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1.  ショーシャンクの空に
先の展開に予想がつき難いのも、何を考えているのか分からない正体不明の、全く掴みどころの無いようなキャラのT・ロビンスを主人公に据えたからこそ成し得たのだと、つくづく思う。ハラハラ・ドキドキ感よりは、むしろ様々な仕掛けが施され全てが計算通りコトが進んでいき、観客をも煙に巻いてしまうという、イイ意味で予想を裏切るこの何とも良く出来たストーリーには、“心地良い”という表現が最も相応しいと思うし、他に類を見ない。暗く閉鎖された空間からの解放感溢れるラストの至福の瞬間は、まさに映画史に残る名場面といえる。十年に一度あるかないかの傑出した作品であることは、もはや疑いのないところだ。
10点(2002-04-01 23:53:12)
2.  情婦
ひと昔もふた昔も前に見た作品なので細かい記憶は実に曖昧だが、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、数ある裁判ドラマの中でも特筆ものの面白さ。予想外のラストも感動的だ。
10点(2001-10-28 17:03:22)
3.  JAWS/ジョーズ
今さらコメントするまでもない、これは若き日のスピルバーグの溢れんばかりの才能と、その映像テクニックとを見事に結実させ、我々観客を興奮・熱狂させた海洋冒険アクションの名作。公開から四半世紀たっても色褪せる事なく、未だに多くを語り継がれる作品がどれだけあるだろうか。R・シャイダーの水泳客が襲われるのを初めて目撃するショットや、R・ショウが黒板に爪を立てて登場するシーン、R・ドレイファスが船底の穴から死体の顔が出た瞬間、“ワンテンポずれて”驚くシーンなど、今でも鮮明な記憶として残っている。
10点(2001-05-13 17:44:43)(良:1票)
4.  十二人の怒れる男(1957)
いまさらコメントするのも恥ずかしくなるほどの歴史的名作。さすがにリアルタイムで観たわけではなく、後年、TVの「日曜洋画劇場」で“なんて素晴らしい作品なんだ!”と、子供心ながら感心したものです。もうほとんどディティールは忘れてしまいましたが、当時のミスター・ハリウッドのH・フォンダの人間味溢れる誠実な演技を始めとする、出演者たちの的を得た達者な演技や、ストーリーの構成力の巧さ等でぐいぐい引き込まれてしまう。冒頭、裁かれようとしている(いかにも気弱そうな)青年の横顔がチラッと映るショットや、閉ざされた空間から雨上がりの道路が太陽にきらめく屋外のラスト・シーン等、何十年たっても憶えている。名作とはこういうものなのだろう。
10点(2001-01-14 18:35:11)
5.  春夏秋冬そして春
キム・ギドク作品は過去の例をみても分かるように、外界と隔絶された異世界(異空間)を舞台に展開されるということが、まず特徴として挙げられる。そして本作ではそれがより顕著で象徴的な形として綴られていく。それは山奥深い、まるで水墨画のような幽玄の世界。湖上に静かに浮かぶ庵。それらのピンと張りつめた佇まいは、この作品を語る上で、これ以上ない舞台設定だと言える。そして、自然の美しさと造形された美しさとが見事に融和し、鋭く的確に捉えたカメラの素晴らしさを語らずにはいられない。それは決してカラフルなものではなく、むしろ程よく抑制の効いた色彩効果といえるものであり、四季の移ろいを人生訓として特徴づけた撮影技術は本作の功労者だと言える。物語は桃源郷に生まれ育った人間が、外界(俗世間)に触れることにより人間本来の生き方を悟るという、あくまでも寓意に満ちたものである。生まれてから死ぬまで業を背負っているのが人間なら、生きていく上で俗社会に関わっていく事を避けて通れないのも事実。閉ざされた空間から飛び去り、再び舞い戻ったとき、人はそれぞれ何を学びとって来るのであろうか。本作は、そういった人間の一生の在り様の教えと捉えたいが、平易な語り口だけにより深く考えさせられる作品である。天空から下界をそっと見守る菩薩像に 「2001年宇宙の旅」のスター・チャイルドをついついダブらせてしまうが、作品イメージとしては実相時昭雄作品に近いのではないだろうか。
9点(2005-02-12 15:28:06)
6.  真珠の耳飾りの少女
17世紀のオランダのさり気ない日常を描きつづけた画家フェルメール。寡作家でその大半が室内画であり、また謎の多い人物だったことから、タイトルにもある少女をモデルにした絵が出来るまでを、人間ドラマとして大胆な仮説をもとに綴ったのが本作。作品を魅力的にしているのが、メイドとして雇われた美少女グリートを演じるS・ヨハンソン。  腫れぼったい唇の困惑顔で、いつもどこか不機嫌そうなその表情が男心をくすぐる。C・ファース演じるフェルメールも、彼女をあくまでも絵画の良き理解者という表向きの体裁を繕ってはいるが、彼女の魅力の虜になってしまっているのも事実。この危険な香りを放つ両者の拮抗した演技には魅了されてしまう。二人に果たして男女の関係があったかは、 映画ではついぞ描かれる事はなかったが、耳にピアスの穴を開けるシーンに暗喩としての匂いを嗅ぎとれる。グリートの苦悶の表情のその艶めかしさだけで十分であろう。真実は誰にも分からない事であり、後は個人個人が想いを巡らしてロマンを感じとればいいのである。そしてもう一つの魅力は、フェルメールたちが間違いなく生きていたこの時代を、なんの違和感をも感じさせることなく再現してみせた衣裳と美術そして撮影技術の進歩。湿り気のある空気や柔らかな光と渋めのトーンで統一された色彩処理など、その徹底ぶりには只ならぬものを感じさせ、この作品の雰囲気を余すことなく伝えることに成功している。
9点(2004-09-16 15:38:55)(良:2票)
7.  下妻物語
ロリータ桃子と暴走族イチゴという、まったく相容れない個性のぶつかり合いから生じる、女の子の友情物語。男の友情を描いた作品は数多いが、女のそれはと言うと、すぐには思い出せない。そもそも“女に友情などあり得ない”などといった風説がマコトしやかに流されていた事にも由来するのだけれど、本作がそれをものの見事に覆し実証してみせてくれたのである。それは凝りに凝ったストレートな面白さと表現すればいいのだろうか。現実離れした劇画チックな画面構成と独特の色彩処理で、我々を寓意にみちた世界へと誘う。その摩訶不思議な感覚の心地よさ。そのカラッとした明るさは青春の輝きそのものであり、CM界でその名を馳せた中島哲也の、場面場面の画作りへのこだわりと冴えが大きくモノを言った作品である。そして、ひと癖もふた癖もある登場人物の中でも、とりわけヒロインたちが揃って魅力たっぷりで、しかも嫌味が無いというのも近頃では珍しく、そういう意味においても深田恭子と土屋アンナは絶妙のキャスティングであり瞠目に値するほどだが、その二人も自分の役廻りをよく心得え、体当たりの演技で期待に応えていたと思う。
9点(2004-09-09 18:41:36)
8.  昭和歌謡大全集
本作は或る通り魔殺人に端を発し、その復讐を果たす為、おばさんグループと若者グループとが死闘を繰り広げ、その挙句の果てにアッと驚く結末が用意されているといった、まさに過激で奇想天外な現代の寓話だと言える。とは言うものの、その日常生活は極めて現実的に描写され、再三出てくる食事のシーンなどでは、おばさん対若者といった図式が明確に示されていて面白い。ここに登場する若者たちは、マニアックでオタクっぽく何処にでもいそうなガキとして描かれる一方、おばさんと言っても、樋口可南子を始め彼女たちの何と生き生きとして魅力的なことか。オンナを棄てた女にはとても見えないところがご愛嬌で、キャスティングの巧妙なところ。そして、この両陣営に協力するのが中年オヤジというのが共通項としてあって、この作品のキモでもある。中でも若者に荷担する原田芳雄演じる金物屋のオヤジが傑作。この男、女どもにはさぞや苦々しい思いで生きてきたのであろうか、若者たちにその武器使用の理由を聞くや、嬉々として武器を売りつけるという闇の武器商人といった趣で、中年男性の象徴として強烈な存在感を示している。(核爆弾を“原爆”と言わせるところなど、いかにもタイトルの「昭和」という時代を意識したセリフだ。)さて個々の殺戮シーンには、そのテクニックを強調されはしても思い入れというものは無く、あくまでも直截的であり即物的に描かれていく。特に“♪チャンチキおけさ”のシーンは秀逸で、昭和の流行歌が効果的に使われた一例でもあり、決して刺身の妻などではないのである。それにしても、お互いに絶命するまで限りなく続くこの復讐劇と昭和という時代とに、果たしてどれだけ深い意味合いがあるのだろうか。本作は村上龍が終始描いてきた現代社会の不条理さを映像化し、現実と非現実とが渾然一体となって醸し出され、閉塞感漂う世の中の鬱積したものの吐け口をひとつ間違えると、歯止めが利かないままとんでもない方向へ進んでしまうという事を、見事に提示した実に面白い作品となったわけだが、彼らの悪夢は昭和から平成になって、さらに深刻でより過激になっている事を再認識する必要がある。所詮、寓話などと笑ってはいられない、「今」とはまさにそういう時代なのだ。
9点(2003-11-26 15:38:48)(良:2票)
9.  自由の幻想
公開当時“映像の尻取り遊び”と表現されたL・ブニュエル監督晩年の傑作の一つ。いわゆるオムニバス形式の変種と言ってもいいユニークさで、ひとつのエピソードが終わると、それまで脇を努めていた人物が、次なるエピソードの中心人物となっていくという、幾つかのエピソードがそれぞれ微妙な接点を持ちながら場面転換していく構成となっている。要するに最初から最後まで出ずっぱりの登場人物などいないということでもあるのだけれど、こればっかりはいくら説明しても、実際に映画を観てみないと、良く呑み込めないのではないかと思う。で、内容そのものはと言うと、“もし、こういう世界であったなら・・・”といった、まさしくタイトル通り“自由というものに対する幻想”を描いたもので、真の自由とは何か、世の中で今まかり通っている秩序が本当に正しいものなのか・・と言った問いかけをしながら、戯画化されたブルジョワ社会を皮肉まじりに批判していく。いかにも鬼才ブニュエル作品らしく、逆転の発想のユニークさやそのイメージの奇抜さ奔放さには圧倒されてしまう。
9点(2003-08-15 00:35:06)
10.  シェーン
遠くロッキー山脈の雪の白さと青い空。颯爽と登場するシェーンのカッコ良さ。一見、絵に描いたような西部劇のようだが、実はそのカッコ良さとは裏腹に、この作品は西部開拓期の終焉とローンライダーの孤独と侘びしさをオーバーラップさせ、その時代をだだっ広い荒野で共に生き抜いていこうとする、或る貧しい家族との心温まる人情ドラマだと言える。とりわけ、友達もいないことで寂しさが募る少年ジョーイと、やはり孤独なシェーンとが心を通わせていくというプロセスや、少年の母親との仄かな愛にも似た気持ちの機微など、J・スティーブンス監督が実に木目細やかに、そしてあくまでも正攻法で鮮やかに描ききった点で、やはり映画史に残る名作たり得ていると思う。V・ヤングの名曲に乗って、史上余りにも有名なラスト・シーンの残像は、生涯脳裏に焼き付いて離れることはない。
9点(2002-07-07 18:21:52)(良:2票)
11.  ショコラ(2000)
ラッセ・ハルストレム監督は新作を期待するものにとって、決して裏切らない数少ない一人だ。ミュージカルにでもできそうな題材を、いかにも彼流の作品世界を構築させていて、実に爽やかでお洒落な作品として仕上がっている。J・ビノシュの笑顔を含めた柔らかな表情は、この作品の雰囲気には最適だし、L・オリンの好助演もあり、見事なキャスティングにも支えられている。
9点(2001-05-26 23:36:26)
12.  新幹線大爆破
当初、高倉健が悪役を演るということでセンセーショナルな話題となったが、いざ観てみると大納得。しかし感動作ではあるものの、その印象はあまりにも切ない。佐藤純弥監督のダイナミックでパワフルな演出は、当時流行のハリウッド製パニック大作に決して引けを取っていない。
9点(2001-04-01 19:53:35)
13.  シコふんじゃった。
寄せ集めによる大学相撲部の弱小チームが勝ち進むというだけの、平凡きわまりない単純な内容のドラマが、驚くべき豊かさをもって展開される。この群像ドラマに登場する様々なキャラクターの、眩いばかりの魅力が全てと言ってもいいような作品で、そのストーリー展開もさらに見事であり、実に元気づけられたものである。劇中挿入曲“♪悲しくてやりきれない”も何故かマッチしていて、まさに“胸にしみる”。
9点(2001-02-15 15:02:12)
14.  ジョニーは戦場へ行った
ドルトン・トランボは戦争という非人間的な(本能に基づいたという意味では人間的な)ものが産みだした一人の人間の不幸を描くことを通し、生命の尊厳というものを悲痛な思いを込めて訴えてくる。このなんとも暗く哀しく絶望的な物語を映画化した、トランボの執念と勇気に拍手を送りたい。
9点(2000-12-17 23:36:25)
15.  ジャッカルの日
緑の森の中に砕け散る真っ赤な西瓜。恐ろしいほどの静けさ。暗殺用の特殊ライフルの試し撃ちのワン・シーン。一匹狼でプロの殺し屋“ジャッカル”の情感というものが見事に表現されている。最後まで顔を合わせることの無い二人の男。作品は、人間味豊かに描かれるルベル警視と、孤独で冷徹・不敵なジャッカルとを対比させ、フィクションでありながらノンフィクションと錯覚をおこす程の、見事な緊迫感をもって描かれている。
9点(2000-10-16 23:34:46)
16.  女王陛下の007
これだけ長年シリーズとなっているのにも拘わらず、そのコメント数の少なさは信じられないほど!このアクション映画の原点ともいえるこのシリーズをもっと観てコメントしてくださいっ!子供の頃からほぼリアルタイムで接してきた者にとって、J・ボンド=S・コネリーという固定されたイメージは拭いきれないけれど、本作で主演したジョージ・レーゼンビィだけは唯一の例外。彼はアクションの決め方にスピード感やパンチ力があり、コネリー=ボンドよりも好感がもてる部分が多い。僕的にはボンドの本来のイメージに一番近いと思っています。この作品、雪山が舞台だけに困難な撮影状況であったにも拘わらずカメラが素晴らしく、特にスキーチェイス(追っ手がラッセル車に巻き込まれ、吹き上げられた除雪が真っ赤に染まるショッキングなシーンもあります)や要塞を奇襲するヘリの朝焼けのシーンなど数多くが印象に残る。唯一という意味では、本作は見事なラブ・ストーリーとしても良く出来ていて、山小屋で一夜を明かし、翌朝揃ってスキーで下山するときの2人の歓喜の表情が印象的です。さらにボンドが結婚式をあげ、そしてやがて悲しい結末を迎えるというのも唯一本作だけであります。“邪道だ”とか“センチメンタルすぎる”とかいった批判もあったけれど、誰がナント言おうとこの作品を支持します。劇中の挿入曲、ルイ・アームストロングの“♪愛はすべてを超えて”はシリーズ中、最も好きな名曲でいつまでも耳に残っています。
9点(2000-10-08 18:15:54)(良:1票)
17.  16ブロック
R・ドナーとB・ウイリスとの初のコラボレーションは、二人の新たな代表作と呼べるに相応しい作品となった。共にアクション映画で今の地位を築いてきた二人だけに、その拘りには並々ならぬものを感じさせる。本作は「48時間」や「ミッドナイト・ラン」といった“80年代アクション”の流れを汲むものであり、シチュエーションに至っては、まさに「ガントレット」そのものと言ってもいい。昔から、アクション映画に於ける“コンビものにハズレ無し”と謳われる通り、本作もその例に漏れず見事なコンビネーションぶりを発揮していて、アクロバティックで荒唐無稽さがウケる昨今、確りと地に足が着いた大人のアクション映画として、近年出色の作品だと言える。“僅か2時間足らずの内に人間は変われるか?”という裏テーマが内包されている脚本は、単なる友情や連帯感といったものを超えた、視点の新しさを感じさせ、 それをアクションに絡ませていく語り口の巧さは絶妙であり、またテンポの良さと研ぎ澄まされた編集の見事さなど、まったく無駄と言うものが無い。それに応えるべく、三者三様の役作りの卓抜さは、お見事と言う他ないが、世界一運の悪い男を演らせたら、やはりこの人、B・ウイリス!歩き方からその風体まで、ほとんど特殊メイクと言ってもいい程の凝りようで“決してジョン・マクレーンであってはならない!”と自らを言い聞かせているように見える。しかし充血したその眼がひとたび鋭くなった瞬間の凄みと迫力は、まさしくアクション俳優としての本領発揮の瞬間として、あたかも歌舞伎の大見得を切るようなイメージで迫り、大向こうを唸らされるものがある。相手を出し抜き、次々と難局を切り抜けていく頭脳戦も、かつて敏腕刑事として鳴らした裏付けがあればこその説得力を生み出しているが、同僚でありながら敵役でもあるD・モースは、善人なのか悪人なのか蓋を開けてみないと分らない程、人間味を滲ませながら両極端を演じ分けられる数少ない俳優で、彼なくしてはここまでの濃密なドラマとはならなかったのではないか。執拗に追う者と追われる者とのバランスが程良く描き分けられ、また群集との絡ませ方など、ロケーション効果も実に鮮やかだ。それにしてもR・ドナー、御歳七十を過ぎてまだこれ程の余力(?)が残っていたとは、もはや脱帽せざるを得ない。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-28 16:24:36)(良:1票)
18.  少女ヘジャル
物語の中心となるのは両親と死別し親戚の家へ叔父に連れられてやって来た幼い少女。彼女の名前はヘジャル。クルド人である。その親戚がクルド人分離独立派ということが発覚するや、武装警察の襲撃を受け、唯一生き残った少女はトルコ人の元判事ルファトに匿われる。「グロリア」あるいは「レオン」を彷彿とさせるサスペンスタッチの導入部から始まる本作は、トルコ共和国における国家を持たない民族、いわゆるクルド人の難民問題を扱ってはいるが、決して堅苦しい映画ではなく、あくまでベースに流れるのはヒューマン・ドラマである。少女を不憫に思いながらも困惑を隠せない老人との束の間の共同生活を描いた点で、どうしても「コーリャ/愛のプラハ」を想起してしまう。ここでも問題となるのは“言葉”であるが、言葉が通じないもどかしさを執拗に描くことで、互いに自分の言葉には頑なな姿勢を崩そうとしないという民族意識を感じさせていく。そんな少女をお荷物に感じながらも次第に打ち解けていく様子を描きながら、映画は、やがてルファトが如何に現実に背を向け、物事に無関心でいたかを掘り下げていく。それはクルド人居住区で彼らの問題に直面し衝撃を受けたことだけではなく、身近にいるお手伝いのサキネの素性や、隣人の未亡人のことでさえも。映画はルファトの姿を明らかにトルコになぞらえ、コミュニケーションの欠如が誤解を生み、無理解・無関心を育てていると説く一方で、言葉や文化の違いを超えて心を通い合わすことの難しさをも提示している。
8点(2004-09-07 18:35:22)(良:3票)
19.  シティ・オブ・ゴッド
リオデジャネイロの強烈な気候風土を感じさせる、ひたすら暑くそして熱い作品だ。スラムに生まれたときから宿命のようにストリートギャングとして生きてゆかざるを得ない少年たち。一方、そこから抜け出してジャーナリストとして生きようとする少年。映画は、その生々しい彼らの生態を実録風に活写してゆき、個々の生きざまを通して様々な問題を我々に投げかけてくる。縄張り争いによる団結・裏切り・復讐を繰り返しながら暴徒化する彼らを、スピード感を伴う独特の編集テクニックで見せきる巧みさには感心させられる。また、彼らの中には殺人を強要されるまだ年端も行かない子供も存在するという描写などは、本作の真実味を感じさせる鮮烈なエピソードとしても忘れられない。抗争を繰り広げるセピア調の画面が余計ヒートアップさせてはいるが、この国の物価や賃金のみならず命の値段までが安いと感じさせるほど、そのバイオレンス描写に悲惨さはむしろ希薄で、実にあっけらかんとしているのが本作の特徴であり、唯一の救いでもある。
8点(2004-07-21 15:37:53)
20.  シンジケート
いわゆる、ブロンソン人気のピークの作品であり、M・ウィナー監督とのコンビネーションが最良の形で結実し、自信をもって世に送り出した作品だったと言える。ブロンソンの刑事役というのも案外珍しいが、どちらかと言えば“ガニ股武闘派”の彼にスーツは不似合いで、ここでもハミ出し刑事というより、やはり一匹狼の殺し屋的イメージが強い。一方、マフィアのドンをM・バルサムが重厚かつ貫禄の演技で魅せるが、終盤の家庭での些細なことを教会で懺悔する中、殺戮が次々とカットバックされるといったシーンは、なにやら「ゴッドファーザー」を意識した作りとなっている。が、そんな事など気にもならないくらい、全編ド派手な銃撃戦やカー・チェイスといったポリスムービーのあらゆる要素が詰め込まれ、切れ味鋭いアクション映画としてサービス満点のエンターテイメントに仕上がっている。
8点(2004-07-07 18:10:10)(良:1票)
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