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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2390
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  パッション(2012) 《ネタバレ》 
この映画のプロットは前に観た映画でも似たようなのがあったなと思いましたが、自分は未見ですがリュディヴィーヌ・サニエとクリスティン・スコット・トーマスが出演した2009年の仏映画『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』のリメイクなんだそうです。まあこれと似たようなストーリーの映画はよくあるってことです。大して話題にもならなかった映画なのに何故か三年でリメイク、監督には『アンタッチャブル』や『ミッション・インポッシブル』など一時期ハリウッドでリメイク職人になりかけたデ・パルマがまたまたリメイクを担当。でもあの二作はTVシリーズの映画化で再構築=リストラクションと呼んだ方が正解でしょうし、デ・パルマにとっては初めてのリメイク作品ってことかな。 デジャブ感が強いだけにお話しの展開と犯人はぼんやり者の自分でもすぐ判りました。デ・パルマ印のスプリット・スクリーンなどは殺人シークエンスが始まるところあたりで使われますが全体におとなしめで、言っちゃあ悪いけど散歩に連れてった犬が電柱にマーキングをしてる程度の効果しかなかったような印象です。映像には凝るけど割と判りやすいストーリーテリングがデ・パルマ風味なんだけど、ラストの夢オチか?と思わせるような判りにくい展開は彼らしくなかった。これは原作の脚本に忠実にリメイクしたってことなのかもしれませんけどね。根本的にノオミ・ラパスという女優が自分の好みじゃないってことも、悪印象を強めたのかもしれません。 コッポラ・ルーカス・スピルバーグたちの兄貴分でハリウッドでは巨匠と呼ばれてもおかしくない存在のデ・パルマ、こんな映画に関わるようなキャリアの人じゃないはずなんだけどなあ…
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-02-09 23:27:04)
22.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
これはもう、皆さんおっしゃる通りで、『ターミネーター』らしさは希薄でなんか『トランスフォーマー』か『パシフィック・リム』系統の映画を見せられている感じが濃厚でした。特に前半はスカイネット側のメカが出すぎ、対する抵抗軍もA-10 サンダーボルトⅡや潜水艦など妙に旧世界の兵器を豊富に揃えているところもなんだかなあです。この映画ではやがて指導者となるジョン・コナーがまだ中堅の部隊指揮官という位置づけ、やがて父親になるカイル・リースに至ってはまだ未熟なガキでしかありません。つまりT-800型が開発中でコナーがリースをタイム・スリップさせる以前のお話しというわけです。 実はわたくし、以前からこのシリーズに何となく感じていた違和感がこの映画を観ていて明確になってきました。スカイネットはサラ・コナーを殺して厄介なジョン・コナーを抹殺するためにシュワちゃんを過去に送るわけですけど、仮にシュワちゃんがサラ殺しに成功しても果たして送り込んだ時代の現実は変わるんでしょうか?パラレル・ワールドが一つできるだけで、スカイネットと人間の闘争が続く世界とは関係ないのでは。つまり目標である手強い人間たちの抹殺に繋がらないことに、スカイネットはどうして血道をあげるんでしょうか?ほかにもっとできることがあるんじゃない。まあこの映画の時点ではカイルを抹殺リストの筆頭に挙げているわけで、彼がジョンの父親であることは知っているはず、まずこいつを始末しようと判断したのは妥当でしょう。でもそれを知っているということは、カイルが過去に送られる(その時点では)未来の出来事をスカイネットが知っているという大矛盾が発生することになりませんかね(ああ、ややこしい)。やはりこれは、『2』で終わりにせず無理くりシリーズ化してしまったのが根本的な原因なんでしょうね。 我々は『2』の悪ガキから三世代のジョン・コナーを見せられたわけですが、当たり前ですけどクリスチャン・ベールがやはり指導者らしい迫力があって頼もしい存在です。奥さん(?)にあたるケイトが『3』ではたしか獣医だったような気がしますが、いつのまにかバリバリの外科医みたいになっているのはご愛敬です。サム・ワーシントンも存在感があって、本作だけでリタイアさせちゃうのはなんか勿体ない。特出のCGシュワちゃん、あれはきっとジョークですよね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-24 23:11:51)
23.  コッポラの胡蝶の夢 《ネタバレ》 
てっきり本作がコッポラの最新で最後の監督作だと思っていたんですけど、よく見るとこの後に話題にもならなかった小品を二作監督していたんですね(もっとも十年近く前になりますが)。でも正直コッポラは本作を遺言作みたいにして、ここで監督業から引退した方が良かったと言えるほど、全編に人生に対する諦観を感じさせてくれます。ほぼ同年代のスコセッシがいまだに脂ぎった映画を創り続けているのとは対照的で、親子三代と甥で7個もオスカーを獲得し何度も破産を乗り越えてきたコッポラには自分の人生も邯鄲の枕だったんじゃないかという心境にすでになっているのかもしれません。ストーリーラインはなんか『プラーグの大学生』と『ある日どこかで』をミックスしたような感じです。ヴェロニカがサンスクリット語や古代エジプト語を喋りだすあたりからちょっとわけが判らないストーリー展開のような気もします。ヴェロニカがラウラの転生だということはしっくりきますが、ヴェロニカが雷に打たれて古代インド人の女性の生まれ変わりになってサンスクリット語で話し出すと、ストーリーとしては飛躍しすぎという感もあります。そしてドミニクと彼のドッペルゲンガーが核兵器について議論する件には、ちょっとコッポラの趣味が強すぎるなと感じてしまいました。できればとことん掘り下げて言語の根源というか始祖までたどる大風呂敷を広げてくれたら面白かったんじゃないでしょうか。そうなるとバベルの塔のお話しになっちゃうのかな。 「コッポラ、老いたな」というのが正直な感想ですが、彼が得意の映像美だけはまったく衰えていないのが救いでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-10 23:36:44)
24.  パーフェクト ストーム 《ネタバレ》 
なんせ監督は『Uボート』のウォルフガング・ペーターゼンでっせ、ハリウッドに進出して職人監督としての評価を得た彼がまたやりたかったのは、まさにこういう「海・波・男」の三拍子がそろった企画だったに相違ありません。そう考えると、ジョージ・クルーニーが船長の漁船はUボートそのものだし、操業中に起こるエピソードや悲劇的な結末は『Uボート』のストーリーの焼き直しというか進化版だと思うのは考えすぎでしょうか。今風に言えば、欲の皮突っ張らせた男たちが自滅したのは自己責任、それが職務だったとはいえ犠牲になったレスキュー隊員が可哀そう、なんて感想もあるんでしょうね。まあそんなこと言ってたら映画やエンタテインメントは成り立たなくなってしまいますけど。 まあとにかくCGの進化によりここまで凄いハリケーン描写ができるようになったというのは、素直に拍手したいです。この映画なんかは全編の四分の三はロケを含めての海上シーンなんですから、とくにハリケーン遭遇中のシーンは映画館で観ていたらマジで船酔いしたんじゃないかと思います。ラストのマーク・ウォールバーグが一人で大荒れの海上に浮かび上がってくるところ、この映像からは人間という存在の自然の前でのちっぽけさとウォールバーグの絶望感がダイレクトに伝わって怖くなりました。 日本では平成以降に台風に遭遇して漁船が遭難したというニュースを聞くことが稀になってきました。太平洋は広いうえ台風が発生して北上始める海域は日本からはかなり距離がありますからね。それに比べてハリケーンはカリブ海や大西洋の北米大陸近海といった遥かに狭い海域で発生するので、この映画の様に逃げ切れずに遭難する漁船が多いのかもしれません。冒頭とラストで映るグロースターで追悼碑に刻まれた海難死した漁師の多さには驚かされます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-10-18 23:29:49)
25.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
欧州で冷戦終結時に消滅した国家はユーゴスラヴィアと東独だけ(チェコスロバキアは消滅というよりもスロバキアの分離という感じ)、エミール・クストリッツァが『アンダーグラウンド』でエモく訴えたようことを、ちょっと変わった視点で映像化してくれています。それはもはや存在しない東独という国とその社会へのノスタルジックな惜別の情なんですが、監督や脚本家は旧東独出身者だと思い込んでいたら、実はみな旧西独の人たちだったんで驚きました。ドイツでは旧東独出身者が昔を懐かしがる“オスタルギー”という概念があるそうですが、それを逆手に撮った映画だと言えるかもしれません。一つ言えることは、それがナチズムだろうが共産主義であろうとも、全体主義というものはアレックスの母親と同じようにその体制に疑問を持たずに参加すれば心地よいものであるということでしょう。そこが恐ろしいところです。 冒頭で反政府デモに参加していたアレックスですが、母親を欺くためにフェイクニュース番組を制作しているうちに彼自身が“オスタルギー”の沼にはまり込んでゆくところがこの映画の脚本の奥深いところです。物語の後半では、彼がフェイクとして母親に伝える社会ニュースは単なるつじつま合わせを超越して、実はアレックスが望んでいた理想の東独社会であることに気づかされます。サッカーWカップで優勝したのは史実では統一ドイツではなく西独だし、東独初の宇宙飛行士イェーンはタクシー運転手に落ちぶれたことはありませんでした。ここら辺の改変は意味深です。母親もラスト近くでララから社会の真相を聞かされたのは明らかなのに、その後は死ぬまで息子のお芝居につきあってくれます。彼女が再入院してからラストまでの15分こそが、この映画の真骨頂なのではないでしょうか。映画館で観ていたらたぶん号泣していたかもしれない15分でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-09-23 22:26:35)
26.  ターミネーター3 《ネタバレ》 
『2』でスカイネットの誕生を阻止して人類の未来を救ったジョン・コナー、それから12年経って成人した彼はすっかり人生の目的を見失ってヤク中のホームレスになり果ててしまった。このつかみは、コミケで売ってる同人コミックでよくあるヒーローもののパロディみたいで、なかなか面白い。よっぽどこの不細工ジョン・コナーくんが自分探しのために四苦八苦するというお話しの映画として撮ったら面白かったろうけど、それじゃあ『ターミネーター』とは関係ないお話しになっちゃうし全世界が許してくれないでしょう(笑)。 てなわけで前作以上にタイムトリップ理論を無視した展開になるわけですが、まあこうするより他に途はなかったでしょうね。実はむかーし観てけっこう腹が立った記憶があったけど、観直してみると並みの映画ではあるがそこまで怒るほどではなかったですね、まあそこそこということです。敵方ターミネーターを女性型にするというのは誰でも思いつくことですし、肝心の武器というか機能は『2』と較べて大して進歩してないというのが正直な感想です。ただこのT-850型対TX型の肉弾戦は、つまりシュワちゃんVSクリスタナ・ローケンの闘いであるので、大男がナイスバディ美女に痛み付けられるというちょっと特殊な絵面を見せてくれます。アクション・スターとしてここまで体を張れるというのは血まみれになって戦うガメラみたいなもんで、スティーヴン・セガールはシュワちゃんの爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いです。 けっきょく核戦争は阻止できないという絶望的な終わり方を迎えるのですが、ハリウッド映画お決まりの「未来は変えられるんだ」というスローガンを粉砕してくれたのは、シリーズを続けてカネをこれからも稼ぐためとはいえ意義があったのでは(と思いたい)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-09-14 23:21:48)
27.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
俗っぽいヤッピー風ライフスタイルの男が、実は新興宗教っぽい物質文明を憎悪する思想のカリスマだった、そのギャップがストレートに面白い。そこにブラピとエドワード・ノートンを持ってきたのはまさにキャスティングの妙だといえます。ブラピのチンピラ風よりも、自分にはノートンのノンポリ社畜の方が絶妙すぎるぐらいぴったんこです。二人に絡むゴスロリ女のボナム=カーターも、20年前はこの役は彼女しか考えられない、というよりも彼女はこういうキャラしか演じられないというのが正解だったかも、現在の彼女を見るとこの間にずいぶん芸域を広げたものだと感心します。この人はもともと曽祖父が大英帝国首相アスキス伯爵という上流階級のお嬢様ですからね。 でもタイラー=ブラピが説く思想はもっともらしいけど中身がない中二病みたいな感じで、これでは彼がやろうとしていることはオウムやISと大差がないとしか言いようがありません。なので自分にはタイラーの組織がどうしてもオウムと重なってしまい、日本人としては中二病と笑ってしまうことはできなくなってしまいます。 ラストに至る展開は確かに駆け足過ぎて粗が見えてくるのも確かですが、ここは夢想社会と現実の境目をあえて曖昧にしたストーリーテリングとして愉しむべきでしょう。個人的には本部というかブラピとノートンが住む屋敷の汚らしさが生理的に我慢できる限界ギリギリでした。『セブン』もですが、デヴィッド・フィンチャーは汚く汚れた室内を撮らせたらピカイチです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-09-04 23:18:55)
28.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
ユダヤ人移民の子孫であるスピルバーグは「ユダヤ系の僕がホロコーストを撮らないで誰が撮る?」と宣言して『シンドラーのリスト』を製作しました。その約10年後に生粋のアメリカ人でベビーブーマーのスピルバーグと違って実際にゲットーで生活したポランスキーが、ヨーロッパ人的かつ彼独特の粘っこさを持った視点でホロコーストの一面を描いたということになります。 本作にはある意味で個人のドラマというものは存在しないとも言えます。シュピルマンとその家族そして周囲のポーランド人にしろ、ヒトラーという独裁者が起こした歴史の渦に飲み込まれて、ある者は絶滅収容所である者はワルシャワの市街戦で死に、またある者はシュピルマンの様に生き延びることができたという、ポランスキーの冷徹な視線を感じてしまうのです。43年のワルシャワ・ゲットーの蜂起、44年のポーランド国内軍の蜂起がともに描かれていますが、それはビルの上階からシュピルマンが見た視点だけで描かれていて決してカメラが戦場に寄って行かないところも、まるで神の視点みたいで意味深です。 そして『シンドラーのリスト』との最大の相違は、両作とも多少の良心を持ったドイツ人がユダヤ人を助けるけど、本作のドイツ人将校は報われることもなく捕虜収容所で死に、そのことに対して少しも同情していないようなポランスキーの視線を感じてしまうことです。『シンドラーのリスト』のようなカタルシスとあざとい涙腺崩壊効果がない点がまた大きな違いでもあり、彼の過酷な人生体験がもたらした結果なのかもしれないけど、ポランスキーは実はヒューマニズムを信じていないのかもしれません。この映画ではシュピルマンの行動や周囲の出来事に関してちょっとブラックなユーモアを感じさせるシーンもありますが、そこに監督の底意地の悪さを感じてしまうのは私だけでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-01 23:26:25)
29.  ディアボロス/悪魔の扉 《ネタバレ》 
“80年代以降のハリウッド映画で悪魔が出てくる映画は駄作ばかり”という持論をもつわたくしですが、さすがにアル・パチーノを悪魔に据えたらかなり見どころの多い映画になりました。この悪魔の造形は今までのテンプレな悪魔像とは違って、アル・パチーノが思い入れを持つシェイクスピア劇のリチャード三世を意識した役作りだったのは明白。一部ではかなり悪評なクライマックスでの“悪魔の大演説”ですが、私はかなり説得力ある演技だったと思います。この演説のロジック自体は17世紀の神学論争を忠実に落とし込んでいるそうですが、無神論者や異教徒にとっては判りやすいと感じます。しかし犯罪者に片っ端から無罪評決を勝ち取らせて人間世界を邪悪に染めてゆこうなんて、サタンもなかなかユニークというかまわりくどいことが好きですね(笑)。対する“悪魔の代弁人”たるキアヌ・リーヴスですが、毎度のごとくの大根演技です。その分、ヌードも見せてくれるシャリーズ・セロンの文字通り体を張った熱演で、見ごたえありです。オチが普通は忌み嫌われるアレですけど、そのあとに本当の大オチが用意されているのでこれはこれで許されるし、意表を突かれた快感すらありました。 余談ですけど、「あれっ?」と感じるほどアル・パチーノがチビに見えるんですよ。キアヌ・リーヴスとは16センチも身長差があるので並べば当然かもしれませんが、他のパチーノと並んで映る俳優も背が高いのを選んで絵面として悪魔が人間界にいる異質さを強調する演出なのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-29 22:33:07)
30.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
このシリーズが好きな自分としましては、この続編製作じたいはアリだったと思います。考えてみれば前三作は一本の映画を三分割したようなものだし、『アルティメイタム』の閉め方からして、最低でもあと一本は撮ってそのストーリーではジュリア・スタイルズをかなり前面に押し出してくるだろうと予測はつきました。 お約束の冒頭30分の手ぶれ映像によるサスペンス・シークエンスはシリーズ最大規模、実際のギリシャ危機のゴタゴタを巧妙に取り込んでいて、この脚本のセンスには毎回感心させられます。でもまさかここでジュリア・スタイルズが退場するとは予想外でした。けっきょく明かされたジェイソン・ボーン=デヴィッド・ウエッブの秘密も、サプライズを呼ぶほどのことはありません。悪役CIAはトミー・リー・ジョーンズ、殺し屋はヴァンサン・カッセルと両者ともシリーズ中最凶でかつ大物俳優を連れてきました。ボーンはついにCIAのトップと直接対決となったわけですが、仕留めたのかというとそれは微妙な感じです。しかし最高責任者の長官が二代続いてこんな不祥事しでかしたら、いよいよCIAは組織解体そして大統領は辞任ものですよ。 さてシリーズ四作を観て私がいちばん気になっているのは、劇中のCIAの情報収集力の驚異的な高さです。現実にはエシュロンとかいう盗聴システムみたいなものを米国は運用しているそうですが、映画の中にそのテクノロジーがどれだけ反映されているのか気になるところです。また世界中に支部があって実力行使部隊を、たとえそれが英国であろうとも、その国の主権をガン無視してやりたい放題するのは実に恐ろしいことです。誇張はあるにしても、何らかのCIAの現実の活動を脚本におとしこんでいる気がしてなりません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-04 22:19:27)(良:1票)
31.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
本作は前作の完全に続きのストーリーで、本当は一本の映画を二つにぶった切ったようなものです。実際問題、一本にしちゃうと上映時間が4時間近くになるからお話をいろいろと薄めなくちゃいけないのでこれは正解でしょう。 冒頭から記者が暗殺される30分近くまでの展開はまさに怒涛のごとしで、これだけスリリングな展開を見せるアクション映画は滅多にお目にかかれませんよ。ジェイソン・ボーンの強さと頭の回転の速さは、フィクションと判っていても感嘆するしかありません。自信をもってわたくしは史上最強のエージェントの称号を授与いたします。今回のCIA悪役幹部はデヴィッド・ストラザーン、ところが彼は悪の中ボスに過ぎなくて、ラスボスは実はアルバート・フィニーでした。というかほんとのラスボスはCIA長官のスコット・グレンなんでしょうけど、ボーンとの直接対決がなかったのが残念。でもラストがありがちな勧善懲悪だったのは不満ですが、やっぱ心地よいカタルシスは必要です。海中を漂うボーンの映像から始まった三部作が、ハドソン川の水中で動き出すシーンで終わって見事に繋がったわけです。 三作すべてに登場したのはボーン以外ではジュリア・スタイルズですが、最初は単なる事務要員だったのが最後にはボーンを助けるまで存在感を増しています。彼女のニヤッと微笑む表情でこのシリーズが(とりあえず)幕を閉じたのは象徴的でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-25 21:12:51)(良:1票)
32.  ブリングリング 《ネタバレ》 
「事実は小説よりも奇なり」、本作はまさにこの古人の名言につきます。こんなお話し、フィクションならば脚本段階で即ボツにされること間違いなしでしょう。ハリウッド・セレブの自宅があんなにセキュリティが甘かったなんてとても信じ難い。ビバリーヒルズなんか町の入り口でセレブの自宅を案内するマップが売られているぐらいだから住所をネットで特定するぐらい誰でもできるでしょうが、まさかパリス・ヒルトンが鍵をマットの下に隠していたなんて(笑)。撮影には実際の彼女の家を使わせたそうで、この女どこまでアホなのかそれとも売れるためなら手段を選ばないタレントの鑑なのか?被害者の中にリンジー・ローハンもいましたが、パリスといい今や落ちるところまで落ちてしまった者同士という共通点があります。事実なのか脚色なのか判断に迷いますけど、ラストのインタビューで主犯格のエマ・ワトソンが「刑務所で隣の房にリンジー・ローハンが入っていた」と語るシーンが強烈な皮肉になっています。つまり、盗るほうも盗られるほうもその差は紙一重の似た者同士というわけです。 共感できる要素は一かけらもないんですが、ガーリー・ムーヴィーの巨匠ソフィア・コッポラだけあってそのセンスだけは円熟の域に達していると思います。彼女自身が育った環境の賜物かもしれませんが、こういうファッションとブランドものをアイコンに使わせたら、ハリウッドでも彼女の右に出るものはいないのは確かです。でもそのセンスが映像化されても、観る者の心に何かが残るかという観点から言うと、ちょっと苦しいところがあります。まあこれが彼女の趣味なんだからどうしようもないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-22 22:42:19)
33.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
本作ではジェイソン・ボーンを“追われる者”から徐々に逆の立場に変貌してゆく脚本で、ストーリーのつなぎ目としてどうしても印象が薄くなりがちな三部作の二作目としてのウィークポイントを克服することができました。第一作のミステリー風味は薄れてしまったのは止むを得ないところですが、その分アクション要素が強化されています。前作のクリス・クーパー、本作のブライアン・コックスと一作ごとに組織内のラスボスが倒されてゆくのがこのシリーズの特徴ですが(最もクリス・クーパーはCIAに消されてます)、どちらもボーンが手を下したわけではないことに注目です。前作では組織の殺し屋を何人も返り討ちにしたボーンですが、本作では彼が明らかに殺したのはミュンヘンの男(元同僚?)だけで、これも正当防衛といえる感じでした。派手なカーチェイスを繰り広げたカール・アーバンはこれまでで最強の殺し屋でしたが、壁に激突して瀕死となっても止めはささず。愛するマリーの仇なのになんで?と訝しくなりますが、「マリーに言われたから(殺しは止めた)」というセリフもありますので納得しなければいけませんが、そんな会話のシーンありましたっけ? この映画を見て得た教訓:モスクワのタクシーは世界最強!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-03 22:58:59)
34.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
『ノスフェラトゥ』といってもストーリー・ラインは『ドラキュラ』とほぼ同一。これは『ドラキュラ』の原作者であるブラム・ストーカーの未亡人がムルナウの映画化プランにOKを与えなかったからで、登場人物の名前を変えてストーリーも少し改変したら大丈夫だろうと強引に映画化しちゃったので案のじょう著作権侵害で裁判になり当然のごとく敗訴してフィルムは差し押さえ、その後40年近くお蔵入りだったそうです。『ドラキュラ』は19世紀の小説だというイメージですから、1920年代にブラム・ストーカーの未亡人が存命だったとは驚きです。 2011年にNHKで放映された復元版での鑑賞でしたが、これが驚くほど鮮明な映像です。いくらデジタル技術が進歩しても残存するフィルムの状態に左右されるのが復元版の宿命ですが、欠落だらけで悲惨な状態だった『メトロポリス』の復元版に比べると雲泥の差です。サイレント映画ながら俳優の演技にサイレント特有のわざとらしさがあまり感じられず、編集も現代的なテンポに通じるところがありました。マックス・シュレックのノスフェラトゥは歴代ドラキュラの中でも群を抜いて不細工、そして群を抜いて不気味です。初登場のシーンや棺桶を担いで街をさまようところ、そしてエレンの住んでいる向かいの屋敷に姿を現わすカット、これは子供の時に観たら生涯残るトラウマになったことは間違いなしです。顔は禿げたネズミ男みたいでよく考えると滑稽でさえあるけど、そのふらふらした挙動と狂気をはらんだ目つきがなんかヤバいものを見てしまったという恐怖に襲われてしまうんです。でもラストは強引かつあっけない幕切れで、そこまでのテンションが一気に下がってしまうところは残念ですが、まあそこはサイレント映画なのでしょうがないでしょうね。 確かにこれは、死ぬまでに観ておくべき映画の一本ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-22 23:42:42)(良:1票)
35.  ブラックブック 《ネタバレ》 
第二次世界大戦でドイツに占領された国々にはいわゆる“レジスタンス神話”大なり小なり存在しますが、さすがヴァーホーヴェンらしく「神話なんてなかったんだよ!」とオランダ・レジスタンスの内情を赤裸々にさらしてくれます。彼のかつて撮った『女王陛下の戦士』もレジスタンスものでしたが、これも単純な戦争アクションではなくレジスタンスに対するシニカルな視線が印象に残る映画でした。 サスペンスドラマとしてはよく出来ています。観終わって気が付くのは序盤にちりばめられた伏線の多さで、必ずしもストーリー展開に関わった伏線ばかりではなかったけど、実に凝った脚本です。そしてヴァーホーヴェン風味のシモネタ・お下劣ネタは健在で、オランダ時代の盟友脚本家のジェラルド・ソエトマンとのタッグはやはり強烈です。なんせ『ルトガー・ハウアー/危険な愛』を生み出したコンビですからねえ。レジスタンス側もナチ側も出てくるキャラはもうゲスばっかり、ヒロインのラヘルにしたって匿ってくれていた農家に爆弾が命中しても一家の安否は眼中になく、次の隠れ家をどうしようかと悩むだけなので、「おい、おい…」と引いてしまいます。ヒーローもヒロインも癖が強いのがヴァーホーヴェンの映画の特徴なので、まあ理解してあげてください。さんざんナチとやりまくったくせにすぐにカナダ兵とくっついちゃうロニーや、降伏後も連合軍に協力すると称して態度がでかいカウトナー将軍など、すっきりした勧善懲悪とは程遠い結末はいい味出してます。 砲声が近づいてくるラスト・カットでしたが、1956年ということでこれはスエズ動乱の始まりを示唆しているんでしょうね。ラヘルはなんかまだまだ苦労しそうですが、続編を制作してみても面白いかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-04 21:55:16)
36.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
フィンランドのオタクがクラウド・ファンディングも使って製作した低予算映画にしては、よく出来ているんじゃないですか。とても750万ユーロ(円換算では10億にもならない)が全予算とは思えない映像、やはりCGの力は偉大です。ナチの宇宙船やメカに漂うレトロ感はよく感じが出てましたが、ナチの逆襲というプロットも含めて既視感が濃厚で目新しさはないです。だけどギャグネタはかなり強烈なインパクトがあったんじゃないでしょうか。黒人を薬品で白人化させる、これは今のハリウッドじゃ絶対に使えないネタです。サラ・ペイリンにクリソツな合衆国大統領、まあこれは笑ってもいいでしょう。でもいちばんインパクトがあったのはこれでもかとカリカチュアライズされた国連の様相で、ヘリウム3なる鉱物を巡って巻き起こる壮絶な乱闘プロレスには爆笑させられました、サラ・ペイリンのピンヒールで殴られたらそりゃ血を見ますよ。そして北朝鮮とフィンランドのネタもね(笑)。 そういや、「続編製作中!」というインフォメーションもあったけど、どうなったんでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-06-26 22:59:04)(良:1票)
37.  ヒトラーの忘れもの 《ネタバレ》 
当時にはすでに地雷処理用の特殊戦車が運用されていたから、何百万個の地雷を処理するならこれを使った方が効率よかったはず。デンマーク軍はそんな戦車を持っていなかったし、他国から借りてくるのはコストがかかるのでドイツ兵を使って処理させた方がもちろん安上がりだったということでしょう。でもデンマークは大戦初期にドイツに降伏しているので交戦国ではないので、彼らドイツ兵はデンマークの捕虜ではないはず。つまり米軍か英軍の捕虜を貰ってきて作業させた感じで、これは一種の奴隷使役みたいなもので、どう考えてもジュネーブ条約に違反しているんじゃないでしょうか。戦争に勝ったら何でもありと言うのが、残念ながら国際政治の現実なんです。 冒頭からの少年兵たちの地雷処理のシーンは、緊張感がピリピリ伝わってきます。でも時がたつにつれてなれと言うか緊張感が薄れてくるのが映像からも伝わって来て、あのトラックごと大爆発につながってしまいます。彼らに対峙するデンマークの軍曹の人物造形が秀逸なので、この映画に深みを与えています。普通の脚本なら少年兵と軍曹が心を通わせるようになるというヒューマニズムが強調されるところですが、愛犬が爆死して雷に打たれたように軍曹の態度が一変するところには、いろいろ考えさせられます。「たとえ敵兵とはいえ、こいつ人間より犬の方が大事なのかよ」とも感じてしまいますが、この心情は犬を飼っている人には痛切に伝わるんじゃないでしょうか。戦争で心を閉ざしてしまった孤独な軍曹の、人間としての成長がこの映画の隠れた主題なのかもしれません。いい映画だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-01-25 23:44:52)
38.  バイオハザード(2001) 《ネタバレ》 
やはりゲームの映画化作品としては、これがもっとも成功した一編ではないでしょうか。私はこのゲームをプレイしたことはないですが(もちろんその存在は知っています)、『トゥーム・レイダー』や『ストリート・ファイター』などは「もとはゲームだな」と意識させられる不自然さがつきものなのに、本作はそこを意識させない独自の世界観の構築に成功しています。ミラ・ジョヴォヴィッチにしても、このシリーズのアリス役が最大の当たり役だったことは認めることでしょう。なんせ彼女の最初の登場カットがあの素晴らしいブルーの瞳の大写しなんですから、この監督、のちにミラを嫁にするぐらいですからよく判ってらっしゃいます。のちのシリーズでどんどん超人化してしまうんですが、この第一作ではいきなりハダカでしかも記憶喪失という状態で登場、まだまだ人間味があるキャラです。前半のテンポとサスペンスの盛り上げ方はB級色を吹き飛ばす爽快さもあり、尺の短さもあって中盤のダレ場も振り切ってしまうパワーがこの映画にはあります。そして“SF映画ブラック企業四天王”の一角を占めるアンブレラ社の極悪非道ぶりがある意味突き抜けていて痛快でもあり、やはりアンブレラ社が史上最凶と認定させていただきます。 あの衝撃のレーザー・ソードのアイデアは実は『CUBE』の方が早くて、そこにリスペクトを捧げて隊長を“立方体カット(つまりCUBEですね)”で仕上げたのかと思います(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-14 22:37:38)
39.  恋はハッケヨイ! 《ネタバレ》 
『カルフォルニア・ドールズ』の女相撲バージョンかと思って観てみたら、悪い意味で思いっきり期待を裏切られましたね。つまり太めの淑女たちの汗と涙そして笑いが満載のスポ根映画だと私は勝手に思い込んでいたんですよね。ところがこの女性監督は、相撲の神秘的な部分がお気に入りだったみたいで、女相撲に魅せられた女性たちをまさに原題“Secret Society”の一員として描くことに凝り過ぎちゃったみたいです。相撲にはスポーツと言うよりは神技としての側面も確かに強いですけど、それがやはりデブ女である工場主任が主催する謎の女相撲サークルとどうつながるのかは、感覚的にもついてゆけませんでした。だいたいラストの試合ですが、いくらなんでも男と対戦するのはあり得ないでしょう。 まあそんなにムキになって批評するような映画でもないけど、面白くなかったというのは確かです。昔ならいわゆる国辱映画ということでお蔵入りは確定でしょう、現時点でも地上波はもちろんのことCSでも放送されないんじゃないかな。
[ビデオ(字幕)] 3点(2017-08-28 20:45:26)
40.  帰ってきたヒトラー
このヒトラー役のオリヴァー・マスッチという俳優は、わかる人にはわかるんだけど生前のヒトラーの所作をよく研究していると感心しました。『最期の12日間』のブルーノ・ガンツよりもはるかにリアルだと思います。でもこれほど可笑しいけどだんだん笑えなくなってくる風刺映画には久しぶりに出会った気がします。『博士の異常な愛情』を初めて観たとき以来の衝撃かもしれません。あの女性局長は、ゲッベルスとレニ・リーフェンシュタールを合体させたようなキャラですね。こういうわき役たちもけっこう面白いけど、実はこの映画で最もキャラが立っているのは、ドキュメンタリー風に画面に登場してくる現代ドイツの大衆たちなんですよ。ヒトラーの「私を選んだのはお前たちだ」というセリフがこの映画の究極のテーマを判りやすく説明しているんじゃないでしょうか。この史実こそがドイツ人には耳が痛く、そして都合よく忘れようとしてきたことなんです。そういう視点で観ると、ヒトラー後のドイツ人の偽善をこれほど赤裸々に揶揄した映画はなかったんじゃないでしょうか。そう考えると、冷戦があったとはいえ戦後のドイツは狡猾に国際社会で立ち回ってきたものだと思います。組織の末端だったとは言っても東独の共産党政府の一員だった女性が、今や宰相として君臨して欧州の女帝とまで言われているんですからねえ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-13 23:15:44)(良:2票)
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