181. イコライザー THE FINAL
《ネタバレ》 このシリーズの1本目が良かったのでこれも期待。 シンプルな勧善懲悪物だが、超人的な殺傷能力で悪党どもを殲滅する様は痛快。 ジェイソン・ボーンとはまた違ったキャラクターだが、圧倒的な強さは同様。 悪党のクズっぷりが際立つほどに、殺らせたときのカタルシスがある。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-28 07:07:38) |
182. ひとよ
《ネタバレ》 殺人犯の子として生きていかねばならない悲哀。 雄二(佐藤健)は堂下(佐々木蔵之介)に実父を投影し、堂下は逆に雄二たちに我が子を投影し、互いの思いのたけをぶつける。 投影によって抑えられていた感情が露わになる展開がうまい。 ただ、雄二には好感が持てず、母(田中裕子)の気持ちの方に寄り添ってしまう。 いくらそれしか書く才能がないからといっても、母を売るような記事を書く息子は許せない。 でも、それを我が子のために喜んで許せるのが母性なのだろう。 家族の崩壊と再生はよくあるものだけれど普遍的テーマなので共感はしやすい。 俳優陣がみな達者でそれぞれ持ち味を発揮していて良い。 特に田中裕子には改めて感心させられる。 タイトルは「人よ」の意味かと思っていたが「一夜」と掛けてのひらがな表記だったのか。 [DVD(邦画)] 7点(2024-06-27 11:27:01) |
183. コリーニ事件
《ネタバレ》 重厚なヒューマンドラマで見ごたえがある。 実話ではなくフィクションだけれど、時効の短縮で多くの戦争犯罪人の罪を見逃すことになったドレーアー法は実在のもの。 事件の真相に元ナチが隠されていたというのは何度も見たパターンだけれど、この法律を扱うことによって一味も二味も違ったものになった。 [インターネット(吹替)] 7点(2024-06-27 00:17:14) |
184. 黄金(1948)
モノクロの古い洋画だが、面白い。 ハンフリー・ボガードといえば『カサブランカ』のハードボイルドな色男のイメージだったが、ここでは全く違う汚れ役でイメージを覆された。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-26 15:16:22) |
185. 僕たちは希望という名の列車に乗った
《ネタバレ》 歴史の重み、実話の重みを感じる、見ごたえのある重厚なドラマ。 ハンガリーの民衆蜂起に感化された教室での2分間の黙祷。 そこからどんどん事件は深刻化。首謀者を聞き出そうとする体制側の女調査官が、弱いところを攻めてくる。 俯瞰で見るととんでもないことだけど、それも当人たちは大義のため、正義のためと信じている。 今でも世界では紛争が絶えず、西と東では全く違った視点の報道で自国民を洗脳している点では昔と変わっていない。 こういう映画は見終わった後に重く暗い気持ちになりがちなのだが、青春群像劇の要素もあるので意外と後味が良い。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-06-25 17:43:33) |
186. 家族を想うとき
《ネタバレ》 貧すれば鈍する。負のスパイラルから抜け出せない家族が痛々しい。 家族のためにもっと稼ごうと独立したのに、実情は下請けとしてとことん搾取されるだけ。 見通しの甘さについては責められるかもしれないが、痛々しくて見れられない。 親が大変なときに、反抗期の息子が足を引っ張ってイラっとくる。 それでも家族を思う気持ちは根底には皆にあるのが救いだけれど、その気持ちが報われない現実が重くのしかかる。 [DVD(吹替)] 7点(2020-12-27 10:53:51) |
187. プライベート・ソルジャー<TVM>
《ネタバレ》 ヒュルトゲンの森の戦いという日本人にとっては馴染みの薄いものを描いていたが、本当の戦場ではこうなんだろうなと思わせる妙なリアルさが迫ってくる。 主人公は決して好感が持てるような人物ではなく、自軍の兵士からも嫌われている。 お国や名誉のために勇敢に戦うというよりも、奮闘する味方の陰に隠れてでも卑怯でも何でもなんとか生きて帰りたいという生き物としての本能、本音が滲みでている。 仲間のことよりも自分さえ良ければという主人公の一連の言動に強い嫌悪感を覚えながらも、もし同じような状況に立たされたときに絶対に同じような自己保身をしないとは断言できない。 反戦をあざとく訴えるプロパガンダ映画よりはるかに反戦効果があるように思う。 [DVD(字幕)] 7点(2020-12-09 18:58:49) |
188. 手紙は憶えている
《ネタバレ》 事前情報まったくなしで見たのが良かった。 序盤で妻を亡くしたばかりの認知症の老人が出てきたので、てっきりその老人が妻との思い出を取り戻すハートフルなヒューマンドラマかなと思ったら全然違った。 記憶喪失の男が、実は悪に手を染めていた自身の正体がわかって愕然となるような話なら見たことがあるが、認知症なので特に怪しくは思わなかった。 「シックスセンス」のようにどんでん返しがあることをCMで知ってしまえば勘づいてしまったかもしれないが、まったく予想してなかったので気持ちよく引っくり返された。 こんなにキレイにどんでん返しをされたのは久々で、それだけでもおもしろかった。 老人があまりに見事にナチの男や犬を射殺したのは不審に思ったが、これも老人の正体を考えれば腑に落ちる。 ただ、冷静に振り返ってみると、マックスの復讐の計略はかなり実現性が低い。 100%思い通りにハマってようやくターゲット二人に復讐できるのだけれど、少しでもズレると失敗するリスクが高い。 足が悪くて自分では動けないのでターゲットの一人を利用したのだろうが、認知症の老人がやってのけるレベルの仕事とも思えない。 まあ映画なので、そのあたりのことが気にならなければ別にいいのかもしれないが。 [DVD(吹替)] 7点(2020-11-10 21:39:53) |
189. 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
《ネタバレ》 「千と千尋の神隠し」の興業収入100億突破の最速記録を大幅に塗り替えたと大評判、あちこちで話題にも上って席巻中。 映画はアニメの続きの話だと知って、まずはアニメを全巻視聴してから映画を見た。 確かに面白い。でも、あまりにも評判が高くてハードルが上がりすぎた。 涙が止まらないという感想を幾つも目や耳にしていたので映画館まで足を運んだが、少しウルッとする場面はあったものの泣くまでには至らず。 泣ける映画なら他にもっと泣けたものが幾らでもあったので、やや拍子抜けの感があり、何の期待もせずに見たほうがよかったかも。 映画を見た後に、今度はコミックを読み始めたが、この作品は漫画で読むよりアニメや映画の映像のほうが活きる。 ただ、映画の続きの漫画のストーリーの中に、涙腺をしっかり刺激される家族愛エピソードがあった。 [映画館(邦画)] 7点(2020-11-01 22:48:30) |
190. 恐怖ノ黒電話
《ネタバレ》 過去を変えられる立場にある人格障害者にターゲットにされたら―― 対抗策もなく圧倒的に不利な状況で、まさに恐怖でしかない。 タイムパラドックス系のサイコホラーで、シンプルだけどなかなかおもしろかった。 [DVD(吹替)] 7点(2020-10-29 00:58:07) |
191. リチャード・ジュエル
《ネタバレ》 変わり者の主人公が人に好かれないのもわかる気がするし、そのKYぶりにはイラっともする。 凄惨な事件現場の破損物を記念に持ち帰るなど、ドン引きしてしまう。 ただ、女性記者やFBIのやり口がもっと酷いので、相対的に主人公への抵抗感が抑えられていく。 イーストウッド監督の術中にハマッてしまった感じ。 あの女性記者には嫌悪感が募るけれど、監督の想像力でより酷い女として描いているフィクション部分も指摘されているようだ。 こういう実名を使ったものは、どこまでが事実でどこからがフィクションかが曖昧なので、真相が気になるところ。 [DVD(吹替)] 7点(2020-10-27 00:20:02) |
192. サスペクト 哀しき容疑者
《ネタバレ》 邦画にはあまりないスタイリッシュで迫力のあるアクションもの。ボーンシリーズを彷彿させるカッコよさ。ボーンシリーズが好きなら、これも結構気に入ると思う。 主演のコン・ユはイケメンだし、大佐役のパク・ヒスンも不敵な面構えがいい。ただ、カーチェイスにあまり興味はないのでそこは長~く感じた。 アクションだけじゃなく、ストーリーやキャラクターもしっかりしている。事件を終えての北と南の結末は、北が食料確保できたお返しに核を放棄するという夢物語的なものに。現実を冷静に見ると思わずツッコミを入れたくなるけれど、はかない願望をドラマや映画に入れこむのはこの作品に限らずよく見かける気がする。 主人公の最大の目的となった娘との再会シーンは、主人公とお腹の大きな妻の会話が前フリになっていたので予想がついたけれど、セリフのない演技が良くて印象的なものになっている。 韓国映画には極悪人がよく出てくるが、ここでも敵役である室長の人非人ぷりはいかんなく発揮されている。 悪役が憎々しいほどに、それが打ち倒されるカタルシスはあるのだけれど、そこに特化している印象。 [DVD(吹替)] 7点(2020-10-04 22:56:07)(良:1票) |
193. ジョーカー
《ネタバレ》 退屈せずに最後まで見れるのだが、主人公に感情移入はできない。生い立ちや環境に同情すべき点も多いのだけれど、被害者にとってはたまらない。酷い目に遭わせた奴らに復讐するのならわかる。でも、妄想ストーカーの餌食になったシングルマサーやラストの黒人カウンセラーは悲劇としか言いようがない。 ただ、その殺害シーンは自分を陥れた元同僚のときのように生々しく描かれてはいない。そこは省略されていたので、ジョーカーへの最悪の印象は避けられた。 悪のカリスマ誕生秘話としてはインパクトもあっておもしろかったものの、現実と妄想がはっきりしなくて少しモヤモヤが残っしまう。 [DVD(吹替)] 7点(2020-09-29 22:12:43) |
194. ザ・バニシング-消失-
《ネタバレ》 キューブリックがこれまでで最も恐ろしい映画だと絶賛したそうだが、サイコサスペンスとしてよくできた作品。 反社会性パーソナリティ障害の犯人の不気味さがヒシヒシと迫ってくる。といっても、犯行のシミュレーションや失敗続きが少し滑稽で軽いタッチなので、おどろおどろしい感じはまったくない。日常に潜む狂気というようなものが、次第に正体を表す感じ。 消えた彼女は一体どうなってしまったのか、そのサスペンス性で最後まで引っ張られる。その謎が明かされるラストがインパクトがあって余韻が残る。 金の卵に閉じこめられた夢の話と、ラストの新聞記事の卵型の二人の写真が重なってくる。トンネルの暗闇や閉所でのサスキアの恐怖心や犯人の閉所恐怖症など、他にも伏線が巧妙に幾つも張られているのに感心する。何気ないシーンも、後になって意味を持っていることに気づく。 彼女がどうなったのか知りたければ、同じように睡眠薬入りのコーヒーを飲めという犯人の要求。 普通なら絶対拒絶するようなとんでもない話なのだけれど、レイモンがそれを受け入れても仕方ないかもと思わせるくらいの追い込まれ方なので、そんなことありえないとは感じさせない。 犯人への嫌悪感がまとわりつくような余韻の残るラストで、この後味の悪さは監督としてはしてやったりなのだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-29 20:52:24)(良:1票) |
195. 拳銃王
《ネタバレ》 無敵のガンマンとして有名になったがゆえに、人生をやり直せなかった。 名を知られないために更正して保安官になれた昔の悪仲間との対比がくっきり。 これまでの生き方に疲れたアウトローがようやく更正しようとして、愛する家族との穏やで小さな幸せを夢見たとき、その希望の光を絶たれる。 シンプルで予想通りのストーリーだけれど、ラストに余韻が残る。 功名心にとらわれた若者に卑怯な不意打ちをされ、その復讐が自分と同じ道を辿らせることというのがなんとも切ない。 どれだけ孤独で辛いガンマン人生だったかがうかがい知れる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-10 12:24:02) |
196. 最愛の子
《ネタバレ》 実話ベースとのことだが、中国の抱えるさまざまな問題がうかがえる。 誘拐された子供を必死で探している親の思いにつけこんで、騙して金をせしめようとするヤカラがエグすぎる。 人間の一番汚い部分を見せ付けられるよう。 一人っ子政策のために誘拐された子供の死亡届けを出さなければ次に子供が作れない。 断腸の思いで死亡届を書く親もいる。 そんな親の苦悩も誘拐犯には届かないことなのだろう。 誘拐された子を育てたホンチンは、夫が誘拐したというのを本当に知らなかったのか。 薄々そうかもしれないと感じていながら、あえて追及しなかったような気もする。 育てた子を取り上げられたかわいそうな母という立場になっているけれど、なんだか少しカンに障ってしまう。 子供の親であるティエンとジュアンにすれば、ホンチンが悪い人間ではないにしても、まとわりつかれてはたまらないだろう。 ホンチンよりも、ティエンとジュアンに感情移入してしまう。 ホンチンは娘を取り戻すための裁判での有利になる証言を得ようと、夫の同僚だった男と寝るほど手段を選ばず必死。 ところが裁判は思い通りにいかず、妊娠できないと思っていたホンチンが、寝た男の子供を妊娠したのが何とも皮肉な結末。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-06 13:38:17) |
197. 万引き家族
《ネタバレ》 訳有りで集まった擬似家族を描いたドラマは、これまでも見たことはあるので特に目新しさは感じなかったけれど、とにかく役者が良い。ストーリーにも惹かれるものはあるが、消化不良の部分は残る。 是枝監督は全部をわかりやすく伝えようとは描かず、あえて観客の想像の余地を残しておく。 そのためクドさはなく粋に見えるメリットはあるけれど、もう少しわかりやすく伝えてほしい部分はある。 少年が何か呟いたけれどそれが何かわからない、といったようなところは印象には残るけれどスッキリしなくて気持ちが悪い。 お婆さんが何のためにお金をためていたのかも描かれてはおらず消化不良。 要はどこまで描くか監督のサジ加減の問題だと思うが、個人的には若干不親切に思える。 [地上波(邦画)] 7点(2019-12-27 22:01:06) |
198. プリズン211
《ネタバレ》 新人看守が囚人の暴動に巻き込まれて、囚人のフリをして危機を逃れようと知恵を絞る。 囚人のボスとの奇妙な友情や、ハリウッド的な大団円で終わらないところがなかなか面白い。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2019-12-23 23:32:39) |
199. セブン・シスターズ
《ネタバレ》 人口過多と食糧不足によって子供は一人しか認められず、二人目からは抹殺される未来世界。 そのために、7つ子が曜日ごとに一人の人間を演じて隠れて生きる。 7人のうちの1人が外で人差し指を切断する怪我をしたために、他の少女たちも父から指を切断されるシーンがとても印象的。 かなり無理のある設定だけれど、この辺りから次第に物語に引き込まれていく。 身内の裏切りというどんでん返しもあって、サスペンスとしては最後まで目が離せない。 1人7役でまったく違ったキャラを演じているのも見どころ。 [DVD(吹替)] 7点(2019-07-06 21:07:55) |
200. マンチェスター・バイ・ザ・シー
《ネタバレ》 なんだか陰気でキレやすくて嫌われ要素の多い主人公だと思ったが、そういう辛い過去を抱えていたのか。 自分のせいで愛娘たちを失ったとなると、これは容易に立ち直れない。 妻から責められたシーンはなかったが、当然激しくずっと責められてただろうし、何よりこの男自身が自分のことを許せないだろう。 そんな主人公をやっぱり好きにはなれないけれど、嫌悪感は消えた。 結局リーは甥のパトリックと一緒にこの街に住むことは辛すぎてできない。 乗り越えるには事件が重すぎるし、時間ももっと必要なのだろう。 ラストはふんわりした終わり方だったけど、能天気でわかりやすいハッピーエンドよりこのほうがリアルでふさわしい。 トラウマが解消できたわけではないが、希望を感じさせる余韻の残るラストだった。 [DVD(吹替)] 7点(2019-07-04 21:39:05) |