1. グラン・トリノ
《ネタバレ》 直球な差別用語の連発は語弊があるが分かり合えた仲間同士では粋であり、今まで演じてきた「頑固一徹・俺が正義なタフガイ」キャラは相変わらずで集大成と言える作品。でもそれでいて意固地に凝り固まっているわけでもなく、人種差別主義者で偏屈で頑固者だったはずが、ユーモア溢れる姉、軟弱な弟をはじめとしたモン族と打ち解けているあたり柔軟性もあった。モン族に古き良きアメリカというか、殺伐としている今の世の中が忘れた温もりを感じたのだろう。言葉は通じなくても心は通じるんだな。 星条旗を掲げてましたが、颯爽と力強く風になびく描写はなく、力なくただ垂れ下っていたのは今のアメリカを象徴しているようだった。それに対し昔の強いアメリカ時代の象徴のようなグラン・トリノ(希望)を託すのが、主人公に男を学んでいたあのモン族の少年。国を憂いむ老兵から新時代、新世代へのエールか。 これまでのイーストウッド作品を観てきた人には、【ケリのつけ方】が=イーストウッド(ヒーロー)の最後と見えてしまうだろう。自分の正義を貫いてきた男の最後が十字架を背負ったキリストのような散り方。お見事だった。 主人公とイーストウッドが歩んできた道が凄くマッチしていて、脚本家はイーストウッドに捧げたのだろうか?と思いましたね。ここ数年は人生を達観したかのように贖罪をテーマにした作品が多いが、自らがこのような役を演じたのは役者としてもケリをつけたのか?と思うと寂しい。 [映画館(字幕)] 10点(2009-04-27 21:16:53)(良:2票) |
2. クラッシュ(2004)
脚本絶品!出演者の演技も素晴らしかった。点と点の人間模様が線で結ばれていく様は「お見事!」以外言葉が出ない。人種差別はアメリカ社会に根強く残ってますが、一見無さそな日本は見た目で判断されちゃってるな。環境や状況で善にも悪にも転んでしまう人間って難しいねぇ。 [映画館(字幕)] 10点(2006-02-17 01:46:26) |
3. グリーンブック
《ネタバレ》 無教養で粗野だが口が達者で腕っ節が強く頼りになる白人と知的で裕福で高貴だが孤独な黒人天才ピアニストが人種差別が合法だった時代のアメリカ南部を旅する物語。 南部の有色人種への差別っぷりはいろいろと知ってましたが黒人用旅行ガイド『グリーンブック』というモノは知りませんでした。確かにアレだけの酷い差別を受けていたらトラブルを回避するためのガイドがあると助かりますね。コンサートに来ている演奏者の黒人なら多少は融通されていたのかと思いましたが、楽屋は物置小屋でトイレは庭にある掘っ立て小屋でレストランでは立ち入ることも出来ず普通の黒人変わらないぞんざいな扱い。そんな南部をわざわざ目指したシャーリーは気位が高く立派だった。そのシャリーを見て変わっていくトニーもまた男前。ナイトクラブで様々な人間を見てきたから変われる素養があったんだろうな。人種も育ちも全く違う二人が徐々に心を通わせていくさまは心地良かったですね。 人種の坩堝であるアメリカの歴史を知っているともっと深く映画を見ることが出来たんだろうな。むかし近鉄に入団したメジャーで本塁打王にもなった事もある黒人選手のオグリビーは、試合後に不調で落ち込んでいた自分と一緒にお風呂に入って励ましてくれた日本人選手たちに感激したらしいです。日本人には白人でも黒人でも外国人ってだけで同じですが、実績十分だったメジャーですら白人黒人と別にされてたらしいですからね(まあ日本人も外国人相手というと壁を作る傾向もありますが)。ほんの50~60年前までこんな差別が当たり前でいまだに根深く社会問題化しているのだから、いろいろと考えさせられました。それでいて笑えるシーンもあるし上質なロードムービーでしたね。 [映画館(字幕)] 8点(2019-03-03 00:34:28)(良:1票) |
4. クロニクル
《ネタバレ》 ドキュメンタリータッチで描かれた超能力を手に入れた少年たちの悲喜劇。内気な少年が撮っているカメラの視線からなるPOV方式(主観撮影)の作品。そのカメラからの視点は力を得た少年の手を離れ、空を飛ぶ自分たちを映したり、他の人のカメラ映像、防犯カメラ映像、TVカメラ映像など常にカメラ映像で誰かの視点という手法なのはよく練っており、編集の上手さもあってお見事としかいえませんね。その視点が離れれば離れるほど状況も悪化していくし演出も非常に上手かった。 最初はチープな力も訓練を繰り返すコトにより超絶パワーを得る。心の闇に堕ち頂点捕食者になろうとした内気で気弱な普通の少年の境遇は分からないでもなかったが、他にいくらでも方法があるけどね。まぁ勢いであーなっちゃったんだろうな。共感できる方も多くいるんではないでしょうか。満足な人生をおくっている人は面白い力を得た程度、鬱積した人生の人は正義に目覚めるか悪に堕ちるか。どう転ぶかは強大な力を得た人の境遇でどうにでもなりますね。 しかしまぁお金はかけなくてもセンスと発想力で良い映画が撮れるというお手本のような作品ですね。 大手配給会社の作品でこの出来の良さなのにアメリカ公開から1年半以上も寝かされた上に2週間限定公開ってのは解せませんね。キャンペーンで1,000円均一ってのはお財布に優しかったですけども。 [映画館(字幕)] 8点(2013-09-28 21:22:27)(良:1票) |
5. クロッシング(2009)
《ネタバレ》 波風を立てず無難に生きてきた定年間近のベテラン警官、家族のため大金を必要としている生活苦の麻薬捜査官、友情と昇進で揺れる捜査官の重圧に疲れている潜入捜査官。善でも簡単に悪に染まってしまう環境に生きる男たちの物語は緊張感があり見応えがあった。虚無の毎日を送っている自分自身のため、愛する家族のため、友情のため、それぞれが行動を起こすが感情移入出来るものだったな。まぁ全てが同じ地区ってのはどうかと思ったけど、どれもが虚しい結果に終わったのも厳しさを感じた。最後、少女を救い英雄になったはずであるギアの、事件前と何も変わっていない冷めた表情が印象的だったな。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-20 22:40:08) |
6. クローズZERO
オリジナルのキャラクター達は主役を始め脇まで、よくここまでクローズの世界観を壊さずに出来たな、と思わせるほどよく練って出来ている。年代によるんだろうけどヤクザの下っ端の拳に共感、感情移入した人は多いんじゃないですかね?原作を映画化せず、オリジナルで勝負したのは結果的に大正解。原作キャラも多数出てきますが、性格や扱い方をよく理解しているので原作ファンとしても満足です。特に孤高の男リンダマンにはシビレましたよ。映画「デビルマン」の主役コンビが出てますが、良い感じにグレちゃってるのには笑った。こっちの方が似合ってるなぁ。 [映画館(邦画)] 8点(2007-11-14 20:06:45) |
7. クレージーモンキー/笑拳
○○拳シリーズでは酔拳と双璧で傑作。喜怒哀楽を表現する独自の拳法として、ジャッキーらしさ全開といった感じ。日本版のDVDは買ってはいけません。 8点(2004-01-22 23:46:47) |
8. クラッシャージョウ
安彦良和は画が上手すぎる。クラッシャーの面々はみんな魅力的に描かれていた。シリーズ化するかと思ってたら、だいぶ経った後、OVAでシリーズ出てた。尻切れだったけど。 8点(2003-10-19 14:33:19) |
9. グッドフェローズ
親友、良い仲間って大事だよなぁ。 8点(2003-10-18 17:38:18) |
10. 紅の豚
思いっきり監督の趣味の映画ですが、豚カッケー!各キャラの関係、心情もよく描かれていてる。大人な映画。 8点(2003-09-12 19:38:41) |
11. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 予告編であった自由の女神の首が吹っ飛んでくるトコを見て期待してました。 手持ちカメラで撮影されたドキュメンタリー風の作品というとアイデアの勝利だった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が思い出されますが、この作品はその手法を使った怪獣映画。ブレアに比べたらお金もかけたようですが、他のハリウッド大作に比べたらだいぶ安価にあげたようですね。ハンディによる撮影はアングルが固定されず、手振れもあるおかげでリアリティに溢れ臨場感抜群でした。断片的に気になるモノが映し出され興味を引きますが、ネタ振りしといて回収せずに放置して終了ってのは正解。下手に結末を描かない方が妄想が広がりますからね。 ブレアは続編を作って失敗してますので、万が一作るなら手法を考えて欲しいです。ドキュメンタリー風ハリウッド版ゴジラって趣もあります。エンディングの曲は日本の怪獣映画のようで良かった。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-11 23:07:28) |
12. クリープショー2/怨霊
このシリーズ、もっと作ってもらいたかった。インディアン人形の話が個人的に一番。 7点(2004-01-09 01:27:41) |
13. グレムリン
「レンジでチン」。実際にシャンプーした猫を、レンジでチンしてしまう国なだけになんともいえませんね。 7点(2003-11-01 19:24:14) |
14. クリープショー
オムニバス形式の作品はたくさんありますが、上位に入ると思います。 7点(2003-10-19 15:06:52) |
15. 黒い家(1999)
かなりいいと思ったけど、あの予告編に流れる歌(スタッフロールに流れるヤツ)はかなり作品のイメージを壊していて損していると思う。 7点(2003-10-13 01:48:14) |
16. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
クレしん映画は出来がいいですが、子供たちには難解かと。劇場版は大人用? 7点(2003-10-12 22:45:29) |
17. グーニーズ
そういえば、2の話はどうなったんだろ?今出ているDVDにはキー君のインタビューなどが入ってるそうですね。少年たちの冒険、心躍る作品です。 7点(2003-09-19 00:52:25) |
18. クリフハンガー
《ネタバレ》 雪山でTシャツ一枚で、氷の張った湖の中などでありえないってくらいに無茶してますが、スタローンなんで許されるかな。オープニングからして掴みはオーケーでしたね。 7点(2003-09-13 02:47:56) |
19. グラディエーター
冒頭の戦闘が凄かった。ラッセル・クロウがカッコ良かったんですが、終盤がイマイチだった。娯楽作品っぽいのによくアカデミー賞取れたなぁ。 7点(2003-09-12 21:32:01) |
20. 蜘蛛の巣を払う女
《ネタバレ》 原作未読。ハリウッド版リメイク「ドラゴン・タトゥーの女」のフィンチャーが監督せず、主演を務めたダニエル・クレイグとルーニー・マーラが降板と知って落胆してましたが、小規模でひっそりと公開されたのはそのせいもあるんですかね。まあそのおかげで私なんかは公開日すら知らず予告すら見ずに本編を観たので予告で流してたOPの掴みも新鮮でしたけれども、宣伝もほとんど見ないしこのタイトルだと第二弾と気がつかない人も多いんじゃないかな。オリジナルの「ミレニアム」みたいにタイトルを統一し副題にした方が良かった気がしますね。「ドラゴン・タトゥーの女:蜘蛛の巣を払う女」だとクドいけど。 今回は急逝した原作者の後を継いだ人が書き下ろしたそうで、内容的にも前作とはだいぶ趣も変わっており、世界の核攻撃発射プログラムに関するネタと一気にグローバル化。それに伴いリスベットの手口ももはや「007か?ボーンか?MIか?」というレベルになってしまい、北欧資産家一族のミステリーだった前作とは別ジャンルに行ったなという感じ。魅力的だったルーニー・マーラの尖っているが儚げなリスベットとは見た目もかなり違う人になったのでリブートなんだろうか?と思いましたね。でも、リスベットにとって重要な2、3作を飛ばしてまで作ったにもかかわらず、アメリカでも低評価で大コケしたようなので今後どうなるんだろうなあ。 あと、今回監督と脚本を担当したフェデ・アルバレス。リメイク「死霊のはらわた」「ドント・ブリーズ」と来て今回(は原作あり)ですが、いずれも兄妹や姉妹ネタが入ってるのはなにかコンプレックスでもあるんですかね。原作の2、3作目には興味がなかったと語ってますが血族ネタは膨らましやすいと思っているのかな。 [映画館(字幕)] 6点(2019-01-12 22:54:21)(良:1票) |