121. ミラーを拭く男
一言も喋らない主人公という設定は斬新なのかもしれないが、そうするならばもう少し彼のミラー拭きにいたる動機や途上の心のひだをもっと演出してほしかった。あまりにも飄々としていて、彼がいったい何者なのかさっぱりわからない。単調な旋律を繰り返すBGMも彼の内面を見えにくくしてしまっている。おそらく脚本を読むだけなら面白いかもしれないが、映像化する段階で監督の演出力のなさが露呈してしまった印象。ともあれ新進の映像作家なので今後に期待。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-05-12 07:10:28) |
122. フォーガットン
とても評判が悪い本作ですが、そこそこ楽しめました。いきなり彼方へ吹っ飛ばされるという発想はなかなかおもしろい。確かに彼らの動機と行動はちょっと変ですが。ハヤカワ文庫あたりの短編SFを読んでいるような不思議な感覚がありました。 [DVD(吹替)] 6点(2006-05-03 16:35:37) |
123. コーリング
限りなく6点に近い5点。「コーリング」を脅かし演出で見せることで物語の芯がぶれてしまったような気がする。生きている人間にとってはそのような超常現象は恐怖なのだろうが、それでもしつこすぎた。謎解きまでの過程もちょっとだらだらして退屈してしまいますね。こういうテーマはとても好きなのでちょっと残念です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-04-25 23:40:54)(良:1票) |
124. ハワイ・マレー沖海戦
戦時中の国策映画なので、当然メッセージとしては戦意高揚にあるわけですが、そのメッセージまで含めて、自分には大変興味深い作品でした。この時代は僕の祖父母が生きていた時代であり、両親がが子供だった時代です。ところが戦時中というと、どこか別の世界の、歴史教科書のなかの出来事として現実感を感じられなくなってきていると思います。しかしこの映画に映し出されているものは間違いなく現在と続いているまぎれもない日本の姿そのものなわけです。ロケ地にしても、当時の風俗にしても、まさにその当時そのままの姿が記録に残っている。原節子が立つ同じ日本の地、同じ空の下で、祖父母が間違いなく生きていた。作品の意図するところとは別に、僕はそんな感慨を持ちました。 [DVD(邦画)] 7点(2006-04-23 12:49:00) |
125. コーヒー&シガレッツ
高評価の中気が引けますが、僕にはこの作品のよさがサッパリ理解できませんでした。それぞれの短編はタイトルのとおりコーヒーと煙草を小道具として使っているという共通点はあるが、これといって何かキーになったり触媒になるわけでもなく、かといって、全く無意味かというとそうでもない(ような気がする)。おそらく最後まで観ればなにがしか全編を貫く韻のようなもの、または感慨があるのかと思っていましたが、それが僕の感受性の弱さか、キャッチすることが出来ませんでした。昔現代美術の展覧会に行って、部屋の中央にポツリと置かれたオブジェを見て、友人は「鳥肌が立った」と感動しているのに、僕は全く何も感じることが出来なかった孤独感を思い出しました。 [DVD(字幕)] 5点(2006-04-21 16:42:46) |
126. アイ,ロボット
まったく期待しないで観たのだが、そこそこ面白かった。さりげなく見せる未来都市もSF好きには興味深く面白い。ただ、あと30年ではあそこまでは進歩しないと思うけど。100年経ったらあのくらいいくかも。ところで「ロボット三原則」遵守は人と関わるロボットの基本中の基本だと思うのだが、それを声高に宣伝するロボットというのもおかしな話ではないだろうか。 [DVD(吹替)] 7点(2006-04-15 15:12:06) |
127. アウトサイダー(1983)
高校生の時、学校をサボって地元の映画館に観に行った事を思い出します。S・ワンダーのテーマ曲が素晴らしく、印象に残った。しかし地獄の黙示録を撮った巨匠がなぜこの映画を? [映画館(字幕)] 5点(2006-04-15 04:06:01) |
128. CUBE ZERO<OV>
《ネタバレ》 第1作「CUBE」は秀作だったのに、いやはや落ちぶれたもんですな・・・。 もはやショッキングな殺し方も謎解きもインパクト無し。そして何より興醒めなのがシステムを操る人間を出してしまったこと。ネタバレしてしまったら、あの不条理と閉じ込められた悪夢のような恐怖が全くなくなってしまう。それもなんだあの片目の男と二人の取り巻きは。安っぽいことこの上ない。 [DVD(吹替)] 3点(2006-04-14 19:57:33) |
129. リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
サム・ビックは自分が純粋で正義であるように言っているが、実は自分をまっすぐ見詰めることから逃げ、全て周りや世の中が悪いのだと責任転嫁をしている。当然彼の思うように物事は進まず、益々追い詰められていく。実に哀れで虚弱な男というほかは無い。ということで僕はこの男に感情移入することも共感することも出来なかった。しかし映画としては物語りの紡ぎ方が巧みで、デビュー作とは思えない監督の力量を感じる。また主演のショーン・ペン。彼の苦悩する表情は実に素晴らしい。95分の短い作品なのだが2時間以上の大作を観ているような重厚さがあった。 [DVD(吹替)] 8点(2006-04-14 16:54:57) |
130. 銀河ヒッチハイク・ガイド(2005)
はっきり言ってこのイギリス映画独特のひねくれたユーモアのセンスにはクスリとも笑えませんでした。ただ、なんとも馬鹿らしいネタに素晴らしい美術とVFXを駆使して美しい映像を作り上げている。もうこの映像に見とれて最後まで鑑賞できたという感じです。きっと本国の映画館では爆笑の渦だったりするんだろうなあ・・・。 [DVD(吹替)] 7点(2006-04-13 21:00:12)(良:1票) |
131. イントゥ・ザ・サン
セガール氏はどんどん日本語が下手糞になっていくなあ。昔見たときはもっと喋れてたんだけど。思うのだが、彼はアクションスターとしては素晴らしいが、製作まで手を出さないほうがいいのでは。折角長年住んだ日本を舞台にしたのに、もうトホホな出来で、最後まで見るのがかなり苦痛でした。日本の一流どころの俳優も出演しているのにもう気の毒なくらい。皆さん仰るようにVシネマに毛が生えた程度のものですね。唯一救いといえば、あまりに頓珍漢な日本描写は少なかったという所かな。 [DVD(字幕)] 2点(2006-04-13 20:56:01) |
132. 愛についてのキンゼイ・レポート
当時の保守的な社会の中で、これだけ大胆にタブーとされていた分野に切り込んだキンゼイ氏はやはりただ者ではなかったのでしょう。しかし論理や学術的な視点だけではこの世界を全て単純化し、公式化してしまうことは出来なかった。人間とはもっと深くてはかりしれないものなのだということなんですね。 [DVD(吹替)] 7点(2006-04-13 20:47:27) |
133. ドミノ(2005)
時間軸を交錯させる流行の手法だが、果たしてどれだけの意味があったのか。それから無駄に振り回す手持ちカメラと迫力の無いアクション、そして主人公の下品な言葉の数々と暴力に継ぐ暴力。実話ということだが、この主人公と物語がどれだけの価値があるのか、僕にはサッパリ共感できませんでした。 [DVD(吹替)] 3点(2006-04-13 20:37:41) |
134. ソウ2
ホラー映画としては一定の水準に達していると思うが、犯人の動機が僕には引っかかりました。末期ガンを宣告されたというだけではこのような猟奇犯罪を犯すには弱すぎないだろうか。だって同じ宣告されて、それでも前向きに頑張っている人たちが沢山いるのにねえ。彼がこのような猟奇犯罪に走る最後の「スイッチ」にはなっただろうけれど、それ以前に彼の人生にはもっと深い闇があった筈。それが悲惨で哀しくて救いようが無ければないほど、この物語の異常性が際立ってきて、もっと絶望的な気持ちでエンドロールを迎える事が出来るのではないだろうか。 [DVD(吹替)] 7点(2006-04-04 09:04:07) |
135. コラテラル
あまり評判よくないですね。ビンセントが殺し屋として隙がありすぎるというのは確かにそうですが、僕は犯罪アクションというより、マックスに訪れた人生のターニングポイントの一夜の物語として観ました。夢を見ながらも踏み出せずになんとなく自分を誤魔化しながら生きている、マックス。俺もそうだよと思いながら・・・ [映画館(字幕)] 8点(2006-03-29 17:49:15) |
136. アメリ
確かに絵作りやストーリーテリングは非凡なものがあるが、くどすぎて途中でお腹一杯になった。 それからアメリが自分の友人にそっくりなので妙な気持ちでしたw [DVD(吹替)] 5点(2006-02-02 07:53:56) |
137. THE 有頂天ホテル
楽しい映画でした。役者の皆さんがこの映画に出ることが出来て本当に嬉しい、楽しい、という気持ちが画面からにじみ出てくるような、それでいて内輪受けや楽屋落ちに走らずにきっちり仕事をしているという雰囲気に好感が持てました。しかしよく練られた脚本ですね。ちょっと技巧を凝らしすぎてごちゃごちゃしたような印象もありますが、これだけの脚本を書ける人はなかなかいないんじゃないでしょうか。それからこの映画、本当は年末に公開したかったんじゃないかと思います。大晦日に劇場で観れたら最高だったでしょう。とても幸せな、うきうきした気持ちでお正月を迎えられたと思います。 そう、この映画も登場人物のその後の幸せを願ってしまう数少ない作品です。皆人生色々あっても幸せになって欲しいです。 [映画館(字幕)] 8点(2006-01-18 00:46:10) |
138. ミニミニ大作戦(2003)
オリジナル未見。盗人グループの駆け引きや物語の展開など、水準以上の出来だと思います。しかし最近のハリウッドカーアクションはどの映画も良く出来てはいるが、見せ方がどれも似たり寄ったりだな。アイデアが出尽くしたのかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-10 09:48:12) |
139. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 大満足の3時間でした。確かにキングコングが登場するまでの1時間はじれったいですが、その後はエンドロールまであっという間の凄まじい映像の洪水。しかし1930年代のNY、髑髏島、恐竜や巨大昆虫達、どんな些細なシーンでも全く隙が無い豪華絢爛な映像です。映画だから、きっと予算が・・・などと想像させるカットがただのひとつも無い。完璧に世界を作り上げています。監督が痩せるのもわかる。大変な労力だったでしょう。しかしこの映画はそれだけのCGアトラクション映画では終わらない。この物語の肝であるアンとコングの「愛」も大変美しく描かれていました。ナオミ・ワッツはこの映画で本物のスーパースターになったと思いました。 [映画館(字幕)] 9点(2006-01-09 19:04:45)(良:1票) |
140. チーム★アメリカ ワールドポリス
「サウス・パーク」のスタッフが製作したそうですが、「サウス~」を観たことは無いです。予告編を観た時には、アメリカの独善的な「正義面」を皮肉るリベラル(マイケル・ムーアとかね)寄りの作品かと思っていたのだが、そのムーアがテロリストになって自爆してしまった・・・。要は上っ面だけの権威や正義面する輩を片っ端からコケにしてやろうっていうことなんでしょう。とにかく毒気たっぷりで途中でげっぷが出そうになりましたが、楽しめました。それから美術はすごいですね。手間もお金もかかっている。まあここまで強烈な作品も飲み込んで許容してしまうアメリカという国はなんだかんだいってすごい国です。 [DVD(吹替)] 8点(2006-01-08 13:44:43) |