61. 秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~
《ネタバレ》 平日の深夜に酒でも飲みながら何も考えずにバカ笑いしたいなら、こんなにも最適なアニメはないってくらい最高なあの『鷹の爪団』が奇跡の映画化、そしてなんと今作で第三弾!いやー、日本には本当に馬鹿が多いのですね(笑)。そして、2では少しおとなしめだった、あのどうしようもない馬鹿馬鹿しさが今回はちゃんと復活しておりファンとしては嬉しい限り。赤字ミサイルが命中すると絵がとんでもなく雑になるなんて、なんてステキな攻撃!個人的に、僕はあの女に目覚めた大家さんが大好きなので、今回はあまり彼女の活躍(というか肉食)が見られなくて、ちょっと残念だったけど、やっぱり面白いわー。レオナルド博士も最高だし!でも、この映画に高得点をつけると、他の大真面目な映画にちょっと申し訳ない気もするので、ちょっぴり控え目に6点で(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-10 12:52:33) |
62. 秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~
《ネタバレ》 超馬鹿馬鹿しくてくだらなくてハチャメチャでそれでも最高に笑えて、そしてあと一歩で破綻してしまうぎりぎりのラインでちゃんとストーリーとして纏まっていた、あの前作が大好きだったので、今作も期待して鑑賞。うーん、さすがに一作目のあのクオリティを二作目まで維持するのは難しかったみたい。ちょっとギャグもすべっているのが多かったし、あんまり楽しめなかったなー。もっと女の部分が燃え上がった大家さんの大活躍を見たかったわい。クライマックスで、覚醒した吉田ネオのアクションシーンに予算を使い過ぎて、どんどんと雑になる総統はちょっと面白かったけど。 [DVD(字幕)] 5点(2013-05-18 19:58:06) |
63. 秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~
《ネタバレ》 吉田戦車の不条理ギャグ漫画が大好きな自分は、この馬鹿馬鹿しい低予算のアニメも昔から大好きだった。でも、大人になって日々の忙しさに忙殺されているうちに、この『鷹の爪団』のこともすっかり忘れていたのだけど、最近たまたま同じ作者による島根県の自虐カレンダーが売れているというニュースを知り、「あぁ、懐かしい……」と思わずこの作品をツタヤでレンタル。うーん、馬鹿馬鹿しい……(笑)。良いですね、このまったく意味なんかない下らない面白さって。大人社会のストレスで圧殺されかかっていた僕の心が、大分癒されました。吉田くんのひねくれ方って大好き。そして、大家さんの燃え上がる女の部分に大爆笑。まぁ、社会の大多数の大真面目な人たちには全く受け入れられないだろうけど。ぜひ、宮崎駿さんに観てもらってその感想を聞いてみたい(笑)。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-13 17:34:53) |
64. ヒミズ
《ネタバレ》 ずっとその才能は充分にみとめるのだけど、自分とは合わないなぁと常々感じている監督の新作。でもこれはいただけない。自分とは合わないながらも、この作風が好きな人の気持ちは分かるとこれまで思っていたのだけど、この『ヒミズ』だけは単純につまらないというのが率直な感想。もうほとんど意味のない映像が何の関連性もなくブツ切りに繋ぎ合わされているだけで、まるで下らないロックバンドのPVレベルの映像を延々と見せられたような退屈極まりない映画だった。それだけならまだ許せたのに、そこに無理やり311を絡ませるところなど、自分の才能の枯渇をそれで無理やり隠そうとしているかのようにさえ思えて、僕はとても嫌悪感を覚えてしまった。 [DVD(字幕)] 3点(2013-05-04 01:02:07) |
65. パレード
《ネタバレ》 うーん、これはちょっと残念な映画だなー。僕は吉田修一の原作本の大ファンだから、ここまで忠実に映像化してくれた監督の手腕には敬意を表するのだけど、一つだけ(そしてもっとも重要な部分が)原作の意図から離れてしまっていると思う。それはリビングの〝暗さ〟。あの原作が表したかったことって、あの同居人たちが誰もが心に鬱屈したものを感じながら、それでもリビングに集まればみんな何事もなかったかのようにまるでアメリカのホームドラマのように明るく振舞うという、ネット上のSNSや掲示板のある種のメタファーのようなものだと個人的に思っているので、やっぱりリビングはもっとやり過ぎなくらい明るく撮って欲しかった。そうしたらあのラストシーンが(原作と同じように)もっと映えたはずなのに。残念。 [DVD(字幕)] 5点(2013-05-03 15:06:49)(良:1票) |
66. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 これはやっぱりアニメとして描かれた冒険活劇映画としては世界最高峰クラスでしょう。天空から落ちてきた謎めいた少女シータを救ったことから、主人公の少年パズーが巻き込まれる、まさに誰もが胸躍らせる波乱に満ちた冒険物語。大空を縦横無尽に駆け巡る個性豊かな海賊たちと、謎の組織に奪われたシータを取り戻すために村を飛び出すパズー、そして次第に明らかになる天空の城ラピュタの伝説……。もう、これ以上ないくらいに思春期男子の心を高ぶらせてくれます(もちろん、それ以外の人たちも、ですが)。あまりにも優等生過ぎて、逆に物足りないところも無きにしも非ずかもですが、でもここまでオーソドックスな作りに徹した宮崎駿の手腕はやっぱり素晴らしいです。中1のころに観て、次の日、空を見上げながら「あの白い雲の向こうにおれも飛んでいけたらなぁ」と切なくなってしまったことを、今でも憶えています。 [DVD(字幕)] 9点(2013-05-02 21:17:17) |
67. となりのトトロ
《ネタバレ》 徹底的に子供の視点で描かれた、田舎の自然の美しさと恐ろしさを想像力豊かに描いたメルヘンファンタジー。やっぱり宮崎駿って世界に比肩できる天才だと改めて思う。だって、この作品に登場するトトロや猫バスなんて世界広しと言えども宮崎駿以外に絶対に誰にも考えられないだろうもの。ユーモラスで優しくて頼もしくて、そしてどこかに不気味さも感じさせる数々のもののけ(?)たちはいつ見ても心穏やかにさせてくれる。個人的には、まっくろ黒すけが一番好きかなぁー。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-02 21:05:30) |
68. 魔女の宅急便(1989)
《ネタバレ》 思春期になれば誰もが通る、あの今までの世界が実は自分が思っているよりもっと限りなく広いことを知ったときの清々しさや、大人になることのドアをほんの少し覗いて思わずたじろいでしまう焦燥感、そして否応なく訪れる身体の変化からくる孤独感。そんな今にして思えば甘酸っぱい世界を、魔女というメタファーを通して描かれたファンタジー。もう主人公のキキの切実さがひしひしと伝わってきて、何度観ても切ない気持ちになってしまいます。いつの間にか、喋ることが出来なくなってしまう黒猫のジジ。つい昨日まで居られた本当の競争や嫉妬や憎悪もない子供の世界から、キキは少しずつ大人の世界に足を踏み入れていく。瑞々しい青春ファンタジー映画の傑作だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-02 20:48:56) |
69. 耳をすませば(1995)
《ネタバレ》 何でも信念を持って拘り抜いて作品を作りあげれば、傑作になりえるという見本のような作品。はっきり言って宮崎駿をはじめとした髭面のおっさんたちが心血を注いでこの赤面必死な少女マンガの世界を徹底的に映像化したなんて、考えるだけでも恥ずかしい。もし、これがどこかに照れ隠しのように大人な意見を差し挟んでいれば、もう目も当てられないくらい違う意味で恥ずかしい作品に仕上がっていたことだろう。そんなジブリのおっさんたちの勇気に拍手喝采!おっさんになったいまでも好きです、この赤面初恋映画(人に言うにはかなりの勇気を要するけどね笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-02 19:30:58)(良:2票) |
70. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 良くも悪くも宮崎駿印の家族みんなで楽しめるほのぼのアニメ。本当にそれだけ。宮崎駿の過去の作品の魅力ってそんななかにも、ちゃんと心に残る印象的なセリフがあったり、社会の残酷さをその片鱗ながらも感じさせる絶妙の演出手法が際立っていたりしたのだけど、このところの宮崎作品ってそんな魅力が顕著に減じているような気がして仕方がない。それでもあのグロテスクな魚たちの大津波のシーンだけは心に残ったので及第点で。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 19:09:51) |
71. ノルウェイの森
《ネタバレ》 あぁ、やっぱりこうなっちゃうんですよね~。この日本人なら誰もが知ってる世界的ベストセラーで映画化したら一定の興行収入が確実に見込めるはずなのに、日本人映画監督が誰も手を出さなかったのはこうなるのが分かってたからだろうね。村上春樹の、あの気取った主人公とオシャレな会話文は小説のなかだから成立する世界観なのであって、これをそのまま映像化しちゃったら、もう見てられないくらい気取った気持ち悪い主人公になっちゃうという典型的な例。監督は、ベトナム系フランス人らしいからこういう日本語的微妙なニュアンスとかあまり分からなかったんだろうなー。やっぱり、村上作品は映像化に不向きってことが改めて分かりました。それに、「人間は皆、いずれ死ぬために生きている。愛したり愛されたりという人の想いもいつかは記憶という暗い井戸の底で朽ち果てて消滅してしまう。そんな残酷な現実の前に打ち震える恋人たち」という、原作の切ないテーマも巧く映像化できていたとは到底言い難かったです。あと、療養所で主人公が直子に手で抜いてもらう原作でも白眉といえる美しいシーンは、やっぱり原作通り草原のなかで二人で横たわった姿で描いて欲しかった。というわけで、原作ファンとしてはいろいろと不満の残る作品でありました。生きることの切なさから次第に狂気へと捉われるヒロイン、直子を演じた菊池凛子はまさにはまり役でなかなか良かったけどね。 [DVD(字幕)] 4点(2013-04-24 20:20:20) |
72. 火垂るの墓(1988)
《ネタバレ》 毎年、夏になると全国の小中学生を恐怖のどん底に叩きつける反戦洗脳映画。と、世間では思われている作品だけど、僕はちょっと違う気がします。この作品は単純な反戦映画ではなく、戦争が本当に壊してしまうものを冷徹に見つめた作品だと思います。戦争が本当に壊してしまうもの、それは人間の社会性です。この主人公の少年は、今でいう不良少年なのです。盗んだバイクで走り出す現代の若者となんら変わりない。そんな少年でも、社会性がしっかりしていれば、相応の大人たち(例えば教師や警察や少年院)がちゃんと矯正させて、少なくとも餓死させるということなど絶対にさせない。この世界から戦争がなくなることなど絶対にあり得ないなら、せめてそれが壊してしまうものから目を逸らさず、多くの人たちから残酷で悪趣味だと非難されようとも徹底的に冷徹に描こうというこの監督(および原作者)の勇気には敬服せざるを得ません。そして、今でもアメリカはイラクやアフガンで社会性を壊し続けている。この映画が偽善にまみれた単なる反戦映画と一線を画した普遍性を持っているのは、ますます混迷する現代に通じるテーマを持った作品だからだと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-20 19:16:45)(良:4票) |
73. マリー・アントワネット(2006)
《ネタバレ》 女の子が大好きそうな、お姫様やら沢山のドレスやら大量の靴やら美味しそうなスイーツやらをキュートに描いたオシャレな映画。スピーディーな展開やセンス溢れる映像やら音楽とかは確かに観てられるけど、まぁそれだけって感じかな。特に心に残るものもないよ。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-20 18:24:00) |
74. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 この監督の強烈に下品で猥雑でそれでも最高にエネルギッシュていう無尽蔵のパワーは認めるのだけど、個人的にどうも僕には合わない。ちょっとあまりにも下品すぎるんだよねー。主人公が最後に言い放つ「いいか、生きるってのはな、痛いんだよ!」というセリフが笑えるか笑えないか(あるいは拍手できるか)が、この監督の評価の分かれ目だと思う。残念ながら、僕には笑うことも拍手することも出来ず、ただ失笑するのみだった。それでも、でんでんの怪演とも言える存在感と疾走するスピーディーな小気味良い展開は見応え充分。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-20 18:13:34) |
75. コクリコ坂から
《ネタバレ》 最近、ハズレばかり連発するジブリ作品のなかでは頑張ったほうではないでしょうか。ちょっと観客迎合的なところが気になるけど、ツボを押さえた作りで無難に楽しめます。ただ……、過去のジブリの傑作群と比べるとやはりどうにもぬるい。ジブリの魅力って、思春期の少女の誰もが通る、大人からみたらちっぽけな悩みかもしれないけれどそれでも真剣に悩んで頑張って成長する姿が共感を呼ぶんだけど、この作品にはそんな切実さに欠けていたように思います。それが、親の七光り監督の限界なのかな。 [DVD(字幕)] 6点(2013-03-25 12:32:45) |
76. さや侍
《ネタバレ》 やっぱり松本人志に映画監督の才能はないってことが改めて分かったような作品。これってごっつええ感じのコントを長くして無理やり繋げたような映画であって、それ以上でも以下でもないという作品。それならそちらのDVDを観たほうがよっぽど笑えるし映画である以上、コントとは違うもっと新しい楽しみ方を提示してもらわなければ、これではあくまで監督の自己満足にしかならないよ。松本人志は、一度、徹底的にシリアスな作品を撮ってみたらもしかしたら化けるんじゃなかろうか。北野武みたいに。 [DVD(字幕)] 5点(2013-03-24 18:10:53) |
77. ピラニア 3D
《ネタバレ》 過剰なまでのエロ・グロ描写。下品極まりない。けっこう、その手のお下品映画は好きな方なのだけど(ロドリゲスとか特に)、でもこれは個人的には嵌まれなかった。千切れたペニスをピラニアが食べるところを画面いっぱいに大写しされるところなど、観ていて辟易。これはもう個人的な趣味の問題になるのだろうけど、もう少しクールな映画のほうが好み。 [DVD(字幕)] 5点(2012-10-21 20:26:32) |
78. アウトレイジ(2010)
《ネタバレ》 北野武の映画って、個人的に苦手だったのだけど、これはけっこう観ていられた(それでもその〝イタイ〟暴力描写は、やっぱり自分には合わなかったけれど)。どうしようもないヤクザ者たちの暴力の応酬が、次第にエスカレートしていって、最後はほとんどの登場人物たちが自滅していく姿を、独特のドライな映像で描く。なんだか花村萬月のある種の小説の世界を思い出してしまった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-06 18:58:52) |
79. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 確かに、子供たちの(日本の本当に下手な子役が多いなか)自然な演技は素晴らしいし、悲惨な話なのに、その優れた映像感覚で最後までちゃんと観ていられるところも評価したいのだけど、それでも個人的にはちょっとずるい映画だと思わざるを得ない。後で調べたところによると、実際の事件の少年はこんなに優しい人間では毛頭なかった。ここまで事実を曲げて描くのであれば、やはり冒頭に「この映画は実際にあった事件をモチーフにしている」というのは、ちょっと言い訳がましく聞こえてしまう。監督は完全フィクションとして勝負すべきだったと、映画の内容が良かっただけに残念に思ってしまった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-27 20:02:27) |
80. 乱
《ネタバレ》 黒澤明監督が最後に撮った時代劇だけに、その終幕を飾るにふさわしい傑作。ある戦国武将一族の栄光と没落を重厚に描き出す。その丹念に描かれた絵画のように美しい映像(特に主人公が見る悪夢のシーンが素晴らしい)と、哲学的な深いストーリーはとても魅力的なパワーに溢れている。そして、最後に盲目の青年が崖の淵を頼りなげに歩く姿は日本的もののあはれを見事に表現している。何度も観るには体力がいるが、何年かに一度観返したい映画。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-16 17:45:18) |