121. 惑星のさみだれ
小規模ではあるが、壮大。軽妙であるが、真摯。決して認知度は高くない作品だが、私的にはここ10年でピカイチの少年漫画だった。 勤務先からの帰宅途中の電車内で最終巻を読んで大いに感動し、衆目の中であやうくボロ泣きするところだった。めっさ奥歯を噛み締めて読む羽目に。 水上悟志、恐るべし&ありがとう。 10点(2008-06-07 01:32:14) |
122. Gunslinger Girl
《ネタバレ》 「少女×ガンアクション」という取り合わせが、下品で大嫌いでした。しかもイタリア政府の殺し屋の少女。改造もされていて、洗脳までされている。相方は政府組織の男性職員。とほほほ。何でそんな悪趣味な設定にするのか。面白い訳、ねーな!と、高をくくっていた。 しかし、読み進めていく内にどんどん深みにハマっていった。設定は、相変わらず下品だと思っている。が、何と言うか、コッ恥ずかしいが、照れ臭いが、少女たちの長くない人生や幸せが、正しく「可憐」なんである。 ギリギリな所で「人形」ではなく「人間」として生きている少女たち。 何と言うか、今後の展開が気になります。 【ここまで9巻までの感想・以下、最終巻まで読んで】 一期生パートから二期生ペトルーシュカ登場というシフトチェンジで、物語の焦点が霞んだように思えたが、各々が迎えた終焉にグッと来た。 ラストに紡がれた「希望」が、眩い。 9点(2008-06-05 23:45:55) |
123. 湯けむりスナイパー
ひじかた憂峰(恐らく土屋ガロン・狩舞麻礼と同一人物)の描く「ハードボイルド」は、恐らく日本の漫画界では一番でしょうね。 「子連れ狼・拝一刀」がハードボイルド漫画キャラクターの私的ランキングで長年の一位だったですが、「湯けむりスナイパー」の源さんの登場で、「子連れ狼」もそのトップの座を明け渡す結果に。 「絵が…」「オヤジ向け漫画は…」と敬遠している漫画読者は、損をしています!と断言してもいい位のお奨めです。 「タイトルのダサさがチョッとなぁ…」と敬遠…確かにタイトルはダサい!それは認めよう!この漫画は、タイトルで損をしています!(二度言う)断言。 10点(2008-06-05 23:20:33) |
124. FLIP FLAP
作品ノリは前作の「ラブロマ」と同じで、特に真新しさは感じなかったものの、やっぱ面白かった。イチローの内野安打的ヒットというか、小西康晴的POPさというか。この作家のセンス、なんでしょうね。 ピンボールをプレイしているときの主人公の心理描写が、特に興味深かったです。 改めて言われてみると、そういや見かけなくなったピンボール。最近は、ゲームセンターでピンボールをついつい探してしまう。 7点(2008-06-05 23:05:12) |
125. 頭文字D
改造したり、チーム作ったり、坂道下ったり上ったり、事故ったり、死にかけたり。何がそんなに面白いんだ?と、主人公拓海が醒めた感じで甘酸っぱくもほろ苦い高校生活を送っていたところまで、面白かった。主人公が公道でのバトルに目覚めた辺りから、もうひとつ。スピード感あるレースシーンはやっぱり面白いんだけど。 「こんなオタクな漫画が売れるとは」と、作者本人も言っていたが、そのオタクが集いはじめた辺りからついて行けず。スマン。わからん。チームD(笑)の意義。 結局私って、かっちょいいクルマは嫌いじゃないんだけど、車にチーム名の入ったダサいステッカー貼ったりする人種は、苦手なんですよね。 3点(2008-06-02 08:07:42) |
126. MAJOR
《ネタバレ》 「がんばれ元気」「六三四の剣」「俺たちのフィールド」「ヘヴィ」等々。少年サンデーの漫画って、連載中に主人公の父親が死ぬスポーツ漫画が多い。名作になる確率も、高い。そういうジンクスでもあるんでしょうか。 「MAJOR」を読んでいて吾郎の父親が死んだときも「またか!」と思った。私だけか? まぁ、リトルリーグ編までは面白かった。しかし中学編でちょっと失速。海堂学園の入学試験・合宿あたりで破綻寸前。現在のアメリカ編はそこそこ持ち直してはいるものの、全体的に見てみれば迷走気味。絵も演出も上手いのに、展開のバランスの危うさが気になってしょうがない。 主人公が成長してどんどんスペックの幅がでかくなっていくのはイイが、精神的に大人になっていく、という所はオザナリ。 面白くないわけではないが、前作の男子バレー漫画の佳作「健太やります!」に比べるとチョッと物足りない。 5点(2008-06-02 07:52:48) |
127. いいひと。
主人公は「いいひと」かもしれないが、物語は露悪的だと思う。読んだ後に奇妙なイライラ感が芽生える。う~ん。私って「いいひとじゃなくても、いいや」って思ってるからでしょうか。高橋しんの漫画との相性、悪いなぁ。 4点(2008-06-02 07:22:28) |
128. 殺し屋1
好きな漫画ではないが、暴力描写のビジュアル的な印象が強烈。焼肉屋の双子シーン、カラッと揚げられそうになる拷問シーン、中指で一杯の箱、思い出しただけで「痛たたた!」となる。 特に柿原のあっけない末期は印象的。 「タブー」を出来るだけ無視しながらここまでズカズカ描き上げた作者の力量。そこだけは稀有といっていい。 好きになれない作品ではあるが。 7点(2008-06-02 07:14:56) |
129. ルート225
結構面白いジュブナイルもので、(遠野千夜)原作の雰囲気と(志村貴子)作画のバランスもかなりイイんですけど、個人的にはちょっと物足りなかったなぁ。短いせいかな?しかし、くだらない姉弟喧嘩の描写は、さすが志村貴子といったところ。 6点(2008-06-01 22:14:27) |
130. うさぎドロップ
三十過ぎの「大吉」と、小学生になったばかりの「りん」。育児経験皆無の大吉が毎日をイッパイイッパイになりながら、日常をクリアしていく。 大吉がりんに見せているのは不器用ながらもキチンと人間と向き合う姿勢だと、思う。そんな大人の義務感と、ささやかで父性愛っぽい何かで大吉はりんと向き合い、りんは育つ。 同じ三十男として、読後に私も頑張らなきゃな、と、思う。独身者としては気軽なエールしか送れないのだが。涙笑。 5巻からは、まさかの10年後編(?)スタート。ますます目が離せない展開になってきました。 蛇足ながら考えるのが、「うさぎドロップ」のタイトルの意味。今のところ、意味はよくわからないが、何となく雰囲気は「うさぎドロップ」ですよね。 8点(2008-05-27 23:31:23) |
131. りびんぐゲーム
星里ちもるが「りびんぐゲーム」で青年誌に現れたときは本当にビックリした。徳間で魅せたベタだけどホンワカ面白い作風がスピリッツで通用するのか?と、思った。完全に杞憂でしたが。 とにかく星里作品はコメディとシリアスの絶妙な匙加減、流石にうまい。二宮ひかるの作品でも思うことだが「こんな女の子、ホントに居たらうっとうしいだろうなぁ」と思っちゃうヒロインも、何でか星里(二宮)作品のヒロインなら許せてしまう。う~ん。それが作家性というモンなんでしょうか。 こういう物語を、他の作家が描くと下品になったり暗くなったりするんだろうけど、星里ちもるはそういうギリギリな所を難なくエンタテイメントに仕上げてくる。 7点(2008-05-27 00:01:12) |
132. ホーリーランド
《ネタバレ》 独特な格闘技理論や主人公の内面が、他と一線を画していて面白い。殴られる主人公の痛みと殴る主人公の痛みの描写が妙な説得力を持っていて、思わず息を呑む。特に、主人公が傷つきながら、闇雲ながらに「前」に進もうとする姿が印象的。人間関係・社会・自分自身との「格闘」をテーマにして、真摯に描かれた名作品だったと思う。イイ話だった。 8点(2008-05-26 23:34:32) |
133. バガボンド
私的には今のところ凡庸な評価ですね。絵は上手いし、一コマ一コマにゾッとする迫力もある。流石です。しかし井上雄彦作品の、特に「バカボンド」の魅力は物語の落下地点で最終的に評価したい。 7点(2008-05-21 22:01:18) |
134. らき☆すた
読者に媚びる生臭さと計算高さが鼻につき、素直に楽しめない。奥瀬サキ風に言うなら、マイノリティ同士がツルむ時のような居心地の悪さを感じる。マニアックなネタや笑いどころは(悲しいながらも)理解できる。が、それが笑いに直結し辛い。キャラは可愛いんだけど、それもどこか予定調和的というか。魅力を感じない。残念。 4点(2008-05-20 23:25:37) |
135. とめはねっ! 鈴里高校書道部
「帯をギュッとね!」(柔道)→「モンキーターン」(競艇)→と来て、今度は何の漫画か?と思いきや「書道漫画」とは。 毎度毎度、河合克敏の突拍子の無さには驚かされる。何よりも「初心者には何の興味も無いようなジャンル」をキッチリとエンタテイメントに仕上げる手練に驚かされる。 書道漫画といえば過去にビッグコミックスピリッツで、女子高生が主人公の書道漫画(タイトルは失念)が存在し、(個人的には面白かったが)不人気ゆえに連載終了した。マンガにするにはテーマが難しすぎた、と、当時は思った。が、この「とめはねっ!」の安定振りは、一体何なのか。河合克敏、恐るべしである。 7点(2008-05-17 00:54:43) |
136. Jの総て
マリリン・モンローに憧れる(男)主人公「J」の波乱万丈な青春を、見事に描き上げた怪作。カテゴリとしては私のちょーニガテな同性愛モノか。しかし何て言うか、身も心もボロボロにしながらも幸せに近づこうとする「J」の生き様にハラハラし、ドキドキし、涙し、最終回には感動。全く、こういうジャンルにも楽しめる作品があろうとは。 主人公Jはトランスセクシャル(性同一性障害)なんで、イワユル「BLモノ」とはチョッと違うんですが、まぁ、試しに如何か?といった所。 9点(2008-05-17 00:41:34) |
137. ベルサイユのばら
遅ればせながら、36歳になって初めて(文庫版で一気に)読みました。迂闊。何たる迂闊。こんな名作を今まで「古典少女漫画」と見くびってスルーしていたとは。特にオスカルの格好良さを、今まで読まずに過ごしていたとは。オスカル!ああ、オスカル!美し過ぎるやろ!?貴様は、神か?(笑う所) 私の内に存在するはずがない「乙女心」が、かつてない位に稼動しました。 暴走ついでにアニメ版も制覇。アニメ版も、すげえ。オスカル。(志垣太郎風に)オスカァァァァァァァル……ッ!貴様は神か?(二度言う) 隅から隅まで堪能させていただきました。後は、かの浜村淳ですら立ち見というプラチナな「宝塚版」を残すのみ。全く、恐ろしいハマリようです。 蛇足ながら、作者の池田理代子、執筆当時は24歳だというのに改めて驚愕。神か?(しつこい) 10点(2008-05-17 00:28:58)(笑:4票) |
138. BANANA FISH
少女漫画を読まない人たちに、忠告したい。たかが少女漫画と侮っていると、名作を読み逃す。「BANANA FISH」は、その最たる作品。 中途半端な少年・青年向け漫画にも劣らないハード&クールさと、同時に少女漫画としての切なさや果敢なさも併せ持つ。 少年、少女問わずに、是非読んでほしい。 10点(2008-05-04 06:02:19) |
139. うえきの法則
「戦国甲子園」に対して→「鳥山明」、「烈火の炎」に対して→「幽遊白書」、そして「うえきの法則」に対して→「尾田栄一郎」と、何故か少年サンデーの連載枠には「なんちゃってジャンプ作品」という意味不明な枠があるね。ま、その手の二匹目のドジョウなんて、評価するの馬鹿らしいのだが、何気にアニメ化しているんですよね。笑。 現在(2008年現在)は「LOST+BRAIN」→「デスノート」と、なんちゃってジャンプ枠、健在中。 2点(2008-05-04 05:30:16) |
140. 谷仮面
柴田ヨクサル作品の中で、一番好き。最終回あたりでは何度も泣きそうになる。ギャグ作品なのに。笑。 10点(2008-05-04 01:51:40) |