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ころりさんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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181.  あゝ、荒野 前篇
主人公の信次と健二の二人とそれを取り巻く人たちの人間ドラマとしてはかなりいい。それぞれの「家庭の事情」はステレオタイプだけれど、二人がボクシングにのめり込んでいく背景としてはそれなりに説得力がある。菅田将暉はもっとも多忙だった時期だと思うけど、それでもチンピラ上がりのボクサーをしっかり作り込んでいるし、ヤン・イクチュンの抑えた鬱屈の感じもいい。また、主人公二人のまわりを固めるベテラン陣もみんないい。ただ、原作未読なのでどこまで原作の内容を反映しているのかはわからないのだけれど、現代版にアレンジした背景の数々がうまくテーマに絡んでこない。何かの反対デモやら、自殺防止サークルやらのあたりの描き方は主人公たちの描き込みに対して、リーダーから参加者まで、妙な安っぽさがあり、あの自殺防止イベントの顛末をなぜここまで時間をかけて描く必要があるのかよくわからないし、主人公たちのドラマやテーマにもうまく共鳴しているように見えない。あと、わかってたけど、長い・・・。中途半端な群像劇になってるあたり、映画というよりもドラマのミニシリーズと言ったほうが近いような(実際、U-NEXTでドラマシリーズ版も公開されたらしい)。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-04-13 08:28:54)
182.  羊の木 《ネタバレ》 
リアリティ・ラインが微妙でどういう映画か理解するまで時間がかかった。たぶん、テーマ的には、受刑者の更生という「社会派」というよりも、「元殺人者」が自分の生活のなかに深く関わってきたとき、それを人はどうやって受け止めるのか、信じることができるのかというヒューマニズムを描いた寓話として見た方がいいのだろう。公務員役の錦戸君はそのへんの戸惑いを上手に表現していたと思うけれど、終盤の「友達だから」という言葉にはもう少し説得力が欲しかったかも。また、6人という数はちょっと多かったように思う。それぞれいろんな「反社会」のバリエーションがあったとはいえ、二時間でそれぞれの人生に落とし前を付けるにはやや性急な話し運びになってしまった(とくに酒乱の人、市川実日子、優香の顛末はもうちょっとちゃんと見たかった)。展開的には、ラストに6人が一同に会して物語をまとめきってしまうような力業を期待したのだけれど、中盤の「のろろ祭」がその「現場」となったものの、ラストはけっきょく松田龍平との対決になってしまった。ほかの5人(あの時点では4人か)の物語が置き去りになってしまったのは残念。6人という人数とそれぞれの人生を考えれば、Netflixあたりでの連続ドラマ向けの題材だったのかもしれない。吉田大八監督らしい乾いた演出は冴えていたと思うけれど、ヒューマンな題材、後半のホラー展開、そして「のろろ様」のあたりの伝奇モノっぽい雰囲気もちょっと噛み合わせが悪く、全体として薄味なミックス感でまとまってしまったのも惜しいと思う。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-03-29 10:51:31)
183.  新聞記者 《ネタバレ》 
志は買う。国内大手メディアの萎縮が指摘されるなかで、現実世界の政治問題に果敢に突っ込む思い切りの良さは、映画というメディアの可能性をあらためて見せてくれたと思う。ただ、そうだったとしても同時に感じてしまうのは、その映画としての手法や脚本の残念さだ。使い古された手持ちカメラ風映像、現実に起きた事件をなぞりすぎていてヒネりがない脚本、松坂桃李夫婦の描き方に見えるあまりに古くさい男女像、陰謀論スレスレの内調の描写など、たとえば日刊ゲン○イやネットニュースのリ○ラあたりに感じる「リベラル親父」感そのままの描写は、ちょっと痛い。そのくせ「真相」部分では突然「政府が生物兵器開発のために大学を新設」という荒唐無稽な陰謀論が姿を現し、それまでの(オヤジメディアが生きる)リアリティ路線の壁を突然ぶちやぶってしまう。あの事件は(最近の桜の件同様)、あまりにもセコい動機のために(公文書の扱いなど)国家制度のしくみ自体を腐らせたことが問題だと思うのだけれど、この映画では必要以上の「巨悪」に仕立て上げてしまう。この「真相」をリアリティの延長線におけると制作側が考えていたとしたらそれも痛いし、そうではないのであればなぜ最後だけファンタジーにして物語のバランスを自ら崩してしまったのか、よくわからない(そして、この点は原案となっている記者さんにとっても大きなマイナスのような・・・)。結局見終わった後に感じたのは、「リベラル親父メディア」をもとにした(出来がよくないタイプの)池井戸潤ドラマ、という残念な感覚だった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2020-03-11 06:56:19)
184.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 
俳優の熱演とレースの迫力で面白かった、のだけれど、終わってみたらたくさんのモヤモヤが・・・。まず、レースシーン。たしかに迫力十分でこの映画の一番の見所だとは思うのですが、「見せ方」がNASCAR的なアメリカン・モータースポーツの見せ方を踏襲してて、ちょっと「ルマン」とは違うような。要するに、ギリギリに接近してのオーバーテイクとクラッシュのシーンが見せ場の中心で、24時間「耐久」レースであるルマンの戦略性やメカニックの重要性は軽視されてしまっている。実は優勝したマクラーレンはちゃんと24時間耐久レースをしていたのに、フォードだけが違うレースをしていて、だから結果がああなった、ようにも見えてしまうのだ。その考えでいけば、あのブレーキを交換してしまうという戦略はやっぱり論外。限界があるブレーキで24時間どう走りきるのかの戦略なのに(実は、あれでレース後失格になるという結末だと思っていたけど、違っていて驚いた)。これって、要するに実はモータースポーツに対する敬意にも欠いていて、アメリカ的な論理を押し切ってしまうのが、あまり愉快ではない。それから、ドラマ部分。主人公2人のあいだの論理の対立や葛藤のようなものはほとんどなく、唯一ぶつかった最初のレース遠征の件も、予定調和過ぎる「殴り合い」で解決・・って。結局、2人のあいだに「生き方」の違いが見られないから、レースカーの開発や出場に向けてのドラマ部分が全く盛り上がらない。ここで盛り上げ役になったのは、いかにも悪役の副社長なんだろうけど、組織の論理というよりはケンへの私怨で動いているように見えて、残念さを増幅させる。じゃあ、ドラマ軽視、レース文化軽視でも主人公2人のレース映画としての爽快さを優先させたのかと思えば、ルマン以後の顛末があまりにバタバタと進んで感情移入する間もなく終わってしまう。これだったら、レースで終幕して、その後は実話ものにありがちな字幕で説明でもよかったような。全体として、マンゴールドの演出は冴えていたと思うけど、脚本が稚拙で映画全体としてもったいないという、よくあるマンゴールド映画のかたちに落ち着いてしまったのが残念。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2020-02-23 23:14:42)(良:1票)
185.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
50年代のハリウッド黄金時代に西部劇スターだったリックとそのスタントマンのクリフ。二人のやりとりは、スター二人の圧倒的魅力もあって軽妙で楽しい。そして、マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートのあっけらかんとした明るさ。映画館のシーンは彼女の表情を見ているだけで、こちらも幸福感に包まれる。こんな魅力が満載の映画なのに、どこか不吉な空気が張り詰めている。もちろん、その夢のような時間の儚さは、映画の背景にチャールズ・マンソン事件があるらしいと聞かされた観客みんなが知ってる。幸福感があふれるほど、それがまもなく壊される予感に切ない気持ちでスクリーンを見つめていたはずだ。しかし、タランティーノが用意した物語のラストは、予想していたものと違って、なんとまあ、落ち目のスターとスタントマンが大暴れして、「そのまま」終わってしまった。  悲劇の現実があるからこそ、フィクションのなかでこそ夢を、という考え方は当然あるだろう。ただ、個人的には、「ヒッピーめ」と新しい時代の象徴を嫌悪の目でにらみつけるディカプリオも、「古き良き時代」を葬り去ろうとする力を圧倒的な暴力で返り討ちにするブラピも、結局は新しい時代を拒否して「古き良き時代」の殻に閉じこもるどこかの大統領とそれを支持する人たちの姿にも重なってしまうのだ。とくに、東洋のカンフースターを圧倒するブラピ、襲撃グループの女性の頭を必要以上に何度も打ち付けるブラピの姿に、『ファイトクラブ』の頃のような自省的な像は全く見えてこない。外国人を黙らせ、生意気な女を焼き尽くせと言わんばかりの暴力に、どんな魅力があると言うのだろう(もちろん、カルトを肯定したいのではなく、相手がクレイジーな女だったとしても「絵」として気分がいいものではない、ということだ)。  映画としては、『キル・ビル』の頃と比べると飛躍的に巧くなって、円熟の境地に達したといっていいタランティーノ映画の魅力満載で、ぜひじっくり楽しみたい作品だ。けれど、全体の構図としては、60年代に幅をきかすようになった「あいつら」がアメリカをダメにした、という『フォレストガンプ』と全く同じプロットにも見える。俺の好きなものを奪ったやつらを暴力で返り討ちにするというタランティーノのモチーフが、最悪に近いかたちで具現化されてしまった・・といったほうが正直なところ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2019-12-30 11:46:42)(良:3票)
186.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 
120年の宇宙旅行中に冷凍睡眠状態からなぜか覚醒してしまった男女、という設定は絶妙。その裏にある「秘密」は、まあ想像どおりではあったけれど、ジェニファー・ローレンス&クリス・プラットの主演俳優2人の圧倒的なスターパワーで押し切った感じ。とくにジェニファー・ローレンスは、旬の女優が放つセクシーなオーラだけでなく、「秘密」を知って豹変する表情など演技も絶品。熱愛ピークからの居心地最悪の地獄絵図状況に、こちらまで居たたまれない気持ちになりました。ただ物語の雲行きは、後半のローレンス・フィッシュバーンの登場あたりから怪しく・・・。彼の登場と退場は物語的に都合よすぎる(あの何でもできる腕輪を渡すため、だけのように見える)。不具合の真相は、それぐらい想定しておけ、としか言いようがないことだし。アクション演出自体もしょぼい。ラストの選択は、無理矢理眠らせる方向にしないと、彼が「やったこと」の責任は宙ぶらりんになってしまう。だいたい「孤独」の厳しさ・恐ろしさを知ってるジムだからこそ、自分が死んで彼女を1人でも生存させること以外の選択肢をなんとしても探ってほしかった。せっかくの秀逸な設定で描かれる「愛」の表現が、一回命かけて守った、その後は二人でイチャイチャするってところだったのが残念。もっと違うかたちの描き方あったんじゃないかなと思いつつ、まあ美男美女の幸せそうな画でなんかごまかされた気分。あと、邦題。なぜ単数にしたんだろう。まったく意味がわからない。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-11-30 22:13:55)(良:1票)
187.  アルキメデスの大戦 《ネタバレ》 
機内上映で鑑賞。映画館とはほど遠い環境ながら冒頭の映像には素直に感心。米軍との「兵士の扱い方」の対比も見事。ただ予備知識なしだったのですが、本編に入ったら、戦前の日本じゃなくて昭和か平成のサラリーマンドラマ(指摘してる人が多いけど、本当に池井戸作品っぽい)みたいになっていっていく。菅田くんが演じる主人公も数学論理バカと思わせて、いきなり米留学を「感情」で取りやめてしまって拍子抜け。鶴瓶さん演じる社長の協力を得るための作戦も「ひたすら待つ」なんて本当にサラリーマンドラマ。結局はお嬢さんの登場で形勢逆転なんてのもサラリーマンドラマの典型ではないか。ほぼその調子で最後の数式がどのように導き出されたのかの論理も曖昧なままの最終会議へ・・・。天才によるロジカルな対決よりも根性と熱意で押し切るおなじみのドラマとして楽しんだほうが正解なんだろう。あと、ある種の合理性よりも戦艦の「美しさ」に惹かれてしまう部分というのは、ファシズムの論理にも重なる部分があってへえとは思った。ただ、ああいう滅びの美学みたいなもの(=戦争は避けられない、ならば・・・)が、冒頭で描かれた「命を粗末にする日本」と重なると最悪の結果になるよというメッセージへつながるのであれば評価できるのだけれども、結局はおなじみのテレビドラマだけど最後はちょっとダークでビターな感じにしてみました風で流してしまっているのも気になる。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-11-28 15:24:30)
188.  ヴェノム 《ネタバレ》 
トム・ハーディ演じるさえない負け組男エディと同じく異端の宇宙人ヴェノムの寄生獣的バディもののやりとりの数々は楽しかったです。個人的にはヒーロー誕生譚がけっこう好きなので、実はヴェノムとの共生関係が始まるまでがとても楽しかった。自分の体の異変に気づき、恐怖し、でもそれを受け入れていく過程はもどかしいけれど、そのなかで築かれるヴェノムとの関係が微笑ましく、中盤にかけてはかなり好きな映画でした。ただ、そのほかは残念なことのほうが目立ちました。まず「ダークヒーロー」に見えないところ。動物を生で食べちゃうことくらいしか悪役っぽさがなく、ヴェノムもあっさりエディや人間の味方になってしまう。バディものコメディであっても「最後にこいつは裏切って自分を乗っ取るかもしれない」緊張感はやっぱり必要。むしろペット的なかわいさを強調するような描き方(子犬に取り憑くあたりは特に)には違和感多し。「悪役」なのに「悪くない」映画の系譜にまた1本追加されたという感じです。それから、生ぬるい描写。『デッドプール』があれだけできたのに・・・。むしろディズニー系マーベル作品ではできない踏み込んだ描写が、この作品にはできなかったものか・・・。結局、後半は、平板なアクションが続き、平凡なラストに着地してしまいました。この路線で行くんだったら、続編はあまり期待できないか。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2019-06-04 22:52:59)
189.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
長時間フライトで眠れなくなったときに、機内映画でよく東野圭吾作品をチョイスするのですが、今回もそういう事情で鑑賞。橋の名前が鍵になる序盤は引き込まれた。字幕での経過説明はうざかったけど、主人公の家族も絡む複雑な話をテンポよく見せるのに成功していた。ただ、開始1時間くらいで、もう松嶋菜々子が怪しいというか、ほぼ犯人確定していくので、残り時間どうするんだろうと思ったら、そこから延々と逃避行ドラマでした。この部分、小日向さんと若手の女優さんがすばらしい演技で盛り上げるのですが、音楽がうるさすぎるのと、話の中身自体は東野作品によくある「身代わりもの」の話だったので新鮮味も少なく、ちょっと残念。東野さんって、文章だとベタな人情話を乾いたタッチで描くところがうまいと思うのだけれど、映画はいつもその逆を行ってしまう・・・。もうちょっと違う演出家で見てみたいなあと思ってしましました。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 05:46:00)(良:1票)
190.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
ライブエイドのシーンは、本当によかった。それまでの物語の伏線がすべてこのシーンへと結びつき、一気に涙腺も崩壊した。とくに、エイズ患者と思われる青年との1対1のコール&レスポンスのシーンは、ライブエイドにフレディが立つことの意味を示す、わかっちゃいるけど泣いてしまう「ザ・伏線」だったと思う。クイーンの4人の関係も、そっくりなブライアン・メイは味わいがあってよかった。ただ、この作品が避けて通れない、フレディのセクシュアリティの描写は残念な限りだった。この物語の筋は基本的にホモフォビック(同性愛者嫌悪)に見える。フレディが自身のセクシュアリティを自覚し、メアリーともクイーンのメンバーとも離れていく描写のなかでは、ゲイコミュニティの描き方は悪意を感じるほどステレオタイプた。彼らは享楽的・短絡的で、酒とドラッグとセックスにまみれた自堕落な存在としてしか描かれない。それが仮に事実に即していたとしても、なぜあの時代のゲイたちがああいうライフスタイルを送らざるをえなかったのかをきちんと描けないのなら、そしてエイズパニックによって彼らがどんな偏見の目にさらされたかを描けないのであれば、この題材を取り上げるべきではなかったのではないか。このプロットでは、結局「彼ら」からフレディを取り戻すのは、元妻のメアリーであり、クイーンのメンバーたちである。その後に、エイズ患者の青年やジム・ハットンとの交流を加えて、それなりの「配慮」は見せるけれど、やはりこのプロットはあまりに偏っている。ブライアン・シンガー降板の背景に、このプロットがあったのではないかという気までしてくる(もっとも、その後にブライアン・シンガーの少年に対するセクハラ疑惑が表沙汰になったのは壮大な皮肉だけれど・・・)。そう考えると、やっぱりこの映画は、フレディ・マーキュリーという稀代のスーパースターの内面には入り込むことなく、彼が残した音楽を表層的にちりばめた、よくできた「再現ドラマ」にしか過ぎないのかもしれないし、ある意味、それが大ヒットの理由のような気がしてきて、ライブエイドに条件反射的に泣いた後、とても乾いた気持ちになりました。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 5点(2019-02-17 21:24:04)
191.  トリガール! 《ネタバレ》 
これは、土屋太鳳を見る映画だし、そうゆうふうに作られているのだから、土屋太鳳を見たい人が、彼女を見るという目的で見る以外の評価はあまり意味がないだろう。『鈴木先生』では見られなかった、吹っ切れたコメディエンヌ演技、体育会的な身体のキレ、全身で感情を表現する彼女のキャラは現実的ではないけれど、映画を引っ張るに十分な魅力でした。ただ、そういう「アイドル映画」としての部分以外は、手抜きばかりが目につく。登場人物たちの「空を飛ぶ」動機はよくわからない。メカニック班の扱い(矢本悠馬の無駄遣い・・・)が酷いのでチーム感がゼロ。コンテストで坂場が墜落せずに「飛ぶ」ことができたのかがなぜか、ロジックがわからない(努力の賜物?)。落下からの「浮上」の画の平凡さ。もっと鳥肌モノのやつが作れるし、そのワンシーンのためにこの映画を見ていたようなものなのに、妙にあっさり。そして、セオリーであれば若手中心の俳優陣のなかで実力派が配されるはずの「先輩」枠に演技素人の芸人を持ってくる愚策・・・。これはナダルが悪いというよりはキャスティング担当者が悪い。物語の骨格を語り要所を締めるはずのシーンで、いちいち滑舌が悪く、何を言っているか聞き取れない。実は私、途中から日本語字幕付きで見たので、少しストレス和らいだけど、映画館だったら最悪だっただろう。というわけで、よく動き、よく笑い、よくしゃべる土屋太鳳を見たいという目的を果たせたこと、飛行中の告白シーンの顛末には笑ったこと、『空を飛べるはず』、その3つは個人的には楽しめた。しかし、土屋太鳳に興味がない人にはぜったいにお薦めできない映画。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-02-14 23:37:44)
192.  ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 《ネタバレ》 
前作未見なのに映画館へ。理由は、ここ毎年元旦に奥さんと映画館で『スターウォーズ』を見るのが習慣化してたのに『ハン・ソロ』を夏休み公開するというディズニーの暴挙のせい(こんな中年夫婦けっこう多いと思う)。で、何を見るか迷った結果、奥さんが「Netflixで前作を見たら面白かった」という理由でこれに。ちなみに前作はいつの間にかNetflixのラインナップからは姿を消してしまったため、私は未見。奥さんにあらすじを聞いて、いちおうネットでも内容を確認して映画館へ。結論としては、最低限でも知識があったおかげで、複雑なストーリーも退屈はせずに見れました。ただ、この映画に期待するのはそこなのだろうか・・・という感じのほうが強め。正直、『ハリポタ』もそうですが、J・K・ローリングに期待するのは、独創的な世界観にどっぷり浸ることであって、人間関係ドラマではない気が・・・。その世界観のなかでユニークなクリーチャーがワチャワチャするのを楽しみにしてた部分はあったのだけれど、その意味ではかなりの期待外れ。人間関係っていったって、某SW8作目と同様、最後に実はーーーでした、みたいな後出し感も強くて納得度は低め。あと、舞台設定が1920年代だったからこそ、終盤見せられる現代史とのシンクロに「おおっ」とはなるのですが、この映画で見たかったのってやっぱりそれじゃない、という感じのほうが大きかった。よかった点としては、ジョニー・デップ。キャリア的にも正念場だと思うけど、彼にしては「抑え」が効いていて凄みがあった。
[映画館(字幕)] 5点(2019-01-04 13:31:57)
193.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
原作未読。連続ドラマもたまに見てた程度。東野作品は旧作はけっこう読んでいたのですが、たぶん原作に忠実なんだろうなあと思わせる、序盤のミスリードをさそう展開で、終盤まで「真犯人」は本当に誰かわからないまま、宙ぶらりん状態を楽しむことはできました。映画的なスケール感と対照的なテーマの地味さは、ある意味「東野印」の1つでもあるとは思うので、これはこれでよし。ただ、平板な演出と本作にあってるのかどうか微妙なBGMの出来もあってか、「映画」としては退屈で冗長でした。公開から6年たった今見れば、その後映画で主演を張る若手俳優が続々出てくる豪華さはちょっとわくわくするけど、今作ではそれぞれに見るべき所があるわけでもない(たとえば、物語を左右する重要人物の松坂君はもっと「できる」と思うけど、「この程度」でよしとしたのは演出側の責任だと思う)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-09-22 09:06:59)(良:1票)
194.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
マシュー・ヴォーン監督はアクションの見せ方がうまく、とくに冒頭のアクションは見応えあって一気に物語に引き込まれた。たぶん自身で監督まで手がけた初めての続編作品で、その分、アクションにも演出にも一作目との一貫性があって、それはなによりもよかった(キックアスもX-MENも彼の続編が見たかった)。前半の畳みかけるような展開では前作の重要キャラのロキシーがあっという間に退場しちゃうなど、スピード感があった。ただ、ステイツマンができてきたあたりから物語はやや停滞。ステイツマンのアイデア自体はかなり好物で、ウィスキー瓶型の建物とか武器のロープとかバカバカしくて楽しいのだけれど、テキーラの退場とかウィスキーの裏切り疑惑にハリーの記憶喪失話あたりの整理が不十分で、バタバタと脚本の緻密さに欠けるというか、締まりがなくなったと思う。あと、ジュリアン・ムーアの無駄遣い・・・。楽しそうなのはいいんだけど、前作のソフィア・ブテラのガゼルがめちゃくちゃかっこよくてインパクトあった分、今回のメカ兵器メインの敵役はちょっとオリジナリティ不足でした。あれだけ正確にキングスマンの拠点を攻撃できるのに外出中かどうか把握できないとかいうのも・・・。それから、今回乗り切れなかった最大の要因は、事情で吹き替えで見たせいもあるかも。今作は、コリン・ファースのクィーンズ・イングリッシュ、エグジーの労働者階級英語、そしてステイツマンの南部訛りと英語のバリエーションが楽しいはずなのに、吹き替えではそのあたりがうまく表現されておらず残念。コリン・ファースが終始軽いおっさん風だったのには苦笑するしかなく、これは完全に私の選択ミスでした。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2018-03-06 21:01:09)
195.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
新しい時代の『SW』をという志としては、高く評価したい1本。いろんな雑音や圧力があったであろうなかで、脚本も自身で手がけたライアン・ジョンソンの「俺のスターウォーズ」をやりきった感には素直にすごいと思う。「SWならこうあるべき」をことごとく潰していく話の展開も、レイの「平凡すぎる出生の秘密」も(これは絶対このままであってほしい)、欧米人が持つステレオタイプの逆を行く「ぽっちゃり系」ローズの設定も、ファンの神経をわざわざ逆なでしながらも、旧世代の退場とレイとカイロ・レンの新世代へと新しい物語を開くという2作目の困難なミッションをしっかり果たした点ではすばらしい。EP7でJJエイブラムスが(いつものように)無責任に広げた風呂敷を、閉じるどころかビリビリに破り去って捨ててしまうような手腕には素直に感心した。 ただ、この作品で評価できるのはこの点だけだ。SW8作目としては評価できても、SF映画としては致命的に面白くない。ダラダラして前に進まないミッション、銀河を舞台にした大戦争のはずが繰り返されるのはちまちまとしたスケールが小さく回りくどい戦い、どんでん返しを繰り返してどうでもよくなる脚本、ぬいぐるみ販売しか頭にない物語上無意味な新キャラクター(ケアテイカーに何かを期待した私が馬鹿だった)、少年漫画並みのフォースの後付け新設定・・・。大不評のEP1〜3ががんばって描いた「政治」の要素は今回出てくるかと思ったけど、その影は今回もなし。結局のところ、ライアン・ジョンソンは「壊し屋」としては困難なミッションを成し遂げたかもしれないが、その先にあるはずの「世界観の(再)創造」に全く期待が持てないのだ。EP7を見たとき、これから同じような話を繰り返していくのかなあと不安になった。本作は、その不安を打ち破ってくれたのは間違いない。でも、その先にあったのが「無」だった・・・というなんともホラーな気分に今は苛まれている。
[映画館(字幕)] 5点(2018-01-03 13:24:07)(良:1票)
196.  22年目の告白 -私が殺人犯です- 《ネタバレ》 
上映中はそれなりに面白く見た。とくに、1995年の映像を中心に時間の経過を伝える冒頭の流れは秀逸でした。その後の追跡劇のアクションのキレもよくて、期待感を高めるに十分。ただ、藤原竜也が出てくるあたりから、演出過多が気になり始め(とくに女編集者の演技は酷かった)、よく考えると突っ込みどころや台詞の軽さが目につくようになって、真犯人のあたりのオチで、やり過ぎたなあ、という感じで終わってしまった。重厚な作風にもできたとは思うけど(原作はどうか知らないけど韓国映画はこのあたりのバランスが絶妙)、もともと演技が大ぶりな藤原竜也を起用した点で、その線ではなく、深堀りしないことで得られるスピード感を重視したんだと思うし、その点では結構成功してると思う。最初の演出過多も、派手にやることで真犯人を刺激したかった、っていうことだっのか〜って一時は納得はしたんだけど、ラストの別荘のシーンの酷さで全部帳消し。元ネタの韓国映画があるから難しいけど、いっそのこと何らかの形で仙堂が真犯人だって知ってしまった被害者家族たちが、彼を「填める」コンゲーム的なところまで振り切ってたほうが、このテンポやスピード感が活きたようにも思います(でも時効の話がどっか行ってしまうか・・・)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-11-10 19:27:23)
197.  ワイルド・スピード/ICE BREAK 《ネタバレ》 
いつも不満に思いながらも、ついつい見てしまうシリーズ。少なくともドラマ部分や物語の辻褄に対する期待値は低く、スピード感抜群のカーチェイスと大がかりな「絵」が見られればそれでいいやというスタンスなのですが、まさにそのままの出来でした。冒頭のハバナでのチェイスは本シリーズの本領だったし、NY市内の車「ゾンビ」化(『ワールドウォーZ』のゾンビが車になったやつ)あたりは、大がかりすぎて笑うしかない。NYの絵がすごかった分、邦題になってるロシアでの氷上アクションはやや霞んでしまったけど、もうおなかいっぱい、ごちそう様という感じでした。ただ、エレナの扱い、デッカードのファミリーへの加入、そして何よりも物語上の位置づけが宙ぶらりんになってしまったブライアンとミアのことなど、やっぱり辻褄の無茶ぶりは目に余るし、そのあたりの矛盾をアクションで押し切ろうとしてるのも見え見えなので、どうも乗り切れない。加えて、ドミニクが「裏切る」ことの物語上の意味があんまりない。早い段階でドミニクが脅されてることはわかるし、仲間もみんな彼を信じちゃってるんで、サスペンス要素はほとんどない。なのに最後までその構図が続くので、なんかスッキリしたいのにできないモヤモヤもある。細かいことは忘れて乗っちゃえば楽しいよ、っていうのがお約束なシリーズなのはわかっているのだけれど、そのお約束に制作側もちょっと甘えてないか、というのがどうしても気になる8作目でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-08-23 18:11:00)(良:1票)
198.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 
実は初見のときは、「上の句」よりもこの「下の句」のほうが印象がよかった。というか、それまでの物語の伏線と登場人物の感情がしっかりと絡み合うラストの個人戦の描写が(とくに上白石さんがすっと手を握るところ)すばらしく、この一戦だけで気持ちが高揚しきってしまったからだったと思う。ところが、DVDで再度見てみると、今度は物語の難点のほうが目に移ってしまった。たぶん理由は2つある。一つは、本作序盤の千早がクイーン戦にこだわるロジックが(太一が指摘したように)いまいち説得力に欠けているので、そこのジレンマを共有できず、ただフラストレーションが溜まるだけだから。前作で、机君が直面する問題は見てる側も共有できるから、それを乗り越えたときの感動が大きいのに、今作の千早のスランプは、ただの見当違いにしか見えない。それからもう一つ。実は二部作を通して、子ども時代のシーンだけはセリフも演出も平板で、自分の場合はあまり心に響いてこなかった。だから、個人的には、どうしても千早・新・太一の3人の「絆」に感情移入しにくい。それよりも、上の句でのチーム結成以来のドタバタを見てきた瑞沢高校かるた部の5人のほうに、むしろ絆を感じてしまう。だから、「いちばんかるたが楽しかった時」で、千早や太一に「子ども時代」を挙げられても、その感情にグッと同一化できない。そのことも、前作よりも3人に焦点を当てた本作に今ひとつ乗れなかった一因だと思う。ただ、ラストの「個人戦こそが団体戦」の描写では、まさに、その5人の絆がドライブしていく様がしっかりと描かれていて、それが新や若宮詩暢の心を動かすからこそ、感動的だったんだと思う。あのラスト1戦だけだったら、9点は付けられるし、初見の感想はまさにそうだった。そこに至るまでの(団体戦の描写を含め)チグハグが、残念でたまらない。
[DVD(邦画)] 5点(2017-05-15 14:18:47)
199.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
これは完全に香川照之の映画でした。もともと彼の過剰気味の演技は苦手です。でも、今作は違いました。チェック・シャツをジーンズにインする香川。バックミラーで顔を見ながら「35歳」と答える香川。正座してノートにメモする香川。ヤクザ役になぜかノリノリになる香川。もう全部が面白くて何度も声に出して笑って、前半はコメディとして大傑作だったと思う。残念なのは、記憶を取り戻した後の大失速・・・。とくに、監督の前作・前々作のクオリティを考えれば、やっぱり後半は普通に面白くない(そしてつじつまも今ひとつ合わない)微妙なサスペンスになってしまったと思う。香川が俳優で開眼し、堺が殺し屋稼業に身を染めてしまってからの記憶復活という展開を見てみたかったかなあ。ラストの堺の新しい恋の予感も蛇足感がたっぷり。前作でも少し思ったけど、内田監督は不思議と堺雅人という俳優を活かしきれていない感じも。香川照之のハマりっぷりと比べたら特にそう思う。あと、内田監督の映画っていつも車が重要なアイテムなんだけど、『運命じゃない人』のクラウンから、『アフタースクール』のポルシェ、そして今作のベントレーと、予算規模に応じて(?)豪華になってるのが、なんだか微笑ましい。その意味では、広末が乗る「白いプリウス」のどうしようもない普通感(しかも大きな家に住むお金持ち一家なのに)もわかりやすい。こうゆう小ネタはいつも楽しいのだけれど、今回はちょっと自分には合わなかったみたい。でも、寡作な監督なので、次はどんなので来るのか、楽しみにしています。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-04-02 23:38:18)
200.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
気にはなっていたけど映画館まで足を運ぶほどではないよなあということで、飛行機のエンタメサービスで鑑賞。それでも映像の美しさは十分にわかる出来でした。新海監督作品としては「ほしのこえ」以来。「ほしのこえ」はSF設定に純愛メロドラマ的すれ違いを直結させる手腕にちょっと関心した覚えがあり、その要素は今作も健在だったものの、背景でガンガン流れるJ-Popのせいか、より「作品」というよりも「商品」になったなあという印象でした。というか、こうゆう話にドキドキできない程度に、自分はおっさんになったことを実感して、中学生くらいで見たらハマっただろうなあと思いました。あと、残念だったのは、「東京」対「地方」のわかりやすすぎる二項対立の構図。たとえば、「岐阜」と「東京」のあいだには、「名古屋」という中途半端な大都市があって、三葉があこがれる程度の都市生活はそこでも可能なんだけど、「故郷」がなくなった途端に、みんな「東京」に住んでる、っていう設定には、「おいおい、日本には「東京」か「田舎」しかないのかよ」と、愛知県の田舎出身者として感じた次第でした。これは、地方出身者のつまらない愚痴でもあるんですが、同時に、この映画が描いている「日本」のどうしようもない「薄っぺらさ」でもあるように思うのです。消滅する側は地方であり、東京は地方出身者を抱え込んでますます大きくなる。地方は都会人をほっとさせるノスタルジーとしてのみ存在する。たとえば宮崎駿みたいな人たちが格闘してきたものを、いとも簡単にスルーして、この構図をためらいもないまま物語の軸として置けてしまうあたりには、「作品(work)」ではなく「商品(product)」なんだと感じた根源があるように思います。あと、完全に蛇足ですが、上白石さんの声はとてもよかったけど、一瞬息継ぎをしてからセリフを話すアニメ独特の発声法、かなり苦手です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-01-08 12:26:26)(良:4票)
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