81. 戦場のピアニスト
様々なドキュメンタリーで、ユダヤ人虐殺の映像は目にして来た。そこには更に生々しくショッキングで残酷な映像がある。この映画は歴史に刻まれた真実の再現フィルムである。収容所に移送される人々、強制労働の日々、道に横たわる死体の様子などは、ドキュメンタリーと比べても忠実に描かれているように感じた。一人のピアニストの目を通して、民族の根絶という狂気に晒された数年間を追体験させる。民族の根絶、こんな表現がまかり通る時代があったという事実を忘れてはいけない。これを観てから数日間、私は寝不足に陥った。虐待とか戦争とか生と死とか、ひいては自分の存在とか、いろいろな思いが頭の中をよぎり、気づいたら明け方になっていたこともあった。相当心に刻まれた作品であることを認めるしかない。 7点(2004-06-12 17:11:53) |
82. 生きる
今さら言うまでもないが、この映画の肝はラストにある。良くも悪くも人間は忘れていく生き物。「のど元過ぎたら熱さ忘れる」、これこそ監督が生きる者への警鐘として残したメッセージではなかろうか。人生の末期に全力で渡したバトンの行方がアレでは余りに悲しい。この上ない説得力がある。 7点(2004-06-11 22:12:29) |
83. シンドラーのリスト
抹殺、絶滅、撲滅、一掃、根絶、…。一般的に我々が害虫や病原菌に対して使用する言葉が人間に対して向けられた時代。ナチ党員でありながら体制への些細な抵抗として試みた「ユダヤ人囲い込み」は、画面では知ることの出来ない綱渡り的な部分もあったであろう。収容所からシンドラーの工場へ移動できる“命のリスト”から漏れ、名前を呼ばれずに列に埋もれた人々のことを思うと心が痛む。白黒で撮られていること、一部カラーがあることの意味を、私たちは是非考えたいところである。 7点(2004-06-11 22:05:21) |
84. ラスト・アクション・ヒーロー
「ストーリーは二の次!とにかくアクションだけを追求したい!」という監督の熱い思いが昇華し、作品として結実させた。アクション偏重とハリウッドの楽屋ネタも相まって、C級のニオイがプンプンする。アイデア倒れの感は否めない。 4点(2004-06-11 00:38:01) |
85. ブルース・ブラザース2000
構成は前作と全く同じ。お決まりのパターンもふんだんに盛り込まれた同窓会的追悼作。ギャグのバカバカしさには興ざめだが音楽性は相変わらず高い。豪華&実力派ミュージシャンを招いているので当然だが。特にJ.B神父のミサでのダンスシーンは、はるかにパワーアップしていて見応え十分。 6点(2004-06-09 00:47:30) |
86. ブルース・ブラザース
ノンストップ・アクションミュージカルとでも言おうか。私は、ものまね番組でしか彼らを知らない世代です。番組では、いつも“伝説の”といったフレーズで紹介されていたので、長い間、「この黒ずくめの2人組は一体何者だろう?」と不思議でした。幾度となく見かけたネタの元祖を拝めて嬉しかったです。体でリズムを刻みながら観ると、より楽しめます。ホテルでのライブでは鳥肌が立ったくらい。2曲しか歌っていませんが…。でも、その2曲でブレイクし、ベルーシの死で伝説となったのですね。「頭で考えるより体で感じろ」と言わんばかりのパワーとエネルギーに溢れた作品でした。 8点(2004-06-04 23:51:22) |
87. M:I-2
アクション満載で確かに面白かった。が、ジョン・ウー独特の演出は…うーん、どうなんだろ。クドイような気がするし、イーサンのカッコよさが強調され過ぎて鼻につく。外連味を狙い過ぎで嫌味だ。トム製作の映画だし仕方ないか。でも、毎回違う監督で撮るという趣向はいいかも。 6点(2004-06-04 18:50:19) |
88. ジュラシック・パークIII
サム・ニール復帰という安心感も手伝ってか、『ロスト・ワールド』よりは面白く観れる。1作目に近いテイストに戻したのが功を奏している。その場にいないマルコム博士をコケにする場面は笑えた。気の利いたファンサービスです。よく見るとサム・ニールの顔って恐竜に似ている。 6点(2004-06-04 18:38:46) |
89. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
元々、荒唐無稽なストーリーなのに、ここまで滅茶苦茶にされると受け入れ難くなるのは何でだろ?大都会の夜景をバックに恐竜に見得を切らせたかっただけか。製作サイドには節度ある荒唐無稽をお願いしたい。 3点(2004-05-26 00:27:08) |
90. ジュラシック・パーク
アイデアと映像が革新的で映画史に大きな足跡を残したことは間違いない。SFXを超えるVFX新時代の到来を声高に告げたといえるだろう。琥珀に閉じ込められた蚊の化石のシーンは、全ての始まりを象徴するもので印象深い。大人しい恐竜(ワクワク感)と凶暴な恐竜(ハラハラ感)のどちらも存分に見せてくれるあたり、さすがに楽しませ方を心得ている。 8点(2004-05-26 00:18:53) |
91. 夜逃げ屋本舗2
本来主役である中村雅俊を脇に置いて、自己破産を巡る対照的な2人の金融屋を中心に据えたのは成功している。何といっても細川俊之の冷血に徹した演技が光る。風間杜夫も気弱なお人好しぶりが実にナチュラルで良い。最後まで2人の演技に集中して観ることができた。だが、ラストには疑問が残る。アレじゃ逃げ切れんでしょ! 6点(2004-05-25 22:15:22)(良:1票) |
92. ハリー・ポッターと秘密の部屋
内容的には謎解きの要素もあり、1作目よりは自然なストーリー展開で普通に楽しめた。ただ、原作を未読の自分としては、出てくる人名や用語を追うだけで精一杯。登場人物も、ご丁寧にファーストネームやファミリーネームを呼び分けたりしてくれるので更に混乱する。マグル、パーセルマウス、フォークス、ルシウス、スニッチ、マートル、ヘドウィック、フィルチ、ミセス・ノリス。今回観ながら解説サイトで調べた言葉である。“ロード・オブ~”といい、ついていくのが大変だ~。 6点(2004-05-25 00:02:23) |
93. トゥルーライズ
B級娯楽映画のいいところは記憶に残らないことである。まさにその場限りの楽しみなのだ。この映画も例外ではない。逆説的だが、これは誉めているのである。私は数年前に観たが、結局、海上橋の名シーンしか覚えていなかった。今回のテレビ放送も観たが、数年後にはまた内容は忘れているだろう。その程度である。だが、その分何度でも楽しめるオイシイ映画といえる。この作品は理想的なB級娯楽映画である。 6点(2004-05-20 23:06:44)(良:1票) |
94. サウンド・オブ・ミュージック
中学の音楽の授業で、おそらく人生で最初に出会ったミュージカル映画。自分が幼かったせいか、『ドレミの歌』と『エーデルワイス』しか知らなかったせいか、当時は十分に楽しめたとは言い難い。前半のトラップ大佐の怖さと後半の逃亡劇の暗い印象が強かった。今回、久しぶりに観ると耳慣れた曲も多くなっていて、その高い音楽性に舌を巻く。今考えると、ロジャース&ハマースタインのコンビだから当然である。こっちが出処だったのね(恥)。この映画の偉大さを思い知らされる。空撮から始まる壮大なオープニングと堂々たるメインテーマ曲は映画史上に残る名場面であり、その歌声に一気に魅了された。幼い恋心を歌った『もうすぐ17才』、雷の恐さを忘れる『マイ・フェイバリット・シングス』、子ども達の可愛らしさが際立った『さようなら、ごきげんよう』など、素晴らしい曲のオンパレードに大満足。まさにミュージカルの金字塔。2度目の出会いは最高だった。 9点(2004-05-19 23:44:30) |
95. ひまわり(1970)
この映画は対比法が絶妙である。夫を探してジョバンナがロシアへ到着した場面では行き交う人々が皆、明るい服装をしているのに対し、彼女だけが地味で暗い茶色の服。前向きに歩み出した社会から取り残されている主人公を意識させる。夫との再会の場面では、歳を重ねたジョバンナに対し、若く可憐な妻が現れる。性格も勝気なジョバンナと正反対の控えめな女性だ。そこで知る残酷な現実。戦時下に生死を彷徨った極寒のロシアに対し、真夏を象徴するひまわり。ひまわりが見事に咲き誇るほどに、引き裂かれた2人の運命を際立たせる。情感たっぷりの音楽が力強く響き、エンドクレジットのひまわりが逆に悲しく見える。 7点(2004-05-18 00:34:36)(良:1票) |
96. ベートーベン2
確か数年前に観たような気はするんだけど、記憶が定かじゃない。“1”を観たのは間違いなく覚えている。「パパ優しいなぁ」という感想を持った記憶がある。でも“2”は…うろ覚えだ。「観たかどうかさえ記憶に残らない映画」とでも書こうか。でも、それじゃツマラナイ。レンタルして観る…ってほどじゃないし。と思ってた矢先にテレビ放送があるではないか!渡りに舟とはこのこと。確かに観とったわ。ベートーベンが家壊すトコとかハンバーガー大食い大会、あったあった、思い出した。とゆー訳で改めてレビュー。「記憶に残らんのもムリないわ」にします。 5点(2004-05-11 00:46:51)(良:1票) |
97. ベートーベン
とにかく、パパの優しさに尽きる。パパなくしてこの物語は始まらなかった。最初は反対しながらも、飼い始めるとベートーベンに温かく接している。そんなパパの優しさに心打たれたことが深く印象に残っている。 5点(2004-05-11 00:40:09)(良:1票) |
98. 就職戦線異状なし
今や隔世の感が漂うバブル華やかなりし頃の売り手市場。公開当時、自分は大学3年生で、先輩の就職活動の話を指をくわえて聞いておりました。そりゃ、高級レストランで説明会とか内定者に旅行を贈呈とか聞かされた日にゃ、「自分も」って空想も描くもんでしょ。とにかく世の中全体が浮かれていたことを象徴する映画の仕上がり。「世の中甘くないけど、頑張ることが大事だよ」ってことが甘~く描かれてます。でも、主題歌『どんなときも。』に励まされた人は同世代にも多かったです。その翌年、自分の時にはバブルは崩壊し、しっかり買い手市場となっていました。そして、就職戦線氷河期へ…。 5点(2004-05-10 22:23:21) |
99. パール・ハーバー
自分は軍事に明るくないので、戦争描写は不問。ツッコミどころは多いだろな、と思いながら観ていたけど。全体的には、まぁまぁだが無駄に長い気がする。ラストの出撃エピソードの蛇足感が否めない。その辺が勿体ないと言えば勿体ない。もっとコンパクトにまとめて欲しかった。それにしても、ダース・ベイダーみたく日本軍登場のたびに流れる悪役用BGMには笑うしかない。ジョシュー・ハートネットには昔のトム・クルーズに似た雰囲気を感じた。 5点(2004-05-08 02:44:50) |
100. イージー・ライダー
いや~、最後のおっちゃんがスナイパーだったとは。あんた、腕良すぎ。 4点(2004-05-06 23:17:46)(笑:3票) |