Menu
 > レビュワー
 > だみお さんの口コミ一覧
だみおさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 650
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  きっと、星のせいじゃない。 《ネタバレ》 
主人公の最初の断り文句から、どんなオチに向かって話が展開していくのか気になりました。ボーイフレンドとその相棒も面白いし、なかなか楽しく鑑賞できました。  主人公の死と共に物語が中途半端なまま終わってしまうという本の登場で、人生というものがどう終わるのかということをすごく考えさせられました。この本の物語のその後を知りたいとの思いが、この映画の物語を進めていくことになるのですが、それはつまり本の中の主人公が死んだ後の残された人々のその後を見たいという願いなのです。「死後の世界はあるか?」なんて話もはさみながら進んだ末に、本を書いた作者(つまり本の物語を創生した神様)が、とんでもない奴だったという…それは僕にとっては「死後の世界や創造主が優しいなんて思うなよ」と言われてるようで「だよねー」という気分に。ところが、追い越せないカメの話を受け取った主人公が、後に「永遠にもいろんなサイズがある」との気付きを語り出すところはスゲ〜と思いました!  作家はウィレム・デフォーが演じてたので、後にこの作家の隠された過去は明らかになるだろうと予測した通り、忘れた頃に再登場してくれました。作家は娘をなくしていたわけですが、映画を一回観た限りでは作家の闇を理解するのは困難かな〜? でもね、観終わった後にジワーッと想像はできるんです。彼も多くの人に愛されるためではなく、たった一人の娘のために物語を書いていたのではないか? と…  そして、その娘が亡くなった時、例の本の物語は終わってしまったということだったのでは? 「痛み」ってそういうことなのかもしれない。  そういうとこがはっきり伝わってこないまま、主人公とボーイフレンドの短く儚い恋愛ものとして「いいわねぇ」的な終わり方するのは、冒頭の断り文句からすると肩透かしです。きっと、この映画の完成前のシナリオはもっと作家の秘密が描かれていたのでは? 「忘却」に関する問題も、きっと「本」は残っていくものだし、何か分かりやすく対比する描写があったのかもしれない。  「死」そのものからは目を背けずに描いてはいるけれど、結局はかなりオブラートに包んでしまった物語にされているなーと感じました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-01-24 16:34:23)
2.  君が生きた証 《ネタバレ》 
死んでしまった息子が遺した歌を唄う父親。失ってしまったものがあまりに大きいと、人はそれを元から無かったものだと思いたいものかもしれないなぁ…なんて思いながら、考える余地を持たぬように仕事に没頭しようとする父親の姿を観ていました。この父親が失ったものの大きさを想像しながら、でも、ある若者の登場から最初のハモりで泣けました。いい歌を作っていた息子はもうこの世にいない…なぜ、こんなことに…と思っていたら、息子の墓が映されてドーンと見え方が変わってしまう衝撃の展開! この映画のうまさはここにあります。最初に観ていた家族喪失の物語が、単なるSorrowではなく、実は父親が背負い続けているSorryでもあるということが、単に衝撃的なだけじゃなく、父親の背負っている苦しみ重荷が二重に理解できるうまい作り方になってます。息子の書きかけだった歌に歌詞を書き足し始める父。その直後の仕事場のシーンは淡々としているけれど、実は父親がはじめて亡き息子に徹夜で向き合ったことが示されています。夜通し息子宛てに紡いだその歌が最後に流れますが、前半息子の書いた歌詞がガツンと印象的「僕の言うことは全部ウソ」。息子はそのあと「いっそ酒でも飲もうか 歌うのをやめて」と歌った痕跡が残っているのだけど、父はそこはそのままにしなかった。歌う前に聴衆に向けて秘密を打ち明けた父が歌う「正直というものは僕らを変えてしまう」。なんともたまらない。聞こえのいいウソと沈黙で覆われた世界のベールが剥がれていく多感な時期、前向き志向の歌を書くことで息子は自分自身と闘っていたのかもしれない。でも、それらの言葉は「全部ウソ」というわけ(訳としてはそうなってるけど、もしかするとキマグレンみたいに「世の中嘘だらけ」って言ってるかもしれない)。救いが見えなくなって、おかしな方向に。暗闇に迷い込んでしまった息子に向けて父の歌詞が継がれる「君と一緒に歌えたらいいのにな」。オヤジ抜きで再スタートを切ったバンドを映しながら。この父親、冒頭ワーカーホリックみたいだったけど、おそらく事件なければ息子と歌うことなんてなかった人なのかもしれません。空気みたいに当たり前になってるありがたいことは、失ってみないと気づかないものかもしれませんが、そうならないようにしなきゃと思いました。原題の『RUDDERLESS』は新人発掘のオーディションのイベント名でもあるんだけど、「舵取りのない」「指導者不在」みたいな意味。このタイトルの意味を知って観ると、また一層深みを感じます。あの若者が前進を始めたラストが光ってきます。久々に何度も見てしまう映画でした。
[DVD(字幕)] 10点(2015-10-17 14:31:01)
3.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
「ファントム・オブ・パラダイス」でもやっていたコミカルなシーンはちょっとシラーとしてしまいますが、キャリーがプロムクイーンに選ばれてバケツの血をかぶるまでのスローモーションと音楽のシンクロは秀逸です。拍手の中ステージに向かうキャリーを美しい音楽が飾るのですが、いじめっ子が隠れている階段を上るカットでは断頭台の序曲みたいな音楽に変わります。キャリーへの罪滅ぼしをしようとしたスーは先生に疑われ、階段でもめるスーと先生を壇上で観ていたキャリーは先生もグルだったのかと疑ってしまったようで、そうした悲しい誤解が一気に重なり合って、ハッピーになるはずの進行が最悪の事態に。「殺しのドレス」のエレベーター・シーンの「Boy!」とともに、この作品でのバケツの血の直後の「What's that !」と声(音声)なしのセリフが役者の口の動きだけで表現されるところも印象的。「13日の金曜日」のラストが話題になった時、デ・パルマ監督は何を思っただろう。【2011.2.28追記】もう何度観てるか分からないほどなのに、今日まで気づかなかった。もともとスーのアイディアに懐疑的だった先生のこと、プロム会場にスーを目撃した先生が「カップルじゃない独り者のあんたが何しに来てんのよ、キャリーもバカじゃないんだから、あなたが目の前に現れちゃ気まずいものになるでしょ! それに何その怪しげな動向?」と思ってるんだろうなぐらいで観ていたけれど、もっと細かい。バケツ付近からヒラヒラ落ちる紙テープがキャリーの頭上に落ちたのを見た瞬間、スーはこれからキャリーに起きる事態を確信して表情が凍るけど、先生はそのスーの凍った表情をばっちりキャッチ。そしてスーの視線の先を見る。スーの視線の先には、ボーイフレンドのトミーとキャリーがまさにキスをする瞬間が! 先生の目には「ブスのキャリーにトミーを奪われる心配などない」と確信していたスーが、かわいくなったキャリーにトミーを奪われショックを受けているかのように映ることになり、先生の誤解が決定的になる!! ああ、ほんとに悲しすぎるタイミング。
[DVD(字幕)] 9点(2015-10-02 01:09:54)(良:2票)
4.  キングスマン 《ネタバレ》 
カセットテープのどアップで始まり、流れる曲はよく聴いていたダイアー・ストレイツの「Money for Nothing」。あまりに懐かしい! これだけで僕はつかみにはまりました。あとはとにかくテンポよくのせられ楽しみました(DVDじゃそうはいかないだろうけど、だからこそ劇場で観た甲斐がありました)。この映画、絶対にポスターが失敗です! この映画の面白さを微塵も匂わせていない。「コリン・ファースが銃持ってアクション…面白いの?」としか思ってませんでした。これは昔々のアメリカン・リアル・イラストレーションで動きも派手なポスター作ったら良かったんじゃないかなーって思います。STAR WARS 一作目の主役ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルの登場もGood! この人スターウォーズ以外でほとんど観ませんから、この人選も「メチャクチャなつかしー!」なのです。さらさらヘアーの若きジェダイ騎士は髭生やして小太りのオジサンになってるー。映画ってストーリーだけじゃない、こういう楽しませ方があるのがイイです。サミュエル・Lジャクソンて人は僕はどちらかというと苦手で「あまりにもいろいろ出まくり、そのわりにどれもイマイチ光らず、どれも似た感じ」と思っていましたが、今回のキャラはわりと印象に残りました。コリン・ファースのアクション・シーンはカメラワークが面白かったです。「カメラマンどうやってるの?!」と思いながら観ました。きっとデジタルでいろいろ加工制御できちゃうから見せられる映像なんでしょうけどね。教会での大虐殺は「やり過ぎ」感ありますが、僕は『キック・アス』よりは痛々しく気味悪くなかったと思います。カルト宗教集団をコリン・ファースが全滅させちゃうのはうまい演出だなと思いました。大っぴらには絶対良くないことは分かり切っているので「これは悪玉のマイクロチップのせいなんです」という釈明がついているわけですが、この劇中のカルトのオバさんとか『ミスト』のカルトおばさん同様に狂った善を振りかざす迷惑者なので「そういう集団なのね」と思えば、スッキリする人はスッキリすると思いますよ。近頃は躾の悪い女も増えたので、女も容赦無く殺しちゃうのはいいかも。だって男女平等でしょ。
[映画館(字幕)] 8点(2015-09-24 20:49:35)
5.  清須会議 《ネタバレ》 
僕は三谷幸喜作品は『ラヂオの時間』『12人の優しい日本人』が大好きです。その二つの映画のコメディとしての面白さや話の展開の面白さから比べると、今回の作品はそれほど満足はできませんでしたが、最近の三谷幸喜作品の中ではかなり面白いと感じました。それと、なんとなく映画としての格調を感じました。ただのコメディじゃなくて、ちゃんと映画芸術としての品を感じたのです。宴会の踊りのシーンの挿入とメリハリは、これまでの三谷作品では感じられなかった映像作品としての巧みさを感じました。城から見える景色と空の青さも素晴らしいと思いました。三谷幸喜作品というと、無条件にコメディとして構えてしまいますが、これはコメディとして期待するより、人間模様を描いたドラマとして観た方が満足できる気がします。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 21:45:00)
6.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
点数の付け方に凄く困ってしまう作品でした。ソラリゼーションやエンボス加工が安っぽく目障りに感じたり、大金を置いていくにはそれなりのわけありだろうことくらい察して礼は伝えられたんだからシツコくするなよ左幸子って感じだったり、DNA鑑定もない時代に爪はそこまで決定的証拠なの?と疑問だったり、三國連太郎の真実が何か浮き彫りになるのかと思ったら唐突に幕だったり、そういうことごとでガッカリ感は結構あります。けれど、大金を受けてからの左幸子の生活に密着するような展開は、三國連太郎も伴淳三郎も影が薄くなっていくほど視点が彼女に集中して『サイコ』を観るような気分でしたし、およそ2時間後にようやく高倉健の登場という緩急の妙が心地よかったです。とうとう三國連太郎が爪の証拠で折れて、これで話は終わりかと思ったら、そこからもう一山という展開も良かったです。僕には釣りバカの社長さんのイメージばかり強い三國連太郎の若い姿の存在感に感心したり、多分『姿三四郎』の役者さんではないかと思う署長さん役のオーラを感じたりして「今これほど存在感どっしりした役者さんたち、ほとんどいないなぁ…」と思ったりして、そういう点ではとても良いものを見せていただいた気分でした。というわけで7点としました。ソラリゼーション安っぽかったけど、イタコのシーンだけは夢に出て来そうで強烈な印象を残しました。「吐夢」って、こんな昔からキラキラネームはあったんですね。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-02 23:46:13)(良:1票)
7.  凶悪 《ネタバレ》 
ガスパッチョCMでお茶目な信長が印象的だったピエール瀧がマジにヤバい人の役柄を演じていて見応えありました。リリーさんもスゴイ! この2人の演技が映画を面白くしています。対して山田孝之はまるで印象薄いです。これはシナリオの問題なんでしょうか? 藤井が奥さんのSOSに対して、どうしてあそこまで冷たくいられるのか、奥さんの精神的負担を放置しても木村の死刑を望むこだわりが何なのか、実母の痴呆を描いていてもよく見えません。「正義」なんてことで片付けたら、奥さん放ったらかしの藤井は矛盾過ぎる。そんなピンぼけの藤井像にラストで木村が指差してもサッパリ効かないオチでした。須藤がキリスト教に改宗するくだりも、もっとズルく憎々しく演出できそうで、勿体無く思いました。
[DVD(邦画)] 6点(2014-07-16 18:28:54)(良:1票)
8.  キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 
期待していたものとはちょっと違っていました。スリリングな描写はあるけれども、全体的に乾き切った印象を感じ、良い人間ドラマを感じませんでした。一番印象に残ったのは海賊側の言い分。その点は全然掘り下げられていかないし、凄腕の凄技で人質以外の船内の全ての賊を片付ける能力に舌を巻くものの、そもそもなんでこんなことになってるかってことに対してシラを切られている感じで、ちょっと好感持てないです。
[DVD(字幕)] 5点(2014-07-05 19:15:01)(良:1票)
9.  キャリー(2013) 《ネタバレ》 
オリジナル版では撮影はされたもののお蔵入りとなった石が降るシーンが、このリメイク版では映像化に成功。街が壊れる大惨事というのも原作に近くなったのかもしれないし、裁判で回顧するのも原作に近くなったのかもしれない。けれどパルマ版にはかなわないですね。パルマ版のシシー・スペイセクとパイパー・ローリーがいかに見事だったかは当然のことながら、ウィリアム・カット、ジョン・トラボルタ、ナンシー・アレン、エイミー・アービングどのキャラもしっかり印象的に演出され演技されてたことを強く再認識するための映画という感じです。とくに「美形だけれど、どうしょうもないダメアホワル女」ぶりを見せたナンシー・アレンの演技や、ロープを引くときの唇のアップという演出がどれだけ光っていたかに気づかされました。赤いキャップのバカ女とクラス担任の存在感も。こちらのリメイク版には、そういう主格以外のキャラの存在感が皆無です。いろんなキャラが短い出番のなかでどれだけ個性を放てるシナリオと演技か、そういうのが大事なんだなと感じました(上映時間もオリジナルとほとんど同じ長さで勝負してるみたいだけど)。シシーのことはさんざん書かれているのでやめとこうと思いましたが、シシーも他の映画とかでは結構美しい顔ですよね。女の人ってもともと化粧ですごく化けられますけど、シシーもいじめられっ子の役に近づくため相当の努力があったと思います。高校生の役柄だけど、あの当時既にシシーの実年齢が話題になったりしました。クロエもちょっと努力すればブスになれるタイプの顔ですよね。彼女は捨て身になれてないと思います。プロムから帰宅後のバスタブで泣くシーンはシシーの悲壮感満点の演技に比べるとクロエには悲しさや孤独感があまりにも感じられません。
[DVD(吹替)] 4点(2014-06-28 11:54:36)
10.  疑惑(1982) 《ネタバレ》 
どのレンタル店に行っても、松本清張作品がズラリと並ぶ中に『疑惑』だけは取り扱われていない。どういうワケでどこにもないのか妙に気になりましたが、この度ようやく離れ町の1店舗に1枚入荷! 車で30分以上かけてやっとレンタル。高校生のときにTVで観たきり、忘れられない邦画なのです。当時、僕は邦画を馬鹿にしていました。「邦画なんてどうせ暗くてジメジメしたものか、チャチな特撮で中身空っぽか、ヤクザ映画でしょ」てな具合です。けれどこの映画をTVで見た時、桃井かおりのキャラに強烈なパンチを食らった気分でした。「こんなスゲー映画が日本でも作れるのか!」と放心状態に近い感覚を味わいました。それからおよそ30年ぶりの鑑賞となるのですが、やはり面白かったです。謎解きものとしてはいきなり強引な解答で、その点では面白みはないですが、この映画の面白みは桃井かおりと岩下志麻のキャラが火花を散らすとこにあります。で、どっちの女も「嫌われ者」なんですよね。「正しいか正しくないか」とかより「好きか嫌いか」ってところで行動しちゃう人間の性みたいなものが柄本明演ずる新聞記者のキャラを通して分かりやすく描かれます。で、桃井かおりのキャラは「正しいか正しくないか」なんてまるで考えないタイプの女で、一方の岩下志麻のキャラは弁護士でもあるし少なくとも職務上のことは正しい行動を選択。けれどそんな岩下志麻も結局嫌われ者なワケです。世間の鼻つまみ者の命を救ってあげた唯一の存在なのに誰からも好かれておらず、唯一愛する娘とも別れるはめになる。一方の桃井かおりはただ1人の男には溺愛され、その男に始末されそうになるも「1人だけで死なせるのは可哀想」と思ってもらえた。彼女は誰も愛してなんかいないのに。そして自分を嫌ってる世間には飄々と舌を出してみせる。どっちの女にもなりたくないが、辛い感がないのはどっちの女かってことだよね。こういうの見せつけられると『愛されることより、愛することの方が大事だ』とか言い切れるかな? 【2014/4/26追記】別府3億円保険金殺人事件という現実にあった事件をヒントに作られた話なんですね。鬼塚球磨子のモチーフは荒木虎美という男性。なぜ警察は捕まえないのかと批判が殺到したとかで、そんななかTVのワイドショー『3時のあなた』に出演したとか。森田健作演じた電話ボックスの目撃者も、タクシー運転手の実在人物にヒントを得てるようです。
[DVD(邦画)] 9点(2014-04-26 11:16:00)(良:1票)
11.  きっと、うまくいく 《ネタバレ》 
インド映画ってジェームズ・キャメロンも真っ青な長尺で『ロボット』『ラ・ワン』を観たときと同じ疲労感がこの映画にもありました。ただし、この作品はやっぱりイイです。良いだけに「なげぇよ!」の疲労感で感動する余力が奪われてしまうのが、とても勿体無くも思います。それがなければ9点つけたい作品でした。笑えて、ちょっと泣けて、ちょっと感心して、共感して、中盤で意外な驚きが待っていたり、満腹満腹で食い過ぎな感じですが、長時間を退屈させずに引っ張り抜く力はやはりすごいと思います。僕は、動物写真家への夢を持つ友人が父を説得しに行くシーンで泣けました。ヒロインは目の距離が狭すぎて外見的に僕の好みには合いませんでしたが、キャラは立っていて主人公と結ばれるまでのシナリオの流れは丁寧で魅力的でした。その父である学長は厳しく無慈悲であるゆえに何人かを死に追いやってしまうようなキャラなのですが「こいつ死ねばいいのに」と憎しみを感じるものになっていないのは不思議な力を感じます。彼の持つペンが後にどうなるかは大体想像がついていても、そのシーンはグッときました。直接的に「人殺し」とは言えなくても、それに近い罪を持つ人物ながら、彼が卒業生たちと腕を絡めカメラのフレームに収まるシーンで「生きていれば人はやり直せる」という優しさを感じました。だからやっぱり自殺しちゃいけないなと…。写真家を目指す友人が父との会話の中でも自殺について言及されますが、ハッとさせられる言葉が出てきます。ちゃんと人間の思いが込められた映画です。10年後の成功を競う人物にも視点が温かい。ラストのロケ地、カラー調整もされてるんだろうけど、あの綺麗な空と水の青さには「行ってみたい!」と思いました。
[DVD(邦画)] 8点(2014-03-15 01:55:58)(良:1票)
12.  キャビン 《ネタバレ》 
飛行機墜落した島でサバイバルしてたら地下に謎の施設があった『LOST』みたいな突拍子もない展開の面白さを期待してレンタル。とんでもな設定はわりと早くに披露され、そこに特にワクワク感はなく『死霊のはらわた』に変貌。108分おきにボタン押しながら地下で世界を救っていた『LOST』みたいに、この映画の中の大人も何やら世界を救うためにお仕事しているようだけれども、あまりにもリアリティがなさ過ぎ。登場人物それぞれが何かを背負っていたり目指していたりという人間描写もなく、「ゾンビ?」「シャイニング?」「ヘルレイザー?」「デッドリースポーン?」「CUBE?」「IT?」と様々なクリチャーのパレードが始まり、呆れて固まってしまいました。最初っから突拍子もないと、何があっても驚きません。一番驚いたのはシガニーが出てきたことでした。
[DVD(吹替)] 3点(2014-01-12 22:25:42)
13.  キラー・エリート(2011) 《ネタバレ》 
ステイサムが出ているせいでアクションうそ映画だと思ってしまい実話が元になっていることを忘れていました。デニーロがステイサムの彼女を護るエピソードが印象に残りました。それにしてもステイサム&デニーロ&オーウェンという取り合わせがなんとなく普通じゃない組み合わせぽくてそこが一番印象に残ったかも。
[DVD(吹替)] 5点(2013-09-16 21:50:27)
14.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
「まさかね…」ということがこれから起こるということを知らない能天気な少年たちの日常から、暗雲がじわじわと覆い尽くして行く描写速度にリアリティを感じました。競技場に集められてもまだそれほど危機感が大きくない感じなど、ゾッとする感じでした。「なんかやばそうだよね」「でもまさかね」と、楽観視したり他人の善意を信じたりポジティブ指向だったりネガティブに捉えることを避けたり…普通はそれでなんとかなって行くものだけど、そういうフィーリングでいちゃいけない場合もあるということを思いました。と言っても、あの状況から騒いでも何も変えようがないのでしょうけど。だからこそ、手遅れになる前に、怪しい世の中の動きには「大人しく」していてはいけないのではないかと思いました。
[DVD(字幕)] 7点(2013-07-17 21:59:52)
15.  君のためなら千回でも 《ネタバレ》 
男の子に対する性暴力のシーンがあります。ハッキリとは描かれないので「ベルトで叩かれたの?」と言う我が子に「多分そうだろうね」とごまかしましたが、後半「自分は汚れている」とセリフを言う少年が出ます。「なんで?」と聞かれたらどうしようかと思いました。兵士が人妻を欲しがるシーンもあります。子供と見る場合はご注意を。のどかで緑もあったアフガニスタンが荒れ果てた姿に変わるのは印象的。凧のシーンはとてもいい感じに出来ていて、これが最も印象的です。原作者の短い映画紹介から見始めたので、てっきり実話なのかと思っちゃいました。作り話のようですが、いろいろ伝えたい真実もあるようで、映画化されて良かったなと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2013-06-24 19:03:45)
16.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
映画部のあれこれにはたくさん笑わせてもらいました。桐島は結局出てこず、全然接点のなかった前田と宏樹が最後に会話する部分に強烈なメッセージ。最後のチャプターだけ何度も見ちゃいました。「映画監督は…無理」という時の表情が何とも言えない。「ただの遊びじゃない」と言っていたけれど、映画への情熱はその程度のものだったのかと呆気に取られた。けど、自分のことを思い返してみてもそうだったよなと思う。僕が自分の夢を「無理」と思わなくなったのは、その仕事をしている憧れの人たちから作品を評され一緒に食事をして会話する機会が訪れてからだった。別世界に住んでいるように思っていた人たちが、自分と同じ世界に暮らしていて自分と会話することもあり得るのだという、とても身近なリアリティに変わったことで、その体験がジワジワと「もしかしたら、頑張れば手に届くのかもしれない」という思いを抱かせるようになった。それまでは、誰に褒められなくとも将来に繋がらなくとも、ただ好きだからやらずにはいられないという、それだけのことだった。前田もいつか「えっ、この俺が?!」とビックリする喜びを知る時がくるかもしれない、けれど、今はハナから「無理」と思っている。つまり未来なんて諦めてる(野球部の先輩やバレー部の小柄なヤツは…実のところどう思ってる? 宏樹がさげているバッグのロゴはShorai…)。だけど、それでものめり込む情熱があって「映画監督は無理」のあとに嬉しそうに語る姿が、宏樹の心を締めつける。頑張らなくてもいろいろできちゃうんだけど、情熱の置き所が見つけられない宏樹。カッコイイと褒められるけど、それだって自分の努力とは無縁のもの。努力して何かを手に入れる喜びを多分知らない、そういう意味でかわいそうな宏樹。他人からは羨ましがられるような「持てる者」なんだけど、本人は生きる充実が得られてないんだよね。その虚無感を人に話したってきっと誰もわかってくれず「贅沢」と言われるだろう孤独感。唸っちゃう映画でした。
[DVD(邦画)] 8点(2013-06-08 22:22:08)(良:1票)
17.  キル・ビル Vol.1(日本版)
低能
[DVD(字幕)] 0点(2012-10-04 18:00:54)
18.  キャピタリズム~マネーは踊る~ 《ネタバレ》 
初めて観る作品のはずなのに、所々で確実に見覚えのあるシーンがあって「あれれ???」な気分でした。まだそんなに物忘れしたりボケる歳ではないはずなんですが、そんな自分が過去に一度見たことを忘れ二度目の鑑賞ならば、よほどインパクトなかったと思えます。そうではなく部分的に別作品と素材を使い回ししてるなら、それもどうかと思いますし、とにかくキツネにつままれたような不思議な気分に陥ってしまいました。ラスト近く、家を奪われた住人が戻ってきて居座ったとき、警察がなにもせず去ってくれたのには感動しました。最後のほうで日本を引き合いに出してましたが、ムーアさんは日本の現実を知らないんだなーと思いました。ブッシュが大統領だった頃、日本郵便局にある大きなお金を欲しがる人々に操られて日本がどうなったか取材してみてほしいなと思いました。「日本はアメリカの植民地」なんて声もいくらだって聞けるのに、ムーアさんはナニ言ってるんだろう? と思ってしまう終わり方でした。そして、正当な権利のために怒り立ち上がることさえ「大人気ない」なんて非難されかねない日本において、労働者が金銭的にも精神的にも抑圧されずに闘うなんて難しそうだなーと寒い気持ちもなったりしました。「一人じゃ闘えない」とか言うのは「俺は闘ってる」という意味になると思うんですが、そんなこと言うようになったらムーアも「何様」な感じになった気がして残念でした。「あんたが言うようなことの大筋は言われなくても分かってるよ。偉そうに言うなら闘い方を示してみれば? それが分かれば動く人はいっぱいいるさ」という気分。作品中で闘っていた人々は言ってみれば『窮鼠』です。これ以上ないほど追い詰められたから猫を噛むのであって、まだ失うものを持ってるうちは「世間教の日本の大人」は大人しい。
[DVD(吹替)] 4点(2012-03-21 17:19:54)
19.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
現代ではさすがに特撮レベルが古過ぎて、その映像は「映画史の資料」的な見方しかできませんでしたが、1933年ということを考えると、かなり頑張ってるなと感心しますし、スカル島の巨大ゲートのセットは『イントレランス』を思い出すような雰囲気がありました。僕にとってのキングコングはジョン・ギラーミン版が最初で、それはつまらなく思い、その次がピーター・ジャクソン版。ピーター・ジャクソン版が好きになり、今回オリジナルを見てみる気になった次第。美女にかかっては野獣も骨抜きになってしまうというテーマはオリジナルが最も分かりやすく作られているなと思いました。デナムやドリスコルの人物像もオリジナルの方が好きです。船でのテスト撮影シーンでアンを高く見上げさせ叫び声を上げさせ、それを見物していたドリスコル(オリジナルは船乗り)に「何を見せるつもりだ?」と言わせるくだりも気に入りました。そのうち巨大ゴリラが出てくることは分かっているし、しかも現代となってはお粗末な巨大ゴリラであっても、こういうシーンが作り出す雰囲気作りって大事だなーと思いました。 コングはオリジナルはあくまで野獣なんですね。リメイクのようなヒューマニティは見せないし、アンはコングに愛着なんか持ってない。男性性の負の面のみを強調したメタファーで、そいつを退治して最後アンとドリスコルを2ショットにする。美女が野獣を骨抜きにする・・・といっても、男性の中にある野獣の側面だけを抜き去っているというならいいけど(この映画ではドリスコルをして女嫌いな無骨な男から、優しい紳士に変えたということかな)、でも男性そのものを骨抜きにしてはいないのかなぁ? よくよく考えてみれば、今の流行は中性的な(というか女ぽい)男性だったりしてない? 「こんなのばかりもてはやされて、もし戦争とか原始的生活が余儀なくされたら大丈夫か?」とか思わなくもないんですが、そういう風にしてしまってるのはなにも美女のせいではないよーな(美女って少なくなった気がするー)・・・男を骨抜きにしてるのはアニメやメディアだったりして?
[DVD(字幕)] 6点(2011-09-12 05:29:55)
20.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
今どき超巨大ゴリラの映画なんか・・・と思っていたから、目当ては昔の摩天楼を見ることと、ジャック・ブラックをどう起用するのかという興味だけで、それ以外は一切の期待をしてなかったのが良かったんでしょうか。劇場の大スクリーンで観たんですが、ツボにはまりました。『タイタニック』のあと、なかなか感動できる映画に出会えないと思っていた不満を、この映画が満足させてくれるとは思ってもいませんでした。『21グラム』や『ザ・リング』では何とも思わなかったナオミ・ワッツにこの映画で見とれもしました。路頭に迷うことになった女芸人と、窮地に立たされた映画作家が、どう道を切り開いていくかという話しに始まるのもとても気に入りました。コングはCGの巨大ゴリラに「Beautiful」の魂を吹き込めただけで大拍手です。コングがもともと一匹じゃなくて連れと生活してたことが分かる骨の映像も、野獣の孤独を演出していて好きです。『ロード・オフ・ザ・リング』の一作目のつまらなさに続きを観る気にもなれなかったのを、観てみようかと考え直せたのは、この『キングコング』に触れたからでした。ラストのコングの死んだ目、反射のないテクスチャに変わるだけかもしれないけど、唸りました。 【11.9.12追記】ようやくオリジナルを見たんですが、オリジナルのデナムとドリスコルの方が良いです。デナムの最後のセリフはオリジナルでは無理を感じないし、ドリスコルをなぜナヨっちいキャラに変えたんでしょ? 「女なんて邪魔!」ってムードの船乗りのままで恋させて欲しかったなぁ。そうでなくても帰国後の劇場でのウジウジしたところは、あまり好感持てません(あのシーンは流れを断ち切ってると思うし)。本作のドリスコルはアンを救い出しはするものの何故か頼もしさや存在感がない。代わりにオリジナルにはないバクスターという男優キャラがスカル島で「現実のヒーローはビール腹で・・・」って、ああいうセリフ言ってくれるキャラの方が立ってる。アンとドリスコルがサヤに納まるラストが同じなら、冒頭の不況背景やジミー少年を加えて長尺にするよりも、ドリスコルのキャラをもっと練って欲しかったなー。けどコングはオリジナルより好きなので10点のままで。
[映画館(字幕)] 10点(2011-09-12 04:47:07)
0213.23%
1243.69%
2385.85%
38312.77%
47010.77%
57711.85%
613120.15%
7639.69%
88212.62%
9396.00%
10223.38%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS