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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2388
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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81.  ソウ5 《ネタバレ》 
『5』は監督も代わって少し持ち直して来た感もありますが、率直に言って『4』と『5』はやっぱつなげて整理して一本の映画にした方が良かったんじゃないでしょうか。思うに本作はあのゲームを見せたいがために撮ったような感じで、そういやこのシリーズは「一作につき一ゲーム」という製作者側のこだわりがあるように見受けられます。基本的にはストーリー自体はホフマン刑事とFBI捜査官の対決が主題であって、実は本作でのゲームはそれとは無関係に進行していくところが、はっきり言って失敗だったと感じます。あの5人のゲーム参加者とホフマン刑事にどういうつながりがあったのかと、不思議に思いませんか?FBI捜査官が自分の正体を暴きにかかっていると判っているんだから、ゲームを仕掛けて遊んでる場合じゃないでしょう。 ラストのFBI捜査官の最期は絵面としては地味ですけどシリーズ中屈指の悲惨な死にざまでした。彼は冒頭の水槽ヘルメットを被せられた時点でアウトだったのに荒業を使って生き延びたぐらいですから、監督としてはあれぐらい完膚なきまで肉体を破壊しておかないと、安心できなかったのかな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-12-28 22:46:44)
82.  ソウ4 《ネタバレ》 
いきなりジグソウの脳みそパッカーンの解剖シーンが始まるのに、なんで警官リッグがジグソウの声に操られてゲームをするの?ジグソウは生前にそこまで準備してたのか(こいつは神か)?とこっちの脳みそこそパッカーンになりそうだったのに、なんと前作と同時進行ストーリーのパラレル・ムーヴィーでした。つうか、このストーリーテリングになんの意味があるんでしょうか、謎かけにもなってないし単に観客を混乱させただけです。要は製作者としては『3』の断片をつないで『5』に繋げるインターミッションのつもりだったのかとも、勘繰ってしまいます。本作辺りからまるで連続TVドラマをぶつ切りにしたような展開になって来て、途中から観ることをきっぱり拒否するような撮り方になってきます。いっそのこと『3』から『ファイナル』までを一本の映画にまとめたらよかったのにと思ったりしますが、そんな長大な映画は誰も観たいとは思わないですよね(笑)。 まあ新しい展開と言えば妙にガタイのいいホフマン刑事と、ジグソウの元妻ジルが前面に出てきたってことでしょうか。あとセシルにさせたゲームが、ジグソウの最初の犯行つまりビギニングだったわけですね。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-12-26 22:41:54)
83.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
当たり前ですけどほとんど全編にわたって日本語オンリーのセリフ、こんなハリウッド映画は前代未聞だったそうでゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞しているぐらいです。俳優も渡辺謙をはじめ名が知れた面々も起用されており、中でも二宮和也はイーストウッドのお気に入りみたいで、今でも日本のジャーナリストから取材されると「二宮は元気でやってるか」と聞くそうです。確かに彼は本作に出演してから俳優としても一皮むけた感じがしますし、現在の活躍は皆さんご存知の通りです。 『父親たちの星条旗』と比べると戦闘場面の壮絶さはやや薄めの感じはしますが、その分守備する日本軍の内情がかなり突っ込んで描かれています。どうしても呆れてしまうのが海軍の無能さで、これは史実でも栗林大将が東京への電報で嘆いている通りです。中村獅童が演じていたあの肝心な時にはヘタレ野郎だった将校も、海軍大尉でした。陸軍の中でも命令を無視する旅団長がいて、こんな組織でよくアメリカと戦争したもんだと感心するぐらいです。そこはアメリカ軍とは大違いですね。考えてもみてください、そもそも硫黄島攻略は日本本土空襲の航空基地を造るのが目的だったわけです。つまり陸軍航空隊のために海兵隊がすりつぶされたわけで、当たり前の様な事ですけど陸海軍が最後までいがみ合っていた旧日本軍では考えられないことなんです。大局的に観ると、旧日本軍とは下士官・兵は優秀なのでどんな国と戦っても苦戦を強いらせることができるが、国力が貧弱なうえ軍上層部が無能なので戦争に勝つことはできない軍隊だったと言えるでしょう。 総じてイーストウッドらしい淡々とした目線で描かれた地獄絵図だったという印象でした。でも彼はアメリカの敵国兵たちも“祖国を守るために必死に戦って死んでいった”ということをきちんと描いていて、それは海兵隊の戦死者と何ら相違はないんだと訴えている気がします。これこそが彼の“硫黄島プロジェクト”の目指したことだったんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-12-08 21:47:00)
84.  ファイナル・デッドコースター 《ネタバレ》 
いよいよ三作目ともなると製作陣も頭がマヒしてきたのか、まるっきり“死神くんの殺しの手口博覧会”といった様相を呈してきました。これまで恒例だったヒロインたちの“死神出し抜き大作戦”はすっかり脇に追いやられてしまいましたが、訳が分からん屁理屈を聞かされるよりはこの方が潔くてすがすがしいですね。その手口としてはシリーズ中でも屈指の人気(?) を誇る “日サロトースト殺法” が満を持して登場、これは『ザ・グリード』のモンスターに喰われるのの次ぐらいに嫌な人生の終わり方です。死神がフェイントをかけるのはすっかりこのシリーズ愛好者にはバレバレですけど、本作ではちょっとした現象が積み重なって死につながってゆく “ドミノ倒し殺法” の美学に拘りを見せてくれました。死神を出し抜いたヒロインたちを最後に地下鉄で始末をつけてエンドですけど、これは一作目・二作目で取りこぼしを出してしまった死神の、反省の結果なのかな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-30 22:16:59)
85.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》 
ガールズ・バンドを題材にした邦画としては文句なしの最高峰でしょう。 オープニング、いかにも意識が高い高校生と言った感じのカメラに向かっての主張に、「うん、あったよね、こういう青春の恥って」と思わずうなずいてしまう人が多いんじゃないでしょうか。男女高校生たちのやり取りがまた自然な感じで、とてもリアル。どう見ても田舎の地味な高校に韓国人留学生がいて、その音楽素人の娘がなぜかバンドのヴォーカルになるという不思議なプロットなのに、その留学生がぺ・ドゥナだからそれだけで納得させられちゃうんです。あの“妄想MC”はこの映画で屈指の名シーンでしたが、ラストで突然盛り上がる体育館の観客たちも実はぺ・ドゥナの妄想がなせる業だったのかも(笑)。 香椎由宇は“こんなJK田舎の高校にいるかよ、でもほんとだったらかなり嬉しい…”と妄想させてくれるほどビジュアル的には光って(浮いて?)いました。でもバンドのベースはBase Ball Bearの関根史織だったので、演奏の見た目としてはかなり様になっていました。そしてME-ISM の山崎優子が謎の金髪先輩役で出演していて、弾き語りで歌う場面は圧巻でした。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2017-11-27 23:54:05)
86.  バイオハザード(2001) 《ネタバレ》 
やはりゲームの映画化作品としては、これがもっとも成功した一編ではないでしょうか。私はこのゲームをプレイしたことはないですが(もちろんその存在は知っています)、『トゥーム・レイダー』や『ストリート・ファイター』などは「もとはゲームだな」と意識させられる不自然さがつきものなのに、本作はそこを意識させない独自の世界観の構築に成功しています。ミラ・ジョヴォヴィッチにしても、このシリーズのアリス役が最大の当たり役だったことは認めることでしょう。なんせ彼女の最初の登場カットがあの素晴らしいブルーの瞳の大写しなんですから、この監督、のちにミラを嫁にするぐらいですからよく判ってらっしゃいます。のちのシリーズでどんどん超人化してしまうんですが、この第一作ではいきなりハダカでしかも記憶喪失という状態で登場、まだまだ人間味があるキャラです。前半のテンポとサスペンスの盛り上げ方はB級色を吹き飛ばす爽快さもあり、尺の短さもあって中盤のダレ場も振り切ってしまうパワーがこの映画にはあります。そして“SF映画ブラック企業四天王”の一角を占めるアンブレラ社の極悪非道ぶりがある意味突き抜けていて痛快でもあり、やはりアンブレラ社が史上最凶と認定させていただきます。 あの衝撃のレーザー・ソードのアイデアは実は『CUBE』の方が早くて、そこにリスペクトを捧げて隊長を“立方体カット(つまりCUBEですね)”で仕上げたのかと思います(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-14 22:37:38)
87.  ソウ3 《ネタバレ》 
“ソウ・マラソン”を数年ぶりにリプレイしておりますが、『3』でようやく“ジグソウ死す”というところまでこぎつけました。ここら辺から自分の感覚がマヒしてしまっているのか、数々のグロ拷問シーンをほとんど覚えていませんでした。強いて言えば判事が出てくるシーンでのフックで次々運ばれてくる豚の死骸ぐらいでしょうか、これだけは強烈でしたから自分にとっては。 ネタバレすると、けっきょく『3』はアマンダのゲームだったというわけです。どおりでジェフのゲームと拉致されたリンのドラマがかち合わず、すごく冗長に感じたわけです。確かに『3』はシリーズで最長の上映時間ですからね。まあここで三作目までの伏線というか観客に見せてこなかった部分を綺麗に整理した感もあるので、これで“ソウ三部作”として完結させるのが普通の映画製作者ですけどね。まさかこれが七作シリーズの三本目だったとは、当時の観客は予想しなかったでしょう。 と言うわけで、飽きてくるのはしょうがないとしてもグダグダ感が少ないのは、このシリーズで褒めるところでしょう。本作で特に疑問に思ったところは、本筋には全然関係ないオープニング・アクトの様なゲーム犠牲者と、女刑事までゲームに巻き込まれて負けてしまうところでしょうか。この刑事殺しは、ジグソウが関与しないアマンダの個人的な犯行ということでしょうか。ドニ―・ウォールバーグの前作からの末路も明らかにされてますけど、これじゃゲームに勝ってもルールが守られてないじゃん、まさしく「ゴールポストが動いた!」ですよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-11 22:35:49)
88.  ソウ2
「続編では群れで出す」というモンスターもの映画の鉄則をきっちり応用して、今回のゲームの参加者は大量増加、その上にゲームを見守る警察陣も大量参加で一気ににぎやかになりました。お約束のグロ・シーンはシリーズ後半作に較べるとまだ大人しめですが、その分心理的な嫌悪感を与えられた感じが強いです。地味な絵面でしたが、自分的には注射器のプールは背筋がゾクゾクするほどおぞましかったです。監督が代わっているのに早回しやカットショットの過剰なまでの多用は前作と変わらずというかエスカレートしている感じで、製作に廻ったとはいえジェームズ・ワンの強いコントロールが感じられます。ラストのカットなんかを観ると、この映画は三作目と二本でひとつの映画と言う感じがしますね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-27 22:07:35)
89.  ソウ
初見の際にはこのアイデアにはぶっ飛びました、自分の『驚愕させられた映画ランキング』のベスト3に今でもランクインしています。正直に言うと、あのラストには思わず立ち上がるほどびっくりしたもんです。いまじゃあ本作をパクった映画が濫造されちゃいましたけど、やはりオリジナルは偉大です。私はいわゆる“ソウ・マラソン”はすでに完走しておりますけど、監禁ゲームと並行して元刑事ダニー・グローバーが暗躍していたりする第一作がやはりベストな脚本だと思います。このシリーズは回が進むにつれジグソウのゲームをいかにエグく見せるかにどんどん比重がかかって来て『ファイナル・ディスティネーション』シリーズみたいになってしまうんですけど、それはそれで愉しめます。中盤までゴードン医師とアダムの“信頼できない語り手”視点のストーリーテリングが緊迫感を煽ってくれますが、この視点をもっと引っ張ってラストまで持って行ったらもっと良かったかなと感じます。 冷静になればツッコミどころは多々あるんですけど、ストーリーテリングの巧妙さがそんな粗を覆い隠してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-10-26 23:02:48)
90.  デッドコースター 《ネタバレ》 
原題は無造作に『2』を付けただけなのに、邦題が『デッドコースター』とはどこから思いついたんでしょう。どこにもジェットコースターなんて登場しない内容なんですけどね、でもこれがまだ撮られていなかったシリーズ第三作目のプロットを見事に予言しているなんて、これぞ死神様のなせる業です(笑)。 冒頭の事故シークエンスはCGにほとんど頼らずに大クラッシュを見せてくれ、このシリーズ中では最もおカネをかけてたんじゃないでしょうか。死神様の殺しのテクニックもグロ度をパワーアップさせているし、歯医者さんのくだりが最高でしたけど茶目っ気まで発揮して観客を楽しませてくれます。ということで前作よりも面白かったかなとも感じますが、後半20分の詰め込み過ぎた展開はちょっとひどすぎの感が否めません。まあこのシリーズは、中二病丸出しの死神様のシナリオを受け入れいかに笑い飛ばせるかに、愉しめるかどうかの境界線があるようです。でも「新しい生命の誕生」という対死神作戦の秘策だけは、さすがに理解不能でした。ラストの展開を見た限りでは主人公カップルは生き残ったというのが妥当でしょうが、こんなことはシリーズの中では唯一のケースですよね。三作目以降でこの二人のことには触れることはなかったので、そう解釈するしかないですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-23 23:56:26)
91.  ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 
25年余りで三度もテロ計画を阻止しぶっ殺したテロリストは40人近く、でも勲章ひとつもらえず未だに“ベテラン刑事”と呼ばれるだけ、ジョン・マクレーン、人呼んで“世界でいちばん出世運が悪いデカ”。『ダイ・ハード』シリーズを総括するとこういう感じでしょうかね、現実世界でこんな警官がいたら、出世どころか政界に進出して合衆国大統領になっていてもおかしくないぐらいです。 “冴えないオッサン刑事が実はスーパー・ヒーローだった”という初期のコンセプトはとっくに忘れ去られて、本作のマクレーン刑事はジェームズ・ボンドかジェイソン・ボーンかという無敵ぶりです。さすがに疾走する車から飛び降りて死ななかったりF-35戦闘機にしがみついて結果的に墜落させてしまったり、はっきり言ってやり過ぎです(笑)。前作からプロット化しつつあるマクレーンの私生活の不幸振りもついにホリーとは完全に離婚、年頃の娘には邪険に扱われる始末で同世代のお父さんの涙を誘います。敵は敵でハリウッド映画では現在最凶の組み合わせ、ハッカー&テロリストですから脚本にも力が入っています。でも今までの敵テロリストはそれぞれある集団に属していることが明確だったのに、今回ははみ出し者のプログラマーがなんで冷酷なプロ集団を集められたのか、もうちょっと丁寧に説明して欲しかったですね。 前作よりも出来が良いのかなと期待してましたが、終わってみれば良くも悪くも普通のアクション映画だったなという感想でしかありませんでした。ブルース・ウィリスがあと何作このシリーズを続ける気なのかは知りませんが、きっと最終作ではホリーとよりを戻すんだろうなという予感がしています。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-09-29 20:37:05)
92.  いのちの戦場 -アルジェリア1959- 《ネタバレ》 
アルジェリア戦争がテーマの映画と言えば、私は未見ですけど『アルジェの戦い』が有名です、いや言い直すとこれしかなかったというのが正解でしょう。アルジェリアが独立するためにフランスと8年間も戦争状態だったということですが、独立を目指す武装組織との戦闘ですからこれを“戦争”と呼ぶのはちょっと違う気がします、1996年までフランスが公式に戦争であったと認めてこなかったのは、国際法的には正しかったのかもしれません。韓国が東学党の乱のことを「甲午農民戦争」と呼べと最近しつこく主張していることと、どこか通じる理屈があるのかもしれません。どちらにしてもこの紛争は「両者とも常軌を逸した血なまぐさい殺し合い」だったことは確かです。 アルジェリアと言うと砂漠というイメージですが、この映画で見せられるアルジェリアは、ゴツゴツした岩場が続く山また山の風景の連続です。フランス兵たちは山頂にある砦みたいな基地から出撃し、武器装備も大したものも持っていない。まああんな山地では戦車も役に立たないし、歩兵に頼るしかないでしょうね。でも考えてみてください、1959年と言うとトリュフォーやゴダールがヌーヴェル・ヴァーグを撮り始めたころで、パリやフランス国内は当時の日本と比べても遥かに生活水準が高かったんですよ。そんな国を離れてアルジェリアくんだりで命のやり取りをしなければいけなかった若者たちは、ほんとに可哀想です。たぶんこの映画が『アルジェの戦い』と決定的に違うところは、アルジェリアの組織FNLがフランス軍に負けず劣らず残虐な殺しを繰り返していたことをきっちり描いているところですね。フランス軍の中にもFNLと敵対するアルジェリア人兵士がいたり、この戦争の救いようがない悲惨さを若い中尉と古参軍曹の視点から地味ながらもきっちりと描いていて好感が持てます。新米中尉が戦争の狂気に犯されてゆくところは定石ですけど、軍曹までだんだんおかしくなっちゃうのは怖いです。 地味な兵器ばかり登場していますが、考証はかなり正確だったと思います。ゲリラの使っていた機関銃はドイツ軍のMG42でしたが、この機関銃は発射速度が猛烈に速いことで有名です。森の中で火を噴くMG42、まるでチェンソーで刈られたみたいに飛び散る木枝がその威力をよく示していました。撃たれたフランス兵たちが古参兵までパニックになってしまうのは、無理もありません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-16 21:56:28)
93.  恋はハッケヨイ! 《ネタバレ》 
『カルフォルニア・ドールズ』の女相撲バージョンかと思って観てみたら、悪い意味で思いっきり期待を裏切られましたね。つまり太めの淑女たちの汗と涙そして笑いが満載のスポ根映画だと私は勝手に思い込んでいたんですよね。ところがこの女性監督は、相撲の神秘的な部分がお気に入りだったみたいで、女相撲に魅せられた女性たちをまさに原題“Secret Society”の一員として描くことに凝り過ぎちゃったみたいです。相撲にはスポーツと言うよりは神技としての側面も確かに強いですけど、それがやはりデブ女である工場主任が主催する謎の女相撲サークルとどうつながるのかは、感覚的にもついてゆけませんでした。だいたいラストの試合ですが、いくらなんでも男と対戦するのはあり得ないでしょう。 まあそんなにムキになって批評するような映画でもないけど、面白くなかったというのは確かです。昔ならいわゆる国辱映画ということでお蔵入りは確定でしょう、現時点でも地上波はもちろんのことCSでも放送されないんじゃないかな。
[ビデオ(字幕)] 3点(2017-08-28 20:45:26)
94.  ファイナル・デスティネーション 《ネタバレ》 
ホラー映画のアイデアとしては、確かに平成になってからの作品では群を抜いたオリジナリティを持っていることは認めましょう。冒頭の飛行機事故の描写なんかも、恐ろしさでは歴代三位以内に入る墜落映像ですし、乗客の中に赤ん坊や障碍者がいるところをわざわざ観客に見せつける脚本の悪意には嬉しくなってしまいます。主人公の少年の行動を客観的に観れば、そりゃFBI捜査官でなくても生き残ったこいつが頭がおかしくなって連続殺人犯になったと思いますよ。ということで中盤までは不条理サスペンスの色彩まで感じられて良いんですけど、なんど説明されても理解できない死神の論理が出てくると頭を抱えたくなってしまいす。あちらの世界ではどうなのかは存じませんが、人間界ではこういう拘りに捉えられている人のことはパラノイアと呼ぶんですよ(笑)。 その後のシリーズ作ではやりすぎの世界に没入していってしまうんですけど、本作ぐらいの殺され方がちょうど良い(?)かもしれません。女教師の死に方がなんかいちばん悲惨な気がしましたけど、ラストの結局失敗してしまいましたが死神の“スネーク電線攻撃”も冷静に考えるとおバカの極みみたいな映像じゃないですか。のちのシリーズ作では顕著になってゆくんですけど、殺し方に凝りすぎるあまりほとんどコメディみたいになってしまいます。まあそれもこの映画の味なんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-05-10 23:39:15)(良:1票)
95.  ゴーストシップ 《ネタバレ》 
ここのレヴュアーの皆さんからの酷評ぶりを読むと自分の感性に自信がなくなっちゃうんですけど、告白しちゃいますと私はこの映画嫌いじゃないです、いや好きかも(笑)。 まあここは誰もが納得すると思いますけど、つかみのワイヤー人体破壊ショーから幽霊船に乗り込むまではなかなかの雰囲気じゃないでしょうか。実際に可能かどうかはともかくとしても、あの胴体真っ二つ斬りは凄すぎます。生き別れした上半身が下半身を探す女性のカットなんて、ちょっとやりすぎだろって叫びたくなります。他にもいろいろとエグい死にざまのてんこ盛りで、あのナイス・バディのフランチェスカの殺され方なんかも、ちょっと痛すぎでしょ。ここはロバート・ゼメキスの残酷趣味がさく裂してますが、スピルバーグとそのお仲間たちはほんと人体破壊がお好きですねえ。 中盤になってくると尺を考えていたのかご都合主義アクションが目立ってきます。ここも誰もが気が付くように、ホラー演出は『シャイニング』の劣化版と言ってしまっても構わないぐらいで、キューブリックが生きていたらきっと激怒して訴訟をかけてきたと思いますよ。でもよく考えてみればもっとえげつなくパクっている元ネタがあるんです、そう『ザ・グリード』なんですよ。いわば『ザ・グリード』のモンスターがあのサタンの手下に置き換えられたようなもので、ラストの客船の爆発カットなんて『ザ・グリード』そっくりの絵面ですからねえ。でもグリード・モンスターと違ってサタンの手下はやっていることが意味不明すぎます。タグボートを爆沈させる魔力があるくせに客船を操ることができない、まあ彼の代弁してあげるとすれば「豪華客船とタグボートじゃ大きさが違いすぎるだろ、しょせんサタンの手下の俺じゃ手に負えないよ」ということでしょうか(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-04 21:19:47)
96.  スペル 《ネタバレ》 
まるでサム・ライミが原点回帰したみたいで、嬉しくなってしまいます。やたら口からいろんなものが飛び出してきたリ、逆に口から押し込まれたりヒロインと婆さんの激闘にはもう笑うしかないでしょう。このヒロインがまた上昇志向が強い嫌な女で、途中で悪魔にいたぶられ過ぎてちょっとかわいそうになりますが、反撃に出ると口から出るのが憎々しい悪態でせっかく湧いた同情も消え失せちゃいます。またまるで3D映画みたいな撮り方をした映像で、キッチュなところがいかにもサム・ライミらしくていいですね。でもラストで地獄に連れていかれるヒロインを観て「ざまー見やがれ!」と溜飲を下げる自分がちょっと情けない(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-18 22:32:31)
97.  ミート・ザ・ペアレンツ 《ネタバレ》 
デ・ニーロが主演および製作のもうこれは鉄板としか言いようがないシチュエーション・コメディ。前年の『アナライズ・ミー』が受けたのでこの路線で行こうとの思惑が見え見えなんですが、デ・ニーロがやるんだから面白くないはずはありません。結果的には三作まで撮られる人気シリーズになるんだから、狙いは的確だったと思います。日本人じゃあまりピンときませんけど、脚本はアメリカ人にはかなり際どいネタがてんこ盛りです。だいたいWASPが多いCIA関係者の娘がユダヤ系と結婚するというプロットからして刺激的。おまけにその男のファミリー・ネームが“フォッカー”というから念が入ってます。このベン・スティラーの本名までが奇抜で、続編でも “名前ネタ”として使われるわけですからよく練られた脚本でしょう。男性としてはどうしてもベン・スティラー視線で観てしまいますからどうしようもないんですが、こんな義父だったら悪夢いがいの何者でもありません。まあ恋人のテリー・ポロもよく考えるとかなり嫌な女で、親父さんに似ていると言えます。後半になるにつれてベン・スティラーが巻き込まれるあまりに不条理なトラブルは観ていてしんどくなるほどですが、あのかなり強引なハッピーエンドへの持ち込み方はいかがなものでしょうか。こうなることはそりゃ判っていましたが、ちょっと強引すぎでしょ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-15 21:43:48)
98.  監督・ばんざい! 《ネタバレ》 
北野武版『81/2』という感じなんでしょうけど、自分版『81/2』を撮った映画作家たちは芸術性の行き詰まりをテーマにとしているのに、「どうしたらウケる映画すなわちヒット作が撮れるか?」というどの映画監督も悩んでいるけど口に出せないことを赤裸々に語っちゃうところが武らしいです。小津風、文芸作品、昭和回顧、ホラーもの、忍者映画、と構想練るものの次々に失敗する展開はなかなかの抱腹ものです。武登場シーンのほぼ半分はたけし人形に代役させるのも傑作で、もうこの人は映画に出て演技するのが嫌になっちゃったんじゃないかと勘繰りたくもなります。このまま続けば楽しいのに、SF編になってからは訳の分からない展開で、けっきょく『みんな~やってるか!』とおんなじ様なパターンとなってしまいました。私はたけし軍団の中では井出らっきょが特に嫌いなので、途中から見ていて苦痛でなりませんでした。最近は地上波でもやらない様なセンスが悪いギャグを延々と見せられた挙句の小惑星の地球激突、これがSF編だったことをすっかり忘れていました(笑)。 まあこんな悪ふざけをお金を払った観客に見せつけた末に、「やっぱバイオレンス映画しか受けないんだ」と気が付いて『アウトレイジ』を撮るわけですが、もっと早く気づけよ!
[CS・衛星(邦画)] 3点(2017-03-09 23:31:42)
99.  スティック・イット! 《ネタバレ》 
スポ根ものもついに女子体操まで題材にするとはいよいよネタ切れかと思いきや、これがなかなか面白い掘り出し物だったんです。まずカメラと編集のキレがイイです。体操演技する女優たちをバスビー・バークレー風に捉えるショットにはミュージカル・ファンはニヤリとさせられるのは必定です。鉄棒や平均台などのガチな種目ではスタントダブルを使っているのは当然としても、女優たちとのつなぎが巧妙なので違和感は少ないです。もっとも、そのために体操演技のクライマックスになると引きの映像になってしまうのは致し方ないでしょう。何よりも体操やフィギュアスケートのような採点競技に対するアンチテーゼを前面に押し出した脚本は、かなり目新しいんじゃないでしょうか。コーチや審判員にガチガチに型にはめ込まれる選手たちを観ていると、旧共産圏のような全体主義国家が体操に強かったのは納得させられます。ジェフ・ブリッジスも、この手の映画ではお約束のダメコーチを単純に演じるのではなく、口八丁の商魂たくましい男を彼らしい巧みさで演じています。 ラストの選手たちのはっちゃけぶりを観ていると、「これは『スラップショット』の体操ヴァージョンなんだな」と気が付きました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-06 21:45:36)
100.  マーターズ(2007) 《ネタバレ》 
前半はアート系が入ったような先がまったく読めないストーリー展開。いきなり日曜の一家団欒を楽しんでいた家族を突然の侵入女がショットガンで皆殺し。どてっぱらにあんなでっかい風穴を開けられたお母さんが突然蘇生するところは、そのあり得なさから本作で唯一クスッとさせられるところかもしれません。そしてグールみたいな姿に変わり果てた女が登場するあたりからもう背筋のゾワゾワが止まらなくなってしまいました。カッターナイフやカミソリの刃で人体を切り刻む映像がこんなに不快なものとは想像もしませんでした。日本刀やマチェーテでばっさり斬られる方が絶対いい、もし自分がやられるならね。 ほんとにすごいのは上映一時間を過ぎてから、もうちょっとあり得ないです。なんの救いもないラストもまたひどい。 でもよく考えてみるとこれってホラーなんですかね、サブカルに色目を使った鬼畜映画というのが正しいんじゃないでしょうか。『ムカデ人間』シリーズの方がはるかに後味が良いと感じてしまうほどです。 井口昇や山口雄大といった日本を代表する鬼畜系監督がDVDのコメンタリーをやってますが、口をそろえて「この映画をさすがに人に勧めることはできない、人格を疑われる」「ウン〇みたいな映画」と本音を語っていたのにはちょとびっくりでした。彼らみたいなホラーマニアに言わせると「ホラーにはロマンがあるけど、この映画は…」ということらしいです。
[DVD(字幕)] 3点(2016-10-12 23:51:38)
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