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ころりさんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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161.  ソロモンの偽証 後篇・裁判 《ネタバレ》 
原作既読。中学生が裁判をやるっていう時点でファンタジーなわけで、あのガリ勉君の判事とか、神原君とか、みんなのキャラ設定はジュブナイル小説のノリで話は進んでいくのだけれど、扱ってる事件は中学生の自殺事件という、ある意味、連続殺人の犯人捜しなんかよりもリアルでヘビー。この辺のバランスの悪さは原作そのままというか、中学生日記的な子どもたちの演技もあって、増幅しちゃったような気がする。あと、よくわかんないところで流れる一筋の涙とか、やたら倒れたり気絶したりとか、演出面でもくどいし疑問符もいっぱい。保健室での三宅さんと母の涙の抱擁シーンとか必要? 永作さんに見せ場を用意するためにしか見えないし。ほかにも、校長先生にみんなで礼とかもくどいし、テンポも悪い。そして、最悪だと思ったのは音楽。メロドラマ調の音楽が終始流れてるんだけど、中学生主体のシーンには合ってないし、くどさを倍増させる。とどめはU2。あの曲の名イントロをもってしても、違和感しか残らない。全体として、成島監督の名作『八日目の蟬』で成功した手法を踏襲した感じなんだけど、この話には合ってない。数少ないよかった点は、前編で主人公の名前が「中原涼子」になってたことで一番危惧していた原作最大の蛇足が省略されていたことくらい。最後にその話が出てきてU2だったら0点にしてやろうと思った。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2016-09-09 15:28:26)
162.  ソロモンの偽証 前篇・事件
原作既読。タイトル画面で原作者の名前がでてきて、なんというか志の低さに不安になる。原作でも裁判になるまでは結構好きだったので、それなりに見ることはできた。ただ、『八日目の蟬』の成功が足かせになってるのか、似たような音楽がこの話と合ってない。それから、どうにも類型的で見るに(聞くに)堪えないセリフの数々。先生たち、マスコミ関係者、そして親たち。こういう主軸になる物語の周辺的部分こそ、映像や演技で膨らましてリアリティをもたせられる部分なのに、そこが大きく足を引っ張っている。そもそも途中でふつうに終わるので、1本の映画として評価できない。前編だけを映画館で見る気って個人的にはまったくしないのだけれど、興行的にも難しいんじゃないかな。原作読んでる人だったら、きっと前編では何も起こらないってわかるし、原作読んでない人だったら怒るでしょ、こんなところで終わったら。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-09-09 15:09:54)
163.  ワールド・ウォー Z 《ネタバレ》 
序盤の事件発生からヘリで脱出までは、家族が一緒だったこともあってサスペンス感高し。また事件の全容が見えないまま、各都市がゾンビで壊滅していく映像も見応えあり。その後のブラピの世界旅行になってからは、家族という枷が外れたこともあって、サスペンス感は減退して安心して眺められる。ここでもゾンビがお互いを踏み台にして壁を越えるという、なかなかインパクトのある映像も見られて満足。そして、終盤の研究所での閉鎖空間でのアクションは、なかなかのハラハラ感。要するに、それなりに楽しんだわけですが、全体としては、ややしまりのない大味な展開が目につく。どんな実績があるのかわからないのにみんなにやたら大切にされる元国連職員のブラピとか(でもブラピだからそれが当然にも思える不思議)、前半活躍したけど後半完全に空気になったヒスパニックの少年とか、飛行機墜落現場から腹になんか刺さったまま歩いて研究所へ行くとか、「WHO Research Facility」というあまりにもアバウトな建物の名前とか、細かい作り込みとは無縁な感じです。「ワールドウォー」という大げさなタイトルも含めて、「そういうもの」として期待せずにみれば、サスペンスやアクションの演出はうまいので、それなりに楽しめる1本だと思います。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2016-07-30 21:59:44)
164.  映画 鈴木先生 《ネタバレ》 
ドラマ版を見た後に鑑賞。基本的にはドラマの延長戦(レッスン11)であり、生徒たちと鈴木先生の議論メインで進んでいく。出水君の問いかけはちょっとナイーブ過ぎる気もするけど、ドラマ版でも彼の謎かけの回は結構好きだったので、今回も選挙演説会までの流れは楽しかった。しかし、そのドラマの流れに、どうにもかみ合っていなかった部分があちこちに。1つは、小川さんをめぐる妄想の再来で、結局これは何だったのかうやむやのまま映画も終わってしまった(ストレス?とかそういうことではないでしょう)。2つめは、他のレビューにもあるように、風間俊介君が起こす事件。彼はハマり役だったけど、彼の動機には、このドラマ・映画で最も肝になる「ロジック」が乏しい。だから鈴木先生との「論戦」も今ひとつかみ合わないまま、最後はアクションとジャンプで強引にまとめてしまったのは残念。それから、あの公園を「居場所」としてた若者2人とも、結局その居場所を失って犯罪に絡んでしまうのも短絡的というか・・・。やっぱり、彼らには彼らのロジックをもって、鈴木先生に対峙してこそ、この映画らしいクライマックスになったのになあと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-07-30 15:25:50)
165.  幕が上がる 《ネタバレ》 
「アイドル」さんって、歌って踊ってる時は輝いているけど、映画の世界に入ると結構「地味」な顔立ちだったり、スタイルだったりが目立つことが多いように思います。なんというか、女優さんとは「輝き方」が違うというか。で、「ももクロ」さんに疎い私は、大変失礼ながら、劇中は「地味な子たちだなあ、これで本当にアイドルなのかな」と思いながら見てました。ただ、それでも5人のキャラとか関係性が見えてくると、だんだんいろいろ気にならなくなり、恋愛要素すらなしの超ストレートな青春映画として楽しめます。そして、ラストのタイトルどおりの「幕が上がる」ところで、突然「アイドル」性が開放され、(口パクで)歌って踊る5人を見れば、「ああ、この子たちは確かにアイドルだ!」と妙に納得。演技としては女優一歩手前というか、まさに「演劇部」という感じでしたが、瑞々しい演劇とアイドル性の両面性を門外漢なりに楽しむことができました。難点は、みなさん同様に、しょうもない小ネタとカメオ出演。ファンを公言する某局アナウンサーもそうですが、最悪はラスト付近で出てくる黒い人。ももクロと縁がある方のようですが、最後の盛り上がりに水を差す完全なる蛇足です。まあ、そのへんの文脈を読めないやつはお断り、ということなのかもしれませんが、映画自体は門外漢でも十分に楽しめる仕上がりだっただけに、そういう部分は本当に残念。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-07-25 21:49:40)
166.  ファインディング・ドリー
夏休みということで子どもと鑑賞。ストーリーはほぼ言うことなし。相変わらずのピクサー印で、ドタバタを楽しく見せつつも、一つ一つのアクションにちゃんと意味がある。とくに、ニモとマーリンが「ドリーならどうするか」を考えるところが素敵。たとえ記憶障害を抱えていてついつい「うっとおしい」と思ってしまう相手であっても、相手の目線で物事をみることが、自分との「ちがい」を知り、相手に「共感」して「理解」することへの第一歩だという素敵なメッセージだったと思います。でも押しつけがましくなく、新登場のキャラクターも個性豊かで魅力的。ハラハラしたり、笑ったり、驚いたりしながら、気がついたらピクサーらしい世界観にどっぷり浸かり、ちょっと優しい気持ちで映画館から出ることができました。欲をいえば、中盤から後半はアクションの連続で、位置関係がよくわからなくなったりしても立ち止まって考えるする余裕がなく、ヤマの盛り上がりにつながるようなメリハリがもう少しあってもよかったかな、と思うくらい。
[映画館(字幕)] 8点(2016-07-25 17:05:48)(良:1票)
167.  脳内ポイズンベリー 《ネタバレ》 
中心はベタな三角関係ストーリーではあるのだけれど、脳内の会議風景での議論はなかなか楽しい。とくに神木くんの石橋とハトコのキャラは楽しかった。理性をふっとばすボンテージ女の設定もよい。また、早乙女とヨリを戻した後、外面上はシアワセそうなのに、実は脳内では思いっきり抑圧してる様子は、この作品の設定が生きた描写だったと思います。ただ、早乙女も越智さんも魅力が伝わらず早々にラストの展開が予想できてしまうこと、真木よう子の表情の乏しさ(もっとコメディエンヌとしてはじけてもよかった?)で全体的にいまひとつ乗り切れず・・・。あと、会議室はいいのですが、その建物などのCGデザインのしょぼさ。さらに、終盤にネガティヴな池田さんが早乙女との関係を続けることを求めるようになるのがよくわからないなど議論におけるロジックの弱さや不鮮明さもモヤモヤしてしまいます。繰り返しになるラストも、やっぱり主人公の成長が明確に感じられるものにしてほしかったなあ。この手の映画なのだから、そこは観客に委ねるのではなく、ハッキリと明確に描いてスッキリして終わって欲しかったように思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-07-25 16:47:18)
168.  007/スペクター 《ネタバレ》 
本作が製作発表されて次は「スペクター」と知ったとき、「スカイフォール」のクオリティと従来の007の娯楽路線が混ざったらどんな凄い映画になるか、期待値MAXでした。ところが公開後、あまり芳しくないレビューをあちこちで見かけ、なんとなく見られないまま公開終了。で、やっと鑑賞したわけですが、期待値が下がってた分もあって、感想は思ったよりは悪くない。旧作同様に、ボンドがあちこちうろうろして、女の人と会って、アクションして、の繰り返しなのですが、シーンの見せ方はサム・メンデスらしい凝った構図がいっぱいで楽しいです。ただ、アクションにはあまりキレがなく、サスペンス感もクレイグ・ボンド4作のなかでは一番低い。2時間半が長く感じました。一方で、良かった点は、みなさん同様、メキシコのお祭りからタイトルまで、スペクターの会議、砂漠を走る列車の遠景、Qがちょっと活躍するあたりくらい。ただ、ラスボスを身内にする必要は全く感じないし、ネコがぜんぜん活きてないし、アクション映画としてはあまりにも安易なボートからのヘリ攻撃、伏線回収の快感不足もマイナス。期待値MAX状態で見れば、これは消化不良感大きかっただろうなあと思いました。まあ、「スカイフォール」でちょっとアナザーワールドにいってしまったボンドが、また「いつもの大味なボンド映画」に帰ってきたと思えば、これはこれでありかもという意味では、なんだかんだで嫌いではないなあというところです。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-07-21 12:29:54)
169.  スポットライト 世紀のスクープ 《ネタバレ》 
オーソドックスな手法で真面目にしっかり作ったという印象の良作。「世紀のスクープ」というタイトルではあるものの、この映画が描いたスキャンダルは、「誰も知らなかった真実!」ではなく、実はボストンの人たちの多くが知っていて、でも言えないと思っていた事実。人々の日常生活の支えとなっている教会が舞台だったからこそ起きる隠蔽。1つ1つの事件ではなく、そのシステム、構造を暴かないと意味がないという編集長の言葉は、ジャーナリズムというものの役割を再発見させるものでした。そして、そのための記者たちの作戦とは、どこかに「真実」を暴く「驚きの大逆転」があるのではなく、1人1人の関係者の話を聞き、事件や関係者の数を数え、それを裏付ける文書を探し出し(その開示を裁判所に要求し)、そしてそれを裏付ける証言を得ること。どこまでも地道で気が遠くなるような作業ではあるものの、そのプロセスを飽きさせずに見せた点は、この作品の質の高さを示していると思います。ある事件があり、その全容を描こうとすること、そこから自分たちが生きる社会のあり方を問うこと。この作品が描いているのは、そういうシンプルなことであり、「宗教」や「教会」の闇というような表面的なことではなかったと思います。誰かがもの凄い演技を披露するわけでもなく(もちろん俳優の演技はどれも素晴らしいですが)、どこかに斬新な演出や画があるわけではないので、地味さは拭えませんが、これがオスカー作品賞(と脚本賞)を取ったというのは、個人的には十分に納得できるものでした。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2016-05-17 14:51:11)
170.  ズートピア 《ネタバレ》 
最近のディズニーの「社会派」ぶりにちょっと驚いてます。警察、差別と偏見、犯罪者と見なされること、犯罪者になること、これはいまのアメリカ社会に置き換えて考えれば、やっぱり警察と黒人の問題でしょう。そして、これは、2016年のアメリカで、この偏見や差別を煽ることによって支持を集めている政治家の問題でもある。そんなテーマに正面から挑みながらも、子どももちゃんと楽しめる(そして、そのメッセージもちゃんと伝わる)作品に仕上げた制作陣は本当に素晴らしいと思います。この映画の最も「社会派」なところは、主人公をこのような偏見や差別のサイクルから自由で超越した存在として描かなかったこと。もっとも偏見から遠いところにいる(と思われていた)ジュディが、その善良さゆえに、警察という立場から自ら偏見を持ち込むような発言をしてしまい、社会に分断を招いてしまうシーンは、大人の自分でも冷や汗が出るような恐ろしさでした。そして、そこからジュディが立ち直る過程こそ、この映画の本当のメッセージであり、テーマであったのだと思います。ただ、ここも最近のディズニーに共通するところですが、物語が複雑でガチャガチャしてしまい、落ち着きがないところ。出てくるキャラクターがそれぞれ魅力的ではあるのだけれど、個人的には種類が多すぎで、それぞれの見せ場が短い。もう少し展開やキャラを絞ってシンプルな成長物語としたうえで、この映画の重くて真摯なテーマを絡ませることは、たぶんできたと思う。あと音楽と映像(とくにズートピアの多彩なエリア)は、もちろん2016年の平均以上レベルだけど、でも、もっと出来たんじゃないかなとも思いました。とかグチグチ言っても、一緒に観た娘たちがケラケラ笑って楽しんで、帰りに「もう1回みたい!」と言ったことがすべて。小さな娘のなかに、現代という時代に向けた本作の大切なメッセージが、じわ〜っと伝わっていることを願っています。
[映画館(字幕)] 8点(2016-04-29 22:44:49)(良:1票)
171.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
メキシコ国境地帯の麻薬モノは、TVドラマやドキュメンタリーでも良作揃いだけれど、映画でも『トラフィック』以来の良作が登場! 『トラフィック』でも印象的な役回りだったベニチオ・デル・トロがここでは謎めいた捜査官として、前作とは違った強烈な印象を残す。ひたすら振りまわされる主人公エミリー=ブラントもいい。そして、意外と好演なのが、主人公ケイトの相棒ジェシー。ケイト以上に物事の真相もつかめないまま振りまわされる姿はユーモラスですらあり、緊張感が張り詰める本作のなかで、ちょうどいい緩和剤となっていて、単調になりがちな場面にメリハリを与えている。デル=トロの正体は、設定から考えれば当然ありえるもので、そこまで意外ではなかったので、サスペンス的な楽しみはそこまでではないけれど、丁寧に描き混まれる捜索・捜査・掃討シーンはどれも印象的で、監督ドゥニ=ヴィルヌーヴの才気をとにかく感じる。今後要チェックの監督がまた1人増えた。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-22 18:09:42)(良:1票)
172.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
明るいノリの火星サバイバル&救出作戦。危機的状況のなかで、人類の知性の結晶としての「科学」、人間文化としての「音楽」、人間らしさが集約される「笑い」と「チームワーク」のすばらしさをこれでもかとポジティブに描いた快作。マット・デイモン扮する主人公ワトリーはたびたび窮地に立たされるけれど、そこを科学と音楽と何よりもユーモア(とくにポテト畑壊滅の絶望的状況から立ち直らせるクルーとのブラックジョークのやりとりは感動的ですらあります)によって乗り越えていく。人種・宗教・国境による分断が強調され、分断を煽る人間が「指導者」面をする今の社会に対する強烈なメッセージであったと思います。ただ、一方で、あのリドリー・スコットが、なぜ、いかにもハリウッド映画という感じのラストの群衆シーンをわざわざこの映画に挿入したのか。あれ、なくても十分に話は作れるはずなのに。わざと皮肉でやってるとしか思えない。ただ、これが「群衆の醜悪さ」を描いた皮肉であったとすれば、映画自体のメッセージとも矛盾する。それから、ワトリーの家族が一切登場しない件。彼は孤独な人間であるからこそ、火星の孤独にも耐えたことができたのかもしれないけれど、裏を返せば、本作は、ふつう人間の可能性を根源とされる「家族」や「愛情」を敢えて描かなかった「人間賛歌」であり、その意味するところは実は深くて重いようにも思える。というわけで、鑑賞中はふつうに楽しく前向きになれるのに、見終わって考えると、実はこの映画のメッセージはもっと恐ろしいものだったのではないのかと思えてくる。そういう意味でのリドリー・スコット印。健在です。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-03-15 10:20:08)
173.  クリード チャンプを継ぐ男 《ネタバレ》 
『フルートベール駅で』は2013年の個人的ベスト映画でした。そのクーグラー監督とマイケル・B・ジョーダンのタッグで、あのアポロの息子を描きます。『ロッキー』は個人的に映画にハマるきっかけになった作品なだけに、期待と不安の混じった状況で鑑賞。結果的には、これが大正解だったと思います。『フルートベール駅で』のたぐいまれな構成力や脚本のすばらしさはそのままに、でもちゃんと『ロッキー』的な「アガる」要素やドラマティックな演出もばっちり。見方によっては、『フルートベール』がそうであったように、新世代のブラック・ムービーにもなってて、そこは『ロッキー』シリーズとしては賛否分かれるところだと思うけど、この2人に賭けようとしたスタローンの懐の深さに、この不器用すぎる俳優のまた新しい魅力を見た気がします。恵まれていても「何か」を渇望しているアドニスのドラマは、『ロッキー』1作目とは違う現代的なテーマではあります。でも、根底にあるもの、自分自身が何者であるかを問い続けてきた1人の若者の物語であるという点では同じであったようにも思います。加えて、ドラマパートでの生きた台詞の数々(ただし字幕にはかなり不満あり)と斬新なカメラワークで構成されたボクシング・シーンも素晴らしい。あのダウン→走馬燈→最終ラウンドまでの流れは、もうドラマティックな演出、役者の演技、そしてなんと言っても音楽との奇跡的な相乗効果で、魂ごと持っていかれて、上映後しばし放心状態でした。公開日数も回数も少ないけど、映画館で見て本当に本当によかったと思える作品でした。
[映画館(字幕)] 10点(2016-02-25 23:45:41)
174.  海街diary
まず鑑賞後の印象。これは、映画館で見るべき映画だった! 女優としても旬の4姉妹の姿、美しい鎌倉の四季、そして何気ない日常の一コマこそ、映画館のスクリーンでこそ堪能すべきだったと思います。最近、自分が年取ったせいか女優さんを目当てに映画を見ることがめっきり減ってましたが、これはまさに「スター映画」。こういう映画は、もっとも環境のよいところで見てこそ、そのすばらしさが何倍増しにもなると思います。ただ、自宅で見たときの利点は何回でも見れること。すぐに2回目鑑賞しました。今度は、細やかなこの映画の構成が鮮やかに見えてくる。鎌倉の四季の日常のなかで積み重ねられていく四女すずの苦しみや3姉妹のそれぞれの生き方の微細な象徴が、物語に緊張感をもたらしていく。だからこそ、最後に「家族になる」ことの重みが、じわーーんと響く。スターが出ててもあいかわらず是枝作品風の会話表現、少しクラシックな(そしてややベタな)音楽、是枝作品のよい部分と華やかな日本映画の奇跡的な融合。原作を読んでいたので、原作での重要キャラ(とくに次女の彼氏)の雑魚キャラ化で逆に戸惑う部分もありますが、原作とはまた違った「海街diary」として、おすすめしたいです。
[DVD(邦画)] 8点(2016-02-24 11:50:10)
175.  真夏の方程式 《ネタバレ》 
夏休みの少年モノとして見れば、実験シーンをはじめ見るべきところはそれなりにある。夏らしい風景の切り取りもよい。けれど、それを台無しにする脚本と演出。多くの方が指摘する殺人の動機やミステリーとしての評価は、たぶん原作もそうなんだろうし、少年を犯罪に絡ませて後味の悪さを残すあたりは悪い意味で東野圭吾らしい。ただ、演出としては、たとえば工夫のない杏のダイビングの描写・・。同じアングルをただ繰り返すだけ。また、「家族愛」描写も杏の泣いてる顔を芸のないアップでだらだらと写すだけ。全体的に締まりがなく、登場人物の「感情」を描くシーンの多くが冗長で、こちらの感情を刺激するどころかかえって冷めてしまう。その意味では、変化に乏しい湯川先生を演じる福山雅治と眼力だけで乗り切った白竜以外の俳優みんなが下手くそに見えたのは、演出力や構成力の問題だと思う。ながら見するテレビではいいかもしれないけど、いちおう2時間これに集中するつもりで見ている映画では、このへんの出来が作品の評価を左右するのです。あ、あと前作もそうだけど、基本的にTV版の登場人物(警察側の2人)は完全に顔見せ以外の意味がない蛇足でした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2016-02-07 16:47:39)
176.  アウトロー(2012) 《ネタバレ》 
『ミッション・インポッシブル:ローグ・ネーション』がよかったので、同じ監督&トム・クルーズ作品ということで鑑賞。これは、掘り出し物。好みは分かれると思うけど、最初の銃撃シーンからサスペンスの持たせ方がうまい。派手さはないけど構成がしっかりしてて目が離せない。あと、主人公リーチャーのキャラがいい。車乗れない(っていっても免許がないから、という理由はちょっと笑える)、武器も持ってない、クレジット・カードも使えない。で、バスで移動っていうのが、何だか笑える。序盤の弁護士ヘレンとのやりとりもちょいコメディ入ってる。律儀にチンピラやら弁護士に車を借りてやっと移動手段ができたり、武器がないから射撃場の親父(ロバート・デュバル!)を呼び出したりとか、真面目にやってるのにどこか笑えてしまう。その意味では、トムの現実離れした「スター」感がうまくハマってるのかも。よく見てみると、なんでチンピラの仲間に簡単に頭、殴られちゃうのか(痛そうだからわざとではなさそうだし)とか、凄腕の敵のはずなのにラストの銃撃ではなぜ1発も当たらないのかとか、詰めの甘さはあるけど、シリアスなのにちょいクスッとくる新しいハードボイルドものとして、楽しめる1作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-01-22 11:08:54)
177.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
冒頭の飛行機シーンから、オペラ、水のなかの侵入シーンからバイクチェイスまで、1つ1つのシーンが丁寧にとらえていて見応えあり。アヴァンタイトルやバイクシーンを除けば、実はあんまり派手なアクションもない。むしろ、見せ方のうまさ、演出力の確かさが際立つ。またストーリー的には、今回の映画はヒロイン役のレベッカ・ファーガソンがいい。最後まで味方か敵かわからないことで、話に締まりをもたせて、中だるみを防いでくれたし、スタイルも見栄えもいい(とくにオペラハウスのシーン)。敵役の迫力不足がやや残念で、ラストももう少し引っ張ってほしかったなという部分もあるけど、全体として娯楽映画に必要な要素が本当に詰まってて、シリーズ5作目なのにここまで高いレベルに仕上げた監督&トム・クルーズに拍手。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-20 15:28:27)
178.  ウルフ・オブ・ウォールストリート
この内容このテーマで、3時間ちゃんと魅せてしまうこと自体が凄い。スコセッシの演出も、ディカプリオの演技もキレキレです。口八丁手八丁で莫大な金を稼いでも、その使い途が結局はあの乱痴気騒ぎ。実は、少し前に、失業者や最下層の人々がドラッグで転落するドキュメンタリーを見たのだけれど、金はあってもやってることは結局一緒・・・。こんなに虚しいことのために割かれる膨大なエネルギーの不毛さ。あの「レモン」からのランボルギーニと電話のくだりは、もうディカプリオの演技力の壮大な無駄遣い(誉めています)。そして、映画全体のドラッグのような編集と音楽(胸を叩いて「んーっんっぽー」の中毒性・・・)。才気爆発とはこのことを言うのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-09 10:34:36)
179.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
上映中はしっかり楽しんだのだけれど、終わってみるとなんか釈然としない。一番の理由は、話自体がたいしたことないというか、ああまたスカイウォーカー家のゴタゴタで、ハン・ソロまでついにこれに巻き込まれてしまって最後は・・・・だし、EP4〜6の既視感を追いかけた2時間ちょいだったことが不満なんだと思う。とはいえ、レイとフィンをはじめ、新キャラの間のコミカルな掛け合いとか、いままでのスターウォーズではうまく描けてこなかった部分をしっかり描いてるっていう新しい魅力も感じたはずなんだけど、そこにそれほどワクワクできていない。で、結局なんだったのか1週間くらい考えた末、実はEP4〜6も映画としては「たいしたことなかった」ということに、ついにこの7で気づいてしまったというか、自分で認めざるをえなくなったことが原因なのかと思っています。EP1〜3のときは「自分が見たいスターウォーズはこれじゃない」観はずっとありました。でも、今回、JJは「俺たちが見たかったスターウォーズ」をこれでもかというサービス精神で作ってしまった。でも、その結果、昔好きだったバンドの再結成ライブ(しかもベスト選曲)を見たときに気づいてしまう、ある種の「閉塞」感を今回のEP7でも感じてしまった。僕にとって、EP7は、そういう悲しいリアリティを突きつけるものでした。JJは、「次」は完全に新しい世界を用意しているのかもしれませんが、今回のレイやカイロ=レンを取り巻く因縁を見た上では、それもあまり期待していないし、そもそも自分がそれをみたいと思っているのかどうかもわからなくなりました。まあ、そういうノスタルジーを取り込みつつ、うまく作品化していくのだとは思いますが、「その程度のシリーズ」として、今後もつきあっていくのがいいのかなあ、なんて思いはじめています。そういう意味で、自分が30年あまりのSWがらみの夢から「覚醒」をしてしまった気分です。
[映画館(字幕)] 7点(2016-01-05 23:32:14)(良:2票)
180.  キングスマン 《ネタバレ》 
僕はたぶんマシュー・ヴォーン監督の魅力を取り違えているのだと思います。昨今、007も真面目シリアス一辺倒になってしまった中で、「スパイ・コメディ」ではなく「おバカなスパイ映画」の再構築という意味で、序盤〜中盤の展開には本当に引き込まれた。コリン・ファースやマイケル・ケインなどの渋い英国俳優を起用して、スタイリッシュな殺陣やシーンが次々と飛び出す展開は、新しい時代の到来を感じさせる、すばらしい出来だったと思います。ただ、残念なのは、やはり教会の大虐殺以降・・。いや、ヴォーン監督が、こういうの得意だっていうのはわかるし、ラストの頭花火も楽しんでるのは伝わります。ただ、今や「ポップな音楽をバックに大虐殺」とか「テンポよく吹っ飛ぶ頭や腕」とかっていうのが「新しい表現」といえる時代なのかっていうのは、やはり疑問で、「誰も見たことのない映像を見た」というよりは、「ああ、またこの展開か」という食傷気味な感覚が勝ってしまったのも確か。序盤は丁寧な構成を感じたのに、ラストはどんどんバランスを失って、最後はなんだかどうでもよくなってしまう。ただ、007最大のおバカシーンといえる『ムーンレイカー』の宇宙シーンを、ロキシーにやらせたのはマル。あそこで新しい「おバカなスパイ映画」を創るんだという気合いは感じました。あとスウェーデン王女もナイス。こういう魅力が詰まっていたのに、なんだか惜しいなあ、という一本でした。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-02 16:17:36)
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