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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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41.  道(1954) 《ネタバレ》 
傑作。  年に何本か買う大昔の映画でたいてい出くわす、序盤のだるさとすべてが説明的であろうとすることとの重畳的な映像効果。確かに、私の中の現代映画をイメージした規矩準縄による、異質なものとの差違を簡単には乗り越えることを許さない時間が続いた。しかし、それはまあ古い映画を見ると必ず感じることであるし、それが醍醐味の一つともいえる。  この映画でももちろんそれは当然感じたが、そもそもが異質な人間たちを描写しているため、異質感はマスキングされてだんだん不感症になってくる。当時それを狙った演出なんかされていないだろうけど、50年以上たった今生きている人間が見たとき、狙っていないはずの、存在しないはずの効果が出現している。っていうかスゴイじゃん。  ラストシーンの、ザンパノの嗚咽に込められた様々な気持ちをどれだけ汲みとれたかはわからない。わからないし、どこまでの感情を意図しているかを考え始めるといろいろな痛さが涌いてくる。その痛さって、どんな記憶から涌いてくるんだろう。  こんな波瀾万丈の人生を送った覚えは全くないのに、どうして砂にまみれて身を捩るザンパノから痛みを感じるかわからない。恋でも愛の話でもないが、悪でありすぎることも善でありすぎることもない、人間の本性をきちんと受け手に投影して、痛みを感じさせるというのは傑作の証明だろう。  こういう映画にまれに当たるから、スンゴイ安売りしている白黒映画を買ってみるのはやめられない。
[DVD(字幕)] 9点(2009-11-14 00:17:04)(良:1票)
42.  エイリアン2 《ネタバレ》 
キャメロンは2本しか2を撮っていない。にもかかわらず、1がどんなスタイルでもキャメロン味にしてしまうというイメージがある。T2とエイリアン2の2本でそういうイメージを作ってしまったのだから凄い。キャメロンがキャメロン味であるという宣言をした最初の映画であり、これ以降がより高度なキャメロン味であることは全然おかしなことではない。  基本的にこの監督の映画は、出てくる人物は表面的には悩まない。設定の穴を追い込まない。特殊効果に妥協しない。この3本の柱がびくともしない。悩まない様に見える人物は、巧妙に悩みがあると言うことを明示しており、設定の穴をわかりやすく残すが、それを伏線ともトリックともつかない方法で鑑賞中に気づかせない技法が確立している。さらに特殊効果。本作でも半端ではない。金をかけただけではダメよというメッセージがズビズビ伝わってくる。  こういうことができるのはやはりアメリカだからだろうが、これだけの金が関わる仕事とは、その責任の大きさかどれくらいのものになるのだろうか。想像もつかない。だけど、この映画に登場するキャストからスタッフまで、おそらくは妥協のだの字も無かったのであろう完成度にはうんざりするほど手に汗握る。  欧米亜問わず多くの文芸作品は、はっきり言って逃げている。さも文芸作品であれば、人が悩んで人生がうまくいかなければ、困難な恋愛であれば、ハリウッド資本の特殊効果映画よりも魂が上級であるとでも言わんばかりのものを量産し続けている  ところが、この映画の様に徹底的に作り込んで楽しませて、感激する様な作品はどれだけあるだろう。単に悲惨なカタログに落ち着いちゃっているのを文学青年にちやほやされてるだけのクオリティの映画がどれほど多いかを考えると、仮に文芸がアクションより上だとしても、関わっている多くの職業人が職業人として上だとは思えない。
[地上波(吹替)] 9点(2009-09-21 23:58:03)(良:1票)
43.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
もうですね、しびれるんですよこれは。ほかの西部劇にない、主人公の薄汚さがたまらんのです。  12チャンの西部劇ばっかりみてる小学生にはなんだかイーストウッドが出てくる西部劇は異次元な訳です。もうコイツが出てくると、場がめちゃくちゃになる、誰が死ぬのかわからなくなる、悪党の意味がわからなくなる。と、無茶苦茶なアウトロー加減にしびれまくるわけです。  本作でもまたろくなことしない上にボコボコにされますから。で、最後にやっつけちゃうんですからたまらん。何にもしなくてもカッコいい上に強いんだからそんな卑怯チックなことしなくったって良いじゃん。とか思っても全然思い通りになりません。そういうヤツなんですよ、イーストウッドが演じるガンマンは。  にしてもジョンウェインだったら絶対こんなことしないよなぁ。よくこんなメチャクチャな西部劇作るよな、すごいオリジナリティだよ。って中学生までずっと思っていたら、もの凄いパクリ盗作映画だったと聞いて、もの凄くしびれた。  主人公どころか徹頭徹尾、なんて汚え映画なんだ!と。
[地上波(吹替)] 9点(2009-08-16 05:14:34)(良:1票)
44.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
大変面白かった。  SNSという、一サービスに国が機能を完全に依存するかというところとか、ネットという一情報提供手段にすべての人が生活を依存しきってしまうかとか、そういうどう考えてもフィクションに過ぎない部分を作り手が設定として作り込むことに、全然躊躇していないところに腕力というか、推進力というか、そういう力を感じた。  冒頭は世界観の説明的な流れで始まるが、実在するものとウソを上手に混ぜて、現実っぽさを巧妙に演出している。そこからいきなり現実世界に戻すことで何も変わった表現のない部分に現実感の表現が相対的に発生する。それが最後まで続く。巧すぎる。  物語の始まり部分からは、結構昔気質の青春ものの話運びで物語は進んでいく。特に彼氏のふりして家族に会ってほしいと学校一の美女に頼まれてノコノコついて行くなんて、なんてうらやましい状況なんだ、と思わされてる時点でもう入り込んでいた。巧い。  話の中に新しい思いつきはほとんど無く、どこかで観たような設定で創られているけど、その組み合わせや絵的な完成度たるや驚きの高さ。作画も良くキャラクターも魅力的とくれば、今までにほとんど無い出来の良い映画になっている。アニメで作る意味を失わせかねない紙芝居状態や止め絵も最小限。  ただ、この映画の良いところは実はそこじゃなくて、「まだ負けてない!」っていうところ。台詞で具体的に表現されたこのテーマ。優秀な主人公が、常識の範囲内で優秀で、異能者と言うほどの能力はない。自分の力で引き起こしてしまった事件だと思っていたものが、実は後一歩のところで自分が起こしたことではなかったことに複雑な気持ちになってしまう。そういう少年にものっすごく感情移入してしまった。  異能者は主人公ではなく、その周りにいる先輩の一族。彼らがほぼすべてをかたづけてしまうわけだけど、その後の最後のがんばりとその演出たるや結構グッとくるものだった。消化不良の新しさよりも、練り込まれた話の満足度の高さの方がずっと大事だということがよくわかる。たまたまとは言え、公開初日に観た映画が、飛び道具的などんでん返しで完成をあきらめたような映画で無かったことが非常にうれしかった。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-02 05:11:48)(良:2票)
45.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
大変面白かった。 裁判の本当に重要な部分を可能な限り映画に取り込んだという感じが凄く良かった。やはり映画は映画なので、フィクションだし嘘くさい表現もふんだんに盛り込まれるわけだけど、最終的に面白かっただけでなく感じる物があったと言うのが実に秀逸だったと思う。  現代のアメリカの殺人事件であれば、科学捜査で即日釈放の可能性がある。でもこの映画では、そんな物ではなく市民の話し合いで量刑が決まってしまう。つまり、有罪か無罪かを決める作業を誰かが手抜きしないでやらなければいけない。それは関わった全員だ。というサインだった。また、実際の所この少年が犯人かそうでないか全く解らないしどうでも良い部分だ。  で、この映画の上手いところは、疑問を放り出して裁判という公務をいい加減に済ますべきでなく、結果だけがあっていてもそれは正義ではない。と言うテーマに気づかない人が観てもだんだん無罪に向かうサスペンスにも見えると言うところ。半世紀以上前の映画なのに、こういうあざといところが盛り込んである。 無罪かどうか解らない少年が、あたかも無罪のように感じられ、それを助ける映画のようにもみることが出来てしまう。実にずるがしこい。良くできている。感動した。  と言うわけで、裁判で一番重要である「有罪か無罪はどっちでも良いから、手を抜かない」と言う部分をちゃんと表現している希有な作品だ。登場人物達が話し合ってるのは、本質的に「少年を助けるためでは全然無い」と言うところは裁判の機能そのものであり、この映画以外でそこがきちんとしている法廷物にお目に掛かったことがない。  すでに完成している。科学捜査と絡んでくるので現代では本作リメイクや殺人事件を陪審や弁護士が無罪にする話は不可能だろう。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-07-26 18:20:17)(良:1票)
46.  ロスト・イン・トランスレーション 《ネタバレ》 
昔、ひょんなことからとある地方で東南アジアの外国人ばかりが住むコミュニティの中に1週間ほどおじゃましたことがある。 そこでは英語がコミュニケーションの最後の砦で、日本語がまず通じない。かといって彼らの中に英語で意思疎通が出来る人が多いわけではなく、母国語しか使わない方と取り残されると非常に心細かったのを思い出す。  とても日本人には関わりのないような現地まんまのレストランで、とても都内の他国籍料理店では出てこないような料理を食べ、日本人が行かないような飲み屋で歓迎を受けた。 ただでさえ遠い地方都市に来ていて、日本とは思えないような風景の中にいると、とにかくこのままで良いのかということや、疎外感のようなものが溢れてくる。こういうことは環境に誘導されたまやかしの感情であると言うことははじめから分かっていてさえ襲いかかってくる。  そういう所をうまあく練り上げていて、引き込まれてしまった。 何の解決にもならないけど、真剣にふざけてないと潰れてしまいかねないカラオケに逃げるシーンなど、妙な生々しさがたまらない。 礼儀の違いや、慣習の違いが異国情緒を引き出すためにデフォルメされすぎていないぎりぎりの所を上手に作ってるのも秀逸だった。これ以上リアルにしても金が掛かるだけでおそらく外国人には区別がつかない。  台詞も簡潔で、どこの国の人が見てもテーマが分かるようになっていることや、アメリカ映画が得意とする「余韻や切なさ」と言う部分がラストシーンで上手く働いていてこの情緒は日本製には作り出せない雰囲気だな。と、脱帽。 とにかくこの映画のよその国のレビューを見ると思い知らされるのは、わびさびや情緒というものがアメリカ人に遙かに理解されていると言うこと。大昔のこの国にはそういうアンテナはあったのかも知れないけど、はっきりと感受性に差がついているようにさえ読める。  逆に我々普通の日本人が持つ、アメリカに対する想像のズレはこの映画の日本描写とは比べられないほど大きいと思う。もし一人で仕事や趣味などというバックグラウンドもなくポンと他国に行ったら、この映画以上に「いろいろな違い」にうろたえる人は多いと思う。私もそういう一人だ。  それから、何の根拠もなくアメリカ人を見下しているひと、なんだろかと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-07-05 18:33:06)
47.  キラークラウン
いつみたかわからない。おそらく酔っていたんだろうとおもう。だが、状況を考えるとこれがやっていたのは昼間であろうことが間違いない。 深夜にテレビ東京の映画を観ながら酒を飲むという習慣が一切ないからだ。 しかし、昼間酒を飲みながらテレビ東京のホラー映画を観るというシチュエーションを想像できない。  にもかかわらず、確実に観ている。 恐ろしいほど記憶にこびりついている。すごい映画だ。  作った人たち、普通にアホですよ。こういう映画に高得点をつけるというのは、ちゃんと高品質に作られたけど、嗜好に合わない人にあまり評価されない多くの映画を作った人たちにあまりにも失礼。 何ですかこの着想と、展開と、あと、弱点・・・!  だが失礼なやつといわれても一向に構わん。
[地上波(吹替)] 9点(2009-05-01 13:58:13)
48.  大脱走
わかりやすいということがいかに楽しいか、ということを剛速球で体現する。 高尚であろうとする映画もアリだと思うし、面白いもの。  それでも映画というものは大量に売られる基本2時間の動画であることを考えると、絵画や彫刻とか、それ自体芸術として成立するものとはちょっと違う。 そこに対する挑戦心のようなものが芸術的な映画が生み出される原動力になっている要因の一つだと思う。 でも、芸術家として評価されようという動機ばかりが強く、芸術としても映画としてもそれほどうまく機能していない映画も多い。  そういう作品ばかり見て、自分まで高尚になった気でいられる時間よりも、大脱走をみていつまでもおもしろさの余韻に浸っていられる時間の方が遙かに建設的だし、何よりも長い。 もういつみたか覚えていないほど昔にみたのに、シーン一つ一つがすぐ思い出せる。 その記憶がまた楽しい。 こういう剛速球型の映画を観ると、いかに映画が楽しい媒体なのかがよくわかる。
[地上波(字幕)] 9点(2009-05-01 13:52:36)(良:1票)
49.  機動警察パトレイバー2 the Movie 《ネタバレ》 
観念的な物語、ということばをわざとさけて九十年代から00年代に掛けて多くの国産テーマ重視の作品が腐された。 今考えると、近隣による、自国での複製が困難な日本の高度な映像コンテンツが海外市場に打って出られないようにするためのキャンペーンが奏功したんだな、と気づく。  中国への留学生にその昔、芸術や工業技術を日本人の心に刺さるように吐き出す手口を披露してもらったことがある。 「そんなきれい事は言ってもしかたがない」 「そんな物機械に頼らない方が良い」 「説教なんて聞いてられない」 と言うような事を、どのような口調でどういう風に見下しながら喋れば日本人の自尊心が壊れるかを語ってくれた。自分達は両の手がクリーンでかつ金に塗れたまま、外国人を感情のゴミ箱か商売道具か何かのように扱う。日本人なのにと、心の底から恐怖感でいっぱいになったのを思い出す。そして有りもしない罪悪感や劣等感を植え付けることばを私に塗り込んだあとふと、そういう手口だから気にするな、と笑う。催眠術から解けた気分だった。  パトレイバーは子供の頃大好きだった。この作品は、キャラクタに頼らない設定って言うのが異様でそれぞれの立ち位置がメインキャラではないし、実行犯の実態も見えてこない。主人公の後藤のキャラの立ち方が少し流れから少しずれていて、見せ方が秀逸だった。  都内の風景があんな風に完全に壊れた感じになっちゃったらとおもうと、恐ろしくなる。国防上の問題提起も15年以上たってもまだアニメ映画のほうが、活字媒体より進んでいるということに背筋が凍る。パトレイバーのキャラを使って、こういう重いテーマで話を一本作ってもらえたのがうれしい。ロボット物じゃない、パトレイバーというストーリーが好きなんだという気持ちが伝わってくる。 この様なメディアの特性に合わせて展開していくのが紛れもなくパトレイバー。テロリストとただの警官が戦う。主役のキャラに頼らない重ーいパトレイバーをもっと観たい。実に観たい。   日本が何かに侵食されている。その流れを止めるのは警官でも市民でも無い。流される主体だからだ。 だけど、その中にも疑問を持って、行動に移す人間がいる。そう言った事に対して示唆的では無いか。 ちょっと前まで、抵抗し得ない主義的な無力感が世間にあった。が、それは酷く人工的な物でさらにはそれが国産では無いと言うことに恐怖する。
[DVD(邦画)] 9点(2009-03-21 23:28:05)
50.  ペイルライダー 《ネタバレ》 
イーストウッドの普通の西部劇ではない西部劇はいつも変な味があって良い。 シェーンを知っている、見たことがある、わりかし好きであるという前提があるとこの映画がさらに面白い。 パクリでも何でもなく普通にオマージュでしょうね。 (当時の)アメリカ人なら誰でも知っているということを逆手に取り、上手く脚本に組み込んでいるあたり、良い仕事してます。  シェーンは生身であるのに、牧師は生きている感じがしない。 その目的の対比、ラストのもやもや等々、比べるのが楽しいように明らかに意図的にそこを楽しませようというエキスがちりばめられている。  映画自体も昔の西部劇の妙にカサカサした、何となく作られた西部時代というよりも、何となく生々しい昔、 と言うところが非常に美しく、これまでにない映像的味わいを出してます。 テーマ的な部分よりもエンターテイメント性が高く、許されざる者よりもずっとキャッチーですが、その分何度見ても すっと入り込んで気軽に見て楽しめるあたりがとても好きです。 2年に一回は観ます、今はBDも出ててホントにありがたい。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2009-03-21 02:15:30)(良:1票)
51.  となりのトトロ 《ネタバレ》 
夏になると、夜4チャンで知らずのうちに始まっている。何回見たかわからないけれど、何度でも何回見るかわからないくらいの回数を見続けるんだと思う。  苛烈な事件や出来事は何も起きない。どうと言うことのない出来事が起き、静かに収束する。だけど、そのどうと言うことのない出来事は、サツキたちや私たちにとって大変な事件でありとてつもない瞬間であったりする。それを何度でも眺めてその世界に残っていたいからきっと何度でも見るのだろう。  魔法やお化けが出てくる童話よりも、現実世界の童話の方が難易度が高く、それでいて、おもしろさの価値というのは等価であるからさらに難しい。難しい仕事をしたからといってつまらなかったら、再発売されることもなくネット上で笑いの種になるようなアニメが残るのだろう。しかし、こういう話をスッと作ってのけるあたりに宮崎駿の凄さを感じずにいられない。  完全に現実路線にせずむやみに小難しい話を曲芸のように作ることをせずに、トトロや猫バスといったファンタジーの類をもしかしたらいるのかも、と思わせるギリギリのところで使う技量に感嘆してしまう。感嘆しすぎてテレビでやるたびにかぶりついている。  見終わった後、「ウワァ面白かった!」と日常生活のさっぱりしたとても良い気分転換になる。とにかく秀逸。  どれくらいフィクションの中にある疑似哲学や疑似問題提起に毒されているかを、チェックする良いバロメーターにもなる。
[地上波(邦画)] 9点(2009-02-07 20:31:01)
52.  ドゥーマ 《ネタバレ》 
何かの映画の予告編で見たんだと思う。チーターが人間に飼われて騒動を起こすとかそういう見せ方だった。普段ならDVDの本編のじゃまをする他作品の広告なんかみてそれをみたいな、なんてつゆほどにも思わないんだけれど猫科の動物が好きなので、実際に見てみることにした。  想像していたよりもずっと冒険にあふれていて、ずっとまじめでずっと楽しい切ない話だったと思う。親子の関係や、ペットとの関係、新しい友人との冒険といった子供に重要な要素がちりばめられていて、大人が見ても素直に感動できた。  チーターがこの地球上では人間のせいで絶滅の危機にあるという。 そういう現実を受け入れることが出来ない。人間も自然の一部で、それが作り出した人造物や営みも自然の一部、現実世界では淘汰なのだという異説を唱える少数派の学者が居ても良いとは思うけれど、心情的に許せる物ではない。  息をのむほどに美しい、チーターという種が死にゆくという事実が本当に悲しく切ない。 でもそんな現実をほんの一瞬でも忘れられる良い映画だった。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-01-24 15:58:34)
53.  アマデウス 《ネタバレ》 
この虚実入り交じったギリギリのところ。凄いです。あからさまに凄い。  最初、精神科医と同じように「ハイハイ、始まりましたよ」的に映画を眺めているのに、なんだか途中からホントに有りそうな気がしないでもなくなっていって、しまいにはそうかもと一瞬でもそう思わせてしまう引き込みのうまさ。  物語自体も面白いけれど、街や建物の美しさと汚さを楽しめる。衣装や光の表現もとにかく目で見て楽しめる。そういうリアリティなんかはこういう作品ばかり見ていると、ビジュアルの味覚障害になりそうなくらい完成度が高い。あたかも味の濃いラーメンばかり食べてると何を食べても味がないような状態になりそうで、っていう感覚に。怖い怖い。  こういう良い作品はBDの画質とロスレスの音源でたっぷり楽しみたい物です。 なぜかBDには蛇足なディレクターズカットしかない。完成度が圧倒的に高いし20分短い時間で観ることができる通常版の方が絶対に面白いのだけど。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-03 21:08:41)
54.  ウォーリー 《ネタバレ》 
ピクサーの映画のなかでもトイ・ストーリー1と並ぶ・・・かそれ以上か。の超傑作。 小さな子供では飽きてしまうストーリーですが、小さな子も映像にかじりついていました。  最初にエバが登場するシーンでは、明らかに人類的な技術で動作する「機械」から出現するあたり、人類がなんらかの形で介在していることが映像できちんと書き込まれているところに釘付けになり、最初の人類の映像が滅んでしまった人類の置きみやげではないのではないか、と受け手を疑心暗鬼にさせるところがもの凄く新しかったです。  これまでのSFで人類がいない荒廃した地上という設定では、生き残りが人類の残した物を巡って物語りが始まりますが、うーん新しい。でもうっかりエバの登場シーンで仕掛けを見逃したとしても、無人の宇宙に連れて行かれたウォーリーがどうなるのかとかなりはらはらするはず。  それから全編にあふれる脳天気なキャラクタ達の諦めなさや、前向きさ、ストーリーの優しさに大満足でした。 CGだというだけでバカにする人もいるかも知れませんが、ボタン一つでコンピュータが勝手に絵を作り出すのがCGではありません。  手で紙にかかれた原案が、様々な工程に乗って少しずつ人の手によって積み重ねられ、最終的にコンピュータに陰影を付けさせる製品です。 そうして作られたキャラがそれぞれに違ういろいろな意味の大切な物を、それぞれが大切に守る。それに理由が必要なんだろうか、いちいち考えなければ分からないものなんてそれは大切ではないのではないだろうか。そういう気持ちを素直に確認させてくれる、心にズシンと来るテーマではないかと思います。  こういう生活サイズのテーマにもかかわらず、直球勝負で重い。立派! たくさんの人に丁寧に心をこめて作られたキャラ達が、休む間もなく動き、物語をつづる様はCGのもつ、人が作った暖かさにあふれています。  これほどの作品をCGアニメーションで作り上げたということの凄さは、一つのブレークスルーではないでしょうか。 もの凄いインパクトです。
[映画館(吹替)] 9点(2009-01-01 16:47:06)(良:1票)
55.  メメント 《ネタバレ》 
面白すぎて呆然。この登場人物の少なさでここまで多面的に見せるかなぁ。  メモを取る人ほど生々しく感じたんじゃないでしょうか。メモが間違っていたらどうすんのよ、という不安感を最初に植え付けるプロットが秀逸。  中盤以降なんだか行動規範に違和感を覚えますが、それがジワジワと地味なのにものすごい効き目。だんだんと自分自身に悪意を持って・・・なんて、どうしてこんな怖いことを思いつくんだろうか。  クリストファーノーランの映画はバットマン以外見ていなかったんですが、なんでこの人がバットマンに?ってくらい全く違うすごさ。ピリピリっときますね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-10-26 18:15:22)
56.  ロード・オブ・ザ・リング 《ネタバレ》 
神話の時代が終わる最後の時代が完璧に描かれていました。 本当にこれが実現するとは思っていませんでした。最初は本屋でたまたま見かけた映画化決定の文字ですが、まさかこれほどの完成度で映画化されるとは思いませんでしたね、ホントにビックリしたものです。  ドワーフ、エルフ、ホビット、怪物達、そして人間。いろいろな種族が滅亡までの時間をそれぞれに過ごすそのもの悲しさ。他の種族は去りまたは神に見捨てられ、滅ぼされてさえいる。 神にも邪神にも見落とされたホビットのみが自分たちの世界のために指輪を捨てに行く。それに賛同したのは本当にわずかな仲間とそれを支える者達だけだった。  と、バックグラウンド的な、末世感と絶望しかない世界を劇中よく理解してみないとやはりどうしてホビットが主人公なのか、感情移入できるのかがよく分からないと思います。  この物語の中では人間は現代的な精神性を持った人間ではなく、邪神の力をもって欲をかなえようとする弱い存在でしか無い、ホビットを通して進化をする脇役です。エルフは簡単にこの地を捨てて旅立ちますし、中つ国に残された者にとっては、死しか残されていなかったわけですが、ホビットが触媒になり他の種族が種族としての完成度を高めていくきっかけになる、という物語を忠実にあの時間内に実現している凄さ。歴史的作品ですね。  また全く未来に光が見えない状況で、心が折れてさえ前に進むホビットに、現実世界にさえいない強い人間像を見ることが出来ます。即物的な退治劇との厳然たる一線をホビット達が引いているわけです。ホビット達の姿から多くの教訓を受け取ることが出来ます。  国産RPG的な特異な解釈のファンタジーが頭にあるとどうしても勇者さまご一行という見方をしてしまうかも知れませんが、本物の物語は全く違ったものです。その世界や、日本人にはまだ理解しがたい難解なワビサビを存分に堪能できます。  トムボンバティルのくだりは私も大好きで、原典でもスパイスのような役割だったと思いますから、シリアスで陰鬱な雰囲気の完全映像化という視点からはスキップしたのは正解だったのではないでしょうか。
[映画館(字幕)] 9点(2008-10-19 23:12:33)(良:2票)
57.  アンダーグラウンド(1995)
 映像からビシビシ天才が伝わってきて、この変な世界にもっと何時間でも居たくないけど居たいと感じさせるセンスが凄い。  設定や世界観、紛争なども非常に良く作り込まれていて、箱庭的でありながらリアリティがあるという一番難しい見せ方を受け手が気づかないと言う作りには、見終わった後びっくりすると思います。   音楽も秀逸で、完成度も中毒性も高くて世界に引き込まれる。再生ボタンを押す度に勝手に三時間後の未来に飛び込む。それも何度でも。非常に危険な映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-10-19 18:27:42)(良:1票)
58.  クローバーフィールド/HAKAISHA 《ネタバレ》 
面白かった! これは凄いですね。ハンディカム視点を怪獣パニックでやりますか。この組み合わせに釘付け。 それからパニックがリアルすぎる・・・。 怪獣をテロリストに置き換えてもそのままの筋で成立しそうですよ。 自由の女神の頭部が飛んできて携帯で写真撮ってますが、あれなんかそのまんまですよね。  それにしても絶望感の表現が良かったです。よくわからないうちにとんでもない状況に追い込まれて、ああなる。 ハッピーエンドでもバッドエンドでも成立しそうですし、良くできてますね。 時間の配分とかも巧妙で、引き込まれてあっという間に終わりました。  怪物の造形がまた良い。は虫類っぽいデザインにしなかったのが大成功ですね。 身近な生き物っぽくないっていうもの奏功しています。  この映画ではニューヨークの怪物でしたが、首都圏で大規模なテロがあったら自分はそのとき何が出来るかな・・・。ちょっと怖くなりました。 それからちょっと思ったんですが、映画とは関係なくアメリカ人が惨殺されると喜ぶ人がいるような気がしてそれがちょっと怖い。リアルに怖いんですけど・・・。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-10-13 20:14:30)(良:1票)
59.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
ただただ最高としか言いようがないです。 アクションシーンは対人、カーアクション、スタントすべて満点。 そして今回はパメラとヴォーゼン(だっけ)の攻防が苛烈に描かれていて、その一進一退の口げんかがものすごい。 台詞がアクションに変わってしまう緊迫の探索シーンは必見。  今回最大の見所は、ニッキーが暗殺者に追われるところ。 シリーズ最強の格闘アクションを見ることが出来ます。ところでニッキーが逃げ、暗殺者が追いかけ、ボーンが追いかける。このシーン、どうやって撮ってるんだ?っていう位カメラワークがゴリゴリと食らいつくのです。 ものすごい技術。  この3連作は、ドキュメンタリー的なハンディカム視点が売りなので、吹き替えにすると環境音が消えてしまって映像と音がぎくしゃくしてしまう。吹き替えの(台詞のミュート?)技術が全然進んでいないと言うことに気がついた。 セガールものや刑事物には絶対必須と思えるほどソースにマッチしているけれど、すべての映画に関してそうではないようだ。 ただ、酔ってしまうという方は吹き替えで見てみてはいかがでしょうか。 デメリットよりメリットの方が多いと思います。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-10-04 18:03:34)(良:1票)
60.  暴走特急 《ネタバレ》 
とにかくすごい。  とんでもなく美しい動きで悪人がばったばったとボコられていくさまは爽快そのもの。セガール様の演舞もすさまじいですが、演舞以上に美しくテロリストがボッッキャンボッキャン往かされます。  終盤の追撃シーンでは、不意を突かれたセガールが床に倒され馬乗りされますが、そのシークエンスがすごすぎます。  倒されながらガードポジションをとり、相手が自分の顔にふれることが出来ないようにクビを抱え込んで、肘と足で相手に痛みを与えながら反撃、体を入れ替えてあとはセガール拳。  95年にこういう攻防を、映画の中でやってます。セガール様はマニアックな方です。当時の客には、「馬乗りされても無敵なだけ」と、まったく伝わってなかったと思います(笑)  動きも鮮やかですし、やっぱり初期セガールは良いですね。内容はそこそこ面白いですよ。ライバックが乗っていると聞いただけで心が折れてしまう敵軍団は必見。冗談かと思うくらい彼らのやる気がグダグダになります。映画でこれをやる豪腕が凄い。
[DVD(吹替)] 9点(2008-10-04 14:59:26)(良:1票)
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