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飛鳥さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1679
性別
自己紹介 今まで観た映画の記録を整理したくなり、レビュー開始。
物忘れが良いのでメモを残しておかないと、印象薄めのものは内容をすっかり忘れていたり、前に観た映画も初見かと思って後半にようやく気づくなんてことも。
備忘録を兼ねているので、ほとんどのレビューはネタバレで書いてます。

10 至高の殿堂入り
9 心に残る傑作 
8 もう一度観たい佳作
7 面白い
6 そこそこ面白い
5 普通
4 それほど面白くはない
3 面白くはないが見どころがなくはない
2 全然面白くない
1 酷い駄作
0 呆れ果ててもはやネタレベル

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
クイーンのことは詳しくないのでけれど、聞き覚えのある曲がいっぱいで、音楽の力の大きさを感じた。が、それだけではなく、俳優や制作チームもとてもいい仕事をしている。 実話の映画化は、実話をなぞりすぎて淡白で散漫なものになったり、下手な演出で感動の押し売りになったりもして、これならドキュメンタリーのほうがいいのにと思うケースも少なくない。でも、この映画は素直に最後まで惹きこまれた。  もっともクイーンのことをあまり知らなかったので、実話との違いもわからず、違和感なくストーリーや役者を受け入れることができたのかも。フレディのイメージといえば、白いレオタードにいかつい髭面でスタンドマイクを持って歩き回るということしかなかったので、出だしの出っ歯の青年で面食らった。後で昔の映像を確認してみると確かに出っ歯で、どうでもいいようなことだけど、髭面にするとその印象が前面に出て出っ歯が隠れることを知った。 ゲイでエイズに罹って死亡したのは薄っすら記憶にあったけど、知らないことが映画に多く出てきて関心がどんどん湧いてくる。映画を見終わって、早速ネットでクイーンの動画や情報を漁ったくらい。  フィクション部分についてはメンバーも許諾していたようで、伝記映画ではなくアートだということが貫かれていて、その世界に気持ちよく浸ることができた。 フレディの出自や、闘病から死亡まで等、広げようと思えば広げられるところを大胆に省略して、クイーンの始動から全盛期を経て対立からの和解に絞ったのは良かったと思う。
[DVD(吹替)] 9点(2020-10-17 22:53:56)
2.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
悪名高いメキシコの麻薬カルテルの抗争。ネット上でも思わず目をそらせるようなものもある。その世界が現実感を持って迫ってくる。 そんな修羅の世界ではケイトのような正論は通用しない。あくまで正論を通そうとするケイトにイライラし、手段を選ばず復讐相手の妻子まで皆殺しにするアレハンドロに感情移入してしまう。良い悪いは別にして、修羅の中で生き抜く凄味に圧倒される。 ラストでアレハンドロに銃口を向けながら結局引き金を引けなかったケイトが印象的。 最近観た映画の中では一番面白かった。
[DVD(吹替)] 9点(2017-08-30 00:20:45)
3.  百円の恋 《ネタバレ》 
安藤サクラに尽きる。本当にいい女優だ。『愛のむきだし』で独特の存在感に注目するようになったが、やっぱり他に替えられない存在感。 冒頭は、あれ?安藤サクラってこんなブスで女っ気がなかったっけ?と思うほど酷い有り様。漂う閉塞感、底辺感もすごい。32歳にして引きこもりの処女。実家から追い出され、バイトで入った百円ショップは底辺ダメ人間の吹き溜まり。そこの同僚に処女をレイプで奪われるが、バナナ男とはようやく良い関係に。かと思えば逃げられしまうという、『嫌われ松子』みたいな悲惨な人生。 それがボクシングに打ちこんで変わってくる。決して美人ではないけれど、ふとした表情に色気があってチャーミング。死んだような顔が活きてくる。ボクシングの動きもシャープで本格的。 これで努力が実って勝ってしまえば実に映画的なのだが、そうならないのがいいところ。ボコボコにやられて、負け犬から脱せない。でも、これまでの底辺にうごめく虫けらのような人生とは確実に違っている。ビューティフル・ルーザー。そのボロボロになった姿が愛おしくて感動的。 この役を安藤サクラ以上に表現できる女優はいない。  相手役の新井浩文も適役。それ以外も登場人物のキャラが立っているし、印象的なシーンが幾つも散りばめられている。 ヤンキーっぽい姉妹ゲンカ、バナナ男の乳首プレイ、泣き笑いで食べる巨大肉、同僚ゲス男のレイプ、強盗に入るやきそば弁当女。いたるところにセンスの良さが感じられ、見終わった後は温かい気持ちになれる。 趣味の違う友人が薦めていたが、これには共感。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』と同タイプの観ていて痛くて楽しい映画。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-09-11 01:12:26)
4.  別離(2011) 《ネタバレ》 
誰も悪くないような、誰もが悪いような…。 描かれているのは善と悪というステレオタイプではない、どこにでもいるリアルな人間の不幸。 相手を責め、自分の責任逃れをするエゴイズムは、誰でもこうなる要素を内在しているのかも。 愛する者を守りたいがための嘘が絡み合って、どうにも解けなくなってしまった糸のような状態。 認知症の親の介護、事故による流産、リストラによる生活苦など他人事とは言い切れないことだし、一つ歯車が狂えばなかなか元には戻らない。  イランが舞台ということで、貧困と宗教が絡んだリアリティに圧倒される。 敬虔なイスラム教徒のコーランへ誓うことの重さは想像以上で、物語のキーにもなっている。 神に誓っても嘘がつけるところでは成り立たないストーリーで、イスラム社会の特性がうまく生かされている。 チャードルで妊婦がどうかわかりにくくなっているのもそう。 街並みも含めて異国情緒や文化が色を添える。  互いに傷つけあう裁判や夫婦の諍いは、醜さと痛みがびんびん伝わってくる。 夫婦ともに娘をとても大切に愛していながら、それでも夫婦間を修復できずにその大切な愛する者を傷つけてしまう。 一番の被害者は子どもで、なす術のない様が哀れを誘い、後味の悪さが尾を引く。 ラストシーンでは、娘の審判を待つ夫婦は廊下の両サイドに分かれて無言、開かれたドアの向こうにいる相手に目も合わせない。 そのドアを何人もの人々が通り過ぎていく。 ほんの少し歩み寄れば簡単に通れるのに、その距離は永遠に届くことのないほど離れて感じられるという見事な演出。 脚本も兼ねたファルハディ監督の才能がうかがえる。  娘が両親のどちらを選んだか明らかにされていないが、娘の涙は両親の修復をついに諦めた惜別の涙に思える。 父の元にいたのは母に戻ってもらいたかったからで、修復不可能だと悟ったなら母のところにいくのだろう。 父を守るために心ならずも偽証までした優しい娘だから、父を見放してしまった自分を責め続けることになるかも。  判断を観る人に委ねる曖昧な描き方はずるくて好きではないけれど、この作品の場合は描く必要がなくこうしたラストがふさわしい。 緻密に構成された完成度の高い作品だが、残念なのは娘が11歳の設定なのに全然そう見えないこと。 どうしてそんなキャスティングをしたのか不思議だったが、娘役が監督の実娘だったとは…。
[DVD(吹替)] 9点(2013-11-12 18:00:15)(良:2票)
5.  鍵泥棒のメソッド
男に元カノが思い出の写真を返すとき、引越しで片付けたゴミ袋から探す。 もう過去のものとしている女と、その女に未練がある男の微妙な空気。 そうした小ネタにもウィットが効いている。 内田けんじ作品は、三谷幸喜を彷彿させるようなコメディで脚本が緻密。 スレ違い、勘違いでどんどん事態が思わぬ方向へ進んでいく。 都合がよすぎる嫌いはあるものの無駄なアイテムがなく伏線がすべて収束していくので、観終わったときにパズルがピタッとはまったような感覚がある。 これほど脚本のうまい映画監督は邦画ではちょっと他に見当たらないくらいで、今後も非常に楽しみ。
[DVD(邦画)] 9点(2013-06-12 00:21:06)(良:1票)
6.  グリーンブック 《ネタバレ》 
雇い主と使用人の関係は「最強のふたり」に似ているが、それとは黒人と白人が逆の立場。 まだ黒人差別が酷い頃、エリートピアニストの黒人と、職にあぶれた下層階級でチンピラ気質の白人のロードムービー。 黒人と白人のロードムービーなら、強い偏見が次第になくなって絆が生まれていくパターンになることはわかりきっているが、それでも気持ちよくストーリーに乗っていけて、心地よい余韻も味わえる。
[DVD(吹替)] 8点(2020-12-27 10:54:40)
7.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
お見事。アイデアと脚本の勝利。 前半はホラーで、後半がその謎解きドタバタコメディー。 内田けんじ監督の『運命じゃない人』が頭に浮かんだ。 ラストの人間ピラミッドと、監督が幼い娘を肩車している写真が重なっているのもオシャレな締めくくり。 綿密に構成されて、完成度が高い。
[DVD(邦画)] 8点(2019-07-05 22:49:51)
8.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
アニメは見るならDVDで十分と思っているが、これは映画館で見て良かった。好きな画柄だったし、ストーリーにも惹かれた。 男女の入れ替わりやタイムスリップだけなら凡庸なものになりそうなところを、口噛み酒、隕石落下の大災害、組紐などの要素を入れて、ドラマティックにしている。 よく考えると綻びも目につきそうなストーリーで、腑に落ちないところが幾つもあるのだけど、勢いに飲まれて作品世界に巻き込まれていく感じ。終盤は映画館で必死で涙をこらえるしかなかったのだから、心を動かされたのは間違いない。
[映画館(邦画)] 8点(2017-03-01 21:06:39)
9.  青天の霹靂 《ネタバレ》 
劇団ひとりの思わぬ才能に驚き。ベタな話ではあるが、泣き所をしっかり押さえている。 母の無償の愛と父の不器用な愛。物語自体はよくあるタイムスリップものだし、都合の良すぎる箇所はいくつもあるのだけれど、役者の力もあって泣かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-05 23:05:19)
10.  愛の渦 《ネタバレ》 
乱交パーティーに参加しながら最初は猫をかぶって真面目な堅い話ばかり。そこから本性のスケベ心をさらけ出すまでの探り合いが面白い。 本音が丸出しになると、人は人を傷つける。相手の一番痛いところをついて傷つけあう様が妙にリアル。ラストは男と女の差がくっきり。 乱交パーティーで出会った女に恋心が芽生えた男は、携帯番号を消すことを拒んで店員とひと悶着するほど。散会してもう会えないと思っていたところを、女に呼び出されて期待に胸を膨らませるのは当然だろう。それなのに「あそこにいたのは私じゃないんだと思います」と今後連絡を取れないよう携帯から登録を消してくれとのお願い。 女が男との行為中に「先輩!」と絶叫しながら喘いでいたのは、先輩への未練か願望か。どちらにしてもこうありたいとの女の本音が出たのだろうが、あれはあの場だけのものと割り切っている。が、男はそうじゃない。 「あそこにいたのが本当の自分だと思ってます」「いいですね…」 女は皮肉ではなくそのことを認める男がある意味羨ましかったのだろう。学校では友達と談笑しながらふと見せたつまらなそうな表情が物語っている。男は夢見るバカで、女はリアリスト。  『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の三浦大輔監督・脚本なので期待して観たが、その期待にちゃんと応えてくれた。この監督、やっぱり面白い。気取りがなく、斜に構えたところもない。センスがあって微妙なところを突いてくるのでニヤリとさせられる。後になってこの監督が劇団ポツドールの主宰者だったと知ったが、以前に小劇場で観劇したことがある。男の役者がパンツを下ろして自慰行為の場面があるなど相当際どい舞台だったが、この映画には確かにそのとき感じたポツドール色があった。 乱交クラブの一日というAVにありそうな設定なのに、エロ以外のドラマ部分がしっかりしている。魅力的な相手だけならいいけれど、とんでもないのもいるわけだから、よく参加できるなという印象。時々むき出しになる本音が、痛くて面白かった。 脱ぎ専のAV嬢や無名グラビアアイドルではなく、ちゃんとした女優を使っているのもいい。仮に門脇麦の演じた女子大生役を、女優とも言えないような脱ぎ専がやっていたら、あの生々しさは出ずに興ざめもいいところだった。メインキャストが腹を決めて裸を晒していた中で、三津谷葉子だけが乳首を死守していたのが妙に不自然。過去にヌード写真も披露していたはずだが、ここでの出し惜しみの意味がわからない。逆に、門脇麦は『蛇にピアス』での吉高由里子ばりの思い切りの良さと瑞々しい存在感を発揮。旬の時期に覚悟を決めて勝負できるかどうかは、女優にとっては分水嶺になるようで。身も心もさらけ出せる役者は迫力が違う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-06-11 01:04:10)
11.  寄生獣 《ネタバレ》 
名作漫画の映画化は原作ファンを嘆かせる出来になることも多いけれど、この作品はそうならなくて良かった。山崎貴監督の手腕で、原作のエッセンスを損なってはいない。映画サイズにまとめたために、どうしても描ききれない物足りない部分は出てくるものの、1本の映画として面白く観られる。 原作ファンとして欲を言えばキリがないが、回想を取り入れながら削ぎ落とせるところは削り、テンポよくコンパクトに再構築しているので、単なるダイジェストにはなっていない。これは相当な力量が必要とされるし、原作を本当に好きでないとできない。そうじゃないと大怪我をする。犠牲になった原作が、今までどれほどあることか…。 テレビ放映版ではグロい殺戮場面がカットされてマイルドになっていたのが不満だが、それ以外は概ね満足。これなら後半の完結編も期待できる。この製作チームで、原作を台無しにされた『デビルマン』を是非リメイクしてほしい。
[地上波(邦画)] 8点(2015-04-26 22:52:22)
12.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 
得意の口八丁で、クズどもとバカにしている客相手にクズ株を売ってボロ儲け、ドラッグでぶっ飛びながらの乱痴気騒ぎ。 すがすがしいくらいの拝金主義者の下衆っぷり。 既婚者なのにセクシーな美女に積極アプローチして、妻とはあっさり離婚。 自らの欲望にひたすら忠実な俗物の超成金セレブ生活。 それはもちろん、詐欺まがいの口車に乗せられて株で大損した犠牲者の上に成り立っている。 ウォール街の風雲児が社員をその気にさせる術は、新興カルト宗教の教祖、自己啓発セミナーのトレーナー、マルチ商法のカリスマ社長に通じるものが。 以前、マルチ商法で成り上がった社長のスピーチを生で聞く機会があったが、雰囲気や盛り上げ方がそっくり。 大っ嫌いなタイプの人種だが、偽善者のいやらしさはないせいか、映画の主人公としてはおもしろい。 調子に乗ってバカをやるところも含めて、ある意味純粋な印象さえある。  結局仲間を売って自分の刑期を大幅に短縮させた主人公。 自分が張本人のクセにとんでもないヤツだが、ここまで徹底できるなら人生としては楽しそう。 それに比べて、職務に忠実にロイを追い続けた捜査官が、暗い顔でうらぶれた人たちと地下鉄に揺られている姿が印象的でせつない。 ロイが恨みを買った誰かに刺されでもしたほうが、因果応報でスッキリとはするのだけれど。 それにしても、司法取引っていうのはいつもおかしな制度だと違和感を感じる。 犯罪や裁判の多い社会ならそうしないと回っていかないのか。  世間では狂気に見えることが、ウォール街の常識だったりする。 当然フィクションもあるだろうけど、同僚の金魚を食べたり、豊胸手術のために丸刈りしたり、数々の実話がエピソードとして使われているようだ。 ジョーダンとドニーが薬の過剰摂取でヘロヘロになってるいがみ合っているシーンは笑える。 深刻な事態もあくまで明るくカラッとテンポもいい。 人物的には日本のホリエモンをちょっと連想させるが、デカプリオとでは顔面偏差値が違いすぎて。 もうちょっとイケメンだったら、事件後も人気者でいられたのだろうか。  スコセッシ映画の中では一番おもしろかった。 齢70に届いたおじいちゃんが作ったとは思えないほど尖っている。
[DVD(吹替)] 8点(2015-04-14 22:57:05)(笑:1票) (良:1票)
13.  アフターショック 《ネタバレ》 
地震になるまでが長い。 チリ地震のパニック映画という予備知識はあったので、もしかして違う映画かと思ったほど。 まったりしすぎているが、後半がそのギャップで引き立つのと、人物にある程度思い入れを持たせてくれる効果はある。 パニックものでは特に、思い入れがあるのとないのとではハラハラの度合いが全然違ってくる。 エキストラ同様の人物が死んだところで、ほとんど他人事になってしまうので。  地震や津波といった天災も悲惨だけれど、それに伴う醜悪なエゴや争いによる人災のほうがもっと悲惨。 日本の震災では民度の高い助け合いのほうが多く見られたようだが、国によってはこうした暴動や凶行も十分起こりえるのが怖い。 無法地帯の修羅場と化して、人間の醜い部をこれでもかとばかりに露出させてくる。 善意で助けようとする人も、報われることなく地獄絵図に。 もう踏んだり蹴ったりでとことん救いのない、悪趣味ともいえる映画。 製作・脚本・主演を担うのが『ホステル』のイーライ・ロスだとわかってなるほどなと。 ワインセラーの女性ガイドや掃除のおばさん等、最後までストーリーに絡んでもおかしくないキャラでも序盤からバンバン惜しげもなく死なせていく。 その死に方もむごたらしくて、パニック映画というよりもホラー系のグロさが前面に出ている。 後味が悪すぎてあまり好きなタイプの映画ではないものの、明確なコンセプトに沿ってよくできているし、感情を揺さぶるインパクトはある。  再鑑賞。次から次に嫌なことが起こる映画。どんな顔して作ってるんだろうと、ふと思った。
[DVD(吹替)] 8点(2015-01-20 02:53:02)
14.  みなさん、さようなら(2012) 《ネタバレ》 
波瑠にお預けを食らう欲情した濱田岳の情けない表情が、捨てられた子犬のような切なさを醸し出す。 少女からどんどん綺麗に大人になっていく隣室の同級生と、いつまでも立ち止まったままの冴えない主人公。 「ブリーフ、やめたほうがいいよ。いかにも童貞って感じで。女の子に嫌われるから」 憐れむような女の子の忠告が残酷に突き刺さる。 それでも同窓会で好きだった可愛い子と付き合うことになるのだから出来すぎだ。 倉科カナや波瑠が魅力的で、引きこもりにはもったいない。  引きこもりのライトなラブコメディかと思ったが、途中から空気が一気にシリアスに。 団地から一歩も出られなかった理由がわかって、悟の今までの奇行にも合点がいく。 体を鍛えていたのも、トラウマになった事件があったから。 この映画でマス大山の名言が聞けるとは思わなかった。 刃物を持ったチンピラ三人を瞬殺したのは痛快ではあったが、マンガ的すぎる嫌いも。 所詮は本を読んでの空手習得なので、落としどころを圧勝ではなく痛み分けで、悟の気迫にタジタジとなるくらいにしておいたほうがリアルなのに。 チンピラもステレオタイプの悪党だったのが少し物足りない。  団地という閉ざされた独特の世界の中で、悟が取り残されていく様子がうまく表現されている。 どうしても降りられなかった階段を、最後は随分あっさりと駆け下りていったが、ここでモタモタと大仰な芝居を見せられなくて良かった。 それだけ母の力は偉大だったということ。 人間のできた理想的なかあちゃんだったけど、大塚寧々が若すぎたのか、母子ものには弱いはずなのにどうも実感が沸いてこず、最後の日記にも泣けなかった。 中村義洋監督&濱田岳主演は「アヒルと鴨のコインロッカー」「ポテチ」を見ても、相性がとても良いようだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-10-07 19:53:05)
15.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
ファミリー向けアドベンチャーものかと思っていたら、最後でひっくり返された。 虎との同舟、ミーアキャットの大群、夜になると水が酸性に変り動物を溶かしてしまう食人島――。 だんだんとリアリティが怪しくなり、途中でこのおじさん(主人公)話を相当盛ってるなと感じてはいたが、まさかそういうオチだったとは。 最初の疑問は、シートの下には虎もいたはずなのにハイエナが生きていたのはどうしてだろうということだったが、深く考えずに物語世界に入っていた。 見終わると、引っかかっていた疑問もああそうだったのかと腑に落ちる。  虎との漂流話で映像美とその迫力に圧倒され、それが主人公の創作だったことにはある意味拍子抜け。 突然提示された二つ目の物語に混乱し、なかなか整理がつかない。 でも、終わった後に物語に隠されていた意味を考え始める。 そして、もう一度見ていろいろ確認したくなる。 隠喩の多い映画は映像と理解にタイムラグが出るので好みではないのだが。 どんでん返しも咀嚼するのに時間がかかる。 最初は夢オチと同じような肩透かし感があったけど、哲学的、宗教的な意味もあって思ったより深かった。  すごい→何じゃこりゃ?→やっぱりすごいかも、と不思議な鑑賞体験。 人間は心の中に虎を飼う――中島敦の「山月記」がふと浮かんだ。 アン・リー監督の他の作品も幾つか見たが、なんだか印象に残る作品を撮る監督だ。
[DVD(吹替)] 8点(2014-08-02 14:24:33)(良:1票)
16.  偽りなき者 《ネタバレ》 
善意の勘違い人間が一番始末に終えない。 子どもの嘘を真に受けて、無実の男の人生や家族をメチャクチャにしてしまう。 特別なストーリーではなかったが、誰にでも起こりうることだけに身につまされる。 邦画では『それでも僕はやってない』に誰にでも起こりうる冤罪の恐ろしさを感じさせられたが、本作はさらにインパクトが強い。 誤った情報に扇動されて、その思い込みによる「正しい」信念に基づく攻撃的行為は、本人に悪意の自覚がないだけにタチが悪い。 園児を守ろうとした園長や園長に依頼された専門家が、ルーカスを犯人と決め付けていく過程がリアル。 専門家の誘導尋問にかかれば子どもの口から聞きたい答えを引き出すのは簡単だ。  ルーカスの冤罪が親友のテオの娘クララによって生じたことから、人間関係が一変してしまう。 親は子どもの言うことを信じるもの。 でも、子どもは嘘をつかないなんて幻想でしかない。 それでも遅まきながら、テオがボロボロになったルーカスの訴えに耳を傾けたのが救い。 ただ、一度思い込んでしまうとその考えに固執してしまう人もいる。 狩りの最中にルーカスを狙った銃口が憎悪の根深さを感じさせる。  真実は一つのはずだが、それを見極めるのは難しい。 ここでは性的虐待という濡れ衣を大人が着せられていたが、現実の世界では大人が性的虐待をしながら自己保身で否認しているケースの方が多いだろう。 だから、訴えられたほうがやっぱり疑われてしまう。 監視カメラが街中に設置される時代になったが、「神の目」のようにどこであろうと真実だけを映し出すカメラがあればいいのに。 この映画を観ると、そんなありえない空想を抱いてしまう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-23 14:12:17)(良:2票)
17.  キック・アス
こんなに可愛くて強い殺人マシン少女は見たことない。 日本物では『あずみ』が思い浮かぶが、本作のほうがエンターテンメントに徹して突き抜けた感じ。 グロも不快ではなく痛快で、悪党のヤられっぷりが心地よい。 クロエありきの映画だけど、他のキャストもなかなかいい。 それにしてもヒーロー願望の強い国だな、アメリカは。
[DVD(字幕)] 8点(2013-07-13 22:32:36)(良:1票)
18.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
なんだろう、この切ないようなほろ苦いような気持ちは。 胸の奥のどこかが微かに痛くなる感覚。 キャラの描き分けが巧みで、登場人物の誰かに感情移入できるようになっている。 高校生の青春群像が等身大で、セリフもリアルでいい。 時系列を前後して視点を変えながら描いているで、群像劇が立体的な質感をもって迫ってくるよう。 ゾンビの逆襲は笑えたし、センスの良さが散見される。 沙奈にめちゃくちゃムカつくが、ということはキャラがしっかり描けている証拠だろう。 でも、桐島一人の動向がこんなに波紋を呼ぶなんて、その影響力は誰もが羨むようなもの。 そんな学園のスターにも人知れず悩みがあったようだけど、贅沢いうなよ。
[DVD(邦画)] 8点(2013-07-10 22:25:09)
19.  モテキ 《ネタバレ》 
31才セカンド童貞男の妄想が炸裂して面白い。詩がストーリーにリンクしたカラオケの演出もいいし、作品の中で使われている音楽もいい。パフュームとの唐突なダンスも楽しかった。 未練たらしく最後に一回やらせてとまでみっともなくもしつこく迫る藤本に、「あなたでは成長できない」と心臓をぶち抜いてトドメを刺すみゆきの一言。 観ているこちらがいたたまれなくなるほど。 みゆきが苦悩するのは不倫の自業自得だけど、振り回される藤本はたまらない。 麻生久美子がフラれて藤本に泣きすがるシーンも同じく痛かった。人間の情けなくてカッコ悪い部分が見事に描けている。  キャストがどれもばっちりハマっている。男をその気にさせる長澤まさみが、とにかく魅力的。この作品はこれに尽きる。 童貞の理想の彼女であり、既婚者の理想の愛人にもなっている。 麻生久美子も十分魅力的だが、さすがに旬の長澤まさみには勝てない。フラれてエロ親父のリリー・フランキーに高級寿司をご馳走になり、ベッドを共にしてしまうのが妙にリアル。 グダグダしている森山未來に、ドSなくらいにカツを入れる真木よう子もスカッと気持ちがいい。  ところが、あのラストはなんでストーカーから奇跡の大逆転となったのか。夢物語すぎてちょっと冷める。 今までいろんなことから逃げてきたみゆきが泥だらけでしがみつく藤本の姿勢に気持ちが揺らいだということだろうけど、いくらなんでも不自然で唐突なのでついていけない。気持ちが変わるにしても、ストーカー行為で警察に捕まってという展開を経ていれば、また違ったかもしれないが。大逆転にも説得力があれば最高だったのに。  『ボーイズ・オン・ザ・ラン』と本作が、痛いダメ男の応援歌としては双璧か。 恋愛ソングに勇気をもらってみゆきに告白に行こうとした主人公のように、この映画に勇気をもらって同じようにする人がいるかも。 リアルではまあ勘違いの玉砕に終わるだろうが、それも青春かな。奇跡が起きれば儲けものだし。
[DVD(邦画)] 8点(2013-06-14 23:26:17)(良:1票)
20.  トガニ 幼き瞳の告発 《ネタバレ》 
韓国の聴覚障害者学校で実際に起きた事件が基になった作品。 事件発覚後も加害者は処罰を受けず、教壇に立ち続けていたというのが恐ろしい。 この映画が上映されて加害者への批判が高まり、「トガニ法」と呼ばれる法改正まで行なわれるほどの影響があった。 実話ではない部分も加えられてベタであざとい展開が少し気になるが、子役の演技がとにかくすばらしい。 加害者がこれ以上ないほど卑劣に描かれていることもあって、加害者への憎悪が掻きたてられる。 結局、弱者の味方になるべき検事も加害者に抱きこまれて、証拠を握りつぶされるあたりはフラストレーションも絶頂に。 揃いも揃って吐き気を催すほどのクズばかりで、極めて悲惨な内容だが、ラストでわずかな光が感じられるのが救い。 「私たちの闘いは世の中を変えるためではなく、世の中に変えられないためにある」 子供達を支え続けるユジンの手紙が、無力感に打ちひしがれていた主人公の癒しとなっている。
[DVD(吹替)] 8点(2013-05-14 01:44:34)(良:1票)
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