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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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481.  アウトバーン 《ネタバレ》 
折角アウトバーンを舞台に使うのなら、何らかのタイムリミットを設定するなど、速度と時間をドラマに絡めるべきではないだろうか。 ヒロインが拉致されるのを防げるか否かのサスペンスもそれに該当するのだけれど、これももっとカットバックを使って盛り上げて欲しいところ。 単にスピードとクラッシュを誇示するカーアクションの場というだけでは物足りない。  市街地での逃走劇も、カメラ大揺れ一辺倒で芸がない。  加えてクライマックスの包囲されたバーからの脱出劇も、そこに作り手はもっと気を遣えと思う。 バーの裏口から駅のホームまで、ロケーションと人混みを利用して男女二人がどう追手を撒いて逃走するか。 アクション映画として、仕掛けやアイデアの一番の見せどころだろうに。 運動感の演出にしてもサスペンスの演出にしてもここが一番雑というのでは情けない。  主演二人はどことなく『トゥルーロマンス』のカップルを思わせた。
[映画館(邦画)] 4点(2016-06-19 20:32:36)
482.  エンド・オブ・キングダム 《ネタバレ》 
辞職願を出すか、出さぬか。生まれてくる子と妻の為にどうやら主人公は悩んでいるらしい。 事件を経て映画のラストにはあまりにも判りきった結論が出される訳だが、主人公の所謂人間味を垣間見せるための出来レース的設定としても、 つまらないエピソードだと思う。画面的にもパソコン前の入力作業でしかない訳で。  といいながら、一旦アクションが開始されればジェラルド・バトラーも機敏な銃捌きが様になっている。 クライマックスのアジト突入ではカメラも長廻しで縦横無尽に彼の動きを追い続けて臨場感をよく演出している。 その中で、現場リーダーとの間に交わされるやりとりと連帯感などさりげない部分が良い。 半面、反テロだとかの大きな物語の方ははっきり云えば胸糞悪い。  最終盤のアジト内の攻防もアイデア不足である。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-06-03 23:10:48)
483.  フィフス・ウェイブ 《ネタバレ》 
大状況の収拾を放棄するのならば、いっその事その中でヒロインが熊のヌイグルミを弟に届けるドラマにもっと特化すれば良かったのに。 かなり単純な謎解きに加え、特に肝心なクライマックスとなるべき基地潜入後の大雑把さはかなりキツい。 いくらでも危機状況とサスペンスを創り出せる状況にありながら、それすら放棄しているように見える。  冒頭シーンから、若者が銃を持つこと・撃つこと・撃たれることの重みにも拘って描写しているのがわかるが、 ならばそのテーマについてもヒロインの行動を以て何等かの映画的回答をして欲しいとも思う。 単にヒロインの大腿を見せる為だけのマクガフィンでは駄目でしょう。  徴兵制の批評も、やるならもっと痛烈にやって欲しい。  さすがに食傷気味となってきた災害によるカタストロフィとデストピアのビジュアル・エフェクトだが、 津波体験者の方にとってはトラウマを蘇らせる映像かもしれない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-04-24 21:49:37)
484.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》 
内容とはあまりにも不釣り合いな、冗談きつい上映時間。これだけで、才能ありませんと云っているようなもの。 当然の事ながら、ドラマの流れは淀みまくる。 例によって、どこまで効いているのかいないのか、痛覚のさっぱり伝わらぬインフレCGアクション。 案の定、身体を通して発露させるべき情動は希薄で、単に派手なスペクタクルに終始する。  要するに、『マン・オブ~』の欠陥そのままという事である。  そもそもがヒーロー対決ありきの企画なわけで、観る側からすれば動機付けが後付けとなるのは解りきった事。 もっと開き直ればよいものを、無理に理屈付けしようとするから苦しい言語説明となる。 原作の絡みなど、知ったことではない。  9.11を出汁に使うかような冒頭のビル崩壊スペクタクルからして不愉快になる。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-03-27 19:39:04)
485.  僕だけがいない街 《ネタバレ》 
状況設定と時間操作におけるいわゆるご都合主義も、開き直ってここまでやればこれも映画の特権と自分を納得させるしかない。  単に犯人探しの観点から云っても、校舎玄関でのズームを交えた主観ショット一つで誰にでも犯人の目星はつくだろうが、 それによって犯人であろう人物の善良な身振りに凄味が加わることになったと見ることも出来なくもない。  子供たちの佇まいもよく、虐待を受けている少女が石田ゆり子の作った朝食のウインナーを口にするショットなどに少し心を動かされたりもするのだが、 そこでは映画内部と外部がほどよくせめぎ合っている。が、それも長くは続かない。 少年と少女が互いに交換した誕生日プレゼント、赤い帽子と水色の手袋が何ら視覚的に活かされないのもはっきり怠慢である。 ラストで森カンナかその娘がそのプレゼントを大事に持っている、くらいのことが出来ないものか。 広げた掌、繋ぐ手のモチーフは幾度も反復しているというのに。何故、あの大樹も最後に活用するとかしないのだろう。はっきりと、拙い。  逆に、有村架純のほうには雨あがりの陽を浴びせるといった演出をもってくるのに、彼女の人物像あるいは(外部的)背景が薄いために大して心に響かない。 あれほど饒舌に語っていたはずなのに。語られる言葉が全般的に観念的すぎるのである。
[映画館(邦画)] 4点(2016-03-24 23:39:06)
486.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
『英国王のスピーチ』でのコリン・ファースの頼りなげな映画ヒーローぶりを大きく補佐していたのが、 ヘレナ・ボナム=カーターの魅力的な映画ヒロインであり、彼女の描写あってこそ主人公のコンプレックスも魅力に転化し得たといえる。  ここでも構造は変わっていない。エディ・レッドメインを献身的に見守るアリシア・ヴィキャンデルの表情を介することによって、 二人のドラマへの共感を促さんとする。そして、彼女も明快な心理的表情でもってよくそれに応えている。  例によって、映画は表情のクロースアップ主体。それによって衣類の肌触り・触覚性もまた拡大化されている。  密会場所となる集合住宅地の無味乾燥な佇まいとパースをつけたシンメトリックな縦構図や沼地の情景など、いかにも抽象的なロングショット が時折そこに挟まれるという具合だ。  ラスト、ようやく晴れ間を見せた空に舞うストールが主人公の開放を暗示する。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-03-21 20:26:04)
487.  エヴェレスト 神々の山嶺 《ネタバレ》 
ザイルで宙吊りの相棒を見捨てるか、助けるか、を山仲間でひと悶着するシーンが脈絡もなく始まると、この後にどんなエピソードが来て、 それをどう発展させていくつもりか、誰でも簡単に読めてしまうだろう。実際その通りの展開なのだが、あまりに直截すぎて呆気にとられる。  現地ロケーションのスケールに負けまいと、情緒過多の劇伴音楽も、スターのアップも物理的スケールがデカい。佐々木蔵之介の表情とか、勘弁して欲しい。  頻繁なフラッシュバックももっと控えめにすることは出来なかったか。  厳寒の天候の中、ほぼ垂直の山肌を登攀する人物を捉えるショットは力強く、迫真性は満点である。 小さな人物と雄大な景観を極力一体として撮っているのがいい。
[映画館(邦画)] 4点(2016-03-18 23:58:25)
488.  SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁<TVM> 《ネタバレ》 
だまし絵『化粧台の前の女性』や剥製など、小道具・調度品の余計な解説を本編前に持ってきたりするお節介が苛立たしい。 監督だか何だかが得意げに自賛するだけあって、内装美術などは確かに凝っているけれど。 夜霧をかけ、雪を降らせ、ホームズの事務所内ではカーテンによる遮光を活用してクラシカルな雰囲気を出しているが、 落ち着きがなく、視点も定まらず、何かといえば顔面アップに頼るカメラが台無しにしている。  作中、それぞれの女性たちがそのカット尻で、曰くありげな表情をほんの一瞬間、見せる。それらの些細な「間」が小さな引っ掛かりとなりながら ドラマは進んでいくと、いきなりの種明かしが待っているわけだが、これがただの説明なのでまるで面白味がない。 尺伸ばしのメイキングは全く不要。興味なければ即退出してマイルの足しにだけして下さい、という意味では良心的である。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-02-24 22:56:12)
489.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
『クリード』などと共に、いわゆる黒人と白人が一致協力して活躍といった内容は米国内では現在的なテーマだろう。 そういう副島某的な一種の政治的配慮を勘ぐりだすと、映画の妨げになってしまうのだが。  ゴーグルをつけて廃船の中を探索し、小高い砂丘を滑り降りていくヒロインの姿からして『風の谷のナウシカ』実写版の趣があり、 キャラクターや構図など、参照したなと思わせる箇所が多々あるのも、再生産品の印象を強める。  敵方の黒騎士は登場シーンからして淡白で味気ない。宇宙船から降りてくる足元からあおるとかのケレンは出せないものか。 この敵将の貫禄不足・魅力不足はかなり致命的で、ドラマの進行に伴って益々テンションを下げていくのも困ったもの。  マーク・ハミルも、『キングスマン』等の後ではどうしても有難味に欠ける。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-01-03 10:15:09)
490.  007/スペクター 《ネタバレ》 
例によって、愛想の無いサム・メンデス。 その深刻ぶった語り口の割には、アクションは大ざっぱで物量頼みの旧態依然。 ヒロインの生命を守る、と誓ったはずのヒーローがいきなり雪山で彼女を巻き込みかねない無謀な突撃をやらかしてはまずくはないか。 列車での格闘にしてもアジトからの脱出にしても、盛り上がるべき箇所で盛り上がらないのは彼女を庇い、守りながら闘うというエモーションがアクションに欠如しているからでもあろう。オープニングのカメラからして技巧の披瀝にすぎず、カースタントを始めとするアクションは空虚なスペクタクルの羅列に留まっている。 二人のドラマにもう少し注力すれば、ラストの橋のシーンはもっと輝いたろうに。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-12-11 23:56:06)
491.  劇場霊 《ネタバレ》 
冒頭で横たわる人形の艶かしい表情の造型など、フィルム撮影の感触や照明効果もあって押井守も大喜びしそうな生々しい物質感がある。 クライマックスで人間を追う動きやそのPOVショット、状況と顛末は『ターミネーター』も思わせる。 その追い詰められる感覚を出す上で、劇場の構造と舞台の空間はしっかり提示して欲しかったところだが。  口話での説明も多く、脅かし系BGMの連発も少々くどい。いつもならすぐにそれとわかる特長的な川井憲次サウンドも、 ラストの島崎遥香のショットに被るメロディーでようやく気付いた次第。 本来ならエンディングで余韻溢れる印象的なインストルメンタルを聞かせてくれるところなのに、 興ざめな歌曲が流れてきてしまうのは、例の企画担当の都合というやつか。  ヒロインの怯えの芝居は単調ながら、頑張ってよく絶叫している。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-22 19:01:01)
492.  起終点駅 ターミナル 《ネタバレ》 
佐藤浩市は『愛を積む人』に続いての北海道・不器用男路線。 降旗康男と高倉健コンビ作のようなローカル・スタティック・ハートフル・ナルシズムに落ち着くにはまだ早かろうに。  めぼしいロケーションは佐藤の暮らす寂れた一軒家に釧路駅、そしてお馴染みの幣舞橋といったところでバリエーションに乏しい。 北海道ロケの割に画面は奥行きが浅く、縦の構図を意識したのは、振り返らずに駅舎へと去る本田翼とそれを 車から見送る佐藤のショットくらいだ。  料理の映画でもありながら、調理シーンは手許の接写と、佐藤の表情のアップをつなぐばかり。 彼本人が実演しているとわかるのは筋子をほぐすショットただ一つである。  ロケハンといい、調理シーンといい、かなりの省エネ映画だ。  これでは、料理はただ単に食の観光アピール、コマーシャルに過ぎない。 音楽なら演奏を、料理ならその調理を、俳優が実演してみせるその身体性こそ、美味しさを映画で伝える上で要となると思うが。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-15 13:55:27)
493.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
かつて本多勝一氏が指摘したマロリーの「because,it is there.」が相も変わらず劇中で「そこに山があるから」などと日本語訳されている。 これはエベレストの映画ではないのか。何故に最高峰エベレスト(it)に登るのか、を語らう会話のシーンで字幕は「山があるから。」 頓珍漢な翻訳センスに頭が痛くなる。 映画とは関係ないが。  『エベレスト3D』だが、望遠のパノラマショットの3D効果は案の定、実に薄い。飛び出す絵本レベルで、平板さこそが際立つ。 断崖からの俯瞰の数ショットのみに効果を発揮し、遠近感の失せる嵐のシーン以降は有害でしかない。 深度の浅く薄暗い屋内シーン、人物はアップ中心でその顔貌の凹凸ばかりを3Dで見せつけられても苦痛なだけである。  サテライト電話の用法・見せ方も巧くない。
[映画館(字幕)] 4点(2015-11-10 23:52:32)
494.  S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE 《ネタバレ》 
「この国のために」とかいう、あまり耳馴染みになりたくないイマドキなフレーズが押し付けがましく二回も三回も出てくる。 こういうところからもジワジワと慣らされていくわけか。簡単に括れば、御用映画。 『海猿』だの『図書館なんたら』だの、カワイイお兄さん、お姉さん達のソフトな外面で覆ったマッチョイズムが解りやすい。  そのヤサ男:向井らが乱打戦、ヒロイン新垣・綾野らが狙撃戦を担うわけだが、やはり狙撃のほうが映画と相性がいい。  ジャックされたバス内を狙う狙撃手の眼。ターゲットスコープ内の視点。揺れるヘリ内で銃身を安定させてのタンカー側との狙撃戦。その俯瞰ショット。 それら一撃一撃が重みを持つシーンが映画を引き締めている。  向井・オダギリが無駄に格闘するクライマックスの肉弾戦は、新垣が止めの一撃を狙うシーンの緊張の邪魔ですらある。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-06 22:58:10)
495.  メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 《ネタバレ》 
砂漠の荒野を超えてその先に聳える山を目指す。という西部劇的で魅力ある設定だが、これがあまりにもあっさり踏破してしまうので拍子抜けする。 どうやら2~3日で難なく麓まで着いてしまう程度の距離だったらしい。 ご都合主義こそ映画とはいえ、このシリーズでは所謂デストピアとその世界観が売りなのだろうから、その中でどのように食料を調達し、 水をどのように確保するかくらいの設定はせめて描写の中で提示して欲しい。子供相手とはいえ、申し訳程度に水筒一本で誤魔化そうとは虫が良すぎる。 一方では『マッドマックス』最新作があれだけ水の扱いを重視しているのに。 この時点で、まともに付き合う気はなくなる。  とりあえず、目先の危機また危機という小状況を繋げていくことで刹那的なサスペンスを持続させていくのは前作同様、ある意味簡単である。 その前提の部分で、もっともらしい嘘をついて欲しい。  腹も減らない、喉も乾かない、何百キロ歩いても疲れ知らずの若者達がどれだけの危機に陥ってもハラハラなどしようがない。  最近こればっかりといった感じの廃都市のCGスペクタクルを楽しむのみ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-10-30 23:09:03)
496.  アンフェア the end 《ネタバレ》 
ノワール的ムードの冒頭シャワーシーンや、篠原涼子と佐藤浩市が静かな炎に照らされる夜の隠れ家のシーンがいい。 黒ずくめ篠原涼子の黒髪がアクションごとにスローで官能的になびくのもいい。  敵か、味方か。信用ならない人間関係がサスペンスを孕むが、 中盤の拉致、脅迫、逃走という危機脱出の一つの山場にはもっと知略が欲しい。 これでは敵側の詰めが甘すぎて間抜けに見えるばかりだ。  今どきの映画なら、逃走劇の中でもっと市中の監視カメラも強調されるべきだろう。  クライマックスの舞台をビル高層階に設定し、階段やエレベーターでの追いつ追われつのアクションにしたのは面白い。
[映画館(邦画)] 4点(2015-09-20 05:09:27)
497.  筑波海軍航空隊 《ネタバレ》 
特攻に出撃しながらたまたま敵が不在であった事で生還できた柳井和臣さんをはじめ、元特攻隊員4名の方々が語る証言は それぞれ90代でありながら佇まいも語りも明晰で、やはりエリートだと思わせる。  大戦で戦死した日本軍兵士の大半が餓死・病死であったことを踏まえれば、出撃直前まで食事には困らなかったというごく少数の海軍飛行予備学生の方々は 特殊な部類ではあるに違いない。貴重な証言であることは勿論だが。  作品として凡庸なのは、その貴重な証言に対して聴き手のレベルが低いからである。 記念館関係者らしき人物の、戦争は良くない的な半知性的コメントなど、作品の質を下げるだけだろうに。 2015年のこの次節に、あくまで「責任」から眼をそらす。テレビ的で八方美人の無難なインタビュー集に堕している。  作品中盤で、戦死された吉田信さんの日記が紹介される。これが活字のキャプションをナレーションと共に流すという代物なのだ。 恐らくは、旧仮名遣いで書かれた原本では観客には解りづらいだろうとの配慮なのだろう。 全くの余計なお世話だ。それでは、単に文の意味だけを差し出したにすぎないではないか。 肉筆の字面・筆跡に込められた感情を画面に提示させてこそ映画ではないのか。  柳井さんが披露してくれた、遺書替わりのアルバム。その感動的な紙面が一方にはあるのに。
[映画館(邦画)] 4点(2015-09-19 15:57:30)
498.  進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 《ネタバレ》 
一般常識的にやってはいけないこと、するべきではないこと。 それは映画内でこそどんどんやればいい。現実の場ではないのだから。 軍律的におかしな行動だろうが何だろうが、それが出来るのが映画の特権だ。 そもそもこれは荒唐無稽な『怪獣映画』の一種ではないか。  騒いで、性交して、規律違反して、トラブルを積極的に呼び込み、周囲をそれに 巻き込んでこそ戦争アクション映画のキャラクターの王道だ。 話題の前田某らは数々の戦争映画主人公のアナーキーな迷惑キャラぶりも知らぬのかと。 最前線での性愛シーンなどだって、普通にいくらでもあるだろう。  『英霊』、『内地』などの単語に大して意味は持たせていないようが、 そもそもこの未熟な軍隊の有様は図らずも現在日本の世代批評と見れなくもない。  ここで三浦春馬がみせる直情径行、情緒不安定、喧嘩早さなど映画史の中では実に可愛いものだが、 そのような性向の描写と彼に降りかかる理不尽とがあって、 クライマックスの呪詛と化身が一応はカタルシスとなるわけである。  と、誰でも批判出来る評判の悪い脚本をとりあえず擁護はしてみるが、 世評のよろしい空中飛行のショットはまるで不出来である。  夜明け前の設定によって照明は薄暗く、重量と飛翔の感覚も活きていない。 人間と巨人の、見上げる-見下ろすの視線処理も不全である分、恐怖感を削ぐ。
[映画館(邦画)] 4点(2015-08-22 01:26:50)
499.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 
『投入せよ!「あさま山荘」事件』なり、『金融腐蝕列島』なりで 監督の立ち位置は明白だし、何よりもこの製作委員会でのシネコン仕様なのだから その批評精神の生ぬるさは推して知るべしである。  原田眞人は「彼らを狂気の存在にしたくなかった。」という。(映画パンフレット) その為に、原作や岡本版にはある首相私邸放火の顛末などは都合よく省略した ということか。ならばフェアではない。  あるいは松竹路線に倣った訳でもなかろうが、「家族のドラマ」を描きたかった、ともいう。 公人の、良き家庭人である一面を弁明的に盛り込めばそれは印象操作も簡単だろう。 彼らもプライベートでは実にイイ人でした。 『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(2011)などと同じ、常套的な方式である。 そんな姑息なやり口で公人の戦争責任を免罪でもしようとする気かと。 後半ではドラマの流れすら阻害しているだろう。 だから上野昂志氏にも某旬報で書かれてしまうのである。「戦後七十年にして、これかよ!」と。  英語題が示すように、長く表象タブーであった昭和天皇を中心に『日本のいちばん長い日』を映画化する。 これも今回の主眼なのだろうが、 その一方で岡本版でもよく指摘された(が、実際は決してそうではない)「民衆不在」はさらに徹底している。 広島の原爆はキノコ雲のあからさまなCG画面のみ。長崎の原爆は単に台詞のみだ。  ナレーションとはいえ、お仕着せ大作のしがらみの中で学徒兵や民間人犠牲者の姿をしっかり映し出し、 大戦の犠牲者数をラストで大書して「殺される側」のこだわりを示した岡本版の目線との何という相違か。 監督がどこを向いて仕事をしているか、よくわかる。
[映画館(邦画)] 4点(2015-08-16 21:45:37)
500.  リアル鬼ごっこ(2015) 《ネタバレ》 
折角の85分という魅力的な上映時間を長く感じさせてしまうのはNGだろう。  オープニングの空撮には『シャイニング』、羽毛のモティーフは『新学期 操行ゼロ』を連想させ、 ヒロインは『幻の湖』のように疾走しまくるが、後半は文字通り失速してしまう。  羽毛が宙に舞い、枯葉が巻き上がる前半は健闘するが、それも後半には露骨にメタファーと化し、 風は吹き止み、説明へと至る。  ヒロインの運動神経の鈍さは見るからに歴然だが、鈍いなりにもう少し見れる走りをして欲しい。 懸命に走っているつもりなのはわかるが、それでも生温い。  そうでなければ、後半の叫びも運命を変える決意も響いてこない。
[映画館(邦画)] 4点(2015-07-20 14:01:50)
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