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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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41.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
入念に作りこまれた映画だと思う。構成は徹底的に考え抜かれていて、情報量も多い。夫婦の生活と有名事件の裁判を交互に語る形式で、微視的・巨視的に90年代を切り取ってみせたのはちょっとあざとくも思えるけれども、確かに成功している。年代もきちんと提示されるが、女性のファッションを見るだけで時代がわかる描写の細やかさはさすが。風呂場で椅子から落ちてごつんと音がするところとか、リアリティうんぬんというかもう、生々しくて肌に伝わってくるようだ。  女は子どもを失った罪悪感から会社を辞め、男はなにごとにも辛抱強く、自分を納得させるための涙は絶対に流さない。英題を見ると「ぐるり」は二人を取り巻く周囲の状況を指しているようだが、逃げそうで逃げない、遠回りしているようで実は真摯に現実と向き合っている二人の生き方もまた「ぐるり」なのではないか、と感じる。というか安易な答えに飛びつかずに(あのうさんくさいベストセラー作家に抱きつく変人みたいに)、生きることに真摯でいようとするとするなら、回り道せざるをえないのかもしれない。  ただ、これほど見応えのある作品も珍しいが、正直いって内容を消化し切れなかった部分もある。割と爽やかに終われそうだったのに「継母ぁ!」を入れてきたのにはびっくりした。それに巧妙な構成が仇となって、ときどきものすごく冷静になったり、展開そっちのけで考え込んだりしてしまい、肝心な夫婦のドラマを遠巻きに眺めていた感がある。なのですごい作品とは思うけれど、感動の度合いを正直に書くと7.5点くらい。繰り返し観れば、いろんなことが腑に落ちるのだろうか。
[DVD(邦画)] 7点(2009-08-09 22:38:00)
42.  殯の森 《ネタバレ》 
以前真夏のある日に、神社の脇の林に囲まれた広場に入ったことがある。木の枝が広場全体を天蓋のように覆う、嘘のように涼しい場所だった。一陣の風が通り過ぎて草木がいっせいにざわめいた瞬間、なぜか鳥肌が立った。スピリチュアルなんとかの類は苦手なのだが、あのときばかりは深遠な雰囲気というか、何か得体の知れない存在に対する畏怖のようなものを感じずにはいられなかった。  この映画にはそんな気持ちを呼び起こす森林の風景が捉えられている。それも単に映像を撮っているというだけでなく、澄み切った空気の味や、植物や土の匂いまで伝わってくるような、生々しい臨場感がある。現実に疲弊した女性が認知症の男性を案内役に森を彷徨い、やがて言葉を超えた境地に辿り着く。わかりやすくオカルト的な要素は登場しないが、アニミズムやシャーマニズムを体現している稀有な映像作品だ。原初的な宗教体験、悟りの瞬間を説得力をもって描き出している。自然のなかの神様を感じさせる作品といえば宮崎駿監督の『となりのトトロ』ぐらいしか思いつかないが、あれとも全然違う。類のない作品じゃないだろうか。  ただ、海外でこういった作品が評価されるのは素晴らしいこととは思うけれども、欧米の方は日本文化について極端な評価をしがちなのも確かだと思う。日本人からすると深みが足りない、安っぽいと感じる部分があっても、あちらでは異文化万歳といった感じで簡単に見逃されてしまう。ありがたいことではあるけれども、ときには「その漢字Tシャツ変ですよ」と言ってあげたくなることもある。たとえば本作でいえば前半の日常描写がぎこちないし、服を脱いで肌を寄せ合う場面などにはあざとさを感じてしまう。リアリティを出そうという意図がみえみえで、リアルを超えて無骨な感じがする。  実は鑑賞直後は4、5点にしようと思っていたのだが、観て損をした感はなかったので点を上げた。普通の意味では退屈だが見入ってしまう、なんとも不思議な作品。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-26 19:02:49)
43.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
明確に色分けされたキャラクターといい冒険の旅に出る物語といい、まるで現代の少年マンガのようで、リメイクされた理由がわかったような気がした。プロットよりまずキャラクターの魅力ありきの展開で、その意味ではとても現代的なのだ。雪姫なんかは演技がどうこうではなく印象に残るし(あの声!あの太もも!)、真壁六郎太は文句なしにかっこいい。百姓二人組が少しでも山場で貢献していればプロットとしてはもっときれいだったと思うが、ここまでダメダメだとかえって忘れ難い。  尺は明らかに長すぎ、しかも強引すぎる。けれども冒頭の大脱走シーンの力のこもりよう(本筋とは直接関係ないのに)から、瓦礫の山登りや長時間に渡る槍での決闘など、最近の映画なら絶対ありえないような描写が、なんだかとても楽しい。とくに馬を使った見せ場のスリルは類を見ない素晴らしさだ。三船敏郎の殺陣のかっこよさは知っていたけれど、これほど力強さを見せつけられたのは初めてかもしれない。脚本は洗練されていないが、その分でたらめにエネルギッシュで、なんとも野蛮な魅力があることは否定できない。『七人の侍』や『椿三十郎』に比べてしまうとどうにも苦しいけれど、充分面白い作品だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-21 01:31:03)
44.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 
現代の映像から始まったのと、初めのうちは登場人物の顔見せが続いたのとで戸惑った。しかも台詞がべらんめえ調で早口、時代劇を知らない者には馴染みのない語彙も多く、聞き取りにくいことこの上ない。  しかし物語が転がりだすと俄然面白くなり、最後まで一気だった。おそらくカメラが下手に動かないためだろう、すごく臨場感があって、まるで自分も相模屋の一角にいて一部始終を眺めているかのようだ。  たとえば廊下の場面で、手前で登場人物が戸口をくぐって画面から消えたかと思うと、映像はそのままで奥の別の戸から次のパートの登場人物が現れ――といった具合に鮮やかに視点が切替る。一つの建物のなかでさまざまな物語が交錯しながら並行して展開していく、それが目で見てわかる。  だからテンポよく複雑な筋書きが進むにも関わらず混乱しない、取り残されない。普通に考えたら密度の濃すぎる話を何気なく観せている。実はさまざまな面で高度なことをやってのけているのではないかと思う。  結末はあれはあれで味があっていいが、やっぱり監督の構想が実現したらと思わずにはいられない。そうであれば後味も明るく、力強い印象となっただろう。  そして惜しまれるのが台詞の聞き取りにくさ。時代劇も落語もさっぱりなので、この低レベルなハードルに最後までひっかってしまい、心から没入することはできなかった(巻き戻してもわからない!)。ちょっと哀しかった。台詞が多いから字幕も難しいだろうし……。
[DVD(邦画)] 7点(2009-06-27 19:00:02)
45.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 
年代的にも共感できる要素が少なく、テレビ番組で前もって見所を知っていたのもあって、かなり冷静に鑑賞。なのに、不覚にも泣いてしまった。なんというか、ギャグとシリアスの緩急が上手いのですね。クレしんだけにくだらない部分は思いっきりくだらなくできるわけで、その点は卑怯というか、巧妙だなーと思いました。  衝撃的だったのは、計画が潰えた後に悪役の二人が自殺を図るエピソード。推理ものならともかく、低年齢向けでこんなのは珍しい。おまけにこの悪役がどうしてこんな事件を目論むに至ったのか、バックグラウンドがまったく描かれていない。尺の関係もあったのかもしれないが、大胆に余白を残したのは正解(ジャンプ系のやたらと回想を織り交ぜて語りまくる漫画には見習ってほしい)。  声優の貢献もあり、ケンとチャコは名キャラクターとなっている。敵役に存在感を持たせたことが作品を成功させた要因の一つでしょう。
[DVD(邦画)] 7点(2009-05-07 12:23:26)(良:1票)
46.  キサラギ 《ネタバレ》 
普通に面白かったです。でもここでの平均点の高さにはちょっとびっくり。褒めている方は大勢いらっしゃるので、以下、あえて引っ掛かった点を挙げます。  何より気になったのが俳優の拙さ。香川さん以外の若い出演者の演技はみんなどこか不自然で、そもそもミスキャストではないかというくらいバラエティ番組での印象が固まった人もいる。ユースケ・サンタマリアは好きだけど、個人的には『ぷっすま』のイメージなので映画では観たくなかった。  脚本もテンポの良さは素晴らしかったけれども、一方で舞台劇特有のまくし立てるようなしゃべり方は耳障りだった。ラストが蛇足なのは言うまでもなく、とりわけプラネタリウムの場面のチープさはどうにかならないものかと思った。あと、映像的に面白みがなさすぎる。全体的に工夫が足りないのは素人目にも明らかで、鮮烈に脳裏に焼きつくような見せ場もない。大画面で観たいという欲求が全然そそられないのは、映画として少し寂しい。  いくら話が面白くとも、それ以外の要素がテレビドラマに毛の生えたレベルというのはもったいない。“映画は脚本”であることに異論はないけれど、それはあくまでも屋台骨として重要なのであって、すべてではないでしょう。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-28 16:52:32)(良:1票)
47.  アフタースクール 《ネタバレ》 
どんでん返しがキモの作品はたくさんあるが、この作品の趣向はよくできた「騙し絵」のようだ。一見して理解したつもりでいた光景が、少し角度をずらしただけでまったく異なる意味合いを持って見えてくる。観終わってすぐに再び初めから見直したくなる、精妙巧緻な仕掛けだ。ネタそのものがすごいというよりも、その観せ方が憎らしいほど上手い。真相の意外さよりも、実はその真相が(ある意味では)初めからずっと目前にあった、という衝撃が新鮮だった。『SAW』などの力技で騙す作品も悪くはないが、伏線をきれいに回収していくこの手並みの鮮やかさは素晴らしい。  ただし構成の精緻なミステリーの宿命で、敷かれたレールがしっかりしているのに反比例して登場人物が人間味を失ってしまう、物語のためのコマでしかなくなってしまうという短所からは逃れられていない。しかも本作の場合、一つの場面から二重の解釈ができるような微妙な雰囲気が強いられるため、普通以上に抑えた演技が多く、ますます感情移入が難しくなるというハンディを抱えている。個人的には気持ちよく騙してくれたからそれでOKなのだが、だめな人はだめだろうと思う。  ちなみに大泉ファンであればコメンタリーは必聴。期待に違わぬ、清々しい下らなさだった。監督と妙に仲がいい(笑)
[DVD(邦画)] 7点(2008-12-15 18:12:56)(良:2票)
48.  アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎作品に特徴的なのは、そこかしこに散りばめられた独特のセンスによる遊び心と、ささやかなユーモアの一撃でもって暗い絶望を軽やかに飛び越えてしまう、不思議な力にあると思う。ひょうひょうとしてさり気ない、しかし妙に心強い救済の力。この映画はディティールには多少の差異があるとしても、そうした本質の部分を完璧にものにできている。  細かい脇役にまで気が配られているのがまたいい雰囲気。なぜか悪役がハローバイバイ(しかも妙にしっくり)だったり、本屋のばりばり訛ってる店員がめちゃくちゃ可愛かったり(エンドクレジットそのまんまで笑った)、父さんがチンカチンカのルービーの人だったり。こうした配置は絶妙で、得難いセンスが感じられた。  ていうかこの監督の次回作、長嶋有の『ジャージの二人』!? 面白いには面白いけど、映画原作としてあれを選ぶとは……。伊坂ワールドも楽しいが、中村義洋ワールドにも期待。原作と比べても甲乙付け難い出来だけど、個人的には映画のほうが好きですらあった。
[DVD(邦画)] 7点(2008-04-15 15:38:39)
49.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
初めて観たときは最後の決闘場面にものすごい衝撃を受けた。今見ると血の吹き出し方に思わず笑うけど(全身頚動脈かよ)、それでもやはり名場面であることに変わりない。知恵比べを主としたプロットといいひょうきんなキャラクターといい、娯楽作として一つのスタンダード足り得るものと思う。まだ若い田中邦衛が『北の国から』では絶対ありえない台詞ばかりいっているのも、ちょっと面白かった。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-19 00:58:38)
50.  ゆれる 《ネタバレ》 
隠喩とか象徴とか考えるのはあまり好きではないんだけど、いわばあの橋は兄弟の関係そのもので、間に一人の女が割り込んだがために激しく揺れ、その脆さを露呈したのだといっていいと思う。  猛の偽証はあんまりだという意見が多いけど、そうだろうか。殺人ではないにしても過失致死か傷害致死なのは間違いないわけで、結果を見る限り素直に同情できない。仮に助けようとしたとしても、危険なつり橋で人を突き飛ばすような男は刑務所に行って当然だろう。  最初、猛は兄が灰色であるのを承知でかばっていた。が、面会した兄は異様な言動を見せ、法廷では嘘をつき、偽善的なパフォーマンスまでやってのける。検事が「相手が落ちるのを予想して手を伸ばしたんだろう」と迫る下りは、なるほど証拠は無いがそれもありえなくはないな、と思わせた。あそこで傍聴席の猛がちらりと映されるが、あるいはあのときすでに、兄を疑い始めていたんじゃないだろうか。  無罪と思い込もうとしていたのが、終いには狡猾な男が芝居を打って罪を免れようとしているように見えてくる、そしてそいつを有罪にできるのは、自分だけ――だったら、あの行動もまんざら理解できなくない。  猛の証言に稔が微笑んだのは、たぶん、嬉しかったんだと思う。面会室で弟に唾を吐きかけたときから、きっと稔はどこかでああなることを望んでいた。初めて弟に本心を晒し、弟もまた本心でぶつかってきたことが、清々しかったのだろう。以前は表面的に仲の良い兄弟でしかなかったのが、おそらく生まれて初めて本気で兄弟喧嘩をしたのだ。  そしてラスト。個人的にはあの終わり方が一番よかったと思う。事件を契機に兄弟は初めて取り繕うのをやめて醜い悪意をぶつけ合い、それでも弟が再会を望んだから、兄は笑った。きっと彼らは関係の快復を望んだろう。でも確執が残っているのは当然で、元通りGSで働くのも難しいのだから、いきなりの和解なんて夢想でしかない。見通しは甘くないのを承知の上で、なおも希望を見つけようとする。  人は繋がりたがる生き物だから、どんなに頼りなくゆれる橋でも、向こう岸に渡りたいと望む。ラストが曖昧なのはごまかしではなく、そこに願いを込めようとしたからだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-29 00:53:00)(良:1票)
51.  ザ・リング
ナイン・インチ・ネイルズのPVみたいな呪いのビデオですね。怖くないのは確かだけれど、日本版のファンではないのと、全然期待せずにたまたま観たのもあってそれなりに楽しめました。全体的に映像がきれいなのも好感。  昔若気の至りで敬虔なクリスチャンの友達ときもだめしに行ったことがあるんですが、その人がまったく怖がらなかったのをよく覚えています。日本人が死者に対して抱く畏怖心なんて、きっとあっちの人にはさっぱり理解できないんでしょうね。だから貞子ですら単なるモンスターになってしまう。そこに納得して観られればきっと面白いと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-01-15 13:29:41)
52.  ドッペルゲンガー 《ネタバレ》 
自身のエゴイスティックな欲求の象徴のような分身につきまとわれる、超シュールなサスペンス。恐怖と笑いは紙一重であるということがよくわかる。  殺人者が被害者を追いかける話を、被害者の視点から描けばホラーになるが、殺人者の視点から描けばブラックコメディになりかねない。だから悪辣なドッペルゲンガーに追われる前半はホラーなのだが、ドッペルゲンガーを受け入れ、融合してしまった後半はコメディになってしまう。  残虐極まりない話なのだが、誰もが好き勝手に行動するだけに変な爽快感が伴っているのがたちが悪い。「自分自身の嫌いな部分も含めて受け入れないと」的なことは良く言うけれど、そんな言葉の危うさが見えてくる。自身の狂気までも受けれ入れてしまったら、怪物になりかねないですもんね。  それは恐ろしいことであるけれど、同時にとても楽しいことでもあって……。この映画はその快感をあっけらかんと描いてしまった。そういう意味ではものすごく怖い作品かもしれない。
[ビデオ(邦画)] 7点(2007-01-02 21:49:59)
53.  機動警察パトレイバー2 the Movie
作画のこだわり方が変わっている。東京の風景、機械や小物への描き込みは半端じゃないのに、動きの滑らかさを出そうという努力はほとんど感じられず、それどころか会話中の人の口すらも見せないようにして作画の労力を最小限に省いている。  脚本にしても後藤、南雲中心ではあるものの普通の意味での「主役」ではなく、視点が固定されていない。むしろ奇妙な人工美に満ちた東京と、硬直した政治機構が主役であって、ひとりひとりの人間たちはそのなかで翻弄される存在でしかない。  変なアニメーションだ。ひたすら小難しい台詞が続く紙芝居のような表現には辟易したし、脚本だって完璧だとは思わない。だが、それでも面白かった。これだけ派手なアクションシーンを盛り込みながら死人がほとんど出ていないという点にも、安手のハリウッド映画にはない渋味を感じる。硬質で骨太な世界観と、それを裏打ちする思想があるからだろう。あんまり男臭いので気軽におすすめはできないけど、福井晴敏なんかが好きな人はきっと楽しめるだろうと思う。  それにしても竹中直人、なんでもやってるんですね…。
[DVD(邦画)] 7点(2006-12-28 22:50:30)
54.  運命じゃない人
とても地味だけど、面白い。題材も人物も舞台も、派手な要素はひとつもないのにも関わらず、脚本だけ、しかもシンプルなアイディアを膨らませるだけで最後まで魅せ切っている。これはほんとうにすごいことだと思う。時間軸の操作という手法にもまだまだ可能性があったんだなあと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-04 23:37:07)
55.  ハウルの動く城
意外と好きになれた。脚本は単純に失敗(狙ってやったにせよ単純な力不足にせよ)だと思うけど、イメージ豊かな映像やキャラクターの可愛らしさ(とくにマイクル)で許せてしまった。話としては面白くないのに、天才的な想像力に強引にねじ伏せられた感じだ。最近の『ゲド戦記』や『ブレイブ・ストーリー』はCMを見ただけで製作者の想像力の凡庸さがわかるが、宮崎駿作品は全盛期を過ぎてなお、ほんのワンシーンだけで観る者を「おおっ!」と思わせるだけの力を持っている。個人的にはよくできた平凡な作品よりは、こういった天才の失敗作のほうが見ごたえがあって好きだ。ただし、これから宮崎作品に正当派の面白さを期待することは二度とないだろうけど。
[地上波(邦画)] 7点(2006-08-03 13:57:01)
56.  オペレッタ狸御殿
ああ、むちゃくちゃ。いい意味で、むちゃくちゃ。これは観るドラッグ、映画という名の幻覚剤だ。マジックマッシュルームを齧ってメリーゴーランドに乗ったかのような、サイケデリックなトリップ感。観ているだけで脳細胞がぷちぷち弾けていくような快感がある。点数としては7点をつけておいたけど、これはもう通常の映画のものさしで測れるような作品ではない。鈴木清順はもはや一つのジャンル、一つのまったく異なる世界であって、もう映画としてどうこういう気になれない。異次元を垣間見れて楽しかったね、って感じだ。とくにびるぜん婆の散り際が最高。
[DVD(字幕)] 7点(2005-11-09 18:14:46)
57.  12人の優しい日本人
根本的なところに疑問がわいてくる。陪審員が推理して有罪だ無罪だと騒いでいるが、状況証拠しか存在しない以上、最初から推定無罪であることはわかりきっている。有罪を主張する陪審員の推理は、すべて偶然で片付けることもできるようないい加減なもので、あれで人の有罪無罪を決められたらたまったもんじゃない。被告や被害者がいちいち合理的に行動したとは限らないし、物理的な証拠はゼロにひとしい状況ならなんとでも「推理」できる。ピザの大きさで殺意の有無を測れると?  陪審制度の危うさに警鐘を鳴らす意図があるとしたら、大成功を収めているといえるだろう。ハッピーエンドを迎えてしまう本家よりもずっと。  パロディをやる以上、ある意味では本家を超えるネタがないと単なる退屈な二番煎じになってしまう。どんでん返しの数で本家を上回り、テーマ自体も対照的なところにあるこの作品はパロディとしては最も秀逸な部類に入るのではないか。  ただし、時代もあってか、別に笑えない。ところどころ面白い場面もあったが、とてもコメディとして優れているとは言えないのが難点だ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-01 09:01:41)
58.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 
酷評が多いですけど、普通に面白かったです。みなさんジブリには期待してるんでしょうね。私は何の期待もせずに観たので。 確かにストーリーには「?」も多く、もう少しなんとかなったんじゃないかなとは思います。でも映像や世界観はとても楽しい。人外の連中がキモかわいくて、観てるだけで満足。 落下しながら泣いて、上に涙の粒が飛んでいくシーンもよかった。そこまでのめりこんでいたつもりはないけど、あれには少々胸を動かされました。自分のためじゃなく人のために、それも悲しみからじゃなく嬉しさから流れる涙って、見てて気持ちいい。前半の涙とは真逆です(方向が逆なのは偶然でしょうが)。助けられる側から助ける側に、自分のためじゃなく他人のために泣ける人に。あの場面でちひろの成長ぶりがわかった気がしました。
[DVD(字幕)] 7点(2005-10-06 19:57:35)
59.  呪怨2 (2003) 《ネタバレ》 
伽耶子が襲ってきても、なんとか勝てそうな気がする。かくかくしてて、弱そう。  なので別に怖くはなかったのだが、ストーリー的には案外面白かった。首吊りのエピソードは都市伝説かなんかにありそうだけど、それにしてもよくできている。夢(?)と現実を行き来するエピソードは普通は観客だけは冷静になってしまうものなのに、観客も混乱してしまう。意図的なのかどうかは知らないが、登場人物の気持ちがわかっていいと思う。  インタビューで監督が今回の目的は女性を怖がらせること、裏テーマは母性、と話していた。確かにいきなり流産してしまう冒頭からして、少なくとも妊娠している女性には見せたくないと思わせる。『呪怨』シリーズってどの死も理不尽そのもので、何の罪もない人々が邪悪なものに次々と殺されていく。この点、血や内臓の量とかじゃなくて、「残酷」だ。この悪意に満ちた感じがこのシリーズの怖さだと思う。  だからラストで酒井法子が差し伸べる手は、たいして意味がないはずなのに、救われた気持ちになった。巨大な悪意のなかに射した、一条の光。ラストは恐怖が終わらないことを暗示するセオリー通りのようでいて、もしかしたら逆に希望を示しているのかもしれない。安らぐような光のなかで、伽耶子の憎しみはやわらぎ始めたようにも見えた。
[DVD(字幕)] 7点(2005-09-30 12:26:02)
60.  空の大怪獣ラドン
もちろん「空想科学読本」みたいに厳密に考えればラドンのような生物はありえないのだろうが、その怪物の存在をいかにもリアルに思わせるのが上手い。卵の殻からラドンの体長を推測するシーンなど、細かな取材と考証に基づいているのがわかる上質のSF作品である。たとえ特撮技術が現在のそれからすると見劣りするものだとしても、戦闘機との空中戦、衝撃波で吹き飛ぶ市街地、そして阿蘇山での徹底的な爆撃のシーンはかなりの迫力を感じた。製作者の気迫も伝わって来たように思う。ときには明らかに着ぐるみであるラドンに恐怖すら感じた(さすがにメガヌロンは可愛いだけだったが)。ラドンたちが死んでいく場面も哀れまずにはいられない。  努力と工夫次第でアナログな方法でも優れた表現ができることを知った。
7点(2005-01-31 04:28:19)(良:1票)
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