1. グラン・トリノ
《ネタバレ》 直球な差別用語の連発は語弊があるが分かり合えた仲間同士では粋であり、今まで演じてきた「頑固一徹・俺が正義なタフガイ」キャラは相変わらずで集大成と言える作品。でもそれでいて意固地に凝り固まっているわけでもなく、人種差別主義者で偏屈で頑固者だったはずが、ユーモア溢れる姉、軟弱な弟をはじめとしたモン族と打ち解けているあたり柔軟性もあった。モン族に古き良きアメリカというか、殺伐としている今の世の中が忘れた温もりを感じたのだろう。言葉は通じなくても心は通じるんだな。 星条旗を掲げてましたが、颯爽と力強く風になびく描写はなく、力なくただ垂れ下っていたのは今のアメリカを象徴しているようだった。それに対し昔の強いアメリカ時代の象徴のようなグラン・トリノ(希望)を託すのが、主人公に男を学んでいたあのモン族の少年。国を憂いむ老兵から新時代、新世代へのエールか。 これまでのイーストウッド作品を観てきた人には、【ケリのつけ方】が=イーストウッド(ヒーロー)の最後と見えてしまうだろう。自分の正義を貫いてきた男の最後が十字架を背負ったキリストのような散り方。お見事だった。 主人公とイーストウッドが歩んできた道が凄くマッチしていて、脚本家はイーストウッドに捧げたのだろうか?と思いましたね。ここ数年は人生を達観したかのように贖罪をテーマにした作品が多いが、自らがこのような役を演じたのは役者としてもケリをつけたのか?と思うと寂しい。 [映画館(字幕)] 10点(2009-04-27 21:16:53)(良:2票) |
2. ボーン・アルティメイタム
密度の濃い脚本と細かい演出、巧みなカメラワークでとえも見応えがありますね。スピーディーなカット割りの上手さと、それに合わせた音楽がとても良く緊張感が高まりっぱなしでした。シリーズを通してアクションもカーチェイスも抜群、ストーリー展開も絶妙。三部作の最終作として見事なまでに締め括ってくれました。硬派なアクション・スパイ物として間違いなくトップでしょう。凡庸で在り来りなアクション映画に飽きた人はこのシリーズを是非観て欲しい。ただ「ボケー」っと気を抜いて観ると確実に何かを見落とし、物語を楽しむ上で損をすると思われますので集中して観るのが良いと思います。 [映画館(字幕)] 10点(2007-11-14 20:10:21) |
3. クラッシュ(2004)
脚本絶品!出演者の演技も素晴らしかった。点と点の人間模様が線で結ばれていく様は「お見事!」以外言葉が出ない。人種差別はアメリカ社会に根強く残ってますが、一見無さそな日本は見た目で判断されちゃってるな。環境や状況で善にも悪にも転んでしまう人間って難しいねぇ。 [映画館(字幕)] 10点(2006-02-17 01:46:26) |
4. ソウ
《ネタバレ》 閉塞感、緊張感たっぷりの綿密に組み立てられた死のゲーム。「多くの人間は生きてることに感謝しない」。基本的な事だけどこれって大切だよな。無軌道な若造も年取ると健康がいかに大事か、素晴らしい事なのか理解できるでしょう(苦笑) まぁ前向きに行きましょう。ある意味教訓映画ですね。 それにしても若干26歳でプロットを練り上げ、低予算、18日間で撮影した二人は凄い。あとは他の人みたいな一発屋でない事を祈るだけ。未来は僕らの手の中~ってトコか羨ましい。怒涛な展開を盛り上げる、映像にマッチした音楽も良かった。 10点(2004-12-11 23:19:39) |
5. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
名場面、名台詞のオンパレード。セオデン王の演説は燃え滾り、サムの献身さにジ~ンとし、いい関係を築いたレゴラスとギムリの会話にはニヤリ。映画が完結したので、未読の原作本を読んでみようかと思います。カットされたシーンを追加したDVDが楽しみです。 10点(2004-02-27 02:42:54) |
6. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 脚本が素晴らしい。よく練られ、丁寧に作られた極上のサイコサスペンス物。何も予備知識を入れないでいったんですが、傑作。脳内ならなんでもありですが、参りました。一瞬、ドリームキャッチャーが頭をよぎりましたがw 10点(2003-11-06 21:10:04) |
7. フレディVSジェイソン
長々と待たされた甲斐があったといえる出来。ロニー・ユー監督「ホラー映画が嫌いなヤツに媚びる必要は無い!」「どちらのシリーズにもハードコアなファンがついているから、私みたいに何の知識も無い人間がやって怒らないか妻は心配だった」「それぞれの作品に決まりごとがあり、それを無視して勝手な解釈を持ち込んではいけない」。この監督、両作品とも一作目しか見たことが無かったらしく、2週間ひたすらシリーズを見まくったり、フレディ役のロバート・イングランドや、13金の生みの親であるショーン・S・カニンガムと話し合って勉強したとか。それにしてもマニア心を理解している監督で良かったw。脚本も練りに練ったというだけあって、非常に素晴らしい!シリーズを見てきた人には「ニヤリ」とさせてくれるシーン多数。エンディングのバージョン違いも数種あるそうなので、DVDにでも入れて欲しいな。日本で言えば、ガメラvsゴジラ、馬場vs猪木くらい超ビッグなカードである今作。続編の話が既に出ているそうです。まぁこの2人は何でもアリだからね(笑) 10点(2003-10-20 19:42:15)(良:2票) |
8. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 【裁判は真実を明らかにする場所ではない。裁判は被告人が有罪であるか、無罪であるかを集められた証拠で取り敢えず判断する場所に過ぎないのだ。】怖いですね。疑わしきは罰せずではなく、疑わしきは有罪ってのが前提になってる現状は変えていかないと冤罪は無くなりませんね。まぁでもやってる人には今以上の罰則を設けないと舐められてますよ、今の日本は。法を制定した時には想定出来ない事件だらけでしょ。特に少年法。ちょっと脱線。 [映画館(邦画)] 9点(2007-01-29 23:03:56) |
9. 硫黄島からの手紙
実際には物凄い環境だった壕の悲惨な生活などが描いておらず悲壮感が多少薄く見えたが、そんなもんは些細な事でした。世界的なスーパースターであり、いまや稀代の名監督に名を連ねるイーストウッドに作ってもらえたのは日本にとって意義があり良かったと思う。近代史でほとんど習わない部分であり、多くの日本人は硫黄島に関して何も知らないだろう。今作を観て全てが理解できると言うわけではないですが、ぜひ観て欲しいですね。日本の未来を憂う想い…。この戦争で戦った男たちが今の日本を見たら嘆き悲しむだろうな。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-15 22:24:04) |
10. 父親たちの星条旗
《ネタバレ》 原作未読。硫黄島の戦闘に関しては多少知ってる程度。 時間軸をずらし、帰国後と戦闘中がフラッシュバックにより入り交じる手法はわかりやすく巧かった。硫黄島に迫る大艦隊は物凄く、さらに一斉砲撃。あんなモン生で見たら普通愕然として動けなくなりますよ。昔の日本人の精神力の強さは半端じゃないなと(ここら辺は連作である【硫黄島からの手紙】が楽しみでもあり怖くもありますが)。 プロパガンダに利用され英雄に仕立て上げられた兵士。その後の人生はなんとも言えない遣る瀬無さ、哀しさがあったな。政治の汚さ、差別問題もあり考えさせられる作品。アメリカ国民はどう見たんだろうか? [映画館(字幕)] 9点(2006-11-02 23:13:47) |
11. 時をかける少女(2006)
演出や脚本がとても巧みで上手い。こんなに清々しくは無かったけど青春時代の甘酸っぱさを思い出しました。オーディションで選ばれたという主役の真琴役の仲里依紗さんは、同年代という事もあってか現代のバイタリティ溢れる女子高生をまんま素直に演じていて好印象。背景などの美術や設定もリアルに出来ていて、とても上手い。音楽と主題歌も抜群に合っていて、とっても爽やかで観ていて気持ちが良かった。細田監督は今後も期待ですね。 [映画館(邦画)] 9点(2006-07-27 21:44:21) |
12. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 とっても濃厚ですね。そこに実在しているかのような映像の連続でお腹いっぱい楽しませてもらいました。コングに無駄に話しかける事無く感情を表していたのは上手いな。夜の公園での心の交流は良かった。各キャラを深く掘り下げていたが、削った方が良いシーンもあったかな。それぞれの立ち位置が多少中途半端だったし。それにしても太古の生物が闊歩する骸骨島はたまらない物があったなぁ。探険行きてー。 [映画館(字幕)] 9点(2006-01-06 22:31:56) |
13. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
旧三部作にどう繋げるか、どう史実を表現するか気になってましたが、ep1とep2の駄目っぷりがウソの様な傑作に仕上がりましたね。サーガ完結。映像と音楽がマッチしていて満足しました。各シリーズと被る場面や台詞、とどめのラストシーンは感慨深かった。欲を言えば「もっと上映時間長くていいぞルーカス!」と。あ~終っちゃったなぁ…。 噂のTVシリーズが気になるな。 [映画館(字幕)] 9点(2005-07-03 00:15:56) |
14. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 主役のカッチャーはモデル上がりで本国で大人気。おまけにコメディ系が得意だそうですが、全く知らなかったので変な先入観を持たず素直に見られました。まぁ見た瞬間ジャック・ブラックに似てるなぁと思いましたけどw。 過去に戻り運命を変える。その結果に若干突っ込める疑問点があるが、脚本と演出はそれをさせない緊張感、スピード感、上手さがあった。結局はある程度の決まっていたレール(運命)に収まった訳だが、その全ての過程が分かっている主人公にはあの最後は確かに切ないわ…。お見事! 別バージョンのエンディングがあるようですが、こっちのエンディングの方が良いですね。説明されてましたが、バタフライ・エフェクト=ある場所で蝶が羽ばたくと地球の反対側で竜巻が起こる。はじめの条件のわずかな違いが将来の結果に大きな差を生み出す、というカオス理論というタイムパラドックスに関する言葉だそうですが、なるほどなぁとイロイロ考えさせられましたね。 [映画館(字幕)] 9点(2005-05-16 22:59:35) |
15. Mr.インクレディブル
古きよき時代のアメリカドラマ風味を漂わせつつ、家族愛、夫婦愛も丁寧に描かれている。ピクサー恐るべし。 9点(2004-12-24 03:42:17) |
16. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 母親であるより女である方を選んだのか。子供より自分の幸せを選んだのか。今時のゆるいタイプの人間を、ゆるいキャラのYOUが適役とばかりに演じている。妹弟思いの明、その兄を支えるしっかり者の京子、腕白な茂、天真爛漫なゆき。自然な演技の子供達、リアルな情景と日常、ゴンチチの音楽、主題歌が秀逸。現実の事件はもっと酷かったけど、モチーフにしただけなら映画だけは兄弟みんなハッピーに終わって欲しかった。が、あえて撮った監督はこのような社会問題に真っ向から切り込んでいると思った。カンヌを獲った事で注目されている事もあり、この手の作品にしては劇場数も多い。たくさんの人に観てもらいたい作品。 9点(2004-09-07 02:09:37)(良:1票) |
17. ビッグ・フィッシュ
《ネタバレ》 虚言や妄想あるけれど、今作の親父さんはみんなを楽しく幸せにさせるお伽噺を語る。空想と事実、現実と過去を織り交ぜ融合させつつ、バートン得意のファンタジーな世界が美しく描かれている。最後のお葬式での総出のシーンにいろんな想像が膨らみますね。親父と息子の関わり方は野郎の方がよく分かるかなぁ。父親を亡くし、子供が生まれ父親になったバートン。作風も若干変わってきた気がします。 9点(2004-05-16 00:48:03) |
18. スクール・オブ・ロック
《ネタバレ》 ロック馬鹿のJBの百面相的な表情の変化と、ちょっとしたムーヴが最高。子供たちとのやり取りも良い関係を築けていたなぁ。目立とう精神で自分が排除された経験から、バンドのメンバー以外にもキッチリと役目を与え、いかに重要な役割か説いたり、自信の持てない子供には勇気と希望をもたらす。バンドを立ち上げる為に必要な「一体感」に気が付き、人間的な成長を遂げたんですね。最後、友人はロック魂に火がついたんでしょうね。(捨てられると言っていた彼女は、逆に捨てたんだろうか?)選曲はツボ突きまくりでウズウズし、ロックの小ネタ続出にニヤニヤ。気分爽快にさせてくれる作品です。 [映画館(字幕)] 9点(2004-05-04 01:57:04) |
19. ウォーターボーイズ
アレやっときゃ良かったなぁとか、いろいろと思い出しましたね。青春万歳! 9点(2003-10-12 23:41:01) |
20. アマデウス ディレクターズカット
天才とアレは紙一重だとはよく言ったものだなぁと。DVDに三ツ矢雄二の吹き替えが入ってないのは残念w 9点(2003-10-12 22:36:00) |