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ころりさんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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101.  ウェディング・ハイ 《ネタバレ》 
こうゆう「悪人」がいないコメディは好きなので、しっかり楽しめました。結婚式あるある、自分はもう20年近く前の話になりますが、それでも思い出して微笑ましい気分になったり。フツーの人びとが非日常で輝く瞬間の楽しさというか、一緒に式に出て「あー、いい式だったね」と感想言い合っている気分になるだけでも、この映画としては大成功でしょう。篠原さんはいつもの篠原さんですが、脇で輝く臼田さん、自意識過剰ぶりが笑える中尾君など、キャスティングもいい。いままで苦手だと思っていた中村倫也さん・関水渚さんのカップルも、この作品では二人の魅力が見事に表現できていたと思います。このあたりは、大九明子監督の演出力でしょうね。  去年『ブラッシュアップ・ライフ』にはまって期待していたバカリズムさんの脚本はいまいち。「縄抜け」をやりたがる義理の兄と「投げ縄」が特技というバーテン、というあまりにも不自然な設定は、きっと伏線として回収されるんだろうなあと思ったら、やっぱり。これは伏線の張り方が不自然過ぎて、逆に興ざめでした。最後30分を岩田さんのパートにする構成も、『カメラを止めるな』的なカタルシスを期待したのかもしれないけど、「結婚式」という本作のテーマからすると逆効果だったような。やっぱり式が終わってよかったねー、お疲れー、幸せにねーという流れが途切れてしまったのが残念。しかも、その30分も基本は下ネタだし、これもカキの伏線がわかりやすすぎて・・・。このあたりのさじ加減は難しい。
[インターネット(邦画)] 5点(2024-03-02 08:59:48)
102.  東京2020オリンピック SIDE:A 《ネタバレ》 
自分はもともと東京でのオリンピックの開催には反対だったし、それでもいくつかの競技をみて、それなりに楽しんだり感動したりして、そして開催後は(感動した選手の名前でさえも)きれいさっぱり忘れてしまった、たぶん「一般的な」視聴者の一人だったろう。そんな自分にとっては、「公式記録映画」が何を残そうとしているのか気になって本作を観たのだけれど、観たところで何かに納得できるわけでもなく、なんとも評価に困る一作となった。ナレーションなし、音楽も最小限で、アンチクライマックスな演出。登場する選手たちはオリンピックが何らかの人生の転機と重なっているものの、全体で見えてくるのはそれぞれの人生がオリンピックの後も続いていくということ。選手としては男性も女性も登場するが、印象的なのはやはり女性の選手、とくに子どもを持つ「母親」でもある選手たちだ。赤ちゃんへの授乳を求めるカナダ代表バスケ選手、子どものために人種差別に抗議する米国代表選手、子連れで日本に来たのに子どもと離ればなれの生活を余儀なくされる米国マラソン選手、そして、出産後のオリンピック延期で引退した元日本バスケ代表など。「公式記録」として後世に残したいと思ったのは、女性スポーツ選手が育児と競技とどう向かい合っているかというテーマだったのではないかとさえ思える。この関心には共感するけれど、正直劇中での描き方、とくに元バスケ日本代表の大崎佑圭選手が赤ちゃん連れで競技を続けるカナダの選手と対面する場面はなかなか残酷で、少しイヤな気持ちになった。映画全体としては、河瀬監督は、オリンピックを心から楽しんだ人もやっぱりやるべきじゃなかったと思ってる人も、誰もかれも突き放したところにボールを投げてきた。この映画を「公式記録映画」として出してきた河瀬監督の胆力には感心するけど、これが「公式記録映画」でよかったのだろうかという疑問はますます大きくなっている。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-01-03 16:36:47)
103.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 
岩井俊二は妄想系雰囲気映像を楽しむべし、という過去作の教えは十分に活かされました。ストーリー自体はなかなか酷い内容ですが、一つ一つの場面の美しさや即興的な楽しさはピカイチ。ただ、ちょっと趣味押し出し過ぎではないか、という場面もちらほら。(物語上は綾野剛さんに操られる)黒木華さんがなんというか、映画全体を通して監督の道具にされているようで、正直なところあまりいい気がしなかった。序盤の残念な黒木華、スーツケース2つで突然世の中に放り出される黒木華、メイド服でCoccoと絡む黒木華、そしてウェディング・ドレス姿、ラストの溌剌とした表情まで。さすがに3時間詰め込まれると、なんだかおかしな趣味に付き合わされているような気分になる。また、Coccoも彼女のパブリックイメージに頼りすぎじゃねーかというキャラ設定。もちろん、のびのびやることは大切ですが、そこにいるのは「真白」ではなく「Cocco」にしか見えない。とくに、歌声聞きたくなるのは当然だけど、やっぱり歌わせるべきじゃなかったように思う。綾野剛さんはうまいよね。いつもの綾野剛でした。というわけで、物語上の人物や心情よりも、黒木華とCoccoと綾野剛を見た、という3時間でした。ただ、その甘ったるいアンサンブルに肉弾で飛び込んできたりりイさんはすごかった。あの笑っていいのか泣いていいのかわからない酒宴のシーンは、本作の白眉でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-09-16 13:28:13)
104.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
ウルトラマンって怖いよね。っていうか、あらゆるヒーローは「異形の存在」であり、その不気味さを見事に映像化した序盤、とくに最初のウルトラマン登場シーンは秀逸でした。さっと延ばされた左腕・・・のへんな姿勢からのスペシウム光線の恐ろしさ。もうこれ見ただけで満足。ただ、そこからは徐々に失速。ザラブやメフィラスとの頭脳戦は面白いが、やっぱりラスト、ウルトラマンがなぜそこまでして地球を守ろうと思ったのか、何を何から「学んだのか」がまったくわからないので、カタルシスもない。美女を巨人化してる暇があったら、そっちをちゃんと描けよって、制作陣もわかっているとは思うし野暮だとも思うが、やっぱり思ってしまう。自分も幼少期に夢中になった1人なので「わかる」ことも多かったけれど、結局のところ、制作陣の「思い入れ」を観客がある意味読み取りながら見なきゃいけないのって、なんだかんだいって苦痛なんですよね。「さすが○○、わかってるー」っていうのにあふれてる現在、そろそろそういうの抜きで楽しめるカイジュー映画も見てみたいかなあ。
[映画館(邦画)] 5点(2022-09-08 14:42:32)(良:4票)
105.  あの頃。 《ネタバレ》 
これは難しい題材だなあ。個人的に期待していたのは、ハロプロオタクたちの常識を突き抜けた「向こう側の世界」から浮かび上がる青春の普遍性、みたいなものだったのだけれど、結果的には「あの頃俺たちバカやってたよね」っていう比較的普通の青春映画におさまってしまった。登場人物たちのあまり褒められたことのない言動だったり、ちょっと理解に苦しむ友情のあり方、みたいなのはあったように思うのだけれど、突き抜け不足というか、いまひとつ「ハロプロでなければいけないもの」が見えなかったか。とくに、主人公たちが一時期の「祭り」状態から醒めていく過程にこそ、この物語の軸はあったように思うのだけれど(少しタイプは違うけど『花束みたいな恋をした』はそこをきちんと描いていたからこそエモーションにぐっと来たと思うのだ)、そこを主人公のナレーションでさらっと流してしまった時点で、「あ、これは自分が期待してたやつとは違ったらしい」と思ってしまい、一気に冷めてしまった。とはいえ、主人公を取り巻くオタク仲間たちのキャラはみんなすばらしい。実質的な主役の仲野大賀さんの芸達者ぶりはもちろん、ロビさんとナカウチさんの外見も含めた存在感とか、美青年なのにぜんぜんイケてない若葉竜也さんなど、みんな説得力があった。松坂桃李さんも「主演俳優」ながら見事な「受け」の演技で、「恋愛研究会。」のアンサンブルはとても楽しく、たしかにいつまでもこの人たちのやりとりを見ていたくなりました。そうだっただけに、もう少しオタク部分の「沼」をがっつり描き、その「祭りのあと」感を丁寧に描くことができれば、終盤の展開はもっともっと切なくなったのに・・・というのが残念でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-23 16:30:54)(良:1票)
106.  ヤクザと家族 The Family 《ネタバレ》 
バイオレンスと人情のヤクザ映画な前半と、没落稼業の悲哀を描いた後半で2本の作品を見たような、ちょっとお得な感じ。綾野剛、市原隼人、磯村勇人のそれぞれのハマりっぷりもよい。とくに前半と後半で別人のような市原隼人の演技の巧さに久々に唸った。開始20数分後に登場するタイトルもワクワクした。ただ難点は、藤井道人監督の前作『新聞記者』と同様に、暴対法以降のヤクザというテーマ的な新しさの反面、人間関係の描き方、とくに男女関係の描写の妙な古くささ。『新聞記者』の松阪桃李夫妻の描き方もそうだったが、本作の綾野剛と尾野真千子のロマンスは最初から最後まで「いつの時代の話だ?」というクエスチョンマークが続く。ヤクザ映画の男女関係なんてそんなもん、なのかもしれないが、新しいヤクザ映画を模索した本作だったからこそ、尾野真千子のキャラは重要だったはずなのに、なぜか「純朴」で「努力家」で「待つ女」という、いつもの「ヤクザの脇で悲劇に耐える女」でしかなかった。肝心の親分との絆も、実はそこまできちんと描かれているわけではなく、そこは古今のヤクザ映画を思い浮かべて観衆の想像で補うしかない。ラストの娘と翼が会うシーンは「いい場面」風なのだが、本編を見た身としては「おいおい、また同じ間違いを繰り返すのか、この人たちは・・」という危惧のほうが先に立ってしまう。狙いは面白く、新しいアプローチを評価したいのだが、肝心の映画として台詞や演出の古くささが目立って微妙な印象というあたりも、『新聞記者』と同じだった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-09 09:10:43)(良:1票)
107.  来る 《ネタバレ》 
序盤〜中盤の不穏な「家族もの」の展開はベタながら、妻夫木君、黒木さんのハマりっぷりも見事で楽しく見た。とくに、子どもが生まれてからの展開は、「異物」としての子どもが持つ不気味さを見事に体現していたようにも思える。ただ、中島監督が「家族こそが最も不気味なもの」みたいな、ありがちなオチに満足するわけでもなく、最後はなぜかオカルト大戦争。これはこれで面白かったし、岡田准一君の貫禄とか、小松菜奈さんの成長とか、松たか子さんの格好良さとか、それぞれの魅力も十分に引き出してる。でも、全体にチグハグな印象が拭えないことと、物語全体をつなぐ怨霊が思ったより迫力不足だった。とくに、個人的に一番気になったのは、怨霊が何に「憑いている」のか不明な点。少年時代から今までの妻夫木君に憑いているように見えたけど、妻夫木君自身は中盤に退場しちゃうし、その後は「家族」なのか、それともあのマンションの「部屋」という場所に憑いてるのか、よくわからない。こうゆうハチャメチャな作品は、相手側の論理の一貫性があってこそ、面白さが増すと思うのだけれど、この作品は、主役が途中交代する三幕構成、怨霊側の攻撃方法、撃退する側の論理なども行き当たりばったりな上、もっとも大事な怨霊がなぜ怨霊として存在するかの論理もさっぱり。これでは残念ながら楽しめない。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-08-27 08:46:16)(良:1票)
108.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
旧三部作から順番に見直して、番外編の『レガシー』はダメだったけど「本編」のこっちは大丈夫だろうと思ったけど、こっちもダメだった。監督もポール・グリーングラスに戻り、『レガシー』ほどは酷くはなかったものの、どこか見所を見誤った感じが続く。まず、父親をめぐる過去に関するミステリーだけれど、この手の謎はどうでもよかった・・というのが正直なところ。実はこれは旧三部作からそうで、『アイデンティティ』以外はこの手の過去話は物語を動かすための装置ではあっても、ここに物語的なオチやカタルシスは感じなかった。あとは作戦室のCIA対現場のエージェント対決という、このシリーズ定番の場面が続くけれど、ギリシャやラスベガスの仕掛けが豪華になっただけで、この点でのアップデート感は弱い。ボーンが見せるプロらしい機転や「え、そっちにいたの?」という観客の目も欺く仕掛けのアイデアこそが本シリーズの魅力だったのだと思うのに、その不足を物量と力業で補っているように見えたのも残念。とくに一番の目玉と思われるラスベガスの無茶なカーチェイスは、ワイスピやM:Iシリーズのようなバカっぽさもあり、スパイのプロフェッショナリズム路線だったはずの本作のアイデンティティ危機みたいなものを感じさせました。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-06-01 08:30:38)(良:2票)
109.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 
原作未読。自分は地方出身で東京在住経験もあるので、橋本愛や村上淳あたりの立ち位置は妙によくわかる。なので、車中のサツキと「私」のやりとりは、いつ2人が正面衝突するのかとヒヤヒヤする緊張感があった。時間軸をいじり、登場人物も多いので、オムニバス的にそれぞれの「田舎と都会」や「人気者とフォロワー」の関係性が見えてきて、飽きさせない工夫もあった。そして、登場する若手俳優たちがいちいち上手い。いつもながらの変幻自在門脇麦、ノリの良さゆえに(皆に)軽んじられる柳ゆり菜、田舎社会の「元スター」成田稜のビフォア/アフター、そして実質的な主役といっていい渡辺大知あたりの演技に支えられている。とくにラスト近くの柳ゆり菜のアップのシーンにはこんな顔もできるのかと新鮮な驚きがありました。あえて言えば一番合ってなかったのは橋本愛だったかも。彼女もうまいのだが「東京からの出戻り感」がもう少し欲しかった。一方の演出面では不満もたくさん。中途半端に挿入されるモノローグ。アップの多用し過ぎ。終盤は、演者への嫌がらせかと思うくらい、間の長いアップが多い。俳優の技量でそれぞれちゃんと見られるシーンになっていたけど、全体の配分が考えられておらず、アップの大安売りの感は否めない。あと、音楽の使い方。とくに、自転車でゲーセンへ行く田舎道のシーンの恥ずかしい感じは何だろう。そして、ラストの歌をつなぐシーン。オムニバス的なシーンを一つに結びつけるポール・トーマス・アンダーソン監督『マグノリア』の「wise up」をやりたかったんだと思うけど、この映画では明らかに逆効果。その前の成田稜の「名前なんだっけ?」でそれぞれの物語がやっぱりバラバラだったことが見えた後に、歌のリレーで「妙に気持ちがつながった感」を演出してどうしたいのか、さっぱりわからなくなった。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-04-02 08:24:32)(良:1票)
110.  ゼロの焦点(2009)
全体として台詞回しも音楽も演出も大仰で過剰。中谷美紀さんはもともと表情も演技もオーバーアクト気味なのに、序盤の登場シーンから最後まで「熱演」にアクセルをかけてしまい、コメディかコントのようだった。逆に受けの立場の広末涼子さんは、終始引き過ぎで芯の強さを伝えきれない。得意な役回りだった木村多江さんはいつもの木村多江さん。3人の女性の設定にせよ、その後のサスペンスドラマの定番となった「崖シーン」にせよ、いまや多くの映画やドラマの基本枠組を作ってしまった作品であるがゆえ、その基本枠組を21世紀にどのように表現するのかが問われた作品であろうけれど、そうしたメタな視線をできるだけ排除して、昭和的な「正統派」路線でいったのが正解だったのかどうか。もう一歩踏み込んだ再解釈が必要だったのでは。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-07-19 07:05:19)(良:1票)
111.  アズミ・ハルコは行方不明 《ネタバレ》 
やりたいことは、なんとなくわかる。「ダメ女」女優として名人の域に達してきた蒼井優の姿を眺めているだけでも楽しい。地方都市の閉塞感、そこにどっぷりと浸かって腐っている男たち、そこで女として生きることの苦痛、そこからの解放・・・なのかな。ただ、映画としての技法が追いついていない。ぶれすぎるカメラも切り刻んだ時間軸も「アート映画風」なだけで、ぜんぜん効果的ではない。主題として描かれる男性世界としての地方都市のイメージも、なんか一面的で深みがまるでない。気持ち悪い社長みたいな人は実在するんだろうけど、その戯画化がベタすぎてつまらない。その世界に一矢報いているのが、女子高生ギャング・・・だなんて、その発想はまるで90年代に一世を風靡したブルセラ社会学者(死語)のようだ。行方不明の真相もベタ過ぎる。そう考えると、作法も内容も全体がひたすら痛い。この痛さは、まるで、いっときバンクシー風の「アーティスト」気取りで盛り上がってしまった登場人物たちのようだ。その点が面白く、なんだか嫌いになれない。この映画の監督が、この映画自体をそういうメタなセルフパロディとして作っていたのなら、それは凄いことだけれど、たぶん違うんだと思う。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-07-09 09:00:49)
112.  あゝ、荒野 前篇
主人公の信次と健二の二人とそれを取り巻く人たちの人間ドラマとしてはかなりいい。それぞれの「家庭の事情」はステレオタイプだけれど、二人がボクシングにのめり込んでいく背景としてはそれなりに説得力がある。菅田将暉はもっとも多忙だった時期だと思うけど、それでもチンピラ上がりのボクサーをしっかり作り込んでいるし、ヤン・イクチュンの抑えた鬱屈の感じもいい。また、主人公二人のまわりを固めるベテラン陣もみんないい。ただ、原作未読なのでどこまで原作の内容を反映しているのかはわからないのだけれど、現代版にアレンジした背景の数々がうまくテーマに絡んでこない。何かの反対デモやら、自殺防止サークルやらのあたりの描き方は主人公たちの描き込みに対して、リーダーから参加者まで、妙な安っぽさがあり、あの自殺防止イベントの顛末をなぜここまで時間をかけて描く必要があるのかよくわからないし、主人公たちのドラマやテーマにもうまく共鳴しているように見えない。あと、わかってたけど、長い・・・。中途半端な群像劇になってるあたり、映画というよりもドラマのミニシリーズと言ったほうが近いような(実際、U-NEXTでドラマシリーズ版も公開されたらしい)。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-04-13 08:28:54)
113.  羊の木 《ネタバレ》 
リアリティ・ラインが微妙でどういう映画か理解するまで時間がかかった。たぶん、テーマ的には、受刑者の更生という「社会派」というよりも、「元殺人者」が自分の生活のなかに深く関わってきたとき、それを人はどうやって受け止めるのか、信じることができるのかというヒューマニズムを描いた寓話として見た方がいいのだろう。公務員役の錦戸君はそのへんの戸惑いを上手に表現していたと思うけれど、終盤の「友達だから」という言葉にはもう少し説得力が欲しかったかも。また、6人という数はちょっと多かったように思う。それぞれいろんな「反社会」のバリエーションがあったとはいえ、二時間でそれぞれの人生に落とし前を付けるにはやや性急な話し運びになってしまった(とくに酒乱の人、市川実日子、優香の顛末はもうちょっとちゃんと見たかった)。展開的には、ラストに6人が一同に会して物語をまとめきってしまうような力業を期待したのだけれど、中盤の「のろろ祭」がその「現場」となったものの、ラストはけっきょく松田龍平との対決になってしまった。ほかの5人(あの時点では4人か)の物語が置き去りになってしまったのは残念。6人という人数とそれぞれの人生を考えれば、Netflixあたりでの連続ドラマ向けの題材だったのかもしれない。吉田大八監督らしい乾いた演出は冴えていたと思うけれど、ヒューマンな題材、後半のホラー展開、そして「のろろ様」のあたりの伝奇モノっぽい雰囲気もちょっと噛み合わせが悪く、全体として薄味なミックス感でまとまってしまったのも惜しいと思う。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-03-29 10:51:31)
114.  新聞記者 《ネタバレ》 
志は買う。国内大手メディアの萎縮が指摘されるなかで、現実世界の政治問題に果敢に突っ込む思い切りの良さは、映画というメディアの可能性をあらためて見せてくれたと思う。ただ、そうだったとしても同時に感じてしまうのは、その映画としての手法や脚本の残念さだ。使い古された手持ちカメラ風映像、現実に起きた事件をなぞりすぎていてヒネりがない脚本、松坂桃李夫婦の描き方に見えるあまりに古くさい男女像、陰謀論スレスレの内調の描写など、たとえば日刊ゲン○イやネットニュースのリ○ラあたりに感じる「リベラル親父」感そのままの描写は、ちょっと痛い。そのくせ「真相」部分では突然「政府が生物兵器開発のために大学を新設」という荒唐無稽な陰謀論が姿を現し、それまでの(オヤジメディアが生きる)リアリティ路線の壁を突然ぶちやぶってしまう。あの事件は(最近の桜の件同様)、あまりにもセコい動機のために(公文書の扱いなど)国家制度のしくみ自体を腐らせたことが問題だと思うのだけれど、この映画では必要以上の「巨悪」に仕立て上げてしまう。この「真相」をリアリティの延長線におけると制作側が考えていたとしたらそれも痛いし、そうではないのであればなぜ最後だけファンタジーにして物語のバランスを自ら崩してしまったのか、よくわからない(そして、この点は原案となっている記者さんにとっても大きなマイナスのような・・・)。結局見終わった後に感じたのは、「リベラル親父メディア」をもとにした(出来がよくないタイプの)池井戸潤ドラマ、という残念な感覚だった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2020-03-11 06:56:19)
115.  アルキメデスの大戦 《ネタバレ》 
機内上映で鑑賞。映画館とはほど遠い環境ながら冒頭の映像には素直に感心。米軍との「兵士の扱い方」の対比も見事。ただ予備知識なしだったのですが、本編に入ったら、戦前の日本じゃなくて昭和か平成のサラリーマンドラマ(指摘してる人が多いけど、本当に池井戸作品っぽい)みたいになっていっていく。菅田くんが演じる主人公も数学論理バカと思わせて、いきなり米留学を「感情」で取りやめてしまって拍子抜け。鶴瓶さん演じる社長の協力を得るための作戦も「ひたすら待つ」なんて本当にサラリーマンドラマ。結局はお嬢さんの登場で形勢逆転なんてのもサラリーマンドラマの典型ではないか。ほぼその調子で最後の数式がどのように導き出されたのかの論理も曖昧なままの最終会議へ・・・。天才によるロジカルな対決よりも根性と熱意で押し切るおなじみのドラマとして楽しんだほうが正解なんだろう。あと、ある種の合理性よりも戦艦の「美しさ」に惹かれてしまう部分というのは、ファシズムの論理にも重なる部分があってへえとは思った。ただ、ああいう滅びの美学みたいなもの(=戦争は避けられない、ならば・・・)が、冒頭で描かれた「命を粗末にする日本」と重なると最悪の結果になるよというメッセージへつながるのであれば評価できるのだけれども、結局はおなじみのテレビドラマだけど最後はちょっとダークでビターな感じにしてみました風で流してしまっているのも気になる。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-11-28 15:24:30)
116.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
長時間フライトで眠れなくなったときに、機内映画でよく東野圭吾作品をチョイスするのですが、今回もそういう事情で鑑賞。橋の名前が鍵になる序盤は引き込まれた。字幕での経過説明はうざかったけど、主人公の家族も絡む複雑な話をテンポよく見せるのに成功していた。ただ、開始1時間くらいで、もう松嶋菜々子が怪しいというか、ほぼ犯人確定していくので、残り時間どうするんだろうと思ったら、そこから延々と逃避行ドラマでした。この部分、小日向さんと若手の女優さんがすばらしい演技で盛り上げるのですが、音楽がうるさすぎるのと、話の中身自体は東野作品によくある「身代わりもの」の話だったので新鮮味も少なく、ちょっと残念。東野さんって、文章だとベタな人情話を乾いたタッチで描くところがうまいと思うのだけれど、映画はいつもその逆を行ってしまう・・・。もうちょっと違う演出家で見てみたいなあと思ってしましました。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 05:46:00)(良:1票)
117.  トリガール! 《ネタバレ》 
これは、土屋太鳳を見る映画だし、そうゆうふうに作られているのだから、土屋太鳳を見たい人が、彼女を見るという目的で見る以外の評価はあまり意味がないだろう。『鈴木先生』では見られなかった、吹っ切れたコメディエンヌ演技、体育会的な身体のキレ、全身で感情を表現する彼女のキャラは現実的ではないけれど、映画を引っ張るに十分な魅力でした。ただ、そういう「アイドル映画」としての部分以外は、手抜きばかりが目につく。登場人物たちの「空を飛ぶ」動機はよくわからない。メカニック班の扱い(矢本悠馬の無駄遣い・・・)が酷いのでチーム感がゼロ。コンテストで坂場が墜落せずに「飛ぶ」ことができたのかがなぜか、ロジックがわからない(努力の賜物?)。落下からの「浮上」の画の平凡さ。もっと鳥肌モノのやつが作れるし、そのワンシーンのためにこの映画を見ていたようなものなのに、妙にあっさり。そして、セオリーであれば若手中心の俳優陣のなかで実力派が配されるはずの「先輩」枠に演技素人の芸人を持ってくる愚策・・・。これはナダルが悪いというよりはキャスティング担当者が悪い。物語の骨格を語り要所を締めるはずのシーンで、いちいち滑舌が悪く、何を言っているか聞き取れない。実は私、途中から日本語字幕付きで見たので、少しストレス和らいだけど、映画館だったら最悪だっただろう。というわけで、よく動き、よく笑い、よくしゃべる土屋太鳳を見たいという目的を果たせたこと、飛行中の告白シーンの顛末には笑ったこと、『空を飛べるはず』、その3つは個人的には楽しめた。しかし、土屋太鳳に興味がない人にはぜったいにお薦めできない映画。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-02-14 23:37:44)
118.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
原作未読。連続ドラマもたまに見てた程度。東野作品は旧作はけっこう読んでいたのですが、たぶん原作に忠実なんだろうなあと思わせる、序盤のミスリードをさそう展開で、終盤まで「真犯人」は本当に誰かわからないまま、宙ぶらりん状態を楽しむことはできました。映画的なスケール感と対照的なテーマの地味さは、ある意味「東野印」の1つでもあるとは思うので、これはこれでよし。ただ、平板な演出と本作にあってるのかどうか微妙なBGMの出来もあってか、「映画」としては退屈で冗長でした。公開から6年たった今見れば、その後映画で主演を張る若手俳優が続々出てくる豪華さはちょっとわくわくするけど、今作ではそれぞれに見るべき所があるわけでもない(たとえば、物語を左右する重要人物の松坂君はもっと「できる」と思うけど、「この程度」でよしとしたのは演出側の責任だと思う)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-09-22 09:06:59)(良:1票)
119.  22年目の告白 -私が殺人犯です- 《ネタバレ》 
上映中はそれなりに面白く見た。とくに、1995年の映像を中心に時間の経過を伝える冒頭の流れは秀逸でした。その後の追跡劇のアクションのキレもよくて、期待感を高めるに十分。ただ、藤原竜也が出てくるあたりから、演出過多が気になり始め(とくに女編集者の演技は酷かった)、よく考えると突っ込みどころや台詞の軽さが目につくようになって、真犯人のあたりのオチで、やり過ぎたなあ、という感じで終わってしまった。重厚な作風にもできたとは思うけど(原作はどうか知らないけど韓国映画はこのあたりのバランスが絶妙)、もともと演技が大ぶりな藤原竜也を起用した点で、その線ではなく、深堀りしないことで得られるスピード感を重視したんだと思うし、その点では結構成功してると思う。最初の演出過多も、派手にやることで真犯人を刺激したかった、っていうことだっのか〜って一時は納得はしたんだけど、ラストの別荘のシーンの酷さで全部帳消し。元ネタの韓国映画があるから難しいけど、いっそのこと何らかの形で仙堂が真犯人だって知ってしまった被害者家族たちが、彼を「填める」コンゲーム的なところまで振り切ってたほうが、このテンポやスピード感が活きたようにも思います(でも時効の話がどっか行ってしまうか・・・)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-11-10 19:27:23)
120.  ワイルド・スピード/ICE BREAK 《ネタバレ》 
いつも不満に思いながらも、ついつい見てしまうシリーズ。少なくともドラマ部分や物語の辻褄に対する期待値は低く、スピード感抜群のカーチェイスと大がかりな「絵」が見られればそれでいいやというスタンスなのですが、まさにそのままの出来でした。冒頭のハバナでのチェイスは本シリーズの本領だったし、NY市内の車「ゾンビ」化(『ワールドウォーZ』のゾンビが車になったやつ)あたりは、大がかりすぎて笑うしかない。NYの絵がすごかった分、邦題になってるロシアでの氷上アクションはやや霞んでしまったけど、もうおなかいっぱい、ごちそう様という感じでした。ただ、エレナの扱い、デッカードのファミリーへの加入、そして何よりも物語上の位置づけが宙ぶらりんになってしまったブライアンとミアのことなど、やっぱり辻褄の無茶ぶりは目に余るし、そのあたりの矛盾をアクションで押し切ろうとしてるのも見え見えなので、どうも乗り切れない。加えて、ドミニクが「裏切る」ことの物語上の意味があんまりない。早い段階でドミニクが脅されてることはわかるし、仲間もみんな彼を信じちゃってるんで、サスペンス要素はほとんどない。なのに最後までその構図が続くので、なんかスッキリしたいのにできないモヤモヤもある。細かいことは忘れて乗っちゃえば楽しいよ、っていうのがお約束なシリーズなのはわかっているのだけれど、そのお約束に制作側もちょっと甘えてないか、というのがどうしても気になる8作目でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-08-23 18:11:00)(良:1票)
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