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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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141.  ハリケーンアワー 《ネタバレ》 
タイトルから連想されるような、暴風雨吹きすさぶ賑々しい(?)ディザスターものとはちょっと違います。ポール扮する新米パパは突然の災難に見舞われるのですが、これが本当に現実的な闘いなので観てる側の‶他人事ではない”共感度が高い設定となっています。 街中に突然出現した異生物が暴れるとか巨大宇宙船が現れるとかだと、それは想像の域を出ないパニックですが、天災となると我々もこの国土で何十年も体験しているわけで。停電となった病院に新生児と取り残されるシチュエーションは普通に起こりうることです。自分ならどうしよう?と途方に暮れました。 生命維持装置のバッテリーの持ち時間をわずか3分弱にしたのが状況困難設定として効いています。「一階まで往復できるだろうか」と心配し、看護婦さんまだかなあっとじりじりします。 いやはやアメリカってオソロシイなと思うのは災害時に乗じて現れる武装強盗とも対峙しなきゃならんのか、ということ。こんなケースは経験の蓄積が無いよ・・。天災も人災も恐ろしい。両方を赤子ともども生き延びたポールパパの必死の演技が光る遺作であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-26 23:29:45)
142.  ラスト・ターゲット(2010)
とても寡黙なので観る者が細部を想像力で補わなければならないストーリーは親切ではないのですが、話の流れを追うより画の余韻を味わうべき作品です。元カメラマンという肩書も納得の監督の美的センスが1シーン1シーンに反映され、女優の裸体の美しさや机の前にただ座っているだけのG・クルーニーのショットすら西洋絵画のようです。 小高い丘に石造りの建物が並ぶイタリアはカステル・デル・モンテのロケーション力は抜群ですし、銃を改造あるいは組み立てる時の手さばきは熟練の技術の粋とも言え、もう「画のチカラ」で引っ張ってくれます。 ただキャスティング。ジョージ・クルーニーは評価しづらいです。どこまでもヨーロピアンな香りの本作に、いつも歯痛をかかえていそうな単なる仏頂面のクルーニー。もともと表情に奥行きの無い表層タイプの彼はあからさまに「アメリカ人」なのですが、考えてみれば原題はThe Americanですし、ここはクルーニーで正解なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-29 22:57:58)
143.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
トミー・ウィソーは幸福な方へ倒れたエド・ウッドですね。共通してるのはあふれんばかりの映画創作愛と、それがハイスピードで空回りしちまってるトコ。 ラストで「ザ・ルーム」とのカットが並行して流れるのだけど、J・フランコがトミーを完コピしているのに驚きます。ひえ、つまりホントに実在したんだ、こんな奴が。 ホンは書けない、台詞は覚えられない、演出は無意味、と創作のセンスの欠片もないトミーにいかに周りが振り回されたか、が本作の見どころではありますけど、エドの時と同じように役者もスタッフも最後まで投げ出さずなんだかんだで駄作を作り上げたことに、ある種の愛すら感じてしまうのでした。おばあさん役の役者に問うシーンがあります。「なんでこんな仕事を引き受けたの?毎日80キロも運転してまで」に答えた彼女曰く「だって私は役者なんだもの」・・人は突き動かされてどうしてもそれをやる、止めがたい情熱があるのですねえ。 トミー・ウィソーはラッキーな人です。お金には不自由しないし、生きているうちに本作のような裏話映画まで作られて称賛されている。エド・ウッドにも同じ感動を与えてあげたかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-26 23:44:41)
144.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
・・ああやだやだ。嫌だーこの映画。なんか怖がらせてくるというより、ヤな気持ちにさせる嫌がらせのような映画である。えげつないんですよねやり口が。小説に「いやミス」があるなら、こちらは「えげつなホラー」とでもジャンル確立できそうな。 悪魔信仰云々といった正統ホラー描写は宗教の違いもあってか、別に怖くない。けど人の気分を胸糞悪くさせる中盤まではホント消耗する。妹を事故で死なせた兄ちゃんが現実逃避するあのいたたまれなさ。翌朝長々と耳障りに響くトニ・コレットの絶叫。トニ・コレットのガサガサした感じの顔もしんどいが、あの娘役の顔がこれまたキツイ。一体どうやったらあんな不吉なオーラをまき散らす顔になるのか。あの子の担任になるのは絶対ゴメンである。 ‟親として絶対子どもに言ってはいけない”ことばかりを息子にぶつけるトニ・コレットの毒親ぶり。その言葉に削られてゆく息子の土気色の顔。えげつないって。誰だって辟易する。 「家」もヘン。やけに奥行きあり過ぎ、だだっ広い空間が多くて昔の旅館みたい。撮影のために建てたんだとか。生活動線を考えてない住居ってこうも居心地悪いもんなのか。 現代アメリカンホラーの最高作との呼び声高い本作、たしかに強烈なパンチは食らうけれど個人的には「怖い、でも美しい」シャイニング的ホラーの方が好み。ほんとやだったあ 二度と観ない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-20 23:45:20)
145.  華氏119 《ネタバレ》 
何故トランプが大統領になり得たのか。その原因を民主党政権の時代にさかのぼって多角的に分析した本作は、これまで「怒り」をベースにしたムーア監督に「疲れ」や「絶望」も垣間見えてアメリカの闇が深まった感がありました。 ごりごりに「左」の監督が民主党への批判をも縷々織り込んで展開してみせるは拝金主義に陥った米政治の混沌ぶり。彼の故郷ミシガン州フリントの水問題のくだりでは、「新しいアメリカの象徴」として輝かしく大統領に就任したはずのバラク・オバマの骨抜かれぶりが記録され、かの地の住民ほどではないにせよ日本人のわたしも衝撃を覚えました。 ヒラリーが献金漬けなのは有名な話だし、政治信条など無いトランプは時に民主党以上にリベラル発言をしたりで場は混乱。結果「どっちも嫌」という有権者を大量に生むことに。 これまで漠然と「米国は民主主義のチャンピオン」と思っていたけれど、実はかの国でも未だ民主主義は到達すべき理想形に過ぎないのだという学者の指摘には、問題がそびえたつほどの山積なのだと思い知らされます。 すぐになど変えられない。でも声を上げないとどんどん専横がまかり通る事態になる。その恐ろしさを胸に刻んで、この国でも選挙には必ず行かなくちゃ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-18 23:31:07)(良:3票)
146.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 
ロシア製の堂々たる娯楽大作です。正直こんなに‟こなれた”映画を作ってくるとは驚きました。男優も女優も画面負けしない一流どころで、まあ冒頭のCGの出来はさておき人間が演じる部分には画の背景や質感に安っぽさがありません。とりわけ世界水準レベルなのが戦闘場面で、砲弾散らかるガレキだらけの現場のリアリティはもとより、狙撃兵からの攻撃がいつ来るのか静と動の描き分けが巧みで緊迫感を煽ります。ここらの演出の洗練ぶりは「ブラックホーク・ダウン」や「フルメタルジャケット」等の先達からきちんと学んでいるような感があります。 惜しむらくはいろんな娯楽要素を盛りすぎかなあ、ということ。CG仕立てのクリーチャーらが跋扈する様子はSFバトルのようで非現実気分になりますが、しかし人の命が軽い戦地の不条理や酷さは「ハート・ロッカー」レベルですし、箸休め的にちょっとしたロマンスまでぶっこんで節操がないまでのごった煮の様相を呈しています。作品を壊すほどにバランスが悪いわけではないですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-09 23:41:21)
147.  名探偵ピカチュウ
観ている間何度叫んだかわからない。「可愛いー!」と。まさかいい年して小動物の可愛さに身悶えさせられるとは。日本での公開前から話題になっていた‟しわしわ顔”にはノックアウトされてしまった。手で涙をごしごししての、あの顔なんだよ。あああ~悶死寸前。 手に伝わりそうなふかふか感。体温の温かさも感じそうなリアルな厚み。ポケモン実写化と聞いて大方が抱いた危惧を完全に払拭してみせた映像技術とスタッフのポケモン愛に、大いに敬意を払いたいと思います。 その昔の「キャベツ畑人形」に始まって、アメリカのぬいぐるみセンスにはズレしか感じて来なかったのですが(そばかすが多いとか)まさか「カワイイ」カルチャーの国の民がUSA仕立てのピカチュウに心奪われるとは。いや可愛いなあ。しわしわ顔のぬいぐるみ欲しいなあ。 あ、お話ですか。ビル・ナイと謙さんがいたような気がするな。そして普通に面白かったんじゃないかな。
[地上波(吹替)] 7点(2020-06-29 23:29:38)(笑:1票)
148.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 
激震級の経済破綻、リーマン・ショックが何故起こったのか、その数年前からの金融界の動きを複数の投資家らの「読み」を交えながら解説してくれる本作、勉強になりました。 住宅市場の健全性を疑う‟先見性”を持った人たちは存在していて、それがすでに賢すぎて凄いんだけど同時に自分の読みを信じて大量の空売りをかける、その度胸の強さにもまた小心者の私は驚嘆した次第です。 恐ろしいのは、破滅が来ることを判っていたのはごく少数の人だけだったこと。大銀行も大手マスコミも彼らの訴えを相手にしない。だって格付けがAAAなんだもの。住宅債権が超優良物件なのは常識なんだから。クリスチャン・ベールが取引成立のあとメガバンクの連中に大笑いされていたように。 経済市場ってなんだか生き物のようで不気味にも感じましたねえ。ビビるのは債務不履行が明らかになったのに債権が値上がりする現象が起きたこと。まるで心臓が止まったのに血流が流れ続けているようではありませんか。なにこの生き物。さすがにクリスチャン・ベールもスティーブ・カレルも意味分かんなくて取り乱してましたね。もちろんその後予想以上の大破綻は発生するのですが。最終的にベールの会社の利益率が+411%だって(!!) 我々が暮らす資本主義社会の暴走した結果が2008年のこの事件。人類の英知をもってして、この繰り返しは是非とも避けたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-18 23:18:45)
149.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
まず、未だに先住民居留地なるものが存在するとはびっくり。やせた土地に追いやられ、米国社会の末端に置き去りにされたままのネイティブアメリカンたちがそこにいました。 アメリカらしく道路だけはどこまでも整備されて通っているし、四駆のクルマはデカくスノーモービルも行き渡っているようだけど、カメラが捉える地域の画は見るからに活気が無い。仕事は無いし犯罪は多く、捜査の手もまともに入らない。地元警察署長の台詞「孤立無援には慣れてる」が、背景の全てを言い切っていますよね。まず先立つ諦め。 風土は厳しいし、社会がこんなんでは登場人物らがほぼ全員激渋で重く暗い表情なのも無理ありません。だからFBI捜査官のE・オルセンをフロリダ育ちという南国者に設定したのかも。彼女の、この土地と真反対のさくさくした懸命さが作品のアクセントになりました。 実話ベースゆえ事件に大きなひねりがあるわけではないのだけど、排他的な雰囲気や閉塞感がまとわりつくこの地域のサスペンス風土に心がやられます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-01 23:50:52)
150.  デーモン・インサイド 《ネタバレ》 
怖ー。女のサイコパスてのは男より残酷さを感じるものだなあ。またこの役に扮したハンナ・エミリー・アンダーソンが上手いんですよ。迫真の泣き演技の直後、すっと素に戻るあの怖さ。いやだって現実にいるもの、こういう人。怖。 レズビアンカップルという設定も目新しい。夫が男だったら体力的にハンデが生じてサイコ側が必ずしも優位に立てないから、という脚本家の理由かしら。 展開が早いのでダレずに済みます。妻の本性が現れるのも突然で腰抜かしちゃうほどびっくりしますし、その後隣人という逃げ道が示される→だがしかし道絶たれる→自力で奇跡の逆転→まさかの再闘、の流れに無駄が無い。一つ一つのシークエンスに余計な時間を割かないのです。まあだから細かい部分は説明なしなので、幼なじみの子がどうやって死んでしまったのかは分からないし、ジュールズが「戻る」と決意に至った気持ちの描き方はざっくりです。私はイヤだなー速攻で警察に逃げ込むなあ。 殺しの場面は血しぶき上がったり、ブラックライトに浮かぶ血の跡とかグロい描写もありますけど、そんなのよりジャッキーのつらっとした冷い表情が私は何より怖かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-13 00:59:48)
151.  ドリーム 《ネタバレ》 
まだまだ黒人差別が色濃い60年代にNASAのプロジェクトに貢献した3人の黒人女性のお話。偏差値が超高い人たちの社会であっても道徳的価値観は知性とはまた別なモノなのね、と戦慄すら覚えました。 黒人専用のトイレに毎度800mも走るなんて。「自分たちの」コーヒーサーバーから彼女がカップに注いだ時の白い目。データを黒塗りする同僚。働きづらいことこの上ない環境下でも、彼女らは街中で暴徒と化す同胞らと違い、黙々と自分の成すべき業務をこなすのですね。悔しいったら。でもその分、ついに上司にブチ切れた場面が活きました。「考えてもみなかった」彼女らの被差別環境にようやく気付いて呆然とするケビン・コスナーの表情が良いです。コスナーはこのところ良い仕事をもらえているようで。演技幅の広い人ではないけれど、今作の”リーダーシップのある上司”像は彼にとっては十八番といっていいほどのハマり役ですから、とても説得力のある存在でした。 原題(Hidden Figures)の指す通り、NASAにこんな切れ者の黒人女性技術者がいたとは全く知らずにいて驚きました。でもこの驚きの中身って「黒人の、それも女性が活躍していたとは」に他ならない。キルスティン・ダンスト扮する上司に投げかけられた言葉「貴女が偏見などないと思い込んでいることは知っている」これはそのまま私にも当てはまるのだと気づいて、うっ、となりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-11 23:16:28)(良:1票)
152.  ローン・サバイバー 《ネタバレ》 
序盤こそ戦地モノにありがちな、人物紹介と隊の雰囲気描写で大して期待させない入り口なのですが。これが作戦が始まるととたんに引き締まります。予定にない判断を迫られ、無線は通じず任務遂行どころか撤収半ばで命を落とすかも、の地獄絵図。 このカメラワーク、カット割り、肉体の痛みを伝える臨場感といった技は数多の戦争映画と比べてもトップレベル。「痛たたた」と何度顔をしかめたことか。 絶命する米兵のスロー描写はいかにも英雄扱いですし、タリバンと敵対して身を挺して助けてくれる地元の村人ら、一から十まで米軍寄りの描き方ではあります。事実を盛りに盛って娯楽作品に堕としたとの指摘もあるみたいですけど、それもきっと正しいのでしょうけど、少なくとも私は戦争の酷いこと、無意味なことは充分感じました。「こんなこともうやめようよ」と何度も思ったよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-10 23:30:14)
153.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 
後半になると脅かし方がワンパターンになってしまってホラーとしてはさほど突出した出来ではないかもしれません。けど、このお話は13歳の群像を描いたジュブナイル作品でもあり、やはりキング原作の「スタンド・バイ・ミー」にも劣らぬ「思春期前半」のきらめきや瑞々しさが息づいています。 ”ルーザーズ”は7人もいるのだけど、各人に個性をちゃんと持たせてキャラ立ちできています。正義感が強くてどもりの主人公、口の減らないメガネ、ラビの息子、過保護の潔癖症、地元史オタクの太っちょ、親を亡くした黒人の男の子、父のDVに苦しむ女の子。よし覚えた。皆が成長した次作もこれでばっちり見分けがつくはず。たぶん。 敵役のでこぱちピエロは目つきが悪く、急にでかくなったり口の中が異次元だったり、いかにもアメリカンな邪悪っぷり。巨悪と戦うことにより仲間との絆を深め、各々の人生の課題をも乗り越える力を得てゆく13歳たちに素直にエールを送ります。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-20 23:22:25)
154.  ゲティ家の身代金 《ネタバレ》 
世界一金持ちで且つ吝嗇化の爺さんの話。まーすごい人間がいたものです。孫の命と引き換えにも銭を出し渋る。その一方で美術品の購入はし続ける。何でも手に入れた人間は手に入らないことが許せないのですかね。孫ですら「血縁だから」→「自分のものである」それを息子の元嫁が奪いやがった、と恐れ入る自己中の感性です。 誘拐犯とマスコミとクソ舅の集中砲火にあっている母親役のミシェル・ウィリアムズの特筆すべき演技。息子を想い、舅に心傷つけられても気丈で必死な母親ぶりは落涙ものです。高価な美術品と信じていた、爺さんから息子への贈り物。身代金の足しにしようと閃いたものの、それが二束三文の土産物だよと知った時の彼女の絶望たるや。階段にへたり込みもしますわね。あのじじいが孫にだって金目の物をくれてやるはずはなかったのだ・・。 こんなクソ爺の心冷える話が映像美も兼ねた誘拐サスペンスに仕上がっているのだから、リドリー・スコット監督のベテランの手腕には感心します。 C・プラマーもミシェルも素晴らしい。けどM・ウォールバーグはさして活躍しないうえ、作品撮り直しの際の金銭ゴタゴタで男を下げました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-30 00:33:52)
155.  否定と肯定   《ネタバレ》 
アメリカ風に饒舌な弁論で押すタイプの法廷劇とは違いますけど、論旨を積み上げてゆく英国式もまた見ごたえがありました。国が違えば裁判制度もずいぶん違うのですねえ。英国の裁判システムに驚いたのは被告側に立証責任があるということ。それに、本ケースは原告であるホロコースト否定派の名誉棄損訴訟で、著作の解釈のあり方を問うもの。これがまず難しい。訴えられた側のデボラもその辺を混同している節があり、「ホロコーストの有無」にこだわり生存者を証人として呼び情に訴えたいと主張するのですよね。 デボラの強気一点張りはいかにもアメリカンのイメージ。裁判長への一礼も「アメリカ人だから」と拒否しますし。 彼女の激情をいさめつつ、法廷論争の戦術がぶれない英国人弁護士らの理性的な判断はさすがです。 クライマックスらしき大盛り上がりの無い本作において唯一驚かされる場面は裁判長の放った一言。この一瞬、何が起きたのかデボラも私も共に困惑。さすがに弁護士らは提起された意見に考え込んでましたが。 裁判長「原告は心底からホロコーストの無かったことを信じているのではないか?」即ちアーヴィングが個人の信条に基づいて既出の歴史解釈を否定したとしても、それを嘘つきと呼ぶことはできないのではないか? デボラ側が勝つことに疑いを抱かなかった私(と多分大多数の人)がうわあなるほどなあ、と唸る場面でありました。 果たして裁判の結果はいかに。世間の注目を集めることに成功し意気揚々のアーヴィングと、それを見て喧嘩疲れな表情のデボラ。まあこれが今我々の生きている社会なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-29 00:30:10)
156.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
たしか三十数年前にも埼玉vs千葉の田舎度争いが全国的(?)に盛り上がったことがあったなあと記憶しているのですが、とうとう映画になるとはこのネタの普遍性に驚くばかり。 魔夜峰央のクドく、こじれた少女漫画の世界観をGACKTという逸材を得て奇跡の実写化大成功と言えるのではないでしょうか。 こんな話なのに役者らが大熱演。しかも楽しそう。こんな話なのに、エキストラ大量動員の決戦場面は熱量大放出で迫力満点。無駄に流暢なカメラワークや、けれんみ溢れる演出がこの馬鹿々々しいワールドに見事に機能しており、制作陣の遊び心のセンスはまことに健全であると感じ入ります。 埼玉、千葉にとどまらず、周辺県への流れ弾もハンパないですが感動しちゃうのはこんなネタにされてもむしろ大ウケしている当該県の皆さまの感性豊かなこと。スタッフが謝罪しに行った時の埼玉県知事のにこにこ顔といい、遠くイタリアでも笑いを取れたという余禄といい、たくさん心温まる気持ちにさせてもらいました。
[地上波(邦画)] 7点(2020-03-01 23:36:51)
157.  なんちゃって家族 《ネタバレ》 
下ネタ多めだし、社会の建前は無視だしで決して家族向けではないコメディ。私はこれ大好きです。 エンドロールに流れるお蔵入りカットの数々を見ても、スタッフと役者が仲良く遊び心満載で仕事をしていたのが伝わります。そうして生まれた作品そのものも健康で明るい。 麻薬を国境超えて運ぶミッションという本筋の合間にちょこちょこ笑いを入れてくる、その繰り返し。どのジョークも気が利いていて笑ったなー。計画序盤で髪形を伝える注文の仕方とか、全員がお土産仕様のメキシカンハットを被って検問を抜けようとする間抜けな画ヅラとか、貞操を失う寸前(それもゲイ・バージョン)の長男ピンチ場面とか、TLCを熱唱するウィルとか。 あと、ほらアメリカ人て社交的で人付き合いに熱心なイメージがあるじゃないですか。しょっちゅう近所の人とバーベキューパーティやってるみたいな。けどミラー家の口をついて出るのは「目を合わせるな 話しかけられたら面倒だ」とかご近所ご挨拶の直後に「あの人たち嫌い」「まったくだ 付き合う意味ない」とか。まあアメリカ人も本音がダダ洩れするとこんな感じなのねえ、と近しく感じてちょっと安心しました、はい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-14 17:21:35)(良:1票)
158.  君の名前で僕を呼んで 《ネタバレ》 
陽光に輝く木々の緑や、石造りの街並みの美しいこと。美形の俳優二名によるラブ・ストーリーは美的センスに関しては非の打ちどころのない小品に仕上がっています。 相手への思慕が止めようもなく溢れ出て、文字通り悶え悩むティモシー・シャラメの繊細な演技は印象的でした。彼はさほど表情筋を使わないのだけど、全身を使って表現を行う役者さんですね。ピアノをふざけた時の大袈裟な腕の振りとか、面倒な来客の際に見せるおどけたステップとか。そしてオリバーを想う時の苦しそうな寝返り。 悲恋の範疇に入るのかもですが、ゲイ・カップルの話にしては、障害の極めて少ないケースでした。かつて見てきた同性愛モノにつきものだった「迫害」がほとんど無いです。なんと両親も公認、さらに驚異的なことに気晴らしにぞんざいに付き合った女友達まで許してくれるとは。ばれたら最後、社会からリンチすら受けかねないとか、家族からの絶望的な目つきとか、そういうヒリついた状況下のゲイストーリーばかり聞いてきたのでこの作品の甘いことにはとても驚きました。もっとも、どんな恋愛パターンでもそうですが周囲からの抵抗値が高い方が、お話が強く激しく輝くような気もしますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-05 17:49:57)(良:1票)
159.  リチャード・ジュエル 《ネタバレ》 
監督としてももはや御大のイーストウッドの、手堅くもこなれた演出が安定感抜群です。各人物のキャラの引き出し方も上手いし、爆発物発見から惨事に至るまでの緊張に満ちた臨場感、その後に押し寄せるメディアリンチの恐ろしさを途切れず一気に見せます。流れるようなイーストウッドのタクトに合わせて、役者陣も良い仕事をしています。キャシー・ベイツの母親ぶりはこちらの同情を一身に集めます。サム・ロックウェル扮する弁護士はキレ所が観客と同期しているので、こちらの感情を預け易い。リチャードが権威に対してあまりにお人好しなところを見せるたび、ワトソンと一緒に一喝したくなりますもんね。FBIは気の毒なほどにクソな役回り。ボビのタッパーに油性ペンで印書きやがって。腹立つ。 強烈なのがアトランタ地方紙の記者役のオリヴィア・ワイルド。こう言ってはナンですが、彼女のやや軽薄っぽいキツイ顔立ちがキャスティングにずっぱりハマってまして、その自己中な仕事ぶりで観客の憎悪を一身に浴びる損な立場なのですが、めげないオリヴィア満点のヒール役でした。ただ、後半不思議なことに彼女の強気が突如ブレ出すのには、説明が足りない気がします。この女性記者は実在した人物(それも故人)なので、脚色の仕方が不適切だと一部で非難の声が上がったとか。ために、監督の手綱も少し緩んだのかなあと想像しました。少しは人間味のある所をこの女記者にも用意しておこうと。 ハマっていたのはもちろん主人公のP・W・ハウザーも。変わり者だけど性根の善良なリチャード・ジュエルを丸々した雰囲気(と容姿)で好演しています。FBIに自分の尊厳をもって一撃を浴びせた場面は静かなれど感動を覚えるクライマックスでした。
[映画館(字幕)] 7点(2020-01-31 17:08:19)
160.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
全体像はテレビの2時間サスペンスとどっこいどっこいなんですが、画は綺麗です。車窓から広がる景色は広く奥行きもあって、映画的。 軸となる三人の女たちがうまく配置されていると思いました。三人の共通点としては一人の男に振り回されたことの他に、「わが子」に人生を大きく影響されてもいますね。子を授かりたかった、あるいは子を失ってしまった、そして子を守りたい。“母性”がスタート点となって最終的には命を失った者、人を殺めた者、と辿る人生は凄絶であります。まったくフリーの独身かつ子どもに興味のない女だったなら、あんなクズ男は一発殴って別れて終わりであったことでしょう。 女優陣が各々抱えた人生を演じきっています。トラウマがもろ顔に出ているメーガン、夫にそこはかとない不信を抱く、一見幸せ絶頂のアナ。怖いほどリアルなアル中レイチェルが迫力満点。エミリー・ブラントの美貌の荒れように凄みがあります。がさついた肌や目の周りの落ちくぼんだ感じは、ダイレクトに不摂生&精神不安定をこちらに訴えてくるので不安でざわざわしました。 失踪妻の夫の所に押しかけて、友人を騙って思い込みをご注進ときた日には妄想炸裂のヤバい人そのもの。うへえー、とすっかり引いたワタシはラストに至る展開を全く読めませんでしたので、けっこうたくさんの人が気付いたらしい真犯人にもしっかり驚きました。なので評価は高めにしときます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-26 16:49:07)
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