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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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521.  女王陛下のお気に入り 《ネタバレ》 
テューダー朝とは比べ物にならないけど、スチュアート朝もけっこう宮廷内はグチャグチャでなかなかのものです。登場人物はまずアン女王、英国の歴代女王としてはもっとも影が薄く、実際にも明敏な知性や決断力を持ち合わせてはいなかったみたいですが、治世中にはグレートブリテン王国(スコットランド王国との正式な合邦)が発足したりしてそれなりに国勢は伸長しています。そして彼女の幼馴染でもある筆頭女官のサラ、彼女の夫はマールバラ公ジョン・チャーチル、そう英国史上最良の軍司令官にしてウィンストン・チャーチルやダイアナ皇太子妃のご先祖様です。アビゲイルはサラの従妹で、彼女を頼って宮廷に仕官してきました。この女王とサラの関係がなんとも生々しいんです。即位する前から苦楽を共にしてきた親友みたいな感じで、女王に対するツンデレな態度がもう堪りませんし、さすがにこれはフィクションでしょうが二人はレズ関係なんです。いかにも策士といったレイチェル・ワイズと、ただのおばさんにしか見えないオリヴィア・コールマンの対比が面白い。オリヴィア・コールマンは普通のおばさんみたいなのに突然女王らしい威厳を見せるところなど巧みな演技、ヘレン・ミレンに続くクイーン女優の誕生ですか。ルックスからするとヴィクトリア女王役にも最適じゃないでしょうか。カメラ・ワークも独特で、魚眼レンズを使ったカットが頻繁に使用されているところが不思議な感覚です。全編を八章に分けたストーリーテリングなんかはどことなく『バリー・リンドン』を彷彿させられます、時代設定もほぼ同時期ですしね。でもアン女王には配偶者(王配)がいたのになぜか登場も言及もなく、まるで独身みたいなのが不思議。まあこの撮り方の方が、女王の孤独が強調されているとも言えますが。 面白いのは当時の宮廷政治の状況で、このあたりが現在まで続く英国議会政治の始祖と言えるのでしょう。一応トーリー党とホイッグ党という二大政党の体制ですが、議会が開催されていない時は宮殿であひるの賭けレースに興じたり、なぜか素っ裸になった大臣にみんなでトマトをぶつけて遊んだり(なんかの罰ゲーム?)、まるでガキの集団みたいです。議員といっても全員貴族、当時の上流階級の退廃ぶりが窺えます。この宮廷政治や外交政策の決定に、サラやアビゲイルの助言が影響力を持っていたとは史実とはいえ恐ろしくなります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-27 21:01:14)
522.  エリザベス 《ネタバレ》 
ドロドロ・コテコテの宮廷劇といえばもうイングランドのチューダー朝がピカイチ、この暗さと複雑な人間関係がたまりません。その集大成と言えるのがエリザベス一世治世ですが、この映画はその前半部分でスコットランドのメアリー・スチュアートとの関係や外交をばっさり切って、暗殺がらみの陰謀とロバート・ダドリーとの愛憎に絞ったストーリー展開となっています。 エリザベス女王はもちろんケイト・ブランシェットの当たり役にして出世作、ルックスはもちろん話し方や訛りまで変幻自在なカメレオン女優ケイトの面目躍如です。この映画はまだ若いころの出演ですが、改めて観てケイトはティルダ・スウィントンと瓜二つというかキャラ被りしてたんだなと、つくづく感じました。特にラストの白塗り顔になると区別がつきません、こんなことに喜んでいるのは私だけですね(笑)。だけどストーリーテリングは、ロバート・ダドリーとのメロドラマに軸足を置き過ぎた感じは否めませんでしたね。ここら辺を観ていると、知ってはいましたがよくもぬけぬけと“ヴァージン・クィーン”なんて言わせたものだ、さすがヘンリー八世の娘だと感心します。そこにエリザベスの秘密警察長官であるウォルシンガムが絡むわけですが、このジェフリー・ラッシュはなかなかいい味だした演技です。メアリー・オブ・ギーズの死の件やロバート・ダドリーの謀反とその処遇なんかは初耳でどう考えてもフィクションですが、まあエンタティメントですから五月蠅いことは言いますまい。だけどあまりに重苦しいストーリーテリングで、ちょっとは息が抜けるところがあっても良かったんじゃないかな。そういやヴァンサン・カッセルのアンジュ―公が女装趣味の持ち主だったとエリザベスにばれるシークエンスがありましたね、この映画で唯一笑えるシーンでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-01-23 23:51:01)
523.  娼婦ケティ 《ネタバレ》 
ポール・ヴァーホーヴェンがハリウッドに行く前にオランダで撮った五本の長編映画の一編です。“娼婦”なんて邦題がついているけど、実は五本の中でいちばん大人しい映画なのかもしれません。ケイティ・ティッペルという女性の自伝小説が原作で、この人はなんとノーベル文学賞の候補になったことがあったそうです。 時は1881年のオランダ、ケティは貧しい労働者の家庭の生まれ。五人姉弟の二女だけど姉はしょうもないアバズレ、アムステルダムで娼婦をして家族を養っています。母親は長女に「もっと稼いで来い!」とハッパをかけるとんでもない鬼母です。雨が降ると家中くるぶしまで浸水、暖を摂る為に家族全員の靴を燃やしたり、ここら辺の貧困描写はヴァーホーヴェンらしく容赦ないです。仕事もクビになりよくあるパターンでケティも娼婦になるのですが、姉の様に娼館勤めではなく街娼(俗に言う立ちんぼってやつです)、しかもヒモよろしく母親が見張っているときます、ほんとに怖―いおばはんです。ところが商売中に知り合った画家のモデルになり、彼を含む三人の男がケティの運命を変えることになります。 結論から言うと後年自伝を書く作家になるぐらいですからハッピーエンドは当然のごとく予想できますが、『マイ・フェア・レディ』のヴァーホーヴェン版になってもおかしくないけど、そう単純な撮り方を彼がするわけないですよね。オランダ時代のヴァーホーヴェンは反権力・左翼的な視点が目立つ撮り方をしていますが、本作でも労働運動や極端な貧富の差などの社会矛盾が前面に出されていて、それに翻弄されながらも逞しく生きるヒロイン像が描かれています。ケティ役はモニク・ヴァン・デ・ヴェン、『ルトガー・ハウアー/危険な愛』では脱ぎまくってとんでもない演技を見せてくれた当時のヴァーホーヴェンのミューズです。本作では脱ぎはしますが比べたら大人しいもので、これは当時彼女と実質的な夫婦関係だった撮影のヤン・デ・ボンに遠慮したみたいです。ルトガー・ハウアーは気障な銀行員というキャラで出演ですけど、彼らしくないなんか可愛らしいルックスでした。 なんか大河小説の抜粋版の映像化というのが印象ですが、ヴァーホーヴェンはプロデューサーの介入が多かったとブツクサ言っていたそうです。それでも音楽なんかに青春もの映画のような雰囲気があったりして、ヴァーホーヴェンらしい味わいがあったのは確かです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2020-01-19 22:54:02)
524.  エイリアン3 《ネタバレ》 
リドリー・スコットもジェームズ・キャメロンも関わらない企画段階の迷走を知ればしるほど、出来上がりがこれじゃあほんと誰得だったんでしょう。歴代脚本案のキャッチ―なところを繋げて薄くしたようなストーリー、これなら最初のウィリアム・ギブソン稿をそのまま映像化した方が良かったんじゃない?いまや鬼才と崇められるデヴィッド・フィンチャーとはいえ当然若造だったわけで、プロデューサーの権力が絶対のハリウッドで彼の才覚が本作の構成に影響を与えた可能性はなく、所詮雇われ監督だったというわけです。 ストーリーの半分もいかないところで刑務所長と監獄医がエイリアンの餌食となってしまい、あとに残されたのはむさ苦しい坊主頭の無個性な有象無象とリプリーだけ、せめてエイリアンに暴れさせてやればと思うけど一頭しかでてこないしあまり見せ場もない。それにショックだったのはリプリーがSEXしちゃうところで、別にこの映画のシガ二―・ウィーヴァ―にはそういう魅力は感じないけど、なんかアイドルのスキャンダルを見せられたようで微妙な感じです。まあこういうところが唯一デヴィッド・フィンチャーらしいと言えるかも。 宗教色が加味されあのラストですからこれでエイリアン・シリーズは終わったと当時は思っていましたが、まさかリプリーを復活させて『4』が製作されるとは夢にも思っていませんでしたよ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-01-16 23:41:33)
525.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
インディ・ジョーンズ、19年ぶりまさかの復活、ルーカス&スピルバーグのコンビにも大人の事情があったんでしょうね。 舞台は50年代でインディがネヴァダの実験場で核爆発に巻き込まれる衝撃の絵面と敵役はソ連ということで、新しい展開を期待していました。実はこれはプロローグで、その後の展開は前三部作からスリル・シークエンスの寄せ集めをみせられた感じでした。インディの「むかしパンチョ・ビラに誘拐された」というセリフからすると劇中の年齢は60歳を優に越えているわけで、ハリソン・フォードの実年齢とはシンクロしています。前シリーズは1930年代の設定、第二次世界大戦の間にインディ・ジョーンズは大学教授ながらもOSS(CIAの前身)の工作員として活躍し、冷戦時代はソ連と闘う反共の闘士というアメコミのヒーロー顔負けの設定。おまけに第一作目のマリオンまで久々の登場、そしてインディの息子までも…『ダイ・ハード』もですが、長寿のシリーズになると息子が出てくるというのがトレンドというか一つのパターンになってきているのでしょうか。ストーリー展開はプロローグのロズウェル・ネタから始まって古代マヤ文明と繋げてもうテンコ盛り状態、もう歳で体もあまり動かなくなっちゃってるハリソン・フォードを活かすかたちでのCG映像という感じもします。ハリソンは『最後の聖戦』のころとはあまり変わってないところは、メイクがいい仕事をしています。 まあハッピーエンドの閉め方は、第一作のラスト・シーンにつながるもので、スピルバーグはこれでインディ・ジョーンズは打ち止めにするつもりでしょう(そう思いたい)。印象深かったのはラスト・シーン、風に吹かれて飛んできたきたインディ・ジョーンズのシンボルであるハットを息子が拾おうとするのを、インディが先に取り上げるところ。ハットを頭にのせて悠々と教会から出てゆくハリソン・フォードの姿には「インディ・ジョーンズはハリソン・フォードだけのもの、彼とともに消えてゆくのさ」というスピルバーグの心の叫びが聞こえてたような気がしました。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2020-01-14 22:38:27)(良:3票)
526.  九十九本目の生娘 《ネタバレ》 
新東宝カルト映画は数あれどもっとも有名(?)な作品で、新東宝の歴史を紹介する書籍などでは必ず取り上げられます。 「日本のチベット」「部落」なんてセリフが頻繁に出てくるのがソフト化しにくいカルト映画になってしまった理由かとも思いますが、実際は十年に一度の祭りで処女の生き血で焼き入れした刀を打って神に奉納する一族が、被差別民だったサンカを連想させるというのが関係者をビビらせたのかもしれません。原作小説は『九十九本目の妖刀』で『妖刀』を『生娘』に変更したのはもちろん新東宝のワンマン社長である大蔵貢のアイデアですが、あえて『九十九本目』を残したおかげで日本語としてはおかしいけど奇妙な語感が出ています。九十九本の刀が揃うと一族の願いが成就するというのが触れ込みですが、990年も同じことしてきたのかと、あきれるばかりです。そんな大事な処女が必要なのに、よりによって三原葉子を誘拐してくるとは、もうコメディです。この処女調達役の婆さんが実はこの映画で一番キャラがたっていて、化け猫映画で有名な五月藤江が演じています。もうこれは彼女フィルモグラフィ中最高の怪演といって差し支えなく、若い娘を見てにやりと笑う不気味な表情は下手すりゃ夢に出てきそうです。 新東宝のプログラム・ピクチャーは大抵ストーリーが途中で(始めからというケースも多い)破綻してしまうのですが、この映画は予想を裏切り最後までしっかり撮られていました。ラストでは弓矢で攻撃してくる住民と警官隊の銃撃戦という奇妙な光景を見せられたりしますが、西部劇を観ているようで不思議と違和感がありません。主役クレジットの警官役である菅原文太はあまり目立たないキャラでしたが、新東宝時代の文太は壮絶な大根役者なのでこれが正解です。エロとグロが売り物だった新東宝でしたが、本作はその中でも希少なエロと伝奇をくっつけた路線だったと思います、でも正直エロはほとんど無いに等しかったですがね(有名な三原葉子が下着姿で水車に括り付けられているシーンはありませんでした、どうもスチール写真だけみたいです)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-01-11 22:38:51)
527.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
今やレジェンドとなったクイーンですが、日本で流行りだした当初は圧倒的に女性ファンが多いいわゆるミーハー・バンドって感じでした。当時の中高生男子が支持するのはレッド・ツェッペリンやピンク・フロイドやディープ・パープルといった面々で、「けっ、クイーンなんて…」という風潮でした。フレディ・マーキュリーがゲイであることは当時でも周知で、とくに男子にはホモということが敬遠される要因でもありましたね。決してロック界の王道ではなくサブカル扱いだったわけですが、この熱狂的な日本の女子ファンの底力がクイーンを世界的な存在することに貢献していることは認めなければならないでしょう。この映画が社会現象になっていた時リアルタイム世代の男性音楽ライターや文化人がクイーンを語っていましたが、「お前らそのころホントにクイーンが好きだったのかよ、ツェッペリンだったんじゃないの?」と心の中で優しく突っ込んでいました(笑)。 とは言いながらも期待して視聴したわけですが、意外と普通の出来の音楽映画という感じで拍子抜けしました。中盤すぎまで脚本もありふれた伝記映画という感じで、クイーンの音楽製作の実態にもっと迫った撮り方の方が良かったんじゃないかな。比べちゃうのは失礼かもしれませんが(どっちが?)、『スパイナル・タップ』の方がよっぽどリアルなロック映画ですよ。レミ・マレックの熱演を否定するわけではありませんけど、フレディー・マーキュリーを「我が強くて仲間とも諍いが多かったけど、エイズになってけっきょく良い人になって早世した人」とかなり単純化した人物像にしたのは安易なような気がします。それでも大してクイーンが好きでもなかった自分なのに、劇中流れるクイーンの楽曲を全部知っていたのは、我ながら驚きました。そしてライブ・エイドのシークエンスはやはり鳥肌ものです、その再現力は凄過ぎです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-01-08 22:56:10)
528.  眠狂四郎 円月斬り
第三作にして、題名に使われるぐらいで円月殺法がクローズアップされてきました。刀をグルっと一回りさせるだけの構えがなんであんなに無敵なのかは、私には剣道の嗜みがないのでさっぱり判りません。でも雷蔵が実演するといかにも凄い剣法みたいになるのは、さすがです。今回は冒頭から首が飛ぶは腕が斬り落とされるは、そして当時としては珍しく流血描写があるはでちょっとハードな路線です。狂四郎のニヒルさも徐々にダーク色を強めてきました。悪役は将軍ご落胤とその母親となりますが、それと狂四郎を取り巻く登場人物たちがけっこうキャラが立っていて、ストーリーに深みを持たせています。町場のセットやラストに炎上する橋などけっこう作りこまれていて、これぞ大映京都のスタッフの底力を見せられた感じがしました。肝心の円月殺法は劇中二回しか披露されなかったと思いますが、そこで一句。「狂四郎 雑魚は無視する 円月斬り」お粗末でございました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-01-03 22:32:14)
529.  翔んで埼玉
GACKT・伊勢谷友介・京本政樹そして中尾彬と濃い面々が揃っていて、もうそれだけでゲップが出そうです。そのうえ、BLチックな展開ですからねえ。まあ有名なギャグ漫画の映画化ですからあまり突っ込んでも無粋ですが、思ったよりも笑わせていただきました。私的には河を挟んで埼玉勢と千葉勢が“ご当地芸能人バトル”を展開するところがツボでした。千葉勢がYOSHIKIを出してくるとGACKTがたじろぐという自虐ネタなんか最高じゃないですか。群馬の扱いはもう笑っちゃうほど酷かったですが、ほとんど無視の栃木や茨城と較べたらマシですよ。でも、これって関東圏住み以外の人達にはウケるのかな、という疑問はありましたね。関西でも同じようなディスりあいはありますので、それはそれでネタにして一本映画にしたら面白いでしょう。 くだらないけどなんか徹底してない撮り方なのがちょっと不満でしたね。『テルマエ・ロマエ』と同じ監督だから、まあしょうがないってことですね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-12-31 23:20:30)
530.  80日間世界一周 《ネタバレ》 
も~懐かしいですね、有名なこの映画のメインテーマを聞くたびにどうしても『兼高かおる世界の旅』を思い出しちゃうので困ったものです。80日どころか80時間(人工衛星を使えば80分かな)もかからずに地球を一巡りできる現代ですが、観光もせずにひたすら陸路と海路を突き進むだけで80日かかる時代だったんですね。 この映画には、まだハリウッドに余裕があったころの優雅な雰囲気が満ち溢れています。主役にデヴィッド・ニーヴンを引っ張ってこれたことがまず大成功でしょう。彼も「自分が演じたもっとも好きなキャラ」と生前語っていたそうですから。スペインやインド、そして日本など世界各地でロケしているところがまたすごい、とくにインドのロケしたシークエンスは力が入っています。鎌倉大仏でロケした日本シークエンスは明治初年の時代設定なのに男性がみなチョンマゲ姿というところがちょっと微妙ですが、明治の初めなんて髷を切っていない人が多かったそうですから、あまり五月蠅く言わない方が良いでしょう。カメオ出演は本作が元祖だというのは有名ですが、やはり最も鮮烈だったのはフランク・シナトラでしょう。まさかあのピアノ弾きがシナトラだったとは意表突かれました、封切時の劇場ではさぞや観客が湧いたことでしょうね。あとピーター・ローレやジョージ・ラフトも印象に残りましたが、ラフトは後に『カジノロワイヤル』にやはりカメオ出演した時もほぼ同じ演技だったのは笑えます。 時代を感じさせるゆったりした展開の映画ですが、ストレスなく愉しめるので正月休みにのんびりと観るには最適の一本です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-30 23:45:26)
531.  虚栄のかがり火 《ネタバレ》 
ブライアン・デ・パルマのフィルモグラフィ中で、最大の興行失敗と批評家からの酷評を浴びたのが本作。トム・ウルフの原作は80年代アメリカ文学の代表作と言われているぐらいですから、普通に映画化すれば興行収入はともかくとしてもそれなりの映画に仕上がると思いますけど、観たらこれはボロクソに貶されるのは何となく納得いたしました。 そもそもこの映画は悪名高きプロデューサー・コンビであるグーバー&ピーターズの企画であり、責任の大半は彼らにあったと考えるべきでしょう(製作途中でコロンビアに引き抜かれてデ・パルマがプロデュースを引き継ぐが、事態は余計に悪化するはめに)。このコンビが製作した本作と『ハドソン・ホーク』『ラスト・アクション・ヒーロー』は90年代を代表する底抜け超大作の三羽がらすと呼ばれていますが、そのうち二本にブルース・ウィリスが顔を出しているのはさすがですね(笑)。 原作の登場キャラはみな人間のクズみたいな連中だったのに、トム・ハンクスとブルース・ウィリスが中途半端に善人的な側面を見せてしまうのが大失敗なのは一目瞭然でしょう。これはワーナー側からの要求に従って書き換えられた脚本のせいです。驚くべきはラストの展開で、最初はハンクスとウィリスが法廷で大暴れして滅茶苦茶にするというシュールな結末だったのを、モーガン・フリーマンの説教に替えられたそうです。公開版では冒頭のブルース・ウィリスの長回しがラストシーンに繋がるようになっていますが、拍手している観衆の中に悪玉の登場キャラまで混じったカーテンコールみたいになっているは興ざめもいいところです。ほんと、これではただのイイ話にしかならないじゃないですか。さすがにデ・パルマも納得はいかなかったと思いますけど、これが最終編集権を持っていない場合の悲哀なんでしょうね。映像や美術はデ・パルマらしさがあるので、実に残念です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-12-28 23:30:19)
532.  サテリコン 《ネタバレ》 
原作であるペトロニウスの『サテュリコン』は大部分が欠落した写本しか後世に伝わっていないので、フェリーニはそこを逆手にとって独特のイマジネーションを投入して世にも不思議な映画に仕立て上げたという感じでしょうか。それでも有名な「トルマニキオの饗宴」のシークエンスだけはきっちり映像化しています。主演の極端なまでに美しい美男子三人と名の通った女優以外はとてもプロとは思えないような異形の男女、そしてフェリーニが大好きなフリークまで登場させてきます。音楽というか挿入される音自体がぶっ飛んでいて、ケチャや弔いの場面では般若心経まで使われています。ここまで来るともうローマ時代の物語とは思えず、むしろフェリーニ映画に付き物のサーカスの世界なのかと感じてしまいます。演劇関係の人たちにはとくに本作は好評みたいですが、正直な感想わたしが今までに観たフェリーニ作品でもっとも難解でした。でも登場人物たちが壁画の中に戻って行くラストだけは、「さすがフェリーニ!」と唸らされました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2019-12-26 21:03:08)
533.  最後の脱出 《ネタバレ》 
“元祖ハリウッドの俳優監督”として知る人ぞ知るコーネル・ワイルド、クリント・イーストウッドやジョン・カサベテスの大先輩にあたるわけです。この時代に俳優が自分の資金をつぎ込んで映画を撮ったわけですから、彼のどの作品にも低予算B級ながらも独特の作家性が見られるのが特徴です。 この映画は、言ってみれば人類滅亡型ロードムービーです。この映画で人類というか地球の環境が死滅に追いやられる原因は、植物を枯らすウィルスと汚染物質による世界的な環境破壊です。1970年という早い時期に環境破壊(この時代の言葉では公害かな)をメインテーマにした映画は、かなり先駆的な視点だったんじゃないかと思います。舞台は英国、全世界で人類を破滅に導く飢饉から逃れるためにロンドンから北部にある兄の農場へと避難の旅をする一家がメインキャストです。この映画のストーリーテリングは、そのシーンの後に起きる出来事を短いカットで頻繁に挿入するカットバックならぬカットフォワードとも言える手法で、この撮り方はコーネル・ワイルドが得意とするところです。主人公の建築家が、単純な正義のリーダーじゃないところも注意すべきところでしょう。演じるナイジェル・ダベンポートは初代ジェームズ・ボンドの候補だったぐらいのマッチョスタイルの俳優で、なぜかアイパッチをつけた海賊の首領みたいなキャラ、とても知的な建築家には見えません。家族を守るためとは言え映画の前半から知人の銃砲店に押し入って銃を強奪するは、道中で見かけたレイプされて瀕死の女性を射殺するはで容赦がありません。言ってみればこの男とその家族は、英国中でさまよっているモラルを捨てた他の難民たちと何ら変わりのない存在で、彼らの行動を突き放したような冷徹な視点で見せてくれます。暴走族一味に妻(コーネル・ワイルドの妻ジーン・ウォレス)と娘もレイプされますが、このシーンもこの時代にしてはかなりエグい描写です。驚くのは同行する難民の女性が出産するシークエンスで、出産シーンの実写をダイレクトに使っているところです(もちろんボカシは入っていますが)。こういう生々しくやり過ぎ感が濃厚な描写を好むのも、ワイルドの作風であります。 草が枯れて家畜が死んでゆくだけで人類が滅亡することになる、映像的には荒野をただ歩き回っているだけといういかにも低予算を逆手に取ったような映画です。ラストも何とか戦いを制して生き残った建築家たちですが、環境汚染という根本が解決されたわけでもなく暗い幕締めでした。とは言え監督の鋭い文明批評だけは伝わってきて、『マッドマックス』なんかにも影響を与えたんじゃないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-20 21:04:14)
534.  散歩する霊柩車 《ネタバレ》 
監督・佐藤肇、音楽・菊地俊輔、後に『吸血鬼ゴケミドロ』でもタッグを組んだコンビですね。佐藤肇は東映のホラー・ゲテモノ映画担当というイメージだが(もっとも『ゴケミドロ』は松竹が製作)、TVでは『悪魔くん』『特捜最前線』『キイハンター』などの演出を担当しています。主演は西村晃と春川ますみで、同年には今村昌平の『赤い殺意』に本作と同じような役柄で出演しています。そういえばその他の主演者も渥美清をはじめ東映映画では珍しい顔ぶれなのが特色かもしれません。 ストーリーは、タクシー運転手の西村晃とホステスで浮気性の春川ますみの夫婦が、春川が自殺したことにしての浮気相手を恐喝しようとするところから始まります。上手く騙された会社社長から500万円をせしめますが、そこから二人の思惑を超えた泥沼の展開に陥ってしまいます。冒頭の霊柩車を運転する渥美清と助手席に無表情で座る西村晃のタイトル・ロールが凄くインパクトがあります。霊柩車に春川を載せて浮気相手の職場に乗り付けるわけですが、これは右翼に街宣車で攻められるよりもダメージを受けますよね。渥美清は恐喝には関係ないあくまでわき役なんですが、ほとんど無表情でどこか投げやりなセリフ回しの演技が印象的で、彼はほんとに凄い役者だったんだなと実感させていただきました。こうやって書くとすごく面白そうな映画じゃないかと思われるでしょうけど(実際私もそうでした)、中盤から展開がモタモタした挙句に突拍子ない方向に進んでゆくのでがっかりさせられます。ネタバレしすぎるので詳しく語れませんが、多少現実離れしたストーリーは基本ブッラクユーモアなのでOKですが、繰り出されるエピソードにいまいちキレがないのでクダクダ感がどんどん強くなってしまいました。 使われる音楽の雰囲気やラストまでに主要キャラがみんなお陀仏になってしまうところなんかは、さすが『ゴケミドロ』コンビの仕事という感じが濃厚でした。たとえれば、せっかくいい食材が手に入ったのに、料理人の包丁さばきがイマイチだったので美味しくなかったというのが正直な感想です。それこそ今村昌平がメガホンをとったら、傑作になっていたかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-12-15 23:20:51)
535.  復活の日 《ネタバレ》 
自分は80年代の邦画の質が下落したのは角川映画と、「とりあえず監督は深作欣二」という安易な風潮が映画界に蔓延したことが原因だと思っています。たしかに70年代後半から80年代にかけての深作欣二のフィルモグラフィは、アクション時代劇からSFまでないのは恋愛映画ぐらいのなんでもあり状態、まるで60年代のロバート・ワイズみたいな感じでしょう。でもワイズと違ってSFに関しては惨憺たる出来で、このジャンルを彼は根本的に理解していなかったとしか言いようがないです。 原作は小松左京で、彼のSF長編第一作目になります。もちろん『日本沈没』より前の作品で、分量としては『日本沈没』の半分もいかない小説ですが比べ物にならないほど雑な作品です。原作の九割は謎のウィルスによって人類がほぼ滅亡するまでのお話しで、映画で半分を占める南極に残った人々のストーリーはほとんどエピローグのような語り口になています。映像としては人類が滅亡するまでの過程を丹念に見せるのが醍醐味なのに、やたらテロップとニュース映像を多用していて、深作欣二はそこから完全に逃げたって感が強いです。当然のことですが映画の後半部分の脚本はかなり書き込まれたものとなっています。草刈正雄たちがワシントンに到着した途端に地震が起きたり、相互確証破壊システムによって発射された核兵器の放射能がウィルスを無力化させたり、なんかご都合主義が鼻白みますがこれは原作通りなので大目に見てやって下さい(原作では、発射されたのは中性子爆弾が多数を占めていたので、放出された中性子がウィルスを変化させたが地球の大気には放射能と違って残存しなかった、という映画以上のご都合主義です)。南極の人々の関心はいかにして人類を存続させるのかということに集中しているようになっていますが、男女比が百対一では鼠じゃないのだからもうアウトでしょ。南極社会は完全に一妻多夫制になってしまうわけですが、この「産めよ増やせよ」状態は現在の世相では炎上間違いなしでしょう。 カネを積んだことが判るのはオリビア・ハッセ―を始めとする渋いハリウッド俳優たちで、まあ彼らもプロですから最低限の仕事はしましたって感じですかね。もっと凄いのは実際にチリの潜水艦をチャーターしたり南極でロケしたりしているところでしょう。マチュピチュにまで足を運んでロケしたりここまで来ると木村大作カメラマンの単なる暴走と言えなくもない。雄大な風景を「どうだ、凄いだろう」とドヤ顔で見せることに費用をかけるなら、もうちょっと脚本をしっかりさせて欲しかったですね。
[映画館(邦画)] 4点(2019-12-13 23:54:28)(良:1票)
536.  レッド・スパロー 《ネタバレ》 
暗い雰囲気のストーリーが延々と続くし、観終わっても壮快感なんか一ミリも無いし、あんまり人にお奨めできる作品じゃなかったかと思います。ジェニファー・ローレンスが体を張って頑張っていると言われても数か所あるヌードシーンは遠景だったり暗かったりで言うほどのことはなしで、リアルでアレな画像が流出しちゃってる彼女としてはこの程度のヌードで騒がれても屁でもないでしょう。それよりも、全編通して笑顔を見せたカットがなかったんじゃないかと思うぐらいの仏頂面演技が、彼女の真骨頂でしょう。監督が『ハンガー・ゲーム』シリーズと同じなので、彼女としてもやり易かったかもしれません。それにしてもロシア保安庁(もとはKGB)の禍々しさはどこまで実態を反映させているのか判りませんが、最近のロシアの実情から考えるとあり得るのかなと感じます。シャーロット・ランプリングが出てくるスパイ養成所なんて、雰囲気はまるっきりソ連じゃないですか。 ジェニファー・ローレンスの叔父の保安庁高官を演じる役者が、あまりにプーチンに似ているのにはちょっとびっくりです。やはりこれは確信犯なんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-11 23:41:47)
537.  ペギー・スーの結婚 《ネタバレ》 
この映画はタイムスリップものなのか単なる夢オチなのか判断に苦しみますが、コッポラは後年『胡蝶の夢』なんかも撮っていますので、自分にはこれは夢オチなんだろうという気がします。キャストが現在の視点で観るとけっこうな面子が揃っていて、中でもフランシス・コッポラ&ソフィア・コッポラ&ニコラス・ケイジという最初で最後であろう親族コラボ(『コットンクラブ』でのソフィアはエキストラ出演みたいなもの)は貴重でしょう。現在ではフランシスは映画監督は引退したも同然だし、ソフィアの監督作にニコジーが出演するなんて想像もできませんからね。ニコジーは本作では『初体験リッジモンド・ハイ』のころの面影とヘンな発声は残っていますが、割と理性的な部分もあるキャラでした。このニコジーはギリ高校生に見えなくもないですけど、万人が認める通りキャスリーン・ターナーは熟女のコスプレ以外の何物でもなかったです。他に撮っていないことからも推測できますが、コメディとくにラブコメはコッポラがもっとも苦手とするジャンル(あとSFもひどいな)みたいで、本作はイマイチ吹っ切れていないところが評価を下げています。まあこの映画をコメディと思うほうが間違いかもしれませんが。ジョン・バリーの音楽は『ある日どこかで』を彷彿させてくれて良かったです。やはりノスタルジーを音楽で表現させたら、彼の右に出る者はいないんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-12-07 22:43:52)
538.  眠狂四郎 勝負 《ネタバレ》 
柴田錬三郎に原作を改変しないと約束させられて撮った前作はどう観ても失敗作となり、思い切って不義理をして大胆に脚色して臨んだのがこの第二作。試写を観た柴田は無言で去ったそうですが、後に「俺の負けだ」と述懐したそうです。 前作に比べると雷蔵のキャラは明らかにニヒルさと無常観を漂わせるようになり、眠狂四郎のスタイルを確立する方向に進んでいるのは判ります。やっと普通のチャンバラ映画の水準に達した、というところでしょうか。でもまだ狂四郎がイイ人すぎるし、だいいちよく喋る。原作との違いはわき役キャラを明確にしたところらしいですけど、そのバイ・プレイヤーたちがいい味を出しています。勘定奉行の加藤嘉が飄々としたキャラで魅了してくれるし、雷蔵との絡みがまた味わい深いものがあります。狂四郎をとりまく三人の女たちもそれぞれの個性を出していて、とくに高姫役の久保菜穂子の怪しい色気が良かったですね。突っ込むとすれば、高姫サイドが藤村志保を通じて五人の剣客を集めて勘定奉行と狂四郎を狙うところで、なんでそんな回りくどいことするんだろうというのは当然の疑問で、またこの五人の個性が希薄で活躍もしないところでしょうか。でも三隈研次らしい映像美には注目です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2019-12-02 23:20:15)
539.  ブラニガン 《ネタバレ》 
『マックQ』の続編かと思いきや、主演が刑事でジョン・ウェインということ以外は共通点はなく、役名もジェームズ・ブラニガン(あとアイルランド系であるという設定はお約束です)。勤務地もシアトルからシカゴになっていますけど、二作とも当時の刑事もの映画で定番だったNYを舞台にしていないのは、ジョン・ウェインのNY嫌いが反映しているのかな? 『マックQ』の翌年の製作なのに、ジョン・ウェインはやけに老けて衰えた感じは濃厚でした。この映画は『ブラック・レイン』や『レッド・ブル』などの刑事バディ+異文化衝突パターンの元祖みたいなものです。ロンドンでブラニガンとはからずもコンビみたいな関係になるのがリチャード・アッテンボローで、チビの世襲貴族の警視と大男のシカゴ刑事の凸凹コンビはいい味出していました。軽いコメディタッチのストーリー・テリングも軽快で、ジョン・ウェインも刑事役二作目で肩の力が抜けてきた印象です。監督はというと、英国ノワールの快作『電撃脱獄・地獄のターゲット』のダグラス・ヒコックスじゃないですか、どおりでブラニガンを狙う殺し屋がモーゼル・ミリタリーを使ってたわけです、この監督はほんとモーゼル・マニアですね。刑事ものは悪役に魅力があるかが評価のポイントの一つだと思いますが、悪徳弁護士を演じたメル・ファーラーが実にいい味を出していました、さすが名優です。 ジョン・ウェインの人生はこの後5年足らずで、ほとんど遺作に近い本作で刑事役は終わりました。もし彼の刑事役挑戦が10年いや5年でも早かったら面白い刑事ドラマの連作が残せたかもしれません。この映画の様に一作ごとに勤務地や役名を変え、ジョン・ウェインのキャラがアイルランド系大男の刑事という設定にしていたら面白かったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-29 23:25:24)
540.  マックQ 《ネタバレ》 
この映画を観たのは学生時代、自分を含めて20人ぐらいしか観客がいない名画座でした。マックQが暗殺者を返り討ちにしたシーンで、目撃者が警官に証言するところで「私の名前はジェームズ・カーター…」と言ったところで半分ぐらいの観客が爆笑したんです。その当時は大統領選挙が始まっていて、民主党のジミー・カーターという候補に日本でも注目が集まっていました。ご丁寧に字幕でジェームズをジミーと変えてウケを狙っていたんでしょうが、それがガラガラの名画座で見事に成功したってわけです。余談でした。 『ダーティハリー』のハリー・キャラハン役へのオファーを蹴って後悔することになったジョン・ウェインが、悔し紛れに遅まきながら初の刑事役に挑戦した一編です。舞台はシアトル、お話しは警察内部の麻薬の横流しとそれに気付いて一匹狼になって真相を追及する初老のデカ、まあ70年代の刑事もので良く見かけるパターンです。とうぜんウェインは馬じゃなくカッコよい車(フォード・マスタング?)を乗り回すんですが、なぜか住まいが小型クルーザーだったりして、なんか刑事らしくないキャラです。そしてコルト・ピースメーカーからチェンジした武器はイングラムⅯ10、私もこの銃を始めて見たのが本作でしたが、ただの長方形の箱にグリップをつけただけみたいなアヴァンギャルドなスタイルにはショックを受けたものです。ウェインは慣れない現代劇でしかも初刑事役ということもあってか、どこかぎこちない感じが強かったです。監督がジョン・スタージェスですからあまり盛り上がらない地味なストーリーもそつなく纏めていますが、ラストの海岸でのカーチェイスだけは正直見ものです。地味な絵面かもしれませんが、波打ち際をあれだけ猛スピードで車を疾走させるのは高度な運転テクニックが必須です、良い子は真似しないでね。 良く判らんのが最後の閉め方で、麻薬の横流しは殺された同僚刑事とその妻が主犯という撮り方なんですが、その刑事や愛人を消したのはいったい誰?という当然の疑問があります。これは上司のエディ・アルバートたちが黒幕という解釈しかできないのですが、みんなで仲良くコーヒーを飲んでエンドって、いったいどうなってるの?
[映画館(字幕)] 5点(2019-11-28 22:35:01)
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