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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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101.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
シャロン・テートとポランスキー夫妻の隣家がディカプリオ演じる落ち目のTV西部劇俳優が住んでいた。有名な実話が元なので結末は判っているつもりで観始めるわけですが、シャロンとディカプリオたちのエピソードは全然噛み合わなくてまるで別の映画を観させられているかのようです。どうせあの事件をラストに持ってくるんだろうから、そこでディカプリオ&ブラピとシャロンが交差する展開なんだろうとタカをくくっていたらまさかの展開、『イングロリアス・バスターズ』に続く歴史改変オチだったんですね。でもこの結末の展開は、ハリウッド界隈の業界人たちは「本当はこうであって欲しかった」と胸を切なくするエモさがあったんじゃないでしょうか。 ディカプリオとブラピはこれがたしか初共演のはず、普通ならこの二人のギャラだけで映画が二本は撮れちゃうぐらいですが、二人ともタランティーノにはいろいろ恩義があるので友情価格だったかもしれません。相対的にディカプリオの方が演技の見せ場が多かった気がしますが、ブラピだってブルース・リーをカンフー勝負で投げ飛ばすという間違いなく本人もテンション上がる見せ場があるのでご満悦のことでしょう。そしてもう一つ判ったことは、タランティーノは本当に『サイレンサー/破壊部隊』が大好きなんですね、シャロン・テートが自分が出ているこの映画を劇場で観て観客のリアクションに大喜びするシーンには、タランティーノのシャロンに対する哀悼がひしひしと感じられました。 ポランスキーはこの映画を果たして観てるんでしょうか、もし観たなら一言感想を聞いてみたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-07 23:30:53)(良:2票)
102.  パーティで女の子に話しかけるには
時は1977年、エリザベス女王の在位25周年が祝われジミー・カーターが合衆国大統領だった時代、英国ではパンク・ムーヴメントの嵐が吹き荒れている真っ最中にロンドン郊外のクロイドンでパンク野郎と異星人の女の子の儚いボーイ・ミーツ・ガールがあったのでした。『パーティで女の子に話しかけるには』なんてタイトルからはとても想像がつかない、ちょっと胸キュンなSF恋愛ストーリーでした。『ラビット・ホール』では雇われ監督もそつなくこなしたジョン・キャメロン・ミッチェルが久々に自分のやりたいことに没頭したって感じの作品で、自分はあの『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』から受けた衝撃を思い出させてもらいました。エル・ファニングのキュートさと“人喰いパンク”を即興でシャウトするカッコよさのギャップは最高。でも『ラビット・ホール』からの縁で出演したニコール・キッドマンのパンク女王がまた存在感強くて、もっとも始めは誰だか判りませんでしたけどね。六つの種族に別れる異星人たちの設定や行動様式はほとんど理解不能でしたけど、あのパーティー(?)での脱力系ダンスには自分のツボが突きまくられました。 海外での評価は高くないというか酷評も多いですが、日本では意外と高評価されているみたいです。これは確かに将来カルト化するかもしれませんね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-09 19:44:56)
103.  エウロパ 《ネタバレ》 
いやー、皆さん思ったより辛口の批評ですねえ、私はけっこう見応えがあったと思いますけど。この種の映画の十分の一という低予算だったということを考えると、セットやCGはけっこう頑張ったんじゃないでしょうか。もちろん低予算を活かしたような新手の語り口ではありますが、こういうハードなテーマに正面から挑戦したスタッフには拍手してあげてもいいんじゃないかな。衛星エウロパの描写も良く取材してあり、センス・オブ・ワンダーが感じられます。暗くて一瞬しか見せないけど、やはりあれはイカなんですよね。でも未知の天体の水中に生息する生命体がイカのような形態をしているというのは、なんか説得力がある気がします。 ストーリーテリングはモキュメンタリ―(疑似ドキュメンタリー)というほど凝ってはいなくて、地球のスタッフが知ることのできなかったエウロパでの出来事に彼らへのインタビューがインサートされるというスタイルですが、その中で流れる探査船の女性飛行士の映像にはすっかり騙されました。聞き手に向かって語り掛けているインタビューとしか見えないので、てっきり少なくとも彼女は地球に生還出来て証言しているのだと思っていました。ところがそれは通信が復旧したら発見されるように残した、いわばビデオ版遺書みたいなものだったと判って「引っかけられた!」と心の中で叫んでしまいましたよ。こういうトリックのある脚本は、私好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-21 21:56:26)(良:1票)
104.  ナイト&デイ
トム・クルーズとキャメロン・ディアス、『バニラ・スカイ』以来の共演。『バニラ・スカイ』はシリアスな映画だったので、キャメロンお得意の能天気ラブコメ風味路線でのトムとの共演は、やはり豪華です。そのトムが冒頭からドラッグのやり過ぎイカレてしまったような変なエージェント、でもジェイソン・ボーンばりに超無敵です。とにかく、危険なシーン大好きなトムの願いを叶えましょうという感じで、旅客機内の激闘・不時着から始まり過剰なアクションの大盤振る舞い、もちろんCGやVFXは駆使していますが彼はこれでは欲求が満たされなかったのか『M:I』シリーズではスタントなしで飛行機にしがみついたりする始末、この人はほとんどビョーキです。ちっとも役作りしないのでイーサン・ハントと見分けがつかないけど、どうせ脚本も遊びまくってほとんどおバカ映画領域に踏み込んでいるので気にしないことです。トムはこの怪演を突き通すのかと思ったら、だんだんまともなキャラになってしまうのは残念でした。所々でキャメロンをクスリで眠らせて強引にショートカットするストーリーテリングも、ほんと笑わせてくれます。こういうなにも思い悩むことなく没頭できる映画ってほんとイイですよね、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズにも通じるところがあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-08 23:35:12)
105.  女王陛下のお気に入り 《ネタバレ》 
テューダー朝とは比べ物にならないけど、スチュアート朝もけっこう宮廷内はグチャグチャでなかなかのものです。登場人物はまずアン女王、英国の歴代女王としてはもっとも影が薄く、実際にも明敏な知性や決断力を持ち合わせてはいなかったみたいですが、治世中にはグレートブリテン王国(スコットランド王国との正式な合邦)が発足したりしてそれなりに国勢は伸長しています。そして彼女の幼馴染でもある筆頭女官のサラ、彼女の夫はマールバラ公ジョン・チャーチル、そう英国史上最良の軍司令官にしてウィンストン・チャーチルやダイアナ皇太子妃のご先祖様です。アビゲイルはサラの従妹で、彼女を頼って宮廷に仕官してきました。この女王とサラの関係がなんとも生々しいんです。即位する前から苦楽を共にしてきた親友みたいな感じで、女王に対するツンデレな態度がもう堪りませんし、さすがにこれはフィクションでしょうが二人はレズ関係なんです。いかにも策士といったレイチェル・ワイズと、ただのおばさんにしか見えないオリヴィア・コールマンの対比が面白い。オリヴィア・コールマンは普通のおばさんみたいなのに突然女王らしい威厳を見せるところなど巧みな演技、ヘレン・ミレンに続くクイーン女優の誕生ですか。ルックスからするとヴィクトリア女王役にも最適じゃないでしょうか。カメラ・ワークも独特で、魚眼レンズを使ったカットが頻繁に使用されているところが不思議な感覚です。全編を八章に分けたストーリーテリングなんかはどことなく『バリー・リンドン』を彷彿させられます、時代設定もほぼ同時期ですしね。でもアン女王には配偶者(王配)がいたのになぜか登場も言及もなく、まるで独身みたいなのが不思議。まあこの撮り方の方が、女王の孤独が強調されているとも言えますが。 面白いのは当時の宮廷政治の状況で、このあたりが現在まで続く英国議会政治の始祖と言えるのでしょう。一応トーリー党とホイッグ党という二大政党の体制ですが、議会が開催されていない時は宮殿であひるの賭けレースに興じたり、なぜか素っ裸になった大臣にみんなでトマトをぶつけて遊んだり(なんかの罰ゲーム?)、まるでガキの集団みたいです。議員といっても全員貴族、当時の上流階級の退廃ぶりが窺えます。この宮廷政治や外交政策の決定に、サラやアビゲイルの助言が影響力を持っていたとは史実とはいえ恐ろしくなります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-27 20:51:02)
106.  ゲティ家の身代金 《ネタバレ》 
世界屈指の大富豪がドケチで恐るべき怪物だったという、言ってみれば身も蓋もないお話です。降板したケヴィン・スペイシーを観たかったというご意見も多いですが、風貌と言いその迫力と言い、クリストファー・プラマーのジャン・ポール・ゲティの方が圧倒的に迫力があったと思います。 この映画は実際の事件とフィクションを巧みに融合させた構成になっていて、リドリー・スコットの手堅い演出もあって中だるみ感もありながらも一気呵成にストーリーが展開されます。プラマーは代役撮影という事情もあってかわき役的な存在で、ゲティ家サイドのマーク・ウォールバーグと誘拐犯側のロマン・デュリスのシメントリーな関係がストーリーテリングの軸となっています。とくにロマン・デュリスが演じるチンクアンタと誘拐されたゲティ三世の関係の変化が、チンクアンタがどんどん同情的に変化してゆく“逆ストックホルム症候群”というような状況だったのが印象的です。ゲティに雇われているマーク・ウォールバーグも母親ミシェル・ウィリアムズの苦境に直面して、ゲティを裏切るような形で彼女を助ける展開で、やはり“逆ストックホルム症候群”の趣がありました。もちろんこの辺りはフィクションですけど、この両者の行動を対にした脚本は上手いと感じます。 映画はいちおうハッピーエンドのような形で終わりますが、ラストでゲティ三世のその後に触れなかったのは、結婚して子供にも恵まれたけど重度の薬物中毒で廃人状態になって2011年に54歳で死亡したあまりに悲惨な人生と、その最期を看取った母親がまだ存命なのが理由なのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-12 23:52:28)
107.  スターリンの葬送狂騒曲 《ネタバレ》 
“スターリンのヒムラー”の異名を持つ秘密警察長官ラヴレンチ―・ベリヤの処刑については実は様々な異説があり、プーチン大統領はもちろん真実を把握していますが決して彼が(そしてその後のロシアの政体が)真相を明かすことは今後もないでしょう。でも本作で描かれるようにスターリンの葬儀直後に処刑されたというのはフィクション(逮捕直前の細かいディテールは一般的な通説に従っている)ですが、これはまあ許容できる創作の範囲だと思います。 スターリン死の前後のドタバタがこの映画のテーマですが、歴史上稀にみる過酷な独裁政治の終焉ですからその視点がブラックかつシニカルであるのはストーリーテリングとしては正解でしょう。スティーヴ・ブシェミのフルシチョフを始め政治局員の面々は実物と良く似せたふん装で、とくにブルガーニンやカガノヴィッチはそっくりです。この人物たちの権力欲だけは旺盛な小物ぶりは実にコミカルで、実際この人たちはスターリンに気に入れられなかったら一国の統治に関わるような資格さえ持てなかったんじゃないですかね。逆にベリヤが改革を進めようとする善玉のような見せ方になっているのが皮肉です。実際に彼はスターリンの死後いち早く収容所の開放や政治犯の釈放に取り掛かっているのですが、これはストーリーの進行上スターリン時代の悪行をほとんどスルーしてしまったためで、このことを批判する欧米の批評家も存在します。 さほど遠くない過去に起きた醜悪な歴史的人物たちが繰り広げるドタバタ劇、としかわたくしには感想が思いつきませんが、劇中NKVD内の廊下にまるで電話のベルが各部屋で鳴っているかのように響き渡る銃声が悪夢のようでした。その中で、狂言回し的なキャラだったオリガ・キュリレンコが一服の清涼剤でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-09-07 23:23:02)
108.  5つ数えれば君の夢 《ネタバレ》 
現在日本映画界でもっとも期待されている映像作家のひとりである山戸結希の、商業映画デビュー作です。アイドルグループ東京女子流の五人をメインにした彼女たちのプロモーション・ビデオと言えなくもないが、各人のキャラやストーリーそして世界観はすべて山戸結希ワールドになっているところはさすがです。私立名門女子高の学園祭で開催されるミスコンを舞台にして、マウントとりに熱中している女子高生たちを独特の感性とセリフ回しで表現しており、この作風には観る者の好き嫌いがはっきりしてしまうかもしれません。監督じたいは女子流の活動についてはまったく予備知識がなく、初対面での各メンバーとの10分程度の面談で劇中のキャラを決めたそうなので実際のメンバーのキャラとはほぼ無関係になっているそうですが、このキャラ付けには山戸結希の感性の鋭さが感じられます。哲学を専攻したそうなので確かにセリフのロジックには理屈っぽいところがあって一昔前のATG映画を見せられるような雰囲気もありますが、ここを現代の10代が演じるというのはある意味新鮮な感じすらしました。ももクロの『幕が上がる』なんかよりはるかにささるものがありました。 アイドル運営から山戸結希にPV監督の依頼が現在殺到しているというのも、納得です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-08-24 22:38:21)
109.  ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 《ネタバレ》 
12年ぶりに続編が製作されるとは、『T2 トレインスポッティング』ほどの驚きはないけど、なんでこんなに間が空いたのかというのは素朴な疑問。前半の展開はまるで『ブリジット・ジョーンズのセックス・アンド・ザ・シティ』といった感じで、悪友のシャザーやジュードがすっかり貫禄あるママになっている中でブリジットだけが凄く浮いている感じ。のっけからヒュー・グラントのお葬式と来るからなんか嫌な感じがしましたが、ラスト・カットを観て「あぁ、やっぱりそうか」と予感的中、こりゃ次回作もあると確信しましたがなんでグラントが本作では抜けたのかはまた疑問のタネとなりました。これは『キングスマン』のコリン・ファースのキャラのパロディなのかとも思いましたが、単にスケジュールかギャラの揉め事なのかもしれません。本来はコリン・ファースとブリジットの子供の腹ませ役を争うのはグラントのはずで、ここにパトリック・デンプシーを持ってこざるを得なかったところが、本作の最大の欠点でしょう。そりゃあヒュー・グラントとじゃ格というか存在感が段違いですからねえ。 予定調和な脚本ですが、監督が第一作目のシャロン・マグワイアに戻っていますので、原点回帰といった雰囲気だと感じます。皆さんご指摘の通り、レネー・ゼルウイガーとコリン・ファースのふけ具合は隠しようがないですが、両者ともアンチエイジングというか自分の年齢にあったメイクで役に臨んでいるので好感が持てます。レネーは最近ネットで観るすさまじい画像(失礼)から見ると、これでもかなり盛っていると考えた方が良いですけど。こういう大人向けハリー・ポッターみたいなお話しにケチをつけてもシャレになんないのは判ってますが、さすがにブリジットが出産するまで父親がどちらかを知ろうとしないのは、ちょっと浮世離れしてますね。まあこれを言っちゃったら野暮というものかもしれませんが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-07-23 23:50:21)
110.  恋とニュースのつくり方 《ネタバレ》 
原題が一緒なのでてっきり30年代にキャサリン・ヘップバーンが初めてオスカーを獲った『勝利の朝』のリメイクかと思ったら、全然関係ないお話しでした。“MorningGlory”というのは朝顔のことだそうで、早朝の情報番組が舞台であるところに懸けているわけです。ヘップバーン版でも朝顔の意味で使われていて、これをストレートに直訳しただけの『勝利の朝』は洋画史上に残る珍訳・誤訳なんだそうです。 大して期待しないで観たら主要キャラ三人が思いのほか良い味を出していて、なんか得した気分です。“三種類の表情だけで演技して高額ギャラを稼ぐ男”ハリソン・フォードですが、本作では三種類どころか全編を仏頂面の不機嫌顔だけで押し通してしまいましたが、これが意外と良いんです。大物ジャーナリストがキャスターをやるというのはあまり実例がないのですが(そもそも日本には高級ジャーナリストという人種が存在しない)、無愛想つながりで強いて言えば木村太郎ってところですかね。となると相方のダイアン・キートンは安藤優子となるのでしょうが、ジャーナリズムとは縁遠いTVタレント役を嬉々として演じています。彼女は知的コメディエンヌとしての並々ならぬ才能の持ち主なので、このキャラはまさに適役です。レイチェル・マクアダムスもフォードやジェフ・ゴールドブラムとの掛け合いで芸達者なところを見せてくれますが、ハリウッドには彼女と同世代の女優がわんさかいますから、その中で目立つのはなかなか大変なのが現状です。 ラブコメの波動を感じるというよりも軽いノリのサクセス・ストーリーというところでしょうが、センスが良いので安心して観ることができました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-09 20:52:57)(良:1票)
111.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
リドリー・スコットにしては珍しいハート・ウォーミングな作品でした。火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバル、いわば火星版ロビンソン・クルーソー漂流記という感じですが、そこにマット・デイモンを持ってきたのは大正解でしょう。オーシャンズ・シリーズ以降、彼はコメディっぽい演技に開眼したように感じますが(もっとも本作がコメディ・ジャンルにカテゴライズするのはちょっとどうかと思いますが)、肩の力が抜けた諧謔味に満ちたキャラがだんだん当たり役になってきた感があります。たしかに同種の他作品と比べれば緊迫感が不足しているという指摘はもっともですけど、そこは脚本が意図したところなのでわたくしは良しといたします。彼はいろいろなアイデアを駆使してサバイバルに成功するわけですが、なんか「マット・デイモンならできそう、いや、できて当たり前」という妙な安心感があります。まあそれはどうしてもジェイソン・ボーンのイメージが尾を引いているからで、序盤でケガして脱いだ宇宙服から現れたムキムキ・ボディを見たりすると、ジェイソン・ボーンが宇宙飛行士になったように感じてしまったのは私だけでしょうか。 科学的考証はもちろんしっかりしてるんでしょうけど、割れたヘルメットをガムテープ(みたいなもの)で直したり、脱出艇の先端を防水シート(みたいなもの)で被うだけで宇宙空間に飛び出して行ったり、妙にアナログというか「まじか」と絶句する手法が使われるところが面白い。ラストにジェシカ・チャスティンとランデブーに成功させる手段もかなりのサプライズです。そこら辺がこの映画の独特のテイストになっているんですね。 本作でもまたまた中国がいいところをかっさらっていって、「またかよ」と苦々しく感じてしまいましたが、冷静に考えると中国はじっさいに月の裏側に探査船を送り込みましたし、宇宙開発競争の現場ではこれがリアルなのかもしれません。宇宙探査でアメリカと張り合えるのは、もはやロシアではなく中国だということなんでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-26 21:26:06)
112.  ヒトラーに屈しなかった国王 《ネタバレ》 
ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻を始めた1940年4月9日から11日までの2日間の物語がストーリーです。立憲君主国において、王が非常時に果たすべき役割とは何か?というテーマのもとに、ノルウェー王ホーコン七世の苦悩をリアルに描いています。 まず、孫たちと遊ぶ平凡なお爺ちゃんとしか見えない王の日常にちょっと驚きです。ヨーロッパとはいえ小国の部類に入るノルウェーですから、王家のありさまも庶民的です。ましてこの王はもとはと言えばデンマークの王子で、1905年のノルウェーのスウェーデンからの独立時に議会から招聘された人で生まれながらに王になる定めではなかっただけに、謙虚な姿勢は好感が持てます。この役を演じるのは現007シリーズでMr.ホワイト役のイェスパー・クリステンセンで、この王のキャラは名演です。対するドイツ大使として王との交渉に奔走するのは、『ヒトラーの贋札』で印象深かったカール・マルコヴィクス。興味深いのは、この大使がヒトラーにはもちろん逆らえないけど、何とかノルウェーに有利になるように図りたいと頑張るちょっと信念を持った人物として描いているところです。終盤の王と大使の緊迫感あふれる会見がクライマックスですけど、両者ともよい演技でした。いまや絶対的な悪であるナチス・ドイツの代表者をここまで好意的に描くとは、ノルウェーという国の柔軟な精神が感じられます。対照的かなと感じたのは「売国奴」の代名詞として辞書にまでその名を遺すクヴィスリングの扱いで、セリフでは言及されるけどとうとう画面に登場せずでした。王と王太子の関係性もかなり踏み込んで描かれています。この時点ですでに他界していた母親である王妃を、王太子が辛辣に批判するシーンもあります。ウィキペディアなどではとても好意的に記述されている英国王室から嫁いだこの王妃にも、いろいろ批判される面があったみたいです。 結局この2日間でホーコン七世はヒトラーの理不尽な要求を断固拒否して両国は正式に戦争状態になります。英仏軍も加勢して抗戦しますが、二か月後には王室は英国に亡命しノルウェーは降伏します。でも1941年に始まるバルバロッサ作戦まで、ヒトラーが侵攻した国で最も長期間抵抗したのは実はノルウェーでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-30 21:19:14)
113.  アウトレイジ ビヨンド 《ネタバレ》 
日本映画史に残るあっけない荒業を使って黄泉の国から現生に帰ってきた大友の親分。「大友が死んだなんて私言ってないですよ、噂があるって言っただけです」、いやはや、こんなセリフだけでプロデューサーからの無茶ぶりを解決させたたけしは、やはり天才なのかもしれません(笑)。 さて二作目として物語をパワーアップさせるために登場してきたのは、お馴染みの関西の大組織。3分に一度は役者の誰かが「コノヤロー!」「バカヤロー!」を口にするのはスコセッシ映画の“FUCK”みたいなものだと思いますが、そこに関西弁が入ってくると迫力が一段ましです。刑務所から出てきても大友のお人よしぶりは相変わらずで、在日のフィクサーのところにいるときは借りてきた猫みたいに大人しいし、なんだかんだと言ってもけっきょく片岡の扇動に乗って木村とともに山王会潰しに奔走するわけです。でも殺しを重ねるうちに、大友の残忍な本性がだんだん目覚めてくる感じはよく出ています。花菱会のリップサービスを真に受けている木村に愛想を尽かして大友が最後に逃げだしちゃうところなんか、要は前作の愚かだった自分の姿を見てるようで嫌になっちゃたんだろうな、学習の効果が少しはあったというわけです。たけしのヤクザ映画にはいわゆる“指ネタ”はお約束ですけど、それにしても歯で自分の指を食いちぎるとは、木村は前作ではカッターナイフで指を詰めようとして悪戦苦闘しただけに、お前の歯はカッターナイフの刃よりも固いんかい、と思わず突っ込みを入れてしまいました(笑)。 この映画での最大のサプライズはやはりラストですが、これは大友がまだ見ぬ第三作ではカッコつけるの止めて鬼に徹することになるのを暗示してるのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-26 22:14:09)
114.  ミロクローゼ 《ネタバレ》 
ぶっ飛んでます。山田孝之はへんな役でも感性が合えば嬉々として演じる人ですが、伝説のTV番組『オー!マイキー』や映画『狂わせたいの』で知る人ぞ知る石橋義正とタッグを組むとは、ほんと彼はいいセンスしてます。山田孝之は三種類のキャラを演じていますが、その中でもやはり「青春相談員熊谷ベッソン」がサイコーでした。彼のキレッキレッのダンスは見応えがあり、このノリでおバカミュージカルを一本撮ってほしいですね。このパートがわずか10分足らずというのは実に惜しい。時空を超えた時代劇という感じの「片目の浪人多聞」が一番長い尺なのですが、まあこれは『キル・ビル』のいわゆる“青葉屋の死闘”へのオマージュがしたくて撮ったって感じです。この多聞が暴れる天拓楼は美術に凝りまくっていて、スローで見せる山田孝之の殺陣もかなりのレベルとお見受けいたしました。驚いたのは壺振り役の原田美枝子、メイクの効果もあるかもしれませんがとても撮影当時50代とは信じられない美魔女ぶりです。ちなみに天拓楼遊女七人衆の軟体遊女は、山田孝之の実姉である椿かおりなんだそうです。でもこの多聞、どうして「片目」という役名なのかは謎です(笑)。そういやオブレネリなんとかというキャラも出ていましたが、このエピソードはイマイチ理解不能でした(笑)。 石橋義正は最近は目立った活動がないのですが、どうしちゃったのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-05 22:37:37)
115.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
この手の映画では善玉・悪玉のボスやわき役に大物をキャスティングするのが最近の定石ですが、コリン・ファースに加えてハル・ベリーとジェフ・ブリッジスのオスカー俳優が三人、そしてあのエルトン・ジョン卿までもが嬉々としてセルフ・パロディを演じているのがこの映画の見どころです。冒頭でマイケル・ガンボンはじめキングスマンの面々が全滅、後半ではついにあの人までも…というわけで前作の主要メンバーはふたりのガラハッド以外は在庫一掃され、今後はジェフ・ブリッジス率いるステイツマンの一員としてキングスマンをシリーズ化しますというのが、ラストの製作者の決意表明でした。前作はだいぶ前に観たので忘れている設定も多かったのですが、撮り方自体はかなりシリアスに寄っている感じがします。悪役ジュリアン・ムーアは彼女の演技力では余裕なんでしょうが、サイコパス女ぶりはけっこう強烈でした。でもその最期はちょっとあっさりしすぎだったかな。アクション・シーンもこの監督が得意とするワンテイク(風)の連続アクションで、これぞ職人芸と呼ぶにふさわしいところです。次回作にも期待いたしましょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-25 23:25:37)
116.  イコライザー 《ネタバレ》 
ストーリー・ライン自体は単純というか他愛のないお話しです。主人公は後半に少し明かされるけどかつてはCIAのエージェントだったらしく、リタイアするときもいろいろあったみたいで、円満卒業というわけでもなかったことは判ります。そんな昼はホームセンターで働き、夜はダイナーで読書するのが唯一の趣味である独身のおっさんが、実は凄腕の殺人マシーンだったという設定は面白いけど、日本じゃ『仕事人』シリーズで飽きるほど見せられています。それを名優デンゼル・ワシントンに演じさせるとなると…これがなかなか魅力的な映画に仕上がっているんです。彼は映画中盤から数えきれないほどロシアン・マフィアを殺しまくりますが、銃をいっさい使わずいろんな小道具を武器にして処刑するところが面白い。そこはホームセンター勤務という設定が生きています、考えてみるとホームセンターってところは恐ろしいものをいろいろ売っているんですね(笑)。クロエちゃん演じる娼婦を助けるようになるという展開の説得力のなさがこの映画の最大の弱点かと思いますが、ラストでデンゼルがネットで“お助け屋”みたいな稼業を開業するところは、この弱点を判ったうえでの脚本家の開き直りみたいな皮肉を感じました。最近のハリウッド映画で最凶なのはロシアン・マフィアというのが相場ですが、こいつら大物も雑魚も背中一面にタトゥーを入れまくっているところに禍々しさが強調されてます。でも振り返ってみると、面構えの割にはみんな大して強くなかったのがちょっと残念。 デンゼル・ワシントン&アントワン・フークワのコンビはやっぱ最高ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-07 22:45:09)
117.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
このシリーズが好きな自分としましては、この続編製作じたいはアリだったと思います。考えてみれば前三作は一本の映画を三分割したようなものだし、『アルティメイタム』の閉め方からして、最低でもあと一本は撮ってそのストーリーではジュリア・スタイルズをかなり前面に押し出してくるだろうと予測はつきました。 お約束の冒頭30分の手ぶれ映像によるサスペンス・シークエンスはシリーズ最大規模、実際のギリシャ危機のゴタゴタを巧妙に取り込んでいて、この脚本のセンスには毎回感心させられます。でもまさかここでジュリア・スタイルズが退場するとは予想外でした。けっきょく明かされたジェイソン・ボーン=デヴィッド・ウエッブの秘密も、サプライズを呼ぶほどのことはありません。悪役CIAはトミー・リー・ジョーンズ、殺し屋はヴァンサン・カッセルと両者ともシリーズ中最凶でかつ大物俳優を連れてきました。ボーンはついにCIAのトップと直接対決となったわけですが、仕留めたのかというとそれは微妙な感じです。しかし最高責任者の長官が二代続いてこんな不祥事しでかしたら、いよいよCIAは組織解体そして大統領は辞任ものですよ。 さてシリーズ四作を観て私がいちばん気になっているのは、劇中のCIAの情報収集力の驚異的な高さです。現実にはエシュロンとかいう盗聴システムみたいなものを米国は運用しているそうですが、映画の中にそのテクノロジーがどれだけ反映されているのか気になるところです。また世界中に支部があって実力行使部隊を、たとえそれが英国であろうとも、その国の主権をガン無視してやりたい放題するのは実に恐ろしいことです。誇張はあるにしても、何らかのCIAの現実の活動を脚本におとしこんでいる気がしてなりません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-04 22:19:27)(良:1票)
118.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
大統領以下の合衆国首脳がビン・ラディン襲撃作戦をリアルタイム映像で観戦している動画を見たことがありますが、その顔ぶれの中でいちばん不安そうな表情をしているように感じたのはオバマ氏でした。作戦の最高責任者なんだから緊張するのは当然という解釈が成り立つでしょうが、「ノーベル平和賞をもらった僕がこんな荒っぽいことをさせたら、イメージが悪くなっちゃうんじゃないの?」とビビッていたのが本心だったようにしか私には思えませんでした。8年間の任期で残した唯一の功績がビン・ラディン殺害だったというのは、皮肉なことです。 ナショジオ・チャンネルあたりでこの事件のドキュメンタリーがさんざん観させられたあとなのでいまさら感が濃厚でしたが、やはりキャサリン・ビグローのような凄腕がメガホンをとったら迫力が段違いですね。この映画はマヤの同僚が自爆テロで殺されるまでの前半と、そのショックからマヤが鬼神のような奮闘でビン・ラディンを追い詰めてゆく後半と、はっきり分かれたストーリーテリングになっています。その後半のジェシカ・チャスティンの演技がまた凄まじいんです。無能な上司に喰ってかかるときの表情、「こいつはオコゼ女か!」と私は震えあがってしまいました。美人なのは確かですが個人的にはこういう顔は趣味じゃないので、余計に衝撃だったのかもしれません。でも襲撃隊員に「私のために殺してきて」と声をかける姿には、後光がさしていたような感じすらしました。だから作戦成功後に燃え尽き症候群みたいになってしまうのは、説得力に満ちています。この映画の最大の見どころは、やはり彼女の演技に尽きると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-21 23:54:37)(良:1票)
119.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
いい加減なライターの本作がウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』のリメイクだという記事を真に受けていましたが、観てみりゃ全然関係ないじゃないですか。というよりもタランティーノをはじめとして色々な映画のイメージの寄せ集め的な感じすらします。別にこれは悪い意味ではありません。才人エドガー・ライトだけあってそれぞれの映画作家のエッセンスを上手くまとめています、でもその中でもタランティーノの影響は強く感じます。ダイナーでバッツがデボラにからむシークエンスなんて、その緊迫感は本家を凌駕してるんじゃないですか。 マニアは歓喜の涙を流すんじゃないかと思うぐらいカーアクションは切れまくり、やはりこういうアクションはスバルの時代ですよ。同じ赤い二台の車の間に入って入れ替わるというネタは、バカバカしいけどアイデアとしては最高でした。バッツもこれぞジェイミー・フォックスと声をかけたくなるぐらいの恐ろしい悪役ぶりを堪能させられましたが、あの突然の退場シーンは意外でした。でもこれって『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロのあっけなさに通じるところがある気もします、ここにもタランティーノの影響が感じられます。主演のカップル役の二人は初めて観る顔ぶれでしたが、自分にはどうしても若き日のジェフ・ブリッジスとジェシカ・ラングが演じているような気がしてなりませんでした。雰囲気、似てますよね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-15 20:19:15)
120.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
ウダウダ・グジグジの男陣とカースト意識むき出しで火花を散らしあう女陣、これぞゆとり世代の高校生活という感じだが、よく考えると自分のはるか昔の高校生活と大して変わらないことに気づかされました。現在は高校全入の時代で大学も選り好みしなければどこでも入れる状況なので高校生たちも個人の趣味や男女交際に没頭してる感もありますが、偏差値万能の自分らのころは入った(合格した)高校によって学生生活が変わってしまうといういわば高校カーストの要素が強かった気がします。そのころでも部活は学校体制から離れて個性を発揮できる場だったから楽しかったわけで、そう考えるとこの映画のキャラたちが持っているような部活カースト意識はなかったなあ。 確かに観る人によって評価の振幅が大きい類の映画だと思いますが、凝った構成の脚本と出演陣の最近の日本映画ではピカイチの自然な演技は秀逸の極みです。ただ唯一、神木隆之介の映画部部長だけはキャラ設定が臭すぎた感が否めなかったですね。今どきロメロ愛を熱く語り8ミリで映画を撮る高校生なんているかよ(いや、いるかもしれないけど)!30年前の映画青年みたいな語り口はちょっと不自然でしょ。思い返せば自分の高校時代にもこの部長を彷彿させる同級生の演劇部がいました、彼は今やこのサイトにも登録されている有名な声優になっています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-12 00:56:46)
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