1. 鬼畜
《ネタバレ》 ただでさえ涙腺が弱い私。安易に涙するのはどうも安っぽくなると思い必死で我慢したものの、あえなく沈没。瀑布のように涙腺が決壊。 私が泣いたのは「子供」の観るに耐えない不憫さや、「大人」の鬼畜と称されるまでの「エゴ」に対する怒り等よりも、ラストに「父親」の懺悔する余地があった奇跡みたいな瞬間である。 現在も「鬼畜」と呼ぶべき犯罪者が、凶悪で、無慈悲で、時には理解の範疇を容易に超越していくような事件を起こし世間を賑わす。 当然、こんな犯罪が未然であるに越したことは無いし、起こってくれるなと祈りたくも、ある。 それと同じくらいに、彼ら「鬼畜」にも身を裂くような懺悔で一杯になるような瞬間があらんことをひたすら祈りたい。 そう祈らずにはいられなくなる作品。 [DVD(邦画)] 10点(2006-06-26 12:58:40)(良:1票) |
2. CUBE
不可解・理不尽極まりない「環境」も怖いが、その「環境」によって露呈される「人間性」の性悪も、同じくして怖い。 その「恐怖感」を、シンプル極まりない手法で描ききったV・ナタリ。只者じゃない。 [ビデオ(字幕)] 10点(2002-08-20 12:23:08) |
3. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 新海誠作品のファンとしては、いち早く劇場に向かうべき作品だったのだが…「ぼっちが観に行くには、ちとツライ映画」「完全にリア充向け」「カップルの聖地巡礼で、岐阜ごった返し」などのニュースを見聞きする度「中年のぼっちはマーケティングの外か上等だコラ」とぷりぷりムクれた挙句、年末に至るまで鑑賞を差し控えていた私だ。 遅ればせながらの感想は、というと、相変わらずの圧倒的な美術と、(珍しく)コメディエッセンスを加えた繊細精緻な脚本の寄り添い方を堪能し、ここでマサカの田中将賀キャラクターという驚きと、RADWIMPSの登用という必然のような青臭さ。そして「出会えるようで、出会えない男女」から、今作の「出会えなさそうで、出会える」展開。どうした新海誠!出会えんのかよ今回は!「雲向こう・約束」以来か!胸が熱くなった。なんしか見事である。ヒロインのおっぱいを執拗に揉んだり、ヒロインが咀嚼したクチカミ酒を一気に失敬する主人公と、それに対するヒロインの等身大なリアクションも、秀逸。 蛇足ながら、ちょっと出演の「言の葉の庭」雪ちゃんせんせいは、嬉しかった。彗星落下を口実にして、孝雄も会いに来やすいやん!四国より近いし。(ゲスい中年の発想すまん) [映画館(邦画)] 9点(2016-12-17 04:09:23) |
4. 機動戦士ガンダムUC/episode 7 虹の彼方に
結局、ラプラスの箱って何ですのん?と、シリーズ最終章まで謎を謎のままに引っ張った箱の中身。 私的にはサイコなんたら的なトンデモ兵器か何か?もしくは、空けると魑魅魍魎が噴出して、したり顔の年寄りが「最後に残ったのが【希望】なんじゃよ」とかいう痛いアレか?などと、相当にイブカしみ、大いにヒネクレてた上で最終章に挑んだわけですよ。 そして鑑賞…エエエエエエ!?ラプラスの箱って、コレか!!!!!!!すべての謎は、すべて解けました。 福井敏晴、貴様は神か?これまで様々なガンダム・クリエイターたちが、多種多様な「宇宙世紀」を描きましたが、今作はそれらの何段階も高い場所に位置すると言って過言ではないだろう。 そして、その「ラプラスの箱」という優れた謎を肉付けしていた人間群像・相関も、一部の隙すら見あたらない。ほぼほぼパーフェクトである。 子供のころからオッサンになるまで、様々なガンダムシリーズを観てきた私ではあるが、この「ガンダムUC」を観るに至らせてくれた全てのガンダム・クリエイターに、特に富野由悠季、福井敏晴、そしてサンライズに、感謝したい。 [DVD(邦画)] 9点(2015-02-21 02:05:35)(良:1票) |
5. 機動戦士ガンダムUC/episode 4 重力の井戸の底で
《ネタバレ》 新旧入り乱れるモビルスーツ戦、ロニの独白、ダイナーで語り合うミネバと老人、とにかく観応えがありすぎる。それでも、それでも俺は!と前進し続ける主人公・バナージ少年の真摯さが、眩しすぎて涙腺決壊した。 [DVD(吹替)] 9点(2015-02-13 03:03:27) |
6. ギャラクシー・クエスト
タイトル通りの馬鹿馬鹿しい設定の物語なのに、脚本・演出・キャストに一切の手抜きを感じさせない。すげぇ。 前半のクスブったダルいムードから、後半の異様に燃え上がる展開に、すっかりトリコになってしまいました。 蛇足ですが、細かい演技でクスリと笑えた技師役のトニー・シャルーブが、この後ディーン・パリソットと組んで「名探偵モンク」を製作するんですね。 モンク・ファンとしては、観ておきたい一本。 [DVD(字幕)] 9点(2012-05-23 00:14:00) |
7. 機動警察パトレイバー2 the Movie
しつこいくらいの硬質硬派な演出に、微かに香るアホウなコメディエッセンスの加味。この奇妙なバランスは、押井守作品の中でも群を抜いている。ラストの、掌を握り合う演出は、押井作品とは思えないくらいにロマンティック。 [DVD(邦画)] 9点(2011-09-20 00:48:29) |
8. 飢餓海峡
なんと言ってもロケーションの素晴らしさと清濁併せ持った人間描写の緻密さに驚かされる。堂々たる和製サスペンスの珠玉。蛇足ながら、お茶なしでオニギリ二個をはぐはぐと食らう三國連太郎には、ハラハラさせられてしまった。ホント、蛇足。 [DVD(邦画)] 9点(2009-08-30 21:36:21) |
9. キャリー(1976)
《ネタバレ》 まさに、天国から、地獄。無事に卒業パーティが済んで夜が明ければ、明日は良い日になったのになぁ。寸での処でささやかなる幸せを逸してしまったキャリーの暴走には、同情してあげましょうよ。しかし、血塗れキャリーの演技は、凄かった。「おぉキャリー…血塗れのお前も、美しい・・・」って、永井豪みたいな台詞も、ついつい。浴室で一人で泣いているシーンなんかは、ホラーなのにもらい泣きでした。母親役も、非の打ち所がない怪演ぶり。アカデミー助演賞ノミネートも、納得。切なくも悲しい上質ホラーでした。ラストの二重に仕組まれたオチも、スゴく良い。 9点(2005-02-28 23:26:38)(良:1票) |
10. 傷物語Ⅱ 熱血篇
《ネタバレ》 三部作の二作目というのは、どうにも「つなぎ」の意味合いが強すぎて評価しづらいトコロである。というか、評価対象としては役不足というか。 だがしかし、今作の「幼女・キスショット→ティーンネイジャー・キスショット」という超成長には、劇中のアララギの如く「っしゃああああああああ!」と、脳内ガッツポーズでした。 忍野メメの如く「外見とはウラハラな、ちょっとアレな内面」がネックと思っていたメガネ委員長にも、今作にはやられた。ちょっと魅力的過ぎて直視できない女子から惜しみない好意を寄せられ、あまつさえパンツを贈呈とか!童貞高校生になら、不死の怪異の二、三対までなら駆逐できる気にさせる「超ド級のモチベーション注入」である。西尾維新、お前はすごい。(自らの変態性は棚上) …どうしても、高評価になってしまうなぁ。(ヲタ、度し難し) [DVD(邦画)] 8点(2016-12-25 05:00:03) |
11. 傷物語Ⅰ 鉄血篇
《ネタバレ》 化物語シリーズ一作目で披露された巨乳メガネのパンチラや忍野メメの乱入シーン、OPテーマのカットや音楽、燃え盛る阿良々木の描写など、さまざまなシーンで感動したのだが、なによりキスショットの元へビビリながら戻り血を分け与えるシーンが、ドラマティック過ぎて鳥肌が立った。 一本の映画としての評価としてはデタラメな点数をつけてしまったと猛省はしているが、キスショット(幼女バージョン)の愛くるしさに負けた。新房の描くロリ吸血鬼の尊大な可愛さには、決して抗わないと誓った私だ。(ダンス・ウィズ・ヴァンパイアバンドやら月詠やら) [DVD(邦画)] 8点(2016-07-31 03:38:34) |
12. 機動戦士ガンダムUC/episode 6 宇宙と地球と
《ネタバレ》 フラガナン機関経由の強化人間が持つ消せない悲哀だとか、決して割り切ることなどできない怨嗟だとか、Zシリーズ以下作で飽きるほどやってきたお約束なのだが、本作はキッチリとキャラクターの細部を構築することによって、そのマンネリを完全に回避している。 ジンネマンの深い悲しみを、僅かながらの氷解に導いたマリーダとミネバの決意と熱意が、鑑賞しているオッサンたる私の胸をひたすら熱くさせた。 [DVD(邦画)] 8点(2015-02-21 01:40:15)(良:1票) |
13. 機動警察パトレイバー
この頃の押井作品には、いかにもアニメ然としたコミカルさとケレン味があって、面白い。 最近の押井監督は、そのコミカルさとシリアスさを分断して作品を作っているように見受けますが、こういう清濁併せ持った演出のエンタテイメント・アニメ作品を、また観てみたいもんです。 [DVD(邦画)] 8点(2011-09-06 01:25:41) |
14. 奇跡の海
《ネタバレ》 愛する者に殉ずる素晴らしさと危うさを、トリアー独自の目線でドッシリと仕立てた人間ドラマの佳作、と、解釈。 「愛する君のためなら何でもする。」つもりでも、「ある程度の事」「金以外の事」の二言を付け加えてしまう修行不足の私には、こんな生き方は真似出来ませんが。 しかし、問題の鐘は「迷える子羊ほど、愛しいってか?神様よ?何様だ?」と、思わず悪態をついてしまうラストシーン。何様も何も、神様なのだが。 [DVD(字幕)] 8点(2008-09-13 22:00:11) |
15. キサラギ
むさ苦しいキャストに、どうでもイイじゃねぇか的な「グラビアアイドル」の起こした事件、こなれたミステリファンなら中途あたりで何となく解ける程度のユルめの真相、等々。名作っぽくも無く、ヒット要素すら希薄な作品ではあるが、面白かった。ラストあたりの回想シーンや「ラブリーラブリー!」と熱く吼える男共の阿呆としか思えない男汁溢れるファンコールに、ちょびっと感動すらしている自分に驚いた。森見登見彦の小説に通じる阿呆の系譜とでも、言うか、こういうのが、これから流行るのか。不モテ男ブームの到来か。ありえんが、不安。しかし、名作。笑。 [DVD(邦画)] 8点(2008-01-14 05:16:13) |
16. 樹の海
自殺を取り巻く、状況・環境・事情・年齢・体調・天候・季節・等々を、考えれば考えるほど、自殺とは奥深い。個々のアイデンティティも無視して、とりあえず「自殺はアカン!」と、闇雲に言ってイイものか、と考える。そもそも、そんなメッセージがいよいよ届かなくなった所で自殺が成されるんだし、無駄なんじゃないかな?とさえ、正直思う。今年(2007)から自殺の報道規制も緩和されたりしたが、それによって自殺者が増えたんだか減ったんだかは、よくわからない。相変わらず「死ぬぐらいだったら」的な他人事の極みのようなコメントを、コメンテーターは恥ずかしげもなく嘯く。自殺を取り巻く包囲網は、どこか柔らかく、脆く、雑だ。そういう環境なんだと、私自身、どこか、諦めてる感じだ。 ………でも、やっぱり、自殺はしないでほしいんだと、言いたいのだ。私は。そして、恐らく、この作品も、そうなんだと、思う。 [DVD(邦画)] 8点(2007-09-30 00:49:38) |
17. 逆境ナイン
島本和彦作品の映像化って、そりゃ素晴らしい事ですよ。しかし、あの有無を言わせぬ豪快さにどこまで迫れるのか?と、やや不安でしょうがなかった。しかし製作の企画を通す段階という「逆境」をクリアしただろう本作、面白くないワケ無いとは思わんかね…ッ!?と、島本和彦風に自らを欺きつつ本作の観覧に至った。な!なな!オープニングから校長役で藤岡弘(カリスマ)現る!その時点でこの作品の熱意の程が知れた。やられた。藤岡弘(カリスマ)が出演という磐石さに、多少の空回りも揺るぐ筈もなく、馬鹿馬鹿しさが逆境に挑む珍奇なる感動作だった。しかし、全力高校って、三重県だったのか… [DVD(字幕)] 8点(2006-01-31 03:24:31)(良:1票) |
18. キル・ビル Vol.1(日本版)
荒唐無稽。流血量の半端の無さや、相変わらずの音楽センスの悪さ、躊躇い無く疾走するテンポ、等々。流石Q・タランティーノ。ノリノリです。個人的にはL・リューの「やっちまいな!」と、服部半蔵(笑)の弟子役大葉健二(宇宙刑事!)がズギュンときました。アニメの出来も流石プロダクションIG。違和感無く!とは言えませんが、面白いし、美しい。出鱈目上等!荒唐無稽で、良いんです。この映画、文部省認定を狙っている訳でもないでしょうし。 8点(2004-04-21 01:27:08) |
19. きみと、波にのれたら
《ネタバレ》 今作は美術と音楽の組み合わせが最高にカッコよく、動画に関しては、ほぼ神動画でした。 さて物語は…というと、アニオタの私的には「リア充爆発しろ」と思って観ていた訳ですが、そんな私アサハカな視聴者(私)に対して「人呪わば穴二つ」みたいな展開になるのは予想通り! …なんですが、彼氏の事故の後の展開がファンタジー過ぎて、それはちょっとどうかと思うんだよなぁ。 とはいえ、その後の収束に至ってはファンタジー色も肝心になっていて、それはそれでアリなのか。 まぁまぁ、始終に亘っての「キラキラ感」に眉を顰めていると陰キャ勢のやっかみみたいに見えるので、ここは「面白かったですぅ」と世間に迎合するかのような反笑い気味のコメントを残すことにしよう。 …いや、ホントに面白かったぞ? [DVD(邦画)] 7点(2020-06-04 04:07:57) |
20. キャプテン(1981)
《ネタバレ》 原作未読ですが、テレビシリーズの方は観てた「キャプテン」の、谷口パートの劇場版。 いやぁ、私的には丸井キャプテンのファンなんですけど、谷口キャプテンの可もなく不可もない安定っぷりもイイね! オープニングの凝った演出や、スポ根の王道を行く展開、イガラシのクソガキっぷり等々、やはり面白かった。 蛇足ですが、劇場版の谷口父って雨森雅司じゃなくてハナ肇ハナ肇でしたっけ?覚えてなかったなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2019-08-08 02:01:17) |