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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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181.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》 
パックマン、ドンキーコング、ギャラガ、テトリス、アルカノイド…。80年代、テレビゲーム黎明期を彩ったそんな名作ゲームのキャラクターたちが、地球侵略のために空から降ってくる――。原因は、その昔、テレビゲームの世界チャンピオン大会で行われたイベントで宇宙に向けて送信されたゲームデータをエイリアンたちが宣戦布告と勘違いしたから。突然降って湧いた世界の危機を救うために集められたのは、かつてその大会で優勝を競った精鋭ゲーマーたちだった。妻に逃げられたしがない電気技師、デブで童貞の怪しげな陰謀論者、口だけは達者な女好きのチンケな犯罪者…。彼ら人生の負け犬たちが、今までの人生で何の役にも立たなかったゲームテクニックを駆使して、世界を救う英雄になる…。はっきり言ってストーリーなんてあって無きが如し。もう徹底的にバカバカしいこのノリ、僕はけっこう嫌いじゃないです…てかむしろ好きなんですけど!!スーパーマリオや悪魔城ドラキュラ辺りからゲームにどっぷりハマッた僕ら世代のちょい上くらいのゲームがメインなんですけど、あのドット絵キャラが大量に攻めて来るシーンなんてやぱ普通に萌えますもん。CGが如何にリアルに近づけるかを競っている昨今、このカラフルど派手なチープ・キャラクターがピコピコ攻めてくるアクションシーンなんてなかなか新しいかも?!しかも、触れられたものや人が次々とドットになってポコポコ崩れていくなんて……。このポップだけどちょっぴりブラックな世界観に自分はけっこうセンスを感じたんですけどね。世間的にはいまいち評判がよくないみたいですけど、僕は楽しかったです。うん、なかなか面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2023-04-26 11:55:10)
182.  ザ・ウォーク 《ネタバレ》 
1974年、ニューヨーク。完成間近の世界貿易センタービル、通称ツインタワー。当時世界最高の高さを誇ったこのビルで、誰にも成しえない偉業を達成した男がいる。男の名は、フィリップ・プティ。自称・世界最高の綱渡り師だ。そう、彼はその2つの超高層ビルの屋上にワイヤーを張り、命綱なしで横断することに成功したのだ。本作は、彼とその仲間たちによる狂気と紙一重のそんな無謀な挑戦をスリリングな映像で描いた超一級のエンタメ映画だ。ストーリーは極めてシンプル。エンドロールを迎えるまでの2時間強、この世界最高の危険な綱渡りを彼が如何にして成功させたのか、そこにどんなドラマがあったのか、ただその一点のみを描いている。偉業と言えば聞こえがいいが、彼らがやっていることは完全に犯罪行為。成功したからよかったものの、もし仮に彼が転落したりワイヤーが切れて窓硝子を割ったりでもしたら下手をすれば死人だって出たかもしれない。ただでさえ忙しい警察の業務を妨害したことも当事者にとってはたまったものじゃないだろう。でも、僕はそれでも彼らに成功してほしいと応援せずにはいられなかった。決行当日、様々な困難に出遭い一時は失敗を覚悟しながらも不屈の闘志でもって2つのビルにワイヤーをかけようとする彼らに、「それだけの情熱があるなら、もっと社会にとって有意義なことに活かせよ!!」という突っ込みなどまるで風に流される青空の白い雲のように霞んでしまう。ただ自分を待ってくれている人に心の底から楽しんでもらえたらそれでいい――。彼の無謀な情熱は、どこか映画作りのそれと似ていないだろうか。一人の男の馬鹿げた挑戦を最新の映像技術を駆使して何ヶ月、時には何年もかけて一本の映画に仕上げてしまうスタッフ及び監督の情熱とそれは根本的なところで繋がっている。フィリップと、稀代のエンターテイナーとして常にハリウッドの第一線を走ってきたロバート・ゼメキスの思いがオーバーラップするからこそ、観客である自分は思わず心揺さぶられてしまうのだ。クライマックス、ビルとビルの屋上にかけられた1本の弱々しいワイヤーの上へとフィリップが最初の一歩を踏み出すときの緊張感は、きっと映画が公開される直前の監督の緊張感と通じている。まさに、エンターテイメント・ショー。お金を払って観に来てくれた観客に最高の時間を過ごしてもらいたい、そんなゼメキス監督の表現者としての矜持に僕は最大限の賛辞を贈りたいと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2023-04-26 11:46:16)
183.  PAN/ネバーランド、夢のはじまり 《ネタバレ》 
名作童話『ピーターパン』のその知られざる誕生秘話を最新のCG技術を駆使して描いたファンタジー大作。まあまあこんなもんじゃなかろうか、といった感じの作品でした。可もなく不可もなく、そこそこ楽しめる万人向けのエンタメ映画としては充分合格点。こんなごりごりのファンタジー作品で、まさかニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を聴けるとは夢にも思いませんでした。あのシーンは何回も観たいくらい好き。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-26 11:24:33)
184.  X-MEN:ファースト・ジェネレーション 《ネタバレ》 
正直、このシリーズには何の思い入れもなかったのだけど、最近観た『キングスメン』というスパイ映画がすこぶる面白かったので、同監督がメガホンを取った本作をあらためて鑑賞してみました。うーん、確かに面白かったのだけど、やはりこのシリーズを好きかそうでもないかで評価が分かれると思います。僕は後者なので、評価は若干厳しめです。やはりマシュー・ヴォーンの才能はこういう真面目なヒーローものより、もっとぶっ飛んだ悪乗り系の作品の方が映えるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-26 11:16:58)
185.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》 
ここは天高く聳え立つ巨大な壁に囲まれた荒地。ある日、そこに記憶をなくした少年が古い昇降機に載せられて運ばれてくる。そこには先にやってきた何人もの少年たちが独自のコミュニティを形成している。「三日も経てば君も名前を思い出せるよ」。先輩たちのそんな言葉通り、自らの名前を思い出した少年トーマス。彼はその地が巨大な迷路に囲まれていることを知るのだった。しかも迷路は日に日にその行路を変え、さらには夜になると恐ろしい怪物たちが徘徊し、少年たちを狩りはじめるという。仲間たちとともに新たな生活へとなじんでゆくトーマスはやがて迷路からの脱出を図る〝メイズ・ランナー〟となり、仲間たちからも信頼を得ていく。そんな中、これまで少年しか運んでこなかった昇降機が初めて少女を運んでくる。彼女の手には「これで最後だ」というメモが握られ、さらにはトーマスのことも知っていたのだった……。果たして彼女は何者なのか?迷路はいったい誰が築き、誰が操作しているのか?そして、トーマスたちは無事に迷路を攻略し、外の世界へと脱出することが出来るのか?ティーン向けのジェブナイル・ノベルを原作に、最新のCG技術を駆使して描いた脱出型SFアクション。というよくある設定勝負のワンアイデア映画なのだけど、迷路内や蜘蛛のような怪物たちの造形が意外にしっかりしていたり、脚本がそこそこ練られていたりでけっこう面白いじゃないですか、これ。『ハンガー・ゲーム』や『ダイバージェント』といった同系統の作品で散々失望させられていた僕としては意外にも楽しめました。まあ同ジャンルの名作『キューブ』をお金をかけてただスケールを大きくしただけと言われればそれまでなんですけどね。隔離された少年たちが迷路の謎を巡って「脱出派」と「現状維持派」に分かれて対立するなんて、『蠅の王』や『漂流教室』のテイストもちょっと混ざってますかね。と、いろいろベタではあるけれども、エンタメ映画としては別に問題ナシ。最後、「脱出派」の少年たちが自由を求めて危険な迷路を疾走してゆくとこなんかけっこう格好良かったですし。ただ…、最後に明かされることの真相があまりにも無理があり過ぎたのが僕的にはちょっと残念でした。まぁこのシチュエーションではこういう強引なオチを持ってくるしかないのは分からなくもないけれど、さすがにこれは話を大きくしすぎちゃいますか。次作を観るかどうかは悩むところですね。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-26 11:11:33)(良:1票)
186.  ラスト・ナイツ 《ネタバレ》 
いつの時代のどこにあるのかすらも分からないとある国。辺境の地を治める君主に絶対の忠誠を誓った騎士ライデンは、仲間からの信頼も篤い誇り高き男だ。ある日、彼の主君が皇帝陛下の執政により賄賂を収めるよう強要される。それに反発した主君が最後まで抵抗した結果、執政の策略により死罪を言い渡されるのだった。しかもその執政により、ライデンは主君の刑の執行人に任命される。苦渋の思いで主君の首を刎ねたライデン。騎士としての地位も剝奪され、さらには愛する故郷の地が皇帝の兵士によって蹂躙されるのを目の当たりにするのだった――。一年後、失意の末に酒に溺れ自暴自棄へと陥ったライデン。だが、そんな彼をよそに以前の仲間たちは密かに復讐の計画を練っていたのだったが……。忠臣蔵を基に、日本人監督がハリウッド俳優を多数起用して制作したという本作は、そんなストイックなまでの騎士道物語だ。あまりいい評判を聞かないこの監督の作品を観るのは今回が初めてなのだが、確かにエンタメ映画のセオリーをことごとく外した演出はどうかと思う。例えば冒頭、主人公のライデンたち騎士がよくわからない敵と戦うシーンから始まるのだが、これが映画の本筋とほとんど関係がない。やはりここはモーガン・フリーマン演じる主君にどうしてそこまでの信頼を寄せるようになったのか、そのエピソードをまず描くべきだろう。それがないため、主人公の行動に説得力が感じられず、見せ場であるはずの処刑シーンもいまいち心に迫るものがない。悪役である執政との因縁の描き方も弱く、どうしてそこまでライデンに怯えて過ごすことになるのかもしっくり入ってこない。だいいち、これは忠臣蔵をある程度知っているという前提ありきの作品であって、原典を知らない人に全てを理解するのは難しいのではなかろうか。ただ、そんな弱点ばかりが目につく本作ではあるが、誉めるべき点が一つだけある。それは映像で名を成してきた監督だけあって、その細部にまで拘ったであろう美しい映像だ。特に後半、夜の城を舞台に繰り広げられるアクションシーンはスタイリッシュでなかなか見応えがあった。細かな雪が舞い散る中、名誉を懸けて無言で剣を振るう男たちの姿は熱い。監督が日本人で、日本的美意識に貫かれた古典を基にしていることもあり、そこに日本的もののあはれのようなものを感じたのは自分だけだろうか。我ながら少々言い過ぎのような気がしなくもないが、多少甘めに6点としておこう。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-26 10:46:16)
187.  降霊会 血塗られた女子寮 《ネタバレ》 
それはちょっとした悪戯のつもりだった――。深い森に囲まれた全寮制女子高校、エデルヴァイン。ここは選ばれし裕福な女子生徒だけが学ぶことを許された特別な場所だ。生徒たちは厳格なルールに支配された女子寮で静かに暮らしている。そんなある日、ヒマを持て余した女子生徒が何気なく始めた真夜中の降霊会。実は生徒会長のアリスが大人しい優等生ケリーにみんなでドッキリを仕掛けようとしたのだ。効果はてきめん、居るはずのない霊の心霊現象に怯えたケリーは、悲鳴をあげながら一人で逃げ出してしまう。笑い転げるアリスたち。だがその直後、ケリーは謎の転落死を遂げてしまうのだった――。彼女の死は事故として処理され、アリスたちはすぐにいつもの日常を取り戻していた。それから数週間後、ケリーのあいた部屋の後釜としてカミールという名の少女が転校してくる。カミールは、寮を牛耳るアリスたちと衝突しながらも徐々に学園生活へと馴染んてゆく。やがて、彼女はこの部屋で幾つもの怪異現象に見舞われるようになるのだった。果たしてこれは霊の仕業なのか?アリスに誘われるまま、再び行われた降霊会に参加したカミールは、更なる超常現象に襲われることになる……。まあ日本でゆうところのいわゆる「こっくりさん」をネタにしたよくある定番ホラーなのですが、ツボを押さえた演出のおかげでそこそこ楽しんで観ることが出来ました。霊に狙われたと思しき女子生徒たちが次々と惨劇に見舞われるシーンはどれも既視感満載のベタなものばかり。でも変に奇を衒ったものじゃない分、安定感はばっちりでした。全寮制女子寮という閉ざされた世界も閉塞感が半端なく、この不穏な雰囲気は大変グッド。主人公をはじめとする女子生徒たちがみんな魅力的でそれぞれキャラ立ちしているのもポイント高い。ただ、残念なのは後半からかなり失速しちゃうところ。特に最後のオチが途中から容易に読める代物で、しかもそれまでの禍々しいホラーシーンを一気に冷めさせてしまうような真相だったのが残念でならない。ここは最後までオカルト推しでいくか、それかもう一捻りある展開でもっと観客の度肝を抜いてほしかったです。と、ここまで観て、まあアリがちな普通のホラーかなと思ったんですが、最後でまさかのサプライズ!最後のキスシーンで一気にそっち系映画となったのは嬉しい驚きでした。それまでも主人公とケリーの友達である少女が一緒にベッドで寝るシーンなどもあって、「あれ、これはもしかして百合なのか?……」と思わせつつもずっと寸止めで終わらせて来たのが、最後の最後でやられましたわ。「また、会いたい…」「私があなたを捜すわ…」。このセリフとその後のキス、百合萌え好きな自分としては思わず胸キュンでした!最後のこのシーンに+1点!!
[DVD(字幕)] 7点(2023-04-26 09:25:58)
188.  黄金のアデーレ 名画の帰還 《ネタバレ》 
1998年、ロサンゼルス。長年この地で小さなお店を営んできた平凡な老婦人マリア・アルトマンが、オーストリアという国を相手にある訴えを起こす。それはこの国で長い間国宝として大事にされてきたクリムトの名画『黄金のアデーレ』が第二次大戦中ナチスによって不当に奪取されたもので、本当の所有者である自分に速やかに返還すべきだというもの。まだ駆け出しの弁護士を専属で雇い、巨大な国家権力を相手に無謀ともいえるそんな戦いを挑んだマリア。それでも彼女には決して負けられない理由があった――。幼い時に亡くなった彼女の叔母アデーレこそがその名画のモデルだったからだ。つらい過去を忘れるためにずっと足を踏み入れたことのなかった祖国の地にまで足を運び、マリアは煩雑な手続きの壁に立ち向かってゆく。同時に、それはナチスに蹂躙された彼女の激動の半生をも甦らせてゆくのだった……。世界的な名画の裏に隠された、時代の荒波に翻弄され続けたとある女性の真実を描いた大河ドラマ。興味深い題材ではあるし、主役である老婦人を気品豊かに演じたヘレン・ミレンの魅力も相俟って、なかなか堅実に創られた歴史ものとして最後まで面白く観ることが出来ました。時代考証もしっかりしていたし、ドラマとして過不足なく演出出来ていたと思います。なのだけど、正直に自分の感想を述べさせてもらえれば、「何かが足りない」。全てに対して何処か踏み込みが甘いような気がしてしまうのです。クリムトの名画に隠された真実、国家権力に戦いを挑んだ市井の一市民、ナチスに蹂躙された家族の物語と、どの題材も魅力的であるのにそのどれに対しても表面的なアプローチしかなされていない。なので、本作は結果的に薄味な印象を観客に与えてしまう。題材が良いだけに、「惜しい」と言わざるを得ません。監督には、破綻を恐れずもっと踏み込んだアプローチをしてほしかった。そうすれば、より多くの観客の心に残る「名画」となれたであろうに。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-19 12:26:43)
189.  ヘイトフル・エイト 《ネタバレ》 
舞台は南北戦争終結から数年後、ワイオミングのとある雪山。かつてないほどの猛吹雪が吹き荒れる中、一軒の寂れた山小屋に4人の男女が逃げ込んでくる。3人の指名手配犯の死体を街へと運んでいた黒人の賞金稼ぎ、マーキス。捕まえた女指名手配犯を生きたまま連行していたのは、通称首吊人と呼ばれる賞金稼ぎの大物、ジョン。そんな彼に手錠で繋がれ、所かまわず悪態をつくのは女犯罪者、ドメルグ。偶然、彼らと同行していたいかにも小物の自称次期保安官クリス。そんな彼らを迎えるのは、この山小屋の所有者から留守を預かっていると主張するメキシコ人、ボブだ。一方、彼らより先に山小屋を訪れていた先客が3人いる。英国紳士風の装いをしている絞首刑執行人のオズワルド。小屋の片隅で自らの物語の執筆に夢中になっているカウボーイのジョー。暖炉の前で我関せずとチェスに明け暮れるのは、かつての南北戦争の英雄だが今や老いさらばえたスミザーズ将軍。一癖も二癖もありそうなそんな〝ロクデナシ8人〟がともに一夜を過ごすことになったのだから、当然、無事に朝日を拝めるわけはなかった。騙し合いに腹の探り合い、主導権争いに明け暮れているうちに、突発的に密室殺人が行われるのだった――。犯人は誰か?その真の動機とは?そして、この凄惨な争いを生き抜き、無事に朝日を拝めるのはどの〝ロクデナシ〟なのか?タランティーノ監督が新たに仕掛けるのは、いかにも彼らしいそんな息詰まるような緊張感に満ちた密室劇でした。唯一無二の彼の才能はもはや円熟の域に達しているといっても過言ではなく、個性的でアクの強いキャラクター、脱線に次ぐ脱線で時に暴走する饒舌な会話劇、下世話でエネルギッシュなエピソードの数々、全編を彩る軽快でノリのいい音楽……。デビュー作である『レザボア・ドックス』からぶれることなく、自らの世界を発展・進化させた彼の一つの完成形がここにはある。自分は存分楽しませてもらいました。アカデミー賞受賞も納得。ただ、難点が一つあるとすれば、それは自らの世界を追求するあまり、映画としていささか予定調和に終わったように感じるところでしょうか。もう少し彼の新たな世界を見たかった気がしなくもない。とはいえ、円熟期を迎えたであろうタランティーノの中期を代表する佳品として記憶に残ることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2023-04-19 12:05:49)
190.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 
冒頭、何の説明もなされないまま、とある一人の女性が荒れ果てた荒野をザクザクと歩くシーンから始まる。同行者は誰も居ない。たった一人、いかにも重そうなリュックを背負い、見渡す限りの荒れ地をただひたすら歩いてゆく。聞こえてくるのは彼女の荒い息遣いと風の音のみ。日が暮れればテントを張りリュックの中から取り出した自炊用具でまずそうなお粥を作り腹を満たす。朝日が昇ればまた彼女は旅を再開する。来る日も来る日もひたすら歩き続ける。途中途中でチェックポイントのようなものがあり、どうやらこれが何らかの競技であることが分かってくる。そんな彼女の孤独な旅路に過去の辛い記憶がフラッシュバックされてゆくのだった。最愛の人の死、寂しさを満たすためだけのセックス、離婚、そしてヘロインへと溺れた最悪の日々。いったい彼女は何のために歩き続けるのか――。答えは、メキシコ国境からカナダにかけて徒歩で走破するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)という競技。本作は無謀にもそんな過酷な競技へと挑んだ一人の女性の苦難と再生を描いたロード・ムービー。極めてシンプルかつ地味な映画でしたが、これがなかなか惹き込まれる佳品に仕上がっておりました。やはりそれは主役を演じたリーズ・ウィザースプーンの説得力ある熱演の成せる技でしょう。ほぼ全編を通して彼女の一人芝居が続くのだけど、その旅路が本当に辛そうで、実際に何か月もの旅路を追ったドキュメンタリーに見えるほどリアル。アカデミー賞の候補となったのも納得です。そして、その旅路にフラッシュバックされる過去の出来事も壮絶なもので、僕は彼女のそんな人生やり直し旅に思わず共感せずにはいられませんでした。そう、人生何もかもリセットして一休みしなきゃいけない時期ってきっとあるんですよね、誰にだって。厳しい雪道や途中で出会う男たちの卑しい目にも耐え、ただひたすらゴールを目指す彼女。心優しい仲間たちにも出会い、旅が終わりに近づくにつれそれまでのやさぐれた表情からどんどんと自然な笑顔となっていくのが本当に魅力的でした。でも、映画はそんな彼女のゴールまでを追ったりはしません。困難な人生はいつまでも続くということを表しているのでしょう。切ない余韻に満ちた美しいラストシーンでした。「コンドルは飛んでゆく」の哀愁に満ちた調べも作品にとてもマッチしていて印象的。地味ではあるけれど、なかなか良作と言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2023-04-19 11:50:05)
191.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
これは凄い作品です。こんなにまで、自分の好みと見事に合致した作品は初めて。クラシックバレエの世界で頂点を目指すある一人の内向的な少女を主人公に、そのとてつもない重圧とストレスのせいで次第に狂気に捉われながら、なにもかもを失ってでもそれでも完璧な演技を追及する彼女の姿は圧巻です(ナタリー・ポートマンの熱演が凄い!)。現実と妄想が渾然一体となった、まるでガラス細工のような彼女の精神世界が加速度的に崩壊していく映像の美しさは見事としか言いようがない。嫉妬と重圧とエロスによって自分の正気の壁を致命的なまでに決壊させ、そして溢れ出した狂気の濁流にとうとう命までをも呑み込まれながら、最期に掴んだ儚くも精巧で完璧な美の世界……。僕がいままで観てきた数ある映画のなかでも、最高に美しいラストだ。哀切な余韻がいつまでも残る傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 10点(2023-04-17 10:39:16)
192.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
内戦に揺れる1940年代のスペイン。社会を支配する苛烈で不条理な男たちの暴力に押し潰されようとしている一人の無垢な少女、オフェリア。それでも彼女には、誰にも負けない想像力という素晴らしい武器があった。迷宮の奥深くで牧神パンと出会い、森の枯れかけた巨木の根元で彼女は醜い大蛙と対峙する。そして、魔法のチョークで描かれた扉の向こうでは、世にもグロテスクな怪物と悪夢のような試練を経る。目的は、永遠の世界でお姫様となること。だが、オフェリアを取り巻く現実はあくまでも残酷だった……。この妄想とも現実ともつかない、モダンでグロテスクな美しさに満ちた世界は、観れば観るほど、まるで何処までも続く深い迷宮へと迷い込むような、そんな気持ちに誘ってくれる。男たちがつぐむ歴史の傲慢さに対抗する言葉として、女性は物語という言葉を編み出してきただろう。そんな普遍的な事実がここにはあまりにも美しく、そして退廃的に描かれている。素晴らしいとしか言いようがない。惜しむらくは、第三の試練。ここも素晴らしい幻想世界で描かれていれば、完璧な大傑作映画となり得たのに。でもそんな不完全さも含めて、僕はこの映画が大好きだ。最後、醜い暴力にその儚い命をも奪われながらも、美しい想像力だけは奪われなかったオフェリアのその切ない笑顔がいつまでも忘れられない。
[DVD(字幕)] 10点(2023-04-17 10:33:49)
193.  スーサイド・スクワッド 《ネタバレ》 
近年稀にみるくちょ映画。特に脚本がダメダメ子ちゃん。ハーレクインのハミ尻に+1点!
[DVD(字幕)] 3点(2023-04-17 10:05:16)
194.  完全なるチェックメイト 《ネタバレ》 
東西冷戦が激化し始めた1970年代、プロチェスプレイヤーのボビー・フィッシャーはその類稀な才能でもって輝かしい戦績を挙げていた。だが、極めて偏屈で自己中心的な性格からその私生活はかなり破天荒なものだった。スタッフに到底不可能な要求を何度も繰り返し、見るに堪えない悪態など日常茶飯事、気に食わないことがあれば試合会場にすら現れない…。それでもひとたびチェス盤に向かえば、天才的なひらめきと緻密に考え抜かれた戦略でもって相手を翻弄する。天才の名をほしいままにする彼が当時の世界王者、ソ連のスパスキーと対戦することになった。世界中から注目を浴びた彼らの対戦は、いつしかアメリカとソ連の代理戦争の様相を呈してくる。すると、ただでさえ細いワイヤーの上を歩くように張り詰められていた彼の精神は、ますます崩壊へと向かうのだった――。実在した天才チェスプレイヤーの破滅的な生涯を、世界王者スパスキーとの今や伝説となった対戦を軸に描き出す社会派ドラマ。監督は、社会性に富んだエンタメ・アクションを得意とするエドワード・ズウィック。病的な性格で回りを翻弄するボビー・フィッシャー役には、まさにはまり役とも言えるトビー・マグワイヤ。もうこれだけで映画として一定の水準は保証されたようなもの。その期待に違わず、ズウィック監督のストーリーテリングは手堅く纏められ、狂人一歩手前のボビー・フィッシャーというこの人物の生きざまが濃厚に伝わってくる佳品となっていた。数奇な運命を歩んだ彼の人生を、その生涯の中でも最高の対局と評されるスパスキーとの第6局へと収斂させる流れも巧い。特に、精神が崩壊寸前まで追い詰められたボビーを鬼気迫るように演じたT・マグワイヤはなかなかのものだった。これまで馴染みのなかったチェスという世界の凄みを充分味合わせてもらった。だが、正直何か物足らないものを感じてしまったのも事実。例えば、同じようにプレッシャーから狂気へと捉われるプリマを描いたアロノフスキー監督の傑作『ブラックスワン』などと比べると、その狂気の迫力が幾分か劣るように感じてしまうのだ。これは監督の資質の問題だろう。ズウィック監督の才能はこのような個人の精神世界を描くのにはいまいち向いていないように思う。あと、この対戦の後にまるで世捨て人のように世界中を放浪した彼の人生を自分はもっと見たかった。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-17 09:37:18)
195.  コードネーム U.N.C.L.E. 《ネタバレ》 
東西冷戦が激化し始めた1960年代を舞台に、本来は敵同士であるはずのCIAとKGBのトップエージェントがタッグを組み、世界を救うために大活躍する姿を描いたスパイ・アクション。アメリカ側の主人公はいかにも軽いプレイボーイのナポレオン・ソロ、ソ連側の主人公はこれまたいかにもお堅いクソ真面目男(失礼!)イリヤ・クリヤキン。そんな二人を翻弄する謎の美女も登場し、物語は騙し騙され時に反発しあいながらも最終的には世界を救うために互いに協力して悪に立ち向かってゆく姿が描かれる…。と、いかにもガイ・リッチーらしいスタイリッシュ&お洒落な軽いノリのエンタメ作品なのだが、これがなかなか手堅く作られており、素直に面白かった。遊び心満載のアクションシーンは切れ味抜群、全く正反対の主人公二人が巻き起こす騒動はベタながらもクスリとさせられ、美男美女の主人公たちも役柄にばっちり嵌まっていて見応えはかなり高い。特に、あの「ヒロシです。エロ本を買っているのだから、テープでよろしいわけないじゃないですか…」でお馴染みのあの曲をバックに展開される、水中チェイスシーンは出色の出来だった。ただ、作品の性質上仕方ないとは言え、本作の欠点はよくも悪くもこの軽さ。観終わった後に何も残らないのだ。これに、ピリリと辛い一片の毒のような隠し味でも効いていればもう少し違った印象を残しただろうけれど、それは好みの問題だろうか。クライマックスにおける若干の尻すぼみ感も気になった。とはいえエンドロールを迎えるまでの2時間弱、安心して観ていられるアクション・エンタメとしては充分水準に達しているので見て損はないだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-14 11:09:51)
196.  ヴィジット 《ネタバレ》 
物語は一本のインタビュー映像から始まる。話しているのはとある中年女性。若かりし日のダメ男との大恋愛と家出、それから長年にわたる両親との断絶の日々を熱弁している。撮っているのは彼女の二人の子供たちだ。映画監督を夢見る思春期真っ只中の姉は何に対しても好奇心旺盛で、まだ小学生の生意気盛りの弟はラップが得意な典型的な現代っ子。これはその後、最近ようやく和解したそのおじいちゃんとおばあちゃんの家へと泊りがけで出かけた姉弟が撮ったビデオ映像を再編集したものである――。最初は一見優し気なその祖父母との生活にテンション上がりっぱなしの2人。だが、一日、二日と過ごしてゆくうちに次第に彼らの奇行が目につくようになる。夜になると裸で廊下を走り回ったり突然わけの分からないことを言い出すおばあちゃんに、お漏らししたオムツを溜め込んだりいきなり激昂して赤の他人に絡んでゆくおじいちゃん…。不安を感じながらも姉弟は残りの日々を過ごしていくのだったが――。いろんな意味でハリウッドの異端児と称されるM・ナイト・シャマランの最新作は、POVという手法を駆使して撮られたいかにも彼らしいサスペンス・スリラーでした。最初こそ、「シャマランが今さらPOV?」と疑問を感じながら観ていたんだけど、これがなかなかポイントを押さえた演出がばっちり決まっていて、途中からはけっこう見入っている自分がいました。うん、なかなか面白いじゃん、これ。見所はやはりこの主人公二人を招き入れる老夫婦のあり得ないほどの不気味さでしょう。徐々に狂気を露わにさせるポイントがすごく絶妙で、当初の優し気な印象とのギャップにじんわりと冷や汗が…。「シャイニング」以来、やはり裸のババアほど怖いものはないですね(笑)。クライマックスでのジジイのオムツを顔に付けられるシーンは、我が映画鑑賞史上最大の生理的に無理な気持ち悪さで思わず悲鳴!!ただ、POVという手法上仕方ないのかもしれませんが、少々脚本に強引さが目立つのが本作の難点。ここまで狂気を露わにした夫婦宅に最後まで泊まろうとするなんてこの姉弟、どんなけ義理堅いねん!それにお姉ちゃん、そのタイミングで地下室に行くなんて殺してくれって言ってるようなもんじゃん!!と、そこらへんに不満は残るものの、最近不調の目立つシャマランの中ではけっこうよく出来ていたんじゃないでしょーか。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-14 10:21:46)
197.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
あのゴーストバスターズが帰ってきた!1980年代に大ヒットを飛ばしたエンタメ・コメディの約30年ぶりとなる続編(と思ったら2、3年前にも続編が制作されてたみたいですけど、そちらは未見)。しかも監督は、初代監督のアイバン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマン。親父の映画の続編を作るってどういう気持ちなんでしょうね。とは言え、軽いタッチのコメディ映画で一世を風靡した親父と違い、息子はデビュー以来一貫してヒューマン・ドラマでならした監督さん。確かに悪くはないんですけど、肝心の幽霊退治のシーンよりもなんだか人間ドラマの方が分厚くなり過ぎな印象を受けてしまいました。金銭的にも精神的にも追い詰められて田舎のボロ屋へと越してきたシングルマザー、それでも前向きに頑張ろうとする2人の子供たち、彼らと偶然出会う人付き合いの苦手な中学教師……。もうこれだけで別のお話になりそうな(笑)。しかもそこに現在落ちぶれてしまったバスターズたちの過去の仲違いや主人公の母親と祖父との確執なんかも絡んできて、けっこう深刻。この主人公たちの幾分か重いドラマと軽いノリのアクションシーンが巧く噛み合っておらず、全体的に纏まりに欠けているような感想を抱いてしまう。ゴーストバスターズはもっと軽~いノリで楽しみたかったです。全体的な完成度は高いとは思うんですけど、自分が求めていたものとはちょっと違う内容でございました。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-14 07:18:45)
198.  不屈の男 アンブロークン 《ネタバレ》 
ルイ・ザンペリーニ、またの名を不屈の男――。第二次大戦前夜、ベルリン・オリンピックにも出場したトップ・アスリートの彼は、次の東京オリンピックでのメダルを目指し練習を重ねていた。だが、そんな充実した彼の人生にも時代の荒波が押し寄せてくる。突如として日本が真珠湾を攻撃し、アメリカは戦時体制への移行を余儀なくされたのだ。兵士として太平洋戦線へと送られた彼は、大日本帝国を相手にいつ終わるとも知れぬ戦いの日々を過ごすことに。そんな彼を新たな悲劇が襲う。ある日、乗っていた飛行機が故障し、広大な太平洋上に不時着してしまったのだ。見渡す限り何もない洋上で、二人の仲間と共に小さなゴムボートでただひたすら漂流を続けるルイ。食料も水も底を尽き、来る日も来る日も波に揺られ続けるという極限状況に次第に心が挫けそうになりながらも、ルイは神に縋ることで何とか理性を保っていた。すると、そんな彼の願いが聞き届けられたのか、とうとう彼らは陸地へと辿り着く。だが、そこに掲げられた旗を見てまたもや絶望に打ちのめされるのだった。何故ならそこには立派な日の丸が描かれていたから……。どんな状況でも決して挫けず常に前を向いて生きてきた男の生涯を、実話を基にして描いた伝記ドラマ。アンジェリーナ・ジョリーの監督二作目にして一部で内容が反日的だとして話題になっていた本作、いやいや別にこれくらい普通ですやん。これで反日なら、ナチスを扱った映画など全て反ドイツ映画になっちゃいますって。まあ騒いでいるのは一部の人たちなんでしょうけど。肝心の内容の方なのですが、ストレートな脚本ながら最後まで一気に見せきったところは素直に評価されてしかるべきでしょう。事実の重みも相俟って、この〝不屈の男〟ルイの波乱万丈の生涯といついかなる時も希望を見失わなかった生き様にただただ圧倒されるばかりです。最後、長野五輪で多くの日本人に声援を送られながら走る実際の映像など、同じ日本人なら誰もが何かしら思わずにはいられない。ただ、本作には極めて致命的な欠点が一つ。それは、「人間を全く描けていない」ということ。例えば主人公、どうして彼がそこまでの愛国心を抱き、生への希望を捨てなかったのか、その理由が一切描かれていないのです。だから、この主人公はほとんど泣いたり怒ったりしません。ただ淡々と困難を乗り越えてゆく。なので観客である僕たちも特に心を動かされることもない。意図してそう描いたのかもしれませんが、映画としてこれは大きなマイナス・ポイントと言わざるを得ないでしょう。それは、捕虜となったアメリカ人や冷酷な渡辺軍曹以外の日本兵にも言えることです。まるで書割に描かれた絵のようにしかそこに存在していない。これは監督の資質によるところが大きいのかもしれません。優れた監督は、脇役の一人一人にまで人間性を与えるものです。史実を知るための再現ドラマとしてはそこそこよく出来ているがそれだけ、というのが僕の率直な感想です。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-13 11:01:48)
199.  バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ 《ネタバレ》 
ハリウッドで過去に何度も映画化された超有名ゲームを今回キャストを一新して新たに制作したエンタメ・ホラー。監督は、『海底47m』や『ストレンジャー/地獄からの訪問者』でスマッシュヒットを飛ばしたエンタメ映画界の俊英、ヨハネス・ロバーツ。当方、若いころに初代プレステで1と2を散々やりまくったドンピシャ世代。とにかく1を最初にプレイした時の衝撃は今でも憶えています。それまでスーパーファミコンの2D横スクロールやマップをカクカク移動するRPGしかやったことのない自分にとっては、「もはやこれって映画じゃん!すっげーー!ゲームはここまで進化したのか…」と夢中になってプレイしました。そんな自分にとっては、シリーズを大いにリスペクトした名シーンの数々にテンション上がりまくり!特に最初に出会うゾンビが血だらけの顔でこちらに振り返るシーンには拍手しそうになっちゃいましたわ。なっつかしーー!ただ、お話としてはごく普通。決して悪くはないんだけど、なんだろう、この最後まで付きまとう物足りない感。いまいち印象に残るキャラやエピソードもなく上記ゲームを再現したシーン以外に特に心に残る映像もなく、全体的にこじんまりと纏まっちゃった感が強いです。普通に面白かったんですけど、一週間後には全部忘れちゃいそうな内容でした。これに比べると、ミラ・ジョボビッチ主演、ポール・W・S・アンダーソンが監督した初代映画化作品の方が物語としてはだいぶ大味だったものの、印象に残り度で言えばあちらの方が上なんですよね~。ここらへん、映画って何が正解なのか分からなくなっちゃいますね。とはいえ、暇潰しで観る分にはそこそこ楽しめると思います!
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-13 08:30:51)
200.  ディバイナー 戦禍に光を求めて 《ネタバレ》 
第一次大戦終結から数年後、オーストラリアの寂れた田舎町でとある一人の男の妻が自らその命を絶つ。原因は、激戦地となったトルコ・ガリポリで、兵士として派遣されていた3人の息子たちを全てなくしてしまい深く心を病んでいたから。息子も妻も何もかも失ってしまった夫のジョシュアは、せめて息子たちの骨だけでも妻のそばに埋めてやりたいとトルコ行きを決意するのだった――。訪れたかの地、言葉も文化も宗教も何もかも違うかつての敵国でジョシュアは当然のように途方に暮れてしまう。だが、偶然泊まることになった宿屋で彼は同じように夫を亡くした美しい未亡人と出会う。彼女の手助けもあって、何とかガリポリに辿り着いたジョシュアは、そこで衝撃の事実を知るのだった。なんと長男アーサーが敵の捕虜となり、もしかしたら今も収容所で生きているかもしれないということを……。歴史の荒波に翻弄され続けたとある一人の男の人生を雄大に描いた大河ドラマ。ラッセル・クロウが監督・主演を務めたということで今回鑑賞してみました。結論を言うと、なんというか、ぬるーい映画でしたね、これ。とにかくご都合主義のオンパレード。一民間人が簡単に軍管轄の激戦地に赴いたまではまあ良しとしても、さすがにかつての敵国の将軍がいくら主人公の境遇に同情的だからと言ってあそこまで協力的になるなんてあり得ないでしょ。そして、息子の消息を探るのに主人公が何の前振りもなくいきなり超能力的な力を使った時は、さすがに失笑しちゃいました。まあそこらへんも百歩譲って納得するにしても、やはり本作の最大の突っ込みどころはR・クロウ演じるこの主人公のびっくりするほどの軽薄さでしょう。だって、三人の子供も亡くし嫁も自殺で失ったというのにこの主人公、一向に悲しんでる素振りが見えないんですよ。挙句、偶然会ったばかりの宿屋の未亡人と良い感じになるって…。あんた、この前嫁自殺したとこで、しかも息子の消息を探りにトルコに来たんちゃうんかい!!なに未亡人とイチャイチャしとんねん!!ってキレそうになりました(笑)。ロケ地となったブルー・モスクの荘厳さに+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-04-10 10:56:22)
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