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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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281.  Red(2020) 《ネタバレ》 
失楽園に代表される“不倫”というそもそものテーマ自体に、嫌悪感や不快感を抱く方も多いと思う。そして観た後のあまりの救われようの無さ。だけどテーマと映画の出来を切り離して考えると、良く出来た映画じゃないかと感じた。 私のハンバーグは食べないのにお母さんの煮付けは食べる夫。そんな踏みにじられた人生に我慢してる多くの主婦は、この映画に共感する反面、認めたくない気持ちも強いかもしれないし、その気持は痛いほどわかる。だって子供が…って。 塔子の前に鞍田が現れるタイミングの絶妙さとか、塔子を取り巻く男が3人なのに、絡んでくる女がゼロとか、かなりご都合主義な面も観えるけど、妻夫木聡の優しそうな微笑みと、夏帆ちゃんの透明感とクリクリした目。この2人に焦点を当てた結果の省略だろう。小鷹がもっと二枚目だと話がややこしくなるし。   「でもさぁ人間さぁ、どれだけ惚れて死んでいけるかじゃないの?」  父親は女を作って出ていったと言うが、きっとその原因は母親だろう。そんな母親の生き方を否定し、裕福な家庭の優しい旦那と結婚し、専業主婦として可愛い一人娘を育てている塔子。海外出張中の父親とは円満離婚してると、嘘をついてまで手に入れた幸せな家庭。 塔子が手に入れた人の羨む裕福な家庭は、彼女自身の求めたものではなく、反面教師と言える自分の母親が手に入れられなかったものなのかもしれない。 「今がとっても幸せ!」「…君は、変わってないな」10年前もきっと、ステレオタイプの幸せ論に満足している自分の本心を見透かされて、鞍田に奥さんが居ると知りつつ、関係を持ったんだろう。塔子の女の部分、人の男を奪いたい欲求だったのかもしれない。 今度は自分に夫が居る立場での不倫。子を持つ母親でありながら、満たされない女の部分の欲求が、10年前と変わらない鞍田を受け入れる。 「…生涯で、ただ一人好きになった人と、一緒になったこと。」だから、もう夫にとっての結婚は終わってたんだ。あとはもう夫にとって妻という存在は、子を育てて家庭の幸せを維持するための道具でしか無いんだ。ここに残っても夫の道具として、村主家の為に、じわじわ死んでいくだけなのに気がついた塔子。  「鞍田さん・・・生きましょう。」
[インターネット(邦画)] 7点(2022-11-15 22:55:24)
282.  突破口! 《ネタバレ》 
- Charley Varrick - “チャーリー・ヴァリック”主人公の名前タイトルで来たか、そう来たか。 タイトル・イメージからコミカルな強盗映画かと思いきや、ガチなクライムサスペンスでした。 アンドリュー・ロビンソンがダーティ・ハリーのさそりそのまんまの顔で出てたからもう嬉しくって。インパクトある顔立ちだよなぁ。 ちょっと欲求不満気味で妄想癖のある隣のお婆さんが、シャツをはだけて自分に向かって走ってくるハーマンに、ちょっと身の危険を感じてる仕草が可愛い。 あとアルバート・ポップウェルもチラッと出てて、ダーティ・ハリーよろしくアッサリ伸されて、そっちも嬉しかった。   のどかなオープニングからいきなりの銀行強盗。序盤から仲間が撃たれる展開に、レザボア・ドッグスが思い浮かんだ。 予定外にマフィアのカネを手に入れて…って展開にシンプル・プランを思い浮かべた。 なんかこの映画、後のいろんなサスペンス映画にちぃちょい影響を与えてる気がする。  計画がどんどん狂っていく後手後手のチャーリーに対し、追い掛けるモリーの容赦無さと嗅覚の鋭さ。 今までの作風と不釣り合いな、緊張感が有るようでないような、不思議な飛行機と車のチェイス。 最後の爆破で綺麗に絡め取る抜け目の無さ。歯医者のカルテすり替えがここで活きてくるなんて。 一件落着と、緊張の糸が解れたところで車のセルモーター。最後までハラハラさせる見事な終わり方。 こういうテンポが良くてアイデア勝負の映画って、古さを感じさせない面白さがあるよ。凄く良かった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-13 18:30:22)
283.  花宵道中 《ネタバレ》 
吉原の遊女を主役とした短編集の一話。だそうで、八津や霧里も他の話の主人公。こりゃ単発の映画としてより、どうせなら連続ドラマかオムニバス形式で映像化したほうが面白かったんじゃないか?と思った。 その、短編を映画化したゆえのしわ寄せが、朝霧の長~い“濡れ場”に現れていたのかな。いやいやそうでなく、この映画の一番の魅せ場が安達祐実の“濡れ場”なんだから、私の解釈が間違っているんだろう。 時代劇でよく見るセットと、当時は無かった強烈な光を放つライトが、テレビの2時間ドラマを連想させてしまう。  小さな大女優・安達祐実。この映画の撮影当時、彼女は三十三歳だろうか?…三十三歳で遊女役って結構無茶な気がする(しかも子を持つ母親だ)けど、彼女の身体はたしかに美しかった。だけど八津に「朝霧姐さん」と呼ばれていても、どうも姉さんらしく思えない。童顔で周りの遊女役の女優たちより背が低い為で、どう考えても安達祐実の朝霧はミスキャストとも思える。 そして何より、多くの人が彼女の幼少期を知っている。「具が大きい」のCMの子が「同情するなら金をくれ!」って叫んだ時は驚いたっけ。でも今回の“濡れ場”には、個人的にそれほどの衝撃を感じなかった。当時の面影を残した幼い顔立ちの彼女の、あの長~い“濡れ場”に、どれほどの需要があったんだろう?  高岡早紀を姐役で出す事からも『忠臣蔵外伝』を相当意識しての事だろうけど、今の安達祐実と当時の高岡早紀では、世間が求めるものが違うような気がする。朝霧が八津の客相手に啖呵を切る場面は格好良い。半次郎だけに見せた花魁道中も美しかった。私としては、安達祐実のそっちの一面、女優としての成長具合をもっと堪能したかった。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-11-13 15:00:38)
284.  陽暉楼 《ネタバレ》 
ウリらしいウリが“浅野温子VS池上季実子”のキャットファイト。前座として“倍賞美津子VS佳那晃子”。…なんだろうなぁ。美人女優たちがバァン!と太もも出して、プルン!と乳放り出して、髪掴み合って戦う様は、確かに凄まじい。 浅野VS池上は両者入場から激しい睨み合い、浅野の一方的な宣戦布告からの格下相手の前哨戦、見事な先攻ダンスパフォーマンスからマイクパフォーマンスの応戦。会場を移してのメインイベントは、皆さんお待ちかね、5分にも及ぶ場外乱闘デスマッチ。トータルおよそ14分近い熱戦がアツいアツい。上映時間100分の、実に1/10の時間をここで使ってる。 この衝突し合う珠子と房子。お座敷の芸姑と遊郭の女郎。ダイカツをお父ちゃんと呼ぶ妾と実娘。これはなかなか面白い。そして徐々に仲良くなるでなく、別れをキッカケに大親友になる展開も、ふた昔前の少年ジャンプチックで面白い。  この二人の戦い、友情、ダイカツと2人の娘の話に絞って、サクッと100分程度にしていれば、とても小気味好い作品になっていたと思うんだけど。序盤の呂鶴の死とか、お袖VS丸とか、ダイカツとお袖の過去とか、バッサリ切ったほうが良かったろうに。その代わり珠子とダイカツのここまでの過程を掘り下げるとか、忘れた頃にチョロチョロ出てくる稲宗組をもっと絡めてくるとか、出来たと思うなぁ。  ただ遊郭映画の大作として制作したために、オープニングの芸姑が大勢で移動する様子は見応えがあった。凄い。AKBとか坂道シリーズみたい。 ここに来て“あぁ、芸能界とか風俗産業って、こんな時代から脈々と今に繋がってるんだなぁ”って、今さらながらに思ったのです!やっと。 芸姑と女郎の違いって、今で言うと何だろう?華やかしいこの子たちの裏に見え隠れする暴力団って、今どうしてるんだろう?そんな気付きを与えてくれた映画でした。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-11-13 14:47:33)
285.  旅立ちの時 《ネタバレ》 
- Running on Empty - “スタミナ切れ” なんか意外なタイトルでした。邦題のイメージとぜんぜん違う。劇中の何を表すタイトルなのかイメージ沸かない失敗した最初にタイトル調べとくんだった~ぁ 生まれ育った環境が特殊な少年の成長物語。FBIに追われ続けて14年。しかも家族4人で…って、そんな生活ってあるのかい?ちょっと想像が追いつかない。身の丈にあった想像に落としたら、交番の前の指名手配犯のポスターを思い出した。あぁ、あんな人が家族連れて逃げてる感じか…アメリカって広いな。  リバー・フェニックス。若くして才能とカリスマ性を開花させていた少年。将来絶対凄い名優になると思った矢先の、突然の死。彼の短かすぎる生涯と、この映画のダニーが被ってしまう。というか、私が勝手に映画の登場人物とリバーの私生活をリンクさせているんだろう。恋人マーサ・プリンプトンとの2度目の共演というのも、銀幕の中のリバーと生身のリバーを同じ人物のように観てしまう。まるでピーター・フォークとコロンボ。渥美清と寅さんのように。  潜伏はあくまでエッセンスであり、焦点は家族愛とダニーの成長。潜伏生活でありながら追われる身のハラハラ感が少ないのは、追うFBI側の視点が出てこないからだろう。ここに来て表に出たダニーの才能。その才が母親から譲り受けたものと解る連弾のシーンはホロリとしてしまった。 自分の足で歩き出そうとする少年と、変わることが出来ない両親。と思いきや、あのエンディングは唐突であり、無計画であり、無責任であり、父親が子に与えられる最大の愛。捨てざるを得なかった夢を子に託す母親の愛。 ダニー=リバーの人生が、これからどんどん良くなる兆しで溢れる、素晴らしいエンディングでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-11 22:45:58)
286.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
八月の末、友だちと長万部町の水柱を見てきました。飯生神社の敷地内から突如吹き上がった、高さ30mもの水柱。「ブフワッ!!ブフワッ!!」と轟音とともに吹き上がる姿は、神々しくもあり、また意味不明なところが、どこか可愛らしくもありました。 突如50日目に止まった水柱。…一体何がしたかったんだろう??50日もの間吹き出し続けた大量の温泉水と天然ガス。あれ、もし吹き出さずに一気に大爆発とかしてたら、大変な大惨事になってたりしないかな?もしかしたら創社250年ほどの飯生神社の神様が、町の住人を救うために、頑張って奇跡を起こしたのかも?…なんて。  さて、映画だけを観た私の解釈書きますね。この映画はきっと、瀧が過去を変える物語ではなく、三葉の未来が変わる物語です。もっと言うと、宮水神社の御神体が、糸守町の住人たちを守るために、めっちゃ頑張った物語。 でもいくら神様とは言え、住人を守りたいからとは言え、郷社か村社クラスの神社の神様なので、彗星の軌道を変えたりは当然無理。人の意識をちょっと変えるくらいは出来るみたい。 巫女である三葉に対しては普通の人よりスゴい奇跡が起こせて、まだ中学生の瀧に組紐を渡したことで、未来の瀧と入れ替わりが起こせるようになった。三葉に瀧の体を通して彗星が落ちた未来(瀧から見て過去)を見せる。だけど三葉だけ未来の大惨事に気づかせても住人は救えない。だからあの瞬間の“奇跡の避難訓練”のために、ちょっとずつ小さな偶然(奇跡)を起こしていったんだろう。  瀧と三葉の連絡手段はスマホのメモ機能。この時代、手っ取り早く自分に電話を掛けたり、名前をモトに相手がフェイスブックやミクシィ(懐)やってないかとか調べるのにGoogle検索も使わない謎。神様ともなると、無意識に通話や検索は使おうと思わないよう、2人を仕向けることくらいは出来たんじゃないだろうか?入れ替わっている間だけ、テレビの情報番組やカレンダーを無意識に見ないようにする、日付と曜日のズレを気にしない(でも口噛み酒を奉納に行く朝、休日なのに制服着てしまうなど、体内時計と曜日のズレが生じてる)など、神様だったらきっと、それくらいは出来るだろう。奇跡って言うより、偶然とか、たまたまとかのレベル。 克彦がオカルト好きで時限式ダイナマイトを仕掛ける知識があったのも、克彦の父がダイナマイトを簡単に盗める場所においてたのも、早耶香が放送部員だったのも、三葉の父が宮水神社の巫女である母(二葉)を愛し、その後神主にはならず、住人が認める町長になったのも、あの日の“偶然という名の奇跡の避難訓練”の下地作りだったように思う。  三葉と入れ替わりが無くなった瀧は、記憶の中の風景を絵に描いて、飛騨まで出掛けて足で探す。スマホの時代になんて原始的な。でも1000歳以上の神様のさせることだから… そして瀧はたった3年前の彗星の事を忘れてるんだけど、飛騨まで行って、町中聞きまわって、3年前の大惨事のヒントも無い…なんて事あるかな?ラーメン屋で「糸守って、まさか、あの彗星の?」ってミキ先輩と司の会話で、記憶を引っ張り出すかのごとく思い出す。というか思い出したのか?ミキ先輩たちも“糸守”って聞くまで思い出さなかったのか?飛騨まで行って?実はここで、大惨事の記憶を刷り込まれてないだろうか?瀧(たち)は大惨事を忘れてたんでなく、知らなかったんじゃないだろうか? …ここ、自分でもあまり整理出来てないけど、2回め観たとき、この3人の飛騨旅行からかたわれ時までくらいが、大惨事があった時間軸に思えた。だからこの時間軸だけには犠牲者名簿とか存在する。のかなぁ?とか。  かたわれ時に2人は出会う。三葉たちにはまだ走り回ってもらうけど、ここでもう神様の奇跡は成就、住民が助かる未来に変化したんだろう。 ここで瀧の過去に彗星の大惨事で死んだ三葉は存在しなくなり、三葉の未来に大惨事が起きた時間軸の瀧は居なくなる。お互いの過去(未来)に存在しないから、お互いの大切な名前を忘れる。 “忘れる”ことと“無かった”ことは違う。瀧が入れ替わってから6年後。三葉が入れ替わってからは、なんと9年も後。すれ違う電車でたまたまお互いの目が合う。きっとこのくらいが、小さな町の神社の神様が、本来起こせる精一杯の奇跡。 点数、ちょっと甘めです。“天気”より上にしたらこの点数に…。ただジブリ以外のオリジナルアニメ映画の将来への期待と、それに見合う成果を残した作品なので、ひとまず。
[地上波(邦画)] 9点(2022-11-11 18:39:39)
287.  アジョシ 《ネタバレ》 
- 아저씨 - “おじさん” ソミが何回も「アジョッシェー」とか言うから、耳に残りやすいですね。 テシクを演じたイケメン俳優ウォンビンさん、当時32歳くらいで“おじさん”役かぁ。子供から見てだからねぇ。最初のダラっとしたシャツ着てても解る筋肉の付き具合がたまらない。この映画で大注目されながら、この映画を最後にパタッと出なくなってます。なんか、惜しい。 キム・セロンも子役ながらとてもいい演技を観せてくれる。テシクと一緒に御飯を食べるシーンで、上唇にご飯粒(?)付けたまま話し続け、話し終わりに舌でペロッと食べるところ。不自然じゃなく、きちんと可愛い。最初ご飯粒は付いてなかったから、監督の指示通り演じたとしても、あの若さであの自然さ、凄くないですか?コレが指示もなく偶然出来た事としても、やっぱ凄い。  ベースはレオンの韓国版と言えるけど、レオンを知っていても楽しめてしまう。サボテンにジャブジャブ水を掛けるところが、テシクの優しさと不器用さを表現してたように思う。韓国流の残酷度の高さに拒否反応が出なければ、エンターテインメントとして、とてもクオリティの高い作品に仕上がっている。 ソミの母親のあんまりな最後に、ソミ自身ももしかしたら?と不安がよぎり、その感覚がテシクのソミを救いたい気持ちとシンクロし、最後まで緊張感を持って観ることが出来た。  目のところはもう、ロワンがソミを助けてるであろうことは想像できたと思う。絆創膏の前フリもあったし。だからこそ銃を使わないナイフの戦いが、フェアな好対戦に観えたし、マンソク兄を撃ち殺すところにはカタルシスが感じられた。これでもしソミが死んでいたら、そっちのほうが予想外。でもこういう、いい意味で“先が読める展開”は大歓迎。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-11-08 22:20:55)
288.  暴力街(1974) 《ネタバレ》 
ヤクザ映画だけど、仁義だ任侠だって世界というより、バイオレンス中心のギャング映画って趣。 冒頭のフラメンコが異国感を醸し出していたし、経営者が足を洗った元ヤクザの組長って設定は、何もして無くても怖い安藤昇の訳アリ感を高めてくれる。 なんかヤクザ版カサブランカみたいな感じに思えた。  バーグマンは出てこないけどお色気シーンあり。でもここのキャスト欄を見ての通り、男・男・男・・・まぁこの時期のヤクザ映画でよく観る人たちがワヤワヤ出てきます。ある意味ヒロイン・オカマの殺し屋マダム・ジョイはかなりのインパクト。 キャストで言えば《BIG4が暴力街に集結》ってポスターの左2人(菅原&丹波)の登場があまりに遅く、退場もそれなりに早く、ちょっと期待外れな印象。  対立組織の仕業に見せかけてアイドル歌手を誘拐!なんて、暴力団と芸能界が密接な関係だった、当時の暗黙の事実が描かれていたのは面白かった。事務所の移籍騒動って件で森七菜をイメージしてしまったけど、そういうの、今も昔も変わらないのかなぁ?おっかないなぁ… 特に後半、バイオレスアクション強めで、血が飛び散るわ飛び散るわ。養鶏所のニワトリもいい迷惑だ。主役2人が迎える結末と、札束の舞う檻の中の犬2匹の画が印象深い。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-11-08 20:13:32)
289.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
- Valkyrie - バルキリーのドイツ語読み。 ワーグナーのオペラの代表作。北欧神話の軍団名。この映画の場合は“ドイツ国内の予備軍の動員命令の作戦名” 実話ベースのヒトラー暗殺計画の首謀者をトム・クルーズが演じるアメリカ映画。みんな英語で喋ってる。 旧日本軍の映画で「天皇陛下万歳」や「靖国で会おう」を入れにくいのと同様に、これをもしドイツが創ろうとしても、きっと色んな圧力とか忖度とかで、もっと意味が通じにくい映画になっていたかもしれない。  詳細はともかく、ヒトラーは暗殺で死んだ訳でないので、失敗の結末は想像が付く。結末は解っていても、計画から実行、シュタウフェンベルク大佐の真っ直ぐな人間性が、暗殺サスペンスとして充分に盛り上げてくれる。 トムらしいワンマン・アクションが発揮されるかと思ったけど、あくまで淡々とシュタウフェンベルク大佐役を演じるトム。コレはコレでイイ。 クイルンハイムを演じたクリスティアン・ベルケル、旧ドイツ軍人役の彼を観るの、たまたまだけど今年3回目。  シュタウフェンベルク大佐はドイツに忠誠を誓った反ナチズムの好人物として描かれているが、他の幹部のそれぞれの立ち位置はどうか?戦争はほぼ負けが見えてきた中、ヒトラー無きあとのドイツをどうコントロールしていくか。相手がヒトラーとはいえ、暗殺参加は単に“正義”という言葉で片付けられない事情があったろう。その辺を掘り下げても面白かったと思う。 この時期に独裁者の暗殺映画をテレビで流す意図は、何となくイメージできる。独裁者の暗殺で本当に戦争が終わるかどうか。公開時の2008年あたりは、何かあったのかなぁ?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-11-06 22:59:33)
290.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
- Fury Road - “怒りの道”。 になるんだけど、このタイトル面白いんだ。MADとFURYは同じ意味。なのに何でくっつけた? この映画のフュリオサ(Furiosa)が、スペイン語で“怒り”の女性名詞なんだって(※男性名詞はFurioso)。Furiosaを縮めてFury。 なので、- Fury Road - の意味するところは“フュリオサの道”。それは彼女の辿ってきた道であり、彼女の進んで行く道。なんですね。 なので、この物語の主人公はフュリオサで、マッドマックスの外伝と言えるかもしれません。  続編の公開が発表されてから、マックスがメル・ギブソンじゃないことに、正直不安があった。名前だけの安易なリメイク作品になるんじゃないか?って。 車のカスタムの仕方も、2や3の、鉄板とか鉄パイプとか“有りモノを適当にくっつけた”感がなく、ちょっとデザイン的に美しすぎないか?って。 そんな不安は映画が始まってすぐに消し飛んだけどね。  乾いた荒野とアスファルトが舞台の1と2に対し、サンダードームと同じく砂漠化が進んだアスファルトの無い世界が舞台のこの映画は、1と2の続編であり、失敗作3のリブート作品だと思っている。 2から3と続く世界観で、文明・秩序が崩壊すると、ヒューマンガスみたいな力のあるリーダーが組織を作り、バータータウンのような街が出来て、新しい文明と秩序が生まれる。もう一方で3の子供たちの部落のように、心の支えとして宗教(のようなもの)も生まれる。 イモータン・ジョーとV8エンジンを神のように称える街シタデルは、3のバータータウンと子供たちの部落をくっつけて発展させた宗教都市に思える。 そう考えたらあまりに芸術的にカスタマイズされた車も理解できる。彼らにとって車は、私達にとってのお神輿や山車みたいな存在なんだろう。 という訳で、本作は3からハリウッドのぬるま湯テイストを抜いて、カリッカリに乾いたマッドマックスの世界観を正常進化させた作品と言える。  フェリオサが主役のマッドマックス外伝として捉えると、マックス役はメルでも行けたんじゃないか?なんて思ったり。トムのマックスは最初、無愛想で自己中っぷりがヒーローっぽくないと思ったけど、そのぶんスプレンディドが無事だった時のサムズアップが人間臭くてたまらなかった。フェリオサに名前を伝えるところもまた良いんだよね。人を信じられない世の中で、孤独に生きてきた男の優しさ。あぁ、彼は間違いなくマックスだ。って思ったよ。 安易に看板に頼った続編でなく、観たいと思ったものを観せてくれた映画として、前作から27年後に、こんなサプライズ・プレゼントがあるなんて…長生きして良かった!って思えました。 さぁ指を組んで天に掲げて「V8!V8!V8!」
[映画館(字幕)] 10点(2022-11-05 23:22:26)
291.  クラッシャージョウ 《ネタバレ》 
公開当時のCMとかで、全編ガンダムⅢ並みに綺麗な映像で「さすが映画だ、TVアニメとは格が違うなぁ」って思ったっけ。 当時はまだアニメというと子供向けの作品が多い時代。そんな中でクラッシャージョウは対象年齢が中高生向けに思えて、小学生の私には難しいかな?なんて観る機会を逃し、今回ようやく観ました。  改めて思うのは、この時代のアニメって画が柔らかいですね。メカにしても戦艦の巨大感や戦闘機の軽快な動き。そのどちらの表現も似合うミネルバの動きに、当時は思いもしなかった“手作り感”が感じられる。キャラクターも柔らかさが良く出ていて、同じ安彦キャラのガンダムオリジンと比べ、活き活きして観える。安彦さんの一番脂が乗っていた時期ってのもあるけど、アニメの手書き技術の成熟期って感じ。 当時のアニメーターの技術と才能が溢れているが故だろうか、スタッフや他のアニメキャラが登場する“遊び”や“内輪受け”が随所に出てきて、正直、作風に対して五月蝿い印象だけど、今の私より若い安彦さんたちが不眠不休な中で、楽しんで創ってたんだろうな。って思わせる。40年後の今ではなく、公開時にリアルタイムに楽しんでもらうものとして創ってるなって。そんな中、劇中劇としてゲスト出演するダーティペアの力の入り様。高千穂小説の挿絵がそのまま動くのは嬉しいファンサービスだったことだろう。  映画の中身の話、なんにもしてないですね。昨晩観たのに『ここが良かった』ってところが出てこないんです。個性豊かな海賊たちも最後はアッサリで、勿体ない気がしたかな。白衣一枚のマチュアがジョーに「あなた、お幾つ?」って聞く(私には)意外な流れに、面白くなりそうな予感があったけど、話はワープ装置に逸らされて、アルフィンのヒガミでお茶を濁されて終わり。マチュアを単なるお色気担当の客寄せパンダにするんでなく、彼女の内面の魅力を描いていれば、もっと印象に残る作品になったかもしれない。 高千穂遙が嫌いだった(公開後の話)ってのはあるけど、当時の技術力と安彦キャラがこの映画の魅力の大部分を締めている気がする。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-11-04 09:52:26)
292.  陽のあたる場所 《ネタバレ》 
- A Place in the Sun - 原題まま。タイトルから上京した青年の成長物語っぽい爽やかな映画かと思いきや、実は身分違いの三角関係を扱った映画。なのはともかく、まさかのサスペンス。この意外性にヤラれました。 今ならよくあるサスペンスですが、私が妙に惹きつけられたのは、エリザベス・テーラーの美しさだけでなく、無駄に凝ったカメラ位置と音の入れ方です。  アメリカの発展を象徴するハイウェイ。ヒッチハイクする労働者階級の男の背中。振り向けば希望に満ち溢れた爽やかイケメン。『プヒポヒー♪』ここでアンジェラのオープンカーが通り過ぎます。高嶺の花の貴婦人。自分には廃品回収のオッサンの車がお似合いだ・・・このシーンでアンジェラにフォーカスしないのが良いんです。そして後々社長宅に現れるアンジェラ『プヒポヒー♪』振り向くと高嶺の花がこんな間近に!と、オープニングから前フリが素晴らしい。  社内恋愛禁止&女子寮侵入のスリルと、状況とは不釣り合いに陽気なボサノバを掛けるセンス。'51年の映画なのに。 湖の鳥の不気味な鳴き声が女の悲鳴のようにも聞こえる。刑務所の小鳥のさえずりも、きっとジョージを苦しめたに違いない。 ジョージとアリスが乗ったボートを、わざわざ船首から海面スレスレに撮った凝りまくりの画角を、ほんの一瞬しか使わないセンスも見逃せない。 アリスの事件を伝えるラジオ越しに、ボート遊びするジョージたち。ボートそっちのけでラジオにフォーカスするカメラの低さも唸らされる。 ヴィッカース邸に検事が来た時、わざわざクレーンで2階廊下のアンジェラをゆらゆら映し、部屋に入るアンジェラを壁ブチ抜きで映し続け、鏡越しに卒倒するまでを一連(※途中1階の議論が映るからワンカットではないけど)で収める拘りっぷり。  労働者階級と上流階級。恋愛の表と裏。真面目な青年と犯罪。陽のあたる場所とは何処を指すのか。 牧師の言葉「アリスを助けるべき時に、誰のことを考えていた?」心で犯した殺人。キリスト教らしい考えだけど、たしかに。人として重たく刺さる。 囚人が掛ける言葉「天国へ行けるよ(字幕)」聞き取りにくいが『ココよりは良い場所を見付けられるよ』みたいに聞こえる。これまたキリスト教らしい考えだけど、罪を認め、罪を償ったものが逝く先こそ “陽のあたる場所” なのかもしれない。   どうでも良いことだけど、この映画のエリザベス・テーラーって、どっかで観たと思ったら、手塚治虫のメルモちゃん(大人版)だわ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-03 22:27:17)(良:1票)
293.  オブリビオン(2013) 《ネタバレ》 
- OBLIVION - “ 忘却 ” 地球侵略から60年という時間が流れた2077年。ミスリードという意味でも意味深なタイトル。 荒廃した地球と宇宙人の侵略を描いたSFを下地としながら、相思相愛の夫婦と、一方的な片思い。三角関係がメインなのは面白い。  ブレードランナー辺りからの近未来サイバーパンクなゴチャメカSFが過去のものになった今、スッキリした球体コックピットの飛行機は、動きの観せ方も機内からの視界も面白かった。 2013年って、ドローン(兵器)の世の中への浸透具合って、どんなものだったろう?ジェットエンジンか何かが着いてて、何かを燃焼させて推進力を作っているのは、今のドローンとは違うけど、警告音?の不快感と威圧感が怖い。顔の真ん中の(×)印も怒ってるみたいで怖い。ジャックに直してもらって無愛想に飛び立つのも、テットが創ったものと考えたら納得。  物語の流れから「これトム・クルーズでなくウィル・スミスの映画っぽい」とは思ったけど、ウィルだとイマイチ三角関係が成立しないんだよな。やっぱ色気のあるトムでないと。 で、この結末に納得して良いのか悪いのかも解らないけど、ジュリアにしてみれば49番くんでも52番くんでも同じ…かな。かな? エンディングは3年後。その3年間にジャックとサイクスがジャックのクローンたちを一人残らずプチプチ殺してきたんだと思ってたけど…なんかイヤだな。他のはともかく、52番ヴィカはどうしてるんだろう?52番ジャックが帰ってくるのを、一人寂しく待てるんだろうか?それはそれで、切ないね。 タイトルだけど、“忘れてた”んでなく“知らなかった”が正しい気もする。テットの技術力で、記憶は作り替えてしまうとか、出来なかったものだろうか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-11-03 21:44:19)
294.  失楽園 《ネタバレ》 
話題作ではあったけど、もう観る前から内容が予想できて、自分には関係のない映画として、今日まで放置してました。ただ90年代後半に、ここまでエロスを前面に出した邦画も珍しかったと思う。 本サイトのワーストランキングでも好成績。不倫というタブーを題材にしているから、頭ごなしに批判されやすい面もあると思うけど、そこは映画なんだし、強盗犯や殺人犯が主役の映画同様に楽しめたら何より…なんて、少しこの映画の肩を持ってやりたい気分。  不倫の醍醐味と思われる“どのように惹かれ合って、どのように始まったか”が描かれてないのって、これ強盗や殺人なら、犯罪の瞬間を描かないのと一緒。でもたぶんココを描いてしまうと、久木と凛子に共感してしまう人が増えるから省いた? 不倫はあくまで自分勝手な欲望を満たす、動物的な自己満足として観せるためにも、この2人に共感できない創りにしたのかもしれない。 ただねぇ、結婚してから本当に人を好きになることって、あることだと思う。50歳や38歳になって、あんな情熱的なSEXするのって、凄い。 ディープキス以外に直接的な性描写を極力描かず、また観えそうで観えない、ギリギリを攻めた訳でもない撮影と編集には感心した。観ていて下品じゃないんだよ。アダルトビデオと映画の違い。犯罪の決定的瞬間映像と犯罪映画の違い。さすが女性客がターゲットだっただけはあるかも。  突然離婚に話が進み、あっさり片付く久木家。聞きわけの良すぎる娘に違和感。彼氏を両親に紹介したばかりじゃなかった?既にバレていながら仮面夫婦を演じていたから、奥さんにバレてからの居心地の悪さや修羅場もなく、以前と変わらないご主人様ポジションの久木に、ちょっとイラッとする。少なくとも娘に父親ヅラするんじゃねぇ。奥さんも暴れるとかすればいいのに。この辺あまりに淡白で大人しくって、まるで免許更新の教習映画の不倫版みたい。久木ももう少し誤魔化しや悪足掻きがあっても良かったと思う。けど、これまたスリリングにしてしまうと、不倫の2人に共感してしまうから…なのかな?  久木の妻「もうすぐ、春ですから。」晴れて2人一緒になれて、貧しいながらも再出発すればいいのに、死んじゃうんだ。そんなだから、不倫のスリルを楽しんだだけ!とか禁断の愛だから盛り上がっただけ!とか言われるんだよ、貧しくても生きなきゃ。老いても愛さなきゃ。 キツく抱き合って同時に息を引きとる。なんてロマンチックに盛り上がる2人と対象的に、淡々とした死体検案調書。 本人たちには愛でしか無いんだけど、彼らを観る社会の目からは不倫の結末でしか無い。最後のあの場面、色んな意味で笑うところでしょ。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-11-03 19:59:23)
295.  バケモノの子 《ネタバレ》 
画はとても綺麗なんだけど、結局何を伝えたい物語かよくわからなかった。 蓮がオープニングで語られた渋天街に行くあたりは、千と千尋のよう。きっと渋天街の不思議な習慣とかが描かれて、最後は人間の世界に帰っていく…のかと思いきや、中盤でアッサリというか行ったり来たり出来てしまう。 渋天街の住人はバケモノなんだろうけど、人間+動物の組み合わせで、そして現在より少し古い、機械化されていない普通の生活をしている。熊徹の巨大化とか、一郎彦の念力とかあるけど、特段ガラパゴス的進化は感じられなかったかな。これがバケモノ?容姿が違うだけで人間と同じなんじゃ?…なんか、不謹慎だけど、見世物小屋の牛女とかを思い出してしまった。 渋天街も最初こそ個性を出そうと頑張ってたように思えたけど、結局人間界のちょい古い時代に落ち着いてたように思う。渋谷と繋がってるなら、車とかスマホ、パソコンなど便利な技術とか持ち込んでもおかしくない気がするけど、それはしない謎。  蓮の成長物語(成長はするけど)かと思えば、熊徹の勝負がクライマックスっぽく、最後の一郎彦との戦いは、2人の因縁が薄すぎて、まるでとってつけたかのような印象。 熊徹が剣になって九太と一心同体になるのって、どうだろう?蓮これからお父さんと暮らして(イライラしそう!)、楓との男女の関係も進んで(やりにくい!)、勉強もいっぱい(退屈そう!)するんでしょ?熊徹が中の人って…剣として子の中で生きるなら、猪王山の方が、闇落ちから復活した一郎彦の中で生きるストーリーの方が、きっと多分スッキリ出来ただろう。 楓もいまいち何がしたくて、なぜ蓮と一緒にいるのかもよくわからない。蓮の父親の存在も、出て行った過程や、母の死後すぐに連絡が取れなかった過程、母方の親戚に父親があれだけ嫌われる理由が、あれだけのシーンでは想像つかず。そしてイマイチ共感出来ず、どうにも消化不良。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-10-31 22:13:10)
296.  TRICK トリック 劇場版 ラストステージ 《ネタバレ》 
TVシリーズの1作目をリアルタイムで観られたのは、本当に幸運だったと思っています。金曜の深夜、さぁ寝ようか…って時にたまたま流れていた新番組。ぼんやり観ていたら目が離せなくなって…こんな夜中にこんな凄いドラマ流して良いのか?って。 TVドラマのDVDセットを買ったのは、後にも先にもTRICKとTRICK2だけ。私にとって本当に特別な作品でした。 TRICK劇場版の出来がイマイチで、金曜ナイトドラマからゴールデン帯に進出した第3シーズンで、ガッツ石まっ虫とかって悪ノリキャラが出た時点でTRICK熱が冷めて、パタッと観なくなりました。 前置きが長くなりましたが、劇場版4作目にして最後の最後との事で、自分の中でもこの作品群に決着を付ける意味で、劇場に足を運びました。  まぁ酷い出来です。第3シーズン以降の悪ノリ・テイストはそのまま。マンネリ化したドラマパート。面白くないギャグ。ノルマでもあるのか?ってくらいに、質より量と言わんばかりに、1分に1回ペースでコテコテのつまらないギャグを入れてくる。稀に初期の頃みたいな面白いギャグもあるんだけど、つまらないギャグのラッシュに埋没してしまうのが残念に思います。 ギャグとドラマのバランスが逆転しているから、奈緒子も上田や矢部に対して最初からタメ口・呼び捨て。いや基本は“さん付け”で呼ぶから、ギャグパートの“呼び捨て”が活きるんでしょ。  劇場版になるとどうしても人がどんどん死んで、重たい空気になるのは相変わらずです。ただ、そもそもこのドラマは、本物の霊能力者に殺された父の真相を追い求める奈緒子の物語。結構重いんです。菅井きんと母之泉って、視聴者に1作目エピソード1を意識させる演出が、本当に最後の作品として創ってるんだなぁって思わせます。 最後の最後で芸能界を引退した前原さん登場。やっぱTRICKは菊池でも秋葉でもなく、石原なんだと再認識。瀬田くんも出てほしかったな。大病される前の元気な野際陽子さんが観られるのも、今思うと嬉しいです。 上田次郎は、あのキャラのままで現在まで続けても、何ら違和感を感じないキャラクターですね。矢部謙三も。 だけど山田奈緒子は…仲間由紀恵も本作では34歳。マンネリドラマだけに、20歳の頃から成長してないキャラを演じ続けるのは、彼女もきっと苦しかったと思います。気になったのが南国が舞台なのに奈緒子は、昼夜問わず終始長袖&ロングスカート。単に日焼けできないのか、肌が弱いのか、自分の代表作の最後だから、頑張ってくれたんだと思います。でも最後は半袖でしたね、ひと安心。  フーディーニで始まりフーディーニで終わる。「上田さん、最後に一つ賭けをしましょう・・・そしたら、餃子と寿司を死ぬほど奢ってくれ!」死を前に上田に見せた、奈緒子の寂しそうな精一杯の笑顔。 「生まれた時から、笑ったり、冗談を言ったりすることが苦手だった…練習しても上手くいかない。」第一話で一番最初の奈緒子の自己紹介。そんな彼女の14年ぶんの笑顔に、もう涙が止まらない。そして鬼束ちひろの神曲『月光』。ギャグパートにクスリとも笑わなかった劇場の、あっちこっちからすすり泣きが…みんな照喜名みたいにTRICKが大好きな人たちなんだな。だってみんな、公開初日の最終上映に来るくらいなんだもの。 単にこの映画が終わるのではなく、14年前の金曜深夜から続いた物語が、いま終わる。 この作品でブレイクした仲間由紀恵と阿部寛は、今後も芸能界の第一線で活躍するだろうけど、山田奈緒子と上田次郎には、もう会えないんだなって。 深夜0時直前の研究室。出会った時と同じマジックを見せる奈緒子と、目に涙一杯貯めて嬉しそうに微笑む次郎。山田と上田の2人だけの“ラストステージ”。 なんと完璧なエンディングを用意してくれたんだろう。あまりの余韻に劇場が明るくなっても暫く立てませんでした。 客観的に観て中身は3~4点です。だけど14年も続いた物語の、期待を大きく上回る素晴らしいエンディングに、この点数を付けさせていただきます。
[映画館(邦画)] 8点(2022-10-30 18:07:53)
297.  デイズ・オブ・サンダー 《ネタバレ》 
- Days of Thunder - “雷鳴の日”。 トムの新作を楽しみに劇場に足を運んだ人は、コールがレース慣れしてきた所で『この後ラウディと事故るんだろ?んで、精神的にダメージ受けて、それでも恐怖を克服して、最後勝つんだろ?』って思ったでしょ?私も思った。 でもって『ヒロイン(ニコール)出てきた。彼女に誤解されて、急に「あなたが好きになったの!」とかって感情的に告白して、ロマンチックにSEXして、喧嘩して、仲直りするんだろ?』って思ったでしょ?私も思った。  あのヒット作トップガンの監督と俳優で、飛行機を車に変えて、同じ事するんだもの。内容カブりまくってんだよ。バカにされてる気分だったわ。 ただストーリーはともかく、NASCARを扱った映画として『いまアイス食ってんだ!忙しいからピット・インするな!』とか『ペースカーにぶつけろ!』とか、実話・逸話を織り交ぜながら、CGを使わないナマの迫力が味わえる作品としては、評価するべきかもしれない。 この映画の影響で、後に名作ゲーム『デイトナU.S.A.』が誕生(そういやトップガンのあと『アフターバーナー』が出来たんだっけ)したのは個人的にデカい。それより何よりメロー・イエローがまだあるんだってビックリしたっけ。  せめてトム・クルーズ以外の俳優でやっていれば、映画界にうるさい人以外は素直に楽しめたかもしれない。 でもこの映画、当時調子に乗ってた(…いや人気絶頂だった)トムが、どうしてもカーレースの映画を撮りたくて、気になる女優ニコール・キッドマンと共演したくて、トニー・スコットの迫力あるカット割りで撮ってほしくて、同じく調子に乗ってた(…いやヒットメーカーの)ブラッカイマーがお金じゃぶじゃぶ使って撮った映画。って思うと、この映画の興行的成功と作品としての失敗を心から反省したのって、トニー・スコット監督だけだったのかもしれない。
[映画館(字幕)] 5点(2022-10-30 14:03:42)
298.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
- Les Quarte Cents Coups - “殴打400回”凄いタイトルだけど、フランスの慣用句が由来(『思いっきりやらかす』とかって意味だと思う)だそうです。英題は- The Four Hundred Blows - 邦題と違って直訳が多い気がします。でもとても良い邦題。映画の内容を解りやすく伝えようって、作品愛が感じられます。 『大人は(子供の気持ちを)判ってくれない。』とストレートに解釈しても良いんだけど、逆説的に『子供は判ってる』という事を伝えているんでしょうね。  アントワ―ヌは母親の連れ子なのに、その母親は夫との口論の際「子供を施設に入れなさいよ」と口にする。白昼の浮気現場を見られたその晩に。大人になるまで『別にそこに居てもいい』だけの家庭。実の母親に必要とされていない子にとって、家庭にどれほどの意味があるだろうか。「実は母が…死にました」は、咄嗟の嘘だけど、彼の中で本当に母親は死んだんだろう。 そんな母にとって、家出の手紙はショックだったんだろう。きっと自分の本心を見透かされたようで。だから彼女なりの精一杯の努力をしてみる。自分のベッドに寝かせ、過去の話をしたり、作文のご褒美を用意したり、家族で映画を観に行ったり。ただやっぱり、今の夫にもそれほどの愛情もなく、子供も邪魔な存在でしかない母にとって、アントワーヌの逮捕は願ってもない事件だったろう。 母親としてちゃんと進学させるよう、努力はしたけど駄目だった。最初から用意されていた結論ありきの問題と答え。家庭じゃあの子は育てられないから、あとは鑑別所でお願いね。という免罪符。  スタートから終了までをノーカットで長~く観せる遊園地のローター(乗ってみてぇ~楽しそぉ~)が印象的。アントワーヌが回ってるんだけど、ローターの遠心力で自由の効かないアントワーヌからは、世の中のみんなが回って見えるのだ。 もう一つ長くて印象的なのが、人形劇の赤ずきんちゃん(だよね?)。面白いところで笑い、ピンチのところに驚き、逆転劇のところに歓喜する。真剣な眼差しの子どもたち。対象的に如何に金を手に入れるか考えるアントワーヌとルネ。与えられるもので喜ぶ幼い子供と、与えられないものを得るために思案する2人。 そして最後にしてこの映画のハイライト。母親が望んだ鑑別所から、自らの意思で延々と走り去るアントワーヌ。追手が居ようと居まいと走り続ける。走ることで大人が子供に与えたもの全てを振り払う。教育や娯楽、ルールや罰則、不自由から逃れるのに必要な距離と時間。辿り着いた海岸は“子供としての最後”と解釈。何故ならそこから先はもう、与えられる立場(=子供)とは言えない存在になることだから。 『さぁ、これから、どうする?』最後の表情は、誰も答えてくれない質問を問い掛けているんだと、そんな風に思えました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-10-29 01:49:21)
299.  漁港の肉子ちゃん 《ネタバレ》 
なかなかクセが強いオープニングに、最後まで楽しめるかなぁ…と不安になったけど、考え方の大人びた小学生と、子供みたいな親。ついでに喋る動物。現代版じゃりン子チエみたいで案外しっかり楽しめました。  バスケから始まるマリアちゃんの乱。弱いもの救済の体で自分に都合の良いように画策、失敗。それに対し、ことぶきセンターで二宮に話す喜久子の本心がリアルで、観ていてこっちまで心が痛くなりました。不器用なマリアに比べて案外器用に世渡りをしていく喜久子。近くにいる友だちが固定でないのも器用な証拠だろうか。夏祭りなんてこのメンバーで行くんだぁって、これもまたリアル。 喜久子と二宮の関係も面白くて、お互いに変顔しあったり、運動会の時メダルをキラキラさせてみせたりも、なんか、良かったなぁ。 私としては喜久子とクラスメイトの話だけでも充分に楽しめたけど、出生にまつわるエピソードと、病院で肉子に本心を打ち明けるところは結構もらい泣きしましたよ。  原作未読だけど、平屋住まいをグラスボートにしてるのかな?電気は?ガスは?冬は?時化の時は?目覚めたら床下を魚が泳いでるのはメルヘンチックな感じだけど、そういうのちょっとジブリらし過ぎかな。 トトロネタも入ってたし、出てくる飯が美味そうなの…は、良かったと思うけど。 それよりトカゲやセミが喋ったり、神社が話しかけてきたりって、そのうち意味が解るだろうと思ってたら、結局どこにも繋がって無かったみたい。 あと霊媒師とか、肉子の前世の話とか。なんかそこで軽く触れるだけなら、無理に入れなくてもって思ってしまった。何で氷川神社がエロ神社って呼ばれてるのか知りたかったわ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-10-27 09:57:09)
300.  OK牧場の決斗 《ネタバレ》 
- Gunfight at the O.K. Corral- “O.K.コラルの銃撃戦”。O.K.はアリゾナ州のオールド・キンダースリーという地名。コラルは牧場というより牛を囲っている柵の範囲。 西部劇のタイトルを5つ挙げよ。って言われたら、高い確率で名前が上がる本作。聞き覚えのあるテーマソング。まるでミュージカルのように状況説明を含む歌詞だったのが、ちょっと斬新。  相変わらず“何で有名なのかイマイチ解らないエピソード”O.K.牧場の決斗。他に西部開拓史の実話ベースで有名なエピソードって無いんだべか? う~…このエピソード観るの2度めだよ。でもピンと来ない。ヒャッフー!ってならない。例えばもしかして、アメリカ人が巌流島の戦いの映画を観てもピンと来なかったりとか、するんだろうか?そういうこと?  前に観た“荒野の決闘”の方が、登場人物の魅力が出ていたような。ドク、女たち、悪者たち。特にワイアットが魅力的に思えて、あちらの方が私向きかも。 本作はカーク・ダグラス演じるドクが魅力あるキャラクターで、ワイアットとの善悪奇妙な友情も光るんだけど、う~…他の人物はあくまで西部劇スタンダードな…ワイアット自身も特に掘り下げが感じられず。 ドクとワイアットが絡むエピソードが積み重ねられ、O.K.牧場で最後の決斗を迎える。なんて書けば盛り上がりそうだけど、主演2人以外の登場人物に思い入れが沸かないから、エピソードの一つ一つが淡々としていて、そのまま決斗の日を迎えたって印象を持ってしまった。ような。 このような映画には意外とスルメが多いかも。もう数回観れば西部劇嗜好が低い私でも、この映画の魅力を説明できるくらいには、理解できるかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-10-26 20:47:24)
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