701. 疵
《ネタバレ》 筋立てを再現したところで制作側が力尽きてしまったという感じです。80年代のドラマ作りの悪い面が出てしまった、ともいえます。この主人公は、難しいことは何も考えず(考えられず)に突っ走るだけで、組業界全体の経済方向へのシフトにもついていけなかった、という点が大事なはずなのですが、そのヒリヒリ感なり追い詰められ感がありません。一方で、藤谷美和子のような上品な美人をあっという間に落としてしまう都合の良さ(笑)とか、実家も何か裕福そうな感じであるとか、その辺も展開を阻害しています。 [DVD(邦画)] 4点(2022-01-30 00:33:43) |
702. グッドモーニング,ベトナム
《ネタバレ》 脚本はロビン・ウィリアムスの当て書きなのか?と思うくらい、もうロビンが絶好調に喋りまくり。そこを見せる作品なんだから、そこはよい。が、DJシーン以外の部分は案外凡庸だったような・・・。特に、英語を勉強するために集まってる英語の授業で、ラジオみたいなマシンガントークをしてしまっては、いろいろな意味でいかんでしょ。喋りが本業の人間だからこそ、ああいうところでは「別の喋り」を見せてほしいものです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-01-29 01:09:47) |
703. 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
《ネタバレ》 前回登場作でもそうだったけど、リリーとの関係は、やっぱり恋愛関係じゃないんだな。ほかの人には分からない、放浪人としての感覚と感性が、言葉にはしなくても2人の間では共鳴しているし、そのことを無意識に2人とも分かっている。その視座が明確に設定されているからこそ、新たな切なさがこみ上げるし、演出もさらに突っ込んだ先を行っている。●相合い傘のくだりはもちろん名シーンなのですが、その前フリとして実に効果的なのが、雨の中戻ってきた寅次郎を何事もなかったかのように迎えるさくら、そして寅次郎の(迎えに行きたいという)内心を知ったときの、さくらの何とも言えない微笑みの表情。●そしてクライマックスの「幻の結婚承諾」シーン、ここでの浅丘ルリ子の演技は何度見ても凄い。「いいわよ」のときには、ずっと押し隠していたであろう少女のような純真さがふわっと現れている。しかし次の瞬間、さくら達が大喜びしている横では、すでに「何であんなことを言ってしまったんだろう」という強烈な後悔がにじみ出ている。そして寅が帰宅した時点では、膝を抱えて、まるでそれまでの感情の吐露を壁に塗り隠そうとするかのような無表情さ。●一瞬だけ登場する、デビュー直後の若き日の早乙女愛ちゃんも忘れてはいけません。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-01-28 00:16:28)(良:1票) |
704. アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
《ネタバレ》 最初に見たときは「旧来アベンジャーズ組が全然影薄いのでは?」と思っていましたが、改めて見てみると、この作品は、後から入ってきたドクター・ストレンジやGOTG組、スパイダーマンやブラックパンサー、そしてヴィジョン&ワンダと、むしろそっちの方が主役だったんですね。クレジット順に惑わされてはいけませんでした。それを考えると、キャップやソーの衣装がいつもの派手なアレではなかったり、ハルクの変身場面がなかったりするのも、意図的なものと分かります。●導入部でいきなり、一貫して忠実を誓ってきたヘイムダールと、そしてこれまで何をしても死ななかったロキが退場!ここだけでもう「何かとんでもないことが起こっている感」が炸裂しています。その後も、多数の登場人物を要領よく振り分け、そしてみんなに見せ場があるという細心の注意が払われています。●サノスは当然のごとくどこまでも冷酷非情なんだけど、石を最後まで「自分の手で取りに行く」のは、筋が通っているとはいえるかも。目標を達した後、王座に座ってガッハッハとかではなく、ほかのことはどうでもいいと言わんばかりにどこかの田舎の小屋にいるラストも、ファイナルショットとして決まっています。●で、最後の"Thanos will return."の字幕を見て、やっと分かりました。この回の主人公って、サノスだったんですね。それならば、中盤で家族関係のあれこれが妙に長いのも分かりますし、ああいうラストも分かります。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-01-27 18:56:07)(良:1票) |
705. マイティ・ソー/バトルロイヤル
《ネタバレ》 このシリーズの場合、悪役を誰が演じるかという楽しみもあって、ハリウッドの名だたるスターが嬉々として極悪非道な(または低俗下劣な)敵キャラを演じていたりするんだけど、本作は何とケイト・ブランシェット!!いやもうこれだけですべてOK、成功約束みたいなものです。はたして、最初に現れた数分間だけで、もうこれはとんでもなく強い、ソーでもロキでもみんなが集まっても歯が立たん、ということが瞬時に分かってしまうわけです。しかも彼女の場合、台詞回しからして、もしかするとアスガルド訛りというのが世の中には本当に存在するのか、と思わせるほどの個性とパワーを発揮しているのです。●で、実は、そこからクライマックスに至るまでは、びっくりするほどそのヘラの出番が少ない。グランドマスターだの異星脱出だのというつなぎにすぎない場面がやたら長い(これはこれで面白かったけど)。いや、分かります。あのヘラをまともなペースで出していったら、一人で全部持って行ってしまいますし、そもそも正義のヒーローが勝てない流れという、あってはならない展開になってしまいます。見る側に鬱的絶望感があふれてしまいます。●ソー対ハルクという、アベンジャーズ肉体武闘派同士の対決もナイスオプション。ドクター・ストレンジの入口オマケスパイスもいい感じ。逆に、ナタリーとステランを出さなかったのも正解。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-01-26 01:24:47)(良:1票) |
706. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
前半の息もつかせぬテンポは抜群ですが、アークが見つかって以降は普通のアクションになってしまい、なぜかダラダラした印象を与えます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-24 01:00:10) |
707. 大魔神
《ネタバレ》 わずか90分弱とはとても思えない、コッテコテの濃さ。謀反が起こる導入部分は定石通りとしても、そこから、何かやってくれそうな家臣は速攻で捕まる、若様も続いてあっさり捕まる、頼みのおば様も返り討ちと、こけそうなくらいの一貫した無力ぶりなのです。一方で、敵側の悪逆ぶりの描写は実に粘着質(美術関係が隅々まできっちりしているのが効いている)。そこまで溜めに溜めた後でいよいよ大魔神様の怒り爆発になるんですが、遠方からじわじわ迫ってくる距離感だったり物質感の撮り方、さらには背景の色合いまでが、見事に完成しているのです。また、悪玉をやっつけて終わり、という単純な正義の味方ではないのが、作品に奥行きを与えています。高田美和の化粧が濃すぎで、山奥での生活感が出ていないのが唯一の難点。 [映画館(邦画)] 8点(2022-01-23 16:53:34)(良:1票) |
708. 天使にラブ・ソングを・・・
改めて見てもよくできた脚本。起承転結がぴたりと決まって無駄なし、コメディのお手本のような作品。その中でも、デロリスと院長の関係の変化など、微妙な力の調整を要求されるところにも、きちんと注意が払われている。だからこそ、歌の部分や笑いの部分が引き立ってくるのです。 [映画館(字幕)] 8点(2022-01-23 16:52:43) |
709. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
結局これ、「恐竜」じゃなくって「怪獣」になってしまってるだけなんですよね。ただ暴れているだけで。こういう作品なら、裏設定でも何でもいいから生態とか個別能力のディテールにこだわってくれないと、さっぱり面白くないんだけど、映像ができた時点で制作側が満足してしまいました。というか力尽きていました。前作は「いつどうやってどういうのが出てくるか分からない怖さ」というアドバンテージもあったけど、続編なら当然そういうのもないしなあ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-01-23 00:13:27) |
710. 今朝の秋<TVM>
《ネタバレ》 もうこれは、ひたすら「俳優・笠智衆」を鑑賞する作品です。ステテコ姿でとことこ歩くだけですでに芝居になっていますし、台詞はあれこれ言わずに一言でびしっと決める(「ここには誰もおらん!」が最高です)。また、大半が寝たきり状態なのに、表情だけですべてを伝える杉浦直樹のサポート演技も渋すぎ。一方で、杉村春子や倍賞美津子は、不自然な説明台詞をいろいろ喋らせられているのが残念。演出の興味関心が笠さんに一点集中しちゃったんだろうか、と思ってしまうくらいです。●ただし、実は一番画面上に出てきて嬉しかったのは、婦長役の五大路子さんだったりします。 [DVD(邦画)] 6点(2022-01-22 00:05:13) |
711. 夜がまた来る
《ネタバレ》 94年にもなってこんな昭和中期の作品が堂々とあったのにびっくり。94年にもなってこの豪華助演キャストがこの低予算(にしか見えない)作品に集合しているのもびっくり。しかし内容はそのインパクトにふさわしいとはいえず、進行するごとにむしろしょぼくなっている。一番の敗因は、主人公が「堕ちてない」「覚醒してもいない」ことでしょうか。どのシーンでも状況に対して差がないように見えます。いろいろ脱がせている割には、綺麗に撮られてもいないしなあ。 [DVD(邦画)] 4点(2022-01-20 23:52:22) |
712. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 寅が赤ん坊を背負ってとらやに帰ってくる!というシーンのインパクトが撮りたいために作られた作品、といえなくもなさそうですが・・・。やっぱり、赤ちゃんが両親から捨てられて通りすがりの人に押しつけられるというのは、ネタとして重すぎかなあ。それと、八方さんはダメ父親がはまりすぎなんですが(引取のシーンの経過説明で、ちょっとだけ落語っぽい台詞回しになるのは、あれはやっぱりサービスだったのかな)、寅母のミヤコ蝶々と一緒で、(あれだけの出番でも)強烈すぎて浮いています。●今回、寅さんは、意外にあまりのめり込んでないですよね。いつもの作品だったら、病気か怪我のふりをして病院に押しかけ、そこでお医者さんも巻き込んで一幕、とか絶対にありそうなんですが。むしろ、ガード下で遠くから十朱さんを見て考え込む表情に、何ともいえない奥の深さがあります。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-01-20 00:05:27) |
713. 銭形平次(1967)
《ネタバレ》 67年の作品だから、まだTV版も始まったばかりの頃だったんだな。一応、平次のエピソード・ゼロみたいな感じで、元はただの遊び人の親不孝者だった平次が、一念発起して岡っ引きになるところから始まりますが、その前置きはものの10分強で終わります。つまり、中身はいつもの平次と変わらず、やや登場人物が重層的でちょっと尺が長めなところが違うくらいです。しかしいくら尺を延ばしたとはいえ、この敵方、何度も集団で平次を囲みながら、そのたびに撃退されているのは、実は弱いんじゃないかと思ってしまいますが・・・。なお、登場シーンは少ないながら、妖刀美剣士といった趣の舟木一夫のインパクトはなかなかでした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-01-19 00:21:51) |
714. ロックンロール・ハイスクール
《ネタバレ》 厳格な教育者に生徒たちがロックで反抗する、だったら、「フットルース」も「スクール・オブ・ロック」もあるじゃん・・・と思っていたら、何とこっちの方がずっと先だったのですね。しかもこの内容的な脳天気+自信満々の暴走ぶりは、数多くの80'sアホ青春映画の源流のように感じられたりもします。前半は一応もっともらしく学園ものっぽく進行するのですが、後半1/3くらいはそんなものはほとんど無視で、完全にラモーンズのライブフィルム状態です。しかしなぜかそれが前半から浮いておらず、何となくまとまっているのが微妙に怖かったりします。最後は何をするかと思ったら、校舎爆破です。カオス状態です。というかむしろテロ状態です。しかしそれもここまで自信満々に進められると、意外とまっとうな学園ものの結末っぽく見えてくるから不思議です。 [DVD(字幕)] 6点(2022-01-18 01:48:22) |
715. カモン・ヘブン!
お父さんが亡くなりました。さてそこに集まった家族たちはどうなるでしょう、というそれだけの初期設定で、その発想自体は悪くないのですが、そうすると必然的に描写対象は一家族内に限られていくことになるので、かなりの周到な描き分けが必要となってきます。が、この作品はその辺が不十分であり、しかもみんな似たような芝居しかしてないので、設定の意味もあまりないことになってしまいました。ウーピーの出番もほぼないのですが、この作品で焦点を当ててしまうと、1人で全部持っていくことになったんだろうな。 [DVD(字幕)] 3点(2022-01-17 03:13:38) |
716. スパイダーマン:ホームカミング
《ネタバレ》 とにかく前半の主人公が幼すぎ、精神レベル低すぎ。それならそれで、例えば駐車場の尋問(?)シーンみたいに、未熟ならではの笑わせ場面に徹してくれればいいのに、それも中途半端。●悪役がよりにもよって初代バットマンのマイケル・キートンというのは、なかなか気が利いてますねえ。ただ、バルチャーはもっと格好良くなるはずなのに、バックが暗いシーンが多くて見づらく、あと翼の細かい動きが表現されていない。●で、この作品のMVPはジェニファー・コネリーではないでしょうか。あのスピードに発声だけで乗っていって、しかも(あまり芝居が上手くない)主人公に的確に絡んでいって笑いをとる絶妙さ! [ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-01-14 01:41:19) |
717. 日蓮
《ネタバレ》 「当時は異宗とされて迫害も受けていた日蓮宗の始祖」ということは知っていても、それ以外のことは知らなかった日蓮の伝記もの。青年期からの一生を(回想も交えて幼少期も絡めるなどして)丁寧に追っていますが、限られた時間の中なので、例えば流罪にあった→えっもう戻ってきたの、みたいないきなり高速度な場面もいくつかあります。ただその中でも、「とにかく法華宗を全国に広める」という生涯の目標は一貫されていますし、また、歌舞伎で鍛えた錦ちゃんの力強い発声は、辻説法で人々の心を捉え、最高権力者の執権相手でも平然と対峙した主人公にぴったり合っています。難点は、序盤と終盤に顕著なナレーションがものすごく邪魔なことと、この豪華キャストの使い方が超雑なこと(そこそこ出番があって物語上の存在の意味があったのって、松坂慶子と田中邦衛くらいでは)。 [DVD(邦画)] 6点(2022-01-13 01:47:10) |
718. きっと、うまくいく
2時間50分もあるのに、そんなに変わったことはやっていない単純ストーリーなのに、各シーンに無駄がなく、少しも間延びしていない不思議。馬鹿な友人って素晴らしい、というたった1つの当たり前のことを言うためにその全部の時間を投入してしまうテンションの高さも、同様に素晴らしい。 [DVD(字幕)] 8点(2022-01-11 01:44:14) |
719. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
《ネタバレ》 オープニングのところで、後ろでガーディアンズが必死に戦っているのに、カメラはふらふらうろついているだけのミニグルートを追い続ける。戦うメンバーは完全なバック映像というか、どうでもいい扱い。もう最高。よく分かっていらっしゃる。そしてもっともらしくミッション達成かと思いきや、さしたる必要性もなくさくっと電池を盗んでくるロケット。これですこれです。これがシリーズの他の作品にはない、ここのキャラならではの魅力なのです。●なのに、中盤でどこかの星に移動してからは、途端に分かりやすくダレてくる。大体、神の血筋とか宇宙を左右できる能力とかって何よそれ。このガーディアンズのメンバーは、負け組の集合体で、ほっとけば誰も相手にしないようなヤクザ者で、それがなぜか宇宙の危機を救ってしまうところに痛快さがあったんじゃないの?こんなことだったら、ほかの作品でもできますよ。●というわけで、なぜクイルを助けるのかを訊かれたロケットが平然と「これからアイツにでかい面ができるから」と答える、そういうゲスなシーンをもっと見たかったのです。●あと、事前にキャスティング一覧を見たときには、「ついにスタローンが悪ボスで登場か?やるなあ、このシリーズ」と大いに感心&期待していたのですが・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-01-10 01:50:09)(良:1票) |
720. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
起伏に乏しい話がだらだら続くだけの無意味な作品。映像もいろんな意味で安っぽすぎ。 [ブルーレイ(字幕)] 2点(2022-01-07 02:05:57) |