201. カル
《ネタバレ》 伏線らしきものはあるが、本格ミステリーのように論理的な推理を楽しめるほど考え尽くされた内容ではない。意図的に謎を謎のまま放置して、観客にあれこれ解釈させるというのが最近の流行なのか。作中の謎がきちんと説明されずに終わるというのはルール違反だと思う。どんでん返しもあるが、まったく普通のレベルで、特に驚かされるものでもない。また「死体の各パーツを組み合わせて、理想の存在を創り上げる」+「ミステリー」という設定が、島田荘司氏の傑作「占星術殺人事件」のパクリで、しかも、「占星術」と違ってバラバラにする行為が動機のみの問題で、その行為が有機的に不可能犯罪を形成している訳ではないというのもお粗末。 4点(2003-10-18 11:06:29) |
202. キャンディマン(1992)
殺人鬼ホラーものとしては後進ながら、キャンディマンのキャラクター性といい、全体に漂う不気味な雰囲気といい、完成度はなかなかのもの。ただ、殺人鬼に同情に値する悲しい過去がある、という設定はあまり好きではない。また、この作品も他シリーズ同様、回を重ねるごとにつまらなくなっていった。 6点(2003-10-16 20:12:33) |
203. もののけ姫
「環境問題」や「自然との共存」という根底にあるテーマからして、既に監督のライフワークであるナウシカで完成されているのに、また似たようなキャラやシチュエーションで同じ事を繰り返されてもなあ、という感じ。 しかも、ナウシカに比べ説教臭さが強くなり、せっかくの問題提起も、より露骨で押しつけがましいものになっている。 デジタルに頼らない手間の掛かったアニメーションの良さは出ているが、色味に乏しい地味で陰気な世界観を始め、キャラの魅力の無さ、エンターティメント性の薄さなど、すべてにおいてナウシカにあった「良さ」を削ぎ落としてしまった劣化版のような内容。これを作るくらいならナウシカの続編をアニメ化して欲しかった。 支持者の方の意見もよく分かるものの、やはり娯楽映画として見ればイマイチというのは否めない。とは言え、アニメーションの表現センスの高さや伝えようとするテーマは明確なので、いくらなんでも3点以下を付けるほどの駄作ではない。やはりここの平均点(6~7点)辺りが一番妥当な評価だと思う。 しかし残念ながらこの作品から、メインキャラの声優にまでイメージの固まった有名芸能人を多数起用したり、脚本作りが杜撰になったりと、宮崎アニメは凋落し始める。 [映画館(邦画)] 6点(2003-10-16 19:48:22) |
204. 平成狸合戦ぽんぽこ
「たぬき」という自然の代表者の視点による文明批判や環境破壊という問題提起の仕方があまりにも安易。文明の恩恵があるからこそ、エアコンの効いた部屋でアニメも作っていられるという事実を、監督さんはどうお考えなのでしょう?自己満足的な文明批判は簡単だけど、文明の恩恵を無視した代案無き批判など、それこそ無意味だと思います。 3点(2003-10-14 10:19:59)(良:2票) |
205. ファイト・クラブ
暴力や痛みでしか生の実感が得られない、そんな人間のアイデンティティ確立というテーマ自体が幼稚。結局はすべて内側に向かっている逃避行為でしかない。相手を殺したり、また殺されるほどの覚悟もない、単なる「暴力ごっこ」は、まるで自己開発セミナーの合宿を見ているような滑稽さ。ひたすら自分に優しい、ただの自慰行為と寸分も変わらない。監督の「お前ら、もっと自分の内面に向き合えよ。そんなこと考えたこともないだろ?」と言わんばかりの押し付けがましさを感じてしまう。 3点(2003-10-14 10:02:20)(良:1票) |
206. 紅の豚
うーん、監督のやりたいことは分かるんですが、いざ作品化したら中途半端な内容になってしまった感じです。別に豚になってもならなくても自分の信念を貫くことは出来るわけですし、男のロマンというよりは、男の自己満足という印象で、同じ男としてもいまいち共感出来ませんでした。 4点(2003-10-13 13:54:18) |
207. 12モンキーズ
《ネタバレ》 タイムトラベルものとしての矛盾以前に、根本的に脚本に穴があるような気がする。 作中のように比較的簡単に過去へ行き来できるのなら、精神的に不安定な囚人ではなく、もっときちんと訓練を施した「テロ対策部隊」でも送り込んで、抜本的に過去を変えるように動くべきではないだろうか? SFとサスペンスとミステリーの要素が溶けあわずに混在しているため、作品としてのポイントがぼやけて中途半端になっている印象を受けた。 途中の精神病院のシーンもダラダラと長いばかりであまり意味があるとは思えなかった。ブラピの演技も微妙。どうせなら最後まで現実か妄想かが分からないサイコサスペンス路線で徹底してくれた方が面白くなった気がする。ラストも解釈を委ねるという終わり方には賛否両論。 まあ、自分なりに推理して楽しむ余地はある作品ではあるけど、やはり中途半端な印象は拭えず。 [DVD(字幕)] 5点(2003-10-13 13:47:32) |
208. ジュマンジ
これまた中身の無い、消費型娯楽映画の典型。まあ、頭をからっぽにして見るべきものだとは思うけど、どうにもハジけ方が中途半端で、コメディにもアドベンチャーにもなっていない。当時としてはCGのレベルはかなりのものだとは思うが、やはりこの手の「CG礼賛映画」に共通して感じることは、CGで描かれたものの「重みや存在感が希薄」ということ。実際のセットとの同調にズレがあったり、動きが不自然に滑らかすぎたりするので、中途半端にリアルなだけに齟齬が目立つ。この頃から「見所はCG、ストーリーは二の次」という主客転倒した映画(と、それを絶賛する観客)が増えて来ている。何でもCGに頼るのではなく、もっと効果的な使い方を考えて欲しい。 3点(2003-10-07 22:54:01) |
209. エンド・オブ・デイズ
相手が人間だろうがエイリアンだろうが悪魔だろうが、「とりあえずガトリングガン撃っときゃいいんだよ、ガトリングガン」という姿勢には頭が下がります。 3点(2003-10-05 19:58:27)(笑:1票) |
210. ジュラシック・パーク
maxさんの意見に同意。「恐竜が描かれているから、人間が描かれてなくてもいい」という評価があるのには呆れた。傑作「ゾンビ」では、ゾンビの存在はあくまで人間ドラマを際立たせるための「素材」という位置付けでしかなく、「ゾンビを描くために作ったパニック映画」ではないから傑作なのです。「パニック映画にストーリーなんていらねーよ」という見方も、そりゃひとつの見方ではありますけどね。しかし、パニック映画として見ても、登場人物達のいかにも「状況を悪化させるための」、ひいては「パニック映画として成立させるための」バカでお約束な行動の連続にはイライラさせられることも事実(動いちゃいけないところで動き、単独行動すべきでないところで、単独行動をして襲われる)。もっと深い内容に出来るはずの作品だっただけに、単純なパニック映画に仕上げられたことが残念です。 4点(2003-10-03 04:06:55) |
211. 催眠
何ですか、これ?原作は未読ですが、たぶん原作はもっときちんとしているのでしょう。そう願いたい。それにしても、この映画のしょぼさはかなりのモノ。ホラーにもミステリーにもサスペンスにもなってない。設定だけで突っ走って、広げた風呂敷を畳まずテキトーに終わり。催眠術やサブリミナル効果で「不特定多数」の人間のトラウマを喚起させて自殺させるという設定に無理がある。特に刑事の子供時代の出来事なんて自殺するようなことか?別に友達を見殺しにした訳でもあるまいし、あんな程度のことがトラウマになるか~?多重人格の描き方もそんまんまで、作品として何がやりたいのか散漫な印象。菅野美穂以外の出演者の演技もダイコンで見てられない。特殊メイクの出来も演出もすべてが安っぽい。で、犯人って誰でしたっけ?管野美穂のホラー女優としての可能性に期待してこの点で。 3点(2003-09-27 18:02:56) |
212. タイム・リープ
原作を読んでから見ました。おかげで、いまいち分かりにくかったシーンが理解できて助かったんですが、やっぱり何故かすっきりしないんですよね~。バラバラになった時間を飛び越えつつ、パズルのように情報を整理していく過程は面白いんですが、どこか矛盾があるような気がしてしまいます(私の理解力の無さが悪いと思うんですが)。この設定だと、タイムパラドックスとかの心配は無いんでしょうか?また、バラバラになっているのは彼女の主観的な時間なんですから、それを外側から見ているとどうなっているのかなーとか、余計なことを考えてしまいます(笑)。でも、面白いことは確かです。 7点(2003-09-23 14:21:34) |
213. ハムナプトラ/失われた砂漠の都
典型的な消費型娯楽作品(?)。この手の冒険活劇ものにCGを多用されると、どうしても小奇麗で薄っぺらなものに見えてしまう。そこそこの出来で、見ている間はそれなりに楽しめるものの、見た後に残るものがない。まさに可も無く不可も無い内容。 5点(2003-09-23 13:33:09) |
214. 裸のランチ
映画の前に、ちゃんと原作を読んでらっしゃる方がいるというのに驚きます(褒めてます)。だいぶ前に見た記憶がありますが、タイプライターが虫みたいになったりすること以外、あまり印象に残っていないですね。基本的に脳内妄想みたいな幻覚が現実と混ざり合うような話なので、完全に好みが別れる内容だと思います。 4点(2003-09-21 07:48:02) |
215. らせん
やっぱりヒット作の後に安易な発想で続編は作らないほうがいいという見本。前作の存在理由すら危うくする。ウィルスだのDNAだの、呪いや心霊現象に中途半端な理由付けはして欲しくない。原作は途中で挫折したまま。 2点(2003-09-21 02:07:29) |
216. CUBE
《ネタバレ》 「閉鎖空間における人間性の露呈」というテーマを描く上で、ここまで大胆な舞台を用意した作品にはめったにお目にかかれない。 キューブ内をいくら移動しても変化の無い部屋が延々と続くというのは、それだけでもかなりの恐怖。ただ、息が詰まりそうな閉塞感は感じるものの、各登場人物の「言動の変化」や「関係の破綻」は予想の範囲内だし、特にこれと言って意外性のある展開も無かったのは、ちょっと拍子抜け。 結局ラストまで行っても何も分からず、解決らしい解決も無いまま。こういう「不可知論的結末」って、「解釈まかせの手抜き」と背中合わせで、どうとでも取れるからあまり好きではない。 同じ「閉鎖空間におけるサスペンス」ということなら、個人的には「嵐の山荘系ミステリー」の方が、きちんとした「謎の論理的解決」もあるので性に合っている。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-09-18 22:17:13) |
217. 耳をすませば(1995)
《ネタバレ》 この作品は「スタンド・バイ・ミー」同様、見た時の年齢によってかなり評価に差が出るタイプの作品。登場人物と同世代の子共達から見るとちょっと恥ずかしく、「こんなヤツいねーよ」と反感を持たれてしまうかも知れないが、私のように汚れた大人から見るとw、逆に「あ~、こんな絵に描いたような青春時代を過ごしたかったな~」という郷愁混じりの気持ちで、ほんわかと見れる。 「ありそうでない、でもどこかにありそうな」理想と現実のまさに中間に位置する世界の物語。その描き方が上手いと思う。ただ、さすがに私もラストの「結婚しよう」というセリフにはシラケた。あのシーンがマイナス。物語の中くらい、最後まで少年少女らしく爽やかに終わって欲しかった。 [映画館(字幕)] 7点(2003-09-18 21:54:17) |
218. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
《ネタバレ》 色々なメディアを取り込んでゼロからブームを作り上げた宣伝手法や、低予算を逆手に取ったアイデアは商売としては評価できる部分もある。 しかし「擬似ドキュメンタリー」という手法はリアルである事が前提である分、ドキュメンタリー的な演出を強調するほどに、逆に「作り事」である白々しさが目立つという難しさがある。 特にこの作品はリアリティを優先し過ぎて、肝心の観客の期待や心理を考えていない部分がある。臨場感を出すための手持ちカメラによる映像の激しいブレや、編集していない事が前提のダラダラとした展開、魔女の正体が不明なまま終わる手抜きなオチなど、娯楽映画としては最低な出来。 擬似ドキュメンタリーである事とエンターティメント性を両立させる事は出来たはず(最近の作品では「ノロイ」が擬似ドキュメンタリーホラーとしては完成度が高い)。 それが出来ていないのでは、この手の方法論は低予算の手抜きと言われても仕方ないだろう。 [ビデオ(字幕)] 2点(2003-09-18 02:00:30) |
219. スリーピー・ホロウ
【I wish】さんに同意ですね。ミステリー寄りのホラーかと思い期待して見始めたが、ホンモノの首なし騎士が出てきたのには唖然呆然。せっかくの主人公の「科学捜査官」という設定が完全に無意味になっている。序盤の雰囲気はいいのに残念。とにかく、ホラーとしてもミステリーとしてもサスペンスとしてもアクションとしても、何もかもが中途半端!なんでこういう中途半端な方向に持っていくの?おバカファンタジーサスペンスホラーとでも呼んで欲しいの?恐くもないし、ストーリーも印象に残らないし、感動もないし、謎解きのカタルシスもない。何がやりたいのか分からない。何でこんなに評価が高いのか不明。 1点(2003-09-18 01:41:07)(良:1票) |
220. 黒い家(1999)
《ネタバレ》 かなり低評価だけど、邦画の中では珍しいサイコサスペンスをやってくれた事は評価したいし、恐怖演出に関しても比格的質の高い部類に入ると思う。 ストーリー自体がかなりリアル路線の割りに、出演者のキャラクターや演技が突飛なので引いている人もいるみたいだけど、幽霊や怪物よりも「人間の狂気」こそがもっとも怖いという部分はよく描けている。 特に大竹しのぶの女優根性には脱帽。彼女のガンバリに+1点。 [ビデオ(邦画)] 7点(2003-09-16 09:32:43) |