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果月さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  追憶(1973) 《ネタバレ》 
長い間こんな良い映画を見逃していたのかと悔しい気もするが、「赤狩り」や「迫害と偏見」の意味が分かる年頃になってから鑑賞して良かったとも思う。 「赤狩り」はまさしくナチスの「ユダヤ迫害」にも似た言論闘争と人権迫害の嵐で、チャップリンでさえ「米国追放」(「ローマの休日」の脚本家が偽名を使った話は有名) 命や生活を賭ける程の主義をもたないハベルの言動は、その時代の大多数の人間の姿だったろう。 しかしケイティは無視できない。今では彼女のような勇気ある者が正しかったと分かっているが、当時は非難と罵倒を浴びた。 ハベルもそれが分かっている。「妥協しろ」というが「君は間違ってる」とは言わない。本心は変わって欲しくもない。だから苦しい。 美人ではないが才気と魅力にあふれたケイティはまさにバーブルにぴったり。 ハベルの再婚した妻は美人だが魅力なし;(美人は三日で飽きるぞ~) 「大衆受け」しか考えない今では作れない良質な映画。何よりハベルを演じる男優さんがいないのではないだろうか? 下手な男優が演じると「高給生活にしがみついて良心と妻娘を捨てた上流階級の軽々男」になりかねない; 遅ればせながら、レッドフォードが顔だけでなく「品」のある役者だったのだと気付いた。
[地上波(字幕)] 8点(2014-03-23 16:39:10)(良:1票)
22.  黄金を抱いて翔べ
俳優陣の演技に関しては文句のつけどころがありません。多分、映画自体はイマイチだった、という人も俳優の演技にケチつける人はいないでしょう。それぐらい良かったです。モモのキャスティングも含め、これ以外の配役が思い浮かばないぐらい。 社会的背景は「古い」と思う部分がありますが、そこは無視するとして、映画としては「よく撮ってくれた」という感じです。無敵のヒーローヒロインが、バッタバッタと敵をなぎ倒し、怪我しても死んでもすぐ復活する映画だらけの中で。 画面の中の彼らは本当に生々しい。痛みも汗も苦しみも肌に伝わってくるようです。 これは完璧に「人間ドラマ」の映画なのです。間違っても「黄金強奪の爽快感」を求めて観てはいけません。 小説の時からですが、かなり「聖書的」な意味が含まれています。その部分からこの映画を解釈すると、またおもしろいです。 ふと、思ったのですが「深作映画」に近いかもしれません。 好き嫌いが分かれると思いますが「観て損はしない」と思います(だって、こんな贅沢なキャスティングでこんなアンチヒーローの邦画なんて、今時やってくれないよ;)
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-07 23:26:32)(良:3票)
23.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
この映画は単純なヒーローものではなく善悪をあまり明確に描いていない。映画中の台詞どおり「彼(ヒトラー)以外のドイツ人もいた」の証明ではないだろうか。反乱側の目的は「暗殺」ではなくて「祖国の為」にあった。頭の良い将校ならこの戦争は敗北に終わる事は分かっていただろう。だから「降伏」ではなく「休戦」にしたかったのでは(少しでも国に有利になるように)作戦の失敗は分かっているので、ずっと緊迫しながら画面に見入った。鑑賞後「暗殺に成功しても作戦は失敗したのでは?」と思えてきた。「洗脳」と「服従」が蔓延した当時のドイツ体制をクーデターで覆せなかったのではないか?(「惰性と恐怖」の支配は強力である)出来るのは「敗戦」という破壊だけだったかも?と感じた。感情移入しにくかもしれないが「人間ドラマ的映画」にしなかった事こそ私は評価したい(トム・クルーズの配役は少しでも多くの人に鑑賞させる為かもしれない。でないとこんな地味な映画見ようって人少ないだろうし…;)
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-20 16:47:08)
24.  インビクタス/負けざる者たち 《ネタバレ》 
これは「能」の映画ではないか、と思った。 「能」は「削りの芸術」で動き、演出、道具などを極力削って最低限のものしか舞台にあげない。残りは観客の想像力に委ねるのだ。 この映画は観客に「委ねている」。だから公平な感情をもてるように過激なシーンやエピソードをあえて見せないのではないか。 「この世界のこれからをあなたに委ねる」という監督のメッセージでもあるように感じる。 私にとっては冒頭からリアルだった。マンデラ釈放の日を「国の破滅の日」と言った白人男性を見て、実際、南アの白人少年が「最高の国が最低の国になった」と言っていたのを思い出した。 差別する側はされる側の事を考えない。ピエナールの父を見ていれば分かるが、黒人に感情がある事さえ意識していない。 ピエナールも白人SPも黒人の立場、環境、気持ちなど考えた事がなかっただろう。マンデラに会い、彼らは初めて考えだしたのだ。 刑務所にも訪れ、「赦せる強さ」を考える。「愛」の反対は憎しみではなく「無関心」なのだ。 優勝した時の様子ですが、フランスもサッカーWCで優勝した時、ああなったそう。差別意識の強い地区でも無礼講だったとか。 一瞬の出来事かもしれないけど、あるとないのでは大違い。忘れなければその一瞬を永遠に出来る可能性がある。 それを静かに、優しく、包み込むように、観ている私たちに「委ねて」いる映画。文句なく傑作だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2011-07-30 01:34:48)(良:1票)
25.  ブラック・スワン
ストレートで分かりやすい内容でした。久々に派手なアクションや奇抜な設定、謎解きなどがない映画を観た気がする。 ヨーロッパ映画みたいな雰囲気。芸術は自己表現であるがゆえに、常に情熱と狂気がともなう。私のように「テレプシコーラ(バレエ漫画)」にはまった人はおもしろいけど、興味のない人はつまらないかも。 ナタリー・ポートマンはオスカー受賞も納得の演技。 主役ニナの比重が7、8割占めるので、オスカーとるぐらいでないともたなかっただろう。 ビデオレンタルで観てもいい気がするが、舞台で大勢の人がいる時と一人の時(孤独)との違いや舞台の奥行き、黒鳥の見せ場の迫力などはスクリーンでないと味わえない。 バレエに関する基礎知識があった方が楽しめると思う(お勧め本は「私をバレエに連れてって」←別に宣伝じゃないけれど…;図書館でどうでしょう?;) 映画を支えきる力をもった女優(プリマ)に喝采を贈りたくなる映画でした。 
[映画館(字幕)] 8点(2011-05-15 10:46:52)(良:1票)
26.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
有名な映画ですが観る機会がなかったので未観賞のままでした。が、故淀川さんの映画本に『この映画は裏ゲイの話で、殺人シーンはフィリップがトムを挑発している』みたいに解説していました。「え?そうなの?」確認の為に観賞。そういう部分はよく分からなかったけれど(淀川さんすいません;)フィリップがトムの妬みを知りつつ、連れまわしているのは感じました。馬の鼻先に人参ぶら下げて遊ぶように。トムは頭がいいから、成功するだけならフィリップを利用することも出来ただろうに、そうしなかった。「フィリップになる」のは「一体化」を指していたのかも。ボートに遺体がついてくるのは、愛しい男に「死んでも離さない」情念?恐い、恐すぎる…;緊迫感と心の乾きが美しい映像と音楽と共に強烈に残ります。個人的にリメイク版がイマイチな点は、「さりげなさ」がないことと、フィリップがトムより男前なことかな~と思ってます。飢えてる方を美男にしないと駄目だよ~「乾き」が美しく、「成功」が儚く、ならないじゃん。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-10-13 11:41:54)
27.  お買いもの中毒な私!
レンタル屋さんで間違えて借りました;(パッケージと中身が違ってた)家に帰ってから気づき「今さら交換してとも頼めないし…しょうがない、観るか…」が、結構、良作で得した気分にv(間違わなければ絶対借りなかった)レベッカが超キュートvバカやっちゃう姿も可愛いから嫌味がない。買物中毒でなくても、自分を輝かせてくれる何かに依存してるってありそう。その「何か」はお金の力で簡単に手に入るけど、しょせん借り物ですぐ消える。自分を本当に輝かせるのは自分の力だけど難しい。一度、簡単な方法を知ってしまうと、そちらにばかりいってしまう。買物中毒ではないけどその気持ちは分かる。多分レベッカは幼い頃に倹約家の両親に我慢を強いられ、大人になってから反動がドッと出てしまったんでしょうね~でも、もう子供じゃない。欠点を直す努力出来る歳なのです。レベッカは失敗して反省して欠点を克服しました。これは誰でもある成長過程。失敗して人を傷つけて反省して直して、より良い自分になっていく。反省せずに相手のせいにする人はいつまでたっても成長出来ない。レベッカは違いました。自分を磨いた彼女は自分の力で見事に輝きました。えらいぞvブランドに包まれていなくても、中身が輝けばいいのですv誰かのお言葉「自分がブランドになればいいのよ」ですね。ラブコメディの形をとってるけど、良質な成長物語だと思いましたv (吹替で観る方がいいと思います)
[DVD(吹替)] 8点(2010-09-08 11:49:42)
28.  魔界転生(1981) 《ネタバレ》 
初観賞は●十年前のテレビ放送。子供だったので、父親が魔性に堕ちて親子対決になるのにびっくりしたのを覚えている(単純に仇討ちかと思ってた)改めて観るとみんな若い!深作節も健在。やたら女性の腿や乳が出るとか(笑)もちろん、それだけじゃない(暴力による暴力の否定など)天草のラストの台詞 「人間ある限り私は戻ってくる」の通り、これは徳川への復讐ではなく「人間の闇」を描いたもの。十兵衛の死の間際にも天草は来るかも?その時、魔の誘惑に勝てるか?初めは霧丸の存在が疑問だったけど、十兵衛って徳川家を守るとか世界を救う、等考えて無いんだよね。父親との事も含め、無頼の彼が戦う理由が必要だった訳だ。SFXはお粗末だが、全く気にならない。俳優がその役として「立って生きている」から世界観が成立している。役者オーラがもたらす強力な説得力に屈服です。「エロイム~」の呪文がすんなり入ったり「是非もなし」の台詞が浮かないなんて…瞬き一つしない役者魂が熱い。監督も各役者の魅せ方を分かっている。殺陣の達人はその見せ場を。アクションスターはアクション性の高い勝負を。妖人にはエロシーンを(笑)それに応える役者達の力量が並でない。今「狂乱シーン」を演じられる女優が何人いるだろうか?砂浜を駆けるだけで緊迫感が出せる俳優は?現在、演出や設定に頼る役者がいかに多いか思いしらされる。最後の炎上シーンは本物しか出せない迫力に満ち溢れている。炎の迫力に俳優が負けてないのもすごい。多くの要素が渾然一体となって昇華しており、この時代にしか生まれなかっただろう怪作(カルト人気があるのも頷ける)レンタルしてから観まくっております。多分、明日も観るんでしょう。誰か私を止めてくれ~駄目よやっぱり止めないで~(チョイ役に福ちゃん見つけて嬉しかったv)
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-20 23:14:22)
29.  インセプション 《ネタバレ》 
この映画は世界観にはまれるかどうか、が鍵でしょうか?私は入り込めましたので楽しめました。複雑な設定をしっかりとまとめた脚本のクオリティの高さがすごい。難解なのは夢部分で、本ストーリーは極めてシンプル。現実問題と夢世界のシンクロ具合のバランス加減は絶妙でゾクゾクしました。 「会社をつぶす」手段として「インセプション」を用いたのは多分「犯罪」と法ではっきり認めてられていないからでは?(「盗む」は産業スパイになるかもしれないけど「刷り込み」は?)コブが命を狙われていたのは、被害を与えた会社の報復みたいだし、犯罪歴は妻殺しだったし。 このテの映画の元ネタは大抵『荘子の「胡蝶の夢」』ですね(荘子が昼寝をして蝶になった夢を見る。目覚めて彼は「本当の自分は蝶で人間になった夢を見ているのでは?」と思う) 夢を扱った某漫画で「香り」がキーワードになる話がありました。夢の中では香りは意識しない。もし、薔薇の香りがしたら、眠っている部屋に薔薇があるから。という感じでした(周りの人が異臭に顔をしかめているけど、私は匂わない、という夢を見た事がある。ナイフで刺された痛みで起きた事はあるけど;本当に痛かった;) 希望としては、こういう「五感」の感覚がもう少し欲しかったかな~と思わないでもない。「調合士」という単語が出て来た時、ちょっと期待したから;後、ロバートの防御方法ですが、銃をもった男ではなく、いきなりガラスの壁が出現するとか、ぬけ道が出来る、などでも良かったのでは? あんまりごちゃごちゃすると分かりにくくなるからでしょうが、そこらへんが夢の話なのにちょっと夢に欠けたかな~、なんて(^^;) 最後にコブは蝶になり、人間になった夢を二度と見ないのでしょうか?私としては現実世界に返った、と解釈したいところです。どんなに辛くても現実に生きる価値がある、というテーマを感じたので。何にしてもすごくおもしろかったです。細かいことは気にせず、世界観に浸る映画だと思います。 ハリウッド俳優の中にあって、埋没しない渡辺健氏の存在感はさすがでした。彼に+1点v
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-15 12:56:04)(良:1票)
30.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
元旦に鑑賞。新幹線3時間乗車でも酔い止め薬を飲む私に3Dは無理と判断して通常版です;でも、パンドラの美しい世界を体感出来ました。CGなのに質感があるのがすごい! これは、若い世代の人に観てもらいたくて作った映画だと思います。 内容は「ダンス・ウィズ・ウルブス」などと同じ、侵略による破壊と絶望の物語。 が、今時、インディアが開拓者に略奪、破壊された話では誰も観てくれないんですよ(泣) 今も侵略者(先進国)による資源の詐取・略奪、自然破壊、虐殺は地球上で起きているのに。破壊と略奪をしながらも、罪悪感さえ覚えない人間がいかに醜いか、グロテスクか感じて欲しいのだと思う。 グレースが地球人として初めてエイワの元に還ったのは大きな意味があると思います(この星の生物はテレパシー能力があるみたいだし) ラストにパンドラの生物達が一斉に攻撃してきますが、私は「自然」が「人間」を拒絶したように感じました。 自然がなければ生きていけないくせに、すべてを陵辱する「人間」を完全に否定した。 ジェイクは最初は赤ん坊と言われていた。つまり「あれもこれも欲しい」と奪うだけだった(彼の場合は「足」とか) 自然は常に「環」になっている。何かをもらえば何かを還す。 ナヴィの教えでも命のエネルギーは借り物、だから最後の土になって還す(土の栄養分などになる)一方通行はありえない。ジェイクは最後に人間を捨てた。その犠牲を払ったからエイワに受け入れられたのでしょう。「今の人間」では自然に否定され続け、いつか滅びる。 これは警鐘の映画だと思う(ヒーローものではなく。だから伝説の男はすぐに退場した) 人間に「いつまで赤ん坊でいる?いい加減、愚考を繰り返さず成長しろ。目を開け!」というメッセージではないだろうか。 軍隊の中で唯一の良心だったトゥルーディが死んでしまったのは悲しかったです (ジェームズ・キャメロンって強い「女戦士」好きですよね(笑)エイリアン2でもいたし) 「相手の立場になって考える」を出来る人が少なくなってきたので、3Dで「略奪される側の絶望」を体感させようとしたのかな~とも思ったり。 逆にいえば「それぐらいしないと考えない」という事かも…;(ちょっと淋しい;)
[映画館(字幕)] 8点(2010-01-01 23:16:55)(良:1票)
31.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
学生時に心理学をかじった身としては、元が実話という現実感が肌で感じられて恐ろしかったです。(スタンフォード監獄実験=普通の大学生を「囚人役」「看守役」に分けると後者が前者を虐待し始める。ミルグラム(アイヒマン)実験と同じく超有名な心理実験。wikiにも載っています)羞恥心が欠如した権力者や、罰が与えられないと分った人間は、際限なく残酷になれる。描かれていませんでしたが、偽ウォルターに対し警察の脅迫洗脳があった事や(彼の無表情は戦渦で感情を失った子供のそれと重なる。母親の姿を見てホッとして初めて言いたい事が言えたのだろう)精神病院の『電気治療』において死亡した人がいても「病死」とされて闇に葬られただろう、などが察せられてゾッとしました。絶望的な状況の中で真実を主張し、戦い続けた母親の強さを尊敬します。彼女の崇高さは皆にとっても「希望」だったように思います。だからこそ、多くの賛同者や協力者を得られたのでしょう。牧師さんが普通に良い人で良かった。しかし、彼女は最後まで希望を追い続けても叶えられなかった。彼女の望みは警察の腐敗を暴く事でも、犯人を死刑にする事でもなく、息子を取り戻したかったのに…諦めた方が楽だろうに、希望を持ち続けた彼女は本当の意味で強い人間なのでしょう。少なくとも信じている間はウォルターは生きている。私も、ウォルターはどこかで生きていた、のだと思いたいです。 見事な脚本と演出があったとはいえ、AJの深みのある演技には驚きました。迫力あるシーンや言葉でなく、普通の動作で「心の強さ」を表現できる程とは思っていなかったです。ナイスバディで拳銃ぶっ放す姿しか知らなかったので;反省ですわ;
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-28 10:50:14)(良:2票)
32.  シルク(2007) 《ネタバレ》 
この作品のストーリーは簡単に言ってしまえば「青い鳥」。秘めた情熱に身を焦がし、求めるものを命がけで求めるが、実は家にあったのです。でもストーリーはさほど重要ではないと思う。行動の理由もいらない(忘れる)あれば下世話になったかもしれない。あの手紙の言葉通り「感じ」ればいい。誰一人として、醜い欲望に生きている人がいないのが、また美しい。「沈黙」が雄弁である、と気づいたのはちょっと大人になってからです。「沈黙の音楽」や「無い香りを聞く(ユリの庭)」これはそんな映画であると思う。いつも夫の帰りを待ち、話さない事に何も言わないエレーヌの気持ちがなかなか分からなかったけど、ラストの手紙で氷解しました。彼女も静かな情熱の炎を燃やしていたのだと。表に出さないからといって、冷静なのでも感情が乏しいのでもない。内に秘めた分だけ激しい時もある。手紙というのがまた良い。文字を書く、という行為はその人の体温を感じさせ、肉筆は間接的に「触れる」事になるから。メールなどの文字って結局「記号」だもんな~;艶がないのです;この映画はとにかく「間接的」に情熱を描いている。原の妻である自分が裏切る訳にはいかないので、日本の少女が別の女性を通じて彼と契りを交わした事やエレーヌの深い愛情もマダムを通して彼は知る。(米国映画あたりなら、命がけで日本にやってきた男と一夜過ごした少女が彼の子供を産む、なんて話になっていたかもしれない;それでは、あの美しさが台無しになる;)日本の役者さん達は皆すごかった。台詞も少ないのに、あの存在感と雰囲気を出せる俳優はそうざらにはいない。映像と音楽の美しさと、内に静かな情熱を燃やす登場人物に酔いしれました。
[DVD(吹替)] 8点(2009-07-31 00:31:06)(良:1票)
33.  ダーティハリー 《ネタバレ》 
私のアンチヒーロー好き(判官贔屓)を決定づけたといってもよい作品。今だ私はダーティーハリーを超えるアンチヒーローは出会っていない。犯罪者に対して容赦のないハリー。暴力には暴力で返す。しかし、それは決して正義ではない事をハリー自身は知っている。彼はひねくれ者で常に哀しみと孤独を纏っている。その哀しみとは周りの人々に理解されない事ではなく(彼はそんなに弱い人ではない)そんな生き方しか出来ない自分を嫌悪しているところからきている。けれど、他の生き方など出来ない自分も知っている。ラストで彼が警官のバッジを投げるのは「警官が正義を貫けないなら警官なんて辞める」という意味ではない、と私は解釈している(それならば、もっと爽快感があってもいい)私はハリーが「自分は警官にふさわしくない」と感じたからだと思う。今までハリーは無茶をやってるけど、ぎりぎりのところで警官としてのプライドと誇りを守っていた。しかし、ラストでハリーは卑怯な騙し撃ちをする(自分の命が危うい訳でもない)個人の憎しみで人を殺してしまえば、殺人と同じで犯罪者と同等にまで堕ちてしまう。犯罪者を裁く立場の警官がしてはならぬ事なのだ(それが許されるのなら、警官なら人を殺してもいい、事になってしまう)ハリー自身が一番よく分かっている。だからこそバッジを投げたのだ。犯罪者と同じところに堕ちなければ裁けないほど病んだ社会。堕ちると分かっていても裁かずにはいられない孤高の男の哀しみの映画である。しぶすぎる!(今って「私は正義だ!」と画面からわめいているようなヒーローが多くて嫌;)
[地上波(吹替)] 8点(2009-07-28 23:23:55)(良:5票)
34.  ステイ 《ネタバレ》 
評価が低いので少し驚きましたが、感覚の映画なので、そうなるのかな~と思いました。謎が解けるのを期待した方には「裏切られた感」があるのでしょうか?私的には初めて「死を肌で理解した」時の感覚に非常に近いので高評価です。私は甥が産まれた時、「生命」を頭でも理屈でも心でもなく触感に感じ、同時に「死」がストンと私の中に入ってきました。産まれてきた以上いつか死ぬ。死亡率は100%です。孤独と淋しさと共に、命がとても小さく愛しいものであると感じました。その時の皮膚感覚とこの映画で表現されるものがとても近いのです。話が進むにつれ、これが現実でない事が分かってきましたので、私はてっきりユアンの方が意識不明なのかと思っていました(彼が車の事故に巻き込んだのかと)彼を看取った後、二人は「眠れそうにない」と言いましたが私もそうなるな、と思いました。彼に訪れた「瞬間」はいつか私にも訪れるからです。いつ、どんな形で「死」が舞い降りてくるか誰も知りません。これは普通の男性の、年間何万件もある普通の事故死です。「普通の男性」にも生きて来た人生があり、大切な人がいて、奪われた時の悲しみ、苦しみ、その想いは偉人やヒーロー達と変わらないのです。そして「死」も。それをここまで表現したこの映画は、見えにくいけれど深い映画だと思います。(個人的感想なのですが、観賞は吹替の方がいいかも知れません。主役二人の男性の息づかいの演技がすごく上手いんです!似てるし←これがポイントですね)
[DVD(吹替)] 8点(2009-06-15 09:41:37)
35.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
この映画の素晴らしさは皆様が語って下さっているので、ウォルトを殺したチンピラについて私なりに思うところを。私はウォルトが彼等に「罪を犯せば罰がある」事をきっちり示したのではないか、と感じました。彼等も差別の犠牲者なのでしょう。白人が拳銃をもてば、こっちはマシンガンをもてばいい。社会に虐げられてきたから社会に復讐していいんだ、と言わんばかり。ですがそれは幼稚なへ理屈。現に彼等は自分達を虐げた者ではなく、自分達より弱い者に牙を向けました。ラストでウォルトが彼等に言った台詞「同族の女を暴行し~」には「お前達は強者に沈黙し弱者をいびる臆病な卑怯者だ」という意味があったように思うのです。「人を殺した最悪さ」を知った彼等がどう変わっていくかは彼等次第なのでしょう。弱者を守るのは社会の仕事。でも、病んだ社会は常に強者に味方する。「大人には子供を守る義務がある」と大人になって気づきました。大人だって死にたくないけどタイタニックに乗船していたら、子供を押し退けて救命ボートに乗る訳にはいかない。残念な事に子供を押し退ける大人が多いのが現実;頑固で偏屈な大人に守られたタオとスーはきっと子供を守れる大人になれる。その未来に希望を感じるのです。御葬式や遺言の場で息子さんがタオを見ていましたが「お父さんの心を取られたみたいで少しくやしいかな?」と思いました。私の観た映画館ではエンド~の途中で席を立った人は一人でした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-08 13:10:10)(良:3票)
36.  恋におちて 《ネタバレ》 
二回目の観賞ですがやっぱり素敵な映画。今回の方が深く観れました。冒頭の電話の会話のシンクロ度から、二人が同じ感性を持っているのが分かります。モリーは失った子供や病気の父親の心配など、気を使って夫に話せない。我慢しているが夫は気づかない。父親の御葬式で泣きそうになるモリーを人前から連れ出すのを見て「この旦那、妻の気持ちを分かってない」と思いました。ああいう時は泣きたいだけ泣かせあげて支えてやるべき。最後のお別れの場から連れ出すなんて駄目。フランクは妻が一番愛しているのが自分ではなく、子供になったのが淋しい。が、自分も子供を愛しているし、と我慢している。自分に似ている長男の性格を話す時に口籠るシーンでそれが分かります。同じ感性と心の隙間を抱えた二人が出会って恋に落ちるのはまさに運命。ラストの本屋で再会した二人が「私は愛しているけど、この人はどうなんだろう?」とお互いときめきながらも不安がっているのを感じる。フランクはモリーが本屋にいたのは自分と同じ気持ちだったからだ、と気づき追い掛ける。二人は「魂が共鳴」して惹かれ合っている。そんな相手に出会える人が世界に何人いるだろう?遅い出会いで周りも自分も傷ついたが、恋に落ちるのは必然だった。だから二人には幸せになってほしいです。「魂の共鳴」をこうも自然に演じるメリルとデニーロの演技力は見事としか言い様がない。無駄のない会話(だからリアル)自然な演出、大物になる前の瑞々しい名優の演技(脇役含む)地味かもしれないけど、職人技のような傑作だと思います。今のハリウッドでは「おしゃれな映画」は作れるけど、このような「品の良い映画」は作れないかも?
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-05-29 09:23:40)(良:3票)
37.  SING/シング:ネクストステージ 《ネタバレ》 
相変わらずのムーンの山師っぷりが笑える。前作より今回の方がショーにかける内容も時間も濃い。それもそのはずでキャラたちは「プロ」になっているから。 歌手になるという夢を叶えたのだからどう向上していくか。プロになったからには「苦手だから」「出来ない」は許されなくなってくる。みんなどう乗り越えてくるか、をさらっと見せている。キーポイントは「寄り添ってくれる人」ではないかな~と思った。 クレイは「寄り添ってくれる人」を失ったから歌えなくなった。でも、仲間を得てステージに帰ってくる。 もう少しクレイとアッシュとの時間を描いて欲しかったかもな~(時間の都合でカットされたかな?;) もう少しシャクが欲しかったとも思うが疾走感を重視したのかな~でも各キャラ達の個性あふれる魅力は素敵。 みんなの歌唱力はさすがの一言。ショーのシーンも舞台演出が見事。何回も観てしまう作品の一つです。 個人的にはなんとってもムーンの毛並みよ!ぬいぐるみ感満載で触りたくてたまらん! ジェットエアで爆発しているふわふわ毛なんか手をのばしそうになったわい!
[地上波(吹替)] 7点(2024-03-21 21:56:13)
38.  ハンニバル(2001) 《ネタバレ》 
「羊~」の続編と思ってみると違和感を覚えた方が大勢いらっしゃるようですが、それもそのはず。この原作は「羊~」の映画でクラリス役を演じたジュディ・フォスターにすっかりノックアウトされた原作者がレクター博士を自分にみたてたクラリスとのラブストーリーなのですから…;それを知ったうえで鑑賞するといろいろ腑に落ちるものがありますね。クラリスの周りの男達の最低っぷりやレクター博士の超人っぷりなどなど(「羊~」でのクラリスが憧れていたのは上司だったのに)二人のラブラブは映画はマイルドになってますが原作を読むと納得です。原作のラストとか「どんだけ~」です;
[映画館(字幕)] 7点(2021-08-21 20:42:03)
39.  マッドマックス 怒りのデス・ロード
マッドマックスとタイトルのついた映画は数十年前にテレビ放送を観たきりでそれ以来観ていませんでしたが好きな女優さんにつられて鑑賞。創り上げられた狂気の世界っぷりがすごい。これは他の星の神話なのだと思って鑑賞するとしっくりきました(監督もそのつもりで描いているのではないだろうか?)マックスは彷徨えるヘラクレスでありユリシーズな訳です。そう考えると最後にマックスが去っていくのは必然なのだろうな~
[地上波(吹替)] 7点(2020-09-13 13:09:41)
40.  オーシャンズ8
サンドラ・ブロックとケイトお姉様のカッコよさをひたすら楽しむ映画でした。「45ドルも持っているんだからどこでも行ける」自由を抱きしめて刑務所出て行く姿からノックアウト。ライダース姿のケイト様には思わず「踏んで下さい」と言いたくなりました。 オーシャンズと違ってこちらは全女性グループ。獲物もジュエリー、セレブのパーティー会場とゴージャスずくし。 計画は上手くいきすぎてちょっと肩すかしかもしれないけど(カルティエは女性を警護するのに女性SPをつけないとか)野暮な事は言わないで華やかさを楽しむべし。ちらりと覗く「どこかで女性を見下している風潮」への皮肉が効いてる。 ダフネに対する「胸の大きな女は頭が悪いという偏見」なんてもろじゃないでしょうか? セクハラ問題で風穴開けたハリウッドの女優達に心からエールを送ります。
[地上波(吹替)] 7点(2020-07-11 20:37:20)
021.27%
121.27%
242.53%
353.16%
4159.49%
52616.46%
62515.82%
74327.22%
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