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161.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
-Tora!Tora!Tora!- “ワレ奇襲ニ成功セリ”の意味だけど、タイガーの虎ではなく、トとラをくっつけた通信暗号で、意味は持たない。 真珠湾攻撃を真面目に映画化した作品。当時は第二次大戦の史実をもとに、ダイナミックに戦場を描くことが、戦争映画という娯楽映画のいちジャンルとして成立していた時代。空母の甲板に並ぶ水兵たち。真珠湾基地の風景、居並ぶ軍艦と航空機たち。日米両側の軍備に迫力を感じる。もちろん開戦からおよそ30年も経っているし、模型だったり現行兵器そのままだったり、当時のものを完全再現した訳じゃないだろうけど、やっぱ凄いわ本物。 見終わってから知ったけど日米合作とのことで、それで日本の描写も丁寧なんだなと感心。ハリウッド映画の日本人に有りがちな怪しい日本語ではなく、きちんとした日本語で、しかも関西弁まで出てきて驚いた。でも写真の『U.S.S.ARIZONA』はカタカナ表記が正解でないかな?極力公平に作ろうとしたためだろう、アメリカ人俳優と日本人俳優を1人づつ交互に流すエンドクレジットにも注目。  魚雷訓練で低空飛行をしている攻撃機に手を振る遊女。鳥居のそばで釣りをするおじさんなど、日本軍と民間人の身近さが感じられた。敵艦のシルエットクイズ風訓練風景なんか、とても日本人らしく和やかに描かれている。一方で大海原を走る空母赤城の勇姿。発艦する零戦の朝焼けに映える美しさ。いざ開戦というピリッとした空気が、日本は怒らせると怖い国だという事が、ビシビシ伝わってくる。アメリカ映画なのに、血が通った日本人が描かれている。 序盤中盤と政治的な駆け引きが多いが、後半に集中する真珠湾攻撃は迫力満点。 滑走路で一発撮りの爆破シーン、逃げ惑う兵員たちの命がけの撮影は、CGでは絶対に出せない臨場感。 容赦なく破壊されるP-40にカタリナ飛行艇。逃げ惑うB-17。基地内で働く日系人青年に向けられる敵意の目。 ハレイワ飛行場のケネスとジョージの活躍、機銃を撃つ黒人調理師が、辛うじてアメリカ・サイドの溜飲を下げる。  映画の大半は開戦に至る過程を丁寧に描写していて、特に日本側の、戦争を避ける為の努力が感じられる。 アメリカ側は、日本との開戦に危機感を感じている者と、あの場に及んで呑気にしているものの落差が大きい。 でも詳しくないけど、そもそも開戦前のアメリカが、日本と大使館の暗号電文を傍受して解読するのって、国際法的に犯罪じゃないの? 日系アメリカ人のゲリラ活動を恐れて滑走路に集められる航空機。もみ消された空襲前の潜水艦撃沈事件。たまたまB-17編隊の到着と重なったレーダー基地での未確認機影のキャッチ。 真珠湾で大打撃を被った失態。これは変えようのない事実で、この映画はあの時、何故そうなったか、些細な行違いと不運なミスの重なりに、真摯に向き合っている姿勢が見て取れる(…言い方を変えるとミスした士官に責任を擦り付けているようにも)。 一方の日本側は、開戦に前向きな士官に対し、実際にアメリカを見てきた山本長官の言葉に重みが感じられる。 戦争を回避できなかった野村・来栖両外交官。目的の空母を沈められず、艦隊を引き上げる南雲長官。開戦の最後通牒の前に攻撃をした事実を受け止める山本長官。みんな他人のせいにはせず、自分自身の責任として受け止める姿勢が、今も昔も変わらない日本人らしさに思えた。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-08 22:16:11)
162.  友だちのパパが好き 《ネタバレ》 
フワついたタイトルから、おっさんの願望をそのまま映像化したような作品を想像してたけど、なんか違った。 そう視点が違った。自分の世界に入っている人を、一歩引いて客観的に撮ってるから、主要人物の殆どに感情移入出来ない視点で観えるんだな。 恭介がマヤと(劇中)最初にキスするシーンは通行人同様、たまたまその場で見てしまったように観せる。二人の関係も、LINEの交換、ファーストデート、ファーストキスといったドラマチックな場面を省いて、もう関係が出来上がってからをぶつ切りで見せる。 食堂のミドリと川端の会話も、たまたま食事中、向かいのグループの会話が聞こえてしまった風に。仕事外で何かあった事を匂わすだけ。客観的に観ている私は、二人に何があって今に至るかを、会話から想像する造りになっている。もの凄い演技力も要求されるわこの撮り方は。  自殺を図る先生。主観的に撮れば、先生の辛さを感情移入できるくらいドラマチックにも出来たろうに、そこをたまたま通りかかった他人のハヅキ視点で観せる。おじさんに自殺を止められて、説教されて、逃げようとして、生徒に見られて。客観的に観ると、何とまぁカッコ悪い。 広いようで狭い世の中で、それぞれ点だった登場人物が徐々に、モヤモヤモヤ~~~っと線で繋がっていき…結末は割愛、ご自身で。  話は逸れるけど、便秘になってモヤモヤ。それがスカッとするほどでないけど、ようやく出てきました。 一応どんなの出たか見ますね。でもマジマジとは見ないですね。ありがとう。とか、さよなら。なんて感情は抱かずに、冷たい視線を送って、機械的にジャーっと流しますね。 「やぁーやあ」「やあ、やあ」 身体から出たウ○コが、その後どうなったかなんて、ホンッットどうでも良いですよね。 いやぁ~面白かったわー。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-05 14:34:50)(良:2票)
163.  エクスペンダブルズ2 《ネタバレ》 
お祭り映画第2弾。前作より更にグレードアップ&パワーアップとは、まさにこの映画のこと。観客に期待されていることを期待以上に見せてくれたと思う。前作でやや消化不良だったシュワちゃんとブルースの出番の少なさに、今回ちゃんと活躍の場を与えて、スタローンと3人揃ってバリバリ撃ちまくりの画。これさ、こういう画を観たかったんだよ。ブルース「アイル・ビー・バック」シュワ「イピカイエー」そうそう、こういうの。 画面では悪党がバタバタ血を吹き出して死んでいくんだけど、吹っ飛ぶ悪党がスーパースターを盛り上げる紙吹雪やネオンライト、紙テープや花火に思えてくる。観ててとってもホッコリする。  前作のガンナーの扱いから、チームから死人が出るのは予想外だったけど、①“除隊後の夢を話したら死ぬ”あるある。と、②メンバーの誰が死んでもおかしくない緊張感。の、2つの目的があったのかな?ランボーⅡをリスペクトして、マギー辺り死んでしまう可能性もあったかも?って。でも変に死を引きずって、湿っぽくならない作りはさすが。  チャック・ノリスはホントもう、“よく出てくれましたで賞”を差し上げたい。チャック・ノリス・ファクトもバッチリ決まってた。 今作が前作以上のお祭りになった一因だけど、チャック・ノリスとヴァンダムの登場にある。ジェット・リー、ミッキー・ロークらA級映画の(懐かしい)スターが共演していたのが前作。ノリスもヴァンダムも、メインはB級アクション映画の(懐かしい)スター。前作から出ているドルフ・ラングレンもB級映画がメインだけど、ロッキーⅣの繋がりで出演した感が強かったと思う。この、見えないけど確実に存在するA級とB級の壁を取っ払い、お互い対等に肩を並べて楽しいものを作る姿勢が、観ていて清々しいお祭り感を与えてくれた。言わば“全国区の有名ラーメン店”と“地元民が常食する老舗ラーメン店”が、一緒にわが街(アクション映画界)を盛り上げようって企画のようなもの。 単に火薬量と登場人物を増やしただけの続編が多い中、このグレードアップ&パワーアップは評価せざるを得ない。アクション映画最高!次にも期待。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-01-22 14:26:35)
164.  バトル・ロワイアル 特別編 《ネタバレ》 
~『バトル・ロワイアル』のつづき~  この時のたけしはまだ若くギラギラしていて、出てくるだけで存在感が凄い。原作はあくまで生徒たちが主役で、教師はここまで物語に絡んでこなかったと思う(途中までしか読んでない)けど、映画では主役級の役割を持って登場している。 まるでセリフを喋るように、感情的に話す生徒たち(もちろん演技指導で)と違い、普段の話し方の北野武がまた怖い。桐山役の安藤政信が自らセリフを一切排除した理由も、もしかしたら邦画のセリフっぽいわざとらしさが嫌いだったのかもしれない。  キタノが自分を殺させようとする中川に掛ける言葉「中川、頑張れ」が、自殺した七原の父が書いた「秋也ガンバレ!!」とオーバーラップ(※このキタノのセリフのシーンに、七原の父のシーンを流してしまう親切さが余計。だけど同世代の子供に観せたいという意図があったろうから、敢えてだろうけど)する。 自分が死ぬ。となった時、当然生きるよう努力すると思う。それが無理だと悟った時、冷静であれば、生きられない自分の代わりに、特定の誰かに何かを託したくなるのかもしれない。クサイ話だけど、生きた証を誰かに託す行為。 子供たちも、42人のうち41人が死ぬルールから、自分が生きる可能性が限りなく低いなか、僅か15年の人生の知恵を絞り、生きる努力、生きない決断を自分で選んでいく。子供たちの死に様をみせる映画から見えてくる、子供たちの3日間の生き様。 GPSを持った杉村が、片思いの琴弾に好きだと伝えたくて奔走する。誤って自分を撃った琴弾に「逃げろ」という気持ち。好きな子に気持ちを伝えることに残りの命を使う気持ち。そんな事ができる子供たちだから見えてくる、どこかに忖度のない、残りの人生の使い方。彼らより長いこれからの人生を私がどう生きるか、とても考えさせられた。 最後に「走れ。」とメッセージ。詰め込み過ぎと言うか自己満足と言うか、邦画らしいダサさがまだ残ってる。  今回買ったDVDが特別篇と書いてあって、追加シーンがあるんだそうだ。観たのもう20年近く前だし、公開版とどこが違うのか、調べないと解らなかったけど、物語に深みを持たせる回想シーンとかが追加されているようだ。殺し合い中の他の生徒の動きとかは特に追加がなかったのは残念だけど、バスケのシーンも相馬の過去も、悪くなかったと思う。  当時あれだけセンセーショナルだったこの作品だけど、今だったら数あるシチュエーションの一つに過ぎない。この作品以降、必然性もなく人の命を使った、殺人ゲーム的な作品がたくさん出てきた。多くの作品が『私だったら“このゲームを”どう生き残るか?』って、今置かれている理不尽な状況からの生還を考える程度に過ぎない。 「人生はゲームです」今置かれている特異な状況だけに収まらず、これまでの生き様まで踏み込んだこの作品は、先駆者にして稀有な存在に思える。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-16 16:05:04)(良:1票)
165.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
当時は洋画ばかり観ていたから、もしかしたら初めて劇場で観た邦画かもしれない。お金の掛かってない邦画はテレビやレンタルで観るもので、わざわざお金を払ってまで…って考えで。 原作本が出る時にたまたまラジオで「中学生同士が殺し合う小説」って聞いて、何とも悪趣味な内容だなって思ってた。それが社会現象になって、映画化が決まって・・・テレビでは当然、肯定的な意見なんて取り上げられず、青少年への悪影響ばかりが取り沙汰されていたと思う。やはり中学生が、それも同じクラスの友だち同士に殺し合いをさせるという内容は、間違ってもコメンテーターが実名で「これ面白いですよ」なんて言えない時代だったと思う。 当時ネットとかあまりやってなかったから、私もテレビとかで言われる通り、表面的な話題性だけの、中身のない作品だろうと。当時流行っていたエヴァの亜種のように、気分が滅入るような殺し合いをネチネチ描写したものだろうと思っていた。 ただ怖いもの見たさと興味はあった。私ももう大人だし、この作品を通して何を思うんだろうか?アニメ以外で劇場で観る邦画は、どんなものか。  アクションはやっぱり当時の邦画だなって思った。銃の効果音こそ『バキューン!』では無くなってたけどリアルってほどではなく、まだ撃たれて死ぬ時、「ギャーッ!」って手足をバタバタさせて踊るような演技指導の時代だったから、当時流行ってた韓国のアクション映画に比べて、ひと昔前の作品感。 内容には引き込まれるものがあって、楽しい修学旅行から一転して、軍人に銃を向けられる非日常感。そこに退職したキタノが現れて、淡々と状況を説明される違和感。目の前でいきなり女生徒と親友を殺される恐怖と驚き。このあと時々国信のことを思い出すのがリアル。 有無を言わせず始まる殺し合い、出席番号順に名前を呼ばれ、自分のバッグを抱え、武器の入ったバッグを投げ渡されて、次々と走っていく場面の緊張感は、この映画イチの名場面だと思う。武器のバッグをキタノに投げ返す女の子が忘れられない。42人の生徒たちの個性、それぞれが考えを持って状況を捉えていることが、この映画を単なる“悪趣味な殺し合い場面集”と違うことを感じさせる。  単純に42人の殺し合いだから、2時間の映画では駆け足の殺人シーン・ダイジェストになるかと思ったけど、短い時間ながらそれぞれの個性をよく出せていたと思う。分厚い原作に細かい設定があったからこそだと思うけど。 どう見ても大人な川田と桐山も、殺し合いに参加する目的の、怪しい転校生(留年設定)として、案外違和感なく受け入れられた。何でも出来て安心感のある川田の関西弁キャラクターがホッとさせてくれて、主人公のサポートと、鑑賞者に状況を伝える重要な役割を担っていた。もし七原と中川が状況に振り回されるだけの映画だったら、観ている側も状況を理解するのに余計な時間がかかるし、生徒たちの掘り下げも浅くなっていたと思う。  ~『バトル・ロワイアル 特別編』につづく~
[映画館(邦画)] 8点(2022-01-16 15:59:21)
166.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
-Sicario-スペイン語、メキシコで“暗殺者”を意味するそうな。 オープニングのFBIとSWATの突入シーンから緊張感が高まる。35人以上の死体が練り込まれた家ってどんなだろう?って思ったら、ニュースで上空映像入れてくれる親切さ。 フェニックス州の乾いた土地の普通の家に、あんな沢山の死体と爆弾のトラップがあるなんて。 エンドレスで掛けたら滅入ってしまいそうな音楽も、緊張感を高めてくれて素晴らしい。 あれよあれよと“修羅の国”フアレス市に突入していく展開が見事。メキシコと言えばソンブレーロ被った陽気なメキシカンがタコス食べてコロナビール飲んでる印象だったけど、ネットの怖いサイトに、マフィアの処刑動画とかがいっぱい出てて、近年ガラッと印象が変わってしまった国でもあり、そんな“怖いメキシコ”を題材にしたこの映画は、ネットで見た現実とリンクした恐怖と緊張感を感じさせる。  国境を超えたギレルモ引き渡し作戦は、まるでブラックホーク・ダウンのような緊張感。デコボコの道。高架に吊された死体。市民はスカッシュして遊んでる。「爆竹じゃないぞ」銃の音。「危険なのは国境だ」。並走してたパトカー消える怖さ。国境越えて渋滞で進まない車列。先手必勝は違法行為。凄い。 テッドの豹変も怖かった。国境を超えたこちら側にも犯罪は根を張っている現実。麻薬カルテルをコントロールするためにFBIを利用するCIA。夕闇に消えるデルタ部隊の映像の美しさ。ケイトたちに見せる予定の派手な銃撃戦。見せるつもりのなかったその先。汚いものの先に更に汚い現実。銃を突きつけての誓約書のサイン。 トランプ元大統領が国境に壁を作るって言ってたけど、この映画見たら反対する理由が思いつかない。 本当によく出来た怖い映画だ。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-01-09 17:37:27)
167.  バットマン(1989) 《ネタバレ》 
クリスマス感を味わいたくて、昔を思い出しながら観ました。 '89年の年末は、ゴーストバスターズ2、ビオゴジ、バットマン、BTTF2が次々公開。2G2B対決と銘打たれ、映画好きには期待感ハンパないシーズンでした。 このなかで唯一続きものじゃないバットマンは、ダークホース的な存在だったけど、プリンスのサントラ・アルバムが先行販売されるカタチになり、あの印象的な黄色と黒のバットマン・マークの認知度も高くなってたのもあって、公開前からとても斬新でとてもオシャレな映画の印象があったっけ。  タイツを履いた子供向けなヒーロー映画のダサい印象を、黒いラバースーツのバットマンが変えたと思う。 今でこそコメディ要素が感じられるけど、当時は影を背負った大人も楽しめるリアルなダークヒーローとして復活させたのもインパクトが有ったし、漫画チックな悪役ジョーカーをアカデミー俳優のジャック・ニコルソンが怪演したことも話題になって、なんか大人が本気で創ったヒーロー映画って感じが良かった。 ヴィッキー・ベール役のキム・ベイシンガーの魅力&脚線美が炸裂。劇中ハイヒール3回も脱いでます。戦場写真を撮っていた設定に対し、すぐ悲鳴を上げるとことか、水を掛けられたジョーカーの背中をポンポンするとことか可愛い。  ティム・バートン作品らしく、メカ、美術のこだわりも強く出ている。退廃的なゴッサムシティのヤバさ、空気感。森の中を走るバットモービルの格好良さ、飛行機(名前わかんない)が月と重なる美しさ。 ジョーカーがヴィッキーにプレゼントするガスマスクのリボンが緑と紫なのとか、凄いこだわりだと思う。  これまた全然クリスマスな内容じゃなかったけど、エンディングに流れるプリンスのスキャンダラスが、セクシーで素晴らしい。 ストーリーがしっかりしていて、それでいてオシャレで、とても満足度の高い大好きな映画の一つです。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-01 18:01:10)
168.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
-Good Will Hunting-主人公の名前である“善人、ウィル・ハンティング”って意味と、“人の好意を求めて”って2つの意味があるみたい。マット・デイモンがまだカッコいい美青年だった頃の映画で、日常の荒々しさと天才的知能を発揮する場面のギャップが格好良く、バーで大学生を知識で言い負かすのはスカッとする。共演するベン・アフレックも、前に出過ぎない程よい存在感を出せていて、とても好感を持てる。  映画で語られるように、ウィルが本などで得た知識と、実際に実物を目にしての感想は別物。例えば写真で見る清水寺と、実物の清水寺の違い。現地に行かないと感じられない空気感とか佇まいとか。だけどそれは、修学旅行で興味のないガキの時に実物を見ても、あまり入ってこない。でも歴史に興味を持ってからに観る清水寺の、何と素晴らしいことか。そんなコトをぼんやり考えながら観ていた。  マグワイヤもランボーも、スカイラーもチャッキーも、異口同音に今のウィルの境遇を認めたうえで、次のステップを勧める。ある程度まで人間関係が進むと、自ら心を閉ざすウィル。気を許せる幼馴染みのチャッキーの思い『ノックをする前の10秒間』の話はとても心を打った。学がなく単純労働しか出来ないチャッキーが、人間関係に臆病なウィルに勘付かれもせずに、あんな思いを抱いていたなんて。 マグワイヤとランボーが、それぞれの思いでウィルのことを熱く語るところも素晴らしい。出てくる人みんな良い人ばかりだ。 今回久しぶりに鑑賞して、ウィルの最後の決断を勘違い(どこか優良企業に就職したと思ってた)して記憶していた。ウィルと接する登場人物で、思いの変化が一番あったのはスカイラーだと思う。かけがえのない人間関係だけど、あそこで動かなければ生涯失ってしまう関係がスカイラーとの関係なので、まず何より、カリフォルニアに旅立ったのがとても良い終わり方だと思った。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-12-12 17:17:17)
169.  悪い種子 《ネタバレ》 
-The Bad Seed-邦題まま。“ワルいシュシ”って読んでたけど“ワルいタネ”が正しいそうな。Seedは“子孫”って意味もあるみたい。 どこかで聞いたことがある『月の光に』ってフランス民謡が、とってもとっても印象的に使われている。楽しげに、悲しげに、不気味に。1956年の映画なのに、8歳にしては大人びた少女ローダ(といっても演じたパティ・マコーミックは11歳)。この時代だとまだまだ嘘くさくても、わーい!わーい!と“子供は子供らしく”描かれてる時代だとばかり思ってた。 けどローダは生意気でその辺に居そうで、とてもリアル。特にリロイに対する受け答えとか、8歳にして人を見下した態度なんか、ホントよく表現できてると思うし、犯行を追求されて一気に感情を爆発させるところなんて、とても11歳の子役の演技とは思えない。  殺されたクロードの母ホーテンスの演技がまた迫力があって圧巻。理不尽な怒りをぶつけるのではなく、子供を失った悲しみと怒りがズシンとのしかかるような、観てるだけで重たくなる演技。静かな夫の演技がまたホーテンスを光らせる。 リロイの死をペンマーク婦人の目線で伝える演出も素晴らしい。モトはミュージカルだそうだけど、この“目線だけ”っていうのがとても映画らしい表現。それでいて安直な人が焼ける状況を見せるのを避けたのも上手い。こんな状況だからこそ、テンポよく弾かれるピアノが狂気を感じさせる。  娘に睡眠薬を飲ませるため瓶を移し替える母も怖いし、母を疑って瓶を確認するローダも怖い。 観客に口外を禁じた最後のオチって、ミュージカルとの違い全部のことだろうか?カミナリと復活は意外性というより唐突で、何の解決にもなってないような気がしたけど、ほのぼのとしたカーテンコールとお尻ペンペンはとても大好き。ズウゥゥ~~ンとした重たい空気をいっぺんに軽くしてくれた。冗談みたいなカミナリのシーンまでが、とても緊迫してて丁寧に熱演されていたから活きてくるエンディング。こんな終わり方なら、友達と観終わって「怖かったねー!!」って笑って帰路に着けるわ。  『何だかんだ言っても、あなたはまだ子供なのよ』ってお尻ペンペン。アカデミー助演女優賞にノミネートされながらも、受賞はさせなかったの、まだまだハリウッドも子役の将来を考えられる、大人の余裕な対応をしたのかもしれない。こんな小さな子に、悪女役で賞を与えてしまうと、パティのその後の人生が狂ってしまうだろう。って。 子役スターとして持ち上げられすぎて、その後の人生を駄目にした子って、たくさんいたからね。 …それでも、あの圧巻の演技には、子役賞とかあれば良かったのにって思ってしまうかな。すごかったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-06 13:13:37)(良:1票)
170.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
-Skyfall-造語。あるサイトに“天が落ちても正義を成就せよ”というラテン語の格言から引用…って書いてあったけど、真偽の程は定かではない。 クレイグ・ボンドも安定の3作目。前の2作が前編・後編だったので、実質本作からが新しい展開となる。 列車上のアクションで、パワーショベルの橋を渡った後、カフスボタンを直すのが、何とも言えないくらいセクシーで格好良い。アクションヒーローは沢山居るけど、こんな仕草が似合うのはやはりジェームズ・ボンドだなって思う。あと前作にあった“2秒で切り替わる忙しいカメラワーク”も出てこないので、迫力のアクションを安心してじっくり楽しめた。  死んだと思われたボンドが復帰テストを受けるのは新鮮。スパイの秘密兵器を少しずつクレイグ・ボンドのリアル路線の世界に馴染ませてくるのも面白かった。もっとも、現実にありそうな銃と発信機とシンプル。本シリーズは秘密兵器で冒険はしないんだな…と思わせといて、マシンガン搭載のDB5登場にニヤリ。テーマソングの使い方も見事。射出座席もあるよ。って感じにシフトノブの蓋を開けるボンドがお茶目。これ1作目でディミトリオスから巻き上げたDB5(改)だろうか?  前作のボンドが、スパイなのにコマンドー並みに暴れまくってたけど、今回はMI6の仲間との連携、チームワークを感じさせた。Qが若者だったり、現場エージェントが実はマネーペニーだったりと、今までのイメージを覆すお馴染みのキャラの登場のさせかたで、往年の007らしさを上手に取り入れてきたと思う。最高齢のボンドガールをMが熱演。ボンドだけでなくMも人間味がどんどん出ていて良かった。Mの交代劇も『そうなるんだぁ』と納得してしまった。あれ、名字がマロリーじゃなかったら“M”じゃなくなってたのかな?ボンドの手に渡る犬の置物も涙を誘う。  今回ボンドの出生地が舞台で、ジェームズ・ボンドというのがコード・ネームじゃなく本名だったことに軽く驚いた。 エンディングでお馴染みの『JAMES BOND WILL RETURN』も、てっきりコード・ネームだからこそ。と思ってたから…
[映画館(字幕)] 8点(2021-11-25 23:51:08)
171.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 
-The Bank Job-想像通り“金庫破り”とか“銀行強盗”のスラング。 ジェイソン・ステイサムだし、気軽に観られるクライム・アクション映画かな。と思って視聴。なんか、冒頭の“1970年カリブ海”の字幕を見逃した私が一番悪いんだけど、ず~~っと現代劇だと思って鑑賞してた。テリーはクラシックカーの修理屋で、携帯とかはたまたま使わず、あのゴツい無線機にも違和感を感じず…。実話ベースなのもエンドクレジットまで気付かず…かなり疲れてたのかな、なんかもったいない観方をしてしまったよ。そんな疲れた状態でも眠くもならず楽しめたから、大した映画だ。  仲間集めからプランニング、穴掘り、警官が見に来るピンチまで、銀行強盗もののお決まりの展開だけど、ペストの死者の墓(?)が出てくるとこが、観てる私にも予想外だったので面白かった。サクサクと進む穴掘り。簡単に穴が開く銀行の床に、『(現代劇だと思ってるから)そんな馬鹿な…』って思いつつも、貸し金庫の中身の多様さが面白い。洗ってないパンツなんて、入れるんだなぁ。 無線傍受から警察出動。16kmより細かく範囲を絞れないなか、一軒一軒警官を送って見回るマゴマゴしさから、救急車を止めて無線の様子を探るグッドアイデア。それを覆す無線機落下のアクシデントは、なかなか手に汗握る展開。ワゴン車を変えての脱出成功に一件落着と思いきやの、その後のたくさんの組織、人間が複雑に絡み合った展開が面白い(この辺から時代設定に薄々気がつく)。  テリー、MI-5、警部、ヴォーゲル、汚職警官らがパディントン駅に集合するゴチャまぜの展開はワクワクするし、最後テリーがヴォーゲルをボコボコにするのは痛快。よく出来たクライム・サスペンスだなぁと観終わってからの、実は実話な衝撃。 チキン・インが本当にあったこと、マイケルXによるゲイル・ベンソンの殺害、'70年代のマーガレット王女の荒れようと、ミック・ジャガーとのウワサ…って、そのミック・ジャガー出てるし。知れば知るほど面白い話でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 14:13:44)
172.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
-The Downfall: Hitler and the End of the Third Reich-“没落:第三帝国の滅亡とヒトラー” 日本の終戦映画というと、一般市民目線や末端の兵士目線で描かれたものが多く、この映画のように上層部を描いたものって、思いつかない。戦国時代や幕末のものならあると思うけど、やはり太平洋戦争だと難しいのかな。  ドイツだってこういう、過去の忌まわしい歴史をほじくり返す映画を撮るのは、色んな面で難しかっただろうに、偏り無くしっかりと描いていると思う。なんか『国民は騙されてた!』とか『みんな本心はナチスに反対してた!』とか『ユダヤ人に同情してた!』とか、後のせサクサク作品にも出来たろうに。ヒトラーでさえ人間味と温かみを感じさせる描き方が出来るなんて、歴史への向き合い方がスゴいなぁドイツ。 ゲッベルス、ヒムラー、ゲーリング。本部の地下壕が舞台なため、大戦史上の重要な人物がふらっと出てくるのが観ていて豪華。「銃殺されに来た」と出頭するヴァイトリング将軍。インフラ破壊命令を拒否したシュペーア大臣。独裁者の絶対命令に対し、自分の考えで行動した姿が印象深い。エヴァ・ブラウンもとても魅力的な女性に描かれていて、ユンゲに高級なコートを渡すシーンとか、彼女の死の向き合い方がよく描けたと思うし、死の直前の結婚式なんて実話とは思えないようなドラマチックな展開に思えた。  ハンナ・ライチュの強行着陸は、たぶんヒロイズムになるから描かれなかったんだろうけど、彼女自身を熱狂的なナチス信者として描いている。もっと狂信的なのがゲッベルス婦人で、生き延びる道を模索するでなく、ヒトラーの死後に希望を見出だせないからと、自分の子に毒を飲ませる姿は、恐ろしくも悲しくもあった。 ヒトラーにしろゲッベルスにしろ、ベルリンを守る市民に対してコレっぽっちも気持ちがないのが、歴史に残る悪党らしくて、逆に清々しい。市民には一切同情しないけど、自分の子に毒を飲ませるのを全部妻にやらせるゲッベルスというのも、ある意味人間臭くてリアルかもしれない。  最後、現代のユンゲの「ホロコーストを知らなかった」は、嘘偽りのない事実だと信じよう。だけど当時の貧しい敗戦国から、ヒトラーを信じることで、豊かな生活とゲルマン人の誇りを手に入れたドイツ国民が、もしホロコーストの事実を知ったとして、ナチズムやヒトラーを止める事が出来たとは思えないし、きっと見て見ぬ振りをするしか無かっただろうから、あの最後の映像があっても無くても、ユンゲの答えは「知らなかった」しか無かったと思う。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-14 18:22:20)
173.  バベットの晩餐会 《ネタバレ》 
静かだけどすごい映画だ。ついつい2回連続で見てしまった。 ユトランド。海と草原しか無い寂しい土地。常に灰色の雲の掛かった重たい空。そこで育つ美しい姉妹。高貴な士官との恋愛や、パリの大舞台の歌姫を夢見ることもあっただろうけど、人生を謳歌すること無くただ年老いていく。姉妹も村人も、まるで生まれた時から死ぬ準備をしてきたような敬けんな信者だ。干したヒラメと乾いたパンを、水に浸して戻して煮るだけの質素な食事。この質素な食事が、まるで彼らの味気ない人生のように見える。 そんな村人も、普通の人らしく浮気をしたり人を騙したりもしていたようだ。年老いて人生の幕引きを間近に控えて、お互いにいがみ合う。質素で敬けんな彼らの歩んだ人生は正しかったんだろうか?  野心のまますべての夢を叶え将軍にまでなったローレンスは、人生に虚しさを感じていた。かつて喝采を浴びた歌手パパンは世間から忘れられ、寂しい老後を過ごしている。フランス随一のレストランの料理長だったバベットは、革命で夫と子を失い辺境のユトランドに流れ着いた。華々しく夢を実現してきた彼らの人生の末路。自分の選んだ人生、その選択は正しかったのか?  宝くじはバベットにとって、フランスとの唯一の繋がりである。一晩の晩餐会にその全額を投じたバベット。 村人にとって生涯たった一度であろう豪華な料理が、彼らの心を開かせ、過去の罪を許しあい、輪になって神への感謝の歌を歌う。 かつて無言で村を立ち去ったローレンスは、あれからおよそ50年ののち、マーチーネに告白する。その気持ちを受け入れるマーチーネ。 ヨボヨボだったレーヴェンイェルム婦人が最後、杖も使わず背筋を伸ばし、馬車に飛び乗る。 ローレンスのスピーチ、神の恵みに条件など無い。選択したものは手に入った。拒否したものさえ与えられた。 デザートのいちじくを手掴みで頬張る村人も、丁寧にナイフで切って口にする将軍も、口に広がる味は同じ。どちらの人生も正解だ。 自分で選んだ人生なら、どんな人生にも間違いはない。  タイトルの晩餐会、-Gæstebud=Feast-は“入念に準備したごちそう”だそうな。その晩餐会にバベットは顔を出さない。 この映画のタイトルは、料理を食べることではなく、創ることを表しているんだろう。料理は目で見て味わう芸術を作ることであり、人生も芸術。 神のもとに逝くのが人生の集大成=テーブルに出されるごちそうだとしたら、この長い人生はキッチン=入念な準備と丁寧な調理なのかもしれない。 キッチンで格闘して、料理という芸術作品を作り出す姿こそが、バベットの人生そのものなんだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-03 10:40:29)
174.  スターシップ・トゥルーパーズ 《ネタバレ》 
~Starship Troopers~宇宙船の突撃部隊。宇宙の戦士ってSF小説が原作。 少年「僕だって戦うよ!」兵士たち『ハハハハ!』コレです、このワザとらしい演出。ヤラされてる感がキモい。 兵士の手から弾丸を貰い、嬉々として軍用ライフルを構える子供たち。死刑の生中継が娯楽になり、ゴキブリを踏み殺すとママ大喜び。 「良い虫は死んだ虫だ!」実際の災害現場で決めゼリフ。まるでバラエティ番組のような死者数のカウント。WARの文字の入り方。 人類が先に戦争仕掛けたって?虫相手に戦争を?そんなの成立するの?なんか、素直に信じられんのですけど…  軍事政権下、恋にスポーツに、若者らしい青春を謳歌したあとは、秀才もバカも当たり前のように軍に入隊する。 男も女も全部平等。訓練も食事も寝る部屋もシャワーも一緒。これならフェミニストも文句ないべ? 参政権ほか魅力たっぷりな市民権を得る為に、良く解らん巨大昆虫と戦ってバタバタと死んでいく若者たち。 走る兵士の息づかい、勇ましい音楽、飛び散る手足。死の生々しさがダイレクトに伝わる。戦車?パワードスーツ?そんなのもったいない、銃持った人間使った方がコスパ良いし…ってかい。死に方グロいわ。無残で恐いわ。観てて過呼吸になりそうだったわ。 巨大な宇宙船の発進シークエンス。宇宙ステーションに漂う被弾した戦艦たち。轟沈するロジャー・ヤング、宇宙に吸い出されるクルーたち。脱線する脱出ポット、宇宙を漂う死体。なんだこの作り込み具合は。 「恐怖心だ…怖がってるぞ!!」『イエアー!!(空に銃バババッ)』ISISか?何と野蛮な、何て無慈悲な、テンション下がるわ。 目の前でボーイフレンドが脳みそ吸い取られて死んだ直後、自分がフった元カレと笑顔でズッ友宣言。変態だ。コイツら絶対変態だ。  主人公側の勝利なのにこのモヤモヤした感じ、一緒に喜べない感じ。この血みどろの戦いを、一歩引いて、戦争とは無縁の安全な場所で観る私らの感覚。 考えたら人類の歴史は戦争の歴史、長い歴史から見ると、今の私たちみたいな平和な状況が稀で、一見野蛮な彼らの姿が、本来の人間社会、人間の本質なのかもしれない。だって彼らのその気持ち、ちょっと理解出来てしまうから。そして“あぁ、平和な国・平和な時代に生まれてよかった”って再認識。 しかし何て映画だ。作った人間も変態だわ…って何だバーホーベンか。スゴいっす。
[DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 18:21:20)(良:1票)
175.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
“sequel trilogy(後日譚・三部作)”EP1~が新3部作だったので、こちらは“続3部作”としているそうな。 他のレビューでも書いたけど、SWはあくまでEP4~EP6が本編で、そこを十二分に楽しむための前日譚(その過去)と後日譚(その未来)という構成だと考えてる。なので本編を凌駕するようなビッグ・イベントや、世界観の無限の広がりを期待するのは、ちょっと違うような気がする。でも今回は新3部作と違い、結末が解らない楽しさがあった。公開前のイベントで初お披露目されたBB-8の可愛らしいこと。SWの世界観を壊さず、旧3部作よりちょっと先の未来を感じさせる素敵なキャラクターに期待が高まる。  続3部作は本編から約30年後の話。砂漠の星で朽ち果てているスター・デストロイヤー。EP4のOPで、幼かった私に未来を感じさせた超兵器が、この世界では過去の戦争の遺物となってる光景。レイの住処になってるAT-ATウォーカー同様、役目を終えた昔の戦場の主役たちの姿が、痛々しくも寂しくも感じられる。その流れからファルコンの登場には鳥肌が立った。スター・デストロイヤー同様過去の遺物だったファルコンのエンジンに火が入り、現役時代そのままに華麗に飛び回る。私がSWで観たかったのはこういうのだ。出だしから私の知っているSWとは別な世界を観せられたEP1と違い、懐かしさと安心感、特撮技術の進歩を感じさせる見事な展開だった。 結局、色んな新しいメカを見たい反面、私が一番見たいのはXウイングの活躍なんだよな。って気持ちを満足させるタイ・ファイターとの空中戦。 白髪頭だけど当時のまんまなハン、シワが増えたけど当時のまんまなレイアに、“私も心の中は当時のまんまだよ”と再会を喜べた。ハンの死は残念だけど、敵と戦ってピンチの中死ぬのも、年老いて安らかに死ぬのもハンらしくないから、あの最後で良かったんだと思う。続3部作は後日譚なんだし。  レイとフィン。2人とも中身がまだ子供だから、ファルコンでのやり取りとか、まだ恋愛って感じじゃないのがいい。真冬のスター・キラー基地で寒がってたチューイが、コートを見付けてハンに渡す愛情。それを見てかポーのジャケットをレイに着せるフィンが微笑ましい。 SWは家族と親子の話だから、レイの両親がレイを置き去りにして消えた理由、名前のないフィンの過去は今後の展開が気になる。 他にも今後解明されるであろう謎として、レイの名字=両親の謎。いきなりフォースを使える理由。ルークがEP5で無くしたライトセイバーの行方と、レイが共鳴した理由。スノークって何者?ベンとルークに何があったのか?なぜルークは消えたのか?…ベンって名前、ルークが付けたんだと思う。オビワンのことをずっとベンって言ってたし。 謎を多く残すけど、最後に神秘的なルークの登場。モヤモヤさせない、むしろ今後に期待できる素晴らしいエンディング。 トドメはエンドタイトルの最後に流れるオルゴールのようなSWのテーマ。EP1の最後がダースベイダーのテーマで、新3部作の重たい最後を暗示していた。ってことは、この続3部作でSWの環が閉じることを暗示させてるんだと。  これは単なる妄想だけど、公開当時、レイの顔って幼い頃のアナキン=ジェイク・ロイドに似てると思ったんだ。そしてベンは最後の方のアナキン=ヘイデンにちょい似てるかな?って。アナキンって父親がいないから、なんかそういう…時空を超えてスカイウォーカーの過去に結びつくような…そんな環の閉じ方をするのかなぁ?なんて思ったりもしてました。 あと、ファルコンのレーザーがシスのライトセイバーを連想させる赤、逆にタイ・ファイターのレーザーがジェダイな緑なのも、何かあるんだろうか?って。  気になったのはあまりにEP4をなぞり過ぎてる展開。スター・キラーとかファースト・オーダーの組織がデカすぎ。EP6の大団円から、レイア達が築いた共和国の平和って、30年も保たなかったの?とか。不満が無い訳でもないけど、ファンを満足させる素晴らしい続編の始まりだったと思う。
[3D(字幕)] 8点(2021-09-24 11:34:16)
176.  スター・ウォーズ/ジェダイの復讐<特別篇> 《ネタバレ》 
この特別篇はEP5よりは追加部分が解かりやすい。ジャバのコンサート…唇がとんがったエイリアンとか、やっぱりSWのキャラらしくない。砂漠を横断する野生のバンサの大群。そして勝利の宇宙各地のお祝いと、最後のアナキン=ヘイデンは後述。  レイアがルークに実の母の記憶を語るシーンから、当初パドメは出産後も生きている設定だったのか。だけどハンとの三角関係の落とし所として、兄妹設定はよく思い付いたなって思う。ハン「I Love You」レイア「I Know」前作見た人へのサービス・セリフ。 ヨーダが最後に無理を言う「ベイダーと対決してお前はジェダイとなる」そんなの無理な話なんだけど、これは避けられない戦いだし、負ければジェダイも希望も滅びる。シスとジェダイ、親子なのに共生の道が無いのが悲しい。 この歳になって思うのは、反乱軍は帝国に対し常に劣勢とは言え、無関係な原住民(イウォーク)を戦闘に利用するのってどうなのか。見た目は子熊みたいだけど、戦い方は投石とか石斧とか野蛮で怖い。石で何度も殴られて殺されるなんて嫌だ。というか、精鋭部隊のストーム・トルーパーがあの原始的な武器にやられるとか、ちょっと無理がある。 イウォークを毛皮ボールと小馬鹿にしつつも利用するのが、西洋文化の悪習っぽく感じられて、それがEP1のグンガン利用にも繋がってしまう。  宇宙戦は素晴らしく、アクバー提督は可愛くてキャラが立っていたし、エースのウェッジは3作連続で大金星。今作から出てきたAウイング、Bウイングは、現代兵器ではなく未来兵器っぽい形をしていて、今後作られる未来の話=EP7以降に繋がっていくことを予感させる。 シスは一時代に師と弟子の2人だけだから、ルークが暗黒面に落ちた時は、ダース・シディアスはベイダーを、ベイダーはシディアスを殺すつもりだったんだろう。ここはダース・ティラナスの最後を彷彿とさせる戦い。 レイアの存在に気がついたベイダーに、剣技とか関係なく力押しでセイバーを振り下ろすルークの気迫。 マスクを取ったアナキンは高齢で、とても40代には見えない。オビワンより老けて見える。DVD版で最後をヘイデンに差し替えるなら、ここも高齢メイクのヘイデンにしたほうが良かったのかも。  最後、エンドアの小さな宴から宇宙各都市のセレモニーへ。6作品の壮大なサーガの終わりとして、この特別篇の最後も良いと思う。 独りでベイダーを荼毘に付すルーク、親子の別れ。レイアはここに呼ばない。 お祝いの中心がエンドアで、そこに一緒に戦ったみんなが揃っていて(アクバー提督見付けられず)、その中心にハンとレイア、新しい家族の象徴。 ルークを呼びに来るレイア。見守るジェダイの2人の横にアナキンが現れる。ここがまさにタイトルの“ジェダイの帰還”だろう。“シスを倒しフォースのバランスを正すもの”アナキンの帰還。そしてその息子ルーク“ジェダイの誕生(もしくは継承)”の物語。だからジェダイの左側はヘイデンのアナキンで良いと思っている。…もう少し老けメイクにしてくれたら、なお良いんだけど。 そしてレイアには、アナキン達ジェダイ・マスターが見えてないのが、なんかすごく良いと思うんだ。この銀河は永遠に平和になったんだな~って。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-18 18:06:26)(良:1票)
177.  スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 《ネタバレ》 
~Return of the Jedi~ジェダイの帰還。帰還になって結構経つけど、当初は英題も~Revenge of the Jedi~だったそうで、公開時の“ジェダイの復讐”の印象が今でも強い。 帝国の逆襲の続きを、いつ観られるのか解らない穴埋めに、ケイブンシャのSW大百科を買って読んでたっけ。タトゥイーンに出てくるエイリアンや、イウォークの個体名とか、どうでも良い知識は増えたと思う。 それから数年後、初見はテレビだったか、友達にビデオを借りたのか、ちょっと覚えてない。  初登場時はほぼ白い球体だったデス・スターが、不気味な青みがかったグレーに。建造中でスカスカなのが更にリアルで巨大感を感じさせた。 序盤のタトゥイーンからダークな感じ。ロボットの拷問。ランコアの生贄やカークーンの大穴。おぞましい容姿のエイリアンも多数登場。この前半から親子の戦いに続いていくと、ちょっと重たすぎる感じなので、ライトなイウォークを挟んだのかな。 ベイダーがルークの父親だというサプライズが大いに話題になったことから、レイアを双子の妹にしたのか。シリーズ化の時からレイア=妹が決まっていたなら、EP5でキスシーンは入れないと思うけど…そのレイアの衣装がスゴいインパクトで、後のドラクエの女戦士や踊り子に多大な影響を与えたと思う。魔法使いのようなローブを着た強そうなルーク。再びレイアとのターザンロープ。この時のルークの頼もしそうなこと。男として、ヒーローとしての成長と安心感が感じられる。  宇宙や雪原とまた違って、森の中を木を避けながら猛スピードで駆け抜けるスピーダーバイクは、SWシリーズらしい迫力と新しい魅力があった。そして今作の目玉の一つスカウト・ウォーカー。前作でもチラッと出てたけど、絶妙なバランスでユーモラスに2足歩行する姿を堪能できる。丸太のトラップで破壊される様子は当時の最高レベルの特撮技術。  イウォーク…う~ん。3部作の最後の方に来て、急に子供向けにシフトしたようで、あまり好ましい展開ではなかったな。当時はE.T.が流行ったこともあり、ルーカスもフレンドリーで可愛い架空の生物を出したかったのか。だけど見た目がそれほど可愛いとも思えなかったし、デス・スター内ではルークとベイダー、皇帝が、3人とも黒い服着てダークな雰囲気で問答してるのと対照的に、緊張感が薄れるというか。グライダーのようなもので石を落とすとか、今までの世界観をぶち壊しかねなかったと思う。SWで出すべきキャラクターじゃあない気がする。  戦艦の間を縫うように飛び交う戦闘機の戦いは素晴らしかった。デス・スター突入も、今回は細い通路上の内部に入っての攻撃。コアを破壊したファルコンが炎に巻かれながらの脱出は手に汗握る迫力。 戦いに勝って、エンドアでの祝いの宴。サントラで聞いたイウォークの陽気な音楽。当時は“これで終わったんだなぁ”って、3部作の最後を彩る満足感があった。ルークを見守るオビワン、ヨーダ、それと…。左の人が誰か解らず、しばらくオーウェン叔父さんだと思っていたよ。だって髪があるから。後々アナキンだと教えてもらって、これぞ大団円、あぁ良かったなぁって思えた。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-09-18 18:03:58)(良:1票)
178.  暗くなるまで待って 《ネタバレ》 
~wait until dark~暗くなるまで待つ。 …意味はそのまんまだけど、“待って”と語りかけるような言葉だから、こんな怖いサスペンスだとは思わなかった。 マイクとカルリーノを部屋に誘う方法。指紋やタバコと言った痕跡の消し方、残させ方。リサの死体登場までも、ロートの一筋縄では行かないヤバい犯罪者っぷりが凄い。敬語を使わせる拘りも変態っぽい。ターゲットが盲目の女性で、ほぼ一人暮らしっていうのも絶対的に不利な状況。 スージー役のオードリー。彼女の体のラインがハッキリ解る上下タイトな服装で、驚くほど細くてびっくりした。椅子につまずくとことか結構思いっきり行っていて、目が見えなくなって長いことを感じさせる自然な演技だった。 人形が見つかった連絡から、部屋の中にマイクの他に無言の男が2人入ってる画の怖さ。外との繋がりが玄関と電話だけ。その電話線が切られる絶望感。観てる私は当然目が見えるだけに、この“助けたいけど助けられない感”が半端ない。 マイクすら微かな希望に思えてしまうほどのロートの変人ぶり。密室の生活空間をフル活用した攻防。序盤にタバコの消し忘れで大騒ぎを観せてからの、後半のガソリンを使った駆け引き。電球を壊して真っ暗なスージーの世界の追体験。上手いこと逃げられそうと思ってからの、期待を裏切る冷蔵庫。 最後刺さったナイフを持ったロートが、自分を殺そうと迫って、手の届く距離で苦しんで唸って死ぬまでの声や音を延々聞かされてたんだから、これは想像するだけでも怖い。扉の影で小さくなってるスージーは、不謹慎ながら猫のようで可愛い。 事件が解決したって、スージーの目は見えないままなんだよなぁ…って不思議な気持ちになると同時に、目が見えない弱みを利用した卑劣な犯行に、ニュースとかで聞く実際の高齢者詐欺の被害話とかが重なって、やりきれない気持ちになる。 それとグロリア。そういう年頃だから仕方ない気もするけど、弱い立場のスージーに対する意地悪が過ぎる。そもそも、グロリアが人形を持ていかなければ、リサさえも死ななかったんじゃないか? …なんて思ってしまうけど、ストーリーも演出もそのまんまで再映像化出来そうってくらい、全く色褪せてない良質なサスペンス。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-15 00:35:41)
179.  アラビアのロレンス 完全版 《ネタバレ》 
ロレンスの葬儀、語る人それぞれで一致しない人物像。スエズ運河の対岸でバイクの男が問い掛ける「お前は何者だ!?」 イギリス人でありながら、エル・オレンスという名を与えられ、1人だけの部族としてトーブに身を包む。カメラを向けられるとヒラリと舞ってみせる。自分のやることがほぼ上手く行って、神か英雄の気分だろうか、相当なナルシストなんだろう。 ガシムを処刑し流砂でダウドを死なせたことを「楽しんだ」と告白してしまう。アカバから休まる暇が無かったためもあるけど、この時すでにかなり精神的に追い詰められていたから出た発言に思える。オスマン帝国軍に捕まり、自信喪失してアッサリ転属を願い出るところは、理想よりも恐ろしい現実を見せつけられたんだろう。かと思えばモトの任務にもアッサリ戻るところから、行動に一貫性がない。子供のような人物だ。 村の虐殺に感化され、感情のまま皆殺し命令を出したり、ダマスカスを占領したけど、アラブ民族会議をまとめられなかったり。カリスマ性はあっても、軍人としても政治家としても一流とは言えないロレンス。ダマスカス侵攻中、まだ熟れてない葡萄を口にしたロレンス。上手く機能しないアラブ民族会議にバラバラに散るアラブ部族。“もし実れば見事な果実だった”は、ロレンス自身のツメの甘さ、未熟さを表すかのようだ。アラブのためと言いつつ、自分が誰かに認められるための戦いだったように思える。結局、あれだけの活躍をしたのに、イギリスにもファイサルにも利用され、終いには砂漠に居場所がなく、すごすごと本国に帰るしか無いロレンスが寂しい。だけど未だに国家としてまとまっていないアラブ諸部族を考えると、ロレンスの能力に関わらず、西洋とは文化が違いすぎるために、イギリスやフランスがアラブを国家というワクにハメること自体が、そもそもの間違いなんだとしか思えない。  この映像凄い。これは音楽とマッチして、とっても良いシーンだな。…とか思ったところがそのまんまウィキに書かれていて、なんかリーン監督の思うツボって感じでちょっと悔しい。 マッチの火を吹き消すと画面に広がる曙色の朝焼け。蜃気楼から現れるアリ。砂漠のアカバ戦で役に立たない大砲とその先の海。夕暮れの海岸をラクダで進むロレンス。想像を超える砂漠の世界の美しさ。映画という文化が伝える自然のダイナミズム。おそらく誰が観ても圧倒される映像美。オリジナリティのない表現で悔しいけど、これが映画だ。とても長い映画だけど、しばらくするとまた観たくなる魅力がある。 コロナの影響はもちろん、中東の不安定な政局を考えると、今後しばらくは、本物のこの風景を安全に見ることは難しいかもしれない。生きているうちに一度は見てみたいな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-09 00:52:02)(良:1票)
180.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
ロボットを“ロボ”って呼ぶの、日本だけだと思ってた。 ヤマハのスポーツ心臓とか核戦争ゲームとか、真面目にふざけたCM。ニュース番組は緊迫した世界情勢と街の事件をゴチャまぜにして、アナウンサーも同じトーンで話す。バーホーベンらしいブラックユーモア。『1$で楽しむべ~!!』いったいどんなコメディ番組だ?通して観てみたい。 警察が民営化された世界で、待遇の悪さからストを考える警官たち。ここもバーホーベンらしく男女同じ更衣室。 飛び散る血しぶき。緊急搬送されるマーフィーの痛々しさ。手術台のマーフィが本当に死んでそうに見えるリアリティもバーホーベンらしい。 こんなにバーホーベン要素が高いマニアックなバイオレンス映画なのに、何故か一般ウケした。思い返せばこの時代が映画の出血量のピークだったかもしれない。当時は結構血に耐性が出来ていて、逆に今観ると「うわっこんなに血が出てたんだ」って驚かされる。  その場の空気の作り方がとても上手。ED209が制御不能な時の科学者たちの慌てよう。モートンがトイレでジョーンズの悪口を言ってる時の他の幹部たち。一瞬でこちらにまでヤバい空気が伝わってくる。ロボコップ製作中のニューイヤー・パーティの浮かれっぷりも人間臭くて良い感じ。 悪党の1人がロボコップを観て、よくマーフィだと気がついたなって思ったけど、「デッドオアアライブ・・・!」同じセリフだったから気がついたのね。 マーフィを苦しめた第4指令と、最後の使い方が痛快。…てか撃たれるジョーンズを見るジョンソン嬉しそう。社長に名を聞かれ「マーフィ」と名乗るエンディングも痺れる。 ルイス巡査のその後、家族のその後、マーフィのその後。実際の続編はバイオレンス色が強くなりすぎたので、この名作の続きは心の中の想像で補完したい。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-09-08 22:56:50)
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