える。この重い空気を作ることができたのはセクハラと平行して描かれた母と子の物語の丁寧な描写があってこそだと思う。実際、上辺のストーリーとなるセクハラから裁判に至る物語は単純この上なく、男がいくら悪いといってもその時代の不況下における男の弱さというものが描かれてこそ重厚な話しになるところをあえて男=悪という簡単な図式のみを見せてお手軽に話は進んでゆく。でも様々な問題の片隅に常に子を想う母というサイドストーリーが絡むことで奥の深さを感じさせてくれた。一番印象に残ったシーンは娘がプレゼントを見て悲鳴をあげて喜ぶところ(笑)だったりするのは私自身が娘を持つ親だからでしょうか。でも、戦いに挑む母の強さの源がちゃんと描かれているシーンのひとつだと思いました。
[映画館(字幕)] 6点(2006-02-13 15:22:25)(良:1票)
544.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版
もしもあのときこうしていれば・・を複数のストーリーで見せてくれる映画といえば『スライディング・ドア』だったり、その元ネタとなったキエシロフスキーの『偶然』が代表に上げられると思うのですが、その複数のストーリーを観客だけではなく、主人公自らも体現してゆくというのが今作の新しいところ。そのカラクリがいまひとつ理解できないのですが、そこは無視するとしましょう。前半、つまり子供時代はとても面白く見ていた。重要と思われる部分の記憶が飛んでて、主人公と同じく観客にもその空白の部分は明かされない。その記憶の空白の後の残酷な絵や包丁を持ってたたずむシーンは、空白の謎に興味を抱かせるにはこれ以上ないほどの衝撃的な画となっている。ところがその大きく膨らんだ期待に対する回答は思ったほどの驚きはなく拍子抜け感は否めない。後半のストーリーにも結末にも文句は無いが、前半のドキドキワクワクをちゅうぶらりんにされたままの私にとっては文句も無いかわりに満足感も無かったのでした。
[DVD(字幕)] 5点(2006-02-09 15:24:51)(良:1票)
545.  マジェスティック(2001) 《ネタバレ》 
オープニングとラスト付近でハリウッドのものすごくいいかげんな映画製作会議がありますが、あんな風な会議のもとにこの映画も製作されたんじゃなかろうかとかんぐりたくなるほど「赤狩り」「記憶喪失」「戦争」というドラマチックなキーワードのもと、主人公の成長と恋愛が描かれ、親子の愛、地域の愛、そして愛国心、と絶対爽やかな感動を得られるだろうアイテム満載の映画になってる。劇中の会議でプロデューサーがどうしても出させたかった「犬」もちょっとだけだけど出てくるし。ここまでつめこんじゃうとファンタジーとしてでしか作品としては昇華できないわけで、ダラボンはそのあたりはよく理解していて、ちゃんとファンタジーとして昇華されてはいるのですが、例えばラストの聴聞会の感動の演説があるから戦没者の魂と残された者たちは救われるのですが、赤狩りで投獄された人たちは救われていません。救われちゃうと事実を歪曲することになるから当然出来ないわけですが、出来ないなら「赤狩り」というキーワードは使っちゃダメなんじゃないだろうか。完全なファンタジーになりきれていない、そんな消化不良感を感じてしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-02-08 14:56:34)
546.  ボーン・スプレマシー
前作同様に様々な国でロケを敢行していますが、前作よりもロケーションが活かされていると思った。カーアクションはここではイマイチな評判ですが、素直に「凄い」と思いました。車が暴走しながら大通りに合流するシーンってカーアクションではお決りのようにあるんだけど、不思議なくらいぶつからずに合流するのを見て「一回、やったろか」とか思ったりしてたんですが、この作品では思いっきりぶつかってます。ガンガンぶつかりまくってのカーアクションのリアル感がロケで得られたリアル感の喪失を防いでいた。主人公が瞬時に判断・行動する様を主人公の視線なり表情をその行動の前に短いカットで挿入することで見せてゆくのも前作以上に冴えわたる。先が見え見えの展開でも十分楽しめました。前作と同じ6点ですが、今作は限りなく7点に近い6点。
[DVD(字幕)] 6点(2006-02-07 12:09:24)(良:1票)
547.  ボーン・アイデンティティー
すごくテンポが良くって最後まで飽きることなく楽しめました。ヨーロッパロケもスパイ映画にリアリティを与えていて成功している。ただしアクションシーンでは、一部マットの動きを早回しで見せているのがあきらかでせっかくのリアリティをぶち壊している。そんな小細工しなくてもじゅうぶん見せてくれていたのに。何気なく立っている姿や歩いている姿でもじゅうぶんその筋のプロであることを覗わせていたと思う。あと、不満ではなくて疑問ですが、どうして銀行の番号がケツに埋め込まれてるの?主人公は何台もの車のナンバーを瞬時に憶える能力の持ち主なので、主人公には必要ないですよね。CIAがもしものときの為にやったにしても銀行名までは必要ないでしょ。その銀行にはエージェントらしき人物がいたし、他者に見られる可能性があるし実際漁師が見つけたし。あと考えられるのは主人公が記憶喪失になることを想定していた、、ぐらいしか思いつかない、、、。もしかして根本的なところで思い違いをしてます?もしそうなら【嘲笑】入れられる前にこっそり教えて。
[DVD(字幕)] 6点(2006-02-06 16:08:47)
548.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 
オリジナルと全く同じプロットゆえに一番印象に残ったのがぺネロぺの英語力だったりする。同じ役を演じているので二つの言語を操る堪能さが際立った。オリジナルのほうが純なぺネロぺと大胆なぺネロぺという幅広い「顔」を拝める。トムは二枚目セレブの役にピッタリだし、何よりも追いつめられてゆく役が妙にはまる人だ。キャメロンはオリジナルの女優さん以上の「悪夢の女」を披露してくれた。で、どちらが良いかというと、微妙なんだけど、オチの後の余韻はこの作品のほうがあったかな。まぁ、余韻というより色々想像しちゃったんです。「自分の都合の良い夢」の世界で生きつづけるのはいいんだけど、自分の都合の良い夢って絶対エロくなるような気がするんです。その夢、みんなで見てるんでしょ。それもなぁ、、。そんな余韻かよ!
[DVD(字幕)] 6点(2006-02-01 14:36:16)
549.  ランド・オブ・プレンティ
ヴェンダースにしてはメッセージ色の強い作品。セリフ過多のそのメッセージはヴェンダースがいかにアメリカを愛しているかということの証明でもある。その中で『ミリオンダラー・ホテル』を彷彿させる青みがかった映像がリアルな政治色を排除するかのように美しい虚構性を醸す。さらに、『都市とモードのビデオノート』以降描かれてきた「映像のあり様」がここでも描かれる。ハイテクが作り上げた映像と自らの概念だけで物事を判断し、行動する伯父。一方、ノートパソコンをコミュニケーションツールの一部として利用するものの、何よりもじかに見る、じかに会うということを本能的に重んじる姪。はるかイスラエルからやってきた姪の目的は母の手紙を渡すこと以上に「会う」こと。また、浮浪者の死の謎を解明するよりもまずその屍を親に直接持っていくことを優先する。出会うことで何かが生まれる、出会わなければ何も生まれない、というロードムービーの大原則の意味するものこそがヴェンダースが愛するアメリカに向けたメッセージなのだと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-26 16:37:26)(良:1票)
550.  ミリオンダラー・ホテル
オープニングのホテルの屋上のシーンがスローモーションのせいか、U2のPVみたいな映像になってる、と感じたが、ラストに同じシーンが流れたときは主人公の命を長引かせる唯一の手法であるスローモーションがいとおしくも思えた。屋上からのジャンプは『ベルリン・天使の詩』を思い起こさずにはいられない。そうするとメル・ギブソンの背中の傷が翼をもがれた跡のようにも見えてくる。それぞれが傷を持つ住民たち。罪を背負い傷を癒す天使。全てが浄化されたかのような清清しいエンディングが印象的。罪を描き、その罪を許す。やっぱりこれは「ニューヨーク・天使の詩」だ。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-23 14:36:21)
551.  下妻物語
うむ、面白い。しかしこの作品の面白さは非常に危険です。映画が映画でなくなる危険をはらんでいます。この作品が映画じゃない、というわけではなく、この作品の魅力が映画とは違うところにあるということ。典型的なのが個人的に一番ウケた尼崎ネタ(めちゃ笑った)。画ではなくネタが強烈に楽しい。 それでも「パチンコはイヤ」の次の場面にパチンコ店にいて、「出るわけない」の次の場面にジャラジャラ出てる、という喜劇における古典的演出は冴えに冴え、アニメを交えたデジタル映像は新しさこそ無いものの、洗練されたイヤミのない奇抜さを演出しているし、個性を過大に表現したキャラクター造形は言うまでもなく素晴らしいの一言、、ということでコレはやっぱり映画であって、なんだかんだ言っても一応私の中ではOKな作品でした。
[DVD(字幕)] 6点(2006-01-18 11:24:50)(良:2票)
552.  Mr.インクレディブル
今や、体の伸び縮みだって、あり得ない怪力だって、超高速移動だって、なんでも実写でできちゃう時代。でも実写だとちょっとひいちゃうような場面もアニメだとすんなり受け入られる。この『Mr.インクレディブル』はアニメであることの長所を存分に発揮した作品といえる。様々なスーパーパワーを違和感無く楽しめるのはアニメならではの醍醐味。ただ、なんとなくシコリを感じる。おそらくシンドロームの悪玉への過程の妙なリアルさが原因だと思う。だって、いくら根が歪んでいようが、スーパーヒーローが生み出したも当然の悪玉でしょ、アレって、、。まるで「ビン・ラディンを生み出したアメリカ」ってのは言いすぎにしても、なんだかなぁ、、。過程がどうであろうと悪は潰すべきというのは解かるんですが、わざわざ悪玉への過程を描かなくてもいいのに。『ブラックホーク・ダウン』でも書いたけど、アメリカの正義は悪(敵)がいて初めて意義がある、という構図がチラチラして、楽しむことにブレーキがかかっちゃうんです。考えすぎなのはわかってますが。もしかして『華氏911』へのディズニーの回答? いや、考えすぎですね、これも。 なんともイヤな大人になったもんだ。
[DVD(字幕)] 6点(2006-01-11 15:29:50)(良:1票)
553.  Mr.&Mrs. スミス
アクションも見応えがあるが、そこかしこに散りばめられた笑いがいい。“5~6年前”でいきなりツボ。ちょっとした二人の表情、二人の会話、二人の間に、緻密に計算された笑いが含まれ、同監督作の『ボーン・アイデンティティー』以上の極上のテンポで見せてゆく。プロの殺し屋という特別なオーラも、そもそもハリウッドスターという特別なオーラをまとう二人が、そのオーラを隠すことなく自然体の余裕の演技で、観ていて楽しくなる。だからこそ初めてアンジェリーナ・ジョリーが可愛いと思った自然でキュートな笑顔も撮れたに違いない。壮絶な殺し合いも基本が夫婦喧嘩なので安心して楽しめる。それから二人とも超が付くプロの殺し屋なもんだから、日常の動きに一切のムダがなく、そのことによっても作品自体のテンポを凄く良くしている。映画を観終わった後、颯爽とムダ無く歩き、エレベーターに乗り込むと同時に駐車券を口にくわえながら車のキーを取りだし、エレガントに車に乗り込むと同時にタバコを取りだし、、、といつにも増してテキパキと行動する自分がいた。そしてその日の晩飯を(映画の夫婦にならって)素直に「おいしくない」と言ってしまったが為に険悪な夜を過ごすはめになった私はアホです。
[映画館(字幕)] 8点(2006-01-10 15:54:34)(笑:1票) (良:2票)
554.  永遠<とわ>の語らい 《ネタバレ》 
博物館での足元を映したシーンと船内で歌手が歌うシーン以外は全く動かないカメラが静かに文明の歴史を語ってゆく。前半は、船、港、遺跡、という一定のリズムの中で文明の創造と崩壊の歴史を永遠に語られるべくして生まれた伝説と共に母から娘へと語り継がれる。古代文明から人は何を学ぶのか。後半はその問いに答えるかのように国籍の異なる人物たちが語り合う。そして博物館が以前はモスクで、その前は聖堂だったという歴史が語るように、ひとつの文明を終わらせる何かが暗躍する。文明が生み出したであろうテロリズムである。暴力が文明を終わらせたようにこの映画もまた唐突に終わりを告げる。その非情さは、映画自体をも破壊してしまう驚愕のラストで表現される。 私たちは「9.11」を語るとき、その非人道性を頭ではわかっていても政治的な意見へと変貌しがちである。しかしこの映画は純粋にテロに対する怒りや悲しみや悔しさという気持ちを奮い立たせる。この映画を観た直後は呆然とするしかない。しかしその夜は怒りと悲しみと悔しさで眠れなかった。この映画は永遠に語り継がれるべき映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-01-06 14:22:33)(良:3票)
555.  家路(2001)
何度も何度も映される薄暗い家の中に眩いばかりの光が凝縮された窓。その美しさにいちいち感動していたら、あっというまに映画は終わる。印象的なエンディングをもって。子供の視線がおじいちゃんを見上げる視線からゆっくりとス-ッと下りてゆく。妻と娘を同時に亡くした老俳優の孤独が描かれる全編の中から、両親を同時に亡くした少年の孤独がブワッと浮き上がる瞬間。何度観てもこのエンディングにやられる。途中、退屈だったかもしれない。でもたまに観たくなるし、いつも観て良かったと思う。音楽の入るタイミングがまた絶妙。
[DVD(字幕)] 8点(2006-01-05 16:19:05)(良:1票)
556.  オペレッタ狸御殿
清順映画の醍醐味のひとつにセットの独創性がある。しかしこの作品のいかにも作り物のセットはこちらの期待を大きく裏切るものでした。だがこの裏切りこそが清順映画なのだ。奇抜なカメラワークも独創的なカット割りも期待を裏切り、最も緊迫するシーンでカエルがケロリ~って、、どこまでも食えない爺さんである。誕生日ではない日を祝う、、って毎日じゃん!要するにそういう映画。宴のような映画ってこと。宴は楽しめるものではなく楽しむもの。楽しめるかどうかはあなた次第。時代も国籍も背景も音楽もどれもこれもが何からも束縛されず、その束縛されない映画だからこそ映画の可能性が凝縮されていて、かといって頭の硬い凡人には絶対作れない作品で、その中でチャン・ツィイーの顔はどこまでもキュートで、後姿はどこまでもセクシーで、やっぱり清順は凄い!と唸らされる、そんな映画なのである。
[映画館(字幕)] 7点(2005-12-19 17:35:13)
557.  アカルイミライ
若者の怠惰な生活、すぐキレる性格、そして凶悪な殺人、、。親に対する息子の態度の醜悪さ、対する親の威厳のなさ、集団でたむろしては目的もなく犯罪を重ねる高校生、、。そんな描写から描かれるのは普通、現代の教育問題だったり、家庭問題だったりがテーマとして与えられ、現代社会の病巣が描かれたりするものです。そうなると、この先日本はいったいどうなるんだという不安や諦めが作品を支配するか、もがき苦しむ若者たちの悲壮感であふれた作品になるしかないはずである。しかしこの作品はそのどうしようもないひとつひとつの描写から見えないはずのほんの僅かな光を見ようとし、幻かもしれないその「アカルイミライ」を確かに画面に残した傑作だ。題材に縛られない演出をこれまでずっと観せ続けた黒沢清が、今回もネガティブな題材をポジティブな演出で観せた。殺人という、とり返しのつかない罪を犯した若者は、もしかしたら友人を助けるためだったのかもしれないという微かな光。もちろん殺人を肯定するものじゃなく、全くの闇じゃないという可能性の提示でしかない。しかしその可能性も見ようとしなければ見えないもの。擬似家族がさらに光を模索する。今の若者の凶暴性や欲深さや無気力さの原因がどこにあるかは描かない。そうなってしまった彼等は、彼等なりに生きるしかない。ラストシーンの無理やりに引き出した「アカルイミライ」が眩しかった。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-16 16:57:01)(良:1票)
558.  回路
ジャパニーズホラーといえばやっぱり「幽霊」。しかも幽霊なのか違うのか、やきもきさせる展開ではなく、バーンと「幽霊」できた!そして世界の終末に繋げるのが黒沢流。終末へ向かうホラーとして、らくだのシアンツさんも『リング』に触れられていますが、なんてったってインターネットで広がっていくぶん終末へ向かうスピードが違う。だからより終末感が漂う。そして恐怖の対象が「幽霊」ではなく「孤独」というのが新しい。幽霊が直接、あるいは怨念とやらで人を攻撃するのではなく、幽霊の存在が人の漠然と抱く「死」に対する概念の崩壊を招く。孤独からの解放が永遠に訪れないことを目の当たりにした人々が次々と自ら死んでゆく。黒沢清のホラーにはビックリが無いので安心して画面に集中できるし、集中させる力がある。中盤の加藤と小雪の恋愛がらみのエピソードが助長ぎみに感じたけど、それを補って余りある画の迫力にじゅうぶん満足させていただきました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-15 16:16:47)(良:1票)
559.  カリスマ
森の中で「カリスマ」と称される木をめぐって人々が争う。その主張はわかりやすく3つにわかれるがその部分だけ見れば「共生」がテーマとなるのだが、ストーリー上の本当のテーマは冒頭で語られる「世界の法則を回復せよ」と「カリスマ」をめぐる争いがどう関係してくるのかを紐解いていけば浮かび上がってくる。「規則」ではなく「法則」ということは、人間が人間の都合で生み出した様々な法や規則、あるいは理性や概念というものが様々な歪みや弊害を生み出した今、この世界を自然の摂理にもどせ、ということ。その結果世界が終わることをも許容する「カリスマ」の存在をこの作品は描いてゆく。「カリスマ」が木から役所宏司へと受け継がれる展開は『CURE』の伝道師の役目を萩原から役所へと渡された展開に似ている。しかし終末を許容する存在を明確にすることで『CURE』では描かれなかった終末がとうとう描かれてしまう。恐るべき終末映画。とは言うものの私がこの映画に惹かれたのはストーリーと画と演出がバラバラなところだったりする。ストーリーとは裏腹に気を失った役所を引きずる画といい、療養所の未亡人の存在といい、いや、佇まいや歩く姿まで、さらには家や森までホラー色全開で見せる。かと思えば木(カリスマ)が燃やされた後のカリスマでもなんでもない木をめぐる人間の描写はコメディそのもの。この綿密に計算されたかのようなバラバラ具合にたまらなく惹きつけられるのである。 まるでこれまで培われてきた映画の規則に対する「映画の法則を回復せよ」という黒沢清の声が聞こえるようで。
[DVD(字幕)] 7点(2005-12-14 14:19:25)(良:1票)
560.  亡国のイージス
光の乏しい艦内や夜のシーンは暗くて当たり前なのだが、重要と思われる人物がこれだけたくさんいると、この暗さは相当ネックになってくる。しかもこの暗さがリアルな演出として機能していない。中途半端な灯りが中途半端な方向から照らされるから。有名どころオールキャストだから人物が把握できるだけで、外国では通用しないのではなかろうか。それともやっぱり日本向けの商品として作ったのか?大作感を煽るたいそうなBGMも鬱陶しい。 日本人の性分を真っ向から否定する展開は今の世相を反映しているのだろう。その中で任務と人間性の選択で後者を堂々と選ぶ主人公の行動と発言は甘くもありセンチメンタルでもあるのに、それでも一貫して「人間は人間らしくあるべき」とこの期に及んで大いに謳いあげる姿は感動的ですらある。この熱さこそが坂本監督ならではとも思えたが、一方でエンターテイメント志向へと突き進む坂本監督は独自の個性を自ら手放そうとしているとしか思えない。そろそろどっちかに決めたほうが良いと思う。暗闇から発射されるミサイルの閃光の画を見る限り、エンターテイメント志向でもいけるんじゃないかとも思うが、個人的にはふろしきを小さくして初期作品のような独自性を見せてほしい。
[映画館(字幕)] 4点(2005-12-09 17:47:57)(良:1票)
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