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パブロン中毒さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 914
性別 女性
ホームページ http://ameblo.jp/cluttered-talk/
自己紹介 After shutting down my former blog, I'm writing some boring stories at new site. Anyone who's interested in, come along if you'd like to.

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1.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
フリードキン版は先に見ていたし、個人的に白黒が苦手なので敬遠していたが、やはり見て正解だった。「白黒だよなあ…白黒だよなあ…」というボヤキが、いつのまにかなくなってエンディングをむかえてしまった。 脚本と演出の隙の無さに、各演者の名演で質の高い作品となっている。 今となっては、証拠の検証方法がこんないいかげんでいいのかという時代の違いは否めないので、犯罪ものや法廷ものとして見るのではなく「かの国はことほどさように言葉を重要視する文化なのであるなあ」という異文化発見ものとして見るのがいいかと。 英語で「約束するよ」「必ずするよ」という場合によくアイギブユーマイワードとかユハブマイワードとか言いますが、言葉を与えられたお前は約束のものを必ず受け取れる、と。言葉なのだ。とにかく言葉。 ところが、こういうものはアジアの文化特に日本にはもともとなかったです。今も、欧米並みにあるとはとても言えないでしょう。そして、このへんの誤解があるために外交がなかなかうまくいかないことになる。 彼らはなぜ、そんなに「言葉」を重視するのか。そのヒントがこの映画にある、と私は思う。 12人の怒れる男はそれぞれの理由で「怒って」いて、そのため「偏見のないジャッジが難しい」ということが如実に示されます。誰が、何に対して怒っているのかを一人一人見極めていくのもこの作品の楽しみといえるでしょう。少数意見を無視しないとか異なる意見の人物でも尊重するとかいういささか美化された民主主義の手順が描かれています。 ひとつ日本人が気に留めなければならないのは、カンカン帽の野球に行きたい男です。 彼の「怒り」は「充分な教育を受けられなかったために、学歴や教養が無いことで他人に軽視されがちである」ことで、本人も教養が無いことを心中で恥じています。 そういう彼が評決に当たってどういう行動に出るかというと、「右に倣え」です。根拠を述べるように求められても自分の意見を言うことができない。 実はこの態度は、原因は違っても「世間」や「不文律」や「みんなの満足」を行動の根拠にしてきた日本人と結果的に同じなのである。我々はこの男にならないように常に心がける必要があります。 個人的には、この時代にしかも白黒なのにここまでできるという点で、リメイク版よりこちらに軍配を挙げたい。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2008-07-30 16:35:53)
2.  幸せになる彼氏の選び方 ~負け犬な私の恋愛日記~ 《ネタバレ》 
やっとこれが書けてうれしいです。これを申し込むために、DVDまで購入した甲斐があった。「ブリジョン」に続く負け犬系ムービーです。いやこれ、すごいんだ。ほんとに。最初見たときあまりの斬新さにぶったまげ。30歳以上の女性の皆さんは、誰しも「うんうん」と頷くことでしょう。「いったい誰と結婚することになったワケ」と途中で期待を持たせて引っ張ること引っ張ること。この手法、参りました。何年に一度の「大当たり」ムービーでした。皆さんの予想は当たりましたか?それでさ、「やっぱり親の受けが良い人にしようよ」って納得しましたか。(ちなみに私は親の反対を押しきろうと思っていたのにあっさり相手に振られた過去あり)親が賛成してくれる男にはそれなりの価値と理由があるのさ。ね。「僕の両親も全く同じだから」ってとこで、もう「決まり」だったよね。こういうこと言う男、大したもんだよ。好きだ。出会いが最悪だったのもパンチが効いてていいね。男子の皆さんは、これを見てよく勉強し、相手の親に気に入られるようにしましょう。女子の皆さんは、「親に反対された時」に、この映画を見て、反省して思いとどまりましょう。ああ、こんなパパいたらいいな、あの「ショートフィルム」最高に良かった。泣けた。(バリーのママ美人でやさしそうで良い)もう言うことなし、最高です。
[DVD(字幕)] 10点(2006-01-08 15:07:27)(良:1票)
3.  ジョン・カーペンターの要塞警察 《ネタバレ》 
リメイクのひどさにさんざ悪態をついたのち、ちゃんと全部見ました。 オモロイわ~。 「要塞警察」の正当なリメイクは「ゴースト・オブ・マーズ」だったというべきですね。 カーペンターは、「要塞警察」では逃がせなかったウィルソンを、アイス・Tを逃がすことで逃がしてやったということです。 低予算短期間でこんなオモロイものを作れるとは、今さらしつこいけどカーペンターはスゴい。 このカーペンター独特の音楽、ベンベベベベン、ベンベベベベン、ちゅうお約束のベースノートがイカしているぞ(なんとなく笑えるけど)!カレ独特の「間」もこの時から健在だ。いきなり子供は死なす、黒人警官が主人公、掟破りとはカレのことさっ。 カーペンターの「間」って、いったいなんなのかと考えるに、現実の出来事ではマヌケな間って必ずありますよね。フツーにドラマや映画を作るときには「間」を摘んでドラマティックにしますけど、そのほうが見やすいですけども、リアリティを損ねるには違いないです。「間」を摘むほど、「舞台」に近くなります。カレはドラマに照れているうえ、「舞台」も嫌いなんだと思う。なおかつこの「間」は笑いも狙っています。 さて、「要塞警察」鑑賞中、私はゲラゲラ笑いました。登場人物の全員がシリアスであるにもかかわらず、いや超シリアスであるほど笑いを誘うようにちゃんと設計されています。 たとえばウィルソンですけど、こんな状況でも女に色目を使いつづけるという、もう「救いようがないほどバカなアメリカ男の生きざま」とかね。まるでそれが「義務」であるかのように、女を口説き続ける姿は、笑えるしなんだか憎めなくなってくる。「この期にいたってまだ口説いてるよ」あ~あ。あと、この状況でいきなり「シリアスじゃんけん」とかね。ほかにも笑いどころ満載。 ゲラゲラ笑ってください。カーペンターもそうしてほしいと思ってます。きっと絶対。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-03-14 18:00:53)
4.  シリアナ 《ネタバレ》 
「トラフィック2」と言ってもいい構成。今後もこのスタイルで「3」なり「4」を続けて行くんだろうか。 とにかくこの映画の中では、黒人弁護士にしろ、CIAにしろ、クルーニーの諜報員バーンズにしろ、イラン自由化委員会にしろ、マットの経済コンサルタントにしろ、カザフの第一王子にしろ、特攻となったアラブの青年にしろ、「自分の正義」に向かってひたすら突き進んでいるのであーる。中には「不正こそが自分にとっての正義だ」みたいなことを言う奴すら出てくる。とにかく「正義」を描いた話なんだ。(How to be a ムジャヒディンの情景を説得力をもって描いた西側の映画としても評価できる。) そして「What is 正義?」と問い続ける。「人の数だけ正義(の種類)があったら、〝正義〟は無いのと同じ」っていう矛盾した世界のありようを見せつけるのである。 それと「中東」には「魔物」がいる。それにとりつかれた男達はなかなか帰ってこれない(らしい)。 バーンズがホワイティングとのサシの会見で「あんたも84年にベイルートに居たのか」って言いますね。 これ、私の耳には「あんたも〝あの〟女と寝たのか」と同じように聞こえたのだ。つまり、中東は、西側の男にとって「どうしても忘れられない性悪女」のようなものなんだろう。「あんたもあの女にイカれたわけかい。そりゃ、しょうがねえな。」と嫉妬まじりで同病相哀れむような口調になるわけよ。 デスクワークになってビル内に閉じ込められたバーンズの姿は、まるで陸に上がった魚のように哀れだ。「ここは俺の居場所じゃない。」って顔に書いてある。彼は「性悪女」にとりつかれて、元に戻れなくなってしまったのね。マットのブライアンですら純情な少年のように、急に瞳に星が入っちゃってさ、マジに第一王子に「夢」を見出してしまう。あれを「とりつかれた」と言わずして何という。 その中東の魅力がなんなのか、52度もある外気温なのか、迷信深い異形の人々なのか、「資源」なのか、貧困と猥雑なのか、たぶん全部なのだろうが。 それにしてもなぜか地球上で最も資源が集中しているという中東、「別れたいのに別れられない」「見下しているのに捨てられない」「忘れたいのに忘れられない」その姿は「憎みきれない性悪女」そのものだ。そしてこのタイトル、「SYRIANA」。  
[DVD(字幕)] 9点(2006-08-05 00:03:54)
5.  死霊のはらわた(1981)
無名の若い監督が大ヒットを飛ばしたと騒がれたサムライミの出世作であった。そう、無名だったのよ。ところがところが見始めたら釘付けよ。私は映画の最低条件はこの「釘付け」感と思っている。釘付けになれない作品はどんなに芸術的と言われても「駄」。この作品は「釘付け全開」。その理由は「ゾンビ」を出したことではなく、「シナリオ」「展開」「ドラマ性(必然性)」がしっかりと組まれていたためだ。「ゾンビを出」せばよいというものではなく、「どのように出すか」が考えられている。若いのに大したものだった。妙にアート感覚紛々の映画は個人的に好きじゃないので、誰とはいわないがこの作品のライミの爪の垢を煎じたらどうかと思っている(リ○チとか)。「退屈」と思っていても「芸術的」とか「本当は深い」とかいう評判が立つと、すかさず礼賛されがちな傾向を憂えている。釘付け映画№1.
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-05 13:36:57)
6.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 
ティムロビンスは好きじゃないが、この配役は当たりだったと思う。体も心もゆるんだ感じ。 初めて見た当時衝撃を受けてからすっかりエイドリアンラインのファンに。首ふりオバケの挿入が死ぬほどこわかった。死ぬ前にはいろんなことが走馬灯のように現れるというが、走馬灯どころかこのような込み入った夢を見ているなんて。幼児のころ交通事故で死にかけた自分自身も、今現在この「夢」の中にいるのかもしれんなあ、と考え出すと、まさに哲学の分野ですな。そんなこと考えついちゃったラインはやっぱりすごいな。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-23 16:29:01)
7.  シリアル・ママ 《ネタバレ》 
おもしろいです。スカっとします。こころなしか、脳内に快楽物質が出ている感じします。 つきぬけたナンセンスの美。「白い靴!」のところ、こころなしか、「キューティブロンド」のエル感あり。もちろんこちらが先。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-10 23:20:34)
8.  地獄の黙示録 特別完全版 《ネタバレ》 
いよいよトライ。なにしろ立花隆が本を書いたほどの作品である。 キルゴアとカーツが、対比して描かれる人物として、最も重要である。キルゴアを先に見せることで、コッポラは「なぜカーツは「キルゴア」にならなかったと思う?」と問うている。 「陽気」+「狂気」=キルゴアなら、「何」+「狂気」=カーツになるのか。私の答えは「まじめ」である。カーツの「まじめ」は妥協の無い「まじめ」である。普通の人は中庸であるのが常だから「ほどほどのまじめ」なんである。「ほどほどのまじめ」=「ほどほどの狂気」で済むんである。「まじめ」は美徳であるはずなのに、「+狂気」によって最悪の状態を呼んだのである。戦場におけるいろんな「狂気」を客観的に映し出すために、最後まで「正気」を保てるキャラが必要であった。ウィラードである。任務に疲れた彼が、ホテルで「プチ狂気」体験をすることが「ワクチン」となって、「正気」が担保されたのである。そして次から次へと正気を失いそうになる出来事が出現して旅は進んで行く。 立花は「王殺し」の物語を強調するが、「王殺し」とは、「権力を誇ったものが衰えたので殺され、新しく力強い王が誕生する」だから、この話には全然あてはまらない。「プチ王ごっこ」をやっているカーツごときは「王殺し」の「王」ではないし、だいいちウィラードは正気を保ったんだから新しい「王」になんかなる気がない。ウィラードにとっては「がんばって最後まで正気を保ったぞ」の物語であり、カーツとキルゴアにとっては「戦場の狂気」の注入によって、それぞれこんなんなっちゃった、のお話なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-09 23:13:30)
9.  シックス・センス 《ネタバレ》 
情報なしで見たので翻弄されることができてよかった。この点は「ビューティフルマインド」に同じ。仕掛けはあったが気がつかなかった。うまいなあ。シャマランはこのころまともだったな。自分がこういう状態になったらどうしよう、とビビりますよね。なんか、こうなりそうな気がしてしまうのがこわいですね。シャマランが正気に戻ってまたおもしろいやつをつくってくれるとよいな。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-08 23:13:26)
10.  シービスケット 《ネタバレ》 
映画を見るときに「感動」や「涙」は求めていませんが、中野翠のいうように「やられた」感のある作品です。うまい。要略すると「傷物でもよいのじゃ」と言いたいわけでしょうが、これを人間に表現させようとすると、わざとらしくなって難しいよね。そこを、「馬」は、わけもなく納得させてしまう。しかも、何頭かを使い分けて撮っているというのに。はっきりいって、トビーはこの作品においては、「居るだけ」。べつにどこが悪いわけではないけど、目立ったのは、初めてビスケットに会いに行って、「おまえなんかこわくないぞ」といっているところだけ。 いちばん印象に残っているのは、スミスが朝もやの中でビスケットを発見するところです。セリフもすっかり暗唱できます。ビスケットは、初対面のスミスに「何じろじろみてやがんだ。てめー、何様のつもりじゃ」(パブロン訳)と言って、メンチを切ったのでした(馬だけど)。ここが私のいちばんの泣きのポイントなんですけど。変ですか。クレジットの本物ジョニーの写真を穴のあくほど見てしまいました。トビーには悪いけど本物にはかなわない。ビスケットと本物ジョニーはグレイト。
[DVD(字幕)] 9点(2005-11-01 21:13:13)
11.  心臓を貫かれて<TVM> 《ネタバレ》 
この極度に病人顔の男優さんは、「ヘブン」でケイト・ブランシェットの相手役をつとめたあの人だったんですね~。 ここまでして目の下のクマを強調する必要があったのかという疑問が。そりゃ病人顔が似合っているけどもさあ。ちょっと疲れるんだよなあ。 とても不思議な作品で、たぶんアメリカ史という目線で見れば重要な作品であることはまちがいないと思います。インディアンの呪い、ユタ州、モルモン教、家庭内暴力、不倫、犯罪、メディアと金、死刑と、アメリカならではの問題がてんこ盛りに詰まっているのだ。 けれど、賢明なのはそれをみんなの問題にすりかえて「社会が悪い」という方向に持っていかなかったことで、それが作品の質の低下を防いだ。あくまで「ギルモア家の問題」として語っていながらそれでいて、どうしても「ザ・アメリカ」というふうにしか思えないところ、すごいかもしれません。 ここの家族はよく考えればすっごくヘンですよ。「家族だから犯罪者でも死んでほしくない」と泣きながら、誰一人嘆願書に署名しないうえ死刑に立会いもしない。ヘンでしょう。 結局「兄の意向を尊重する」という言い訳で済ますわけなんですが、ここらへんがきっと、「とてもアメリカ的」な部分であり日本人にはなかなか理解しにくいところで、しかも「アメリカの本質」をすごく突いていると私は思います。 「どんな形の自由でも侵害するのはよくない」というのが、アメリカにあって日本にない理念で、驚くことに宗教を超えたところにソレは位置するらしい。「武装する自由」はもちろんのこと「死刑になる自由」というものまで尊重してしまうところが、「とってもアメリカ」なのです。私が思うアメリカ人の「クソ真面目、バカな真面目」さです(でも特定の自由は平気で侵害するところが矛盾しているよね)。 結局ゲイリーは一家の不幸を1人で背負って墓の下に持っていったようなことですね。家族はそれを知りながら黙って見送っているというのが、ブキミであり怖いのです。 それにしてもベッシーは義理の息子(前妻の子)と避妊なしでセックスしてバレずに不倫の子を生んで夫の子だと言い張って平気で一緒に育ててすごい女性です。フランクシニアは「孫」を「子」として育てたことになるのですねえ。ゲイリーよりも母親のほうに興味があります。エイミー・マディガンとサム・シェパードの迫真のバトルシーンは一見の価値あり。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-12 19:07:21)
12.  実録ブルース・リー/ドラゴンと呼ばれた男 《ネタバレ》 
どうせブルース・リー礼賛の幇間映画であろうとタカをくくっていたが、そうでもなかった。 これは、ブルース・リーの「アメリカの友人」たちが、彼を偲んで作ったというところで、不名誉な事実でも排除しないというドキュメンタリー的視点が盛り込まれているのであろう。 というか、ブルース・リーはアメリカにしか友人は居なかったようだが。彼がいかにして「アメリカにしか友人が居ない」人生を歩むに至ったのかが、幼少期から丁寧に説明されていて、私にすら「人間ブルース・リー」の実像が見えてくる。 彼は、注意欠陥多動障害(ADHD)であったのだと、私は確信した。そのため、幼少期から問題が絶えず、ついには家名の恥になるからと10代後半でアメリカへ追い出されたのである。ADHDを持つ人は、打ち込むと尋常でない集中力を発揮するから、長じて芸術面で功績を残したり、俳優で成功することも多々あって、トム・クルーズもそうだ。トム・クルーズは識字障害まであった。 実家ではお坊ちゃん生活をしていたブルース・リーは、170センチしかなくて中国人であるためアメリカで散々つらい思いをする。比較的若いうちにアメリカの文化に取り込まれた彼は、「アメリカのタフガイ」を真似て生意気な態度・言動が身についてくる。これは死ぬまで変わらなかった。 もともとは自分の悪い素質が原因で故郷から拒絶されて出てきたわけだから、彼はアメリカで定着しようとカンフー教室を始めたりTVドラマに出たりする。 そして、自分の子供は少しでも「背が高くて彫りが深くて白人風」に生まれるように、「金髪碧眼」の白人女を嫁にする。 アメリカで役がつかない彼はコバーンの助言で香港に戻り、映画に出てスターになったあとは、トントン拍子の人生なのだが、ここで「すっかりアメリカ人になったかのようなブルース・リー」の負の面がはっきり出てくる。妻公認で別の女を作る。これは一夫多妻ということなので、所詮彼は東洋人であることを証明しているようなものだ。近親憎悪により中国人を軽蔑し、気に入らなければ脅す。 ブルース・リーは、若くしてアメリカへ放り出されたために、「アメリカ人(とくに白人)になりたかった中国人」として生き、死んでいったのだ。 運命は皮肉で、「白人風」に生まれた息子は28歳で事故で死に、「白人になりたい」という彼の夢は完全に消されたのだった(正確には娘はいるらしいが)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-12-05 11:07:59)
13.  真実の瞬間(1991) 《ネタバレ》 
メリルという架空の人物(たぶん)を通して、マッカーシズムが人権を無視して人々の幸福を侵害したという事実の再確認と記録を行うとともに、圧倒的な国家の暴力に対して個人がどのような姿勢で生きるべきかという普遍的な課題を二人の子持ち男性を対比させることで描いている。 第二次大戦後、特定の思想信条を仮想敵と見立てた大規模な弾圧は中国(文革)でも日本(レッドパージ)でもあったことだし、マッカーシズムについてアメリカという国の特性が生んだ暴力という決め付け方は私はできない。告発された人の中に実際にスパイが含まれていたらしいので、マッカーシズムの功績はゼロとはいえないのであろう。 しかし、映画「マジェスティック」やこの映画で描かれているメリルや周辺の人々の味わった苦難は明らかに行きすぎ、暴力であるのだがこの時点では誰も止めることができなかった。 それで「個人」対「圧倒的な国家の暴力」の問題にもどるわけだが、メリルとラリーという二人の父は「優先順位」を決めなければならぬという究極の選択を迫られ、正反対の行動を取った。 メリルはもともと仕事優先でそのために離婚までしている。「映画バカ」という言葉がぴったりの男で、我が子に淋しい思いをさせるのは辛いが、仕事を犠牲にすることだけはできない。 が、そんな彼にも仕事より大事なものがあることがこの事態で判明してしまった。友人や知り合いの名を売ることがどうしてもできなかった。 干されたメリルが、仕事恋しさに苦しむシーンをデニーロが熱演している。一日だけの身代わり監督であっても、現場に立った彼が水を得た魚のように生気を取り戻す姿は見事。 いっぽう、メリルを売ったラリーは妻を失い息子から母親を永遠に奪ってしまった。ラリーの選択は「子供と仕事」であった。 この後メリルは短期間刑務所に入り、その後10年以上仕事が出来なかったであろうから、メリル一家の生活は嫁頼みで細々と営まれることになる。 ラリーは罪の意識に苦しめられながら、いずれ再婚でもして映画界で生き残り、時折非難されても耐えて生きる。 そんな二人の息子たちが、どんな大人になったのか、父が息子に与えたものはそれぞれ何だったのか、冒頭かラストで息子たちの邂逅シーンがあってもよかったのではと思う。 海外脱出役でのスコセッシ出演がご愛嬌。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-01 13:52:28)(良:1票)
14.  シン・レッド・ライン
「細く赤い線」とは、生と死を分ける一線である。その「線」を引いていくのは神であり、兵士たちは神がどのような基準で線を引いていくのかだけを知りたがる。死を間近にした人間は、どうやら神と自分とのサシの対話の世界に入っていくらしい。死の病を宣告された人を思わせる。それがこのウィットのモノローグであるように思う。 現地人の営む穏やかな生活。同じ人間である彼らとの違いは何なのか。知恵の実は欲望とセットであり、それを食べたら二度と元には戻れない。知恵の実が文化を生み欲望を連れてきて、欲望が「大いなる悪」を生む。ウィットも私たちもあの現地人と同じ生活はできないのだ。 ニック・ノルティの怪演は鬼気迫る。すでに「棺桶に入っている」と自覚している彼。「どうせ死なせるなら、事前に恐怖を感じることなく死なせてやろう」という彼。なので下手に無駄死にを防ぎたがる大尉の存在は邪魔である。そんな自分の立場を「なんで自分がこんな役割を」と思っているがもちろん誰にも打ち明けることはできない。狂気に見せかけた孤独な指揮官。 ガダルカナルを守備する日本軍に、あのような攻撃を行う弾薬が残っていたとは到底思えない。また、日本兵のセリフにネイティブの日本人とは思えない発音の不自然さがある。世界中の観客のうち、これを理解するのは私たちだけであるので指摘しておかねば。 また、神との対話を続ける彼らと比べて、日本兵は何を考え何を祈っていたのか。「南無阿弥陀仏」で片付けられては到底納得できない。 ここで死んでいった米兵たちは、「マジェスティック」におけるルークなのかもしれない。ルークの墓の前に立つピーターと対峙している若者たちなのだ。そう思いながら見てみると味わい深い。 どうやって撮ったんだという見事なカメラワーク、今なら間違いなく手ブレで撮るだろうが、ブレないで疾走する這うような映像、やっぱりこうでなくちゃ。手ブレ映像FUCK YOU 。  
[DVD(字幕)] 8点(2006-09-14 15:02:51)(笑:1票)
15.  少女たちの遺言 《ネタバレ》 
やっと見つかった。常に題名を忘れるので難儀なことだ。これはなかなか忘れられない韓国映画でしたね。女の子どうしの擬似恋愛がすーぐ「自殺」になっちゃうところが。「あまりにも好きなことをわかって欲しくて死んでみる」って、韓国の女の子ってそんなに激しいの?激しいといったら、先生は女の子をビンタして流血だし、いじめられっ子はすごいことされてるし、日本の女の子どうしみたいな「予定調和」の世界じゃないんだわ。みんな「キツい」よね。主役の女の子がすごくかっこよくて魅力的です。これなら好きになるかもね。それと、「日記」みたいなやつに、ものすごーく熱心なんだわ。昔の日本の交換日記レベルのしょぼいやつとは全然別物で、切り抜きだの写真だの、細かい字でいっぱい書いちゃって、すごいのよ。凝ってるのよ。これって韓国の女子高生の伝統なのか?自殺した女の子がちょいと老けていて、高校生というには無理があるような気もしたが、主役の子に対する危ない愛情はよく描かれていたと思う。「火山高」のりりしい女の子(剣道部主将)といい、韓国ではこのテの宝塚系の女の子はお家芸的伝統なのでしょうか。私はジウ姫みたいなおんなおんなした韓国女性より断然こっちの系統のほうが好きだ。ともかく一見の価値はあり。「カル」みたいなよくわかんないやつよりよっぽど面白いよ。「オールドボーイ」みたく下品じゃないし。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-29 19:59:27)
16.  シックス・デイ 《ネタバレ》 
網膜かなんかで瞬間瞬間の記憶データを記録していったら、その人は死なないことになるのか。 これを考え続けて、アクションどうでもよくなっちゃうんだわ。萩尾望都の「A-A‘」そのまんまだわ。ある時点から再生させた自分は、前の自分と同じ?こんなすごいテーマを、シュワちゃんみたいな軽ーい(見た目の問題じゃなく)俳優さんがバタバタとアクション込みで表現するのか。なんだかなあ。しかし、しかーし、もしもこれが商品化されたなら、真っ先にとびつくのは「日本人」に間違いない。だって宗教のシバリがないも同然だしー、今でも収入のうち生命保険に払う金の割合が世界で最も多いだろうしー、「人命は地球よりも重い」とかわけわかんないこと平気でいっちゃうしー。それはともかく自動運転の車は本気で「欲しい」と思った。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-02 22:00:43)(良:1票)
17.  死国 《ネタバレ》 
まともな和製ホラー。方言による効果を生かしきった。優柔不断界の雄、筒井道隆を起用して、蘇った栗山千明の愛へギブアップすることに説得力を持たせようとしている。「逆打ち」も意表をついていてよい。
[ビデオ(吹替)] 8点(2006-01-02 21:14:09)
18.  Shall we ダンス?(1995) 《ネタバレ》 
最初見たときは邦画としては秀作と思ったものだ。映画としてはべつによい。ハリウッド版を見て、色々思うところがあった。まあ、普通の日本人のおっさんが社交ダンス始めるのと、普通のアメリカ人がやるのとでは、「意外さ」が全然違うでしょう、ということ。あと、草刈民代がコケるシーンは、日本的にはOKでも、欧米的にはNGなんだ、ということ。たとえ自分が骨折しようが死のうが女にケガをさせるな、男は。っていうのが欧米的には正解みたいだよ。それとも単にロペス的にNGだっただけなのかしら。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-31 23:31:44)
19.  死霊のえじき 《ネタバレ》 
20年前かあ。得意の閉じ込めもの。柵のむこうにはゾンビが鈴なり。このサバイバル感がたまりません。ゾンビの飼育とか、基地内の人間関係とか、じっくり描いていてよいですね。印象に残るのは、男の人二人が秘密の部屋をつくって、心地よさげにインテリアをしつらえて暮らしていたこと。こんな状況でも、「文化」と「人間性」。この心意気、好きだ。これを描いたことで、格が違ったと思う。どんな悲惨な時を生きていても、人は「小さな幸福」を探しあて、よりどころにしているものなのね、みなさん。なんの説明もなくても、この場面が雄弁に語っておりますな。「ゾンビ」映画を撮りながら、意外な見せ方でこのことを表現してみせたロメロの世界観を賞賛。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-14 21:06:02)
20.  ジャッカルの日 《ネタバレ》 
引きの映像が多いので、4:3の画面では見づらかったが、リメイク版とは比べ物にならないハイレベルさであった。なんだったんだろう、あの「ジャッカル」は。TVか。とにかく深い深い。そんでもって、ジャッカルが語らずかっこいいこと。やっぱヒットマンは語っちゃいけないんだよね。成功させてあげたかったなあ。それにしてもブルースウィリスはよく恥ずかしげもなくあんなこと。
[DVD(字幕)] 8点(2005-11-25 21:36:09)
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