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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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341.  ホーム・アローン3 《ネタバレ》 
「悪い大人と、家に仕掛けた罠で迎え撃つ子供との攻防戦」を楽しみたいのであれば、本作がシリーズ中で最も適しているかも知れませんね。   主人公の少年が科学好き、機械好きという事もあって、仕掛けも非常に凝っている。  敵側も銃を持った殺す気満々の連中なので、彼らを可哀想と思ったりする事もなく、純粋に少年側を応援出来た気がします。   ……ただ、自分が1と2を好きだった理由はそんな攻防戦にあるのではなく「一人ぼっちになった子供が、親を気にせず好き勝手にやって楽しんでみせる」「偏屈な大人と心温まる交流をして、幸せな結末に導いてみせる」部分にあったもので、その二つが希薄な本作に関しては、どうしても楽しめず仕舞いでした。  一応、後者に関しては「意地悪なご近所のヘスさんを救出して、感謝される」という形で描かれているのですが、主人公が一方的に彼女を助けて、それで仲良くなって終わりってだけなので、如何にも寂しい。  空港にて、袋を間違えて持ってきたのはヘスさん当人なのに「どこかの馬鹿に袋を間違えられてね」と発言するシーンがあるなど、ヘスさんに対しては「嫌な人」という印象しか抱けず、最後までその印象を払拭出来なかったのも痛かったです。  やはりこの辺に関しては「怖い大人、嫌な大人かと思ったけど、実は良い人だった」という、ギャップの魅力を感じさせるような場面が欲しかったですね。   他にも「主人公の少年が登場するまで十分近く掛かるので、感情移入し難い」「悪党にトドメを刺すのがペットのオウムという形なのは、カタルシスに欠ける」など、細かい不満点ばかり目についてしまうのも、全くもって困りもの。  主演のアレックス坊やに関しても、カルキンとはまた違った可愛らしさがあって良かっただけに「意地悪な兄と姉がいる」「悲鳴を挙げる仕草が似ている」など、前作までの主人公と同じ属性を盛り込んでいる形なのが、残念に思えちゃうんですよね。  これなら、もっと「機械が好き」って属性を強調して、前作までとは全く違った主人公像にしても良かったんじゃないかな、って気がします。    あえて言うなら「敵が銃を持っており、過去作よりも遥かに危険な存在」「美女のアリスもいるので、視覚的に楽しい」って部分が本作独自の長所と言えそうなんですけど、前者に関しては「銃を持ってるなら、さっさと撃てばいいのに」と思えちゃうし、後者に関しても「別に敵は全員男でも問題無い展開だったな」と思えちゃうしで、イマイチ褒めきれないんですよね。  せっかく敵役に女性がいるなら、それを活かし「彼女が母性に目覚め、寝返る事になる」とか「主人公の父や兄に色仕掛けして、篭絡しようとする」とか、もっとやりようがあったんじゃないかと。   「泥棒を目撃したのに、周りの大人が信じてくれない」→「見事に泥棒を退治し、周りに認められる」って流れは、起承転結がしっかりしていて良かったですし「アレックス・プルイットの科学実験」のシーンなど、ところどころ好きな部分も見つかっただけに、勿体無かったですね。  「観て損した」「失望した」って程に酷い訳じゃないけど、自分としては物足りない一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2019-01-09 01:20:35)
342.  7つの贈り物 《ネタバレ》 
 所謂「いい話」であり、感動的に仕上げられた品だと思います。   ただ、映画として「面白かった」「楽しかった」とは言い難い内容でしたね。  理由としては、冒頭で「主人公は自殺する」と分かってしまう事。  そして、かなり早い段階(映画が始まって十五分ほど)で「いずれ死ぬ主人公は、自分が贈り物をする相手は誰にすべきかを審査している」という真相まで種明かししている事が挙げられそう。  「贈り物」=「臓器移植」である事も、審査対象となる人物の顔触れで分かるようになっているし、根本的に「謎解き」要素が据えられていないのですよね。  だから観客としては「この先どうなるんだ?」「彼は一体何が目的なんだ?」という興味を抱き続ける事が出来ない。   である以上、この映画のメインは「主人公による審査」となる訳ですが、それがどうにも単調で、正直退屈なんです。  なんせ悪人は序盤の医者くらいで、後は悉く「善人」「合格」なのだから、余りにも予定調和な展開。  死期が迫っているヒロインと恋仲になり「余命僅かな難病物」のテンプレをなぞる形になる辺りも、更に既視感を強めていた気がします。   唯一、それを崩すアクセントとして「臓器移植ではない、住居提供」のシークエンスがあるのですが、それも「家庭内暴力を受けている女性と、その子供達を救う」というお約束展開なせいか、まるで目新しさを感じないから困り物。  勿論、王道だからこその魅力は盛り込まれていましたし、自分としても、この中盤の「家を譲る」件が一番感動したのですけどね。  ただ、その結果「感動のピークは過ぎたのに、主人公とヒロインとのやり取りを一時間近くも見せられる」という事になってしまい、折角の感動も冷めてしまった形。   盲目の青年とウェイトレスの微笑ましい会話や(このままでは、彼女に愛情を抱かれてしまう)と察した主人公が、あえてヒロインを冷たく突き放す件など、好きな場面も幾つかあるのですけどね。  もう少し全体のバランスが違っていたら「いい話」ではなく「良い映画」と表現出来ていた気がします。
[DVD(吹替)] 5点(2019-01-03 23:31:15)(良:1票)
343.  千と千尋の神隠し
 難しい映画です。   隠されたメッセージだの寓意だのを分析しようとすると、どうしても「監督が可愛い女の子を色んな目に遭わせてみたかっただけのロリコン映画」という結論しか出てこないんですよね。  かつては反体制側の視点から作品を描いていたはずなのに、この作品では権力者側に非常に同情的になっている点など、色々と着目すべき事は多いのですが、それ以上に色濃く感じられたのが「大人は醜い豚」「この世は理解出来ない化け物ばかり」「そんな中で唯一の癒しである幼女は、こんなにも健気で可愛らしい」という主張だったりしたので、やはり自分にとっては、上記のような結論に達してしまう訳です。  もしかしたら、美少女が画面に出てくるだけで嬉しくなるような自分自身がロリータ・コンプレックスだからこそ、そう感じてしまっただけかも知れませんが、ちょっとそれ以外の言葉で表現しようとすると嘘になってしまいます。  自分の好きな「ドラえもん」シリーズや「シベールの日曜日」や「あの子を探して」などがロリコン映画であるという程度には、この作品もそうなんじゃないかなぁと。  ただ、この作品に関しては「そんなに大人が嫌いで、純真無垢な幼女が好きなの?」という作り手に対する疑問符のようなものが浮かんで来てしまい、映画の世界に入り込めなかったというのが正直なところです。   そんな大いに偏った印象を除外して考えれば、凄く上質な映画であるのは間違いないかと。  単純にアニメーションとしてのクオリティーが高く、画面の中でキャラクターが動くのを眺めているだけでも楽しいですよね。  逆境の中で主人公を助け、安堵感を与えてくれるハクの存在も魅力的だったと思います。  特に、竜の飛翔シーンに関しては圧巻の一言で、暫し呆然として見惚れてしまいました。  やはり、こういったタイプの映画は難しい事を考えずに、頭を空っぽにして観るべきだよな、と反省させられましたね。   ラストシーンにて「何だか全てが夢だったみたい」と感じさせてくれる非現実感というか、心がフワフワするような不思議な気持ちを与えてくれるのも(これが童心に返してくれる映画という事なのかな)と思ったりしました。
[DVD(邦画)] 4点(2019-01-03 10:36:24)(良:2票)
344.  モンスター・トーナメント 世界最強怪物決定戦 《ネタバレ》 
 プロレス映画だなぁ、というのが率直な感想。   一応、ゾンビが肉を食い千切ったり、サイクロプスが目からビームを出したりもする訳ですが、そういった非現実的な描写はオマケという感じで、あくまで「モンスター達にリング上でプロレスをやってもらう」というのが目的だったみたいですね。  基本的な戦い方も、トップロープから飛び掛かったり、ドロップキックをかましたりで、如何にもプロレス的。   それを象徴しているのがウィッチ・ビッチの扱いで、魔術の類は使わずに素手で戦い、ようやく道具を使ったかと思えば包丁だったりして「魔女である必要ないじゃん!」とツッコませてくれます。  試合前にトレーナーから「魔女として虐げられ続けた怒りをぶつけろ」「呪いも黒魔術も全て忘れて戦士になれ」と言われ、素手で戦う特訓を続けてきた訳だから、魔術を使わないのは納得なのですが、それなら包丁も使わないで欲しかったし、何だか中途半端なのですよね。   優勝者となったフランケンシュタインの扱いに関しても同じ事が言えて、彼のストーリーとしては「父と呼び慕っていたイゴール博士が殺されてしまい、その仇であるクロックシャンク大佐と戦う事になる」という流れな訳ですが、その博士が殺された理由も「セコンドであるにも関わらず、乱入してフランケンシュタインを助けるという反則を行ったから」なので「それって博士が悪いのでは?」と思えてしまい、どうも筋が通っていない感じ。  にも拘らずフランケンシュタインが殺された博士に手を伸ばす描写は、如何にも同情を誘うような描き方だし、オマケにフランケンシュタインVS大佐が始まるところで映画が終わってしまうしで、最後まで消化不良。   世界中からモンスターを集めて、誰が一番強いのかリングで決めるという浪漫溢れる設定に関しては、文句無しで好きです。  その馬鹿々々しいノリならではの面白さは伝わってきたし「放送事故」の演出や「ハデス、次はお前だ!」という台詞には、クスッとさせられるものがあったのも確か。  それでも、全体的には退屈に感じる時間の方が長かったので……  多分、もっとプロレスを愛する人こそが観賞すべき映画だったのでしょうね。
[DVD(吹替)] 4点(2019-01-01 04:15:08)(良:2票)
345.  アイス・クエイク<TVM> 《ネタバレ》 
 ポール・ジラー監督作の中では、本作が一番好きです。  脚本にツッコミどころが多いとか、低予算な作りなのを全く隠しきれていないとか、欠点と呼べそうな部分は色々あるけど、長所も同じくらい備わっていると思います。   主人公一家のキャラ造形も非常に自分好みであり、それだけでも大分ハードルが下がっちゃいましたね。  父親と母親は、演者さんのルックスも中身も典型的な「主人公」と「ヒロイン」って感じで、安心して観ていられたし、子供達二人も可愛らしい。  この子達が「まだ幼く、無邪気にパパに懐いている息子」と「思春期を迎え、少し反抗的なお年頃の娘」っていう王道な組み合わせの時点で、もう自分としては白旗を上げちゃうというか、全面的に主人公のパパさんに感情移入しちゃうんですよね。  飼い犬も含め、一家から死者が出る事無くハッピーエンドを迎える辺りも「そうこなくっちゃ!」という感じ。  クリスマス用のツリーという小道具を活用して「無事に助かった」という安堵感だけでなく「当初の目的であるツリーもゲット出来た」という達成感を与えて終わる辺りも、中々上手かったんじゃないかと。   ビジュアル的にも「超低温ガスが地割れから噴き出し、それを浴びた男が凍死してしまう」なんていうシュールな映像があったりして、忘れ難い味がありましたね。  こういったTVMならではの「潤沢な予算のある映画では拝めないような、独特の映像」が見つかるのは、立派な長所だと思います。   プラスティックの瓶に雪を詰めてから、それを懐に仕舞いこみ、体温で溶かして水を作る場面なんかも印象深い。  主人公は冷たいのを我慢して水を作り、それを子供達に飲ませる訳ですが、そんな「自己犠牲」を「子供達の為なら当然の行いだ」とばかりに、サラッと描いちゃうのが良いんですよね。  そんな優しいパパさんだからこそ、ハッピーエンドを迎えても嫌味じゃないし、むしろ祝福したくなる訳なのだから「主人公の優しさ、良い奴っぷり」を示す場面として、非常に価値があったと思います。   欠点も多い為、手放しで絶賛する事は出来ませんが……自分としては「好きな映画」と言える一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-12-05 21:46:01)(良:1票)
346.  ソルジャーズ・アイランド 《ネタバレ》 
 この映画、結構好きです。  好きなんだけど……それを差し引いても欠点の多さが気になっちゃいましたね。   金持ち連中が自慢のタネを得る為、節税の為にレジャー感覚で軍隊に参加するという「富豪部隊」の設定は面白いのに、それを活かし切れていない。  例えば冒頭、如何にも「普通の戦争映画っぽい場面」から始まって、それがあんまり面白くなかったりするもんだから、気勢を削がれる形になっているんです。  しかも、後に映画のラスボスとなる相手が冒頭にて主人公に一度倒されていたりするもんだから、緊迫感も失せてしまうという形。  これなら冒頭の部分はカットして、主人公が「富豪部隊」の護衛役に雇われる場面から始めた方が良かったんじゃないかな、って思えます。   主人公が「伝説の軍人」って割には「弾を避ける為に、ジグザグに走って逃げるべき」ってアドバイスを武器商人からされたり、内通者がいると分かっているのに基地を移動させようとしなかったりと、その能力に疑問符が付いてしまう辺りも残念。  物語を面白くする要因なはずの「内通者の正体」に関しても、どうも扱いが下手だった気がしちゃうんですよね。  作中で特にヒントも出していないから「犯人探し」を楽しむ事も出来ないし、犯人のキャラ付けに関しても「嫌味な金持ちその1」という没個性的な代物でしかなかったので「良い奴だと思っていたのに、裏切り者だったのか……」という意外性も無し。  そんな裏切り者を殺す際に「クソ銀行屋め」と言わせたりするのも、如何にもって感じがして、ノリ切れませんでしたね。  この手の「皆もサブプライムローン問題には怒ってるでしょ? だから映画の中で銀行屋を懲らしめておいたよ」というパターンは流石に食傷気味で、ちょっと興醒めしちゃったくらいです。   そんな欠点の多さに比べると、良かった部分を探すのは大変だったりするのですが……その数少ない「良かった部分」が、かなり自分好みなんですよね。  主人公が戦友と交わす会話「国のために戦ったのに報われない」「金のために戦おう」にはグッと来ちゃったし「今はトレーラーハウス暮らしの無精髭な主人公が、実は伝説の軍人だった」って設定も、男の浪漫をくすぐるものがあります。   ナイフを用いての決闘で、敵にトドメを刺すシーンも恰好良く決まっていたし、水上バイク同士を衝突させて爆発させるとか、アクション映画として見栄えの良い場面がしっかり詰まっているのは、文句無しで長所だと思いますね。  ラストシーンにて、花火を打ち上げたり、争いの種となっているレアメタルを海に投げ捨てたり、水鉄砲で子供達と遊んだりしている光景を描き「島を独裁者の手から解放した」喜びを感じさせて終わる辺りも、ハッピーエンド感があって良かったです。   そういった具合に、確かな魅力も秘めている映画であるだけに(ここは、もっとこうすれば良かったのに……)って、歯痒くなっちゃいますね。  せめて「富豪部隊」の面々が善意に目覚めていく流れだけは、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったです。  例えば、事前に島民の子供との交流を描き、この子達を救いたいと思って金持ち連中が立ち上がるとか、そういう展開にしておけば、もっと感動出来たろうし、胸を張って「隠れた傑作」と言えた気がします。   「クリスチャン・スレイターが主演で、彼の恰好良い場面がちゃんとある」というだけでも、自分にとっては「良い映画」なのですが……中々他人には薦めにくい一品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2018-12-05 21:39:05)
347.  もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 《ネタバレ》 
 高校野球を題材にした映画としては、良く出来ていると思います。   才能はあるけど問題児なエース、苦労性で縁の下の力持ちな正捕手、足だけが取り得の代走屋、少女のように華奢で小柄な遊撃手と、漫画的で分かり易いキャラクターが揃っているし、マネージャー三人も「元気な子」「内気な子」「病弱な子」と色分けされている形。  ブラスバンドの演奏にはテンション上がるものがあるし、九回裏に先頭打者が凡退して悔しがる姿なども、きちんと描いている。  試合前に円陣を組み「程高、勝つぞぉっ!」と皆で叫ぶ場面も、気持ち良かったですね。  投球フォームやら何やらに違和感があるし、ヒロインが重そうに金属バッドを振っているのに「フォンッ」と鋭く空を切る音が聞こえちゃう場面なんかは頂けないけど、まぁ仕方ないかと納得出来る範疇でした。   でも、根本的な問題があって……  そういった「王道な高校野球もの」としての部分は面白い反面「ドラッカーのマネジメントを読んで、それを高校野球に活用する」部分が微妙という、困った事になっているんですよね。  タイトルに関しても偽りありというか、これなら「もし高校野球の女子マネージャーが余命幾ばくもない病気だったら」の方が正確だったんじゃないかと。  そのくらい「病弱な子」の存在感が強く、ヒロインの陰が薄かったように思えます。   作中で行われる「イノベーション」の内容についても、どうにも疑問符が多いんですよね。  「部内でチーム分けを行い、競争意識を高める」「吹奏楽部に演奏を頑張ってもらう」などについては(それ、当たり前の事じゃないの?)と思えちゃうし、ノーバント作戦はともかくノーボール作戦に関しては、ちょっと説得力が足りていなかった気がします。  多分、ノーコンで悩んでいた石井一久が「全球ストライクゾーンに投げろ」と言われてから活躍するようになった逸話を踏まえての事なのでしょうし、エースの慶一郎が150キロ左腕なら可能かも知れませんが、そんな怪物投手という訳じゃないみたいですからね。  もうちょっと「この投手なら、全球ストライクで勝負しても抑えられる」と思えるような場面が欲しかったところ。  ・エースの慶一郎=「病弱なマネージャーと良い雰囲気になる」→「仲間を信頼し、最終回のマウンドを他の選手に託す」 ・キャッチャーの次郎=「ヒロインと良い雰囲気になる」→「病弱なマネージャーの為に本塁打を放つ」 ・遊撃手の祐之助=「エースとの間に確執がある」→「ヒロインの話を参考にしてサヨナラ打を放つ」   という形になっているのも、何だかチグハグに思えましたね。  チーム内で色んな人間関係があるのは結構な事ですが、本作の場合は「エースと遊撃手」の二人「キャッチャーと病弱なマネージャー」の二人というグループに分けた方が自然だった気がします。  そうすれば……  ・「エラーを巡って喧嘩していた慶一郎と祐之助が、和解する」→「慶一郎は仲間を信頼するようになり、マウンドを他の選手に託す」→「その心意気に応える為、祐之助がサヨナラ打を放つ」  ・「次郎は幼馴染である病弱なマネージャーと良い雰囲気になる」→「彼女の為に本塁打を放つ」   となるし、後はヒロイン格を「病弱なマネージャー」ひとりに絞りさえすれば、綺麗に纏まったんじゃないかと。   そんな具合に、不満点も多いんですが「仲間にマウンドを託す場面」と「ベンチに置かれた麦わら帽子に手を触れてから打席に向かい、本塁打を放つ場面」の演出は、凄く好きなんですよね。  同監督の作品「うた魂♪」もそうでしたが「観ていて恥ずかしくなるくらいベタな演出なんだけど、やっぱり良い」と思わせるような魅力がある。  最後にセーフティーバントを敢行し「ノーバント」作戦を破る流れについても「そもそも禁止されたのは自己犠牲を目的としたバントなので、問題無い」あるいは「拘りを捨ててでも勝ちたいという強い気持ちがある」と解釈出来て、良かったと思います。   後は……「今年も一回戦負けなので、背番号が全然汚れない」というマネージャーの台詞があったので、決勝戦では「汚れた背番号を誇らしげに見つめるマネージャー」という場面に繋がるのかと思ったら、全然そんな事は無くて拍子抜けしちゃったとか、気になるのはそれくらいですね。  エンディング曲の歌詞は野球と全然関係無かったけど、まぁそれは「熱闘甲子園」などにも言える事だし、明るく爽やかな青春ソングなので、違和感も無かったです。   この後の程高野球部が、甲子園でどこまで勝ち進むのかも観てみたくなるような……劇中のチームに愛着が湧いてくる、良い映画でした。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-03 07:32:16)(良:1票)
348.  グリース 《ネタバレ》 
 青春映画の金字塔、なんていうベタな一言が似合う作品ですね。  日本での知名度はさほどでもないような気がしますが「後年の映画において頻繁に名前が出てくる事」「パロディの対象となるのも多い事」が、その影響力の強さを窺わせてくれます。   思うに、主人公とヒロインが最初から両想いであり、彼らの恋の行方そのものよりも「本当は真面目な自分」「でも仲間の前では強がって、不良ぶってみせる自分」という二面性の葛藤がメインになっている辺りが、当時としては新しく、革命的だったのではないでしょうか。  後の「ハイスクール・ミュージカル」「glee/グリー」にも通じるテーマ性があり、映画史やドラマ史について考える際にも、本作の存在は無視出来ないように思えます。   ……とはいえ、そんなアレコレは無視しちゃって、映画単体として観賞しても、しっかり楽しめる内容となっていますよね。  体操着姿が全然似合わないトラヴォルタが、彼女の為に不良からスポーツマンに生まれ変わろうと悪戦苦闘する姿は微笑ましいし、ラストにて不良少女なファッションに身を包むオリヴィアの姿も、実にキュート。  やたらと登場人物が多い映画なのですが、この主役二人のキャラがしっかり立っている為、安心して観賞出来た気がします。   俳優達が老けていて高校生役は無理があるとか、ラストまで引っ張った挙句に「妊娠してなかった」の一言で済ませちゃうのは酷いとか、欠点も色々目に付いちゃうんだけど、そんな完成度の低さ、隙の多さが、また「青春映画」らしくも思えるんですよね。  ダンスにレースと、山場が二つある事に関しても(どっちか片方に絞った方が、綺麗に纏まったんじゃない?)って感じてしまうんですが、そんな野暮な観客の疑問に対し「ダンスシーンもレースシーンも、両方やりたかったんだよ」と、作り手が堂々と答えているかのような大らかさ、潔さが画面から伝わってくるんです。   時代遅れなはずのファッションも、四十年後の目線で見れば斬新で恰好良く思えたりもするし、とんでもない火力のライターを使って煙草を吸うシーンなんかには、憧れちゃうものがありましたね。  ミュージカル部分も素晴らしく、ボロボロの車を綺麗に作り直して「グリース・ライトニング」と名付ける場面は本当にテンション上がったし「美容学校を落第」なんていう歌詞の曲を、物凄くロマンティックに唄ってみせるシーンなんかも、惚けた魅力があって好き。  ドライブインシアターで「絶対の危機」の予告編が流れているのも(監督の趣味なのかな?)と思えたりして、微笑ましかったです。   そんな中でも特筆すべきは「教師キャラ」の描き方であり、本作は不良少年達を主役にしておきながら「悪い大人」である教師が一切登場していないんですよね。  校長も、体育教師も、車の改造を手伝ってくる女教師も、揃いも揃って良い人であり、憎まれ口を叩く事はあっても、決して主人公達を見放したりはせず、温かく見守ってくれる。  それゆえに本作においては「大人は分かってくれない」と少年達が絶望する事もなく、悲劇的な結末は迎えずに、ハッピーエンドへと着地してくれるんです。  この手の「不良少年もの」で、ここまで優しい大人達が揃っている作品は初体験だったもので、本当に斬新に感じられたし、その歪さを感じさせない公正な世界観が、凄く心地良かったです。   卒業カーニバルにおける「生徒が教師にパイを投げつけるゲーム」も、そんな本作の「教師と生徒の関係性」を象徴する一幕であり(仲が良いなぁ……)と、観ていてほのぼの。  ラストにて「卒業したら、バラバラになるのよ」「そうなったら、もう会えないかも知れない」という会話シーンがあり、しんみりした寂しい別れが描かれるのかなと思ったところで「いや、心配ないって」と主人公が言い出し「いつまでも、みんな仲間」という歌詞の曲を歌って、明るく楽しく終わってみせるのも、実に気持ち良かったですね。   最後は主人公カップルが車に乗って、空を飛んで終わりというのも、普通なら(もしや、卒業式の夜に事故死して天国へ行ったという寓意?)なんて考えてしまいそうなものなのに「いや、この映画に限って、それは無い」と断言出来てしまうような、力強い明るさがある。  眩しいくらいの輝きを感じさせる、素敵な映画でありました。
[DVD(吹替)] 8点(2018-12-02 14:13:16)(良:2票)
349.  コップ・カー 《ネタバレ》 
 観終わった後に上映時間を確認し(えっ、88分しかなかったの?)と思ってしまった事が印象深い。   体感としては二時間越えの映画に思えた訳ですが、中身が濃かったというよりも「一時間以内に片付けられるストーリーを、無理矢理引き延ばした」感があったりしたのが辛いですね。  とにかく演出の「間」が長くって(早く次の展開に移ってくれないかなぁ……)って、じれったい気持ちになる場面が多かったです。   それが最高潮に達するのが、ケヴィン・ベーコン演じる警官が車泥棒する場面であり、ここは本当に観ていてキツかったですね。  窓の隙間から靴紐の輪っかを通して、それで車内のロックを解除しようとする流れなんだけど、観客を焦らすように繰り返し失敗したりするもんだから、やりきれない気分になっちゃいました。  それだけ時間を掛けた訳だから、成功の際の達成感も大きくなる……って訳でも無くて、成功の寸前にカメラが切り替わり、次の瞬間には靴紐の輪っかが不自然に小さくなっていたりしたもんだから(あっ、ズルしたな)と思えて、作り手の不誠実さに幻滅しちゃったくらい。  この場面に関しては、もうちょっと上手く撮って欲しかったです。   少年達が家出した理由を「義理の父親」「お婆ちゃん子」などの断片的な情報だけで片付けたり、警官達が具体的にどういう理由で殺し合ったのかが謎だったり、終いには負傷した少年の生死も曖昧なままエンディングを迎えたりと、やたら説明不足なのも気になりますね。  この辺りは「無駄な説明を削ぎ落とした、スタイリッシュな話作り」「観客の想像力に訴えかけ、余韻を残す終わり方」と褒める事も出来そうなんだけど、自分としては「投げっぱなし」って印象の方が強かったです。   ……とはいえ、良かった部分も色々あって、一概に「嫌いな映画」とも言えないんだから、全くもって困り物。  主人公となる少年二人が「悪ガキなんだけど、愛嬌があって憎めないタイプ」だった訳だけど、この映画も丁度そんな感じだったりするんですよね。  自分としては「間延びした演出」「説明不足なストーリー」は明らかに欠点だと思うんですが、それを補うだけの長所も備え持っているという形。   何と言っても「男の子達がパトカーを手に入れて、好き勝手に乗り回す」という楽しさを、きちんと描いている点が良かったと思います。  映画でこういう展開があっても、すぐに大人に見つかって止められたりするものなんですが、本作はたっぷりと尺を取って「子供がパトカーを使って遊びまくる」場面を描いているんですよね。  何せ二人きりの「子供の時間」が破られ、トランクの中から大人の男が出てくるのが88分中48分を過ぎてからというんだから、凄い話です。  作り手側にとっても、後半の銃撃戦やら何やらは余戯に過ぎず「子供がパトカーで遊ぶ」場面の方をメインにしたかったんじゃないかなぁ、と思えてきます。  少々ブラックな内容ではありますが、ある意味では「子供の夢を叶えてくれる映画」と呼ぶ事も出来そうな感じですね。   敵役のはずの警官に関しても、演者であるベーコンの力量ゆえか、妙な魅力があったりして、これまた憎めない。  身の破滅を悟り、自宅に隠しておいた金塊やら何やらを掻き集めて逃げ出そうとする件なんて、特に好きですね。  この場面では、つい彼を応援しちゃって、無事に逃げ延びて欲しいなと思わされたくらいです。   中盤「そんな風に銃で遊んでいたら危ないぞ」と観客に思わせておき、終盤にて「それみた事か」とばかりに、少年達の片方が弾を受けて負傷する展開になるのも、上手い伏線回収の仕方でしたね。  ラストシーンに関しても「友達を救おうとしてパトカーを運転し、それまで出せなかった速度を出してみせる」「大人に背を向けて家出した少年が、無線に応答して、今後は大人と話し合っていく未来を示唆する」といった感じの演出が行われており、投げっぱなしな終わり方ではありますが「独特の味わい深さ」のようなものは、確かにあったかと。   総評としては、才能ある若手監督の作品に相応しい「粗削りで欠点も目立つが、光るものを秘めた映画」って感じになるでしょうか。  正直「楽しかった」「面白かった」って印象は然程残っていないんですが、忘れ難い魅力を秘めた、記憶に残る一品ではあったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2018-12-02 10:21:07)
350.  スパイダーウィックの謎 《ネタバレ》 
 子供が活躍する映画は好きなはずですが、今一つノリ切れませんでした。  ファンタジーでありながらスケールが小さくて「籠城物」の要素がある辺りも良かったとは思うのですが、どうも心に響いてこない。   単純に演出やら何やらが好みに合わなかっただけかも知れませんが、こういう「好きな映画のはずなのに何故か楽しめなかった」パターンって、非常にモヤモヤしますね。  基本的には「好き」に分類される為、欠点を論うような真似をすれば罪悪感が生まれるし、かといって積極的に褒めるのも気が咎めるという、何ともコメントに困る状況。  とはいえ「理由は良く分からないけど微妙だった」で済ますのも不誠実でしょうから、以下は自分なりに感じた長所と短所を。   冒頭で姉がフェンシングをやっている事や、窓に塩が付いている事が実に分かり易い伏線となっており、それらがキチンと回収される点など、脚本はしっかりしていたと思います。  鳥好きのホグスクィールが「美味しいところを頂いていく」オチも良かったですね。  昆虫のアップや粘液の描写なども一応ありましたが、嫌悪感を抱くような描き方でなかった辺りも、嬉しいポイント。   で、気になる点としては……両親の離婚問題についてが挙げられるでしょうか。  最終的に主人公の少年は「母親と一緒に暮らす」という結論を下し、そこは中々感動的に仕上がっていたけれど、これって「父親が他に女を作っていた」と知った上での選択なので、作中の事件に密接に関係していないのですよね。  別に世界の危機を救うような体験をしていなかったとしても、そりゃあ母親の方を選ぶのが当然だよなという感じで、ちょっとエピソード間の繋がりが弱かったんじゃないかと。  ここで(今回の事件を通じて母子の絆が深まったのだ。だからこそ主人公は父親ではなく母親の方を選んだ)と感じさせるものがあれば、作品全体の印象も変わっていた気がします。   正直、退屈に感じた時間の方が長かったりもしたのですが「花の中から妖精のスプライトが飛び立つシーン」や「魔物が見えるようになるリングを手にし、フェンシングの剣で戦う女の子のシーン」など、印象的な場面も幾つかありましたね。  その為、それなりに(観て良かったな……)と思えた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2018-11-19 12:45:12)(良:1票)
351.  ハッピー・フライト(2003) 《ネタバレ》 
 答案の摩り替えが「ハートマーク」によって判明するシーンに吃驚。  (いやいや、そんな訳ない。これは彼女に濡れ衣を着せる為に第三者が行った事だろう? だって、摩り替えた答案にわざわざ特徴的なハートマークなんて書いてある訳ないじゃん!)  と思っていたら、本当に彼女が犯人というオチだったのだから恐れ入ります。   突発的な思い付きによる犯行だったとしても、これだけ両者の筆跡に明確な違いがあるならば、普通は「摩り替えよう」なんて思わないだろうと、盛大にツッコんでしまいましたね。   一応は主人公の親友という立場であったのだし、別れのシーンでは謝罪と反省の言葉を述べさせて、それなりに綺麗にまとめてみせるか……という予想も裏切られ、互いに口汚く罵りながらのキャットファイトに発展した時には、もう唯々呆然。  ここのシーンって、作中では善玉として扱われている主人公も、親友の窃盗癖を黙認していた時点で同罪じゃないかという気がするし、何だか喧嘩している二人とも「嫌な女」に思えてしまって、観ているのが辛かったです。   主演のグウィネス・パルトロウは好きな女優さんだし、映画全体としては演出のテンポも良く、音楽の使い方も的確で、退屈する事無く観賞出来ただけに、脚本が肌に合わなかった事が、残念で仕方ない。   それでも、最後はハッピーエンドで〆てくれましたし、スタッフロールと共に流れるNG集では、上述の女優さん二人が仲良く喧嘩の演技をしている姿にホッとさせられたしで、不思議と後味は爽やか。  大きな欠点があるかも知れないけれど、小さな愛嬌を幾つも感じられて、どうにも憎めない映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2018-11-17 19:10:52)
352.  ミクロキッズ 《ネタバレ》 
 漫画「刑務所の中」にて、囚人が所内で観賞させてもらったビデオ映画として本作の名前が挙げられており、驚いた記憶がありますね。  これを観たら、さぞかし家族が恋しくなってしまうのでは……と思わされました。   作品そのものに関しては、これぞ安心して観られるファミリー映画といった印象。  ミクロ化してしまったら、散らばる機械の破片だけでなく、降り注ぐ水滴さえも兵器のような威力に感じられるという内容が、とても面白いですよね。  こういった設定であれば、間違いなく期待してしまうであろう「食べ物」「昆虫」などの要素を忘れず押さえてくれているのも嬉しい。  色々と知的好奇心をくすぐるものがあり、ちょっと穿った見方をするならば「教育ママが幼い我が子に観せたくなるような映画」という評価を下す事も出来そうです。   何よりもこの映画の優れた点というか、バランスの良さは、全編にわたって心地良いユーモアが散りばめられており 「たとえ子供がミクロ化しなかったとしても、この家族達のドラマなら面白そう」  と感じさせてくれる事にあると思います。  実際、自分なんかは冒頭部分の「宗教上の理由で別れたカップル」「小柄な息子と大柄な父親」などの件でも、充分に楽しめましたからね。  さながら連続ドラマの中の一話として「今度は子供達が小さくなる話」というのを観せてもらったかのような感覚。   大きなサプライズ展開も無く、強烈な感動を味わう事は難しいかも知れませんが、安心して心地良い作中世界に浸る事が出来る。  そんな映画です。
[DVD(吹替)] 7点(2018-11-13 21:28:44)(良:1票)
353.  ランダウン/ロッキング・ザ・アマゾン 《ネタバレ》 
 これは……ちょっと雑な作りの映画であるように思えます。   例えば主人公は「あえて銃を撃たないタフガイ」という設定であり、劇中でも「銃は持っていくな」という歌詞の曲が流れるくらいの徹底振りなんですが、そんな彼が「とうとう自らのルールを破って、銃を撃つシーン」のカタルシスが弱いんですよね。  そもそも「過去に悲劇的な事件があって銃を撃てなくなっていたが、友を助ける為にトラウマを克服して引き金をひいた」とか、そういう展開な訳でもなく「銃を使うと大変な事になるから」という、一種の「強過ぎる自分を縛る為の枷」みたいな認識で銃を撃たずにいただけであり、窮地に陥ったら「やっぱり銃を撃たないと無理そうだから撃つ事にする」と考え方を変えただけというんだから、観ていて拍子抜けです。  じゃあ、いざ銃を使ったら無敵の存在になるのかなと思っていたら、最初こそ恰好良く撃ちまくっていて良い感じだったのに、敵の中ボス格である鞭使い達が出てきたら、途端に苦戦して銃を奪われ、結局は肉弾戦になっちゃうという始末。  アクション自体は主演のザ・ロックの熱演もあってクオリティが高かっただけに、この辺りの脚本の雑さが、凄く気になっちゃいました。   ラストに関しても「コンラボスによる幻覚」のギャグで終わらせたかったんだろうけど(どうせトラビスを逃がすなら、わざわざ連れて帰らなきゃ良かったのに……)って思えちゃうしで、最後までスッキリしないんですよね。  多分「主人公は義理堅い男なので、一度請け負った仕事は果たす事にした」→「まさか息子のトラビスに害は加えまいと思っていたのだが、そうではないと気付いて逃がす事にした」って流れなんでしょうけど、それならもっとハッキリ「このままだとトラビスは殺されてしまう」くらいの危機感を抱かせる演出にして欲しかったところです。   そんな具合に不満点も多いんですが……どうにも嫌いになれない愛嬌も備わっているんですよね、この映画って。  ザ・ロックと、ショーン・ウィリアム・スコットが共演しているというだけでも、二人を好きな自分としては嬉しくなっちゃうし、ちゃんと彼らを魅力的に撮ろうという意気込みは伝わってくる。  冒頭で顔見せしたシュワルツェネッガーに、主人公から指輪を奪った同僚という強烈なインパクトを残す二人が、それっきり出番無しで終わったりもするんですが「とりあえずスターをカメオ出演させておいた」「良い味出してる小人の俳優がいたので、とりあえず出しておいた」という茶目っ気が感じられて、憎めなかったです。  「エルドラド」が「ヘルドラド」に書き換えられている看板や、敵のボスが「歯の妖精」について部下に説明する件なんかも印象深いですね。   願わくば、もうちょっと主役二人の掛け合いを魅力的に描いてくれていたら「嫌いじゃない映画」から「好きな映画」に変わっていた気がする……  そんな、勿体無い一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-10-28 18:16:29)
354.  プリシラ(1994) 《ネタバレ》 
 冒頭のシーンにて、主人公の衣装や化粧よりも「えっ、口パクなの!?」と、その事に吃驚。   男性が女性の扮装をしている事も併せ「本当は女性の歌声を出したいけれど、出せない切なさ」を表現しているのかも知れませんが、自分としては (たとえ下手でも良いから、自分の声で唄って欲しいな……)  と思ってしまい、作中の口パク歌唱ショーに対して「凄い!」と感じる事が出来ず、残念でしたね。  せっかくクライマックスのショーは盛り上がっていたのに、何だか映画を鑑賞している自分だけが、置いてけぼりを食らったような気分。   脚本に関しては、非常に凝っており、観客を油断させない作りになっていたと思います。  例えば……  1:酒場で主人公達が白眼視される。 2:飲み比べに勝利したりして、何とか友好的なムードになる。 3:ところが翌朝になると、主人公達の車には「エイズ野郎」との落書きが……   という三段仕掛けになっている場面なんて、意地悪だけど上手い。  その他、移動中の車内にて生い立ちについて話す際にも「幼児期に性的悪戯を受けていた過去がある」と思わせておいて、実は「悪戯しようとした不埒な大人をこらしめてやった」痛快譚だったと種明かしする流れにも、大いに感心させられました。   また、同性愛者を過度に美化しておらず、等身大の「ズルい」人間として描いている辺りも好印象。  母親に対し「旅に出たら異性愛者になれるかも」と騙す形で、一万ドルの車を買ってもらった件は流石にどうかと思いましたが、仲間が過去に女性と結婚していたと知って「気味悪い」と言い出す辺りなんかは、非常にリアルであるように思えましたね。  アジア人女性の「ピンポン玉」の芸を下品と思って嫌がる描写があったのも「主人公達は迫害される側の人間ではあるが、そんな彼女達だって下品なものを嫌う感覚は、当然持ち合わせている」と悟らせる効果があり、非常に人間らしい存在である事が伝わってきました。   終盤「キングスキャニオンにハイヒール姿で立つ」という長年の夢を叶えた後に、真っ先に思う事が「うちへ帰りたい」というのも、何だか切なくて良かったですね。  あそこの件は「夢を叶えてみせた達成感」と同時に「夢を叶えてしまった喪失感」とも言うべきものが感じられて、実に味わい深いものがありました。   ガイ・ピアース演じるフェリシアが、幼い少年に懐かれて兄貴分(姉貴分?)のようになっている姿も、とても微笑ましくて好み。  この組み合わせが終盤にしか登場しない事が、寂しく思えたくらいです。   最初の内は、登場人物達への戸惑いが大きく、距離を感じていたはずなのに、エンドロールが流れる頃には愛着が湧いてしまって、彼らと離れ難い気持ちになる。  そんな切なさを秘めた、不思議な映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2018-10-28 11:19:36)
355.  デッドロック(2002) 《ネタバレ》 
 監督はウォルター・ヒル、主演はウェズリー・スナイプス、おまけにピーター・フォークまで出演しているという布陣ゆえに、大いに期待を抱いて観賞した一本。   まず、正規の世界王者、ヴィング・レイムス演じるアイスマン側の尺が、予想以上に長い事に驚きました。  この映画のクライマックスは「表世界の王者VS裏世界の王者」という両者の対決なのですから、片方だけにバランスを偏らせなかった構成は正解なのかも知れませんが、戸惑いの方が大きかったというのが正直なところです。  理由としては、アイスマンに「もう一人の主役」と呼ぶに相応しい魅力を感じられなかった事が大きいですね。  レイプ容疑も冤罪とは思えないし、性格も「良い奴」とは程遠く、長時間にわたって彼にスポットを当てられると混乱してしまいます。  傲慢な悪役としては、中々に憎たらしくて味があると思いますし、ラストの刑務所帰りの姿には改心したような雰囲気も漂っていたので、決して嫌いなキャラクターではないのですが、作中での扱いに疑問が残りました。   そして、囚人側の王者、スナイプス演じるモンロー。  こちらは流石に存在感を放っており、飄々とした姿が魅力的ではあるのですが、今一つ「何故強いのか」の描写が足りていなかったように思えます。  刑務所という環境にあっても、物凄く厳しいトレーニングを積んでおり、食生活にも細心の注意を払っている……という事が大して伝わって来なくて、独房で黙々と模型作りに耽っていた姿ばかり印象に残ってしまう形。  ピーター・フォーク演じるボクシング通の老人メンディが、トレーナーとしてモンローの強さを支えているのだろうかと予想していたのですが、それも肩透かしでした。  余計な描写を挟まず「スナイプスだから強いんだ、文句あるか」と突き放してみせるのも、それはそれで痛快ではあるのですが、それならばボクシングシーンで完全にファンタジーな強さを見せ付けるくらい思い切った方が良かったのではないかと。  全体を通してリアルな雰囲気が漂っている作品であっただけに、逆に「リアルじゃない」部分が目立ってしまう形になっているように感じられました。   それでも、ラストシーンにて 「世間の連中はアイスマンが世界最強の王者だと思っているが、本当の王者は刑務所にいるモンローなのだ」  という秘密を、囚人達が誇らしげに共有しているという顛末は好み。   続編が二本も作られているとの事ですが、それも納得してしまうような、粗削りな魅力を秘めた作品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2018-10-25 22:54:18)
356.  アラクノフォビア 《ネタバレ》 
 冒頭の南米でのパートが、ちょっと長過ぎた気がしますね。  巨大な滝など、壮大なスケールの自然を拝ませてもらってテンションは上がりましたが、そこを舞台に二十分近くも引っ張ったのは、バランスが悪かったんじゃないかと。  (そうか、これは秘境を舞台にした冒険物だったのだな……)と感じ始めた矢先に、都市部の物語に移行する形なので、観ていて(えっ、そっちだったの?)と戸惑っちゃいましたからね。  物語の導入部に過ぎないなら、南米の件は十分以内に収めた方が良かったのではないかな、と思います。   そんな具合に、序盤で作品への不信感が芽生えてしまったせいか、以降も殆ど楽しむ事は出来ず仕舞い。  丁寧に作られた、真面目な映画だとは思うのですけど、その真面目さが「面白みに欠ける」「退屈」という印象に繋がってしまった気がします。  日常生活の中で、知らぬ間に小さな毒蜘蛛が脅威として迫っている……という描写にしても、子供が本を落とし、その上に足を乗せるだけで踏み潰せちゃう程度の脅威な訳だから「怖い」とは思えなかったりしたんですよね。  主人公家族が都会の生活に戻り、田舎を馬鹿にした台詞を口にして終わりっていうのも、ちょっと後味悪い。   蜘蛛の巣が我が家にあると気が付き、主人公が戦いを挑む終盤の展開は中々に面白かったですし、観賞中ずっと退屈だったという訳では無いのですが、正直「良かった」と思える部分が少ないですね。  そもそもタイトルからして「アラクノフォビア」=「蜘蛛恐怖症」なのだから、蜘蛛に対して怖いというイメージを全く持っていない自分が観たのが間違いだったのかも知れません。  肌に合わなかったのが残念な一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2018-10-22 12:39:49)
357.  地獄の変異 《ネタバレ》 
 某探検隊風の予告編とは異なり、コメディ要素は皆無で、至って真面目に作られた一品ですね。   洞窟内の映像も美しく、しっかり作り込まれているのが伝わってきます。  ……ただ、どうも真面目過ぎるというか、強くダメ出しする部分も無いけど、大きく褒める部分も見つからない。  退屈はしなかったけれど、面白いとも感じなかったという、何とも微妙な印象を受けてしまいました。   楽しめなかった理由を分析してみるに、まず全編に亘って舞台が洞窟内に絞り込まれており、洞窟外のシーンが僅かしか存在しないので、息苦しい構成になっている事。  そして「主人公の兄が怪物に変異して敵対するのかと思いきや、最後まで味方のままで終わる」事が大きかったのではないでしょうか。  この辺りは「徹底して洞窟探検に拘った、潔い映画」「観客の予想を裏切る脚本」と褒める事も出来そうなんですけど、自分としてはマイナス点に感じられましたね。  前者に関しては、やはりずっと洞窟内のままだと画面が代わり映えしなくて単調になってしまうし、後者に関しては「頼れる兄との対比で情けない弟だった主人公が、最後まで情けないまま成長せずに終わる」という落胆に繋がってしまった気がします。   終盤の怪物達との戦闘、そして兄が完全に怪物になってしまう前に自己犠牲で相打ちとなる事を選ぶ展開などは良かったと思うのですが、実はヒロインも地底生物に寄生されており「怪物が地上に解き放たれてしまった」という後味の悪いオチが付く辺りも、ちょっと微妙。  ここの部分、ヒロインが寄生されていると分かった時の音楽や演出などが「えっ、何? まだ終わっていなくて続くの?」と思わせる感じだったもので、その後すぐ音楽が止んで完結を迎えるのが、何かチグハグだったのですよね。  それなら「実は彼女も寄生されていた」という衝撃と共に映画を終わらせる……具体的に言うと「ヒロインが立ち去る場面」で、そのまま終わらせて「主人公がヒロインを追いかけようとするけど見つからなくて途方にくれる場面」の数十秒はカットした方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と思えました。   それにしても「カタコンベ」といい「ディセント」といい、地下を舞台としたホラー映画って後味が悪いというか(うわぁ……)と感じさせる終わり方が多いですね。  これって偶々なのか、それとも「やっぱり地下系ホラーは、こういう終わり方じゃないとな!」という拘りのようなものが存在しているのか、気になるところです。
[DVD(吹替)] 5点(2018-10-15 19:06:44)(良:3票)
358.  顔(1999) 《ネタバレ》 
 喪服のままで強姦されて、純潔を散らす事となった主人公の正子。  そんな彼女が相手の男に対し「これ、あげる」と香典を渡すシーンが印象的でしたね。  流石に気味が悪かったのか、突き返そうとする男を罵倒するように「取っとけ!」と啖呵を切る姿なんかも、妙に格好良くて、惚れ惚れする思い。  美しい妹を殺してしまったがゆえに、逃亡犯としての旅に出る事となった正子だけど、本当の意味で「生まれ変わった」「旅する決意をした」のは、この瞬間であったように感じられました。   その妹との確執に関しても、短い尺の中で巧く描いており「お姉ちゃんの存在が恥ずかしかった」と言わせた辺りなんかは、大いに感心。  他人ならば何ともないのに、家族だからこそ「その存在が恥ずかしい」という感情が湧き出てくる訳で、それを的確に表現している台詞ですよね。   全体的に、暗い作風とも明るい作風とも言い難いものがあって、暗いというにはあっけらかんとしているし、明るいというには陰鬱過ぎるという、不思議なバランス。  この独特の空気感を心地良く感じる人もいそうですが、自分としては、ちょっと苦手だったりもしました。   妹殺害のシーンなども「直接殺した光景は描かないで、まず主人公が風呂場で自殺未遂を起こす姿を描く」→「その後に旅支度を始める主人公の足元で、妹が死体となって倒れているのを、サラッと映し出す」という演出になっており、上手いなぁと感心する気持ちと、ちょっと回りくどいよなと思う気持ちが半々になったりして、どうも素直に褒められない、肌に合わない部分が目に付いてしまったのです。  作中で最も悲劇的に描かれていた「流産」に関しても、主人公が信じる「輪廻転生」に共感が持てなかったりしたもので「あぁ、彼女なりに妹を愛していたんだなぁ……」と冷静に考える程度で終わってしまい、感動にまでは至らず、残念でした。   その代わりのように、主人公が成長するロードムービーとしての魅力は感じ取る事が出来て、そちらに関しての満足度は高め。  旅の中で、周りの人達と交流し、自転車の乗り方を習い、泳ぎ方を習い、それが結果的に「土壇場で逮捕の手を逃れる手段」に繋がるストーリーが、実に皮肉で面白いんですよね。  主人公のモデルになった、ホステス殺人事件の犯人と思しき女性と、喫茶店で会話を交わしていたと判明する瞬間なども、観ていて驚かされ、印象的な場面でした。   また、本作においては、実際の事件と違って「整形」という要素を用いなかった辺りも、良い判断だったかと。  何せ主演の女優さんが演技巧者なものだから、最初は生気を失った顔だった主人公が、段々と生き生きして魅力的になり、まるで別人のような「顔」に変わっていく様を、説得力満点に演じてくれているのですよね。  全体のストーリーラインをなぞれば、非常に胡散臭い話であるはずなのに、不思議なくらい真実味を帯びて感じられたのは、やはり彼女の存在が大きかったからなのだろうな、と思えます。   お世話になった女性の律子さんに電話を掛け 「ごめんなさい」「ありがとう」  という想いを伝える件なんかも、凄く良かったですね。 「死ぬぐらいやったら、逃げて」「お腹が減ったら、ご飯食べて」  という励ましの言葉を、手首に傷のある律子さんが口にするのだから、何とも切なくて、情感溢れる名場面。   恐らく、本作の主人公は「逮捕されてしまえば罪悪感に耐え切れず、留置場や刑務所で自殺してしまう」と分かっているからこそ、懸命に逃げ続けているのだと思われます。  そんな事情を加味したとしても、現実逃避、罪から逃れるという行いは、間違いなく悪い事なのでしょう。  それでも、たとえ悪だとしても死よりはマシだ、前を向いて走って、逃げ続けて生きるべきなんだ、というメッセージが窺える、味わい深い映画でありました。
[DVD(邦画)] 6点(2018-10-12 00:25:36)(良:1票)
359.  ブルークラッシュ 《ネタバレ》 
 この監督さんは、海を美しく撮るのが上手いなぁ……と、改めて実感。   海と、水着美女、爽快感のあるサーフィンの映像。  それらが画面に映っているだけでも満足しそうになるのですが、内容については、正直疑問符が付く代物でしたね。  同監督作の「イントゥ ザ ブルー」は結構楽しめたのに、本作を微妙に感じたのは何故だろうと、自分でも不思議。   理由を分析してみるに、主人公が女性である事が大きかったように思えますね。  ある日突然、理想の王子様が現れてくれる。  でも、それに溺れる事は無く、スポーツの分野でも成功してみせて、仲の良い女友達が沢山いて、陰口を叩くセレブ女には強気に対応してみせてと、如何にも女性が憧れそうな人物像。  それだけに、ちょっと距離を感じてしまったというか(あぁ、女性が観たらこのシーンは痛快かも知れないな)なんて思いながら、他人事気分で観賞する形になった気がします。   主人公がNFLの選手達にサーフィン指導を行うという形で「初めてサーフィンに挑戦した時の喜び」を劇中で描いている辺りは、凄く良かったのですけどね。  こういう初心者に配慮した作りって、とてもありがたい。  ……ただ、それなら劇中の大会ルールについても「彼氏に質問させて、主人公に簡潔に答えさせる」という形で、観客に教えてくれても良かったんじゃないかと思えるのですが、これは我儘というものでしょうか。   後は、主人公が大して努力しているようには見えなかった辺りも難点。  冒頭にてトレーニングしているし「これまでアンタがどれほど努力してきたか」という台詞もあるんだけど、映画を観る限りでは「男とイチャついてばかりで、殆ど練習していなかった」としか思えないし、あんまり彼女を応援する気になれなかったです。  「優勝を逃す」というオチについても、普通なら(あれだけ頑張ったのに……)と涙腺を刺激されそうなものなのに、本作に限っては(まぁ、練習してなかったんだから当たり前か)と納得してしまい、感情を揺さ振られず仕舞い。   一応、優勝したのと変わらないくらい皆に祝福されて「雑誌の表紙を飾る」という夢も叶えて終わる形の為、ハッピーエンドではあるんですが(それなら、もうちょっと贅沢に、あれもこれも手に入れる終わり方でも良かったんじゃない?)なんて、つい思っちゃいましたね。  「王子様のマットは一時の休暇で訪れただけなので、その内に別れる時が来る」「妹のペニーがマリファナをやっているので、止めさせなければいけない」「家出したママも帰って来ていない」と、まだまだ問題が山積みなので、今一つスッキリしないんです。  「何もかも上手くいく訳ではない」「それでも、サーフィンの楽しさを思い出した主人公なら、きっと大丈夫」という、ほろ苦さの中に希望を見出すような終わり方なら、それでも納得なんですが、本作の終わり方は、そうじゃない。  底抜けに明るくて、何もかも上手くいったと言わんばかりの空気の為(えっ、今までに描かれていたマイナス要素の数々は何だったの? 無かった事になったの?)と、戸惑っちゃうんですよね。  ここの部分を、もうちょっと上手く着地させてくれていたら、好きな映画になっていた気がします。   音楽や演出は決して嫌いじゃないし、大人も子供もサーフィンに興じるエンドロールの映像は素晴らしいと思うだけに、何だか勿体無いですね。  自分としては、好きになれそうというか……好きになりたかったタイプの作風なだけに、ノリ切れなかった事が残念な映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2018-10-06 18:42:04)(良:1票)
360.  Mr.ボディガード/学園生活は命がけ! 《ネタバレ》 
 オーウェン・ウィルソンという人は、綺麗な金髪で二枚目なのに、こういう「負け犬男」を演じても妙にハマっているから不思議ですね。  どこか間の抜けた感じや、愛嬌があるからこそ出来る芸当なのだろうけど、それでいて元々のルックスは良いものだから「ダメ男でも、やれば出来る」を実践してみせるシーンで、しっかり説得力があったりする。  これは俳優さんとして、凄く強みになっているんじゃないかな、と思います。   そんな彼を主演に据えた本作は、お約束の「スクール下剋上映画」であり、特に目新しさは無い内容。  セス・ローゲンが原案と脚本を担当している為か、子供達三人のキャラクターも「スーパーバッド 童貞ウォーズ」と似通っており、既視感を覚えてしまうくらいでしたね。  でも、だからこそ安心して、しっかり楽しむ事が出来たように思えます。   子供側の主人公であるウェイドの義理の父が「私もイジメっ子だった」と誇らしげに語るような奴だったもので、彼と弟達が逞しくなったウェイドを見直すなり、幼少期にイジメていた相手に仕返しされるなりの顛末を迎えるかと思ったら、何にも無しで拍子抜けした事。  そしてヒロインの女教師が主人公を許し、刑務所に迎えに来るまでの心理描写が足りないように思えた事など、細かい不満点は色々あるんですが、面白い部分の方が多かったです。   物凄ぉ~くベタなんだけど、最初は金目当てでボディガードを引き受け、子供達を騙していた主人公が、徐々に優しさに目覚めていく流れが良いんですよね。  最初からそうなるって分かっていたし、見え見えのあざとい展開かも知れないけど、やっぱりグッと来ちゃう。  一緒に撮った写真を渡し「作戦が終わっても友達でいて」と訴えられて、何とも言えない表情を浮かべる辺りなんかは、特に好き。  一度は仲間を見捨てたかと思われたがエミットが、土壇場で「やっぱり仲間だった」と証明し、一緒に戦ってくれる展開も、これまたベタながら素敵でありました。   クライマックスの喧嘩に関しては、あくまで「リーチが長い」で通して、ウェイド達が自力でイジメっ子達を倒す方が良いんじゃないかなとも思いましたが、主人公が助けに来てくれる展開も熱かったし、判断が難しいところですね。  とはいえ、相手が十八歳で成人していると分かった途端、容赦無く殴り飛ばして「本当に強かったんだ!」と驚かせてくれる主人公の姿に関しては、実に痛快で、大満足。  日本刀を掴み、子供達の命を救った訳だけど、作中で過度にヒーロー扱いされる事は無いというバランス感覚も良かったです。   窃盗やら軍法違反やらの罪状で逮捕され、しっかり罪は償う事になる。  でも、たった三週間で出所して、ヒロインと子供達に再会するハッピーエンドを迎えてくれるから、後味は悪くないし、妙な罪悪感も残らないしで、とても爽やかな終わり方。   作中で描かれる「特別な時間」が過ぎ去った後も、彼らはずっと仲間のままなんだろうなと思える、良い映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2018-10-06 18:34:38)
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