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81.  日本で一番悪い奴ら 《ネタバレ》 
明らかに「本末転倒」になっているのにどんどん深みにハマって行ってしまう、いかにもな組織のなかの論理を描いたものとしては秀逸。冒頭の真面目な体育会系バカの主人公には微笑ましさすらあるのに明らかに「道」を外していく過程は、真面目で「規範」には忠実だけれど「倫理」を欠いた結果として何が起きるのかを示してそら恐ろしい。劇中、主人公が自分のやってることがおかしいってことに気づくチャンスはいくつもあったのに、その都度間違った方向へとフルスロットルで舵を切ってしまう。その結果としてのラストの面会シーンは空虚で怖いホラーだった。綾野剛は、体育会っぽい風貌ではないし、好きな俳優ではないけれど、間違った方向へと全力で向かってしまう感じは見事に演じていたと思う。「エス」の3人も、本当の「一番悪い奴ら」の北海道警の面々も個性的でよかった。一方、作風的にしょうがないんだろうが、女性陣がセクシー系一辺倒だったのがちょっと残念。まあ、それも含めて、日本的な「組織文化」を描いてるんだとすれば(でも、あんなセクシー婦警、現実にいるんかな?)、それはそれで成功しているのだろう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-14 10:26:29)
82.  ブラックパンサー 《ネタバレ》 
MCUはすっかり食傷気味なのだけれど、これは本国での評判も聞いていたのと、もともとライアン・クーグラー監督とは相性がいいので、MCUというよりはクーグラー監督の最新作という気分で映画館へ。今作もやっぱりドラマ部分が魅力で、序盤にワカンダの文化と伝統の豊かさを見せつけながら、中盤からはそれが「閉鎖的な社会」だからこそあり得たという逆説へ持っていく構成は見事だ。そして、なんといっても悪役キルモンガーの存在は圧倒的。現代のアメリカ社会でマイノリティが陥る闇を描くことで、その暴力性や主張に深みをもたせて表現できているし、もともと悪そうに見えないマイケル・B・ジョーダンが演じるからこそ、その暴力の裏にある哀しみまで、しっかりと伝わってくる。冒頭のワカンダの昔話が亡き父がキルモンガーに語りかけてたってわかった時の切なさといったら・・・・。その分、終盤のキルモンガーによってワカンダを二分する戦いになる流れがちょっと性急に感じてしまった。とくにオコエが一転してキルモンガーと戦うくだりなど、もう少し苦悩があってもよかったのではないかなあ。まあ、上映時間があるから仕方のないことではあるけれど、あのあたりの葛藤やティ・チャラ復活への経緯をもう少し丁寧に描いて2時間半の長編になったとしても、自分的にはOKだったかも。あと、韓国での『クリード』を思わせるワンショットのアクション演出はクーグラー監督らしくて印象的だったけど、終盤のアクションは少々平板だったかな。それから個人的にはおまけの国連演説はなくてもよかったかなと思いましたが(それよりオークランドでの黒人少年との絡みのほうがグッときた)、あの演説のストレートなメッセージが、映画館にいっぱいいた春休みらしき中高生男子に少しでも伝わってたら、それも意味があったのかなと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-15 18:15:12)
83.  ナイスガイズ! 《ネタバレ》 
バディものコメディとしては久々の快作。17年大活躍のライアン・ゴズリングの「ダメ人間」「クソ野郎」ぶりが気持ちいい(ブレランもラ・ラ・ランドもよかったけど、彼のキャラを最も活かしたのはこの映画だと思う)。ラッセル・クロウも豪腕の漢を久々に気持ちよさそうに演じている。『リーサル・ウェポン』のシェーン・ブラックらしいバディものの楽しさをこれでもかと詰め込まれていて、2人(と娘ホリー)のやりとりを見ているだけで楽しくなる。そして「死体」を用いた不謹慎ギャグも、これだけ徹底すればだんだん楽しくなってくる。あと、1970年代LAの全景をうまく用いた絵も印象的で、スモッグに包まれる街、暗闇から浮かび上がる街、そしてそこで繰り返し展開するパーティと銃撃戦に、「映画」として見る魅力も詰まっている。ただ残念だったのは事件の真相部分。結果的には大殺戮と言っていい騒動を起こした原因がアレっていうのは、やっぱりバランスが取れていないような。あのフィルムをいったいどれだけの人が真に受けるっていうんだろう。むしろ、そのためにあれだけの大騒動を起こせば、むしろそっちが問題のような気がするし。そのあたりのバランスの悪さでラストに乗れなかったのがとても残念。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-02-03 16:52:30)(良:1票)
84.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
最初のうちは薄っぺらいことを妙に得意げに語りつつ、やってることはハチャメチャな主人公に戸惑うのだけど、「そういう人物」だと分かってくるとこの映画の底意地の悪さがたまらなくなってくる。あの薄っぺらさは、「最短距離で結果を出す」現代の効率性への意地悪な風刺でもあり、こんな風に戯画化されれば「引く」けれど、日常を生きていれば周りに必ずこうゆうタイプっているし、自分のなかにも少なからずこんな感じっていうのはある。だからこそ、「他人の気持ち」とか推し量ることなく、「最短距離で結果を出す」道を突っ走る主人公の醜悪な痛快さに、何とも言えない力で引き寄せられているのに気づいてしまう。何よりもエンディングに主人公の周りに集まってくる3人の「インターン」の雰囲気が秀逸。あの、いかにも「不器用ながら真面目に「成功」を目指す若者」っぽい感じ。彼らの今後を思うと、気の毒な気持ちしかないのだけれど、自己啓発セミナーにせよ、新興宗教にせよ、マルチなんとかにせよ、現代の建前と本音の狭間で人々を引きつける「何か」を描いた怪作。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-10 20:28:50)(良:2票)
85.  ワンダーウーマン
それにしてもすごい女優を見つけたものだ。ガル・ガドットありきの「絵」が満載で観てるだけで楽しい。正直、ヒーローものの常であるけれど登場人物の「強さ」のバランスの悪さ、序盤〜中盤の展開のテンポの悪さ、神話世界と人間世界のかみ合わせの悪さ、ストップモーション使いすぎ、城〜ラスト戦闘シーンの薄暗い画面など、娯楽作品としては難点も多い。けれど、ガル・ガドットという女優とダイアナは完全に一体化していて、一つ一つのシーンがとにかく美しくて、楽しい。あと、クリス・パインがとてもいい。「人間であること」の弱さと強さをダイアナに伝える難しい役どころで、ここの説得力がないと物語自体が成立しないところだったけど、ダイアナというスーパー女性を前にしても嫌みにならない彼の「軽妙さ」が、この映画にとっても合っていた(正直、スタートレックより数倍いい)。2人の役者が沈没寸前のDCを救ったとは言えるけど、個人的にはこの魅力的なキャラをDCの微妙なコラボレーションで台無しにしてほしくないとすら思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2017-09-05 17:18:30)(良:3票)
86.  ドリーム 《ネタバレ》 
遅すぎる日本公開を待ちきれずに原語版で見た。邦題をめぐってあれこれあったけど、映画自体はなかなかの良作です。まだ人種隔離が違法化されていない時代、黒人と白人とでトイレもコーヒーも共用しないのが「当たり前」とされた時代には、NASAだって例外ではない。さらに、黒人社会のなかにも、女性に対する差別も偏見も存在する。主人公3人の黒人女性たちが直面する壁は、絶望的に厚くて高い。でも、この3人がそれぞれの才覚と努力と情熱で、少しずつその空気を変えていく。この映画は、人種というシリアスな素材を扱っていながらも、映画自体がポップで前向きでポジティヴな雰囲気に満ちていて、そのすがすがしい気持ちよさが何よりも魅力だ。ファレルの音楽もそんな雰囲気に一役買ってる。映画が公開されたのは、2016年の大統領選挙の後であったけれど、この映画が描くようなマイノリティが持つ「明るさ」は、間違いなく新しい分断の時代に立ち向かう武器になる。個人的にも、もう少しドラマティックでシリアスなほうが好みではあるけれど(とくに、マハーシャラ・アリ演じるジム、ケヴィン・コスナー演じる上司、そして宇宙飛行士たちの「ものわかりの良さ」は、ちょっと肩すかし)、人種をめぐるドラマが全部シリアスである必要はもちろんない。この時代をあえて軽妙なコメディ・タッチで描く懐の深さこそ、かの国の映画産業と黒人文化の底力なのだろう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-08-20 15:36:48)(良:4票)
87.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
よく言えば重厚、悪く言えば退屈。「陰謀」や「真相」が鍵の映画ではなく、イギリス諜報局(サーカス)のなかの人間関係の機微を楽しむ映画だということがわかってくると、楽しくなってくる。そこで描かれるのは、、カーチェイスも銃撃戦もなく、黒いスーツを着てなかなか本音を見せないイギリスのおっさんたちの人間関係なので、そんなのに興味がない人にとっては退屈でしかないのだろうけれど、1回目に「退屈」に見えたシーンも、2回目を見れば、そこにさまざまな意味が込められていることがわかり、全く別物に見えるのが面白い。罠にかかっているのに気づかずドヤ顔してしまう人、「同性愛」だと思った瞬間に全く意味が変わってしまう台詞、そしてどんな哲学的なことを考えているのかと思いきや実は奥さんのことしか考えてなかったという顔など、背景が分かると英国紳士たちの「演技」の奥深さを楽しめる。そして、ラストに人間関係がつながったところで再生されるパーティ・シーン(これは音楽も含めて本当に名シーン!)。このカタルシスは、結局この映画がスパイ陰謀モノではなく、組織のなかの人間関係モノだったことを如実に表しています。ただ。そう考えると、キャストのバランスの悪さは気になる。基本的には、主人公スマイリーと、ボスのコントロール、主要な幹部4人(ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン)に加えて、その部下2人(ギラムとブリドー)のあいだの人間関係を描くのだけれど、やっぱりコリン・ファースのオーラというか存在感ありすぎなので、ほかがかすんでしまう(ブリドー役はとてもがんばっていたけど)。そのアンバランスがけっこう、そのまま本編のストーリーにも絡んできてしまうので、それがよかったのか、悪かったのか。「難解」というよりは、ほとんどの台詞やシーンが多義的なので、それを楽しむための映画といったところでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-06 09:42:09)
88.  ノー・エスケープ 自由への国境 《ネタバレ》 
国際ニュースなどで見る米墨国境を越える移民を題材としたシンプルなサスペンス作品。アメリカ行きを目指す移民を襲うハンターとその相棒(犬)。襲撃されて1人また1人と少なくなっていく展開は、ホラーサスペンスの王道ですが、現実の題材を扱っているだけに、その「狂った」襲撃への恐怖感がじわじわとくる。アクション自体に目新しさはないけれど、砂漠の多彩な地形を活かした逃亡劇は飽きさせない。セリフは最小限で半分以上がスペイン語だけれど、登場人物たちが身の上を少しだけ語る夜のシーンが秀逸。とくに、ガエル・ガルシア・ベルナル演じる男性の経験は、アメリカが「自由の国」だということ自体が幻想であり、彼らの命をかけた旅が、「自由への越境」なんてものではないということを物語ってる(だからやっぱりこの邦題、とくに副題は酷い)。また、ボロボロの南軍旗が映り込むハンターの車の描写や「I hate it」という彼の台詞には、「トランプのアメリカ」の深くて暗い側面をうかがわせる。本作の制作は大統領選挙よりだいぶ前だったので、そこは監督の慧眼なんだろう。ただ、こうした時事的・社会的な側面を持ちながらも、その表現は最低限で控えめで、本作は、あくまでサスペンスいっぱいの追跡劇として、90分弱の娯楽作品として作り込まれているのも魅力。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2017-06-27 23:59:36)
89.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 
母の日に見に行ったけど、父の日にみるべき映画だった。だいたい、これだけの超大作でデビッド・ハッセルホフとナイトライダーでこんなに引っ張って大丈夫かと思うけど、世代的にストライクなので大笑いできました(ただ、日曜午前の劇場はおっさんと中高生男子だらけ。日本ではニッチ映画と化しているよう)。あと、Zuneも。300曲っていう今となっては微妙な容量も味があっていいです。音楽のチョイスも今回は前作以上にマニアック。今回は下ネタも多く、なのに泣かせる話でまとめてくるあたり、ジェームス・ガン監督が好きにやってる感じが伝わってきたのはよかったです。お話的には、家庭内の内輪もめ系の話にいってしまったのと、相変わらず5人のガーディアンズがあんまり悪党に見えないのは残念だけど、ヨンドゥの活躍も見られたし、新キャラのマンティスもなかなか面白くて、総じて満足でした。
[映画館(字幕)] 7点(2017-05-15 15:24:35)
90.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 
よくできた青春映画の良作。荒い部分もあるけれど、序盤から後半にかけての話のバランスがとてもいい。5人のキャラクターも立っていて、それぞれにしっかり感情移入できて、最後にしっかりと盛り上がる。2部作の前編とは思えない完成度。また、本作のすばらしい点は、「金持ちでイケメン」という(個人的には)一番感情移入しにくい太一の物語をとても丁寧に掘り下げていること。「卑怯者」の自分を許すことができない彼に勝たせるには、本作のクライマックスは最良の筋書きだったと思う。彼に感情移入できたことで、一気に物語に入っていけて、太一の目線から見えるチーム、太一の目線から見える千早の姿を、一緒に眺めることに成功していたと思います。広瀬すずの意外なコメディエンヌぶりも、セリフの間や思い切った変顔(寝顔)演技にしっかり現れている。肉まん君も机君も上白石さんもみんなが魅力的。実力者の若手俳優たちが、しっかり練り込まれた脚本を楽しそうに演じているのが伝わってきて、こちらまでよい気分になれる一作でした。
[DVD(邦画)] 7点(2017-05-15 13:59:00)(良:1票)
91.  ザ・マスター 《ネタバレ》 
PTA監督、またまた恐ろしい映画を作ったなあ。新興宗教モノの定番で主人公が教祖にハマっていく展開かと思いきや、ホアキン・フェニックス扮するフレディは、フィリップ・シーモア・ホフマン扮する「マスター」のランカスターに心酔してるようでいても、彼自身の根本的なキャラは最後までブレないまま終幕。ある意味、これまで完全な社会不適応者だったフレディに唯一向き合うことで、これまでの思想や理論を、よりトンデモな方向へと深めて、変わっていくのはランカスターのほうだ。「深く関わっているのに平行線」という数学的にはあり得ないのだけれど、人間関係においては、ある種の「本質」を突いている。それにしても、PTAの作風は、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』以来、変わってしまったなあ。個人的には、カタルシスもドラマもある『マグノリア』風のほうが好きだけれど、こうゆう重厚で演技も映像もキレまくっているのも、なんだか脳のいつもと違うところが刺激されるようで悪くない。贅沢をいえば、いまの「一見さんお断り」な雰囲気は少し和らげてほしいなあとは思うけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-02 23:23:05)
92.  モアナと伝説の海 《ネタバレ》 
連休に娘を連れて字幕版で鑑賞。みながらふと気づいたけど、そういえばこれって『アナと雪の女王』以来のディズニー・ミュージカルアニメだったのだね。今回も音楽は秀逸。とくに「How Far I'll Go」の使い方は絶妙。1回目、2回目、3回目とそれぞれ違うシチュエーションで流れるのだけれど、ちゃんとそれぞれのシーンに説得力を与えてて、とくに3回目のサビでドーンときたときは、わかってても泣いてる。こういう演出は、やっぱりディズニー映画は三歩も四歩も先行ってるなあと素直に感心。あと、クレジットから察するに、サモアやハワイなどの島嶼地域の専門家集めて錬ったと思われる設定も(宮崎駿っぽいといえばそうだけれど)なかなか独創的。とくにマウイの設定(外見や声を含め)はよかった。ただ、あの変身技がもう少し効果的に使えたように思う。そして、映像は本当に素晴らしい。海の表現は、『ファインディング・ドリー』でも感心したけど、なめらかさやつややかさはさらに先に進んだ感じ。そして、ラストの海と空の青、島の緑、そしてそこに散らばる色とりどりの花の美しさ。これはやっぱり映画館で観て欲しい。テーマ的にはド直球の成長物語かつ冒険譚で芯がしっかり通っているし、十分すぎるほど感動的なんだけど、がっつり社会問題も絡めてきた『ズートピア』と比べると、設定や表現の新奇さほど、ストーリーに新しさは感じなかったかも。とはいえ、それも最近のディズニー映画のクオリティのインフレ状態ゆえだとは思いますが。
[映画館(字幕)] 7点(2017-03-20 22:59:57)
93.  横道世之介 《ネタバレ》 
原作未読なので、途中まで、どういう映画かよくわからないまま戸惑いながら見てた。ちょっと挙動不審な田舎出身の人のいい大学生の青春物語かなと思ったら、いきなり話は現代に飛んで・・・。ただ、中盤で主人公の末路がわかった時点で、実はこの映画、最初から視点は現代に固定されていたのだと気づいた。みんな「故人」である横道世之介を偲んでる。世之介の「人のよさ」とか「憎めなさ」も実際は「思い出補正」なのかもしれない。BGMで流れるのが、レベッカと石井明美っていうベタ過ぎる選択も、そう考えればよくわかる。世之介の(そして祥子さんとの)その後が全く描かれていないのもそのためだろう。けれど、この映画の魅力は、「補正だからウソとか虚構」でも「あの日に帰りたい」でもなく、そうやって「思い出す」ことが人生を豊かにするっていうことをきっちりと描いている点だ(その自覚が「三丁目の夕日」とは明らかに違う!)。それは、祥子さんがハンバーガーを二度食べるシーンに、これ以上ないくらい美しく描かれている。まあ、それは、登場人物たちよりは年下だけど十分おっさんになった自分が見るからそう思うのかもしれないけど。普通に青春物語としても美しいし、世之介と祥子さんの映画史上最強レベルの大ボケカップルは必見の価値あり。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-05 13:57:48)(良:2票)
94.  何者 《ネタバレ》 
原作既読。なので、最後のオチもわかってたし、拓人の常にケータイいじってる動きを気にしながらの鑑賞で、これは原作読んでないほうが楽しめたかな、とは思った。ただ、それでも楽しませてくれたのは実力派が揃った俳優さんの力。90分という短い上映時間ながら、全員「見ていられない」ヒリヒリした緊張感に溢れていて、就活中の4人が部屋に集まったところで「もうやめておけ」感満載だった(ほめています)。菅田くん演じるコータローの無自覚に人の劣等感を煽る感じとか、二階堂さんの演じるリカちゃんのとにかくイタくて残念なところとか、有村さんのミズキさんの過剰なまでの「フツーさ」「凡庸さ」とか、一見美男美女揃いの「リア充」面々なのに、その背後にある「悪意」をそのまま形にしたようで凄い。岡田くんの何事にも中途半端すぎる痛さもいい。それと比べると、佐藤くんの拓人は難しい役どころだったと思うけど、佐藤くんの「受け身」な演技でなんとか応えていたと思うし、ラストの少し前に進む感じは素晴らしかった(そこで流れる主題歌もいい)。ただ、登場人物全員に「これは自分だ」と思わせる要素がある一方、それぞれの内面を丁寧に描くというよりは類型的に突き放した表現(とくに学生演劇の場面の多用)のおかげ(?)で、そこまで感情移入するわけでもなかった。むしろ、見ている側の感情が宙ぶらりんになって行き場を失ってしまう感じは、三浦大輔監督の手法なのかなとは思うけど、個人的にはもう少しじっくり見たかったかなと思う。もう少し違う表現方法で、120分の少し長めの映画でも見てみたいなと思った。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-05 13:35:24)(良:1票)
95.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
まさに佳作。面白かった。見所はやはりエニグマ解読後の葛藤。非情な決断の背景にある、自分の計算でより多くの人を救えるという天才ならではの自信と、少しずつ人間味を増しつつあった主人公のエモーションのあいだの揺らぎをしっかりと演じたカンバーバッチに拍手。3つの時間軸が交差する展開を混乱なく見せる脚本と演出も、派手さはないけどとてもよかったと思います。ラストシーンで資料を燃やす暗号解読チームの姿をバックに、チューリングは「自殺した」との字幕が流れますが、その前のホルモン剤投与によって、身体的・精神的な安定だけでなく、天才的な頭脳のひらめきも失っていたこともしっかりと描かれていて、「国家」によって彼は「抹殺」されたと言ってもいい。それはナチスの同性愛者への迫害に等しい、国家の罪であるという怒りとメッセージも明確に伝わりました。ただ、難点は解読までのプロセス。やはり暗号解読の「ロジック」、なぜクロスワード・パズル名人が暗号解読に向いているのか、といった部分の論理的な裏付けや説明が端折られていて、何が困難で、チューリングのチームの発見の何が凄かったのか、がわかりにくかったところでしょうか。そういう論理的な面白さを期待して見たら、セクシュアリティ描写も含めて、思ったよりもエモーショナルな映画であった、という感じです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-05 17:44:57)
96.  007/スペクター 《ネタバレ》 
本作が製作発表されて次は「スペクター」と知ったとき、「スカイフォール」のクオリティと従来の007の娯楽路線が混ざったらどんな凄い映画になるか、期待値MAXでした。ところが公開後、あまり芳しくないレビューをあちこちで見かけ、なんとなく見られないまま公開終了。で、やっと鑑賞したわけですが、期待値が下がってた分もあって、感想は思ったよりは悪くない。旧作同様に、ボンドがあちこちうろうろして、女の人と会って、アクションして、の繰り返しなのですが、シーンの見せ方はサム・メンデスらしい凝った構図がいっぱいで楽しいです。ただ、アクションにはあまりキレがなく、サスペンス感もクレイグ・ボンド4作のなかでは一番低い。2時間半が長く感じました。一方で、良かった点は、みなさん同様、メキシコのお祭りからタイトルまで、スペクターの会議、砂漠を走る列車の遠景、Qがちょっと活躍するあたりくらい。ただ、ラスボスを身内にする必要は全く感じないし、ネコがぜんぜん活きてないし、アクション映画としてはあまりにも安易なボートからのヘリ攻撃、伏線回収の快感不足もマイナス。期待値MAX状態で見れば、これは消化不良感大きかっただろうなあと思いました。まあ、「スカイフォール」でちょっとアナザーワールドにいってしまったボンドが、また「いつもの大味なボンド映画」に帰ってきたと思えば、これはこれでありかもという意味では、なんだかんだで嫌いではないなあというところです。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-07-21 12:27:22)
97.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
メキシコ国境地帯の麻薬モノは、TVドラマやドキュメンタリーでも良作揃いだけれど、映画でも『トラフィック』以来の良作が登場! 『トラフィック』でも印象的な役回りだったベニチオ・デル・トロがここでは謎めいた捜査官として、前作とは違った強烈な印象を残す。ひたすら振りまわされる主人公エミリー=ブラントもいい。そして、意外と好演なのが、主人公ケイトの相棒ジェシー。ケイト以上に物事の真相もつかめないまま振りまわされる姿はユーモラスですらあり、緊張感が張り詰める本作のなかで、ちょうどいい緩和剤となっていて、単調になりがちな場面にメリハリを与えている。デル=トロの正体は、設定から考えれば当然ありえるもので、そこまで意外ではなかったので、サスペンス的な楽しみはそこまでではないけれど、丁寧に描き混まれる捜索・捜査・掃討シーンはどれも印象的で、監督ドゥニ=ヴィルヌーヴの才気をとにかく感じる。今後要チェックの監督がまた1人増えた。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-22 18:09:42)(良:1票)
98.  アウトロー(2012) 《ネタバレ》 
『ミッション・インポッシブル:ローグ・ネーション』がよかったので、同じ監督&トム・クルーズ作品ということで鑑賞。これは、掘り出し物。好みは分かれると思うけど、最初の銃撃シーンからサスペンスの持たせ方がうまい。派手さはないけど構成がしっかりしてて目が離せない。あと、主人公リーチャーのキャラがいい。車乗れない(っていっても免許がないから、という理由はちょっと笑える)、武器も持ってない、クレジット・カードも使えない。で、バスで移動っていうのが、何だか笑える。序盤の弁護士ヘレンとのやりとりもちょいコメディ入ってる。律儀にチンピラやら弁護士に車を借りてやっと移動手段ができたり、武器がないから射撃場の親父(ロバート・デュバル!)を呼び出したりとか、真面目にやってるのにどこか笑えてしまう。その意味では、トムの現実離れした「スター」感がうまくハマってるのかも。よく見てみると、なんでチンピラの仲間に簡単に頭、殴られちゃうのか(痛そうだからわざとではなさそうだし)とか、凄腕の敵のはずなのにラストの銃撃ではなぜ1発も当たらないのかとか、詰めの甘さはあるけど、シリアスなのにちょいクスッとくる新しいハードボイルドものとして、楽しめる1作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-01-22 11:08:54)
99.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
冒頭の飛行機シーンから、オペラ、水のなかの侵入シーンからバイクチェイスまで、1つ1つのシーンが丁寧にとらえていて見応えあり。アヴァンタイトルやバイクシーンを除けば、実はあんまり派手なアクションもない。むしろ、見せ方のうまさ、演出力の確かさが際立つ。またストーリー的には、今回の映画はヒロイン役のレベッカ・ファーガソンがいい。最後まで味方か敵かわからないことで、話に締まりをもたせて、中だるみを防いでくれたし、スタイルも見栄えもいい(とくにオペラハウスのシーン)。敵役の迫力不足がやや残念で、ラストももう少し引っ張ってほしかったなという部分もあるけど、全体として娯楽映画に必要な要素が本当に詰まってて、シリーズ5作目なのにここまで高いレベルに仕上げた監督&トム・クルーズに拍手。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-20 15:26:58)
100.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
上映中はしっかり楽しんだのだけれど、終わってみるとなんか釈然としない。一番の理由は、話自体がたいしたことないというか、ああまたスカイウォーカー家のゴタゴタで、ハン・ソロまでついにこれに巻き込まれてしまって最後は・・・・だし、EP4〜6の既視感を追いかけた2時間ちょいだったことが不満なんだと思う。とはいえ、レイとフィンをはじめ、新キャラの間のコミカルな掛け合いとか、いままでのスターウォーズではうまく描けてこなかった部分をしっかり描いてるっていう新しい魅力も感じたはずなんだけど、そこにそれほどワクワクできていない。で、結局なんだったのか1週間くらい考えた末、実はEP4〜6も映画としては「たいしたことなかった」ということに、ついにこの7で気づいてしまったというか、自分で認めざるをえなくなったことが原因なのかと思っています。EP1〜3のときは「自分が見たいスターウォーズはこれじゃない」観はずっとありました。でも、今回、JJは「俺たちが見たかったスターウォーズ」をこれでもかというサービス精神で作ってしまった。でも、その結果、昔好きだったバンドの再結成ライブ(しかもベスト選曲)を見たときに気づいてしまう、ある種の「閉塞」感を今回のEP7でも感じてしまった。僕にとって、EP7は、そういう悲しいリアリティを突きつけるものでした。JJは、「次」は完全に新しい世界を用意しているのかもしれませんが、今回のレイやカイロ=レンを取り巻く因縁を見た上では、それもあまり期待していないし、そもそも自分がそれをみたいと思っているのかどうかもわからなくなりました。まあ、そういうノスタルジーを取り込みつつ、うまく作品化していくのだとは思いますが、「その程度のシリーズ」として、今後もつきあっていくのがいいのかなあ、なんて思いはじめています。そういう意味で、自分が30年あまりのSWがらみの夢から「覚醒」をしてしまった気分です。
[映画館(字幕)] 7点(2016-01-05 23:32:14)(良:2票)
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